JP6610078B2 - 化粧シート及び金属化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び金属化粧材に関し、特に、遮炎性能を有する化粧シート及び金属化粧材に関する。
従来、遮炎性能を必要とする玄関ドアの表面化粧鋼鈑部材として、塗装あるいは鋼鈑にダイレクト印刷を施したものがほとんどであった。また、オレフィンを主体とした高耐候性化粧シートも存在するが、遮炎性能は持ち合わせていなかった。また、高耐候性化粧シートとして、特許文献1に開示されたものもある。
特許第4321196号公報
従来、遮炎性能を具備した玄関ドアの表面鋼鈑部材は、鋼鈑部材にダイレクトに印刷を施されたもの、あるいは塗装の施されたものであり、化粧シートを使用した鋼鈑部材と比べて、意匠的に劣るという問題があった。また、オレフィンを主体とした高耐候性化粧シートもあるが、遮炎性能は持ち合わせていなかった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、遮炎性能を有する化粧シート及び金属化粧材を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シートは、着色ベースフィルム層と、前記着色ベースフィルム層上に形成された印刷層と、前記印刷層上に形成されたオーバーレイフィルム層と、を備え、着色ベースフィルム層は、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤、顔料を含む半硬質塩化ビニル樹脂フィルムを有し、前記オーバーレイフィルム層は、アクリル樹脂とアクリル樹脂系ゴムとの混合物に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする。
本発明の別の態様に係る金属化粧材は、上記の化粧シートと、前記化粧シートのうち、前記着色ベースフィルム層の前記印刷層が形成された面の裏側が張り付けられた金属板と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、遮炎性能を有する化粧シート及び金属化粧材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る化粧シート10及び金属化粧材20の構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る化粧シート10及び金属化粧材20の構成例を模式的に示す断面図である。
図1に示す化粧シート10は熱可塑性化粧シートであり、着色ベースフィルム層1と、着色ベースフィルム層1上に形成された印刷層3と、印刷層3上に形成されたオーバーレイフィルム層5と、を備える。また、金属化粧材20は、化粧シート10と、金属板11と、接着剤層12と、を備える。化粧シート10のうち、着色ベースフィルム層1の印刷層3が形成された面の裏側(すなわち、裏面側)が、接着剤層12を介して金属板11に張り付けられている。金属化粧材20は、例えば玄関ドアの外装用防火化粧材として使用される。
着色ベースフィルム層1はシート基材であり、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤、顔料を含む半硬質塩化ビニル樹脂フィルムを有する。着色ベースフィルム層1は、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤、顔料を含む半硬質塩化ビニル樹脂フィルムのみから構成されていてもよいし、この半硬質塩化ビニル樹脂フィルムと他の樹脂フィルムとから構成されていてもよい。
着色ベースフィルム層1の重合度は、500以上2000以下である。また、着色ベースフィルム層1に含まれる顔料は、キナクリドン、チタンイエロー、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルーうち少なくとも一つ以上である。着色ベースフィルム層1の厚さは、70μm以上150μm以下である。
印刷層3は、任意の態様(例えば、任意の色、絵柄又は構図など)が印刷された層である。印刷層3のバインダー樹脂は、アクリル樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂及び顔料からなる。また、印刷層3に含まれる顔料は、イソインドリノン、キナクリドン、カーボンブラック、フタロシアニンブルーのうち少なくとも一つ以上である。
オーバーレイフィルム層5は、アクリル樹脂とアクリル樹脂系ゴムとの混合物に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含む。オーバーレイフィルム層5の厚さは、40μmよりも厚く、70μm以下である。示しないが、このオーバーレイフィルム層5には、凹凸模様が形成されていてもよい。
金属板は、アルミニウム、ステンレス鋼又は銅等の金属からなる基板である。金属板の厚さは、0.3mm以上1.0mm以下である。
<実施形態の効果>
本発明の実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)着色ベースフィルム層1は、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤、顔料を含む半硬質塩化ビニル樹脂フィルムを有する。また、オーバーレイフィルム層5は、アクリル樹脂とアクリル樹脂系ゴムとの混合物に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含む。これにより、化粧シート10は難燃性となるので、遮炎性能を有する化粧シート10及び金属化粧材20を提供することができる。例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅及び鋼板から選ばれる金属板に貼り付けられた状態で、以下の遮炎性能試験に合格することができる。
(遮炎性能試験)
建築基準法第2条第9号及び建築基準法第64条及び建築基準法施工令第112条の1に基づく遮炎性能試験において、以下の要件(i)〜(iii)を満たすこと。
(i)非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと。
(ii)非加熱面で、10秒を超えて継続する発炎がないこと。
(iii)火炎が通る亀裂等の損傷および隙間を生じないこと。
(2)また、化粧シート10の印刷層3及び着色ベースフィルム層1は、オーバーレイフィルム層5で覆われている。これにより、外装にも使用できる高い耐候性を実現することができる。また、オーバーレイフィルム層5は、アクリル樹脂とアクリル樹脂系ゴムとの混合物に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含み、厚さが40μmよりも厚く70μm以下であってもよい。その場合は、より優れた耐候性能を実現することが可能である。
(3)また、化粧シート10は、着色ベースフィルム層1上に形成された印刷層3を有する。これにより、鋼鈑材にダイレクトに印刷を施されたもの、或いはダイレクトに塗装を施されたものと比較して、意匠性に優れた金属化粧材20を提供することが可能である。
(4)また、オーバーレイフィルム層5の表面には、凹凸模様が形成されていてもよい。これにより、意匠性とリアル感とを併せ持った、優れた化粧シート10及び金属化粧材20を提供することができる。
次に、本発明の実施例と、比較例とについて説明する。
<実施例1>
着色ベースフィルム層1として、重合度1100の半硬質塩化ビニル樹脂フィルムに、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤(DOP)及び顔料を含む樹脂シートを準備した。顔料は、キナクリドン、チタンイエロー、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルーのうちの一つ以上である。この着色ベースフィルム層1の表面に、印刷インキを用いて、グラビア印刷により木目柄を形成し、印刷層3を得た。印刷層3の厚さは2μmである。印刷インキのバインダー樹脂は、アクリル樹脂と塩化酢酸ビニル樹脂である。
次いで、質量比でPMMA樹脂とPMMA系樹脂ゴムとが40:60であるオーバーレイフィルム層5(ただし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:チヌビン326を0.5質量パーセント(wt%)添加)を印刷層3上に形成した。オーバーレイフィルム層5の厚さは50μmである。オーバーレイフィルム層5は熱ラミネート法で形成した。これにより、化粧シート10を得た。その後、この化粧シート10を、接着剤層12を介して金属板11に貼り合せて、金属化粧材20を得た。
(オーバーレイフィルム層形成用の混合物)
オーバーレイフィルム層形成用の混合物の組成は次の通りである。
・アクリル樹脂(構成単位:メタクリル酸メチル):40質量部
・アクリルゴム(「SA−FW001(商品名)」、株式会社クラレ製、メタクリル樹脂、
構成単位:メタクリル酸メチル、粒子状、平均粒子径:100nm):60質量部
(金属化粧材)
金属板として厚さ0.5mmの亜鉛メッキ鋼鈑に、接着剤を介して化粧シート10を貼り合わせて金属化粧材(化粧鋼板材)を作成した。
<実施例2>
オーバーレイフィルム層5の厚さを40μmにした以外は、実施例1と同様の方法で金属化粧材20を作成した。
<実施例3>
オーバーレイフィルム層5の厚さを70μmにした以外は、実施例1と同様の方法で金属化粧材20を作成した。
<比較例1>
着色ベースフィルム層として、ポリプロピレン樹脂フィルムに、ヒンダードアミン系光安定剤、顔料を含む樹脂シートを準備した。顔料は、キナクリドン、チタンイエロー、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルーのうちの一つ以上である。
この着色ベースフィルム層の表面に、印刷インキを用いて、グラビア印刷により木目柄を形成し、印刷層を得た。印刷層の厚さは2μmである。印刷インキのバインダー樹脂は、ウレタン樹脂と塩化酢酸ビニル樹脂である。次いで、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂からなるヒートシール層を印刷層上に形成した。そして、このヒートシール層の上に、オーバーレイフィルム層を形成した。これにより、化粧シートを得た。その後、この化粧シートを金属板と貼り合せて、金属化粧材を得た。
<比較例2>
比較例1の着色ベースフィルム層を、ポリエステル系樹脂フィルムにした以外は、比較例1と同様の方法で、金属化粧材を作成した。
<試験>
(試験方法)
(1)遮炎性能試験
遮炎性能試験として、試験体(金属化粧材)を壁炉前面に設置し、試験体裏面より、加熱温度がISO834に規定されている標準加熱温度曲線となるよう、20分間の加熱を行う。判定方法として、加熱時間中に、試験体の非加熱側に延焼するか否かを確認する。具体的には、以下の(i)〜(iii)を満たす場合を合格とする。
(i)非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと。
(ii)非加熱面で、10秒を超えて継続する発炎がないこと。
(iii)火炎が通る亀裂等の損傷および隙間を生じないこと。
(2)耐候性試験
耐候性試験として、試験体(金属化粧材)に、サンシャインウェザーメーターによる試験を4000時間実施する。試験の条件は以下の通りである。その後、目視確認にて、試験体の外観の退色具合、剥離を確認する。著しい変退色、剥離の無い場合を合格とする。
・放射照度 255±25W/m
・ブラックパネル温度63℃
・照射時間60分中12分降雨有り
(3)折り曲げ加工性試験
折り曲げ加工性試験として、試験体(金属化粧材)を23℃雰囲気中で直角にプレス曲げ加工を実施する。折り曲げ部にて亀裂がはいらない場合を合格とする。
(4)結果
表1に示すように、実施例1は、遮炎性能試験、耐候性試験及び折り曲げ加工性試験の結果が何れも合格であった。実施例2は、遮炎性能試験及び折り曲げ加工性試験の結果が合格であった。実施例3は、遮炎性能試験及び耐候性試験の結果が合格であった。これに対し、比較例1、2は何れも、遮炎性能試験の結果が不合格であった。
Figure 0006610078
以上から、実施例1〜3の試験体(金属化粧材)は、遮炎性を有することを確認した。なお、表1において、丸印(○)は合格を、バツ印(×)は不合格を意味する。
<付記>
本発明の技術的思想は、以上に記載した実施形態や実施例に特定されるものではない。当業者の知識に基づいて実施形態や実施例に設計の変更等を加えてもよく、また、実施形態や実施例を任意に組み合わせてもよく、そのような変更が加えられた態様も本発明の技術的思想に含まれる。
1 着色ベースフィルム層
3 印刷層
5 オーバーレイフィルム層
10 化粧シート
11 金属板
12 接着剤層
20 金属化粧材

Claims (12)

  1. 着色ベースフィルム層と、
    前記着色ベースフィルム層上に形成された印刷層と、
    前記印刷層上に形成されたオーバーレイフィルム層と、を備え、
    前記着色ベースフィルム層は、バリウム−亜鉛系の熱安定剤、可塑剤、顔料を含む塩化ビニル樹脂フィルムを有し、
    前記オーバーレイフィルム層は、アクリル樹脂とアクリル樹脂系ゴムとの混合物に、トリアジン系紫外線吸収剤を少なくとも含み、
    前記着色ベースフィルム層の厚さは、70μm以上150μm以下であり、
    建築基準法第2条第9号及び建築基準法第64条及び建築基準法施工令第112条の1に基づく遮炎性能試験において、(i)非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと、(ii)非加熱面で、10秒を超えて継続する発炎がないこと、(iii)火炎が通る亀裂等の損傷および隙間を生じないこと、を満たすことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記オーバーレイフィルム層の厚さは、40μmよりも厚く、70μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記オーバーレイフィルム層に凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の化粧シート。
  4. 前記着色ベースフィルム層の重合度は、500以上2000以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の化粧シート。
  5. 前記着色ベースフィルム層に含まれる顔料は、キナクリドン、チタンイエロー、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルーうち少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の化粧シート。
  6. 前記印刷層のバインダー樹脂は、アクリル樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂及び顔料からなることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の化粧シート。
  7. 前記印刷層に含まれる顔料は、イソインドリノン、キナクリドン、カーボンブラック、フタロシアニンブルーのうち少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の化粧シート。
  8. 前記オーバーレイフィルム層は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の化粧シート。
  9. 前記塩化ビニル樹脂フィルムは、半硬質塩化ビニル樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の化粧シート。
  10. 請求項1から請求項の何れか一項に記載の化粧シートと、
    前記化粧シートのうち、前記着色ベースフィルム層の前記印刷層が形成された面の裏側が張り付けられた金属板と、を備えることを特徴とする金属化粧材。
  11. 前記金属板は、亜鉛メッキ鋼板であることを特徴とする請求項10に記載の金属化粧材。
  12. 前記金属板の厚さは、0.3mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の金属化粧材。
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