JP6604119B2 - 出力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されたパワープラントの出力制御装置に関する。
従来、車両に搭載されたパワープラント(エンジン,変速機,電動発電機など)の振動時における変位量に基づき、パワープラントの出力を減少させる技術が知られている。すなわち、パワープラントで発生する振動自体を抑制することで、車室内の居住性や静粛性を向上させるものである。このような技術を採用することで、マウントの劣化によって剛性が変化した場合であっても、車室側に伝達される振動を抑制することが可能となる(特許文献1参照)。
特開2009-257130号公報
しかしながら、パワープラントの出力を減少させたとしても、パワープラントで発生した振動のエネルギーが車体の各所に分散され、あるいはマウント部材によって吸収されるまでは、その振動が継続することになる。つまり、車体構造やマウントの制振性能を改善しない限り、パワープラントの振動が十分に小さくなるまでの時間を短縮することが難しく、車室内の居住性,静粛性を向上させにくいという課題がある。
また、パワープラントの車体に対する支持構造の一つとして、パワープラントの重心を通る支持軸でパワープラントを支え、支持軸を中心とした揺動をロッド部材で規制するペンデュラム方式の支持構造が存在する。この支持構造は、パワープラントの揺動方向への変位がロッド部材の伸縮代によってある程度は許容されるため、振動が車体に伝わりにくい特性を持つ。しかし、逆にいえばパワープラントの揺動が車体からの拘束を受けにくいため、揺動の収束時間を短縮しにくいという側面もある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、パワープラントの振動を抑えて車室内の居住性,静粛性を向上させた出力制御装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する出力制御装置は、車両に搭載されたパワープラントのロール方向の回転角に相当するパラメータを取得する取得部を備える。また、前記車両の所定操作に応じた目標回転角に対する前記回転角の揺動方向とは逆方向へのトルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御部を備える。前記制御部は、前記車両の前後加速度に基づいて算出される前記パワープラントの並進量に応じて、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置を設定する。
(2)ここで開示する第二の出力制御装置は、車両に搭載されたパワープラントのロール方向の回転角に相当するパラメータを取得する取得部を備える。また、前記車両の所定操作に応じた目標回転角に対する前記回転角の揺動方向とは逆方向へのトルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御部を備える。前記制御部は、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を超えた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する。
ここでいう「目標回転角に対する前記回転角の揺動方向とは逆方向」とは、前記目標回転角を基準としたときの、前記回転角の揺動方向に対する逆方向を意味する。換言すれば、前記回転角から前記目標回転角へと向かう回転方向を意味する。なお、上記の「回転角に相当するパラメータ」には、前記パワープラントの駆動軸周りの回転角,前記パワープラントの支持軸周りの回転角,前記パワープラントの重心周りの回転角,前記パワープラントのロール方向変位,前記パワープラントに接続された部品の変位(前記パワープラントの揺れに応じて変動した寸法)などのパラメータが含まれることが好ましい。つまり、ここでいう「回転角に相当するパラメータ」とは、前記パワープラントの揺動の大きさに対応する値を持つ任意のパラメータであることが好ましい。
また、前記並進量とは、前記車両の前後加速度に由来する前記パワープラントの位置変化を表す量である。前記並進量は、前記車両の前後加速度によって生じる慣性力と重力との合力に基づいて算出されることが好ましい。例えば、前記パワープラントの駆動トルクの回転方向と車輪の前進回転方向とが同一であるものとすると、加速中における前記車両の前後加速度は、前記パワープラントを車両停止時よりも車両後方へと移動させるように作用する。反対に、減速中における前記車両の前後加速度は、前記パワープラントを車両前方へと移動させるように作用する。前記制御部は、これらのパワープラントの前記並進量を用いて、前記釣り合い位置を設定することが好ましい。
)前記制御部は、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置と前記回転角との差分を減少させるように、前記トルクを増減させることが好ましい。
つまり、前記トルクは、前記パワープラントの姿勢を前記釣り合い位置に近づけるように作用することが好ましい。ここでいう「釣り合い位置」とは、前記パワープラントの揺動中心位置(揺動の収束位置)に相当するものである。
)前記制御部は、前記パワープラントの揺動とは逆位相の振動を与える前記トルクを、前記出力トルクに加算することが好ましい。
つまり、前記パワープラントの揺動とは逆位相の振動を付加することで、前記パワープラントの揺動を前記釣り合い位置に向かって収束させることが好ましい。例えば、前記パワープラントの姿勢が前記釣り合い位置から駆動力の反作用方向に回転した状態である場合には、前記出力トルクを増加させることが好ましい。また、前記姿勢が前記釣り合い位置から駆動力の作用方向に回転した状態である場合には、前記出力トルクを減少させることが好ましい。
なお、前記パワープラントが前記釣り合い位置から後傾回転方向へと揺動している場合、前記制御部は前傾回転方向へのトルクを前記出力トルクに加算することが好ましい。反対に、前記パワープラントが前記釣り合い位置から前傾回転方向へと揺動しているならば、後傾回転方向へのトルクを前記出力トルクに加算することが好ましい。前記釣り合い位置は、例えば前記車両に作用する前後加速度や前記車両への加速操作,減速操作に応じて変化する可変の位置であることが好ましい。
(5)前記制御部は、前記車両のアクセル操作量又はブレーキ操作量に基づいて算出される前記パワープラントの目標揺動角に応じて、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置を設定することが好ましい。
前記目標揺動角とは、前記パワープラントで発生する駆動力や制動力に由来する前記パワープラントの角度変化を表す量である。例えば、前記パワープラントの駆動トルクの回転方向と車輪の前進回転方向とが同一であるものとすると、加速中における駆動反力は、前記パワープラントの揺動中心より下側を車両停止時よりも車両前方へと移動させるように作用する。反対に、減速中における制動反力は、前記パワープラントの揺動中心より下側を車両後方へと移動させるように作用する。前記制御部は、これらの揺動中心より下側の移動量に相当する前記目標揺動角を用いて、前記釣り合い位置を設定することが好ましい。
(6)前記制御部は、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を超えた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算することが好ましい。例えば、アクセル開度が急激に変化した場合や、ブレーキペダルストロークが急激に変化した場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算することが好ましい。
(7)また、前記制御部は、前記車両のパーキングロックの解除操作がなされた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算することが好ましい。例えば、シフトポジションがPレンジからDレンジ又はRレンジへと変化したときに、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算し、前記パーキングロックは、前記パワープラントの揺動が安定してから解除することが好ましい。
(8)前記制御部は、前記パワープラントの揺動が釣り合い位置で安定した場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御を終了することが好ましい。例えば、前記パワープラントの回転角が、前記並進量と前記目標揺動角との加算値に相当する値に近づき(前記回転角と前記加算値との差が所定範囲内となり)、その状態で所定時間以上の時間が経過した場合に、前記制御を終了することが好ましい。
(9)前記車両の車体に対し前記パワープラントを揺動可能に支持するペンデュラム支持構造と、前記パワープラントと前記車体との間を接続し、前記車体に対する前記パワープラントの揺動を規制するロッドとを備えることが好ましい。この場合、前記取得部が、前記ロッドの伸縮量から前記回転角に相当するパラメータを取得することが好ましい。
パワープラントの揺動を逆位相の揺動で緩和または相殺することができ、車室内の居住性,静粛性を向上させることができ、揺動の収束時間を短縮することができる。
出力制御装置が適用された車両の構造を模式的に示す斜視図である。 出力制御装置とその制御対象とを模式的に示す図である。 マウントの内部構造を例示する平面図である。 (A),(B)は加速中におけるパワープラントの釣り合い位置を示す図であり、(C)は減速中におけるパワープラントの釣り合い位置を示す図である。 パワープラントの並進量を説明するための図である。 トルク増減制御の手順を例示するフローチャートである。 トルク増減制御の手順を例示するフローチャートである。 (A)〜(C)はトルク増減制御の内容を説明するためのグラフである。
図面を参照して、実施形態としての出力制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.車両]
本実施形態の出力制御装置10が適用された車両20を図1に例示する。この車両20には、車体(ボディ)に対してパワープラント1を揺動可能に支持するペンデュラム支持構造が適用される。パワープラント1には、エンジン2,トランスミッション3のほか、電動機,発電機,電動発電機などの動力装置が含まれうる。図1に示すパワープラント1は、横向きに配置されたエンジン2の左側にトランスミッション3が接続された構造を持ち、エンジンマウント4及びトランスミッションマウント5を介して車体に支持される。
車両20の前方には、一対のサイドメンバ16が設けられる。サイドメンバ16は、エンジンルームを下面側から支える中空筒状の構造部材であり、例えばモノコックボディのフレームとして形成される。これらのサイドメンバ16は、互いに左右方向(車幅方向)に離間して配置され、車両前後方向(車長方向)に延設される。また、左右のサイドメンバ16の間には、中空筒状のクロスメンバ17が車幅方向に延設される。クロスメンバ17は、フロントアクスルよりも車両後方側に配置され、左右のサイドメンバ16を接続するようにほぼ水平に配置される。
各々のサイドメンバ16には、エンジンマウント4とトランスミッションマウント5とが取り付けられる。エンジンマウント4は一方のサイドメンバ16に固定され、トランスミッションマウント5は他方のサイドメンバ16に固定される。パワープラント1は、左右のサイドメンバ16の間につり下げられた状態で、車両20に搭載される。このとき、エンジンマウント4とトランスミッションマウント5とを結ぶ軸上にパワープラント1の重心が位置するように、各マウント4,5の位置が設定される。
パワープラント1の下部には、車体に対するパワープラント1の揺動(エンジンマウント4とトランスミッションマウント5とを結ぶ揺動軸まわりのロール回転)を規制するためのロールロッド7が取り付けられる。ロールロッド7の前端部及び後端部にはマウントが介装される。以下、ロールロッド7の前端部に設けられたマウントを前方マウント13と呼び、後端部に設けられたマウントを後方マウント14と呼ぶ。本実施形態のロールロッド7は、図2に示すように、パワープラント1の下面に対し、前方マウント13を介して接続されるとともに、クロスメンバ17の内側に対し、後方マウント14を介して接続される。これにより、パワープラント1の揺動方向への移動(位置変化)がロールロッド7の伸縮代によってある程度は許容され、パワープラント1で発生した振動が車体に伝わりにくくなる。
後方マウント14の内部構造を図3に例示する。後方マウント14は、外筒21と内筒22との間に外環ストッパー23,内環ストッパー24を形成したゴムブッシュ25を封入した構造を持つ。外筒21,内筒22はほぼ円筒状の金属部材であり、何れか一方がロールロッド7の後端部に固定されるとともに、他方がクロスメンバ17に固定される。外筒21の内側と内筒22の外側との間には、ゴムブッシュ25が加硫接着されている。
また、外環ストッパー23と内環ストッパー24との間には、隙間26が形成されている。すなわち、ゴムブッシュ25は、外環ストッパー23と内環ストッパー24との間に隙間26が設けられるように橋渡し状の形状となる。ロールロッド7の変位(伸縮方向への移動量)の上限値,下限値(すなわち、車両前後方向の変位の最大値,最小値)は、隙間26の寸法に応じて決定される。なお、隙間26の寸法は内筒22の周方向について均一であってもよいし、図3に示すように不均一であってもよい。また、前方マウント13にも後方マウント14と同様の構造を適用した場合には、前方マウント13及び後方マウント14のそれぞれにおける隙間26の寸法に応じて、ロールロッド7の伸縮量の上限値,下限値が決定される。
ロールロッド7の近傍には、車体に対するロールロッド7の変位量を検出する変位センサー8が設けられる。変位センサー8は、あらかじめ設定された基準位置からの、ロールロッド7の伸縮量に相当する変位量を検出する。変位センサー8の具体例としては、車高センサーやペダルストロークセンサーで用いられる光電式ストロークセンサーやホール素子を利用した磁気ポジションセンサーなどを用いることができる。本実施形態では、車両20の停止時におけるロールロッド7の位置を基準位置とした変位量が検出されるものとする。
変位量の正負符号は、ロールロッド7の伸張方向(車両前方)への移動量に相当する変位量をプラスとし、ロールロッド7の縮小方向(車両後方)への移動量に相当する変位量をマイナスとする。車両20の加速時には、パワープラント1のドライブシャフト6(駆動軸)が車輪の回転方向のトルクを出力し、その反力方向の駆動反力トルクがパワープラント1に作用する。これにより、図4(A)に示すように、前方マウント13が前方へと引っ張られることになり、ロールロッド7が伸長方向(車両前方)へと移動する。その後、パワープラント1が揺動を開始すると、図4(B)に示すように、パワープラント1が釣り合い位置を中心として揺り返され、ロールロッド7が縮小方向(車両後方)へと移動しうる。なお、車両20の減速時についても同様であり、図4(C)に示すように、前方マウント13が後方へと押し込まれてロールロッド7が縮小方向(車両後方)へと移動する。その後、パワープラント1の揺り返しにより前方マウント13が前方へと引っ張られると、ロールロッド7が伸長方向(車両前方)へと移動する。変位センサー8で検出された変位量の情報(ロールロッド7の位置情報)は、出力制御装置10へと伝達される。
車室内の任意の位置には、ドライバーの操作を検出するためのセンサーとして、アクセル開度センサー27,ブレーキペダルストロークセンサー28,シフトポジションセンサー29が設けられるとともに、車両20の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサー30が設けられる。これらのセンサー27〜30で検出されたアクセル開度A,ブレーキペダルストロークB,シフトポジションP,前後加速度Gの各情報は、出力制御装置10に伝達される。なお、本実施形態の車両20は、シフトレバーや電動パーキングスイッチなどの操作に基づき、シフトポジションPが駐車レンジ(Pレンジ)に操作されたときにパーキングロックを作動させ、これ以外の走行レンジ(Dレンジ)や後退レンジ(Rレンジ)に操作されたときにパーキングロックを解除する機能を持つ。
上記のパワープラント1の出力(エンジン2,トランスミッション3の作動状態)は、コンピュータとして機能する出力制御装置10で制御される。出力制御装置10は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等を集積した電子デバイス(ECU,電子制御装置)である。ここでいうプロセッサとは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)等を内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。出力制御装置10で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
[2.出力制御装置]
出力制御装置10は、パワープラント1から車体へと伝達される振動を小さくするためのトルク増減制御を実施する機能を持つ。トルク増減制御とは、車体に対するパワープラント1の回転角(ドライブシャフト6周りの回転角または重心周りの回転角,ロール角)に相当するパラメータに応じて、パワープラント1の出力を増減させる制御である。この制御では、パワープラント1の回転角に対応する揺動方向とは逆方向のトルクがパワープラント1の出力トルクに加算される。例えば、パワープラント1がその時点における釣り合い位置よりも右回転方向に揺動している場合には、左回転方向のトルクが付与される。反対に、パワープラント1がその時点における釣り合い位置よりも左回転方向に揺動している場合には、右回転方向のトルクが付与される。つまり、トルク増減制御とは、パワープラント1の振動とは逆位相の振動を与えることで、パワープラント1の振動を緩和又は相殺する制御であるといえる。
出力制御装置10には、トルク増減制御を実施するための要素として、取得部11と制御部12とが設けられる。これらは出力制御装置10で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
取得部11は、車体に対するパワープラント1のロール方向の回転角に相当するパラメータの一つとして変位Xの情報を取得するとともに、パワープラント1の釣り合い位置に影響を与えうる並進量Y及び目標変位量Z(目標揺動角に相当する変位量)を算出,設定するものである。ここではまず、変位センサー8の検出結果に基づき、車両20の停止状態におけるパワープラント1の位置を基準として(車両20の停止状態におけるロールロッド7の変位がゼロであるものとして)、車両20のロール方向の変位Xの値が取得される。ここでいうロール方向とは、パワープラント1のドライブシャフト6(駆動軸)にトルクが加わったときに回転する方向を意味する。変位Xは、パワープラント1の回転角に相当するパラメータの一つである。変位Xの符号は、車両20及びパワープラント1の停止状態における位置を基準として、車両前方側への変位をプラスとし、車両後方側への変位をマイナスとする。なお、ここでいう「パワープラント1の変位X」は、「ロールロッド7の変位X」と読み替えることができる。
ここで、パワープラント1の釣り合い位置について詳述する。車両20及びパワープラント1がともに停止した状態でのパワープラント1の釣り合い位置は、基本的には重力によって決定される。一方、車両20の加速中や減速中には、前後加速度Gによる慣性力と重力との合力がパワープラント1に作用するため、釣り合い位置が変動する。さらに、パワープラント1が駆動力や制動力を出力している状態であれば、駆動反力や制動反力がパワープラント1に作用するため、釣り合い位置が変動する。このように、パワープラント1の釣り合い位置には、前後加速度Gに由来する位置変化と、パワープラント1で発生する駆動力,制動力に由来する位置変化とが含まれうる。そこで本実施形態では、前者の位置変化を「並進量Y」として算出するとともに、後者の位置変化を「目標変位量Z」として算出する。ただし、車両20が停止しているときには、前後加速度Gが発生していないことから、並進量Yの算出を省略してもよい。
取得部11は、車両20の前後加速度Gに基づき、パワープラント1の並進量Yを算出する。並進量Yとは、車両20の停止状態におけるパワープラント1の釣り合い位置を基準とした、その時点での釣り合い位置までの距離に相当する。並進量Yの符号は、変位Xと同様に、車両20及びパワープラント1の停止状態における釣り合い位置を基準として、車両前方側をプラスとし、車両後方側をマイナスとする。
並進量Yは、図5に示すように、前後加速度Gによる慣性力と重力との合力がパワープラント1に作用したものと仮定して、パワープラント1の姿勢が安定する(揺動の中心となる)変位Xとして算出することができる。パワープラント1は車体に対して完全にフリーの状態でつり下げられているわけではなく、マウントの特性を考慮して並進量Yを算出することが好ましい。なお、前後加速度Gと並進量Yとの関係をあらかじめ数式,マップ,グラフなどの形式で記憶させておき、これらに基づいて並進量Yを算出してもよい。
また、取得部11は、ドライバーのアクセル操作量,ブレーキ操作量,シフト操作などに基づき、目標変位量Zを算出する。ここでは、アクセル開度AやブレーキペダルストロークBに基づいて目標変位量Zが算出される。目標変位量Zは、パワープラント1の駆動力,制動力(駆動反力,制動反力)による位置変化量に相当する。アクセルペダルの操作時には、アクセル開度Aやその変化速度に基づき、駆動反力によって生じるロール角が算出されるとともに、そのロール角分の目標変位量Zが設定される。
また、ブレーキペダルの操作時には、ブレーキペダルストロークBやその変化速度に基づき、制動反力によって生じるロール角分の目標変位量Zが設定される。また、車両20の停止中やブレーキ操作がない状態では、目標変位量Zの値がゼロに設定される。目標変位量Zの符号は、変位X,並進量Yと同様に、車両20及びパワープラント1の停止状態における位置を基準として、車両前方側への変位をプラスとし、車両後方側への変位をマイナスとする。なお、アクセル開度A,ブレーキペダルストロークBと目標変位量Zとの関係をあらかじめ数式,マップ,グラフなどの形式で記憶させておき、これらの関係に基づいて目標変位量Zを算出してもよい。
制御部12は、取得部11で取得された変位X,並進量Y,目標変位量Zに基づき、トルク増減制御を実施するものである。このトルク増減制御では、パワープラント1の揺動とは逆位相の振動を与える逆位相トルクがパワープラント1の出力トルクに加算される。トルク増減制御の開始条件,終了条件を以下に例示する。条件1は、アクセルペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を越えることと同義であり、条件2は、ブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を越えることと同義である。何れの場合も、ペダルが急速に踏み込まれた場合や、急速に踏み戻された場合に条件が成立する。本実施形態では、条件1〜3の何れかが成立したときにトルク増減制御が開始され、条件5が所定時間以上成立したときに終了するものとする。
=開始条件=
条件1.アクセル開度Aが急激に変化した。
条件2.ブレーキペダルストロークBが急激に変化した。
条件3.パーキングロックの解除操作がなされた。
=終了条件=
条件4.変位Xの絶対値|X|が設定値R未満である。
条件5.変位Xと並進量Y,目標変位量Zの加算値との差S〔S=X-(Y+Z)〕が
設定値R未満である。
条件6.上記の条件4,5の何れかが所定時間以上成立している。
条件1〜3の何れかが成立すると、制御部12はパワープラント1の揺動方向とは逆方向へのトルクをパワープラント1の出力トルクに加算する。以下、パワープラント1の出力トルクに加算されるトルク(逆位相トルク)のことを「トルク増減量T」と呼ぶ。トルク増減量Tは、パワープラント1のドライブシャフト6(駆動軸)周りの回転角がその時点における釣り合い位置に近づくように、その値が設定される。また、パワープラント1の釣り合い位置は、並進量Yと目標変位量Zとの加算値(Y+Z)に対応する位置に設定される。これにより、加速操作や減速操作によるロール角だけでなく、車両20の前後加速度Gの影響を考慮した中立点が定められる。
例えば、図4(A)に示すように、車両20の停止時におけるパワープラント1の位置(破線で示す)を基準として、パワープラント1の位置が釣り合い位置よりも右回転方向にずれている場合には、パワープラント1の出力トルクを増加させる正のトルク増減量T(左回転方向へのトルク)が設定される。その後、図4(B)に示すように、パワープラント1の位置が釣り合い位置よりも左回転方向へと揺り返したときには、パワープラント1の出力トルクを減少させる負のトルク増減量T(右回転方向へのトルク)が設定される。つまり、同じ加速中であっても、パワープラント1の揺動状態と釣り合い位置との位置関係に応じて、出力トルクが周期的に加減算される。
減速中の制御についても同様であり、図4(C)に示すように、減速中におけるパワープラント1の位置が釣り合い位置よりも左回転方向にずれている場合には、パワープラント1の出力トルクを減少させる負のトルク増減量T(右回転方向へのトルク)が設定される。その後、パワープラント1の位置が釣り合い位置よりも右回転方向へと揺り返したときには、出力トルクを増加させる正のトルク増減量T(左回転方向へのトルク)が設定される。パワープラント1の揺動に合わせてこのような出力トルク補正を繰り返すことで、揺動の振幅が素早く減少し、釣り合い位置への収束性が向上する。
本実施形態では、その時点における変位Xからパワープラント1の並進量Yを減じて「ロール方向変位量W」が算出される(W=X-Y)。また、ロール方向変位量Wから目標変位量Zを減じたものが「差S」として算出されるとともに(S=W-Z)、差Sに基づいてトルク増減量Tが設定される。トルク増減量Tは、差Sの絶対値が大きいほど大きな値に設定される。なお、差Sの値は、並進量Yと目標変位量Zとの加算値(Y+Z)をその時点の変位Xから減じた値に等しい〔S=(X-Y)-Z=X-(Y+Z)〕。
[3.フローチャート]
図6,図7は、トルク増減制御の手順を例示するフローチャートである。これらのフローは、出力制御装置10において所定周期で繰り返し実行される。図6は、条件1,2の成立時にトルク増減制御を実施する場合のフローであり、例えば車両20の走行中に実行される。また、図7は、条件3の成立時にトルク増減制御を実施する場合のフローであり、例えば車両20の停止中に実行される。各フロー中で使用される制御フラグFは、トルク増減制御の実施状態に対応する値を持つフラグであって、トルク増減制御の実施中にはF=1に設定され、不実施時にはF=0に設定される。
図6のフローは、アクセル操作やブレーキ操作に起因するショックの発生を抑制するのに用いて好適な制御を示すものである。ここでは、トルク増減制御に使用される各種情報(アクセル開度A,ブレーキペダルストロークB,前後加速度Gなど)が出力制御装置10に入力されるとともに、ロールロッド7の位置情報が取得される(ステップA1,A2)。また、ロールロッド7の位置情報から、パワープラント1の回転角に対応する変位Xが算出される(ステップA3)。一方、車両20の前後加速度Gから、並進量Yが算出される(ステップA4)。また、アクセル開度A又はブレーキペダルストロークBから、目標変位量Zが算出される(ステップA5)。並進量Y,目標変位量Zは、パワープラント1のその時点での釣り合い位置(揺動中心)を求めるために用いられる。
続いて、その時点の変位Xから並進量Yが減算されてロール方向変位量Wが算出されるとともに(ステップA6)、ロール方向変位量Wから目標変位量Zが減算されて差Sが算出される(ステップA7)。ここで、制御フラグFがF=0であってトルク増減制御が実施されていないときには、トルク増減制御の開始条件の成否が判定される(ステップA8,A9)。例えば、アクセル開度A,ブレーキペダルストロークBの何れかが急激に変化した場合には開始条件が成立したものと判断され、差Sに基づいてトルク増減量Tが設定される(ステップA10)。その後、トルク増減制御が実施され、パワープラント1の出力トルクにトルク増減量Tが加算されるとともに、制御フラグFがF=1に設定される(ステップA11,A12)。これにより、次回の演算周期ではステップA8からステップA13に進む。なお、ステップA9でトルク増減制御の開始条件が成立しない場合にはステップA10〜A12がスキップされ、その演算周期での制御が終了する。
トルク増減制御が開始されると、終了条件の成否が判定される(ステップA13)。ここで、差Sが設定値R未満の状態であり、かつ、その状態が所定時間経過している場合には、パワープラント1の姿勢が釣り合い位置の近傍で安定した(終了条件が成立した)ものと判断され、トルク増減制御が終了するとともに制御フラグFがF=0に設定される(ステップA13〜A15)。この場合、次回の演算周期では、ステップA8からステップA9に進み、再びトルク増減制御の開始条件が判定されることになる。また、ステップA13の終了条件が不成立の場合にはステップA10に進み、トルク増減制御が継続される。これにより、トルク増減制御は、変位Xが並進量Yと目標変位量Zとの加算値(Y+Z)にほぼ一致するまで継続される。
図7のフローは、車両20の発進に際し、パーキングロック解除操作に起因するショックの発生を抑制するのに用いて好適な制御を示すものである。パーキングロックの作動中は、パワープラント1とドライブシャフト6、車輪とが相対的に回転しない状態となる。そのため、例えば坂道でパーキングロックを作動させた場合には、車体の重量によりわずかにずり下がることによって生じる車輪の回転がドライブシャフト6に伝達され、パワープラント1が車体に対してねじれた状態になる場合がある。このような状態でフットブレーキを踏んでパーキングロックを解除すると、マウント13,14の変位が瞬間的に開放され、大きな車体振動が発生しうる。
まず、パーキングロックが解除操作されると、各種情報(アクセル開度A,ブレーキペダルストロークB,シフトポジションPなど)が出力制御装置10に入力されるとともに、ロールロッド7の位置情報が取得される(ステップB1,B2)。また、ロールロッド7の位置情報からパワープラント1の回転角に対応する変位Xが算出されるとともに(ステップB3)、車体の傾きに応じた車両前後加速度から目標変位量Zが算出され(ステップB4)、変位Xと目標変位量Zとの差Sが算出される(ステップB5)。
ここで、制御フラグFがF=0であってトルク増減制御が実施されていないときには(ステップB6)、差Sに基づいてトルク増減量Tが設定される(ステップB7)。その後、トルク増減制御が実施され、パワープラント1の出力トルクにトルク増減量Tが加算されるとともに、制御フラグFがF=1に設定される(ステップB8,B9)。これにより、次回の演算周期ではステップB6からステップB10に進む。
トルク増減制御の終了条件の判定に関するステップB10〜B13は、図6のフローのステップA13〜A15と同様である。トルク増減制御は、パワープラント1の姿勢が釣り合い位置の近傍で安定した(終了条件が成立した)ものと判断されるまで継続される。また、パワープラント1の姿勢が安定したとき、変位Xは目標変位量Zにほぼ一致した状態となる。パーキングロックが解除されると、トルク増減制御を終了させるとともに、制御フラグFがF=0に設定される(ステップB12,B13)。つまり、パワープラント1の姿勢が安定した状態でパーキングロックが解除されることになり、大きな車体振動が軽減される。
[4.作用]
上記の出力制御装置10を搭載した車両20では、変位センサー8での検出結果からパワープラント1のロール方向の回転角に対応する変位Xが取得され、回転角に対応する揺動方向とは逆方向のトルクがパワープラント1の出力トルクに加算される。このとき、出力トルクに加算されるトルク増減量Tは、パワープラント1のドライブシャフト6(駆動軸)周りの回転角がその時点における釣り合い位置に近づくように、その値が設定される。また、パワープラント1の釣り合い位置の算出時には、前後加速度Gに由来する位置変化(並進量Y)と、パワープラント1で発生する駆動力,制動力に由来する位置変化(目標変位量Z)との双方が考慮される。これにより、パワープラント1の揺動が効率的に緩和,相殺され、振動抑制効果が上昇する。
図8(A)〜(C)は、車両20の減速時におけるアクセル開度A,変位Xに対応するエンジンロール角,パワープラント1のトルク出力の経時変動を示すグラフである。アクセル開度Aが急激に変化するアクセル操作がなされるとトルク増減制御が開始され、出力制御装置10で変位X,並進量Y,目標変位量Zが算出される。並進量Yは車両20の前後加速度Gに基づいて算出され、目標変位量Zはアクセル開度Aに基づいて算出される。また、これらの加算値(Y+Z)はパワープラント1の釣り合い位置に相当する値となる。
ここで仮に、トルク増減制御が実施されない場合には、図8(B)中に破線で示すようにエンジンロール角が大きく振動し、パワープラント1の揺動によるショックが車体に伝達されうる。これに対し、トルク増減制御が実施された場合には、図8(C)中に実線で示すように、変位Xと加算値(Y+Z)との差Sに基づいてトルク増減量Tが設定され、このトルク増減量Tがパワープラント1の出力トルクに加算される。ここで、図8(C)中のT0は、アクセル開度Aや車両走行状態に応じたトルク値を表し、図8(B)中のθ0は、トルク値T0に応じたロール角を表す。図8(B)中に実線で示すロール角が角度θ0から離れるにつれて、その揺り返しを減少させるようなトルク増減量Tが設定される。
これにより、ロール角が角度θ0に向かって収束し、振動が速やかに抑制されることになる。また、パワープラント1の揺り返しによってロール角が破線を横断するように変化した場合には、トルク値T0よりも小さい出力トルクが設定されるため、揺動の振幅が素早く減少し、パワープラント1の釣り合い位置への収束性が向上する。
[5.効果]
(1)上記の出力制御装置10では、パワープラント1のロール方向の回転角に対応する揺動方向とは逆方向のトルクがパワープラント1の出力トルクに加算される。これにより、パワープラント1の揺動の振幅を小さくすることができ、パワープラント1から車体へと伝達される振動を低減させることができる。したがって、車室内の居住性,静粛性を向上させることができる。また、揺動の振幅が減少することから、その揺動が収束するまでにかかる時間を短縮することができる。
(2)上記の出力制御装置10では、パワープラント1の回転角に相当する変位Xと、揺動の釣り合い位置に相当する加算値(Y+Z)との差Sを減少させるように、トルク増減量Tの値が増減制御される。これにより、揺動の振幅を効率的に小さくすることができ、振動の抑制効果を高めることができる。
(3)上記の出力制御装置10では、図4(A),(B)に示すようにパワープラント1の揺動の揺り返しを考慮して、釣り合い位置を基準としたパワープラント1の姿勢(回転状態)に合わせてトルク方向(トルク増減量Tの正負符号)を決定している。これにより、パワープラント1の揺動に対して逆位相の揺動が生じるように、パワープラント1の出力トルクを周期的に増減させることが可能となり、パワープラント1の揺動を相殺(または緩和)することができる。したがって、揺動の振幅を効率的に小さくすることができ、ショックの抑制効果を高めることができる。
(4)上記の出力制御装置10では、車両20の前後加速度Gに基づいてパワープラント1の並進量Yが設定され、これに基づいてパワープラント1の釣り合い位置が設定される。並進量Yを用いることで、前後加速度Gによる慣性力がパワープラント1の姿勢に与える影響の度合いを精度よく把握することができ、ショックの抑制効果を向上させることができる。
(5)上記の出力制御装置10では、車両20のアクセル開度A,ブレーキペダルストロークBに基づいてパワープラント1の目標変位量Zが設定され、これに基づいてパワープラント1の釣り合い位置が設定される。目標変位量Zを用いることで、パワープラント1の駆動力や制動力がその姿勢に与える影響の度合いを精度よく把握することができ、ショックの抑制効果を向上させることができる。なお、上記の出力制御装置10では、並進量Yと目標変位量Zとの加算値(Y+Z)をパワープラント1の釣り合い位置に設定するため、揺動の中心位置を高精度に把握することができ、パワープラント1の揺動の収束性を向上させることができる。
(6)上記の条件1,条件2をトルク増減制御の開始条件とすることで、急激なアクセル操作や回生ブレーキ操作によって発生しうるパワープラント1のしゃくり振動を効率的に抑制することができる。一方、アクセル操作,ブレーキ操作が比較的穏やかであって、しゃくり振動が発生しにくい状況ではトルク増減制御が開始されないため、ドライバーの加速意思や減速意思に沿った出力トルクを与えることができ、ドライブフィーリングを向上させることができる。
(7)上記の条件3をトルク増減制御の開始条件とすることで、パーキングブレーキ装置のロック解除操作に起因するショックを効率的に抑制することができる。これにより、例えば坂道での発進性やドライブフィーリングを向上させることができる。また、パーキングロック中に生じたマウント13,14の変位が穏やかに解消されるため、マウント13,14の損傷を防止することができる。また、トルク増減制御を実施した後にパーキングロックを解除することで、ロック解除直後の車体振動を抑制することができる。
(8)上記の条件5,条件6をトルク増減制御の終了条件とすることで、パワープラント1の姿勢が釣り合い位置で安定したことを精度よく判定することができる。これにより、パワープラント1の出力トルクが過剰に増減補正されることを防止でき、ドライブフィーリングを向上させることができる。
(9)上記の出力制御装置10では、図2に示すようなペンデュラム支持構造の揺動を規制するためのロールロッド7の伸縮量(車両前後方向への移動量)を変位センサー8で検出している。ペンデュラム支持構造を採用することで、パワープラント1の揺動をある程度は許容することができ、車体に伝達される振動を小さくすることができる。また、ロールロッド7の伸縮量に応じてトルク増減制御を実施することで、パワープラント1の揺動の大きさを正確に把握することができ、ショックを効率的に抑制することができる。
[6.変形例]
上述の実施形態におけるパワープラント1は、車体(ボディ)に対して揺動可能に支持されているが、パワープラント1の取付構造はペンデュラム支持構造に限定されない。例えば、パワープラント1の重心点や慣性主軸(トルクロール軸)を下方や側方から支持するような構造としてもよい。少なくとも、パワープラント1のロール方向の回転角に相当するパラメータに基づき、パワープラント1の揺動方向とは逆方向へのトルクを出力トルクに加算することで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
上述の実施形態では、パワープラント1の回転角に相当するパラメータとして変位Xを用いたものを例示したが、他のパラメータを用いることも可能である。例えば、エンジンマウント4とトランスミッションマウント5とを結ぶ揺動軸(支持軸)周りの回転角そのものを用いてもよいし、パワープラント1の重心を通りドライブシャフト6に平行な軸(重心軸)周りの回転角を用いてもよい。あるいは、パワープラント1と車体との間を接続する各種マウント4,5,13,14の変位を用いてもよいし、ゴムブッシュ25の変形量や変形率を用いてもよい。少なくとも、パワープラント1の揺動の大きさに対応する値を持つパラメータを用いれば、上述の実施形態と同様の効果を奏する制御を実現することができる。
トルク増減制御の開始条件,終了条件は、上記の条件1〜6に限らず適宜変更可能である。並進量Yや目標変位量Zの算出手法についても同様であり、車両20の走行速度や路面勾配などを考慮して並進量Yを算出してもよい。あるいは、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み速度や要求トルクの増減変化などに基づいて、目標変位量Zを算出してもよい。
上述の実施形態では、エンジン2,トランスミッション3からなるパワープラント1を例示したが、パワープラント1の具体的な構造はこれに限定されない。例えば、電気自動車に搭載されるパワープラント1は、モーターやジェネレーターなどを含んで構成される。また、ハイブリッド車両の場合には、エンジン2,モーターの両方がパワープラント1に包含される。なお、パワープラント1にモーターやジェネレーターが包含される場合、上述の実施形態における「制動力」は「回生制動力」に読み替えることができ、回生ブレーキの作動中にトルク増減量Tを加算する制御を実施することができる。このような場合であっても、上述の制御と同様の効果を奏するものとなる。
1 パワープラント
7 ロールロッド
8 変位センサー
10 出力制御装置
11 取得部
12 制御部
20 車両
27 アクセル開度センサー
28 ブレーキペダルストロークセンサー
29 シフトポジションセンサー
30 前後加速度センサー
A アクセル開度
B ブレーキペダルストローク
G 前後加速度
P シフトポジション
R 設定値
T トルク増減量
W ロール方向変位量
X 変位
Y 並進量
Z 目標変位量(目標揺動角)

Claims (9)

  1. 車両に搭載されたパワープラントのロール方向の回転角に相当するパラメータを取得する取得部と、
    前記車両の所定操作に応じた目標回転角に対する前記回転角の揺動方向とは逆方向へのトルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記車両の前後加速度に基づいて算出される前記パワープラントの並進量に応じて、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置を設定する
    ことを特徴とする、出力制御装置。
  2. 車両に搭載されたパワープラントのロール方向の回転角に相当するパラメータを取得する取得部と、
    前記車両の所定操作に応じた目標回転角に対する前記回転角の揺動方向とは逆方向へのトルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御部とを備え、
    前記制御部は、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を超えた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する
    ことを特徴とする、出力制御装置。
  3. 前記制御部は、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置と前記回転角との差分を減少させるように、前記トルクを増減させる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の出力制御装置。
  4. 前記制御部は、前記パワープラントの揺動とは逆位相の振動を与える前記トルクを、前記出力トルクに加算する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の出力制御装置。
  5. 前記制御部は、前記車両のアクセル操作量又はブレーキ操作量に基づいて算出される前記パワープラントの目標揺動角に応じて、前記パワープラントの揺動の釣り合い位置を設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の出力制御装置。
  6. 前記制御部は、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値を超えた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する
    ことを特徴とする、請求項1,3,4,5の何れか1項に記載の出力制御装置。
  7. 前記制御部は、前記車両のパーキングロックの解除操作がなされた場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の出力制御装置。
  8. 前記制御部は、前記パワープラントの揺動が釣り合い位置で安定した場合に、前記トルクを前記パワープラントの出力トルクに加算する制御を終了する
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の出力制御装置。
  9. 前記車両の車体に対し前記パワープラントを揺動可能に支持するペンデュラム支持構造と、
    前記パワープラントと前記車体との間を接続し、前記車体に対する前記パワープラントの揺動を規制するロッドとを備え、
    前記取得部が、前記ロッドの伸縮量から前記回転角に相当するパラメータを取得する
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の出力制御装置。
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