JP6609420B2 - 真空断熱材及びそれを用いた機器 - Google Patents

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本発明は真空断熱材及び真空断熱材を適用した機器に関する。
関連する技術として、特許文献1が知られている。特許文献1は、真空断熱材の芯材にシート状の繊維を複数枚積層したものを用いている(請求項1)。
特開2005−265038号公報
特許文献1の真空断熱材は、シート状の繊維を積層して芯材を構成しているため、製造時の芯材を外被材に挿入時や真空包装時に、積層がずれてしまうおそれがある。また、シート状の繊維を積層した芯材を用いる真空断熱材は、芯材の圧縮比が大きく、作成された真空断熱材の外周部分が固く鋭利になるおそれがある。この外周部分に他の真空断熱材などが接触すると、他の真空断熱材の外被材などを破損するおそれがある。
記事情に鑑みてなされた本発明は、互いに対向する2つの辺を上面視における外周としてそれぞれ有する第一の層及び第二の層を上面視方向に積層した芯材を備える真空断熱材であって、
上面視における前記第一の層及び前記第二の層は、互いに略相似形で、前記第一の層の方が大きく、
前記芯材を圧縮したとき、前記第一の層の前記2つの辺は、前記第二の層の上面視における前記2つの辺を挟んで対向することを特徴とする。
第一実施形態における冷蔵庫の正面図 第一実施形態の冷蔵庫の縦断面図(図1のA−A断面図) 第一実施形態の真空断熱材の概略断面図 第一実施形態の芯材の概略断面図 第二実施形態の真空断熱材の概略断面図 第二実施形態の芯材の概略断面図
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
<<第一実施形態>>
<冷蔵庫1>
図1は真空断熱材を適用する機器の一例である冷蔵庫の正面図であり、図2は図1のA−A断面図を示している。
冷蔵庫1は、図2に示すように、上から冷蔵室2、貯氷室3、冷凍室4、野菜室5を有している。各室の前面開口部は、扉6−9で閉塞される。冷蔵室2と製氷室3a及び上段冷凍室3bとの間に仕切断熱壁12を、下段冷凍室4と野菜室5の間に仕切断熱壁14を配置している。仕切断熱壁12、14は、スチロフォーム、発泡断熱材(硬質ウレタンフォーム)、真空断熱材等を採用できる。各貯蔵室の配置や、冷蔵室扉6a、6b、製氷室扉7a、上段冷凍室扉7b、下段冷凍室扉8、野菜室扉9に関しても回転による開閉、引き出しによる開閉及び扉の分割数等は、特に本実施形態の態様に限定されるものではない。
箱体20は、外箱21と内箱22とを備え、外箱21と内箱22とによって形成される空間に真空断熱材50を配置している。
<真空断熱材50>
[芯材51]
図3は、真空断熱材50の断面図である。真空断熱材50は、芯材51、芯材51を収納する外被材52を有する。芯材51の中間には吸着剤(不図示)を配している。
芯材51は、ガラスカレットを溶融炉で溶かしたガラスを延伸法により紡糸したグラスウールの繊維を用いた繊維シートを複数層重ねたものであり、以下のようにして製造できる。まず、グラスウールの繊維を溶液に入れて撹拌した繊維水溶液を、網状の板で均一になるよう取出したものを乾燥することで繊維シートを得る。次に、繊維シートを一層以上積層したものを熱風乾燥炉で乾燥する。乾燥温度や時間は、たとえば200℃、5分間にできる。
乾燥方式は限定されるものではなく、熱プレス方式や、無風乾燥炉等で乾燥してもよい。繊維シートの積層枚数は少ない方が乾燥の効率が良く、グラスウール繊維シートの中央層まで乾燥することができる。グラスウール繊維シートを複数層重ねて乾燥する場合には、芯材51の上部と下部から熱風を通過させて乾燥すると好ましい。
グラスウールの繊維径は細いほど繊維集合体としたときの空間層である空隙率が高くなることから、熱伝導率の観点からは細い方が好ましい。しかし、グラスウールの繊維径が細いと真空断熱材50の製造時に繊維が折れやすく、折れた繊維は短いため断熱方向に向きやすく断熱面から熱が伝わりやすくなってしまう。そのため、グラスウールの繊維径は1.0〜10.0μm、平均繊維径は3.0〜5.0μmが好ましい。さらに好ましくは、グラスウールの繊維径は2.0〜8.0μm、平均繊維径は3〜4μmが好ましい。本実施例においては、1.8〜8.8μmのグラスウール繊維を用い、平均繊維径を4.4μmとしている。
[外被材52]
外被材52はラミネートフィルムを熱溶着により貼り合わせた袋状である。外被材52は、表面保護層、第一ガスバリヤ層、第二ガスバリヤ層、熱溶着層の4層構成からなる。表面保護層及び熱溶着層は低吸湿性の樹脂フィルムとし、ガスバリヤ層は樹脂フィルムに金属蒸着層を設けたものである。第一ガスバリヤ層は酸素バリヤ性の高い樹脂フィルムに金属蒸着層を設け、第一ガスバリヤ層と第二ガスバリヤ層は金属蒸着層同士が向かい合うように貼り合わせている。
具体的には、表面保護層は、二軸延伸タイプのポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の各フィルム、第一ガスバリヤ層は、アルミニウム蒸着付きの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、第二ガスバリヤ層は、アルミニウム蒸着付きの二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、アルミニウム蒸着付きの二軸延伸ポリビニルアルコール樹脂フィルム、アルミ箔、熱溶着層は、未延伸タイプのポリエチレン、ポリプロピレン等の各フィルムを採用できる。なお、第一又は第二ガスバリヤ層は、金属箔、或いは樹脂系のフィルムに無機層状化合物、ポリアクリル酸等の樹脂系ガスバリヤコート材、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等によるガスバリヤ膜を設けたものとしてもよい。また、熱溶着層は、酸素バリヤ性の高いポリブチレンテレフタレートフィルム等を用いても良い。
表面保護層及び熱溶着層を低吸湿性にすることで、真空断熱材50を製造する際の真空排気工程において外被材52が持ち込む水分量を小さくできるため、真空排気効率を向上させて、断熱性能の高性能化が可能になる。尚、各フィルムのラミネート(貼り合せ)は、二液硬化型ウレタン接着剤を介してドライラミネート法によって貼り合わせるのが一般的であるが、接着剤の種類や貼り合わせ方法には特にこれに限定するものではなく、ウェットラミネート法、サーマルラミネート法等の他の方法によるものでもよい。
[第一の層と第二の層]
上記のようにして得た繊維シートについて、寸法の大きい第一の層51aと寸法の小さい第二の層52bの二種を積層して芯材51を作成する。本実施形態の第二の層51bは、二つの第一の層51aの間に位置している。すなわち、第二の層51bに隣接する二つの第一の層51aは、芯材51の上面視(図3中、上方向又は下方向)において、第二の層51bの外周より外側に位置する領域である覆い部60を有する(図4中では、第一の層51aの左右両端側の領域)。覆い部60は、第二の層51bの厚みの範囲内の領域で、かつ第二の層51bの面方向外側の領域に位置する第一の層51aの部分を指す。覆い部60は、第一の層51a及び第二の層51bの相対移動を抑制できる。
第一の層51aは、第二の層51bに対して、上面視において、少なくともいずれかの方向の寸法が大きい。例えば、第一の層51aと第二の層51bは、上面視での形状について略相似形で、かつ、第一の層51aの方が大きい。
本実施形態では、一つの第二の層51bに対して上面視方向で第一の層51aが二つ隣接している。このような場合、隣接する二つの第一の層51aのうち、一方又は両方が覆い部60を有すればよいが、両方が覆い部60を有すると、より効果的に第一の層51a及び第二の層51bの相対移動を抑制できて好ましい。
覆い部60は、面方向で第二の層51bを介して対向していると好ましい。そのように覆い部60を設けることで、芯材51の各層の移動を効果的に抑制できる。たとえば、芯材51が長方形状である場合は、第二の相51bの対向する二つの長辺の両方、又は対向する二つの短辺の外側の両方に覆い部60が含まれると好ましい(例えば、図4参照)。
以下では、説明の便宜のため、芯材51が略長方形状である、すなわち、対向する二つの長辺と、対向する二つの短辺で第一の層51aの外周が構成される場合を説明する。
後述するように、覆い部60により、芯材51を製造時の搬送や外被材52への挿入工程において芯材51のずれの発生を抑制できる。
大気圧下における第二の層51bの厚みをL1とする。また、芯材51の対向する二つの辺の距離において、第一の層51aと第二の層51bとの上面視の寸法差をL2とする。このとき、L1≦L2の関係が成り立つと好ましく、L1≦L2/2の関係が成り立つとさらに好ましい。こうすることで、芯材51の圧縮時、第二の層51bの対向する二つの辺両者の外側に、覆い部60を位置させることができる。すなわち、二つの第一の層51aが第二の層51bの移動可能な領域を塞ぐように圧縮できる。よって、第二の層51bの移動を抑制できる。なお、図4には、L1≦L2/2の関係が成り立つ場合を示している。
大気圧下における芯材51の高さ寸法をL3とする。このとき、L2/2≦L3、好ましくはL2≦L3の関係を満たすと良い。L2が大きすぎると、覆い部60の面積が大きくなり、第二の層51bの移動を抑制する力が弱くなり、芯材51のずれが発生しやすくなる。また、芯材51を圧縮した際に、表面に凹凸が生じたり、芯材51の外周部分の厚みが小さくなり、断熱性能が低下してしまう。
なお、第二の層51bの層数は一層以上であれば特に制限されず、例えば、第一の層51aと第二の層を一層ごとや二層ごとに交互に積層してもよい。
本実施形態のように第二の層51bを設けると、芯材51の外周の厚みが内周に比べて薄くなる。このため、芯材51を圧縮して外被材52に収納して真空断熱材50を作成すると、真空断熱材50の外周に丸みが生じる。これにより、真空断熱材50の端部が鋭利となることを抑制でき、外被材52の破れを抑制できる。
なお、芯材51の一般の形状についてのL2は、次の様に定義してもよい。芯材51の上面視において、芯材の重心を通る任意の直線を考えるとき、この直線が通過する覆い部60の長さの最小値、最大値又はこれらの間の任意の値。但し、直線が通過する覆い部60の最小値を定義に採用することが好ましい。
<実施例>
表1は、各実施例における真空断熱材50の芯材51の層ずれの結果を示している。芯材51の各層、すなわち第一の層51a(第1の芯材寸法)、第二の層51b(第2の芯材寸法)は略正方形状にした。各実施例及び比較例では、第一の層51aの幅寸法を250mm、長さ寸法を250mmとした。
まず、比較例について説明する。比較例では、第二の層51bの寸法も第一の層51aの寸法と同一の250mm×250mmにした。この積層芯材を、直径50mmの円柱ローラで上面側を押して20Nの荷重を掛けながら搬送し、生じた層ずれ量を測定した。比較例の層ずれ量は、芯材の各層間で異なるものの、5〜7mmであった。
一方、例えば実施例1−1では、第二の層51bの寸法を248mm×248mmとした。第二の層51bを、第一の層51aの外周から、それぞれ1mmずつ内側に位置するように載置し、比較例と同様に搬送させた。
実施例1の芯材51の層ずれ量は、2〜4mmと幅寸法となり、比較例以下に低減できた。実施例1−2から1−7についても同様に行った。結果は表1を参照されたい。
L1≦L2/2かつL2≦L3の関係を満たす実施例1−2から1−6では、実施例の中で非常に小さいずれ量が得られた。次いで、L2≦L3の関係を満たす実施例1−1で小さいずれ量を得、次いで、L1≦L2/2の関係を満たす実施例1−7で小さいずれ量を得た。したがって、L1,L2,L3の関係は、L1≦L2/2かつL2≦L3の関係を満たすことが最も好ましく、L2≦L3の関係を満たすことが次いで好ましく、L1≦L2/2の関係を満たすことが好ましい。
Figure 0006609420
<<第二実施形態>>
第二実施形態の構成は、以下の点を除いて第一実施形態と同様にできる。
図5は本実施形態の真空断熱材50の断面図である。本実施形態では、芯材51が有する層のうち、最上層又は最下層(以下、最外層という。)に第二の層51bを配置している。芯材51の最外層に第二の層51bを配置することで、第二の層51bを精度良く配置できる。また、芯材51は、コンベアにより上下を挟まれて搬送されることがある。最外層に第二の層51bを配置することで、コンベア搬送の際の層ずれをさらに効果的に抑制できる。また、覆い部60が芯材51の最外層の面方向外側に位置することになる。このため、芯材51を圧縮し、外被材に収納して真空断熱材50を作成したとき、真空断熱材50の外周部分の段差が小さくなり、さらに丸みを持たせることができる。これにより、真空断熱材50の端部が鋭利となることをさらに抑制でき、外被材52の破れを抑制できる。
1 冷蔵庫 2 冷蔵室 3a 製氷室
3b 上段冷凍室 4 下段冷凍室 5 野菜室
6a 冷蔵室扉 6b 冷蔵室扉 7a 製氷室扉
7b 上段冷凍室扉 8 下段冷凍室扉 9 野菜室扉
10 扉用ヒンジ 11 パッキン
12,14 断熱仕切り 13 仕切り部材
20 箱体 21 外箱 21a 天板
21b 後板 21d 底板 21e 側面
21f 前面 22 内箱 23 断熱材
23a 注入方向 23b 発泡方向 25 注入孔
27 送風機 28 冷却器 30 圧縮機
31 凝縮機 33 発泡ポリスチレン 40 凹部
41 電気部品 42 カバー
50 真空断熱材 51 芯材
51a 寸法の大きい第一の芯材 51b 寸法の小さい第二の芯材
52 外被材
60 覆い部

Claims (4)

  1. 互いに対向する2つの辺を上面視における外周の少なくとも一部としてそれぞれ有する第一の層及び第二の層を上面視方向に積層した芯材を備える真空断熱材であって、
    上面視における前記第一の層及び前記第二の層は、互いに略相似形で、前記第一の層の方が大きく、
    前記芯材を圧縮したとき、上面視で、前記第一の層の前記2つの辺は、前記第二の層の前記2つの辺を挟んで対向することを特徴とする真空断熱材。
  2. 前記第二の層に隣接する二つの前記第一の層の両方の外周が、前記芯材を圧縮したとき、前記第二の層の外周を挟んで対向することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 前記第二の層の寸法は、前記2つの辺の対向方向について、前記第一の層の寸法より4mm以下短いことを特徴とする請求項に記載の真空断熱材。
  4. 大気圧下における前記第二の層の厚みをL1とし、
    大気圧下における前記第一の層の前記外周が対向する方向の寸法差をL2とし、
    大気圧下における前記芯材の高さ寸法をL3とするとき、
    L1≦L2/2と、L2≦L3と、の一方又は両方の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至何れか一項に記載の真空断熱材。
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