JP6602221B2 - 積層用難燃不織布及び難燃積層体 - Google Patents

積層用難燃不織布及び難燃積層体 Download PDF

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Description

本発明は積層用難燃不織布及び難燃積層体に関する。より具体的には、難燃性及び他の材料との接着性に優れる積層用難燃不織布、及び他の材料と接着した難燃積層体に関し、自動車用途の積層用難燃不織布及び難燃積層体として好適に使用できる。
例えば、自動車のインシュレーターの表皮材を構成する不織布として、本願出願人は、「セルロース系繊維を含む繊維基材の片表面が、難燃剤と熱硬化性樹脂を含むポリエステル系樹脂バインダによって接着されていることを特徴とする表皮材用基材。」(特許文献1)を提案した。この表皮材用基材(不織布)は、樹脂含浸したガラスウールマット、フェルト、ロックウールマット、レジンフェルト、又は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン系樹脂等の発泡体などからなる基材マットと接着一体化されて、自動車のインシュレーターとして使用されていた。このような従来のインシュレーターは、表皮用基材(不織布)が片表面に難燃剤を含み、また、基材マットも難燃性であることから、UL94規格のHBグレードの遅燃性を有するものであったが、安全意識の高まりから、更に難燃性の高いV−0グレードの難燃性を有するインシュレーターが待望されていた。
特開2009−78375
そのため、本発明者らは、難燃性を高めるために、難燃剤を含むバインダ浴に繊維ウエブを浸漬することにより、表面だけではなく、不織布全体に難燃剤が存在する表皮用基材(不織布)を作製し、基材マットと接着一体化してインシュレーターとすることを試みた。ところが、表皮用基材(不織布)と基材マットとの接着性が悪く、インシュレーターとして取り扱うことができない、という問題が発生した。
このような問題は自動車のインシュレーターに限らず、高い難燃性を有する不織布を、吸音性能、断熱性能、及び/又はクッション性能等を有する基材と接着一体化する場合にも生じる問題であった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、UL94規格のV−0グレードの難燃性を有するにもかかわらず、他の基材との積層一体化性に優れる積層用難燃不織布、及び積層用難燃不織布と基材とが積層一体化した難燃積層体を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「難燃剤が接着剤によって繊維に接着した、厚さが250μm以上の積層用難燃不織布であり、積層用難燃不織布の片表面Aから、積層用難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在しているとともに、積層用難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから10μmまでの範囲には、難燃剤が存在していないことを特徴とする、積層用難燃不織布。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「請求項1記載の積層用難燃不織布の他表面Bと基材とが対向した状態で接着していることを特徴とする、難燃積層体。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、積層用難燃不織布の厚さは250μm以上あり、積層用難燃不織布の片表面Aから、積層用難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲には、難燃剤が存在している。つまり、少なくとも積層用不織布の厚さ方向における150μm以上の範囲には、難燃剤が存在しているため、難燃性に優れている。また、積層用難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから10μmまでの範囲には、難燃剤が存在しておらず、基材と接着する接着剤が浸透しやすいため、基材との積層一体化性にも優れている。
本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1記載の積層用難燃不織布を含むため難燃性に優れ、また、積層用難燃不織布の他表面Bと基材とが対向した状態で接着しているため、接着剤が積層用難燃不織布内部へ浸透し、積層用難燃不織布と基材とがしっかりと接着した状態にある、取り扱い性の優れる難燃積層体であることができる。
本発明の積層用難燃不織布(以下、単に「難燃不織布」と表記することがある)は、難燃剤が接着剤(以下、「繊維結合用接着剤」と表記することがある)によって繊維に接着した、厚さが250μm以上の難燃不織布であり、難燃不織布の片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在しているため、難燃性に優れる難燃積層体を製造することのできるものである。つまり、少なくとも難燃不織布の厚さ方向における150μm以上の範囲には、難燃剤が存在しているため、難燃性に優れている。
本発明の難燃不織布は片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在しているため難燃性に優れるものであるが、より難燃性に優れているように、片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから80μmまでの範囲に難燃剤が存在しているのが好ましく、片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから50μmまでの範囲に難燃剤が存在しているのがより好ましく、片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから30μmまでの範囲に難燃剤が存在しているのが更に好ましく、片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから20μmまでの範囲に難燃剤が存在しているのが更に好ましい。
一方で、片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから10μmまでの範囲よりも他表面B側に難燃剤が存在していると、基材と積層一体化する際に、基材と難燃不織布との接着作用を奏する接着剤(以下、「一体化用接着剤」と表記する)が難燃不織布内部にまで浸透しにくく、基材と積層一体化することが困難になる傾向があるため、難燃剤は片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから10μmまでの範囲よりも他表面B側に存在していない。言い換えると、難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから10μmまでの範囲には、難燃剤が存在していない。一体化用接着剤が難燃不織布内部にまで浸透しやすいように、難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから11μmまでの範囲には、難燃剤が存在していないのが好ましく、難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから12μmまでの範囲には、難燃剤が存在していないのがより好ましい。
なお、「片表面A」は難燃不織布の面の中で最も面積が広く、かつ難燃剤が存在する面を意味し、「片表面B」は前記片表面Aに対向する面を意味する。また、片表面A又は片表面Bからの距離(100μm、10μmなど)は、無荷重時における難燃不織布の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における距離の算術平均値を意味する。
本発明の難燃不織布を構成する難燃剤は特に限定するものではないが、例えば、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤を挙げることができる。より具体的には、リン系難燃剤として、リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物などを使用できる。
また、ハロゲン系難燃剤として、臭素系難燃剤や塩素系難燃剤を挙げることができ、臭素系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイドなどを使用でき、塩素系難燃剤として、塩素化パラフィンなどを使用できる。
更に、無機系難燃剤として、赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを使用できる。これら難燃剤は1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
このような難燃剤量は繊維量等によって異なるため、特に限定するものではないが、難燃性に優れているように、15g/m以上であるのが好ましく、20g/m以上であるのがより好ましく、25g/m以上であるのが更に好ましい。なお、難燃剤量の上限は特に限定するものではないが、積層一体化して得られる難燃積層体が重くなり、汎用性がなくなる傾向があるため、60g/m以下であるのが好ましい。
このような難燃剤を繊維に接着する繊維結合用接着剤は特に限定するものではないが、例えば、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル、ウレタン、ポリエステルなどを挙げることができる。
このような繊維結合用接着剤量は繊維量、難燃剤量等によって異なるため、特に限定するものではないが、難燃剤の脱落が生じにくいように、5g/m以上であるのが好ましく、8g/m以上であるのがより好ましい。一方で、繊維結合用接着剤量が多過ぎると、難燃性が悪くなる傾向があるため、20g/m以下であるのが好ましい。
なお、難燃剤と繊維結合用接着剤との質量比率は難燃性に優れ、また、難燃剤の脱落が生じにくいように、2:1〜9:1であるのが好ましく、3:1〜7:1であるのがより好ましい。
本発明の難燃不織布を構成する繊維は特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維;炭素繊維などの無機繊維;レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、綿繊維、麻繊維などのセルロース系繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル繊維は耐候性、経済性に優れているため好適である。また、レーヨン繊維は燃焼時に炭化して燃焼速度を落とす効果があるばかりでなく、染色等の加工性に優れ、しかも燃焼しても有毒ガスが発生せず、高温にもならないため好適である。
本発明の難燃不織布を構成する繊維の繊度は特に限定するものではないが、繊度は1〜20dtexであるのが好ましく、1〜10dtexであるのがより好ましく、1〜6.6dtexであるのが更に好ましい。また、繊維長も特に限定するものではないが、20〜100mmであるのが好ましく、30〜80mmであるのがより好ましい。この「繊度」はJIS L 1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる値を意味し、「繊維長」はJIS L 1015:2010、8.4.1[補正ステープルダイヤグラム法(B法)]により得られる値を意味する。
なお、難燃剤と繊維量(目付)との質量比率は難燃性に優れ、また、難燃剤の脱落が生じないように、1:2〜1:6であるのが好ましく、1:2.5〜1:5であるのがより好ましく、1:3〜1:4であるのが更に好ましい。
本発明の難燃不織布は難燃剤の存在する範囲が広く、難燃性に優れているように、厚さは250μm以上であり、好ましくは300μm以上であり、より好ましくは350μm以上である。なお、難燃不織布の厚さの上限は特に限定するものではないが、難燃不織布の厚さが厚くなるにしたがって、難燃不織布が重くなり、汎用性が悪くなる傾向があるため、800μm以下であるのが好ましく、700μm以下であるのがより好ましい。また、難燃不織布の目付は、前記厚さとなる目付であれば良く、特に限定するものではないが、50〜200g/mであるのが好ましく、80〜170g/mであるのがより好ましく、100〜150g/mであるのが更に好ましい。なお、本発明における目付はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.2[単位面積当たりの質量(ISO法)]によって測定される値を意味し、厚さは圧縮弾性試験機[ライトマチック(登録商標)VL−50、株式会社ミツトヨ製]を用い、荷重面積5cm当たりの荷重を2.00kPaとして測定した値を意味する。
なお、本発明の難燃不織布は難燃性を損なわない範囲内で、難燃剤以外に各種薬剤を有していても良い。例えば、熱硬化性樹脂、染料、顔料、界面活性剤、撥水剤、撥油剤などを含んでいることができる。
このような本発明の難燃不織布は、例えば、繊維ウエブを形成した後、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を、前記繊維ウエブの片表面のみに付与し、繊維結合用接着剤の接着作用を発揮させることによって製造できる。
より具体的には、まず、前述のような繊維からなる繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法は特に限定するものではないが、例えば、カード法、エアレイ法などの乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などの直接法、或いは湿式法により形成することができる。このように形成した繊維ウエブに対して、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を付与することもできるが、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液が繊維ウエブ内部まで浸透しやすいように、また、繊維ウエブ又は難燃不織布の形態安定性を高めるために、繊維ウエブに対して、水流などの流体流及び/又はニードルを作用させることによって繊維の配向を若干繊維ウエブの厚さ方向にするとともに、繊維同士を絡合させるのが好ましい。特に、水流の作用により繊維同士を絡合させると、繊維ウエブの幅方向及び流れ方向に均一に絡合することができ、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を均一に付与することができるため好適である。
一方で、難燃剤を繊維に接着するため、及び繊維同士を接着するための、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を調製する。この難燃剤、繊維結合用接着剤の種類、量等は前述の通りである。なお、難燃剤を含む繊維結合用接着剤が繊維ウエブの内部へ浸透しやすいように、液体形態の繊維結合用接着剤を使用するのが好ましく、特に、エマルジョン型又はサスペンジョン型の繊維結合用接着剤を使用するのが好ましい。また、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を繊維ウエブの片表面のみに付与するが、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液の粘度が低過ぎると、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液が浸透し過ぎてしまい、他表面Bから10μmの部分よりも他表面B側まで難燃剤が存在する難燃不織布となってしまい、基材と積層一体化しにくくなるため、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液の粘度を繊維ウエブに応じて、適宜調整するのが好ましい。
次いで、繊維ウエブの片表面のみに難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を、繊維ウエブの片表面(難燃不織布の片表面Aとなる面)のみに付与し、繊維ウエブの片表面から、繊維ウエブの片表面に対向する他表面(難燃不織布の他表面Bとなる面)から100μmまでの範囲まで、少なくとも浸透させるものの、繊維ウエブの他表面から、他表面から10μmまでの範囲には浸透しないようにする。この難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液の付与方法としては、例えば、塗布する方法を挙げることができる。難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液は、繊維ウエブの他表面から一定範囲まで浸透しないように、ある程度高い粘度であるのが好ましいが、粘度が高いと難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液が浸透しにくいため、塗布時の圧力、及び/又は塗布回数を適宜調整し、前記範囲内に収まるように、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を付与する。
そして、繊維ウエブに付与した難燃剤を含む繊維結合用接着剤の接着作用を発揮させて、本発明の難燃不織布を製造することができる。前述のように、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液を付与した場合、難燃剤を含む繊維結合用接着剤溶液の溶媒を揮散させて、繊維結合用接着剤の接着作用を発揮させる。例えば、熱風乾燥機、オーブン、赤外線乾燥機、加熱ローラ、減圧乾燥機などを用いて、繊維結合用接着剤の接着作用を発揮させることができる。
本発明の難燃積層体は前述のような本発明の難燃不織布の他表面Bと基材とが対向した状態で接着したものである。このように、本発明の難燃積層体は本発明の難燃不織布を含むため難燃性に優れている。また、本発明の難燃積層体は難燃不織布の他表面Bと基材とが対向した状態で接着しているため、一体化用接着剤が難燃不織布内部へ浸透し、難燃不織布と基材とがしっかりと接着した状態にある、取り扱い性の優れるものである。つまり、難燃不織布の他表面Bは難燃剤が存在しておらず、少なくとも他表面Bから厚さ方向10μmまでの範囲へは一体化用接着剤が浸透しやすい状態にあるため、難燃不織布と基材とがしっかりと接着した、取り扱い性の優れる難燃積層体であることができる。
この基材は用途によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、不織布、織物、編物、発泡体などを挙げることができる。より具体的には、難燃積層体を自動車のインシュレイターとして使用する場合、基材として、例えば、樹脂含浸したガラスウールマット、フェルト、ロックウールマット、レジンフェルト、又は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン系樹脂などの発泡体などを挙げることができる。
また、難燃不織布と基材とを接着する一体化用接着剤も特に限定するものではないが、例えば、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル、ウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン共重合物、ポリエステル、反応性ウレタン、エラストマー、合成ゴム、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。なお、一体化用接着剤の量は難燃不織布及び基材の種類によって異なり、特に限定するものではない。
このような本発明の難燃積層体は、前述のような難燃不織布と基材、及び一体化用接着剤とを用意した後、難燃不織布の他表面Bと基材との間に一体化用接着剤が介在するように積層し、前記一体化用接着剤の接着作用を発揮させることによって、製造することができる。なお、一体化用接着剤は、例えば、エマルジョン型、サスペンジョン型、溶液型、ホットメルト型であることができる。また、一体化用接着剤がエマルジョン型、サスペンジョン型、又は溶液型である場合、基材に含まれている接着剤を一体化用接着剤としても使用することができる。更に、ホットメルト型である場合、難燃不織布と基材とを積層した後に加熱して、接着力を発揮させても良いし、溶融状態にあるホットメルト型一体化用接着剤を難燃不織布と基材との間に介在させ、冷却することによって接着力を発揮させても良い。なお、一体化用接着剤がホットメルト型である場合、その形態は、例えば、粉体、繊維、不織布などの繊維集合体、又はフィルムであることができる。なお、一体化用接着剤がフィルム形態のホットメルト型である場合、難燃積層体を成形する場合には、伸びにくく、皺が発生しやすいため、成形する場合の一体化用接着剤は粉体、繊維、又は繊維集合体のホットメルト型であるのが好ましい。また、一体化用接着剤が繊維形態又は繊維集合体形態を有するホットメルト型である場合、ニードルなどにより絡合させた後、接着力を発揮させても良い。
本発明の難燃積層体は難燃不織布と基材とが強固に接着一体化した状態にあり、しかも難燃性にも優れるものであるため、難燃性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、自動車のエンジンルームにおけるインシュレーター;自動車の内装シート;電気製品や自動車等の緩衝材;建物の壁紙などの建材;フィルタ;カーテン、家具などのインテリア材;或いは耐熱衣服の用途に、好適に使用することができる。特に、自動車のエンジンルームにおけるインシュレーターとして使用しても、十分な難燃性を発揮するため好適に使用できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)不織布aの製造;
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維を用意した。
次いで、ポリエステル繊維をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、ノズル径0.13mm、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから水圧9MPaの水流を繊維ウエブの両面に対して噴出して、絡合繊維ウエブを形成した。
続いて、絡合繊維ウエブを125℃で乾燥した後、熱風ドライヤーによる温度195℃での熱処理を約15秒間実施した直後に、温度25℃のカレンダーロールを用い、厚さ方向に4.5kg/cmの線圧で加圧し、不織布a(目付:100g/m、厚さ:390μm)を製造した。
(2)不織布bの製造;
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維を用意した。
次いで、ポリエステル繊維をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、ノズル径0.13mm、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから水圧9MPaの水流を繊維ウエブの両面に対して噴出して、絡合繊維ウエブを形成した。
続いて、絡合繊維ウエブを125℃で乾燥した後、熱風ドライヤーによる温度195℃での熱処理を約15秒間実施した直後に、温度25℃のカレンダーロールを用い、厚さ方向に8.0kg/cmの線圧で加圧し、不織布b(目付:100g/m、厚さ:270μm)を製造した。
(3)不織布cの製造;
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維を用意した。
次いで、ポリエステル繊維をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、ノズル径0.13mm、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから水圧9MPaの水流を繊維ウエブの両面に対して噴出して、絡合繊維ウエブを形成した。
続いて、絡合繊維ウエブを125℃で乾燥した後、熱風ドライヤーによる温度195℃での熱処理を約15秒間実施した直後に、温度25℃のカレンダーロールを用い、厚さ方向に1.2kg/cmの線圧で加圧し、不織布c(目付:100g/m、厚さ:580μm)を製造した。
(4)難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Aの調製;
次の配合からなる難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Aを調製した。
増粘剤[カーボポール(登録商標)940、日本ループリゾール(株)製]・・・0.24質量部
消泡剤[シンエツシリコーン(登録商標)KM−73、信越化学工業(株)製]・・・0.70質量部
アクリル酸エステル樹脂バインダー[ボンコート(登録商標)AB−886、DIC(株)製]・・・8.40質量部
黒顔料[R.W.BLACK RC(V)、DIC(株)製]・・・1.50質量部
ハロゲン系難燃剤[ネオステッカー(登録商標)NB−3700、日華化学(株)製]・・・21.00質量部
25%アンモニア水・・・0.50質量部
水・・・67.66質量部
この難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Aの粘度は4000mPa・sであった。
なお、本実施例における「粘度」はJIS K7117−1;1999に記載のS法(ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計)によって測定した見掛け粘度の値であり、条件は次の通りである。
(i)試験温度: 20℃
(ii)粘度計の型式、スピンドル番号及び回転数:6番、20rpm
(5)難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Bの調製;
次の配合からなる難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Bを調製した。
増粘剤[カーボポール(登録商標)940、日本ループリゾール(株)製]・・・0.30質量部
消泡剤[シンエツシリコーン(登録商標)KM−73、信越化学工業(株)製]・・・0.70質量部
アクリル酸エステル樹脂バインダー[ボンコート(登録商標)AB−886、DIC(株)製]・・・8.40質量部
黒顔料[R.W.BLACK RC(V)、DIC(株)製]・・・1.50質量部
ハロゲン系難燃剤[ネオステッカー(登録商標)NB−3700、日華化学(株)製]・・・21.00質量部
25%アンモニア水・・・0.50質量部
水・・・67.60質量部
この難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Bの粘度は6000mPa・sであった。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1〜3に示す不織布の片表面にのみ、前記難燃剤を含む繊維結合用接着剤液A、又は難燃剤を含む繊維結合用接着剤液Bを、プリント用ロータリースクリーンを用いて、表1〜3に示す条件で塗布した後に、温度185℃に設定したドライヤーにより乾燥して、難燃不織布をそれぞれ製造した。これら難燃不織布の物性は表1〜3に示す通りであった。
Figure 0006602221
#1;(片表面A)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が存在
#2;(他表面B)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が不存在
Figure 0006602221
#1;(片表面A)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が存在
#2;(他表面B)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が不存在
Figure 0006602221
#1;(片表面A)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が存在
#2;(他表面B)〜(他表面Bから表に記載の距離)の範囲に難燃剤が不存在
(難燃不織布の評価)
硬化前のフェノール樹脂を含む粗毛フェルトを基材として準備した。この硬化前のフェノール樹脂は熱で硬化する際に、接着剤の役割を果し、一体化用接着剤に相当する。
次いで、前記各難燃不織布の片表面B(難燃剤を含む繊維結合用接着剤A、Bの塗布面に対向する面)に前記基材を積層した後、温度200℃に設定した熱プレス機で60秒間熱プレスし、難燃不織布と基材とを接着一体化して、難燃積層体をそれぞれ製造した。
その後、難燃積層体の難燃性について、UL94規格のV−0に則って評価した。また、難燃積層体における難燃不織布と基材との接着性について、次の方法により評価した。これらの評価結果は表1〜3に示す通りであった。
(接着性の評価方法)
難燃積層体から30mm×200mmの長方形状サンプルを採取し、サンプルの長手方向末端から30mmだけ、難燃不織布を基材から引き剥がした。その後、引き剥がした難燃不織布に質量50gの錘をぶら下げた。そして、1分後における難燃不織布の剥がれ状態を観察し、難燃不織布が剥がれていない場合を○、難燃不織布が剥がれた場合を×、と評価した。
表1の実施例1と比較例1との対比、表2の実施例3と比較例3との対比、及び表3の実施例4と比較例4との対比から、難燃不織布の片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在していることによって、UL規格のV−0に合格する程の優れた難燃性を有することがわかった。
また、表1の実施例2と比較例2の結果から、難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから10μmまでの範囲に、難燃剤が存在していないことによって、難燃不織布と基材とを強固に接着一体化できることがわかった。
更に、実施例1〜4の結果から、難燃不織布の厚さに関係なく、難燃不織布の片表面Aから、難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在していることによって、UL規格のV−0に合格する程の優れた難燃性を有することがわかった。
本発明の難燃積層体は難燃不織布と基材とが強固に接着一体化した状態にあり、しかも難燃性にも優れるものであるため、難燃性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、自動車のエンジンルームにおけるインシュレーター;自動車の内装シート;電気製品や自動車等の緩衝材;建物の壁紙などの建材;フィルタ;カーテン、家具などのインテリア材;或いは耐熱衣服の用途に、好適に使用することができる。特に、自動車のエンジンルームにおけるインシュレーターとして使用しても、十分な難燃性を発揮するため好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 難燃剤が接着剤によって繊維に接着した、厚さが250μm以上の積層用難燃不織布であり、積層用難燃不織布の片表面Aから、積層用難燃不織布の他表面Bから100μmまでの範囲に、難燃剤が存在しているとともに、積層用難燃不織布の他表面Bから、他表面Bから10μmまでの範囲には、難燃剤が存在していないことを特徴とする、積層用難燃不織布。
  2. 請求項1記載の積層用難燃不織布の他表面Bと基材とが対向した状態で接着していることを特徴とする、難燃積層体。
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