JP6605923B2 - 耐火材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は耐火材料に関し、特に建築物の梁や柱、壁、床、屋根といった建築材料に好適に用いられる軽量の耐火材料に関する。
建築物は、建築基準法により、耐火基準を設けられている場合が多く、建物の用途や種類、規模、建てられる場所に応じて、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。この耐火基準は、建物の柱、梁、壁、床、屋根に代表される構造部材はもちろんのこと、外壁や天井板などの非構造材料まで、その建物を構成する材料の多くが対象となっている。
しかし例えば、従来の耐火材料として用いられる材料には、金属やコンクリート、モルタル、石膏ボードなど重量が大きい材料が多く、断熱性能を確保するためには厚さが必要となるため、材料としてはさらに分厚いものになってしまうという問題があった。このように耐火材料が重く、厚くなることで、建物全体の重量が大きくなるばかりでなく、居住空間が狭くなることで基礎工事や設計・デザインに制約ができてしまうのである。
また、これらの重い耐火材料を、特に木材や合成樹脂等の軽量の基材に対し、耐火用の被覆材として用いた場合には、軽量であるとの本来の利点を大きく損なうという問題もあった。
一方、これらの重い耐火被覆材と比較して、薄膜化が容易な発泡性耐火塗料の開発も行われている。これらの塗料は、火災時の温度上昇によって発泡層を形成し、耐火性を向上させるものである。例えば特許文献1では、加熱時に発生させた水蒸気ガスを、水ガラスにより長時間耐火被覆材の間にとめておく技術が開示されている。また特許文献2では、水酸基を有する合成樹脂エマルジョンを主成分とする水性タイプの発泡性耐火塗料が開示されている。
しかしながら、これらの耐火塗料は十分な耐火性能を得るためには、二度塗り、三度塗りを繰り返す必要があり、作業効率が悪いという課題があった。また発泡温度が300℃程度以上と高く、それ未満の温度では十分に性能を発揮できないという問題があった。
特開平6−32664号公報 特開2007−291325号公報
本発明は施工性に優れ、燃え止め性能と断熱性能に優れた軽量の耐火材料を提供することにある。
本発明の耐火材料は、熱可塑性樹脂と無機繊維からなる耐火層を有する耐火材料であって、熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移温度が300℃以下であり、無機繊維が短繊維であることを特徴とする。
さらには、無機繊維が交絡していることや、耐火層が多層構造であること、耐火材料の曲げ強度が100〜500MPaであること、耐火材料が建築用であることが好ましい。
またもう一つの本発明の耐火材料の製造方法は、融点またはガラス転移点温度が300℃以下の熱可塑性樹脂と、無機繊維とから構成されるシートを、加熱加圧することを特徴とする。
さらには、熱可塑性樹脂が粒子形状または繊維形状であることや、無機繊維が交絡していることが好ましい。
また本発明は、上記のいずれか耐火材料と、木材、樹脂シート、繊維補強樹脂シート、金属板の群から選ばれるいずれか1種の建築材料とからなる建築用構造体を包含する。
本発明によれば、施工性に優れ、燃え止め性能と断熱性能に優れた軽量の耐火材料が提供される。
本発明の耐火材料は、熱可塑性樹脂と無機繊維とからなる耐火層を有している。さらにはこの耐火層が多層構造である耐火材料であることが好ましい。
本発明の耐火材料を構成する耐火層に用いられる無機繊維は、耐火試験中に形状を保持する役割を有し、試験中に熱によって溶融しないことが必要である。中でも無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、岩石繊維、セラミック繊維の中から選択されることが好ましい。また、無機繊維は2種以上の混合物であることも好ましい。通常の高耐熱性の繊維としては有機合成繊維も使用されてはいるものの、一般的に可燃性であり、800℃以上の火炎を接炎した際には容易に燃焼する恐れがある。それに対し、炭素繊維、ガラス繊維、岩石繊維、セラミック繊維などの無機繊維は、800℃以上の火炎に30分以上接炎しても燃焼せず、例え一部が燃焼することがあっても、耐火材料としての形状は保つことが可能である。もっとも一部に有機合成繊維を含むことは本発明の好ましい形態の一つである。
本発明に用いる無機繊維の形状としては、その単糸径が3μm以上15μm以下であることが好ましく、さらには5μm以上10μm以下であることが最適である。また無機繊維の繊維長としては1mm以上80mm以下であることが好ましく、さらには25mm以上60mm以下であることが好ましい。単糸径が小さすぎたり、大きすぎたりする場合には、耐火層中での繊維状物が充分に交絡の程度が適切とならず、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂の含浸が困難となり、耐火材料の成形が困難となる傾向にある。あるいは逆に熱可塑性樹脂の含浸が過度になりすぎて、耐火性能が低下する傾向にある。また繊維長についても同様であり、繊維長が長すぎたり、短すぎたりすると、適正な交絡数を形成することが難しくなり、本発明により期待される燃え止め性能や断熱性を得られない傾向にある。
また本発明の耐火材料を構成する耐火層に用いられる熱可塑性樹脂としては、融点またはガラス転移温度が300℃以下であることが必要である。通常であれば耐火層を構成する樹脂は、耐熱性の高い、溶融しにくく形状を保ちやすい樹脂が選択されるのであるが、本発明ではこのような一定温度以下の融点やガラス転移点を有する樹脂であることが必要であり、さらには100〜250℃の融点やガラス転移点であることが好ましい。
熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂である場合には、融点を有し、本発明ではその融点が300℃以下であることが必要であり、さらには280℃以下、特には100℃〜250℃の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂が非晶性熱可塑性樹脂である場合には融点が不明確であるため、ガラス転移温度(二次転移温度)が300℃以下であることが、さらには200℃以下、特には50℃〜150℃の範囲にあることが好ましい。
このように無機繊維に対して、融点やガラス転移温度などの形状が変形する温度が低い熱可塑性樹脂を用いることにより、本発明の耐火材料は従来の発泡材料よりもより低温の段階においてその体積を増加させ、熱伝導性を低く保つことが可能となったのである。
より具体的には本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂などであることが好ましい。また2種以上の複数の熱可塑性樹脂を含有するものであることも好ましい態様である。さらに好ましい熱可塑性樹脂の条件としては、メルトボリュームフローレイトが12〜60cm/10分の範囲であることが好ましい。ここでメルトボリュームフローレイトは、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定して得た値である。さらにはメルトボリュームフローレイトとしては、12〜60cm/10分、より好ましくは16〜40cm/10分、特には16〜30cm/10分の範囲であることが好ましい。このような溶融特性を有することにより、製造しやすくかつ熱成形が行いやすい耐火層とすることが可能となる。
そのほかに本発明の耐火材料には、火炎を接炎した際に熱分解し吸熱反応を起こす無機化合物を含有することも好ましい。このような無機化合物としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、火炎を接炎した際に熱分解し、発泡する化合物なども、さらに断熱性を向上させる点から添加することが可能である。例えば、アゾジカルボンアミドやヒドラゾジカルボンアミドなどが挙げられる。
本発明の耐火材料は、このような無機繊維と熱可塑性樹脂からなる耐火層から構成されるのであるが、さらにこの耐火層中にて無機繊維は物理的に形状を保つよう、織編物を構成していたり、交絡したものであることが好ましい。
さらに本発明の耐火層にて用いられる無機繊維は、特には繊維が相互に交絡していることが、より具体的には不織布形状(ランダムマット)を形成していることが好ましい。交絡したり、ランダムマットを形成するなどして物理的に形態を保持することにより、例えば800℃以上の火炎を接炎した際の燃え止め性能が十分に向上することになる。耐火層中にて無機繊維が物理的に形態を保持していることにより、耐火材料全体の燃焼が進行しても、無機繊維は脱落せずに層構造を長期にわたり保持することが可能となるからである。さらには、無機繊維が燃え止め性能をより発現するためには、規則正しく繊維が並ぶ織編物よりも、繊維方向が等方的である不織布形状(ランダムマット)であることが好ましい。規則正しい配置の場合には、個々の繊維の強度は発揮されやすいものの、熱が他の一定部分に伝達されやすいなどの欠点部分もまた、強調されるからである。
なお、本発明で用いられる無機繊維の交絡の程度としては、厚さ方向に切断したランダムマットの切断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:12倍)にて観察し、厚さの半分以上の長さにわたって、厚さ方向(厚さ方向に対し、±45°以内の方向を含む)に配列している5本以上の繊維が絡み合って集束した繊維束が存在している状態であることが好ましい。さらにはこのような交絡数としては、層状物の表面において、1ケ/cm以上50ケ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは1ケ/cm以上20ケ/cm以下であることが好ましい。
本発明の耐火材料においては、各耐火層は熱によって熱可塑性樹脂が柔軟化し、さらには溶融することによって、無機繊維のスプリングバックが発生し、厚みが増大し、熱伝導率を下げ耐熱性能が向上する。
そこで無機繊維と熱可塑性樹脂からなる耐火層から構成される本発明の耐火材料は、無機繊維の体積比率が20%以上であることが、さらには20%〜90%の範囲にあることが好ましい。特には40%〜70%の範囲にあることが好ましい。無機繊維の体積比率が大きくなりすぎると、耐火材料自体を成形することが困難になる傾向にある。逆に無機繊維の体積比率が少なすぎる場合には、特に燃え止め性能を発現することが困難になる傾向にある。
本発明の耐火材料はこのような耐火層が複数枚積層された多層構造であることが好ましい。多層構造を形成する1枚の層の目付としては、50g/cm以上500g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは70g/cm以上400g/cm以下、さらに好ましくは70g/cm以上300g/cm以下の範囲であることが好ましい。目付が小さすぎる場合には取扱い性が悪くなる傾向があり、一方、目付が大きすぎる場合には分厚くなり過ぎ、耐火材料の成形性が低下する傾向にある。
耐火層を構成する多層の層の数としては2〜100層であることが、さらには5〜50層、特には10〜25層の多層であることが好ましい。このような多層であることにより各層の間に無機繊維が存在せず、高い断熱性を発揮する層間の空隙層が形成されるため、より高い断熱性と耐火性を有する耐火材料となる。また積層することにより各1枚の耐火層の厚みを薄くすることが可能となり、基材が複雑な金型にも柔軟に適応しやすく、成形を容易に行うことが可能となる。さらに耐火層が多層形態にて存在することにより、全体の厚さが薄くても接炎時の炎をより有効に遮断することができ、十分な燃え止め性を発現することが可能となる。
このような本発明の耐火材料全体の厚さとしては0.1〜100mmの範囲であることが好ましい。さらには2〜50mmの厚さであることが、特には5〜25mmであることが好ましい。本発明の耐火材料は耐熱性や燃え止め性が高い性能を発揮することにより、このように薄く、軽量なシート状物であってもその効果は十分に発揮される。
さらに本発明の耐火材料は、無機繊維に高強力繊維を使用することによって、耐火性能ばかりでなく、構造体としても高い強度を発揮することが可能となる。本発明の耐火材料の曲げ強度が100〜500MPaであることや、曲げヤング率が7〜50GPaの範囲であることが好ましい。さらには曲げ強度が200〜350MPaであることや、曲げヤング率が10〜30GPaの範囲であることが好ましい。
このような本発明の耐火材料は、もう一つの本発明である融点が300℃以下の熱可塑性樹脂と、無機繊維とから構成されるシートを、加熱加圧する製造方法によって得ることが可能である。
熱可塑性樹脂や無機繊維としては、先に述べたものを用いることができる。無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、岩石繊維、セラミック繊維の中から選択されることが、特には複合材料とした時の物性に優れる炭素繊維やガラス繊維を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などであることが好ましい。
本発明に用いる無機繊維の形状としては、その単糸径が3μm以上15μm以下であることが好ましく、さらには5μm以上10μm以下であることが最適である。また無機繊維としては短繊維であることが好ましく、その繊維長としては1mm以上80mm以下であることが、さらには25mm以上60mm以下であることが好ましい。
さらに本発明で無機繊維とともに用いられる熱可塑性樹脂は、加熱加圧される前には粒子形状または繊維形状であることが好ましい。ここで繊維形状である場合には、先に述べた無機繊維と同じ形状であることが好ましい。本発明の製造方法では、固体状態で無機繊維と混合し、成形することにより、最終製品の耐火試験時のスプリングバック性に優れた耐火材料となる。これは耐火材料中に無機繊維と熱可塑性樹脂が均一に分散しながら、かつ微小な空隙が残存するためであると考えられる。中でも本発明では熱可塑性樹脂を繊維形状として、無機繊維と混合し、加熱加圧することが好ましい。このような繊維形状の熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂を原料として一般的な溶融紡糸法により紡糸することにより得ることが可能である。繊維形状の大きさとしては、無機繊維の径や長さが同等の範囲であることが好ましい。
また、加熱加圧処理する前の、熱可塑性樹脂と無機繊維とから構成されるシートにおいても、無機繊維が交絡していることが好ましく、特には両者が繊維形状であってランダムマットを形成していることが特に好ましい。このようなランダムマットの調製方法としては、乾式不織布法、湿式不織布法のいずれもが使用可能である。またランダムマットを調整する際には、無機繊維のみから形成することも可能であるが、無機繊維と熱可塑性樹脂の両者を含有するランダムマットであることが好ましい。
ランダムマットへの熱可塑性樹脂の添加方法としては、粉状のポリマーを添加してもよいが、均一性の観点から無機繊維と同様にマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂も繊維形状にして、ランダムマットを形成することが好ましい。
このような本発明で用いるランダムマットは、無機繊維と熱可塑性樹脂から成る粒子や繊維から構成されるものであるが、その熱可塑性樹脂を混添加したランダムマットを交絡させるための針の打ち込み密度としては、200本/cm以上800本/cm以下であることが好ましい。さらには300本/cm以上700本/cm以下の範囲とすることが望ましい。打ち込み密度が少なすぎる場合には、十分に繊維同士が交絡していない傾向にあり、他方、打ち込み密度が多すぎると、ランダムマットが硬く締まったものとなる傾向にあり、無機繊維のスプリングバックや接炎時の厚さ増加が小さくなって性能が低下する傾向にある。
さらに本発明の耐火材料の製造方法では、シートが多層構造であることが好ましい。無機繊維と熱可塑性樹脂から成る複数のシート、さらに好ましくは複数のランダムマットを積層し、加熱加圧することにより、多層構造の耐火材料を得ることが可能となる。耐火層を構成する多層の層の数としては2〜100層であることが、さらには5〜50層、特には10〜25層の多層であることが好ましい。
また、この多層構造を形成する1枚の層の目付は、50g/cm以上500g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは70g/cm以上400g/cm以下、さらに好ましくは70g/cm以上300g/cm以下の範囲であることが好ましい。目付が小さすぎる場合には取扱い性が悪くなる傾向があり、一方、目付が大きすぎる場合には分厚くなり過ぎ、耐火材料の成形性が低下する傾向にある。
また耐火材料の成型方法としては、加熱加圧する方法であれば、プレス成型などの一般的な熱圧成型法を適用することが可能である。マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂をその融点または軟化点以上の温度で加圧処理を行うことで、本発明の耐火材料を成形することが可能となる。
また本発明の耐火材料の製造方法としては、無機繊維と熱可塑性樹脂から成るシートを予備加熱し、その後シートを構成する熱可塑性樹脂の融点より低い温度の金型にて加熱加圧(プレス)処理する、いわゆるコールドスタンパブル法が、本発明の効果を顕著に発揮する方法として特に好ましい。このようなコールドスタンパブル法を採用することにより、無機繊維に無理な力がかかり、よりスプリングバックが発生しやすく、より高い耐熱性やより高い燃え止め性能を発揮することが可能となる。
このような本発明の耐火材料は、薄い場合にはフレキシブルなシート状物となり、また厚い場合には剛直な板状形状として形状を保持することが容易となる。
また本発明の耐火材料は、その20℃雰囲気下における厚さ方向の熱伝導率が0.05W/m・K以上0.50W/m・K以下であることが好ましい。このような本発明の耐火材料は、800℃以上の火炎を接炎した際にも、30分以上背面への炎の燃え抜けがない優れた耐火材料となる。また本発明の耐火材料は、離炎後には無機繊維のスプリングバックにより、材料の厚さを1.5倍以上、好ましくは2から20倍に増加するものであることが好ましい。このように厚さを増加させることにより、耐熱材料の厚さ方向の熱伝導率を減少させることができる。さらには離炎後の耐火材料の20℃雰囲気下における厚さ方向の熱伝導率としては、0.02W/m・K以上0.20W/m・K以下であることが好ましい。離炎前後の熱伝導率の低下の程度としては、離炎前の熱伝導率の50%以下に低下するものであることが好ましい。
このような本発明の耐火材料は、実際に接炎時の耐熱性に高く、建築用として特に有用に用いられる。
さらにもう一つの本発明として、上記の本発明の耐火材料を含む建築用構造体を挙げることができる。本発明の耐火材料と、木材、樹脂板、繊維補強樹脂板、金属等の群から選ばれるいずれか1種の他の建築材料とから、本発明の建築用構造体は形成される。本発明の耐火材料は柔軟かつ軽量でありながら耐火性に優れるため、そのままでも建築材料として用いることは可能であるが、さらに建築用構造体としての強度等を向上させるためには、他の建築材料と複合させることが好ましい。
特に本発明の耐火材料は、比較的熱に弱い木材や樹脂板と共に用いた建築用構造体であることが好ましい。
例えば木材は可燃物であって、木材種にもよるが通常木材の耐熱温度は比較的低く、おおよそ250℃前後で燃焼が始まる。そのため通常であれば、例えば、梁や柱といった構造部材に用いる場合、荷重を負担する木質材料にかかる温度が250℃未満に保たなければならない。
しかしここで本発明の耐火材料を、木材や樹脂板に用いることにより、800℃以上の火炎に接炎した際にも、背面への炎の燃え抜けがなく、かつ熱伝導率の低さから材料温度を低く維持することが可能になる。
ちなみに本発明の耐火材料を用いずに、厚み変化の少ない通常の耐火材料を用いて、上記のような木材等を用いた建築用構造体を作成する場合には、要求される特性を満たすためには耐火材料の厚さを非常に厚くする必要があり、その分成型方法の難易度も上がり、材料コストとしても効率的ではない。
また本発明の耐火材料と、木材、樹脂板、繊維補強樹脂板、金属等の他の建築材料とを積層する方法については、通常の接着剤を用いた接着法を採用できる。ここで使用する接着剤の種類としては、従来の木材である集成材などで使用されるレゾルシノール系接着剤や水溶高分子−イソシアネート系の接着剤などを使用することができる。特に、水分にさらされる場所に本発明の耐火材料を使用する場合は、より耐水性の高い、レゾルシノール系接着剤を使用することが好ましい。
さらには本発明の耐火材料と、他の建築材料とからなる建築用構造体には、さらに他の断熱材を併用することも好ましい。そのような断熱材として、多孔構造を有するシート状または板状であって、体積比率で60%以上99%以下が無機材料から成るものであることが好ましい。断熱材は、耐火材料と木材が樹脂板などの他の建築材料との間に配置することが好ましい。断熱材が無機材料を多く含むことにより、例え、積層に使用した接着剤が燃焼する状態になったとしても、燃焼を止めることが可能になる。断熱材に用いる無機材料の種類としては、コンクリートやモルタルなどの一般的無機材料であってもよいし、当初から多孔構造を有している煉瓦や粘土といった鉱物や、熱分解によって吸熱反応が起こる水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムを用いることも好ましい。この時、断熱材としては2種類以上の無機材料から構成することも好ましい。
断熱材料は、十分な断熱性能を発現するために多孔構造であることも好ましい。具体的な空隙率としては50%以上99%以下であることが好ましく、さらには80%以上99%以下であることが好ましい。空隙率を上げることは、軽量性の観点からもより好ましい。ここで、空隙の大きさとしては100nm以下であることが好ましい。断熱材の熱伝導率としては、具体的には0.02W/m・K以上0.20W/m・K以下であることが好ましい。断熱材と耐火材料との相乗効果により、本発明の建築用構造体は低い熱伝導率を実現することが可能となる。断熱材の厚さとしては1mm以上50mm以下の範囲であることが好ましい。断熱材と耐火材料との厚さを薄くした時であっても、荷重を負担する木材等の他の構造体にかかる温度を低温に保つことが可能となれば、建築材料としての軽量化や断面太さの軽減が可能であり、建築物の施工・設計・デザインにおいて、より有用なものとなるのである。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また耐火性能は下記の方法により測定した。
(燃え止め性能の評価方法)
150mm×150mmの金枠にサンプルを水平に置き、サンプル下面をガスバーナーにて燃焼加熱した。ガスバーナーによる加熱面付近の温度は800〜950℃とし、加熱時間は30分間とした。加熱時間内のサンプル背面に燃え抜けた炎について目視観察した。
(耐火性能の測定方法)
150mm×150mmの金枠にサンプルを水平に置き、サンプル下面をガスバーナーにて燃焼加熱した。サンプル上に厚さ25mmのスギ板を載せ、サンプル背面とスギ板の間の温度を熱電対により測定した。ガスバーナーによる加熱面付近の温度は800〜950℃であり、加熱時間は60分間とした。サンプルには荷重をかけず、評価時の雰囲気は常温・常圧とした。耐火性能は60分後のサンプル背面温度で評価した。
(断熱性能の評価方法)
耐火性能評価前後のサンプル厚さを比較した。また、評価後のサンプルを用いて、厚さ方向の熱伝導率を測定した。測定温度は20℃とし、測定機器は英弘精機社製HC−074を用いた。
[実施例1]
35mmにカットした単糸径8μmの無機繊維(東邦テナックス株式会社製「テナックス(登録商標)」炭素繊維)と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製「パンライト(登録商標」)を溶融紡糸して得た単糸径33μmの繊維を51mmにカットした熱可塑性繊維とを、体積比で40:60に混合し、開繊機にて混合した後、カード工程を通過させることにより、繊維の引き揃え性を向上させたウェブを作成した。このようにして得られた繊維ウェブをニードルパンチ機により38番針にて針深度10mm、打ち込み密度を500本/cmとして目付200g/mのランダムマットを得た。
該基材を33枚積層したものを予め離型処理を施したステンレス板で挟み、ホットプレス熱盤上にセットした後、同じく予め離型処理を施した鋼製スペーサーを使用して、成型圧力35kgf/cm、成型温度が250℃にて4mm厚の耐火材料を作成した。
この背面に厚さ5mmのエアロジェルシート断熱材を接着した。接着剤はレゾルシノール系接着剤を用いて接着した。用いたエアロジェルシートは95%がシリカおよびガラス無機材料であり、空隙率は95%であり、熱伝導率は0.02W/m・Kであった。
得られた耐火材料の評価結果を表1に示す。さらに建築材料である木材のまわりに断熱材を有する耐火材料を接着し、耐火材料がその最表面に位置する建築用構造体とした。耐火性能の測定と同条件にて処理したが、木材自体には損傷は見られなかった。
[実施例2]
実施例1において、無機繊維と熱可塑性樹脂の繊維とから成るランダムマットを33枚積層する際に、各層間に水酸化マグネシウムを添加し、無機繊維、熱可塑性樹脂(繊維)、水酸化マグネシウムの体積比を25:35:40としたこと以外は請求項1と同様に耐火材料を成型し、15mm厚の耐火材料を作成した。さらにその背面に実施例1にて用いた断熱材を接着した。
得られた耐火材料の評価結果を表1に示す。さらに建築材料である木材のまわりに断熱材を有する耐火材料を接着し、耐火材料がその最表面に位置する建築用構造体とした。耐火性能の測定と同条件にて処理したが、木材自体には損傷は見られなかった。
[比較例1]
実施例1にて用いた炭素繊維をカットせずに長繊維のまま使用し、無機繊維からなる織物を作成した。この織物にフェノール樹脂(熱硬化性樹脂)を含浸し、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を作製した。
ここで炭素繊維の体積比率は60%であり、厚さは2mmであった。このCFRPの評価結果を表1に併せて示す。
なお、燃え止め性能の評価においては、裏面への炎の燃え抜けが確認された。また、耐火性能の評価においては、評価時間60分の間にCFRPに着炎し、燃焼した。そのため、評価後のサンプルを用いた熱伝導率の測定はできなかった。テスト中におけるCFRPは、厚さ変化は見られなかった。
[比較例2]
実施例1にて用いた耐火材料の代わりに、厚さ3mmのアルミ(A1100)と厚さ10mmの石膏ボードを重ねたものを用いた。
アルミ面をサンプルの表面とし燃え止め性能および耐火性能の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、耐火性能評価後のサンプルは、石膏ボードがボロボロに割れてしまい、評価後のサンプルを用いた熱伝導率の測定はできなかった。
Figure 0006605923

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂と無機繊維からなる耐火層を有する耐火材料であって、熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移温度が300℃以下であり、無機繊維が短繊維であり、耐火層が熱可塑性樹脂の短繊維と無機繊維の短繊維とのランダムマットをシート状に賦形された耐火層であることを特徴とする耐火材料。
  2. 無機繊維が交絡している請求項1記載の耐火材料。
  3. 耐火層が多層構造である請求項1または2記載の耐火材料。
  4. 耐火材料の曲げ強度が100〜500MPaである請求項1〜3のいずれか1項記載の耐火材料。
  5. 耐火材料が建築用である請求項1〜4のいずれか1項記載の耐火材料。
  6. 融点またはガラス転移点温度が300℃以下の熱可塑性樹脂と、無機繊維とから構成されるシートを、加熱加圧することを特徴とする、請求項1記載の耐火材料の製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂が粒子形状または繊維形状である請求項6記載の耐火材料の製造方法。
  8. 無機繊維が交絡している請求項6または7記載の耐火材料の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項記載の耐火材料と、木材、樹脂シート、繊維補強樹脂シート、金属板の群から選ばれるいずれか1種の建築材料とからなる建築用構造体。
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