JP6601819B2 - 高感度エレクトロスプレーインターフェース - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み込むものとする2013年8月29日に出願された米国特許仮出願第61/871,562号に対する米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張するものである。
政府支援
本発明は、米国国立衛生研究所の助成による認可番号第R01GM096767号に基づいた政府支援によりなされたものである。政府は本発明について一定の権利を有する。
ボトムアッププロテオミクスは、質量分析法による分析の前にタンパク質のタンパク分解消化によってタンパク質を同定すると共に、そのアミノ酸配列及び翻訳後修飾を特徴付けするために有用な方法である。ボトムアッププロテオミクスは、複雑な生体サンプルに対する定性的及び定量的な特徴付けのために広く使用されている。数マイクログラムの材料が得られれば、哺乳類細胞溶解液からは10,000を超えるタンパク質を、また原核生物溶解液からは2,500を超えるタンパク質を同定することが可能である。ボトムアッププロテオミクスの性能は、レーザ捕獲顕微解剖された組織、循環腫瘍細胞、単一胚及び単一体細胞などの質量制限のあるサンプルでは急速に劣化する。
キャピラリー液体クロマトグラフィ(LC)−エレクトロスプレーイオン化(ESI)−タンデム質量分析法(MS/MS)を用いたナノグラムサンプルのボトムアッププロテオミクスに関しては、一群の報告が存在している。Mannのグループは、タンパク質含有量が数百ngの単一の膵島から2,000のタンパク質を同定した(Waandersら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2009、106、18902)。Kargerのグループは、50ngのメタノサルシナアセチボランスの消化物から566のタンパク質を同定し(Yueら、Anal. Chem.2007、79、938)、また子宮頸がん細胞株の約2.5ngのトリプシン消化物から163のタンパク質を同定した(Luoら、Anal. Chem.2007、79、6174)。Smithのグループは、デイノコッカスラジオデュランスの低ナノグラム量の消化物から精密質量保持時間タグ(AMT)[8]方針によって870のタンパク質を検出した(Smithら、Proteomics 2002、2、513)。Smithのグループはまた、0.5pgのサンプルにおけるAMT法による3つの最も豊富なタンパク質の検出を報告しており、またウシ血清アルブミン消化物中のあるペプチドについて約10zmoleの検出限界を報告している(Shenら、Anal. Chem.2004、76、144)。Dovichiと同僚研究者らは、Q−Exactive質量分析装置をより高いエネルギーの衝突解離で使用し(Olsenら、Nat. Methods 2007、4、709)、RAW264.7マクロファージ細胞株の1ngの消化物から約100のタンパク質群を同定した(Sunら、Rapid Commun. Mass Spectrom. 2013、27、157)。これらの分析ではすべて、少なくとも1時間の計器時間を必要とした。したがって、フェムトグラム量のタンパク質消化物をボトムアップ分析するより迅速な方法があれば、プロテオミクスコミュニティに大きな恩恵となろう。
キャピラリーゾーン電気泳動−エレクトロスプレーイオン化−タンデム質量分析法(CZE−ESI−MS/MS)は、ボトムアッププロテオミクスについて注目を集めており、またこの方式は、低ナノグラムサンプルについて性能がLC−MS/MSを一貫して凌駕している。小さいサンプル量に関するCZEの性能の向上は、これが非常に単純な設計であり、このためインジェクタやフィッチングでのサンプル損失が排除されることに由来すると思われる。Smithのグループ(Smithら、Anal. Chem.1988、60、1948)の先駆的な研究に始まり、キャピラリー電気泳動に関してエレクトロスプレーインターフェースが開発されてきた(Maxwellら、Anal. Chim. Acta 2008、627、25)。しかし、シース流量が低いことによるサンプル希釈の低減のため、機械式ポンプを排除するため、広範な分離バッファを許容するため、及びナノスプレーレジームでの動作の安定化のために、新たなインターフェースが必要である。
本発明は、改良型の動電学的ポンピング式シースフローインターフェースに基づいた超高感度且つ高速のキャピラリーゾーン電気泳動−エレクトロスプレーイオン化−タンデム質量分析法(CZE−ESI−MS/MS)システムを実現する。改良型の動電学的ポンピング式インターフェースは、シース流量が非常に低いことによるサンプル希釈の低減、機械式ポンプの排除、広範な分離バッファの許容、市販のキャピラリー電気泳動計器との適合性、及びナノスプレーレジームにおける安定な動作を含む幾つかの利点を有する。本システムは、フェムトグラム量のタンパク質消化物に関する迅速なボトムアップ分析のために有用であり、且つ極めて高い感度を実現する。
したがって、本発明は、キャピラリーからエレクトロスプレーを製造するためのシースフローインターフェースであって、
(a)検体液を含有するように構成され、検体液を受け取るように構成された噴射端と検体流出液を排出するように構成された遠位端とを有するキャピラリーであって、遠位端のセグメントの外径が約20μm〜約200μmの範囲の低減された外径までテーパが付けられている、キャピラリーと、
(b)少なくともキャピラリーの遠位端を囲繞して共軸性に配置されたエレクトロスプレー放出体であって、キャピラリーの遠位端に関連して共軸性に配置された開口で終わるようにテーパが付けられた遠位端を有するエレクトロスプレー放出体と、
(c)エレクトロスプレー放出体の内部と液体連通するシース液リザーバであって、電導性のシース液がシース液リザーバから、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の中間の接続用フィクスチャを通過し、キャピラリーの遠位端を横断し、且つエレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口を通過して流れることが可能である、シース液リザーバと、
を含むインターフェースを実現する。
本シースフローインターフェースは、キャピラリーの遠位端とエレクトロスプレー放出体オリフィスとがエレクトロスプレー放出体内で約750μm〜約100nmの距離だけ離間されるように構成することが可能である。キャピラリーの外径が放出体オリフィスの直径より小さい実施形態では、キャピラリーの遠位端を放出体オリフィス開口内に存在させるように構成することが可能である。さらに、キャピラリーの遠位端は、放出体オリフィス開口より先に約100μmまで延びることが可能である。
シース液は、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の間に電気的接触を実現することが可能である。本シースフローインターフェースは、検体流出液と混合されたシース液の動電学的フローによって生成されたナノスプレーを製造するように構成することが可能である。さらに、動電学的フローは、エレクトロスプレー放出体とエレクトロスプレー放出体の開口に隣接するが物理的に接触しないように配置された標的面との間の電位によって生成することが可能である。
様々な実施形態では、キャピラリーの遠位端の外径を、約20μm〜約75μm、又は約45μm〜約65μmとすることが可能である。低減された外径までテーパが付けられた遠位端のセグメントは、約0.1mm〜約10mm(典型的には、約5mm)のセグメント長とすることが可能である。
本シースフローインターフェースは、キャピラリーゾーン電気泳動及びタンデム質量分析装置によって構成されたときに400フェムトグラムのペプチドサンプルから複数のペプチドを、12分未満又は10分未満の質量分析法計器時間で検出することが可能である。複数のペプチドは、E.coliトリプシン消化物などのペプチド消化物を含む。
本シースフローインターフェースは、キャピラリーゾーン電気泳動計器及び質量分析装置によって構成することが可能であり、この際に150を超えるペプチドを精密質量保持時間タグによってピコグラム未満量の複雑なタンパク質消化物から12分未満の質量分析装置時間で(多くの場合に、10分未満の質量分析装置時間で)同定することが可能である。
質量分析装置検出限界は、約1〜10ゼプトモルにすること(例えば、概ね1ゼプトモル程度に小さくすること)が可能である。
本発明はまた、請求項1のシースフローインターフェースをキャピラリーゾーン電気泳動計器によって構成するステップを含むタンパク質消化物を分析するための方法を提供しており、ここで検体液は分離キャピラリー内でキャピラリーゾーン電気泳動によって分離され且つ約300V/cmの電界を提供するように約10kVの電位が印加されて、広い検体分離ウィンドウが生じ、その間に検体はキャピラリーからインターフェース内まで約60分以内で移動する。ペプチド分離について、250,000理論段〜約350,000理論段の平均値が得られる。
幾つかの実施形態では、シースフローインターフェースの分離キャピラリーの内径は約5μm〜約75μmである。様々な実施形態では、スプレーに関する総流量は、約15〜約200nL/分、約20〜約200nL/分、約15〜約25nL/分、又は約20nL/分である。本方法は、本明細書に記載したシースフローインターフェースをタンデム質量分析法によって構成するステップを含むことが可能であり、シースフローインターフェースは質量分析装置に対して分析のためにナノスプレーを提供するように構成され、標的面は質量分析装置の入力オリフィスであり、且つタンパク質サンプルの下側検出限界が約3フェムトグラム約5フェムトグラムである。分析されるペプチドの質量検出限界は、特に内径が小さい分離キャピラリー(例えば、直径が約15マイクロメートル未満、典型的には約10マイクロメートル)の場合に約1ゼプトモルとすることが可能である。非常に低い質量検出限界を達成するためには、高感度の質量分析装置を利用すべきである。高感度の質量分析装置の一例は、Q−Exactive四重極オービトラップ型質量分析装置(Quadrupole−Orbitrap Mass Spectrometer)(Thermo Fisher Scientific Inc.)である。分析されるペプチドの信号対雑音比は、約260:1〜約300:1とすることが可能である。
本発明はさらに、本明細書に記載したシースフローインターフェースを用いてキャピラリーから検体流出液のナノスプレーを製造するための方法であって、シース液の電気浸透性フローを、シース液リザーバから、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の中間の接続用フィクスチャを通過し、キャピラリーの遠位端を横断し、且つエレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口を通過するように駆出するのに十分な電圧をシース液リザーバに印加するステップを含み、キャピラリーの噴射端に電圧を印加することによって、検体流出液がキャピラリーゾーン電気泳動によってキャピラリー内で分離されている、方法を実現する。
様々な実施形態では、検体液は動電学的な力又は機械式ポンピング力によってキャピラリーを通るように移動させることが可能である。検体液は、キャピラリーゾーン電気泳動、ミセル動電クロマトグラフィ、キャピラリー電気クロマトグラフィ、キャピラリー等電点電気泳動、キャピラリー液体クロマトグラフィ、又はこれらの組み合わせによってキャピラリー内で分離することが可能である。ナノスプレーは、例えば電気浸透性フローによって製造することが可能である。検体液は、キャピラリー内で電気泳動によって分離することが可能であり、この際ナノスプレーが電気浸透性フローによって製造されると共に、電気泳動と電気浸透性フローの両方がキャピラリーの噴射端、シース液リザーバ及び標的面の間に電位を印加することによって駆出される。検体液は、クロマトグラフィによって分離することが可能であり、ここでフローは従来の液体クロマトグラフィの機械式ポンプによるか電気クロマトグラフィの動電学的フローによるかのいずれかで駆出される(このケースでは、エレクトロスプレーをエレクトロスプレー放出体内の電気浸透性フローによって駆出することが可能である)。
シースフローインターフェースは、質量分析装置に対して分析のためにナノスプレーを提供するように構成することが可能であり、またこの際に標的面は質量分析装置の入力オリフィスとなる。標的面を接地に保持することが可能であり、又は標的面をある電位に保持することが可能である。シース液は、検体流出液の質量分析装置との適合性を高めるように構成することが可能である。エレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口は、約0.5μm〜約50μm直径とする、又は約0.5μm〜約30μm直径とすることが可能である。
本発明はまた、タンパク質消化物などの生体分子を分析するための方法を実現する。本方法は、タンパク質消化物から検体流出液を形成するステップと、上に記載したシースフローインターフェースの実施形態を使用してキャピラリーから検体流出液のナノスプレーを製造するステップと、を含むことが可能である。検体流出液のナノスプレーを製造する方法は、シース液の電気浸透性フローがシース液リザーバから、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の中間の接続用フィクスチャを通過し、キャピラリーの遠位端を横断し、且つエレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口を通過して駆出されるのに十分な電圧をシース液リザーバに印加するステップを含むことが可能である。検体流出液は、キャピラリーの噴射端に電圧を印加することによってキャピラリー内でキャピラリーゾーン電気泳動によって分離されることが可能である。
以下の図面は、本明細書の一部を成すものであり、また本発明のある種の実施形態又は様々な態様をさらに論証するために含めたものである。幾つかの事例において、本発明の実施形態は本明細書に提示した詳細な説明と併せて添付の図面を参照することによって最良に理解することが可能である。この説明及び添付の図面は、本発明に関するある具体的な例又はある種の態様を強調していることがある。しかし当業者であれば、こうした例や態様の一部を本発明の他の例や態様と組み合わせて使用し得ることを理解されよう。
開示した実施形態に従った代表的なインターフェースの概要図である。シース液は、ポンプ動電学的フローにより、HV2と質量分析装置の入口の間の電位差によって駆出することが可能である。分離は、キャピラリーの入口(HV1)と出口(HV2)の間の電位差によって駆動することが可能である。 (B)質量分析装置を伴った代表的なインターフェースの概要図である。シース液は、ポンプ動電学的フローにより、HV2と質量分析装置の入口の間の電位差によって駆出することが可能である。分離は、キャピラリーの入口(HV1)と出口(HV2)の間の電位差によって駆動することが可能である。 一実施形態によるインターフェースの構成要素の図である。 CZE−ESI−MS/MSシステムの図である。システムのスケッチ(A)、エレクトロスプレー放出体内のエッチングされたキャピラリーのスケッチ(B)、及び放出体内のエッチングされたキャピラリーの顕微鏡写真(C)である。 CZE−ESI−MS/MSによって三重式に分析された16pg量のE.coli消化物からのタンデムスペクトルに基づいて同定された50の高強度ペプチドに関する抽出イオン電気泳動図である。抽出に関する質量許容値は2ppmであった。 16pgのE.coli消化物の三重ランに関するペプチド移動時間の相対標準偏差(RSD)分布の図である。選択したイオン電気泳動図は、154の高強度ペプチドから作成した。ペプチドピーク抽出に使用した質量許容値は3ppmとした。教師なし式非線形最小二乗当て嵌め:Intensity(t)=a×exp(−0.5*(t−t)/width+offset(ここで、tは時間、tはピーク移動時間、aはピーク振幅、widthはガウス型の標準偏差でのピークの幅、またoffsetはdcオフセットである)を用いて電気泳動図に対してガウス関数を当て嵌めた。計算にはMATLABの当て嵌めルーチンを使用した。aとtの初期推定値には、各電気泳動図の最大点に関する振幅及び移動時間を使用した。widthの初期推定値は3秒とした。offsetの初期推定値は電気泳動図の中央値とした。移動時間の相対標準偏差は、三重電気泳動図の各組ごとにstd(t)/mean(t)×100%で計算した。 16pg量のE.coli消化物からCZE−ESI−MS/MSにより三重式に同定したペプチドのピーク幅分布の図である。ピーク幅は、上の図5の説明に記載した非線形回帰分析から決定した。ガウス関数の半値全幅=2.35×widthであり、また基準線の全幅は4×widthである。 16pg量のE.coli消化物からCZE−ESI−MS/MSにより三重式に同定したペプチドの理論段の数(N)の分布の図である。理論段の数は、N=(t/width)(t及びwidthは上の図5の説明に記載した非線形回帰分析で決定したもの)により計算した。 分析した16pg量のE.coli消化物からのランの間のペプチド強度の相関関係(16pg量のE.coli_第1ランからのペプチド強度対16pg量のE.coli_第2ランからのペプチド強度)の図である。ペプチド強度は、MaxQuantソフトウェア(v.1.3.0.5)によるデータベース検索結果から取得しており、同定したペプチド配列に関連付けされたすべての同位体クラスターに関する抽出イオン電流(eXtracted Ion Current;XIC)の総和である。 分析した16pg量のE.coli消化物からのランの間のペプチド強度の相関関係(16pg量のE.coli_第1ランからのペプチド強度対16pg量のE.coli_第3ランからのペプチド強度)の図である。ペプチド強度は、MaxQuantソフトウェア(v.1.3.0.5)によるデータベース検索結果から取得しており、同定したペプチド配列に関連付けされたすべての同位体クラスターに関する抽出イオン電流(eXtracted Ion Current;XIC)の総和である。 分析した16pg量のE.coli消化物からのランの間のペプチド強度の相関関係(16pg量のE.coli_第2ランからのペプチド強度対16pg量のE.coli_第3ランからのペプチド強度)の図である。ペプチド強度は、MaxQuantソフトウェア(v.1.3.0.5)によるデータベース検索結果から取得しており、同定したペプチド配列に関連付けされたすべての同位体クラスターに関する抽出イオン電流(eXtracted Ion Current;XIC)の総和である。 E.coli消化物の装填量とタンデムスペクトル(線で繋いだ点)及び精密質量保持時間タグ(星印=AMT)に基づいた同定との間の関係の図である。タンパク質同定である。各サンプルは二重又は三重式で分析した。400fg量のE.coli消化物からのAMTに基づいた同定には星印で標識を付けた。エラーバーは平均値の標準偏差である。 E.coli消化物の装填量とタンデムスペクトル(線で繋いだ点)及び精密質量保持時間タグ(星印=AMT)に基づいた同定との間の関係の図である。ペプチド同定である。各サンプルは二重又は三重式で分析した。400fg量のE.coli消化物からのAMTに基づいた同定には星印で標識を付けた。エラーバーは平均値の標準偏差である。 精密質量保持時間タグ(AMT)法に基づいた、400fg量のE.coli消化物からの同定ペプチドの抽出イオン電気泳動図(上側)、及び16pg量のE.coli消化物からの対応する電気泳動図(下側)である(電気泳動図の153の追加対は図示せず)。ピーク抽出に使用した質量許容値は3ppmとした。 ペプチド検出限界の計算のために400fg量のE.coli消化物からMS/MSにより同定した3つの伸長因子Tuペプチドの一つの抽出イオン電気泳動図である。 ペプチド検出限界の計算のために400fg量のE.coli消化物からMS/MSにより同定した3つの伸長因子Tuペプチドの一つの抽出イオン電気泳動図である。 ペプチド検出限界の計算のために400fg量のE.coli消化物からMS/MSにより同定した3つの伸長因子Tuペプチドの一つの抽出イオン電気泳動図である。 CZE−PRM分析後におけるアンジオテンシンIIの装填量及びフラグメントイオン(y2及びb6)強度に関する広ダイナミックレンジ較正曲線の図である。これらの線はlog−logデータに対する非重み付け線形当て嵌めの結果である。 三重式CZE−PRM分析からの異なる装填量(2amole〜150fmole)に関する移動時間とアンジオテンシンIIフラグメントイオンの強度(y2)との相対標準偏差(RSD)の図である。 CZE−ESI−MS分析後におけるMCF7消化物の基準ピーク電気泳動図である。(A)分離全体、(B)12〜18分の分離に関する詳細である。データは、ガウス型カーネル及びスパンを10点としたLowessフィルタによって処理した。サンプル装填量は約60ngとし、キャピラリーは内径20μm及び長さ100cmとし、分離バッファは0.5%(v/v)FAとし、また分離には電界強度280V/cmを使用した。
本明細書では、動電学的ポンピング式シースフローエレクトロスプレーインターフェース及びキャピラリー電気泳動と結合させたときのその使用の論証について説明している。有用なキャピラリー電気泳動システムについては、WojcikらのRapid Commun. Mass Spectrom. 2010;24:2554〜60を参照されたい。以前のインターフェースに対する有意な修正について本明細書で説明しており、この修正によって概ね2桁の感度改良が得られる。この改良型のインターフェースは、E.coli溶解液の400フェムトグラムのトリプシン消化物を含む多種多様な消化物の分析について使用されている。当該消化物においては、60を超えるタンパク質から154のペプチドが10分の分析で同定される。同じタンパク質からの3つのペプチドについての質量検出限界は概ね1ゼプトモル(600分子)である。この改良型インターフェースによって、ボトムアップタンパク質同定に関する技術水準においては2桁の改良、またMSベースのペプチド検出限界に関する技術水準においては1桁の改良がもたらされる。
テーパ付きのキャピラリーの重要性は、市販の電気泳動計器で使用されるキャピラリーの寸法からその一部が生じている。当該計器(例えば、Beckmanの計器)は典型的には、375マイクロメートル外径の溶融シリカ製キャピラリーを使用している。当該キャピラリーは、あまりに大きすぎるため本明細書に記載した改良型のインターフェースで使用することができない、その理由はキャピラリー先端から放出体オリフィスまでの距離を短縮しようと試みるとき標準キャピラリー先端が放出体に突き当たってしまうからである。キャピラリーの遠位端を修正する(例えば、その外径を低減する)ことによって、これらは本明細書に記載したインターフェースと適合するようになる。
定義
以下の定義は、本明細書及び特許請求の範囲に関する明瞭であり且つ一貫した理解を実現するために含めたものである。本明細書で使用する場合に、記載した用語は以下の意味をもつものとする。本明細書で使用している他の用語及び言い回しはすべて、当業者により理解される通常の意味を有するものとする。このような通常の意味は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 第14版(R.J.Lewis、John Wiley & Sons、New York、N.Y.、2001)などの技術辞典を参照することにより得ることができる。
明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、その他に対する言及は、記載した実施形態がある特定の態様、特徴、構造、部分又は特性を含み得るが、必ずしもすべての実施形態が当該の態様、特徴、構造、部分又は特性を含むとは限らないことを示している。さらに、このような言い回しは、明細書の他の部分において言及された同じ実施形態を示すことがある(ただし、必ずそうなるものではない)。さらに、ある実施形態に関連してある特定の態様、特徴、構造、部分又は特性を説明している場合、明示的に記載しているかどうかによらず、このような態様、特徴、構造、部分又は特性が他の実施形態により影響を受けること又は他の実施形態と関連することは当業者の知見の域内にあろう。
単数形の「a」「an」及び「the」は、コンテキストによって明瞭に否定の規定をしない限り複数言及を含むものとする。したがって例えば、「ある化合物(a compound)」に対する言及には、複数のこのような化合物を含み、したがってある化合物X(a compound X)は複数の化合物Xを含む。さらに本特許請求の範囲が任意選択の要素を全く排除するように記載され得ることに留意されたい。このため、この表明は、本明細書に記載した任意の要素との連携した「ただ単に(solely)」、「のみ(only)」、その他などの排除的用語法の使用、及び/又は特許請求要素の記載や「否定的(negative)」限定の使用のための先行基準の役割をするように意図したものである。
「及び/又は」という用語は、その用語が関連付けされる項目のうちの任意の1つ、これらの項目の任意の組み合わせ、又はこれらの項目のすべてを意味する。「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」という言い回しは、特にその使用されるコンテキストで読めば当業者は容易に理解されよう。例えばこの言い回しは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、10個、100個、又は記載した下側限界より概ね10倍、100倍又は1000倍大きな任意の上側限界を意味することが可能である。例えば、1つ又は複数の検体とは、1つ、1つ又は2つ、1つから3つ、1つから4つ、1つから5つ、1〜10個、1〜100個、又は1〜500個の異なる検体や異なる種類の検体を示すことが可能である。
「約(about)」という用語は、指定された値に関する±5%、±10%、±20%又は±25%の変動を示すことが可能である。例えば「約50」パーセントとは幾つかの実施形態では、45〜55パーセントまでの変動を帯びることが可能である。整数の範囲の場合に「約」という用語は、その範囲の両端において記載された整数を超える及び/又は記載された整数未満の1つ又は2つの整数を含むことが可能である。本明細書で特に否定の記述をしない限り、「約」という用語は、個別の成分、組成又は実施形態の機能に関した等価である記載の範囲に近い値(例えば、重量パーセント)を含むように意図している。「約」という用語はまた、この段落の上の検討のように、記載した範囲の端の点の変更が可能である。
当業者であれば理解されるように、成分の量や、分子量、反応条件などの特質、その他を表現するものを含む数値のすべては近似値であり、またすべての事例について「約」という用語によって任意選択で修飾されるものと理解される。これらの値は、当業者が本明細書の説明の教示を利用して得ようとする所望の特質に応じて様々となる可能性がある。さらに、このような値は、当該の試験計測値から得られる標準偏差に由来するのが必然的である変動性を本来的に包含することを理解されたい。
ありとあらゆる目的(特に、記載の説明の提供に関する目的)について、本明細書に示したすべての範囲がまた、ありとあらゆる可能な下位範囲並びにその下位範囲の組み合わせ、さらにまたこの範囲を形成する個々の値(特に、整数値)を包含することは当業者であれば理解されよう。記載した範囲(例えば、重量パーセントや炭素基)は、当該範囲内にある具体的な各値、整数、小数、又は恒等を含む。リストした任意の範囲は、同じ範囲が少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、又は10等分に細分割されることを十分に示し且つ当該細分割が可能であると容易に認識することが可能であろう。非限定の例として、本明細書で検討している各範囲は、下側3分の1、中間3分の1及び上側3分の1、その他に容易に細分割可能である。さらに、「〜までの(up to)」、「少なくとも」、「を超える(greater than)」、「〜未満の(less than)」、「〜より多くの(more than)」、「〜以上の(or more)」、その他のすべての言語表現は記載した数値を含むと共に、このような用語は上で検討したように下位範囲まで引き続き細分割することが可能な範囲を指すものであることは当業者であれば理解されよう。同様の方式で、本明細書に示したすべての比率もまた、より広い比率の域内にあるすべての下位比率を含む。したがって、ラジカル、置換成分について示した具体的な値及び範囲は、単に例証を目的としており、これによってラジカル及び置換成分に関する規定された範囲にある別の規定された値又はその他の値が排除されるものではない。
当業者であればまた、構成対象が、マーカッシュグループの形など通常の方式で一体にグループ分けされている場合に、本発明が全体としてリストされたグループ全体を包含するだけではなく、グループの各構成対象を個別にまた主グループの可能なすべての下位グループも包含することを容易に認識されよう。さらにすべての目的において、本発明は主グループを包含するだけではなく、グループ構成対象のうちの1つ又は複数を欠いた主グループも包含する。本発明ではしたがって、示したグループの構成対象のうちの任意の1つ又は複数に関する明示的な排除が想定される。したがって、但し書きは開示した範疇又は実施形態のいずれにも適用し得るものであり、記載した元素、化学種又は実施形態のうちの任意の1つ又は複数が、例えば明示的な否定的限定で使用するために、こうした範疇又は実施形態から排除されることがあり得る。
「接触して(contacting)」という用語は、接触するという動作、接触させるという動作、或いは細胞又は分子レベルでの近接を含め密接又は近接近状態にするという動作であり、これにより例えば、溶液中、反応混合物中、インビトロ又はインビボで生理学的反応、化学的反応、又は物理的変化が引き起こされるものを示している。
「有効量」とは、反応混合物内での生成物の形成に必要な量など記載した効果をもたらすために有効となる量を示している。有効量の決定は、特に本明細書で提示した開示の詳細に照らした際に当業者の能力域内にあるのが典型的である。「有効量」という用語は、例えば反応混合物における生成物の形成に有効である、本明細書に記載したある化合物や試薬の量、又は本明細書に記載したある化合物や試薬の合成体の量を含むように意図している。したがって、「有効量」とは一般に、質量分析図を取得するためのタンパク質の最小量など所望の効果をもたらす量のことを意味する。
「ナノスプレー」という用語は、大きさがマイクロメートル未満の液滴からなるエアロゾルを生成する方法、又はこのようなプロセスの生成物のことを示している。ナノスプレーは、静電界が液体の表面張力に打ち克って液体のジェットを形成するエレクトロスプレーイオン化の一形態である。ナノスプレーは、マイクロメートルサイズの出口及びnL/分範囲の流量を有するガラス製キャピラリーを利用することが可能である。
「電気浸透性フロー」という用語は、キャピラリーチューブ、マイクロチャンネル又は他の流体コンジットにかけられた印加電位によって誘導される液体の移動を示している。
シースフローエレクトロスプレーインターフェース
キャピラリー電気泳動(CE)とエレクトロスプレーイオン化質量分析法(MS)とをハイフンで繋げることは1980年代後半に開発されたものであり、この時以降、本技法の組み合わせ使用が着実に進展してきた。キャピラリー電気泳動−エレクトロスプレーイオン化インターフェースは一般に、シースレス、コアキシャルシースフロー、及び液体接合インターフェースという3つのカテゴリーに分類される。
シースフローインターフェースは、分離キャピラリーから移動したものに従って検体と混合するコアキシャルシース液を使用する。シース液は、電気泳動分離とエレクトロスプレーイオン化源の間に電気的接触をもたらす。シース液はまた、分離バッファがMS検出とより高い適合性となるように分離バッファを修飾することが可能である。現在市販されているシースフローインターフェースでは、分離キャピラリーの遠位端を、キャピラリーの端部がチューブより先まで延びるようにして同心性のチューブに挿入している。電気的接触は、チューブから突き出たキャピラリーを越えて流れるシース液によってなされており、またスプレー形成を支援するように噴霧器ガスが供給される。シース液は安定したスプレーが維持される速度でポンピングされており、またインターフェースは比較的高いシース流量(典型的には、毎分2、3マイクロリットルから数マイクロリットルの範囲)で動作しており、これによりかなりのサンプル希釈を生じる可能性がある。
液体接合インターフェースでは、分離キャピラリーとエレクトロスプレー放出体オリフィスをわずかなギャップだけ離間させている。エレクトロスプレーを駆出するようにこのギャップによって電気的接触がなされている。しかしながら、このギャップは分離効率の低下を及ぼす可能性がある。
シースレスインターフェースによれば、シース液に関連するサンプル希釈が排除され、より高い感度を生じさせる傾向がある。シースレスインターフェースでは、分離キャピラリーがエレクトロスプレー放出体の役割をすることが多い。シースレスインターフェースの設計に関する進行中の研究は、分離キャピラリーの遠位端での電気的接触の確立に重点を置いている。変形形態には、キャピラリーの外側先端を金属でコーティングすること、キャピラリー出口内部に電極を挿入すること、多孔性のエッチング済みキャピラリー壁を使用すること、及びマイクロダイアリシス接合を使用することが含まれる。シースレスインターフェースの大きな欠点は、分離条件から生じる非常に小さい流量に由来するスプレーの不安定性、さらにまたポストカラムケミストリーがないことによる分離バッファ選択の制限がある。
シースフローとシースレスインターフェースの両方の最初の設計に関連する問題のうちの幾つかを克服するために、低フローバージョンのシースフローインターフェースが導入された。この設計では、分離キャピラリーがテーパ付きのガラス製放出体の内部に挿入されている。放出体内には第2のキャピラリーが挿入されており、1μL/分の流量のポンピングでシース液を供給する。エレクトロスプレー電圧は、放出体内に挿入されたステンレス鋼製ワイヤによって供給される。
テーパ付きの放出体を備えるシースフローインターフェースは、より低流量への対応に関連するのみならず、脱溶媒の改善、感度の向上及び耐塩性の上昇にも関連するナノスプレーレジームで動作可能である。しかし、CE流出液からナノスプレーを製造しようとする試みでは、キャピラリー電気泳動質量分析法(CE−MS)の分野を前進させるために克服しなければならない多くの技術的問題が提起される。本明細書では、これらの問題を克服するためのシステム及び方法について記載することにする。
したがって一実施形態では、本発明は、キャピラリーからエレクトロスプレーを製造するためのシースフローインターフェースを実現する。本インターフェースは、(a)検体液を含有するように構成された、検体液を受け取るように構成された噴射端と検体流出液を排出するように構成された遠位端とを有するキャピラリーであって、当該遠位端のセグメントの外径は約20μm〜約200μm、約20μm〜約100μm、又は約40μm〜約100μmの範囲内で低減された外径までテーパが付けられている、キャピラリーと、(b)少なくともキャピラリーの遠位端を囲繞して共軸性に配置されたエレクトロスプレー放出体であって、キャピラリーの遠位端に関連して共軸性に配置された開口で終わるようにテーパが付けられた遠位端を有するエレクトロスプレー放出体と、(c)エレクトロスプレー放出体の内部と液体連通するシース液リザーバであって、電導性のシース液がシース液リザーバから、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の中間の接続用フィクスチャを通過し、キャピラリーの遠位端を横断し、且つエレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口を通過して流れることを許容するシース液リザーバと、を含むことが可能である。
シース液は、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の間に電気的接触を実現することが可能である。本シースフローインターフェースは、検体流出液と混合されたシース液の動電学的フローによって生成されたナノスプレーを製造するように構成することが可能である。動電学的フローは、エレクトロスプレー放出体とエレクトロスプレー放出体の開口に隣接するが物理的に接触しないように配置された標的面との間の電位によって生成することが可能である。本インターフェースはしたがって、キャピラリーからエレクトロスプレーを製造するために使用することが可能であり、このエレクトロスプレーは、蒸発光散乱検出、誘導結合型プラズマ検出、及び後続の分析のための表面上への標的分子エレクトロスプレー析出などエレクトロスプレーを利用可能な質量分析法の分析や他の分析技法のためのイオン源として使用することが可能である。
本シースフローインターフェースについて、図1Aを参照しながらさらに説明することが可能である。インターフェース100はキャピラリー102を含む。キャピラリー102は、検体液を受け取るように構成された噴射端104を含む。検体液は、当業者に知られた様々な手段によって噴射端104のところでキャピラリー102に導入することが可能である。例えば噴射端104は、クロマトグラフィカラムとインターフェースすることが可能であり、これによりクロマトグラフィカラムからの流出液がキャピラリー102に噴射するようにしている。キャピラリー102に検体を提供するための他の方法には、噴射端104を検体のリザーバと接触させるステップと、動電学的、流体静力学的又は流体力学的な噴射を実行するステップと、を含む。
キャピラリー102は、検体流出液を放出するように構成された遠位端106を有する。遠位端106の外側面直径は、キャピラリー102の残りの部分の外径と比較して低減させている。遠位端106の遠位セグメント(例えば、キャピラリー102の最終の0.1〜10mm)は、約30%〜約90%だけ、又は約40%〜約75%だけ(多くの場合に、約60%だけ)低減させた外径を有することが可能であり、一方内径は概ね同じのままである。したがって、キャピラリー102の外径が約150μmである実施形態では、遠位端106の外径は、約20μm〜約200μm、約20μm〜約100μm、約40μm〜約100μm、約60μm又は約50μmの外径まで低減することが可能である。
キャピラリーの遠位端の外径は、内径に影響を及ぼすことなく化学的に低減させるのが典型的である。他の実施形態では、例えば加熱及び引張り技法によって、外径が低減されたときに内径もまた低減する可能性がある。キャピラリーの遠位端の外径を低減するための他の技法には、機械的研削及びサンドブラスティングが含まれる。
本明細書で使用する場合に検体流出液とは、キャピラリー102の長さ方向に通過した遠位端106から放出される検体のことを指す。検体流出液は、動電学的力(例えば、電気浸透性及び/又は電気泳動フロー)を用いることによるなど様々な手段によってキャピラリー102を通るように移動させることが可能である。
キャピラリー102の周りにはエレクトロスプレー放出体110が配置される。エレクトロスプレー放出体は、少なくともキャピラリー102の遠位端106の周りに共軸性に配置させ、これによりキャピラリー102とエレクトロスプレー放出体110の開口114とが図1Aに示したような軸Aに沿って共軸性に配列されるようにしている。エレクトロスプレー放出体110の遠位端112は、開口114を形成するために放出体110のチューブ状円筒体部からテーパ付きとなっている。
エレクトロスプレーは、キャピラリー102を通り且つ放出体110の開口114を通る検体流出液から生成することが可能である。エレクトロスプレーを製造するために、放出体110の内部116を通って流れるシース液を提供することが可能である。シース液は、シース液リザーバ120から内部116に送達することが可能である。接続フィクスチャ124によって、シース液リザーバ120と内部116の間に液体連通を設けることが可能である。
エレクトロスプレーを製造するために、シース液は放出体110の内部116を通過し且つキャピラリー102の遠位端106を越えて流れることが可能である。シース液は、キャピラリー102の遠位端106を越えて流れる際に、キャピラリー102から放出された検体流出液と相互作用し、検体流出液を開口114の方向に押す。生成されるエレクトロスプレーはしたがって、検体流出液とシース液の混合液を含む。
エレクトロスプレーは、シース液リザーバ120と標的面130の間に少なくとも電圧HV2を印加することによって生成することが可能である。電圧HV2は、放出体110の内部表面のゼータ電位を使用してシース液の電気浸透性フローを駆出する。HV2電圧は、開口114からエレクトロスプレーを生成するのに十分な動電学的フローをもたらすことが可能である。このエレクトロスプレーをナノスプレーとすることが可能である。標的面130は、接地に又はある電圧に保持することが可能である。
幾つかの実施形態では、キャピラリー102に電圧HV1を印加することが可能である。エレクトロスプレーは次いで、電圧HV1とHV2の組み合わせによって生成される放出体開口114の電界、又は標的面130の表面電位によって維持される。このような構成では、HV1とHV2の両方の電位が放出体のところの電界に寄与する。放出体のところの電位がHV2によってだけ制御されるのが理想的である。キャピラリーの抵抗は、HV1がエレクトロスプレーに対してほとんど影響を及ぼさないように十分に大きくするのが典型的である。一方で電気泳動は、HV1とHV2の電位の差によって駆動される。HV2電圧又は標的面130の表面電位は、放出体において所望の電界を維持するように調節可能な追加の電位源である。
キャピラリー102はキャピラリー電気泳動(CE)のために使用することが可能である。インターフェースがCE向けに構成されている場合、HV1からHV2まで降下させた電圧によって、キャピラリー102を通過する1つ又は複数の検体に対する動電学的分離の形態の動電学的フローがもたらされる。
シース液は、キャピラリー102の遠位端106と放出体110の遠位端112の間にエレクトロスプレー生成プロセスを駆動させるのに十分な電気的接続がもたらされる導電率特性を有することが可能である。エレクトロスプレーが発生させる電流は、液体の伝導率と比例する可能性がある。代表的なシース液には例えば、50%メタノール/アセトニトリル又はイソプロパノール中の10mMギ酸又は酢酸が含まれる。有機溶剤の百分率は関心対象の検体に応じて様々とすることが可能であることは当業者であれば理解されよう。シース液には、ギ酸アンモニウムや酢酸アンモニウムなどの揮発性塩を添加することが可能である。
検体は、キャピラリー102を通過する検体液によって運ばれる多種多様な組成の物質とすることが可能である。検体は検体液自体とすることがあり、或いは検体を検体液内に溶解させることがある。別法として、検体を検体液と不均一に混合させることがある。代表的な検体には、極性の小分子やその塩、及び大きな生体分子(例えば、代謝産物、ペプチド、タンパク質、脂質、グリカン、及び核酸)が含まれる。他の検体には、農薬、環境汚染物、薬剤やその混入物、代謝産物、その他が含まれる。
インターフェース100の個々の構成要素に関するさらなる詳細について以下に含めている。
キャピラリー102は、検体流出液を提供するのに適当且つ有効な任意のキャピラリーとすることが可能である。代表的なキャピラリーは、ガラス(例えば、溶融シリカ)又はプラスチックから形成することが可能であり、またチューブ形態を有する円筒状の体部とすることが可能であり、この際にキャピラリーの内径は概ね約0.5マイクロメートル〜約500マイクロメートルである。一実施形態では、その内径は、約5マイクロメートル〜約75マイクロメートル、5マイクロメートル〜約25マイクロメートル、5マイクロメートル〜約15マイクロメートル、又は約10マイクロメートルである。
放出体110は、ガラス、溶融シリカ、及び放出体について適当且つ有効な他の任意の材料から形成することが可能である。TEFLONなどのポリマーも使用可能であり、これは本明細書に記載したような放出体110に適した構造を形成するように成形が可能なセラミックや任意の非導体材料が可能であるのと同様である。放出体110は、遠位端112に向けたテーパ付けの手前では均一な円筒であるのが典型的である。しかし放出体110は、全体を通じてテーパ付きとすることや、非円形の断面を有することも可能である。
放出体110の内径は、キャピラリーの放出体110の内部への嵌め込みを可能にするためにキャピラリー102の外径より大きくなければならない。放出体110の内部116は、キャピラリー102の外側面と放出体110の内側面との間の空間によって規定される。
放出体110の開口114によって、生成されるエレクトロスプレーの形状及び大きさが部分的に規定される。一実施形態では、エレクトロスプレー放出体の遠位端の開口114は、直径が約0.5マイクロメートル〜約30マイクロメートルである。開口114は円形であるのが典型的であるが、ある種の実施形態では開口が非円形である。
一実施形態では、キャピラリーの遠位端106とエレクトロスプレー放出体の遠位端112(すなわち、開口114、エレクトロスプレー放出体オリフィス)とが、約750マイクロメートル未満の距離だけ離間されている。別の実施形態では、キャピラリーの遠位端106とエレクトロスプレー放出体の遠位端112とが、約700マイクロメートル未満、約500マイクロメートル未満、約250マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約5マイクロメートル未満、約1マイクロメートル未満、又は約0.5マイクロメートル未満の距離だけ離間されている。キャピラリーの遠位端と放出体の間の距離は、約100nm程度に小さくすることが可能である。一実施形態では、キャピラリーの遠位端と放出体の間の距離が、約150マイクロメートル〜約250マイクロメートル、又は約200マイクロメートルである。
別の実施形態では、キャピラリーの遠位端106をエレクトロスプレー放出体の遠位端112内に収めるように構成することが可能である。さらに、キャピラリーの遠位端106は、放出体オリフィス開口114より先に約100μmまで延ばすこと(ただし、外径キャピラリー106が放出体オリフィス開口114の直径より小さい場合)が可能である。幾つかの実施形態では、キャピラリーの遠位端106を、放出体オリフィス開口114より先に約5μmだけ、約25μmだけ、約50μmだけ、約75μmだけ又は約100μmだけ、或いは前出の値のうちの任意の2つの間の範囲だけ延ばすことが可能である。この構成によれば、キャピラリーの遠位端106とエレクトロスプレー放出体の遠位端112とが約750マイクロメートル未満の距離だけ離間させたときと同様の結果が得られる。
バルブ、配管及び他の流体制御構成要素を接続フィクスチャ124として使用することが可能である。代表的な接続フィクスチャ124の一例を図2に示している。接続フィクスチャ124は、TEFLONや他のポリマー配管、ガラス、又は溶融シリカによって製作することが可能である。複数のシース流体の間(すなわち、複数のシース液リザーバ120の間)での切替えのために、所望であれば切替え用バルブを組み込むことが可能である。接続フィクスチャ124の寸法は、キャピラリー102及び放出体110の寸法に関連する。代表的な内径は約10μm〜約5mmであり、また長さは約1mm〜約30cmである。
インターフェース100の動作は電位によって駆動するのが典型的である。一実施形態は、標的面130を接地又はカウンタ電位としてシース液リザーバ120への電位HV2の印加を実現する。HV2は、シース液リザーバ120に配置された電極に対する電気的接触によるなど幾つかの方法でシース液リザーバ120に印加することが可能である。例えば、シース液リザーバ120内にワイヤ電極を浸漬させることが可能であり、又はシース液リザーバ120の壁に電極を配置することが可能である。
一実施形態では、検体液は、動電学的力や機械的なポンピング力などの力によってキャピラリーを通るように移動させている。動電学的力は当業者によく知られており、誘電泳動及び電気浸透性又は電気泳動フロー(ただし、これらに限らない)を含む。
動電学的フローが使用される場合、任意選択の電圧HV1を使用することが可能である。HV1は、検体液に電気的に接触させることによって印加することが可能である。例えば、キャピラリー102の噴射端104に電極を配置させることがあり、又は噴射端104の近くで検体液に接触させるためにワイヤ電極を使用することが可能である。
検体液は、キャピラリーゾーン電気泳動、キャピラリー電気クロマトグラフィ、誘電泳動、又はこれらの組み合わせなどの技法によってキャピラリー内で分離させることが可能である。検体液は、キャピラリーの噴射端に入る前に液体クロマトグラフィによって分離させることが可能である。検体液は、必ずしも常にキャピラリーを通過するときに分離させる必要はない。その代わりにキャピラリーは、事前分離された流出液を受け取ると共に、エレクトロスプレーを生成するために検体を単に搬送するだけのことがある。検体液をキャピラリーに提供するためには、クロマトグラフィプロセスの流出液が提供されてキャピラリーの噴射端とインターフェースさせることが可能であれば、様々なクロマトグラフィ技法を使用することが可能である。
一実施形態では、検体液をキャピラリー内で電気泳動によって分離させており、この際にナノスプレーが電気浸透性フローによって生成されると共に、電気泳動と電気浸透性フローの両者は、キャピラリーの噴射端、シース液リザーバ及び標的面の間への電位の印加によって駆動されている。
幾つかの実施形態では、シースフローインターフェース100は質量分析装置に対して分析のためにナノスプレーを提供するように構成されている(図1B参照)。この実施形態では、標的面130は質量分析装置の入力オリフィスである。このような構成を、以下の例でより詳細に説明することにする。
インターフェース100が質量分析法に使用される場合、シース液は質量分析装置との検体流出液の適合性を高めるように構成することが可能である。検体流出液それ自体がMSに適合しない場合、有効なMSを容易にするようにシース液を選択することが可能である。例えば、検体流出液を提供するためにCEが使用される場合、幾つかの共通バッファがMSと適合しないことがある。しかし、適正なシース液を使用すれば、バッファとその中に含有された検体をMSによって分析することが可能である。
本発明はまた、本明細書に記載したようなシースフローインターフェースを用いてキャピラリーから検体流出液のナノスプレーを製造するための方法を実現する。一実施形態では本方法は、シース液の電気浸透性フローを、シース液リザーバから、キャピラリーとエレクトロスプレー放出体の中間の接続用フィクスチャを通過し、キャピラリーの遠位端を横断し、且つエレクトロスプレー放出体の遠位端にある開口を通過して駆出させるのに十分な電圧をシース液リザーバに印加するステップを含む。検体流出液は、キャピラリーの噴射端に電圧を印加することによってキャピラリー内でキャピラリー電気泳動により分離することが可能である。しかし他の実施形態では、検体流出液は、液体クロマトグラフィ(又は、他の分離方法)によってキャピラリーに入る前に分離させている。さらに他の実施形態では、検体流出液は、キャピラリーを通って入る前にもキャピラリーを通過する間にも分離させていない。上に記載したように、このシースフローインターフェースは、エレクトロスプレーがイオン化され、分析のために質量分析装置の入力オリフィスに導き入れられている質量分析法向けのイオン化源として使用することが可能である。
CE−MSナノスプレーインターフェースの設計及び試験
本開示は、非常に低いシース流量によって(任意選択では、ポンプや噴霧器ガスを伴うことなく)安定したスプレーが達成されているナノスプレーシースフローインターフェースを実現する。分離キャピラリーはテーパ付きガラス製ES放出体などの放出体の内部に配置することが可能である。シース液は、放出体表面のゼータ電位によって生成される電気浸透によって駆出することが可能である。シース液は分離キャピラリーの端部を越えて流れて、回路が閉じられると共に先端の内部のキャピラリー流出液と混合される。キャピラリー、エレクトロスプレー放出体及びシース液配管は、例えばPEEKクロスによって接続することが可能である。放出体先端サイズが小さい(2〜10μm内径)ため、ナノスプレーレジームでの動作が可能となる。
以前のインターフェース設計では、エレクトロスプレー電圧はエレクトロスプレー先端に直接印加されており、このため放出体の内部に金属製や金属被覆の放出体やワイヤ電極を使用する必要があることが多い。これらの金属被覆の放出体の寿命は有限であり、また交換しなければならないことも多い。金属放出体はガラスと比べてより堅牢ではあるが、金属表面上のレドックス反応がバブル形成やコロナ放電につながることが多く、これによりエレクトロスプレーの感度及び安定性が制限される。ワイヤ電極もまた制限を有する。例えば、乱流や分離効率の損失を生じる可能性がある。先端に電流を供給するためには炭素被覆及び導電性ポリマー被覆のキャピラリーが使用されてきた。しかし、炭素被覆は寿命に限界があり、また定期的に交換しなければならない。さらに、導電性ポリマーは、放出体の外部に付着させなければならず、この付着によって放出体先端が詰まることがある。これらの問題は、先端への電圧を間接的に印加することによって(例えば、シースバッファリザーバに配置した白金電極によって)回避することが可能である。
[インターフェース]インターフェースの概要を図1Bに示す。分離キャピラリーは、クロスフィッチング(例えば、0.5mm内径の5mm長のクロスチャンネル)を用いてガラス製エレクトロスプレー放出体内に挿通することが可能である。クロスの一方のアームには、シース液リザーバの役割をするマイクロ遠心チューブに突き入れられたHPFA配管(0.5mm内径)を据え付けることが可能である。リザーバ内の液体の高さは、流体力学的なフローを回避するために放出体先端と同じ高さに保持することが可能である。高電圧を、キャピラリーの噴射端に対して(HV1)、またシース液リザーバに対して(HV2)印加することが可能である。分離は、この電位の差によって駆動することが可能である。HV2は放出体内で電気浸透性のフローを駆動する電位をもたらすことが可能である。質量分析装置入口は、接地電位に保持することが可能である。クロスのもう一方のアームは、実験の開始時点でインターフェースをシース流体でフラッシュするために使用することが可能である。
様々な実施形態では、エレクトロスプレー放出体を、10cm長のホウケイ酸ガラス製のキャピラリー(1mm外径、0.75mm内径)から引き出すこと(例えば、P−1000 Sutter Pullerによる)が可能である。使用する先端サイズは、テーパ付け長さを約3mmとして約2μm〜約50μm内径、又は約2μm〜約10μm内径の範囲とすることが可能である。先端直径は、先端の顕微鏡下での検査によって決定することが可能である。先端の外径を書き留めておくことが可能であり、また内径は、最初のガラス製キャピラリーの内径対外径の比に基づいて決定することが可能である。
インターフェースの一例に関する詳細図を図2に示す。溶融シリカ分離キャピラリー(50μm内径、150μm外径、45cm長)をPEEKコーンポートクロス(Upchurch)に挿通させることが可能である。キャピラリーは次いで、エレクトロスプレー放出体に挿通される。キャピラリー及び放出体先端は、スリーブ、フェルール及びマッチングナットによって適所に保持させることが可能である。キャピラリー先端から放出体先端までの距離は、フィッチングが締め付ける際にシステムを顕微鏡下で観察しながら調整することが可能である。シース液は、クロスに接続したHPFA配管によってエレクトロスプレー先端に導入される。クロスの第4のポートは、シリンジに接続されると共に、実験の開始時点でインターフェースをシース液でフラッシュするために使用することが可能である。
電圧は、流れるバッファと接触した白金電極によって電源(例えば、Spellman CZE 1000R)から、シース液リザーバまで伝達することが可能である。クロスは、Thermo LCQイオントラップ計器のソースに配置された並進段に取り付けることが可能である。
[CE−MS]CE−MS実験は、Thermo Finnigan LCQイオントラップ計器などの計器によって実施することが可能である。サンプルは、酵素やペプチドなどの生体分子とすることが可能である。キャピラリーは、0.1MのHClでコンディショニングした後、1MのNaOHで、また次いで分離バッファでコンディショニングすることが可能であり、これらすべては使用前に5分間にわたり10psi圧力下で噴射させている。
連続注入実験では、サンプルを分離キャピラリーに動電学的に導入することが可能である。連続注入は、最適なペプチド信号を得るように計器をチューニングするために使用することが可能である。キャピラリー電気泳動分析では、サンプルを動電学的に噴射することが可能である。様々な実験において、放出体先端はイオン源から約2mm離して配置させることが可能である。有効なチューニングパラメータ組の1つには、−38Vのレンズ電圧及び165℃のキャピラリー温度が含まれる。
正イオンモード実験では、分離バッファを例えば、約10mMの酢酸アンモニウム、pH7.8とすることが可能であり、且つシース液を約10mMの酢酸水溶液とメタノールの等体積混合物とすることが可能である。
負イオンモード実験では、電気浸透性フローを最小限にするためにキャピラリーにUltratrol LN(Target Discovery、TM)被覆を施すことが可能である。分離バッファは、10mMの酢酸アンモニウム(pH8)からなることが可能であり、またシース液は10mMの酢酸アンモニウム水溶液とメタノールの等体積混合物とすることが可能である。
等電気浸透性フローでは、分離バッファとシース液の電位の比を、分離バッファとシース液の流量の比と比例させることが可能である。
[キャピラリー出口と放出体先端の間の距離]キャピラリー出口から放出体出口までの距離は、ESI放出体の性能に大きな影響を及ぼす。米国特許出願公開第2013/0140180号(Dovichiら)はシースフローインターフェースについて記載していると共に、分離キャピラリーの遠位端と放出体の先端の間の距離が2mmから1mmまで低減される(低減されたカラム外バンド拡大の結果としてピーク振幅が狭くなり且つ上昇する)ような実験が実施されている。しかし、米国特許出願公開第2013/0140180号(Dovichiら)の装置及び技法を使用する際には、放出体の先端の内径及びキャピラリーの外径が物理的障壁となり、キャピラリーの遠位端が放出体の先端から800μmを超えて近づくことができなかった。キャピラリーの遠位端の外径エッジと放出体の先端の内径とがこのような非常な接近すると、信号振幅が低下すること、クロマトグラフィ性能でピークが幅広になること、及びプレートカウントが低下することを含むシステム性能の劣化が生じていた。
キャピラリーの遠位端を放出体先端により近づけようとする試みは放出体壁との接触によって物理的に妨げられる。この問題は、市販の多くの電気泳動計器に見られる大きな外径(例えば、375マイクロメートル)のキャピラリーを使用する場合に特に重大である。こうしたキャピラリーでは、キャピラリー出口と放出体オリフィスの間の分離距離を数ミリメートルとする必要があり、これにより感度が大幅に低下することになる。このような大外径のキャピラリーの遠位端を放出体先端の近くにもって来ると、キャピラリー先端の破損が生じ、計器の分解及び再組み上げを要する可能性がある。
本明細書には、ガラス製キャピラリーの外径をエッチングするなどによってキャピラリーの外径を低減することによって、キャピラリーの遠位端を放出体オリフィスのより近くにもって来ることを可能にしたこの問題に対する解決法を記載している。キャピラリーの外側面に対する慎重なエッチングによって、キャピラリーを(すなわち、図3の(B)に示した実施形態のさらなるエッチングによって)放出体の先端から100nm程度の近さにもって来ることが可能である。キャピラリーの遠位端をその外側直径が放出体オリフィスの直径と比べてより小さくなるように修正すると、放出体の先端もまた放出体オリフィス内に収まると共に、放出体オリフィスを最大100マイクロメートルまで越えるように構成することが可能である。分離キャピラリーの先端と放出体の先端の間のこの短くした間隔、又は放出体オリフィスを通過するその延長によって、カラム外バンド拡大が大幅に小さくなる。
意外なことに、この修正によって、ボトムアップタンパク質同定に関する技術水準においては2桁の改良が、またMSベースのペプチド検出限界に関する技術水準においては1桁の改良が得られた。感度の上昇によって、非常に小さい量のサンプルからのペプチド検出が可能となった。さらに、同じ量の材料が与えられたときに、このシースフローインターフェースは従来設計と比べてより多くのペプチド及びタンパク質の検出が可能となる。さらに意外なことは、質量分析装置検出からのバックグラウンドがより清浄となったこと及びスプレー放出体寿命がより長くなったことである。インターフェースに対する修正によって、非常に小さいサンプルサイズ(例えば、4〜400fgのペプチド)を12分未満の質量分析装置計器時間で分析可能とするインターフェースが得られた。約1ゼプトモル(約600分子)程度の低い質量分析装置検出限界を得ることが可能であり、したがって概ね1アトグラム程度の少ない質量を検出することが可能である。したがって、感度が高くなったことで、本明細書に記載したようにより少ないサンプルの分析が可能となり、且つ以前のインターフェース設計で使用した同サイズサンプルからより多くのペプチドを同定することが可能である。
以下の実施例は、上の発明の例証を目的としており、その範囲を狭めるためのものと見なすべきではない。当業者であれば、これらの実施例が本発明を実施することを可能とさせる他の多くの方法を示唆することを容易に理解されよう。本発明の範囲の域内に留まりながらも多くの変形形態及び修正形態を実施し得ることを理解すべきである。
(実施例1)
実施例1 フェムトグラム量の複雑なプロテオーム消化物に対する超高感度且つ高速のボトムアップ分析
キャピラリーゾーン電気泳動を改良型のシースフローエレクトロスプレーインターフェースと結合させ、ボトムアップタンパク質分析で必要な材料の量について2桁の改良をもたらした。この実施例では、改良型のナノスプレーインターフェースに基づいた超高感度キャピラリーゾーン電気泳動−質量分析法システムについて説明することにする。本システムは、ピコグラムからフェムトグラム量のE.coli消化物などの消化物の分析に使用することが可能である。16pgの消化物からタンデム質量スペクトルに基づいて100を超えるタンパク質を同定し、また400fgの消化物から精密質量保持時間タグに基づいて10分間で60を超えるタンパク質を同定した。
キャピラリー液体クロマトグラフィ(LC)−エレクトロスプレーイオン化(ESI)−タンデム質量分析法(MS/MS)分析を用いたナノグラムサンプルに対するボトムアッププロテオミクスには、少なくとも1時間の計器時間が必要である。この実施例において発明者らは、改良型の動電学的ポンピング式シースフローインターフェースに基づいた超高感度且つ高速のキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)−ESI−MS/MSシステムを報告する。発明者らは、フェムトグラム量のE.coliタンパク質消化物に対する迅速なボトムアップ分析のためのシステムについて例証する。
CZE−ESI−MS/MSは、一部で改良型のインターフェースのために、低ナノグラムサンプルについてLC−MS/MSを一貫して性能で凌駕している。この実施例では、動電学的ポンピング式シースフローインターフェース(図3の(A))に基づいた別のインターフェース(以前のシースフローインターフェースの一例については、Wojcikら、Rapid Commun. Mass Spectrom. 2010、24、2554を参照されたい)の開発について説明している。新たなインターフェースは、非常に低いシース流量に由来するサンプル希釈の低減、機械式ポンプの排除、広範な分離バッファ使用の許容、及びナノスプレーレジームでの安定した動作を含む幾つかの利点を有する。発明者らはまた、多重反応モニタリングを使用した複雑な混合物中におけるロイシンエンケファリン(Leu−enkephalin)の定量化のためのインターフェースによってCZEを三連四重極質量分析装置に対して結合しており、また発明者らはこのシステムの高感度分析の能力を示す335zmoleのペプチド検出限界を得た(Liら、Anal. Chem.2012、84、6116)。
動電学的ポンピング式シースフローインターフェースのCOMSOLモデルの予測及び実験による検証によると、キャピラリーの遠位端を放出体オリフィスのより近くにもって来るに連れて感度は上昇する。キャピラリー先端とオリフィスの間の典型的な最小距離は、150マイクロメートル外径のキャピラリーを用いた場合に約1mmであり、また375マイクロメートル外径のキャピラリーを用いた場合に2.5mmである。距離しきい値のこの低減は、円錐状の放出体壁の内部に最終的に押し当てられる分離キャピラリーの外径によって制限されている。
本明細書に記載したように、発明者らは分離キャピラリー先端の外部を数ミリメートルだけフッ化水素酸によってエッチングし、外径を約150μmから約60μm又は約50μmまで低減した。この単純なステップによって発明者らは、キャピラリー端を放出体オリフィスにさらにより近づけて(例えば、約200μm)(図3の(B)及び図3の(C))配置することが可能となり、これによりシステムの感度の劇的な改良が得られる。発明者らは、電気泳動については被覆のない溶融シリカ製キャピラリー(32cm及び40cm、10μm内径/150μm外径)を、またペプチド同定についてはQ−Exactive質量分析装置を使用した。実験の詳細については、この実施例の以下の実験セクションに示している。
シリカ製キャピラリーの作成については、Sutter Instrument Company Pipette Cookbook(2011、Novato、CA、http://www.sutter.com/contact/faqs/pipette_cookbook.pdf)に説明されている。これらのキャピラリーは次いで、本明細書に記載したインターフェース向けのキャピラリーが得られるようにエッチングすることが可能である。一実施形態に従った有用なキャピラリーの一例は、寸法が25〜30cm長、10μm内径/150μm外径を備えた、エッチングされた端部(約5mm長、約50〜60μm外径)を有するキャピラリーである。より大きな外径(例えば、250〜300μm外径)を有するキャピラリーでは、エッチングされた端部の外径を約200μm外径まで低減することが可能であり、この際に例えば、キャピラリー放出体は、キャピラリーの遠位端を放出体オリフィスから約750μm未満に存在することを許容するように構成される。キャピラリーの遠位端もまた、外径が約20μm〜約100μm、約20μm〜約80μm、約40μm〜約80μm、約60μm〜約80μm、約40μm〜約60μm、又は約50μm〜約60μmまで低減されるようにエッチングすることが可能である。
発明者らは、28pg量のE.coli消化物の分析に関する分離電圧の効果を先ず評価した。分離は、32cm長のキャピラリーで15kV(500V/cm)及び10kV(300V/cm)で実施した。電気泳動図は、MaxQuantソフトウェア(v.1.3.0.5)(Nat. Biotechnol.26、1367〜1372(2008))によって作成した。10kV電位によってより広い分離ウィンドウが生成され、これにより15kVと比較してかなり多くのタンパク質(129±18対88±14)とペプチド(375±27対246±19)の同定が得られた。以下の研究では、300V/cmの電界を使用した。
発明者らは次いで、16pgのE.coliタンパク質消化物の40cmキャピラリーによる分析に関する発明者らのCZE−ESI−MS/MSシステムの再現性について評価した。発明者らは、タンデム質量スペクトルの三重ボトムアップ分析に基づいて、105±17のタンパク質及び256±9のペプチドを同定した。複雑なタンパク質消化物のタンデム質量スペクトル分析に関する技術水準は、1ngレベルにおいて約100のタンパク質同定である。発明者らのシステムは2桁少ないサンプルから同様の数のタンパク質同定を得た。
分離は再現性があり且つ高効率であった。50のペプチドからの信号を足し合わせて、抽出イオン電気泳動図を作成した(図4)。154のペプチドの移動時間の平均相対標準偏差は0.7%であった(図5)。電気泳動ピークはかなりシャープであり、ピークの当て嵌めに使用されるガウス関数の標準偏差として定義される平均値幅は0.7s(半値全幅1.6s)であった(図6)。発明者らは、ペプチド分離に関して300,000を超える理論段という平均値を一貫して得た(図7)。ピーク強度もまたランの間で一貫していた(図8A〜図8C)。分離は、10分未満で完了しており、これは複雑なプロテオームの高感度ボトムアッププロテオミクスの技術水準と比べて分析時間の1桁の改良である。
発明者らは次に、タンデム質量スペクトルに基づいた同定数とE.coli消化物の装填量との間の関係を決定した(図9A及び図9B)。二重400fg装填では、タンデム質量スペクトルの手動評価後において、4±1のタンパク質に対応する9つのペプチドが高信頼に同定された。E.coliにおける最も豊富なタンパク質(伸長因子Tu)は、総タンパク質質量の約1%を占めている。400fgのE.coli消化物の分析はしたがって、このタンパク質を約4fg含有することになる。タンデム質量分析法による同定に関するタンパク質最小量は、4fg未満(したがって、技術水準において2桁の改良を示す)である(Shenら、Anal. Chem.2004、76、144)。サンプル装填量を84pgまで増加させたとき、タンパク質とペプチドの同定数はそれぞれ162±8と570±11まで増加した(図9A及び図9B)。
発明者らはまた、16pgのE.coliデータをデータベースとして用いてSmithの精密質量保持時間タグ方式を適用した。400fgのE.coli消化物から、質量許容値を3ppmとし、移動時間許容値を0.3分(アラインメントなし)とし、且つ各ペプチドごとに少なくとも2つの検出同位体ピークとして、60のタンパク質及び150のペプチドを超えるものが同定された(図9A及び図9B)。代表的な抽出イオン電気泳動図を図10に示す。この結果は、AMTベースのピコグラム未満プロテオーム分析に関する技術水準について、タンパク質同定の数で20倍の改良である。
発明者らは最後に、400fgのE.coliデータからのペプチド検出限界を評価した。発明者らは、1ppmの質量許容値によるMS/MSスペクトルに基づいて同定された伸長因子Tuからの3つのペプチドについて電気泳動図を手作業で抽出した。信号対雑音比は、ピーク後0.3分〜2.3分のノイズ領域を用いてXcaliburソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)によって取得した(図11A〜図11C)。サンプル(4fg)に存在する伸長因子Tuの量とその分子量(約43kDa)に基づいて、これらのペプチドの約100zmoleを分析のために取り出した。これらのペプチドは270〜290の信号対雑音比(S/N)を生成した、質量検出限界(S/N=3)は約1zmole(約600分子)であり、これはMSベースのペプチド検出に関する技術水準において1桁の改良である。
CZE−MSシステムから得られる高感度に関する説明を以下に含めるものとする。第1に、ペプチドがキャピラリー端からスプレー放出体端まで移動するのにかかる時間はわずか約0.2s以下(発明者らの研究に基づく概算による)であり、これによりスプレー放出体内でのサンプル拡散が劇的に減少すると共により大きなペプチド信号が生成され、ペプチド検出限界の改善が得られる。第2に、分離キャピラリー中とスプレー放出体中での電気浸透性流量はバッファ及び印加電圧(約300V/cm)が同様であるために概ね同じであり、また総スプレー流量は約20nL/分であり、これにより高いイオン化効率が生じ、高い感度が得られる。第3に、発明者らはサンプル流量を低減し且つ非常に効率が高い分離をもたらすような内径がかなり狭いキャピラリーを利用している。
発明者らはまた、この研究で得られたタンパク質同定数がペプチド分離ウィンドウが比較的短いために約200のタンパク質であり、取得されるタンデムスペクトルの数が制限され、これにより生体サンプル中の比較的低い存在量のタンパク質の検出が制限されることを指摘しておく。CZE−MSシステムに基づいてタンパク質同定を改善するための方法は、CZE−MS分析の前にオンライン/オフラインのペプチド事前分別を実行し、より長い分離キャピラリーを使用して分離を遅くすること、又は被覆のキャピラリーを用いて電気浸透を低下させると共に分離ウィンドウを大きくすることである。
要約するとこの実施例は、フェムトグラムプロテオミクス分析のための超高感度で高スループットのCZE−ESI−MS/MSシステムについて説明している。このCZE−ESI−MS/MSシステムを用いて得られた結果は、タンデム質量分析法によるタンパク質同定に必要な材料の量に関して、ピコグラム未満量の複雑なタンパク質消化物から精密質量保持時間タグによって同定されるタンパク質の数に関して、ペプチド質量検出限界に関して、及び分析時間に関しての1桁〜2桁の改良である。このCZE−ESI−MS/MSシステムは、単一細胞分析に使用することが可能である。今日まで、単一細胞タンパク質分析に利用可能な最高感度のツールは、レーザ誘導式蛍光検出を利用している。高感度ではあるが、蛍光が発生させるのは本来的に、タンパク質同定に関する原始的な情報しか提供できない低情報コンテンツの信号である。1zmol検出限界を有するCZE−質量分析法システムの開発は、比較的高い存在量のタンパク質に関する高信頼の同定による単一細胞タンパク質分析への扉を開いた。
[材料]ウシの膵臓TPCK処理済みトリプシン、尿素、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、ジチオスレイトール(DTT)及びヨードアセトアミド(IAA)は、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。アセトニトリル(ACN)、ギ酸(FA)及びフッ化水素酸(HF)は、Fisher Scientific(Pittsburgh、USA)から購入した。メタノール及び水は、Honeywell Burdick & Jackson(Wicklow、Ireland)から購入した。溶融シリカ製キャピラリー(10μm内径/150μm外径)は、Polymicro Technologies(Phoenix、USA)から購入した。コンプリート、ミニプロテアーゼ阻害剤カクテル(EASYpackの形で提供される)は、Roche(Indianapolis、USA)から購入した。PEEKクロス、ナット、フェルール、スリーブ及びPHFA配管などの器具類は、Idex Health and Science(Oak Harbor、WA、USA)などの供給元から購入することが可能である。
[E.coliサンプルの作成]E.coli(Dh5−Alpha)をFaserlらによって記載されたプロトコル(Anal. Chem.2011、83、7297)によって培養した。培養後、E.coliペレットを先ず、PBSで(3回)洗った。次いで、ペレットをプロテアーゼ阻害剤を含有する8Mの尿素と100mMのTris−HCl(pH8.0)のバッファに懸濁させると共に、細胞溶解(lysis)のために氷の上で15分にわたり超音波処理した。溶解液は、15分にわたり18,000gで遠心分離した後、BCA法(Cohenら、Annu. Rev. Anal. Chem.2008、1、165)によりタンパク質濃度計測をした。分取したタンパク質(900μg)を低温のアセトンによって−20℃で一晩沈殿させた。遠心分離後、タンパク質ペレットを再度低温のアセトンで洗い混入物を除去した。乾燥させるために室温(約22℃)で数分間インキュベーションした後に、タンパク質を300μLの8M尿素を入れた100mMのNHHCO(pH8.5)で溶解させ、その後に、37℃で60分間にわたりタンパク質変性させ、60℃で1時間にわたりDTT(8mM)で還元させ、且つ暗所で室温で30分間にわたりIAA(20mM)でアルキル化させた。
次いで、1.2mLの100mM NH4HCO3(pH8.5)を添加して尿素濃度を2M未満まで希釈した。最後に、分取した60μLの処理済みタンパク質溶液(36μg)を37℃において1/30(w/w)のトリプシン/タンパク質比でトリプシンによって一晩消化させた。消化物は、反応を終了させるためにギ酸(FA)(0.5%最終濃度)で酸性化した。トリプシン消化物は、ZipTipC18(Millipore、Bedford、USA)によって脱塩させた後、減圧濃縮装置(Thermo Fisher Scientific、Marietta、USA)によって凍結乾燥させた。乾燥済みのタンパク質消化物は、20%(v/v)ACNを含有する0.05%(v/v)FAバッファ水溶液に溶解させ、0.1mg/mL及び0.01mg/mL濃度の溶液を得て、次いでこれを分析に使用した。
[分離キャピラリーの作成]弱い炎を用いて、溶融シリカ製キャピラリー(10μm内径/150μm外径、約50cm長さ)の一端から約3〜4cmでポリアミド被覆を長さ1cmだけ除去した。キャピラリー外径と比べて若干大きなドリル刃先によって200μLエッペンドルフチューブの底部に小さい穴を錐もみすることによって反応チェンバを作成した。キャピラリーは、キャピラリーの炎を当てた部分がエッペンドルフチューブの内部に保持されるようにして穴に挿通させた。
最後に、約150μLのフッ化水素酸(HF、約50%w/w)をエッペンドルフチューブに加えると共に、室温においてフード中で約20分間インキュベーションさせた。エッチング後にエッチングされた部分の外径は約60μmとなったが、キャピラリーの内径はHFと接触状態になかったため変化しなかった。キャピラリーの外部を脱イオン水で洗って残留HFを除去し、次いでキャピラリーを約5mmのエッチング領域が遠位端に来るようにして約40cm長さに切断した。HF溶液を扱う間には、注意及び適正安全手順を用いるべきである。エッチングしたキャピラリーは、水酸化ナトリウム(1M)、脱イオン水、塩酸(1M)、脱イオン水、及び0.5%(v/v)FAによって順次フラッシュした。
[CZE−ESI−MS/MS分析]キャピラリー電気泳動システムは以前に報告した構成要素から組み上げた(Moini、Anal. Chem.2007、79、4241;Liら、Anal. Chem.84、1617〜1622(2012);Sunら、Anal. Chem.85、4187〜4194(2013)を参照されたい)。図3の(A)も参照されたい。2つのSpellman CZE 1000R高電圧電源によって分離及びエレクトロスプレー向けの高電圧を実現した。電圧プログラミングはLabViewソフトウェアによって制御した。
分離キャピラリーの全長は、40cm(400fg、4pg及び16pg量のE.coli消化物向け)又は32cm(28pg及び84pg量のE.coli消化物向け)とした。分離バッファは、0.5%(v/v)FAを脱イオン水に入れたものとし、またシース液は10%(v/v)メタノールを含有した0.1%(v/v)FAとした。サンプルは、0.05%(v/v)FA及び20%(v/v)アセトニトリルを含有するバッファ水溶液で溶解させた。サンプルは、空気圧(10〜20psi及び1〜9s)によって分離キャピラリー内に噴射し、またサンプル噴射体積はポアズイユの法則に基づいて計算した。
キャピラリーを質量分析装置に結合するためには動電学的ポンピング式シースフローインターフェースを使用した。エレクトロスプレー放出体は、ホウケイ酸ガラス製のキャピラリー(1.0mm外径、0.75mm内径、及び10cm長)からSutter InstrumentのP−1000 flaming/brown型マイクロピペットプラーで引っ張って引き出した。放出体先端は、3mmテーパが付いた外径約8μm及び内径6μmとした。分離キャピラリーのエッチングした端部はPEEKコーンポートクロス(Upchurch、Oak Harbor、USA)を介してスプレー放出体に挿通した。キャピラリー先端と放出体端の間の距離は約200μmとした(図3の(B)及び図3の(C)参照)。シース液は、クロスに接続されたHPFA配管によってエレクトロスプレー先端に導入した。クロスの第4のポートは、シリンジに接続し実験の開始時点での放出体のフラッシュに使用した。
スプレー電圧(HVII、図3の(A))は各実験について1.2kVとした。高電圧I(HVI、図3の(A))は、32cmキャピラリーでは11.2kV(また、40cmキャピラリーでは13.2kV)とし、分離キャピラリーに約300V/cmの電界が生成されるようにした。分離条件を最適化しながら28pg量のE.coli消化物を分析するためにHVIとして16.2kVの電位も印加した。
異なるサンプル装填量を得るために、400fg実験用のサンプルとしては20%(v/v)ACNを含有する0.05%(v/v)FAバッファ水溶液に0.01mg/mLのE.coli消化物を入れたものを使用し、また4pg実験及び84pg実験用のサンプルとしては0.1mg/mLE.coli消化物を使用した。各サンプルは二重又は三重式で分析した。
データ依存収集モードでの実験には、Q−Exactive質量分析装置(Thermo Fisher Scientific)を使用した。オービトラップ質量分析計においてm/z380〜1,800(28及び84pgのE.coliサンプル向け)及びm/z400〜1,000(400fg、4pg及び16pgのE.coliサンプル向け)に対して分解能70,000(m/z200)によりフルMSスキャンを収集した。標的値及び最大噴射時間は、1.00E+06及び250ms(16、28及び84pgのE.coliサンプルの場合);3.00E+06及び500ms(400fg及び4pgのE.coliサンプルの場合)とした。
400fgのE.coli消化物分析では、チャージ状態が2又は3であり且つ強度が2.00E+03より高い2つの最高強度ピーク(Top2法)を単離ウィンドウが2m/zの四重極で順次単離させると共に、28%の正規化衝突エネルギーでより高いエネルギーの衝突解離衝突細胞中でフラグメント化した、またタンデム質量スペクトルは分解能35,000(m/z200)、標的値1.00E+06、及び最大噴射時間500msによってオービトラップ質量分析計で収集した。
4pgのE.coli消化物分析については、Top4法を適用し、タンデムスペクトルの最大噴射時間を250msとした。16pgのE.coli消化物分析については、Top6法を使用した。タンデムスペクトルの最大噴射時間は120msとし、強度しきい値は4.00E+03とし、またチャージエクスクルージョンは1及び5以上とした。28及び84pgのE.coli消化物分析については、Top6法を使用した。タンデムスペクトルの最大噴射時間は120msとし、強度しきい値は8.00E+03とし、またチャージエクスクルージョンは1及び7以上とした。各実験について、動的エクスクルージョンは6.0sとし、マイクロスキャンは1とし、ペプチドマッチをオンとし、また同位体エクスクルードをオンにした。
[データ分析]MaxQuantソフトウェアバージョン1.3.0.5によって未加工MSファイルを分析した。MS/MSスペクトルは、フォワード及びリバースシーケンスを包含したNCBI−E.coli(DH1)データベース(フォワード及びリバースシーケンスを含む8,320のエントリ)に対してAndromeda検索エンジン(Coxら、J.Proteome Res.10、1794)によって検索した。このNCBI−E.coli(DH1)データベースにはまた共通混入物も含んでいた。MaxQuant分析には、プリカーサ質量許容値が10ppmの初期検索、主検索(プリカーサ質量許容値5ppm)、及びフラグメント質量許容値20ppmを含めた。検索には、トリプシンとした酵素、メチオニン酸化の可変修飾、N末端アセチル化及び脱アミド化(NQ)、並びにカルバミドメチルシステインの固定修飾を含めた。最小ペプチド長さは、アミノ酸7個に設定し、またミスドクリベージ(missed cleavage)の最大数は2に設定した。過誤発見率(false discovery rate)は、ペプチドとタンパク質の両同定について0.01に設定した。同じ組のペプチドによって同定されたタンパク質は1つのタンパク質群として報告した。タンパク質及びペプチドのテーブルは、リバースデータベース及び共通混入物からのペプチドとタンパク質の同定を除去するようにフィルタリングした。
実施例2 定量的並列反応モニタリングに関するCZE−ESI−MS/MS
この実施例では、ペプチド存在量の定量的並列反応モニタリング及びヒト細胞株の単一ショットプロテオミクス分析に対するキャピラリーゾーン電気泳動−エレクトロスプレーイオン化−タンデム質量分析法(CZE−ESI−MS/MS)の使用について説明することにする。
発明者らは、複雑なプロテオームのタンデム質量分析法(MS/MS)分析のためにキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)を超高感度動電学的ポンピングのナノスプレーイオン化源と結合させた。発明者らは先ず、0.45mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)消化物にスパイクしたアンジオテンシンIIの並列反応モニタリング(PRM)分析のためにシステムを使用した。アンジオテンシンIIの装填量とアンジオテンシンIIフラグメントイオンの強度の間で較正曲線を作成した。CZE−PRMにより、2amole〜150fmoleのアンジオテンシンII装填量に対応する4.5桁を超えるダイナミックレンジにわたって線形較正曲線を作成した。移動時間の相対標準偏差(RSD)は<4%とし、また150fmoleのアンジオテンシンII装填量データ(約36%RSD)を除きフラグメントイオン強度のRSDは約20%以下とした。
発明者らはさらに、CZE−MS/MSを用いたヒト細胞株の第1のボトムアッププロテオミクス分析のためにシステムを利用した。発明者らは、概ね80ng装填量に対応するMCF7乳がん細胞株消化物の1時間の単一ショットCZE MS/MS分析から283のタンパク質同定を生成した。MCF7消化物は、C18固相抽出カラムを使用して分取した。単一留分の単一ショット分析によって468のタンパク質同定が得られ、これはCZEを用いた哺乳類プロテオミクスサンプルに関して報告されたタンパク質同定数において断然の最大数である。
キャピラリー電気泳動(CE)−エレクトロスプレーイオン化(ESI)−質量分析法(MS)は、インタクトタンパク質、ペプチド及び代謝産物を含む広範な検体を特徴付けるために使用されている。有用なCE−ナノスプレーインターフェースの1つは、発明者らが開発した約5μmオリフィスを有するガラス製放出体を利用したシースフローインターフェースである(Wojcikら、Rapid Commun. Mass Spectrom. 24(2010)2554)。ガラス表面での電気浸透によってシース流体が非常に低速で駆出される。このシースフローインターフェースは、非常に低いシース流量に由来する最小サンプル希釈、機械式ポンプ及びネブライジングガスの排除、広範な分離バッファの使用、並びにナノスプレーレジームでの安定した動作を含む幾つかの利点を有する。発明者らは、マイコバクテリウムマリナムのセクレトーム(Liら、Anal. Chem.84(2012)1617)、イースト溶解液の留分(Wojcikら、Talanta 88(2012)324)、E.coliプロテオーム(Zhuら、Anal. Chim. Acta. 810(2014)94)、ピコグラム量のRAW264.7細胞溶解液(Sunら、Analyst138(2013)3181)、及びPC12細胞溶解液(Zhuら、Anal. Chem.85(2013)7221)に対するショットガンプロテオミクス分析に関して動電学的ポンピング式シースフローナノスプレーインターフェースCE−MS/MSシステムを利用してきた。さらにこの動電学的ポンピング式シースフローナノスプレーインターフェースCE−MS/MSシステムをまた、トップダウンのインタクトタンパク質特徴付け(Sunら、Anal. Chem.85(2013)5989)、ペプチド存在量の定量的多重反応モニタリング(MRM)(Liら、Anal. Chem.84(2012)6116)、及びリン酸化ペプチド特徴付け(Mouら、Anal. Chem.85(2013)10692)にも利用した。
上の実施例1において発明者らは、超高感度性能が得られる発明者らのインターフェースに対する簡単な修正について説明した。発明者らは、分離キャピラリー先端の外部を数ミリメートルだけフッ化水素酸によってエッチングし、外径を約150μm〜約60μmまで低減した。このステップによってキャピラリー先端を放出体オリフィスから200μmの域内に配置することが可能となり、システムの感度の大幅な改良が得られる(Sunら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.52(2013)13661)。10μm内径の分離キャピラリー、Q−Exactive質量分析装置、及び改良型のCE−MSインターフェースを利用することによって、発明者らは、1zmole(1zmol=10−21mol=約600分子)のペプチド検出限界(S/N=3)を得た。16pgのE.coli消化物からタンデム質量スペクトルに基づいて100を超えるタンパク質を同定し、また400fgのサンプル装填から60のタンパク質からの154のペプチドを同定した。
発明者らのグループは、2012年にM.marinumのセクレトームのキャピラリーゾーン電気泳動分析に関して動電学的ポンピング式シースフローインターフェースを使用する一方、140のタンパク質群を同定した(Liら、Anal. Chem.84(2012)1617)。発明者らは、線形ポリアクリルアミド被覆キャピラリー及びスタッキング噴射を用いることによってペプチド分離を改良した。100ngのE.coli消化物から単一ショット分析によって1h未満で概ね300のタンパク質群を同定した(Zhuら、Anal. Chem.85(2013)2569)。タンパク質IDの数は、オフラインC18−SPE分別から7つのE.coli消化物留分を分析することによって871まで増加した(Yanら、Proteomics13(2013)2546)。発明者らはまた、分化するPC12細胞の8−plex iTRAQベースの定量的プロテオミクス分析に関して動電学的ポンピング式シースフローインターフェースを有するキャピラリー等電点MS/MSシステムを利用する一方、835のタンパク質群を同定した(Zhuら、Anal. Chem.85(2013)7221)。発明者らの知る限りでは、ヒト細胞株の分析に関してCZE−MS/MSを利用する公開は存在しない。
標的プロテオミクスリサーチでは、多重/選択反応モニタリング(MRM/SRM)が三連四重極(QqQ)質量分析装置と共に利用されるのが典型的である。要するに、標的ペプチドの親イオンが第1の四重極(Q1)で単離され、次いで第2の四重極(Q2)でフラグメント化される。標的ペプチドからの1つ又は幾つかのフラグメントイオンが第3の四重極(Q3)によって検出のためにさらに単離される。最近では、新たな標的プロテオミクス技法が導入されており、いわゆるベンチトップ四重極オービトラップ型質量分析装置によって実行される並列反応モニタリング(PRM)である(Petersonら、Mol. Cell. Proteomics11(2012)1475)。PRMでは、標的ペプチドが四重極で選択され、次いで衝突細胞でフラグメント化される。得られたフラグメントイオンは、オービトラップで分析され、1つのフル高分解能MS/MSスペクトルが作成される。フラグメントイオンのm/z比は方法の開発段階では必要がないため、このプロセスはSRM/MRMと比べてかなり容易である。さらに、PRMは、オービトラップ分析計が高分解能であることによりSRM/MRMと比べてバックグラウンドマトリックスに対してかなり良好な許容性を有する。
この実施例では、発明者らはCZE−PRMの第1の例について説明する。発明者らは、実施例1においてペプチド分析向けに上に記載した発明者による改良型の動電学的ポンピング式シースフローナノスプレーインターフェースを利用する。標準ペプチド(アンジオテンシンII)は、CZE−PRMシステム性能を評価するために0.45mg/mLウシ血清アルブミン消化物にスパイクした。発明者らは、2〜150,000amoleの装填量に対応するアンジオテンシンIIに関して4.5桁を超える線形ダイナミックレンジを観測した。発明者らはまた、ヒト細胞株のボトムアップ分析に関してCZE−MS/MSの第1の例を提示している。約80ng装填量での1時間の単一ショットCZE−MS/MS分析でMCF7全細胞溶解液消化物から概ね300のタンパク質が同定された。
[実験]
1.材料及び試薬。ウシの膵臓TPCK処理済みトリプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、尿素、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、ジチオスレイトール(DTT)、ヨードアセトアミド(IAA)、及びアンジオテンシンII(ヒト、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe)は、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。アセトニトリル(ACN)、ギ酸(FA)、及びフッ化水素酸(HF)は、Fisher Scientific(Pittsburgh、PA)から購入した。メタノール及び水は、Honeywell Burdick & Jackson(Wicklow、Ireland)から購入した。溶融シリカ製キャピラリー(10及び20μm内径/150μm外径)並びに線形ポリアクリルアミド(LPA)被覆キャピラリー(50μm内径/150μm外径)は、Polymicro Technologies(Phoenix、AZ)から購入した。
Eagleの最小必須培地(EMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、GlutaMAX(商標)(100×)、インシュリン、及び抗生物質−抗真菌剤(Anti−Anti、100×)は、Life Technologies Corporation(Grand Island NY)から購入した。細胞溶解用の哺乳類細胞−PE LB(商標)バッファは、G−Biosciences(St.Louis、MO)から購入した。コンプリート、ミニプロテアーゼ阻害剤カクテル(EASYpackの形で提供される)は、Roche(Indianapolis、IN)から購入した。
2.サンプル作成。8M尿素を含有する100mM NHHCO(pH8.0)中でウシ血清アルブミン(BSA、0.5mg/mL)を37℃で30分間変性させた後、DTT及びIAAによって標準還元及びアルキル化を行った。尿素濃度を2M未満に低下させるように100mMのNHHCO(pH8.0)で希釈した後に、12時間にわたり37℃においてトリプシン/タンパク質比が1/30(w/w)のトリプシンでタンパク質消化を実施した。酸性化後に、タンパク質消化物をC18−SepPakカラム(Waters、Milford、MA)で脱塩させた後、減圧濃縮装置(Thermo Fisher Scientific、Marietta、OH)で凍結乾燥した。乾燥させたサンプルは、0.5mg/mL溶液を作成するように0.05%(v/v)FAに溶解させ、また使用前は−20℃で保存した。
アンジオテンシンII溶液は、BSA消化物内にスパイクし、0.45mg/mLのBSA消化物且つ異なる濃度(10nM、100nM、1μM、10μM及び100μM)のアンジオテンシンIIを含有する0.05%(v/v)FAで5つのサンプルを生成した。各サンプルは、CZE−PRMによって三重式に分析した。
使用したMCF7細胞培養、細胞溶解、タンパク質アセトン沈殿、変性、還元及びアルキル化に関する手順は、Sunら(J. Chromatogr. A. 1337(2014)40)によって記載されている。要するに、細胞培養後に、MCF7細胞をソニケーションによって溶解させた後、BCAタンパク質濃度計測及びアセトン沈殿を行った。次いで、690μgのタンパク質分取を8M尿素及び100mM NHHCO(pH約8.0)に溶解させ、37℃において1時間変性させ、且つ約40mM DTTで37℃において1.5時間還元させた後、100mM IAAにより室温において30分間アルキル化した。尿素濃度を2M未満に低下させるように100mM NHHCO(pH約8.0)で希釈した後に、37℃において一晩トリプシン/タンパク質比が1/30(w/w)のトリプシンでタンパク質を消化させた。タンパク質消化物は、FA(1%最終濃度)で酸性化させると共に、C18−SepPakカラム(Waters、Milford、MA)で脱塩させた後に、凍結乾燥させた。ペプチド混合物は、20%(v/v)ACNを含有する0.04%(v/v)FAに溶解させて3.5mg/mLのサンプルを得た後に、CZE−ESI−MS及びMS/MS分析を行った。約300μgの消化物を再度凍結乾燥させると共に、0.1%(v/v)FAで再溶解させた。消化物は、C18−SepPak SPEカラム(Waters)上に装填すると共に、0.1%(v/v)FAを含有する1mLの12%(v/v)ACNによって溶離させた。溶離液は凍結乾燥させ、またCZE−ESI−MS/MS分析のために28μLの0.04%(v/v)FA及び30%(v/v)ACNでさらに溶解させた。
3.CZE−ESI−MS/MS分析。キャピラリー電気泳動システムは、上の実施例1の構成要素から組み上げた。2つのSpellman CZE 1000R高電圧電源によって分離及びエレクトロスプレー向けの電圧を実現した。CZEをQ−Exactive質量分析装置(Thermo Fisher Scientific)に結合させるために、超高感度動電学的ポンピング式シースフローインターフェースを使用した。エレクトロスプレー放出体は、Sutter instrumentのP−1000 flaming/brown型マイクロピペットプラーで引き出したホウケイ酸ガラス製のキャピラリー(1.0mm外径、0.75mm内径)とし、また放出体オリフィスのサイズは8〜10μmとした。電圧プログラムは、LabViewソフトウェアによって制御した。
CZE−PRM実験では、エッチングされた先端(約60μm外径、約5mm長さ)を有する32cm長キャピラリー(10及び20μm内径/150μm外径)を分離に使用した。分離バッファは、0.5%(v/v)FAとした。噴射端の電圧は16.2kVとし、スプレー電圧としては1.2kVを印加した。全MCF7細胞溶解液消化物分析のためには、約5mm長のエッチングした端部(約60μm外径)を有する100cm長キャピラリー(20μm内径/150μm外径)を利用し、また分離バッファは0.5%(v/v)FAとした。MS1のみの実験では噴射端に29.2kVを印加し、またデータ依存収集(DDA)モードのMS/MS実験では噴射端に21.2kVを印加した。この両ケースとも、エレクトロスプレー向けには1.2kVを印加した。
C18−SPEカラムからのMCF7細胞溶解液消化物の12%(v/v)ACN溶離液に対する分析では、約5mm長のエッチングした端部(約70μm外径)を有するLPA被覆のキャピラリー(62cm、50μm内径/150μm外径)を使用した、また分離バッファは0.12%(v/v)FAとした。噴射端に印加した電圧は16.2kVであり、また1.2kVをスプレー電圧として印加した。
この実験のすべてについて、シースバッファは10%(v/v)メタノール及び0.1%(v/v)FAとした。分離キャピラリー端とスプレー放出体先端の間の距離は約200μmとした。サンプルは、窒素圧によって分離キャピラリー内に噴射した、また噴射体積はポアズイユの法則に基づいて計算した。分離キャピラリーに対するすべてのHFエッチング動作は、上の実施例1に示したのと同じプロトコルで実行した。エッチングされた10及び20μm内径の分離キャピラリーは、使用前に水酸化ナトリウム(1M)、脱イオン水、塩酸(1M)、脱イオン水、及び0.5%(v/v)FAで順次フラッシュした。エッチングしたLPA被覆の分離キャピラリー(50μm内径)は、使用前に脱イオン水及び0.12%(v/v)FAで順次フラッシュした。
CZE−PRM実験では、Q−Exactiveをインクルージョンリストをオンとして標的−MSモードでプログラミングした。インクルージョンリストにおいて、標的m/zとチャージとして523.7734と+2をそれぞれ設定した。正規化衝突エネルギー(NCE)は25%であった。これ以外のパラメータは以下のとおりとした:MS/MSの分解能は17,500、AGC標的は5E5、最大噴射時間は500ms、単離ウィンドウは1m/z、またマイクロスキャンは1である。
ヒト細胞株消化物の分析では、MS1のみ実験及び通常DDAモードの実験の両方を実施した。MS1のみ実験では、380〜1800m/zのレンジ、70,000の分解能(m/z200)、1E6のAGC標的、250msの最大噴射時間、マイクロスキャン1としてMSスペクトルを収集した。DDAモード実験では、top12法を利用した。MS1全スキャンでは、パラメータをMS1のみ実験と同じとした。MS/MSでは、MSスペクトルからの最も高強度の12のピークを四重極(単離ウィンドウは2.0m/z)で順次単離させ、さらにより高いエネルギーの衝突解離(HCD)細胞(NCEは28%)でフラグメント化した後に、オービトラップ分析を行った。35,000の分解能(m/z200)、1E6のAGC標的、120msの最大噴射時間、及びマイクロスキャン1を適用した。チャージ状態が+1より大きく且つ強度が8.3E3より大きい親イオンをフラグメント化のために選択した。動的エクスクルージョンは、20μm内径キャピラリーについては10sまた50μm内径キャピラリーでは15sと設定した。ペプチドマッチ及び同位体エクスクルードをオンにした。
4.データ分析。CZE−PRM実験では、データはThermo Xcaliburソフトウェアによって手作業で分析した。アンジオテンシンIIからのフラグメントイオンのピークを10ppmの質量許容値によって手作業で抽出し、またこのフラグメントイオンのピークに対してガウス型スムージング(5点)を実施した。
ヒト細胞溶解液消化物データでは、タンデムスペクトルを包含した未加工ファイルをProteome Discoverer1.3ソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)によって分析した。Swiss−Protデータベースに対するデータベース検索のためには、タキソノミーをヒトとして(20,335シーケンス)Mascot2.2を使用した。消化酵素としてトリプシンを選択し、またミスドクリベージの最大数は2に設定した。親イオンとフラグメントイオンの質量許容値は、それぞれ10ppmと0.05Daに設定した。動的な修飾には、酸化(M)、脱アミド(NQ)、及びアセチル化(K及びタンパク質N−末端)を含めた。カルバミドメチル化(C)を固定修飾として設定した。過誤発見率(FDR)(Elias及びGygi、Nat. Methods 4(2007)207)を評価するために、対応するリバースデータベースに対するデータベース検索も実行した。
Proteome Discoverer 1.3に組み込まれたパーコレータソフトウェア(バージョン1.17)をデータベース検索結果の評価のために使用した。ペプチドレベル分析では、ペプチド同定のフィルタリングのためにペプチド信頼値のhighを使用した、これは1%未満のペプチドレベルFDRに対応する。1タンパク質あたりペプチド数(peptides per protein)の設定では、ペプチドの最小数1、ランク1ペプチドのみカウント、及びトップスコアのタンパク質でのみペプチドをカウントを含むパラメータを適用した。さらに、タンパク質群化を有効にした。
[結果及び検討]
1.ペプチド検出に関するCZE−PRM。CZE−PRM実験では、Q−Exactiveを標的−MSモードにプログラミングした。インクルージョンリストにおいて、アンジオテンシンIIに対応するm/z523.7734(+2)(ヒト、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe)を使用した。アンジオテンシンII標準ペプチドは、BSA消化物の一定のバックグラウンドの存在下で分離キャピラリー(20μm内径)に装填された15amole〜150fmoleのアンジオテンシンIIに対応する10nM、100nM、1μM、10μM及び100μMのアンジオテンシンIIを含有する一連のサンプルを生成するために0.45mg/mLのBSA消化物にスパイクした。
発明者らはまた、10μm内径の分離キャピラリーを利用して、0.45mg/mLのBSA消化物にスパイクした10nMのアンジオテンシンIIから作成されたサンプルを分析した。この実験では、約2amoleのアンジオテンシンIIをキャピラリーに装填した。三重CZE−PRM分析の後に、アンジオテンシンIIの最も高強度の2つのフラグメントイオン(b6及びy2)を、10ppm質量許容値の収集データから抽出し較正曲線を作図した(図12)。発明者らは、log−logデータに対して非重み付け重み線形当て嵌めを実施した。フラグメントイオン信号は、アンジオテンシン装填量に従って直線的に4.5桁(log−log b6slope=0.90、r=0.99;y2slope=0.89、r=0.99)を超える増大があった。発明者らは、アンジオテンシンIIの2つのフラグメントイオンが各CZE−PRMランにおいて共に移動しており、標準ペプチドの検出が確認されたことを指摘しておく。
0.45mg/mL(約7μM)BSA消化物バックグラウンドの存在下での2amoleのアンジオテンシンIIの使用によって、アンジオテンシンIIの最も豊富なフラグメントイオン(y2)に関して約2.0E+03信号が生成された。この約2.0E+03信号は、66nMのBSA消化物をバックグラウンドとして存在させ且つCZE−MRM分析を使用して同じく約2amoleのロイシンエンケファリンを噴射させた発明者らの以前の研究からのものと比べて約20倍大きい(Liら、Anal. Chem.84(2012)6116)。
信号振幅の劇的な改善は、幾つかの要因に起因するものである。第1に、以前の研究では発明者らの第1世代の動電学的ポンピング式シースフローインターフェースを利用したが、本研究では改良バージョンのインターフェース(上記の実施例1)を使用した。改良型のインターフェースにおける分離キャピラリー先端とスプレー放出体先端の間の距離が当初バージョンのものと比べて5分の1であるため、スプレー放出体におけるペプチドの拡散が減少し、ペプチドピークが非常にシャープになり、且つペプチド信号が相応してより高強度となる。第2に、発明者らは、内径をかなり小さくした(10〜20μm対50μm)分離キャピラリーと、pH値をかなり低くした(3未満対6〜8)分離バッファを使用しており、これにより分離キャピラリー内の流量が低下し、より良好な感度が生成された。第3に、この研究ではオンラインスタッキングを使用した、これによってもピークがシャープとなる。キャピラリーに高電圧が印加されたときにペプチドが集中するように、サンプルマトリックス(0.05%(v/v)FA)の伝導率を分離バッファ(0.5%FA)よりかなり低くしている。さらに、この研究ではかなり高分解能の質量分析計(オービトラップ対四重極)を利用した、これがバックグラウンドマトリックスに対する格段に優れた許容度を生成している。
発明者らはまた、アンジオテンシンIIフラグメントイオン(y2)の移動時間及び強度に関するCZE−PRMシステムの再現性について評価した(図13)。三重式分析での移動時間の相対標準偏差(RSD)は4%未満であった。三重式分析でのフラグメントイオン強度のRSDは、150fmoleの装填量では約36%、150amole〜15fmoleの装填量では約10%以下、また2及び15amoleの装填量では20%に近かった。
2及び15amole装填量データのRSDが若干高いのは次の2つの理由による可能性が高い。第1に、共単離したBSAペプチドの強度がアンジオテンシンIIよりかなり高くなり、これが非常に低い装填量ではより大きな検出変動につながる。第2に、2及び15amole装填量データのフラグメントイオンは非常にシャープなピーク(ピークの半値全幅が≦2s)であるため、より高い装填量データと比べてピークの間のデータ点が少なくなる。150fmole装填量データでは、RSDは大幅に高くなる、その理由はCE−MSシステムが若干過負荷となり、これにより非ガウス型ピーク形状が生成されるからである。さらに、アンジオテンシンIIフラグメントイオンb6の移動時間及びフラグメントイオン強度のRSDデータは、y2に関するものとよく一致する。
2.ヒト細胞溶解液消化物分析に関するCZE−ESI−MS及びMS/MS。上の実施例1は、高フェムトグラムから中間的ピコグラム量のE.coli細胞溶解液消化物の分析のために使用した、エッチング先端の動電学的ポンピング式シースフローナノスプレーインターフェースベースのCZE−MS/MSシステムの使用について説明した。当該研究によって、原核生物プロテオーム消化物の分離及び検出に関して、改良型のシステムが極めて高効率であり且つ定量的再現性があることが立証された。今日まで、CZE−MS/MSを用いたヒトプロテオームのボトムアップ分析で公表されたものは存在しない。
ここで発明者らは、ヒトプロテオーム(MCF−7ヒト乳がん細胞株のプロテオーム)のボトムアップ分析に関するCZE−MS/MSの第1の適用について報告する。発明者らは、約60ngの全細胞消化物の分析に関して超高感度インターフェースを使用することによって開始した(図14)。分離は、280V/cm電界によって駆動した。ペプチドは、キャピラリーから11分で移動を開始し、また分離は概ね26分までに完了した(図14の(A))、ただし後の時点で幾つかの強いピークが観測された。分離は、極めて高効率であり、またピークは非常にシャープである(図14の(B))。
概ね10〜20のピークが、13〜14分の1分の分離ウィンドウにおよぶ基準ピーク電気泳動図から分解された。発明者らは、525,000理論段を生成した2ppm質量許容値のデータから1つのペプチド(m/z400.77161、z=+2)を抽出した、これによりこの計器によって極めて高い分離効率が得られることが立証される。
発明者らは次に、MCF7全細胞溶解液消化物のボトムアップ分析に関して単一ショットCZE−MS/MSを適用した。約80ngのペプチドを100cm長の20μm内径分離キャピラリーに装填した。分離は、200V/cm電界で実施した。タンデムスペクトルのデータベース検索後に、1,159のペプチド及び283のタンパク質が高信頼に同定され、また少なくとも2つのペプチドに基づいて176のタンパク質が同定された。分離は概ね40分間で完了した。
単一ショットCZE−MS/MSでMCF7プロテオームからどれだけ多くのペプチド及びタンパク質が同定可能であるかを試験するために、発明者らはプロテオームを分取することによってMCF7細胞溶解液消化物を単純化した。ペプチドは先ずC18 SPEカラム上にトラップし、次いで分析のために留分を12%(v/v)ACNで溶離させた。電気浸透を低下させためにLPA被覆の分離キャピラリーを使用した、これにより分離容量が大きくなる。サンプル噴射体積を増加させるために、発明者らは50μmIDキャピラリーを使用し、約130nLのサンプルを噴射した。データベース検索後に、単一ショット分析により1,199のペプチド及び468のタンパク質が同定された。少なくとも2つのペプチドに基づいて219のタンパク質が同定された。分離は60分以内に完了した。合成データ組は、2,005のペプチドと537のタンパク質IDとを包含している。
具体的な実施形態について開示した実施形態及び実施例を参照しながら上で説明してきたが、このような実施形態は単に例証であり且つ本発明の範囲を限定するものではない。当業者によれば、添付の特許請求の範囲の規定に従ったそのより広い態様において本発明を逸脱することなく変更や修正が可能である。
すべての公開、特許及び特許文書は、参照によりそれぞれが個々に組み込まれたのと同様にして参照により本明細書に組み込まれるものとする。本開示と矛盾するいかなる限定もこれらから理解すべきでない。本発明について、様々な具体的且つ好ましい実施形態及び技法を参照しながら説明してきた。しかし、本発明の精神及び範囲の域内に留まりながら多くの変形形態及び修正形態が実施され得ることを理解すべきである。

Claims (20)

  1. キャピラリーからエレクトロスプレーを製造するためのシースフローインターフェースであって、
    (a)検体液含有された検体を分離するように構成され、前記検体液を受け取るように構成された噴射端と検体流出液を排出するように構成された被覆のない遠位端とを有するシリカ製のキャピラリーであって、前記遠位端のセグメントの外径が低減された外径までテーパが付けられており、前記低減された外径は約20μm〜約200μmの範囲内であり、前記遠位端の内側部分は、前記キャピラリーの長さに対して実質的に一様なままである、シリカ製のキャピラリーと、
    (b)少なくとも前記キャピラリーの前記遠位端を囲繞して共軸性に配置されたエレクトロスプレー放出体であって、前記キャピラリーの前記遠位端に関連して共軸性に配置された開口で終わるようにテーパが付けられた遠位端を有するエレクトロスプレー放出体と、
    (c)前記キャピラリーの周辺の接続フィクスチャを介して前記エレクトロスプレー放出体の内部と液体連通するシース液リザーバであって、電導性のシース液が前記シース液リザーバから、前記エレクトロスプレー放出体の前記内部を通過し、前記シース液が前記検体流出液を鞘状に覆うことができる前記キャピラリーの前記遠位端に流れ、且つ前記エレクトロスプレー放出体の前記遠位端にある前記開口を通過して流れることが可能であるように前記接続フィクスチャは前記シース液のフローを前記シース液リザーバから前記エレクトロスプレー放出体の前記内部まで導くことが可能である、シース液リザーバと、を備え、
    前記シース液は前記キャピラリーと前記エレクトロスプレー放出体の間の電気的接触を実現し、前記シースフローインターフェースは前記検体流出液を鞘状に覆う前記シース液の動電学的フローによってナノスプレーを製造することが可能であり、且つ前記動電学的フローは前記エレクトロスプレー放出体と前記エレクトロスプレー放出体の前記開口に隣接するが物理的に接触しないように配置された標的面との間の電位によって生成されることが可能である、シースフローインターフェース。
  2. 前記キャピラリーの前記遠位端が、放出体オリフィスの遠位端から約750μmから放出体オリフィス開口の先の約100μmまでにある、請求項1に記載のシースフローインターフェース。
  3. 前記キャピラリーの前記遠位端が、前記放出体オリフィスの前記遠位端から約100nm〜約750μmにある、請求項2に記載のシースフローインターフェース。
  4. 前記キャピラリーの前記遠位端が、前記放出体オリフィスの前記遠位端の終端点と前記放出体オリフィスの前記遠位端の約100μm先との間まで延びている、請求項2に記載のシースフローインターフェース。
  5. 前記キャピラリーの前記遠位端の前記外径が約20μm〜約75μmである、請求項1に記載のシースフローインターフェース。
  6. 低減された外径までテーパが付けられた前記遠位端の前記セグメントが約0.1mm〜約10mmのセグメント長を備える、請求項1に記載のシースフローインターフェース。
  7. キャピラリーゾーン電気泳動計器のために構成された請求項1に記載のシースフローインターフェース。
  8. 分析のための質量分析装置によって構成されている、請求項に記載のシースフローインターフェース。
  9. 質量分析装置検出限界が約1〜10ゼプトモルである、請求項に記載のシースフローインターフェース。
  10. 質量分析装置検出限界が概ね1ゼプトモルである、請求項に記載のシースフローインターフェース。
  11. 請求項に記載のシースフローインターフェースを用いてキャピラリーから検体流出液のナノスプレーを製造するための方法であって、前記シース液の電気浸透性フローを、前記シース液リザーバから、接続用フィクスチャを通過し、前記エレクトロスプレー放出体の前記内部を通過し、前記シース液が前記検体流出液を鞘状に覆うことができる前記キャピラリーの前記遠位端に至り、且つ前記エレクトロスプレー放出体の前記遠位端にある前記開口を通過するように駆出するのに十分な電圧を前記シース液リザーバとキャピラリーの前記噴射端との間に印加するステップであって、前記検体流出液内の検体がキャピラリーゾーン電気泳動によって前記キャピラリー内で分離される、ステップを含む、方法。
  12. 前記シースフローインターフェースをタンデム質量分析法のために構成するステップを含んでおり、前記シースフローインターフェースが質量分析装置に対して分析のためにナノスプレーを提供するように構成されており、前記標的面が前記質量分析装置の入力オリフィスであり、且つタンパク質サンプルの下側検出限界が約3フェムトグラムから約5フェムトグラムである、請求項11に記載の方法。
  13. プチドがE.coliトリプシン消化物、又はヒト細胞株消化物を含む、請求項12に記載の方法
  14. 分析されるペプチドの質量検出限界が約1ゼプトモルである、請求項12に記載の方法。
  15. 分析されるペプチドの信号対雑音比が約260:1〜約300:1である、請求項12に記載の方法。
  16. ンパク質消化物の分離及び分析が約60分以内で完了する請求項11に記載の方法。
  17. ペプチド分離について250,000理論段〜約350,000理論段の平均値が得られる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記シースフローインターフェースの前記キャピラリーの内径が約5μm〜約75μmである、請求項16に記載の方法。
  19. スプレーの総流量が約20〜200nL/分である、請求項16に記載の方法。
  20. 前記キャピラリーの前記遠位端が、放出体オリフィスの遠位端から約200μmにあり、前記キャピラリーの前記遠位端の前記低減された外径は50μm〜100μmであり、前記放出体オリフィスの内径が約2μm〜約50μmであり、前記エレクトロスプレー放出体は非導電性である、請求項1に記載のシースフローインターフェース。
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