JP6612349B2 - 新規香料としての1−(7,10,10−トリメチル−4−ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン - Google Patents

新規香料としての1−(7,10,10−トリメチル−4−ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン Download PDF

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Description

本発明は、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、フレグランスとしての又はフレーバーとしての1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの使用、組成物の中に前記化合物を含めることによってそのような組成物に香り若しくはフレーバーを付与するための又は香り若しくはフレーバーを変更するための方法、前記化合物を含有するフレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料、並びに1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの調製方法に関する。
フレグランスは、とりわけ化粧品並びにまた洗濯用及び清掃用洗剤の分野において大きな関心が持たれている。天然由来のフレグランスは高価であることがほとんどであり、それらの使用可能量は制限されている場合が多く、また環境条件の変動のために、それらの含量、純度などにばらつきがある。このような望ましくない因子を回避するために、例として、容易に入手可能な天然物質、例えば容易に入手可能な天然由来のフレグランスを化学的に変更して、より高価である天然フレグランスに類似する感覚特性を有するか又は新規で興味深い感覚プロフィールを有する物質を創製することは、したがってはなはだ興味深い。このような「半合成」物質は、例としては、その匂いにより純粋に天然である物質の代替物として使用することができ、ここで、代替物と天然物質とは、化学構造類似性を有する必要は必ずしもない。
しかし、化学構造の小さな変化でさえも、匂いまた風味などの感覚特性に大きな変化をもたらすおそれがあるので、ある種の匂いなどのある特定の感覚特性を有する物質を標的とする探索は、極めて困難である。したがって、新規なフレグランス及びフレーバーの探索は、所望の匂い及び/又は風味を有する物質がまさに実際に見いだされるかどうかはわからず、ほとんどの場合困難で手間がかかるものである。
有益な感覚特性を有する新規な香料が一貫して必要とされている。
カリオフィレン及びその類縁体は、公知の芳香剤である。カリオフィレンはクローブ油から容易に分離することができる天然産物である。その主たる酸化生成物のいくつかはまた、現在の技術水準において記載されている。
Skoeldら、Food and Chemical Toxicology、2006、44巻、538〜545ページは、芳香剤ベータ-カリオフィレンのカリオフィレンオキシドへの空気酸化及びそのアレルゲン活性について記載している。
Colladoら、Nat. Prod. Reports、1998、15巻、187〜204ページは、例えば、種々の酸化反応から得られるその酸化生成物を含めて、ベータ-カリオフィレンの物理的特性及び反応性について詳細に記載している。
Matsubaraら、Nippon Nogei Kagaku Kaishi、1985、59巻、1号、19〜24ページ、及びUchidaら、Agric. Biol. Chem.、1989、53巻、11号、3011〜3015ページは、四酢酸鉛を用いるベータ-カリオフィレンの酸化及び得られた酸化生成物の分析的特性について記載している。他の11種類の化合物の他に、酸化生成物混合物中に1-[(1R,4R,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン及び1-[(1R,4S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを、彼らは同定した。具体的には、酸化反応を、化学量論量でベータ-カリオフィレンを酢酸鉛(IV)と反応させることによって行ったところ、それぞれ、10.2%及び9.9%の選択性で1-[(1R,4R,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン及び1-[(1R,4S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが得られた。更に、それらが適度に木質の匂いであることから、彼らはこれらの酸化生成物を香水中に使用可能であることを提案している。
Skoeldら、Food and Chemical Toxicology、2006、44巻、538〜545ページ Colladoら、Nat. Prod. Reports、1998、15巻、187〜204ページ Matsubaraら、Nippon Nogei Kagaku Kaishi、1985、59巻、1号、19〜24ページ Uchidaら、Agric. Biol. Chem.、1989、53巻、11号、3011〜3015ページ
本発明の目的は、新規なフレグランス又はフレーバーとして使用し得るとともに容易に入手可能な出発原料から大規模に合成し得る物質を見いだすことであった。特に、気持ちの良い匂いを有する香気の強い物質が捜し求められている。新規なフレグランス又はフレーバーは毒性学的な懸念がないことが必要である。
驚くべきことに、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンが、特に1-([(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが、気持ちの良い感覚受容性の特性を示し、好都合なことにフレグランスとして又はフレーバーとして使用し得ることが見いだされた。とりわけ異性体1-([(1R,4S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンがフレグランスとして又はフレーバーとして特に適切であることが見いだされた。更に、驚くべきことに、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの触媒的水素化によって容易に入手し得ることが見いだされた。1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンそれ自体は、(1R,4E,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンをN2Oで酸化させることから、高収率及び高選択性で入手可能である。
本発明は、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン及びその立体異性体に、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、並びに、(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体又は(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物に関する。
本発明は更に、次の異性体、(4R,7R)異性体、(4R,7S)異性体、(4S,7R)異性体又は(4S,7S)異性体の1つを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物に関する。
本発明は更に、フレグランスとしての又はフレーバーとしての、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの使用、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの使用、並びに、(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体又は(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物の使用に関する。
本発明は更に、フレグランスとしての又はフレーバーとしての、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの使用、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの使用、並びに、(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体又は(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物の使用に関する。ここで、前記化合物又は混合物は、洗濯洗剤、布地用洗剤、化粧品、フレグランス付きの衛生物品、食品、補助食品、フレグランスディスペンサー、香水、医薬製剤及び作物保護組成物から選択される組成物中に含まれる。
本発明は更に、組成物に香り若しくはフレーバーを付与する又は組成物の香り若しくはフレーバーを変更する方法であって、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体若しくは(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物を、組成物の香り若しくはフレーバーを付与する又は変更する量で、組成物の中に含めるステップ又は組み込むステップを含む、方法に関する。
本発明は更に、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体若しくは(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物と、担体材料とを含有する、フレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料に関する。
本発明は更に、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの製造方法であって、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを用意するステップと、組成物を水素化触媒の存在下で水素で水素化するステップとを含む、方法に関する。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、並びに、(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体又は(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの立体異性体混合物は、次の利点を示している:
- 1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは有益な感覚特性、特に気持ちの良い匂いを有する。したがって、これは、フレグランスとして又はフレーバーとして又はフレグランス含有組成物及び/若しくはフレグランス材料の成分として有利に使用し得る。
- その物理的特性のために、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、特に香水などのフレグランスを含む調製物中の他のフレグランス及び他の慣用の成分に対して特に良好で実質的に普遍的である溶媒特性を有する。
- 1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、安価で且つ容易に入手可能な出発原料、ベータ-カリオフィレンとも称される4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンを使用することによって、合成的に製造し得る。
- 1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを製造するための方法は単純で効率的である。それ故、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは大きな工業的規模において困難なく得ることができる。
- 1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、一般に毒物学的懸念のない(1R,4E,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンの酸化生成物の群に属するので、低毒性である可能性が高い。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、次式(I)
の化合物である。
1位、4位、7位及び8位の炭素原子が(R)-立体配置又は(S)-立体配置を有し得ることは、式(I)から明らかである。したがって、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、合計16種の立体異性体の形態で存在し得る。
8員環は4員環に対してtransにまたcisに縮合していてよく、すなわち橋頭位の水素原子はtransでもcisでもよいことは明らかである。式(I)の立体異性体が好ましいが、ここで、橋頭位の水素原子は、4員環及び8員環によって共有される結合に対してtransに位置している。
本発明の好ましい一実施形態は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態である1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンに関するが、ここで、1位の炭素原子は、(R)-立体配置を有し且つ8位の炭素原子は、(S)-立体配置を有する。
1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは次式(I.a):
の化合物である。
アセチル基を有する4位の炭素原子及びメチル基を有する7位の炭素原子は、(R)-立体配置でもまた(S)-立体配置でもよいことは、式(I.a)から明らかである。したがって、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、以下(4R,7R)異性体とも称される(1R,4R,7R,8S)異性体の1-[(1R,4R,7R,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態で、以下(4R,7S)異性体とも称される(1R,4R,7S,8S)異性体の1-[(1R,4R,7S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態で、以下(4S,7R)異性体とも称される(1R,4S,7R,8S)異性体の1-[(1R,4S,7R,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態で、若しくは以下(4S,7S)異性体とも称される(1R,4S,7S,8S)異性体の1-[(1R,4S,7S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態で、それぞれ存在し得、又は以下(4R/S,7R/S)異性体混合物と称される、(1R,4R,7R,8S)異性体、(1R,4R,7S,8S)異性体、(1R,4S,7R,8S)異性体及び(1R,4S,7S,8S)異性体の混合物の形態で存在し得る。
本発明は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(1R,4R,7R,8S)-立体異性体、(1R,4R,7S,8S)-立体異性体、(1R,4S,7R,8S)-立体異性体又は(1R,4S,7S,8S)-立体異性体、及びこれらの立体異性体の混合物の両方に関する。用語「1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン」とは、純粋な(1R,4R,7R,8S)異性体、純粋な(1R,4R,7S,8S)異性体、純粋な(1R,4S,7R,8S)異性体及び純粋な(1R,4S,7S,8S)異性体並びに混合物の両方を包含し、ここで、これらの立体異性体は等量で存在するか又はこれらの立体異性体の1種若しくは2種が過剰に存在する。
しばしば、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは(4R/S,7R/S)異性体混合物として存在する。
本発明の特定の一実施形態では、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、その(4R/S,7R/S)-立体異性体の混合物の形態で存在するが、この混合物は、今後(4R,7R/S)異性体と称される(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体、又は今後(4S,7R/S)異性体と称される(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体のいずれかを主として含有する。より具体的には、これらの混合物中には、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R,7R/S)異性体又は(4S,7R/S)異性体のいずれかが、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの4種の立体異性体の総量に対して、少なくとも55重量%の量で、特に少なくとも65重量%の量で存在する。
本発明の更なる特定の一実施形態では、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、その(4R/S,7R/S)-立体異性体の混合物の形態で存在するが、この混合物は、(4R,7R)異性体、又は(4R,7S)異性体、又は(4S,7R)異性体又は(4S,7S)異性体を主として含有する。より具体的には、これらの混合物中には、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R,7R)異性体、又は(4R,7S)異性体、又は(4S,7R)異性体又は(4S,7S)異性体は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの4種の立体異性体の総量に対して、少なくとも30重量%の量で、特に少なくとも40重量%の量で存在する。
ある特定の一実施形態では、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は上に定義した1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体混合物は、少なくとも80%、特に少なくとも90%の純度を有する。
上述の好ましい実施形態は、互いに任意に組み合わせ得る。
したがって、本発明の特定の一実施形態は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体の混合物に関するが、これらの混合物は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体の総量に対して、少なくとも55重量%の量で(4R,7R/S)異性体を含有し、ここで前記混合物の純度は少なくとも80%である。
同様に、本発明の特定の一実施形態は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体の混合物に関するが、これらの混合物は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体の総量に対して、少なくとも55重量%の量で(4S,7R/S)異性体を含有し、ここで前記混合物の純度は少なくとも80%である。
同様に、本発明の特定の一実施形態は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体の混合物に関するが、これらの混合物は、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの4種の立体異性体の総量に対して、少なくとも30重量%の量で、(4R,7R)異性体、(4R,7S)異性体、(4S,7R)異性体又は(4S,7S)異性体を含有し、ここで前記混合物の純度は少なくとも80%である。
前述のように、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは有益な感覚特性、特に気持ちの良い匂いを有することが見いだされた。より具体的には、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、とりわけ1-[(1R,4S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、非常に木質の、琥珀的な、ジャコウ的な、スイートな及び女性的な特徴の強い匂いを呈する。
強い匂いの印象は、非常に低い気層濃度においてさえも正確な知覚を可能とする、香料の特性を意味するものとして理解されるべきである。その強さは、閾値判定により確認し得る。閾値とは、もはやそれを定義する必要はないが、代表的な試験パネルが匂いの印象を依然としてかろうじて知覚することができる、当該気層中の物質の濃度のことである。恐らく最も匂いの強いものの1つ、すなわち非常に閾値が低いものとしての公知の物質種は、チオールであり、その閾値はppb/m3の範囲内にある。新規な香料の探索は、できる限り最低の使用濃度を可能にするために、できる限り最低の閾値を持つ物質を見いだすことを目的とする。この目標に近づけば近づくほど、「強い」匂い物質又は香料についてますます議論する。
「気持ちの良い匂い」又は「有益な感覚特性」とは、香料によって伝えられる匂い印象の心地よさ及び正確さについて説明している快楽的な表現である。
「心地よさ」及び「正確さ」とは、当業者、すなわち調香師が熟知している用語である。心地よさとは、一般に、自然発生的にもたらされる、積極的に知覚される、気持ちの良い感覚的な印象を言う。しかし、「心地よい」は、「スイートな」と同義である必要はない。「心地よい」はまた、ジャコウ又はビャクダンの匂いを説明し得る。「正確さ」とは自然発生的にもたらされる感覚印象を一般的に指し、この印象は、同一の試験パネルに対して、何か具体的なものに関して同一の再現的に思い出させるものをもたらす。
例えば、ある物質は、「りんご」の匂いを自然に思い出させる匂いを有し得る。すなわち、その匂いは次いで正確に「りんご」の匂いとなるであろう。このりんごの匂いが、例えば、スイートで完全に熟したりんごを連想させるために非常に気持ちの良い場合、その匂いは「心地よい」と称されるであろう。しかし、典型的に酸味のあるりんごの匂いも、明確となり得る。物質の匂いをかいだ際に両方の反応、この例では心地よいりんごの匂いと明確なりんごの匂いが生じる場合、この物質は、特に有利な感覚特性を有することになる。
本発明は更に、典型的には少なくとも1種の芳香化合物、すなわち少なくとも1種のフレグランス及び/又はフレーバーを含む、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は上に定義した1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの(4R/S,7R/S)-立体異性体混合物の、組成物における使用に関する。そのような組成物としては、例えば洗濯洗剤、布地用洗剤、化粧品、おむつ、衛生タオル、脇の下用パッド、ペーパータオル、ウェットワイプ、トイレットペーパー、ポケットティッシュなどのフレグランス付きの他の衛生物品、チューインガム又はビタミン製品が例である食品、補助食品、室内空気清浄剤が例であるフレグランスディスペンサー、香水、医薬製剤及び作物保護製品が挙げられる。
典型的には、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの上に定義した(4R/S,7R/S)-立体異性体混合物を、任意選択で1種以上の他の芳香化合物と一緒に、現存の調製物の中に組み込ませることによってこれらの組成物は調合される。この現存の調製物は、芳香化合物を前もって含まないか又は1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンとは異なる1種以上の他の芳香化合物を前もって含んでいる。このような組成物は一般に担体を更に含み、この担体は、感覚特性を有さないか又は顕著な感覚特性を有さない、化合物であっても、化合物混合物であっても、他の添加剤であってもよい。担体は同様に、顕著な感覚特性を有する化合物若しくは添加剤であってもよく、又は、化合物1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンとは異なる1種以上の他の芳香化合物を含み且つ感覚特性を有さないか若しくは顕著な感覚特性を有さない1種以上の化合物を任意選択で含む化合物混合物であってもよい。
本発明に記載の組成物では、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、及び上に定義したその(4R/S,7R/S)-立体異性体混合物は、製剤補助剤向けの慣用の量で通常施用される。より具体的には、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの量は、組成物の総重量に対して、0.001〜50重量%の範囲内、特に0.01〜20重量%の範囲内、とりわけ0.1〜10重量%の範囲内である。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、洗濯用洗剤及び布地用洗剤において、化粧品において及びフレグランス付きの他の芳香性衛生用品において使用されるのが好ましい。香水などの化粧品において、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを使用するのが、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを使用するのが特に好ましい。
本発明は更に、組成物に香り若しくはフレーバーを付与する又は組成物の香り若しくはフレーバーを変更する方法であって、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを、組成物の香り若しくはフレーバーを付与する又は組成物の香り若しくはフレーバーを変更する量で、組成物の中に含めるステップ又は組み込むステップを含む、方法に関する。変更に必要な1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの総量は、組成物の性質及び適用目的に依存し、したがって、広範囲で変えることができる。典型的には、組成物の中に含まれている/組み込まれている1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの総量は、組成物の総重量に対して、0.001〜50重量%の範囲内、特に0.01〜20重量%の範囲内である。
強く且つ明確に匂う1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンはフレグランスとして使用するのが好ましい。用途に関して適切な分野は、目標とした様式で、より不快な匂いをマスクするにしろ、又はある種の匂い若しくはある種の香調を発生させるにしろ、ある種の匂いが望まれる用途全てである。
したがって、本発明は更に、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンと、担体材料とを含有する、フレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料に関する。
本発明に記載のフレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料中の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの総濃度は、特に限定されていない。総濃度は使用目的に応じて広範囲にわたって変化し得る。一般に、フレグランスにとって慣用である量が使用されている。フレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料中の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの総量は、典型的には、フレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料の総重量に対して、0.001〜20重量%の範囲内、特に0.01〜10重量%の範囲内である。
担体材料は、上に定義した特性を有する、化合物でも、化合物混合物でも、又は他の添加剤であってもよい。適切な担体材料には、液体の又は油ベースの担体材料並びにワックス様の又は固体の担体材料が存在し得る。
適切な液体の又は油ベースの担体材料は例えば、水、エタノールなどのアルコール、エチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール若しくはジプロピレングリコールなどの20℃未満の融点温度を有する脂肪族のジオール及びポリオール、ヘキサメチルシクロトリシロキサン若しくはデカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサン(シリコン流体)、分留ヤシ油などの植物油、又はミリスチルアセテート若しくはミリスチルラクテートなどの20℃未満の融点温度を有する脂肪アルコールのエステル、並びにミリスチン酸イソプロピルなどの20℃未満の融点温度を有する脂肪酸のアルキルエステル、から選択される。
適切なワックス様担体材料又は固体担体材料は例えば、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール若しくはセチルアルコールなどの20℃超の融点温度を有する脂肪アルコール、20℃超の融点温度を有する脂肪アルコールのポリオール及びエステル、パラフィンワックスなどの石油由来の合成ワックス、シリカ、例えばタルク、微孔性アルミナシリケート鉱物(ゼオライト)であるシリケート、例えばベントナイトである粘土鉱物、若しくは例えばトリポリリン酸ナトリウムであるリン酸塩などの非水溶性多孔性鉱物、紙、ボール紙、木、レーヨンステープルファイバー又は繊維フリースの不織布から選択される。
適切な担体材料は例えば、ポリアクリル酸エステル若しくは4級ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマー、又は特定の熱可塑性ポリエステル及びポリアミドなどの水-アルコール可溶性ポリマーからも選択される。ポリマー担体材料は、例えば、マイクロカプセル又は脆いコーティングのなどの、ゲル、ペースト又は水不溶性固体粒子の形態で、様々な形態で存在し得る。
使用目的に応じて、担体材料には、他の添加剤又は補助剤、例えば、界面活性剤又は界面活性剤の混合物、分子量400〜20,000Daを持つポリエチレングリコールなどの増粘剤、潤滑剤、結合剤又はケイ酸ナトリウムなどの凝固剤、分散剤、洗浄剤用ビルダー塩、充填剤塩、顔料、染料、光学増白剤、再付着防止剤などが更に存在し得る。
本発明に記載の組成物及び/又はフレグランス材料の典型的な用途は、洗濯用及び清掃用洗剤、ヒトの又は動物の体用、台所、湿度の高い室、自動車又は重量物運搬車などのルーム用、本物又は人工植物用、衣類用、靴及び靴の中敷き用、家具品目用、カーペット用、空気加湿器及び空気清浄器用、並びに香水などの化粧品用の、フレグランスの調製物の分野である。
本発明の一部はまた、成分Aとして、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン、又は上に定義したその立体異性体混合物と、成分Bとして、例えば1種以上の次の化合物B1〜B11などの、匂い物質又は芳香物質として公知の少なくとも1種の更なる化合物とを含む、匂い物質の組合せでもある:
B1:メチルジヒドロジャスモネート(例えば、ヘディオン)、
B2:4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(例えば、Galaxolide(商標))、
B3:2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral(商標))、
B4:2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、
B5:2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、
B6:3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロール)、
B7:3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)、
B8:2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン[Iso E Super(商標)]、
B9:アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、
B10:3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール(シトロネロール)、
B11:アルファ-又はベータ-又はデルタ-ダマスコン。
匂い物質の適切な配合物は、例えばJP11-071312 A、[0090]〜[0092]段落に開示されている配合物である。JP11-035969 A、[0039]〜[0043]段落の配合物も同様に適している。
本発明は更に、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを調製する方法であって、
i)1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを用意するステップと、
ii)1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを水素化触媒の存在下で水素で水素化するステップと
を含む、方法を提供する。
本発明は特に、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを調製する方法であって、
i)1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを用意するステップと、
ii)1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを水素化触媒の存在下で水素で水素化するステップと
を含む、方法を提供する。
ステップ i)
ステップi)において用意される1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、これはステップii)において水素化反応の出発原料として使用されるが、1位、4位、及び8位の炭素原子に(R)-立体配置を有してもよく(S)-立体配置を有してもよい。したがって、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、計8種の立体異性体の形態で存在し得る。
1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの8員環は4員環に対してtransにまたcisに縮合していてもよく、すなわち橋頭位の水素原子はtransでもcisでもよい。橋頭位の水素は、4員環及び8員環によって共有される結合に対してtransに位置する1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの立体異性体が好ましい。
ステップi)において用意される1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、これはステップii)において水素化反応の好ましい出発原料として使用されるが、アセチル基を有する4位の炭素原子において(R)-立体配置を有しても(S)-立体配置を有してもよい。したがって、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、今後4R異性体とも称される(1R,4R,8S)異性体の1-[(1R,4R,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態で、又は今後4S異性体とも称される(1R,4S,8S)異性体の1-[(1R,4S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態でそれぞれ存在してもよく、或いは、今後4R/4S異性体混合物と称される(1R,4R,8S)異性体及び(1R,4S,8S)異性体の混合物の形態で、いずれかで存在してもよい。
用語「1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン」とは、純粋な(1R,4R,8S)異性体も純粋な(1R,4S,8S)異性体もどちらも包含し、並びに混合物も包含し、ここで、これらの立体異性体は等量で存在するか又はこれらの立体異性体の1種が過剰に存在する。
典型的には、ステップi)において用意される1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、4R/4S異性体混合物として存在する。特に、ステップi)において用意される1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、その4R/4S-立体異性体の混合物の形態で存在するが、この混合物は、4R異性体又は4S異性体のいずれかを主として含有する。より具体的には、これらの混合物中には、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]-エタノンの4R異性体又は4S異性体のいずれかが、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの4R異性体及び4S異性体の総量に対して、少なくとも55重量%の量で、特に少なくとも65重量%の量で、存在する。
ステップi)において用意される、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン及びその立体異性体、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン又は上に定義したその4R/4S-立体異性体混合物は、少なくとも80%の純度、特に少なくとも90%の純度を有することが好ましい。
本発明の方法の好ましい一実施形態では、ステップi)において用意される1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン(ベータ-カリオフィレン)をN2Oと反応させることによって得られる。
この実施形態の好ましい一変形形態では、(1R,4E,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンをN2Oと反応させて、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを得るが、これは次いでステップii)において水素化反応の出発原料として使用される。
オレフィン性不飽和有機化合物中のオレフィン性C=C二重結合のN2Oによる酸化は、当業界において主として公知であり、1-メチルシクロヘキセン又は類似オレフィンのN2Oとの反応と同様に適用され得る。例えば、Starokonら、Adv. Synth. Catal. 2004、346巻、268〜274ページ、Hermansら、Phys. Chem. Chem. Phys、2007、9巻、4269〜4274ページ、Romanenkoら、Russ. Chem. Bull. Int. Ed. 2007、56巻、1239〜43ページ(Oxidation von Terpenen mit N2O)、WO 2005/030690、WO 2005/030689、WO 2010/023211及びWO 2010/0076182(technical oxidation of olefins with N2O)を参照されたい。
この目的のため、液相の形態であるベータ-カリオフィレンをN2Oの存在下で加熱する。液相中のN2Oの溶解性を高めるために、反応は加圧で行うのが好ましい。
反応は特に、5〜325barの範囲内の、好ましくは20〜250barの範囲内の、とりわけ60〜200barの範囲内の圧力にて、特にN2O圧力にて行うのが好ましい。
酸化は、連続的に又はバッチ式のいずれかで行うように設計することができるが、ここでは、連続的である設計の方法が好ましい。バッチ式酸化は、撹拌反応器など、この目的のために従来使用されている反応装置において実施し得る。本発明に記載の酸化は、例えば、管式反応器中で又は少なくとも3器の逆混合型反応器のカスケード中で、連続して実施される。この反応器は等温的に又は断熱的に操作し得る。
典型的には、酸化反応は触媒を添加せずに行われる。
酸化反応は、100〜300℃の温度範囲内で、好ましくは130〜290℃の温度範囲内で、特に150〜280℃の温度範囲内で、通常は実施される。
酸化反応は、バルクで、すなわち、任意の添加溶媒の不在中で又は1種以上の有機溶媒の存在下で実施し得る。
酸化反応が有機溶媒の存在下で行われる場合、有機溶媒は反応条件下で不活性であることが好ましい。好ましい不活性有機溶媒は、例としては、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素、特に5〜12個の炭素原子を有するアルカン及びシクロアルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素及び置換芳香族炭化水素、及び脂肪族エーテル又は脂環式エーテルがある。不活性溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又はジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物、メチル-tert.-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(tetrahydrofurate)、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル及びそれらの混合物である。
酸化反応が、不活性有機溶媒の存在下で実施される場合、反応混合物中の溶媒の量は、ベータ-カリオフィレンの量に対して90重量%未満、好ましくは80重量%未満であるのが好ましい。
特に、酸化は不活性有機溶媒の不在下で実施される。
酸化反応は、不活性ガスの不在中又は存在下で行い得る。不活性ガスという表現は、優勢な反応条件下で、反応に参加する出発原料、試薬若しくは溶媒との、又は得られた生成物との任意の反応に参入しないガスを一般的に意味する。不活性ガスの例としては、N2、CO2及びHe、Ne、Ar、Kr及びXeのような希ガスがある。二量化反応は、任意の不活性ガスを加えずに行うことが好ましい。
特に、酸化反応で使用されるN2Oとベータ-カリオフィレンとのモル比は、1:50〜10:1の範囲内、好ましくは1:20〜5:1の範囲内、特に1:10〜1:1の範囲内である。
反応条件、特にN2Oの量、反応圧、反応温度及び反応時間は、ベータ-カリオフィレンの転換率が10〜98%の範囲内、特に30〜90%の範囲内又は50〜85%の範囲内であるように選択されるのが好ましい。
本発明の方法の酸化反応により、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが高収率及び高選択性で得られる。驚くべきことに、N2Oは、ベータ-カリオフィレンの三置換の環内二重結合と優先的に反応する。先行技術において記載された、N2Oによる1-メチルシクロヘキサンの酸化に関する低転換率からみて、当業者は、N2Oはまた相当する反応率で環外二重結合と反応するはずであると予想したであろう。しかし、三置換の環内二重結合へのN2Oの[2+3]-環状付加とそれに続くN2の脱離及び炭素骨格の再配列に起因している反応が主として観察される。
一般に、上記の酸化反応により得られる粗生成物混合物は、更なる反応生成物を含み得る。特に、(1R,4E,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンが酸化反応の出発原料として使用される場合、粗生成物混合物は、式I.bの主生成物に加えて、一般式(II)〜(V)の更なる生成物を含有し得る。
驚くべきことに、式(VI)
のケトンは、N2Oを使用する1-メチルシクロヘキセンの公知の酸化に類似して、ベータ-カリオフィレンの主たる酸化生成物であることが予測し得るが、検出可能量で反応生成物の内には典型的には見いだされない。使用されるガスクロマトグラフィー分析システムの検出限界は、約10wt.ppmであると推定される。
上述のように、化合物(I.b)については、Matsubaraら、Nippon Nogei Kagaku Kaishi、1985、59巻、1号、19〜24ページ、及びUchidaら、Agric. Biol. Chem.、1989、53巻、11号、3011〜3015ページ、に記載されている。化合物(II)については、カリオフィレンオキシドの加水分解により形成される生成物の1つとして以前に記載されている(Yangら、J. Nat. Prod. 1994、57巻、514ページ)。ノル-ケトン(III)も公知の生成物である(Colladoら、Nat. Prod. Reports 1998、15巻、187〜204ページの化合物9)。三環(IV)も文献において公知である(Barreroら、Eur. J. Org. Chem. 2006、3434〜3441ページの化合物16及び17)。カリオフィレンオキシド(V)も文献において公知である(Siegelら、Org. Biomol. Chem. 2012、10巻、383〜393ページ)。
本発明による方法のステップi)には、上記の酸化反応から得られた、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの、例えば蒸留による精製が更に存在してもよい。
1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの精製向けの好ましい蒸留装置としては、例えば、任意選択でバブルキャップトレイ、篩板、篩トレイ、パッケージ若しくは充填材を備えるトレイ塔などの蒸留塔であり、又は薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環型蒸発器、サンベイ(Sambay)蒸発器など及びそれらの組合せなどの回転バンド蒸留塔である。1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの精製向けにとりわけ好ましい蒸留装置は、蒸留塔、特に充填塔、例えば高性能構造充填物を充填された塔、及び回転バンド蒸留塔である。
蒸留的精製の後、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、高純度で、例えば、少なくとも80%の純度で典型的に得ることができる。一般に、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは上に定義した8種の立体異性体の非ラセミ混合物として得られる。ステップii)において水素化反応の好ましい出発原料として使用される1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、上に定義したその4R-立体異性体及び4S-立体異性体の非ラセミ混合物として通常は得られる。
一般に、本発明の方法のステップi)において使用される出発原料ベータ-カリオフィレン(CAS-No. 87-44-5)は、クローブ油から工学規模で分離され、商業的供給源から容易に入手し得る。
ステップ ii)
本発明の方法のステップii)に相当する、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの触媒的水素化は、当業者に周知である、二重結合を水素化するための方法及び触媒を使用して実施される。
二重結合を水素化するのに適切な触媒は、例えば、元素周期表の遷移族VIIIの少なくとも1種の金属、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、コバルト、又はルテニウム、好ましくはルテニウム又はパラジウムを、単独で又は元素周期表の遷移族I若しくは遷移族VII由来の少なくとも1種の金属、例えば、銅又はルテニウムと一緒に含む、触媒である。遷移金属は支持材料に一般には付着している。一般に、このような触媒向けの現在の技術水準に記載されている任意の支持材料を使用し得る。適切な支持材料としては、例として、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム、TiO2-Al2O3若しくはZrO2-Al2O3、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、ハイドロタルサイト、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、二酸化ケイ素(SiO2)などの単一若しくは混合金属酸化物、木炭、活性炭、炭素、硫酸化炭素、珪藻土、粘土、硫酸バリウム又はそれらの組合せである。
同様に、他の適切な触媒としては、ラネー触媒、好ましくはラネーニッケルなどのニッケルをベースとした触媒である。
本発明による方法のステップii)において使用される好ましい水素化触媒は、支持体上のPd触媒から選択される。本発明による方法のステップii)において使用される特に好ましい水素化触媒は、木炭担持Pdである。
典型的には、支持体上の水素化触媒の金属含量は、0.1〜30重量%の範囲内、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内、特に1〜15重量%の範囲内である。
典型的には、水素化触媒は、反応混合物において、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの量に対して、0.1〜25重量%の量で、好ましくは0.5〜15重量%の量で施用される。
水素化は、水素化可能な基を有する有機化合物を水素化するための、公知の水素化方法に類似して行い得る。この目的のために、液相又は気相の形態の、好ましくは液相の形態の有機化合物を、水素の存在下で触媒と接触させる。例として、液相を流動触媒床に通してもよく(流動床法)、又は固定触媒床に通してもよい(固定床法)。
本発明の方法において、水素化は固定床反応器で行われるのが好ましい。
水素化は、0.1〜150barの範囲内、好ましくは0.5〜100barの範囲内、特に0.8〜50barの範囲内の水素圧力で一般には実施される。
水素化は、水素化条件下で不活性である有機溶媒の存在下で実施されることが好ましい。水素化反応において使用し得る適切な溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル若しくはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンなどの芳香族化合物、酢酸エチルなどのエステル、メチル-tert.-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン若しくは1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール若しくはtert.-ブタノールなどの低級アルカノール、ジアルキレングリコール、又はそのモノエーテル若しくはジエーテルであり、例えば、更には前述の有機溶媒の混合物である。
水素化は、5〜150℃の範囲の温度で、特に好ましくは10〜100℃の範囲の温度で通常は実施される。
水素化に使用される水素の量は一般的に、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの二重結合の完全な水素化に理論上必要とされる、水素の化学量論量の1〜15倍である。
本発明による方法のステップi)において用意される、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの触媒的水素化は、中性条件下で実施されるのが好ましい。本明細書で使用する、用語「中性条件」とは、酸又はアルカリ、特に酸の有意な量が反応混合物に添加されていないことを意味する。同様に、用語「中性条件」とはまた、酸性材料も塩基性材料も水素化触媒向けの支持材料として使用されていないことも意味する。
本発明による方法のステップii)の好ましい一実施形態では、1〜15重量%のPd含量を有する支持体上のPd触媒及び不活性溶媒の存在下で、0.8〜50barの圧力及び10〜100℃の温度にある水素雰囲気中で、水素化は実施されるが、ここで、支持体上のPd触媒は、施用されている1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの量に対して、0.1〜25重量%の量で使用される。
水素化は、連続的に、そうでなければバッチ式のいずれかで行うように設計することができるが、ここでは、連続的である設計の方法が好ましい。バッチ式水素化では、この目的のために従来使用される反応装置、例えば撹拌反応器を使用し得る。本発明の水素化は、固定床反応器で上昇モード又は下降モードで連続して実施されることが好ましい。ここで水素は、水素化される出発原料の溶液と並流で、そうでなければ向流で触媒に接触して通過し得る。
流動触媒床での水素化及び固定触媒床での水素化を行うのに適した装置は、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie [Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry]、第4版、13巻、135ffページ由来の、及びまたP.N. Rylander、"Hydrogenation and Dehydrogenation" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、CD-ROM版由来の先行技術において公知である。
本発明による方法の好ましい一実施形態では、ステップi)又はステップi)及びii)の両方ともが連続して行われる。特に、ステップi)及びii)の両方ともが連続して行われる。
本発明の方法は、ステップii)において得られた、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの、例えば蒸留による精製を更に含み得る。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの精製向けの好ましい蒸留装置は、1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの蒸留的精製向けに上記した通りである。
蒸留的精製の後、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、特に1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、高純度で、例えば少なくとも80%の純度で典型的には得ることができる。一般に、1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンは、上に定義した16種の立体異性体の非ラセミ混合物として得られる。1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、上に定義したその(4R/S,7R/S)-立体異性体の非ラセミ混合物として通常は得られる。
I)ガスクロマトグラフィー分析:
GC-システム及び分離方法:
GC-システム:Agilent 7890A
GC-カラム:HP-5(60m(長さ)、0.32mm(ID)、1.0μm(膜厚))
温度プログラム:5℃/分で100℃から225℃へ、225℃にて10分、5℃/分で225℃から280℃まで。
II)製造例:
[実施例II.1]
トルエン中230℃におけるN2O(40bar)によるベータ-カリオフィレンの酸化
300mLオートクレーブにトルエン70.0g中のベータ-カリオフィレン(88wt.-%、Aldrich Chemicals社から入手)30.0gを投入し、N2(50bar)にて3回フラッシュする。次いで容器をN2O(40bar)で室温にて加圧する。マグネティック撹拌をオンにし、オートクレーブを反応温度(230℃)に3時間加熱する。反応中、オートクレーブ中の圧力は約70〜75barとした。室温に冷却し且つゆっくりと減圧した後、内部標準としてジオキサンを使用する定量的GCによって、溶液を分析した(HP-5カラム:(60m(長さ)、0.32mm(ID)、1.0μm(膜厚)/5℃/分で100℃から225℃へ、225℃にて10分、5℃/分で225℃から280℃まで)。ベータ-カリオフィレンの転換率は97%であった。(I.b)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の収率は、それぞれ、40%、10%、3%、1%及び2%と見いだされた。
[実施例II.2]
溶媒無添加で210℃におけるN2O(40bar)によるベータ-カリオフィレンの酸化
300mLオートクレーブにベータ-カリオフィレン(88wt.-%、Aldrich Chemicals社から入手)100gを投入し、N2(50bar)にて3回フラッシュする。次いで容器をN2O(40bar)で室温にて加圧する。マグネティック撹拌をオンにし、オートクレーブを反応温度(210℃)に3時間加熱する。反応中、オートクレーブ中の圧力は約70〜75barとした。室温に冷却し且つゆっくりと減圧した後、内部標準としてジオキサンを使用する定量的GCによって、溶液を分析した(HP-5カラム:(60m(長さ)、0.32mm(ID)、1.0μm(膜厚)/5℃/分で100℃から225℃へ、225℃にて10分、5℃/分で225℃から280℃まで)。ベータ-カリオフィレンの転換率は58%で、(I.b)、(II)、(III)及び(IV)の選択性は、それぞれ、59%、15%、8%及び2%と見いだされた。
[実施例II.3]
1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの、蒸留による精製
実施例II.2において得られた粗生成物を、回転バンド蒸留塔を使用する分別蒸留によって精製したところ、1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが99.6%の純度で得られた。最終生成物の同一性及び純度はGCによって決定した(FID検出シグナルの面積%)。1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは2種のジアステレオマーの混合物からなる。
[実施例II.4]
1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの触媒的水素化
実施例II.3において得られた1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン5g、これは2:1の比率にある2種のジアステレオマーの混合物からなるが、メタノール50mLに溶解し、次いでPd触媒(木炭担持5%)0.5gを添加した。混合物を室温にて大気圧にてH2と共に振とうした。6.5時間後、反応を停止させた。次いで触媒を、シリカゲルを通してろ去し、MeOHで2回洗浄した。ろ液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を除去した。1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン4gを得たが、これは80%の収率に相当する。
[実施例II.5]
1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの、蒸留による精製
実施例II.4において得られた粗生成物を、分別蒸留によって精製したところ、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが97%の純度で得られた。最終生成物の同一性及び純度はGCによって決定した(FID検出シグナルの面積%)。1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは、8:4:4:1の比率で4種の立体異性体の混合物からなる(13C-NMRにより決定した)。
III)1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの分析特性評価
1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの同一性は1H-及び13C-1D/2D-NMRを使用して決定した。
主たる立体異性体の13C-NMRの解析:
IV)におい紙試験
1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの匂いの質及び強さを評価するために、におい紙試験を行った。
この目的のために、吸収紙の細片を、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを1〜10wt.-%含有するエタノール溶液に浸した。溶媒の蒸発後(約30秒)、訓練を受けた調香師が香りの印象を嗅覚的に評価した。
におい紙試験結果:
匂い印象:
強度: 2,5、木質的: 5、琥珀: 4、ジャコウ: 3、スイート: 3、女性的: 3
揮発性:
ブロッター上で長時間持続的(>48時間)
におい紙試験の結果から導き出されるように、1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは嗅覚的に価値ある化合物である。本試験で使用された1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンは4種の立体異性体の立体異性体混合物として存在していたが、ここで、1-[(1R,4S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンが、最も強く特徴的な匂いの印象を呈することが見いだされた。

Claims (17)

1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン。
1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンの形態である、請求項1に記載の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン。
(4R,7R)異性体及び(4R,7S)異性体を主として含有する、その立体異性体の混合物の形態である、請求項2に記載の1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン。
(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体を主として含有する、その立体異性体の混合物の形態である、請求項2に記載の1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン。
(4R,7R)異性体、(4R,7S)異性体、(4S,7R)異性体又は(4S,7S)異性体を主として含有する、その立体異性体の混合物の形態である、請求項2に記載の1-[(1R,4R/S,7R/S,8S)-7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノン。
少なくとも80%の純度を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン。
フレグランスとしての又はフレーバーとしての、請求項1から6のいずれか1項に記載の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの使用。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンがその立体異性体の混合物の形態で存在し、混合物が(4S,7R)異性体及び(4S,7S)異性体を主として含有する、請求項7に記載の使用。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンが組成物の形態であって、組成物が更に担体を含む、請求項7又は8に記載の使用。
組成物が、洗濯洗剤、布地用洗剤、化粧品、フレグランス付きの衛生物品、食品、補助食品、フレグランスディスペンサー、香水、医薬製剤及び作物保護組成物から選択される、請求項9に記載の使用。
組成物に香り若しくはフレーバーを付与する又は組成物の香り若しくはフレーバーを変更する方法であって、請求項1から6のいずれか1項に記載の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを、組成物に香り若しくはフレーバーを付与する又は変更する量で組成物に組み込むステップを含む、上記方法。
請求項1から6のいずれか1項に記載の1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノン、及び担体材料を含有する、フレグランス含有組成物及び/又はフレグランス材料。
1-(7,10,10-トリメチル-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンの調製方法であって、
i) 1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを用意するステップ、及び
ii) 1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを水素化触媒の存在下、水素で水素化するステップ
を含む、上記方法。
ステップi)において用意される1-(10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル)エタノンを含有する組成物が、4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンをN2Oと反応させることによって得られる、請求項13に記載の方法。
(4R,4E,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンをN2Oと反応させて1-[(1R,4R/S,8S)-10,10-ジメチル-7-メチレン-4-ビシクロ[6.2.0]デカニル]エタノンを得る、請求項14に記載の方法。
ステップi)又はステップi)及びii)の両方ともが連続して行われる、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
ステップii)において得られた反応混合物の蒸留による精製を更に含む、請求項13から16のいずれか1項に記載の方法。
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