JP6603614B2 - 乾燥剤組成物、封止構造、及び有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥剤組成物、封止構造、及び有機EL素子に関する。
有機EL(Electroluminescence)素子は、一般に、有機発光材料を含む薄膜である有機層と、これを挟む一対の電極とを含む発光部を有している。有機EL素子は、薄膜に正孔(ホール)及び電子を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する自発光素子である。
有機EL素子に関して、ダークスポットと呼ばれる有機層の非発光部の発生とその成長の防止が望まれている。ダークスポットの主原因としては、水分及び酸素の影響が大きく、特に水分は極めて微量でもダークスポットの発生に大きな影響を及ぼすことが知られている。
そこで、有機EL素子への水分及び酸素の浸入を防止する方法が種々検討されている。例えば、有機層及び電極を乾燥させた不活性ガス雰囲気の気密容器内に封止し、さらに気密容器内に乾燥剤を封入した中空封止構造が提案されている。例えば、特許文献1は、乾燥剤をシリコーン系樹脂等に混合分散したものを乾燥剤含有層として備える有機EL素子も開示している。また、特許文献1は、五酸化二リンの粉末と、低温硬化型エポキシ系接着剤とを含む乾燥剤含有層を封止キャップの内面に備える有機EL素子も開示している。
特開2001−035659号公報
しかし、シリコーン系樹脂等を含む乾燥剤を備えた従来の有機EL素子では、長期保管時に有機EL素子中の有機層が溶解することがある。これは、シリコーン系樹脂等が乾燥剤層から染み出し、これが有機層を溶解するためであると考えられる。
一方、酸化物粒子及び硬化型接着剤を含む従来の乾燥剤組成物では、意図しない硬化型接着剤の重合反応が進行し、硬化してしまうことがある。
そこで、本発明は、成分の染み出しが抑制された乾燥剤層を形成することができ、しかも保存安定性に優れた乾燥剤組成物の提供を主な目的とする。
本発明の一側面は、(メタ)アクリルモノマーと、有機酸及び/又はその無水物と、アルカリ土類金属の酸化物を含む酸化物粒子と、を含有する、乾燥剤組成物を提供する。
この乾燥剤組成物によれば、成分の染み出しが抑制された乾燥剤層を形成することができ、優れた保存安定性も有する。(メタ)アクリルモノマーの重合によって乾燥剤組成物が硬化することで、成分の染み出しが抑制される。
酸化物粒子が、有機酸及び/又は無水物によって表面修飾されていてもよい。酸化物粒子の塩基性の表面が(メタ)アクリルモノマーの意図しない重合反応を生じ易いために、乾燥剤組成物の保存安定性が損なわれることがあると考えられるが、酸化物粒子が有機酸又は無水物によって表面修飾されていることで保存時の重合反応がより抑制され、そのために乾燥剤組成物がより優れた保存安定性を有することができると考えられる。
有機酸が、カルボン酸基又はリン酸基を有する化合物であってもよい。カルボン酸基又はリン酸基を有する有機酸は、アルカリ土類金属を含む酸化物粒子と特に相互作用し易く、酸化物粒子の表面の塩基性を効率的に低くすることができる。
別の側面において、本発明は、対向配置された一対の基板と、一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で一対の基板上の間に設けられた、上記乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層と、を備える封止構造を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、素子基板と、素子基板に対して対向配置された封止基板と、素子基板及び封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で前記素子基板上に設けられた、有機層及びこれを挟持する一対の電極を有する積層体と、封止シール剤の内側で封止基板上に設けられた、上記乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層と、を備える有機EL素子を提供する。
本発明によれば、成分の染み出しが抑制された乾燥剤層を形成することができ、しかも保存安定性に優れた乾燥剤組成物が提供される。
一実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
乾燥剤組成物
一実施形態の乾燥剤組成物は、(メタ)アクリルモノマーと、有機酸及び/又はその無水物と、アルカリ土類金属の酸化物を含む酸化物粒子とを含有する。本明細書中、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーを意味し、これは(メタ)アクリロイル基等の他の類似の表現においても同様である。
[(メタ)アクリルモノマー]
(メタ)アクリルモノマーは、分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。
1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜24のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物が挙げられる。一般式(1)〜(3)中、sは1〜20の整数を示し、一般式(4)中、m及びnはm+nが2〜20となる整数を示す。これらの(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0006603614

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(メタ)アクリルモノマーの官能基当量(分子量/官能基数)は、400以上又は700以上であってもよい。官能基当量が400以上であると、酸化物粒子との混合時に、意図しない重合がより進行し難い傾向にある。官能基当量は、例えば、1000以下であってもよい。乾燥剤組成物が2種以上の(メタ)アクリルモノマーを含有する場合、それらの平均の官能基当量が上記範囲内であってもよい。
(メタ)アクリルモノマーの25℃における粘度は、100mPa・s以下、80mPa・s以下、又は70mPa・s以下であってもよい。粘度が100mPa・s以下であると、乾燥剤組成物が塗布性により優れる傾向にある。粘度は、例えば、10mPa・s以上であってもよい。乾燥剤組成物が2種以上の(メタ)アクリルモノマーを含有する場合、それらの混合物の粘度が上記範囲内であってもよい。
乾燥剤組成物における(メタ)アクリルモノマーの含有量は、乾燥剤組成物全量基準で、30〜90質量%であってもよい。(メタ)アクリルモノマーの含有量がこの範囲であると、より優れた塗布性及び補水性能を確保することができる。同様の観点から、(メタ)アクリルモノマーの含有量は、30質量%以上又は50質量%以上であってもよく、90質量%以下又は70質量%以下であってもよい。
[有機酸又はその無水物]
有機酸は、炭化水素基とカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホウ酸基等の酸性官能基を有する化合物である。有機酸は、カルボン酸基又はリン酸基を有する化合物であってもよく、カルボン酸基を有する化合物であってよい。有機酸の無水物は、有機酸の2つの酸性官能基が脱水縮合した化合物である。有機酸及びその無水物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせることができ、有機酸と酸無水物とを組み合わせてもよい。
有機酸が有する炭化水素基は、例えば、炭素数1〜24、炭素数6〜24若しくは炭素数6〜8の飽和又は不飽和炭化水素基、又は、炭素数6〜14若しくは炭素数6〜8の芳香族炭化水素基であってもよい。
カルボン酸基を有する有機酸としては、例えば、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリル酸、イソステアリル酸、安息香酸が挙げられる。
有機酸の無水物は、カルボン酸無水物であってもよい。カルボン酸無水物としては、炭素数2〜24又は炭素数2〜14のカルボン酸無水物が挙げられる。より具体的には、例えば、無水酢酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、n−オクタン酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、イソオクタデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物が挙げられる。無水物を用いると、有機酸を用いる場合に比べて、混合時の発熱を抑えられる傾向にある。
乾燥剤組成物における有機酸及びその無水物の含有量は、乾燥剤組成物全量基準で1〜20質量%であってもよい。有機酸及び無水物の含有量がこの範囲であると、(メタ)アクリルモノマーの意図しない重合(アニオン重合)をより抑制できるという効果が得られる。同様の観点から、有機酸及び無水物の含有量は、1質量%以上又は5質量%以上であってもよく、20質量%以下又は10質量%以下であってもよい。乾燥剤組成物が2種以上の有機酸及び無水物を含有する場合、それらの合計量が、上記範囲内にあってもよい。
[酸化物粒子]
酸化物粒子は、酸化物粒子に補水性能を付与し得るアルカリ土類金属の酸化物を含む。酸化物粒子は、通常、酸化物粒子の質量を基準として80質量%以上、又は90質量%以上のアルカリ土類金属の酸化物を含む。酸化物粒子は、1種、又は成分の異なる2種以上のアルカリ土類金属の酸化物を含むことができる。
アルカリ土類金属の酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物は、酸化マグネシウム及び/又は酸化カルシウムであってもよい。
酸化物粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.01〜30μmであってもよい。酸化物粒子の平均粒径がこの範囲であると、より充分な補水性能が得られる傾向にある。同様の観点から、酸化物粒子の平均粒径は、0.1μm以上、0.5μm以上、又は1μm以上であってもよく、20μm以下、10μm以下、又は5μm以下であってもよい。
本明細書において、酸化物粒子の平均粒径は、動的光散乱式粒度分布計で測定した体積分布の中央値を意味する。この平均粒径は、酸化物粒子を所定の分散媒中に分散させて調整した分散液を用いて測定される値である。
酸化物粒子の比表面積は、5〜60m/gであってもよい。比表面積が5〜60m/gであると、乾燥剤がより一層優れた捕水性能を有することできる。同様の観点から、酸化物粒子の比表面積は、10m/g以上又は15m/g以上であってもよく、50m/g以下、40m/g以下、又は35m/g以下であってもよい。
本明細書において、酸化物粒子の比表面積は、BET法によって測定される。
酸化カルシウムを含む酸化物粒子は、例えば、生石灰(CaO)を水酸化処理して消石灰(Ca(OH))を得る工程と、消石灰を焼成して生石灰を得る工程と、生石灰を粉砕する工程と、をこの順に備える方法によって得ることができる。消石灰を焼成する温度は、300〜600℃であってもよい。焼成時間は、1〜20時間であってもよい。
酸化物粒子は有機酸又は無水物によって表面修飾されていている。塩基性のアルカリ土類金属の酸化物と有機酸又は無水物とで化学的な相互作用が生じることで、酸化物粒子が表面修飾されると考えられる。表面修飾された酸化物粒子の具体的な表面構造は必ずしも明らかでないが、酸化物粒子が表面修飾されることによって、酸化物粒子の表面の塩基性が低くなり、その結果、(メタ)アクリルモノマーの意図しない重合反応が抑制されると考えられる。例えば、アルカリ土類金属の酸化物と有機酸との塩が酸化物粒子の表面に形成されていることがあり得る。
酸化物粒子と、有機酸及び/又は無水物とを混合することを含む方法によって、酸化物粒子を有機酸及び/又は無水物を表面修飾することができる。酸化物粒子が表面修飾されたことは、例えば、酸化物粒子と、有機酸及び/又は無水物とを混合したときに発熱が生じることから確認することができる。
乾燥剤組成物における酸化物粒子の含有量は、乾燥剤組成物全量基準で5〜70質量%である。酸化物粒子の含有量がこの範囲であると、より充分な補水性能が得られる傾向にある。同様の観点から、酸化物粒子の含有量は、10質量%以上又は30質量%以上であってもよく、60質量%以下又は50質量%以下であってもよい。
一実施形態の乾燥剤組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、市販品をそのまま用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが挙げられる。
乾燥剤組成物が光重合開始剤を含む場合、その含有量は、乾燥剤組成物全量基準で0.01〜10質量%である。光重合開始剤の含有量は、0.05質量%以上又は0.1質量%以上であってもよく、5質量%以下又は1質量%以下であってもよい。
乾燥剤組成物は、(メタ)アクリルモノマー、有機酸又は無水物、酸化物粒子及び光重合開始剤以外の成分として、例えば、アエロジル(登録商標)等のシリカ、シリカと相溶するポリマーを含有していてもよい。
乾燥剤組成物は、25℃でペースト状であることができる。乾燥剤組成物がペースト状であると、有機EL素子の微小な気密空間内に塗布によって、組成物層をより容易に形成することができる。また、乾燥剤組成物の25℃における粘度は、5〜500Pa・sであってもよい。乾燥剤組成物の25℃における粘度がこの範囲であると、塗布によって組成物層をより容易に形成することができる。同様の観点から、乾燥剤組成物の粘度は、10Pa・s以上又は50Pa・s以上であってもよく、400Pa・s以下又は300Pa・s以下であってもよい。塗布は、ディスペンサ等によって行うことができる。乾燥剤組成物の粘度は、(メタ)アクリルモノマーの粘度、有機酸又は酸無水物の含有量及び酸化物粒子の含有量によって、調整することができる。ここでの粘度は、B型粘度計、レオメーター等の回転粘度計によって測定される値である。
組成物層を光硬化させることによって、乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層を形成することができる。硬化のための光の種類は、硬化反応が進行するものであれば特に制限されないが、例えば、UV(紫外線)光であってもよい。光源としては、例えば、低圧水銀ランプ等の水銀ランプが挙げられる。硬化に必要な照射量は、例えば、1〜10J/cmとすることができる。硬化に必要な時間は、例えば、0.5〜5分間とすることができる。
封止構造
本実施形態の封止構造は、対向配置された一対の基板と、一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で一対の基板の間に設けられた乾燥剤層とを備える。乾燥剤層は、上述の実施形態に係る乾燥剤を含むことができる。乾燥剤層は、封止された空間(一対の基板の間で封止シール剤の内側の空間)を充填していてもよい。
本実施形態の封止構造は、水分の影響を受けやすいデバイスを封入する際に特に好適に利用することができる。このようなデバイスとしては、例えば、有機EL素子、有機半導体、有機太陽電池等の有機電子デバイスが挙げられる。
有機EL素子
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す有機EL素子1は、素子基板2と、素子基板2に対して対向配置された封止基板3と、素子基板2上に設けられた、有機層4及び有機層4を挟持する陽極5及び陰極6を有する積層体と、素子基板2及び封止基板3の外周部を封止する封止シール剤8と、封止シール剤8の内側で封止基板3上に設けられた乾燥剤層7とから構成される、いわゆる中空封止構造の有機EL素子である。乾燥剤層7は、上記実施形態の乾燥剤組成物の硬化物であることができる。乾燥剤層7が上記実施形態の組成物の硬化物であることにより、当該乾燥剤層に含まれる成分の染み出しを抑制することができる。ただし、有機EL素子は、図1のような中空封止構造に限定されず、例えば、素子基板、封止基板及び封止シール層によって囲まれた気密空間に充填された乾燥剤層を有する、充填構造の有機EL素子であってもよい。
有機EL素子1において、乾燥剤層7以外の要素に関しては通常の構成を適用することができるが、その一例を以下で簡単に説明する。
素子基板2は、絶縁性及び透光性を有する矩形状のガラス基板からなり、この素子基板2上には、透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)によって陽極5(電極)が形成されている。この陽極5は、例えば真空蒸着法、スパッタ法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法により素子基板2上に成膜されるITO膜をフォトレジスト法によるエッチングで所定のパターン形状にパターニングすることにより形成される。電極としての陽極5の一部は、素子基板2の端部まで引き出されて駆動回路(図示せず)に接続される。
陽極5の上面には、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱法等のPVD法により、有機発光材料を含む薄膜である有機層4が積層されている。有機層4は、単一の層から形成されていてもよく、機能の異なる複数の層から形成されていてもよい。本実施形態における有機層4は、陽極5側から順に、ホール注入層4a、ホール輸送層4b、発光層4c及び電子輸送層4dが積層された4層構造である。ホール注入層4aは、例えば数10nmの膜厚の銅フタロシアニン(CuPc)から形成される。ホール輸送層4bは、例えば数10nmの膜厚のbis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine(α−NPD)から形成される。発光層4cは、例えば数10nmの膜厚のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)から形成される。電子輸送層4dは、例えば数nmの膜厚のフッ化リチウム(LiF)から形成される。そして、陽極5、有機層4及び後述する陰極6がこの順で積層された積層体により、発光部が形成されている。
有機層4(電子輸送層4d)の上面には、真空蒸着法等のPVD法により、金属薄膜である陰極6(電極)が積層されている。金属薄膜の材料としては、例えばAl、Li、Mg、In等の仕事関数の小さい金属単体やAl−Li、Mg−Ag等の仕事関数の小さい合金などが挙げられる。陰極6は、例えば数10nm〜数100nm(好ましくは50nm〜200nm)の膜厚で形成される。陰極6の一部は、素子基板2の端部まで引き出されて駆動回路に接続される。
封止基板3は、有機層4を挟んで素子基板2と対向するように配置され、素子基板2及び封止基板3の外周部は、封止シール剤8により封止されている。封止シール剤としては例えば紫外線硬化樹脂を用いることができる。さらには、乾燥剤層7は、封止シール剤8の内側で封止基板3上の一部又は全部に設けられている。乾燥剤層7は、上記実施形態の乾燥剤を塗布することによって、形成される。乾燥剤層7は、1〜300μmの膜厚で形成される。
有機EL素子の製造方法
まず、素子基板2上に有機層4等(電極は図示せず)が積層された積層体を準備する。
次に、別途準備した封止基板3上に、本実施形態の乾燥剤を、ディスペンサで塗布して、乾燥剤層7を形成する。さらに、封止基板3上に塗布した乾燥剤を囲むように封止シール剤8をディスペンサで塗布する。これらの作業は、露点−76℃以下の窒素で置換されたグローブボックス中で行うことが好ましい。塗布される乾燥剤組成物は、溶剤を含み得るが、典型的には実質的に無溶剤である。
次に、有機層4等が積層された素子基板2と封止基板3とを貼り合わせる。貼り合わせた基板をUV照射及び80℃程度の加熱により封止することにより、本実施形態の有機EL素子1が製造される。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.乾燥剤組成物の調製
(実施例1)
平均粒径を2μm、比表面積を18m/gに調整した酸化カルシウム粒子100質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレート(製品名:APG−700、新中村化学工業株式会社製、分子量:808、官能基当量:404、比重(25℃):1.02、粘度(25℃):68mPa・s)90質量部、2−エチルヘキサン酸(関東化学株式会社製)10質量部及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE651、BASF社製)0.9質量部を1000回転/分で5分間遠心撹拌して、白色ペーストの実施例1の乾燥剤組成物を得た。撹拌時に発熱が観測された。この発熱は、塩基性の酸化カルシウム粒子が、2−エチルヘキサン酸と反応することによって生じたものと推測される。このことから、酸化物粒子が、酸化カルシウムと2−エチルヘキサン酸との反応によって表面修飾されたことが示唆される。乾燥剤組成物の25℃における粘度は62Pa・sであった。乾燥剤組成物の粘度は、測定装置としてレオメーターを用い、せん断速度5s−1という条件で測定した値である。撹拌による乾燥剤組成物の硬化は観測されなかった。
(比較例1)
平均粒径を2μmに調整した酸化カルシウム粒子50質量部を、ジメチルシリコーン(製品名:Element14 PDMS 10K−JC、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)50質量部と混合し、1000回転/分で5分間遠心撹拌して、比較例1の乾燥剤組成物を得た。
2.評価
[有機EL素子の作製]
透明性を有する導電材料のITOを、スパッタ法により素子基板上に140nmの膜厚で成膜した。ITOの膜をフォトレジスト法によるエッチングで所定のパターン形状にパターニングし、陽極を形成させた。
形成された陽極の上面に、銅フタロシアニン(CuPc)を抵抗加熱法により70nmの膜厚で成膜することでホール注入層を形成し、ホール注入層の上面にBis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine(α−NPD)を30nmの膜厚で成膜することでホール輸送層を形成し、ホール輸送層の上面にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を50nmの膜厚で成膜して発光層を形成した。さらに、発光層の上面にフッ化リチウム(LiF)を7nmの膜厚で成膜して電子輸送層を形成し、電子輸送層の表面に陰極としてアルミニウムを150nmの膜厚で物理蒸着した。以上のようにして、陽極、有機層(ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層)及び陰極がこの順に積層されている積層体を素子基板上に形成した。
次に、露点−76℃以下の窒素で置換されたグローブボックス中で、実施例1又は比較例1の乾燥剤組成物をディスペンサによって封止基板の中央部に塗布した。実施例1の乾燥剤組成物を塗布後に3分間で合計6J/cmのUV(紫外線)照射によって硬化させ、乾燥剤層を形成した。比較例1の乾燥剤組成物については、塗布後、そのまま乾燥剤層とした。乾燥剤層を囲むように、紫外線硬化型樹脂からなる封止シール剤をディスペンサによって封止基板上に塗布した。
その後、素子基板と封止基板とを、積層体、乾燥剤層及び封止シール剤が内側になる向きで貼り合わせた。その状態で、紫外線照射及び80℃の加熱により素子基板及び封止基板の外周部を封止し、封止シール剤によって囲まれた気密空間内に乾燥剤層が設けられた中空封止構造の有機EL素子を得た。
[経過時間に対する染み出し距離]
得られた有機EL素子を25℃の条件下に放置し、乾燥剤層成分の染み出し距離の経時変化を測定した。0時間、50時間後、170時間、336時間及び500時間後の染み出し距離を表1に示す。染み出し距離とは、乾燥剤層から乾燥剤層の成分が染み出した部分の端までの距離を示し、数値が大きいほど、乾燥剤層の成分の染み出しが進行していることを意味する。
Figure 0006603614
UV照射前の実施例1の乾燥剤組成物は、硬化することなく粘性を有する状態を維持しており、良好な保存安定性を有していた。実施例1の乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層を備える有機EL素子では、比較例1の乾燥剤組成物を含む乾燥剤層を備える有機EL素子に比べて、乾燥剤層の成分の染み出しの進行が少ないことが観測された。これらの結果から、本発明の乾燥剤組成物が、保存安定性に優れ、成分の染み出しが抑制された乾燥剤層を形成できることが確認された。
1…有機EL素子、2…素子基板、3…封止基板、4…有機層、4a…ホール注入層、4b…ホール輸送層、4c…発光層、4d…電子輸送層、5…陽極、6…陰極、7…乾燥剤層、8…封止シール剤。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリルモノマーと、
    有機酸及び/又はその無水物と、
    アルカリ土類金属の酸化物からなる酸化物粒子と、
    を含有し、
    前記酸化物粒子の比表面積が、5〜35m/gである、乾燥剤組成物。
  2. 前記酸化物粒子が、前記有機酸及び/又は前記無水物によって表面修飾されている、請求項1に記載の乾燥剤組成物。
  3. 前記有機酸が、カルボン酸基又はリン酸基を有する化合物である、請求項1又は2に記載の乾燥剤組成物。
  4. 前記(メタ)アクリルモノマーが、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乾燥剤組成物。
    Figure 0006603614

    Figure 0006603614

    Figure 0006603614

    Figure 0006603614

    [一般式(1)〜(3)中、sは1〜20の整数を示し、一般式(4)中、m及びnはm+nが2〜20となる整数を示す。]
  5. 対向配置された一対の基板と、
    前記一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、
    前記封止シール剤の内側で前記一対の基板の間に設けられた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層と、
    を備える封止構造。
  6. 素子基板と、
    前記素子基板に対して対向配置された封止基板と、
    前記素子基板及び前記封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、
    前記封止シール剤の内側で前記素子基板上に設けられた、有機層及びこれを挟持する一対の電極を有する積層体と、
    前記封止シール剤の内側で前記封止基板上に設けられた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥剤組成物の硬化物である乾燥剤層と、
    を備える有機EL素子。
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