JP6601662B2 - 単一光子発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、量子情報および量子通信分野で必要とされる、識別不可能な単一光子を発生する単一光子発生装置に関するものである。
光を用いた量子情報通信では、光子を一つずつ規則正しく生成するための単一光子源が重要なリソースとなる。特に高度な応用とされる量子中継や量子演算などでは、単一光子源が効率良く単一光子を生成できるだけでなく、一つ一つの単一光子パルスを互いに区別することができない、所謂識別不可能な単一光子パルスを効率良く生成できるデバイスが多数必要となる。
識別不可能な単一光子パルスは、単一光子が同一パルス内で十分に長いコヒーレンス時間を持つことと同義である。ところが単一光子源の最も有力な候補とされる半導体量子ドットの場合でも、コヒーレンス時間は単一光子パルスの時間幅(〜1ナノ秒)に比べ約1/10の0.1ナノ秒程度しかなく、可干渉性を悪化させる要因となっている。
コヒーレンス時間を短くする主な原因は、量子ドットの励起子励起準位へ非共鳴に生成されたキャリアが励起子基底準位へと緩和する際、周囲のフォノンと相互作用して位相情報が失われてしまうためである。
このようなフォノンによる位相情報の消滅、所謂デコヒーレンスを避ける手段として最近報告されつつあるのが、共鳴蛍光の手法である。共鳴蛍光では量子ドットの励起子励起準位ではなく、励起子基底準位のエネルギーに励起光の波長を合わせ共鳴的にキャリア生成を行う。したがって、準位間のエネルギー緩和がないため、原理的に長いコヒーレンス時間を実現できるのが最大の利点である。反面、励起光パルスの波長と単一光子パルスの波長が完全に同一となるので、いかにして散乱された励起光を分離・抑圧し、所望の単一光子のみを効率良く取り出すかが実現の鍵となる。
共鳴蛍光を利用した単一光子源の代表例として、ポスト型微小共振器の中央に量子ドットを配置し、共振器に対し横方向から励起光を入射し、垂直方向から単一光子を取り出すことが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この場合、励起光と単一光子の進行方向が90°異なるため、両者の分離は可能である。
また、共鳴蛍光を利用した単一光子源の他の例として、半導体導波路中に埋め込んだ量子ドットに対して共鳴励起を行うことが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。この場合には、単一光子は導波路中を伝搬する一方で、励起光は非特許文献1と同様に空間からの照射となる。
特開2007−110041号公報
S.Ates et al.,Phys.Rev.Lett.103, 167402(2009) G.Reithmaier et al.,Scientific Reports srep01901(2013)
しかし、非特許文献1による提案では、励起光の散乱による散乱光の振る舞いを予見することができず、単一光子の放出方向に散乱光が散乱する可能性があり、散乱光に起因するノイズを制御性良く抑圧することが困難であるという問題がある。また、励起光と単一光子の集光に1つずつ対物レンズを必要とするため装置が大がかりとなり、スケーラビリティの点でも不利となる。
また、非特許文献2による提案においても、励起光と単一光子の波長が完全同一となった場合、散乱光の振る舞いを予見することができず、散乱光に起因するノイズを制御性良く抑圧することは困難である。
なお、光導波路中に量子ドットを埋め込み、かつ励起光も同じ光導波路内を伝搬させて波長の違いを利用してダイクロイックミラーで励起光と単一光子を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)ので、図13を参照して説明する。
図13は従来の単一光子発生装置の説明図であり、光導波路72の表面(接合面74)に単一光子量子ドット71設けて他の光導波路73と接合させ、ダイクロイックミラー76,78を介して一対の光導波路75,77で挟み込んでいる。励起パルス光79が単一光子量子ドット71に入射すると単一光子80が発生して光導波路77を伝搬する。この時、ダイクロイックミラー78は励起パルス光79を反射するので、単一光子80のみ取り出すことが可能になる。
この提案においては、励起パルス光79及び単一光子80ともに光導波路内を伝搬するため、光源の数を増やすには一つの基板上に多数の光導波路を刻めば良く、スケーラビリティの点ではメリットが大きい。しかし、励起パルス光79の波長と単一光子80の波長が異なることを前提としているため、共鳴蛍光には適用できないという問題があるので、その事情を図14を参照して説明する。
図14は、従来の単一光子発生装置における単一光子発生過程の説明図である。図14(a)に示すように、波長がλの励起パルス光79が入射すると、単一光子量子ドットにおいて、価電子帯の最高エネルギー準位81の電子85が伝導帯の最低エネルギー準位82に励起される。なお、価電子帯の最高エネルギー準位81には正孔84が生成される。
次いで、図14(b)に示すように、所定の緩和時間が経過すると、伝導帯の最低エネルギー準位82を占める電子85は励起子のエネルギー準位83に遷移する。次いで、図14(c)に示すように、励起子のエネルギー準位83に遷移した電子85は正孔84と発光性再結合して波長がλ(>λ)の単一光子80を発生する。
このように、単一光子の発生過程として、励起パルス光79の波長と単一光子80の波長が異なることを前提としているため、単一光子波長と励起散乱光の波長が同一となる共鳴蛍光に適用することは不可能ある。したがって、共鳴蛍光の利点である、コヒーレンス時間の長い識別不可能な単一光子パルス生成を望むことはできない。
したがって、単一光子発生装置において、ノイズを制御性良く抑圧して識別不可能な単一光子を発生することを目的とする。
開示する一観点からは、一端を励起光パルスの入力端とし、他端に無反射端構造を備えた第1の光導波路と、一端を単一光子パルスの出力端とし、他端に無反射端構造を備えるとともに、前記出力端と前記無反射端構造との間に1個乃至20個の量子ドットを含む量子ドット領域を備えた第2の光導波路とを有し、前記出力端と前記量子ドット領域との間の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合する第1の方向性結合領域を有し、前記励起光パルスの進行方向における前記量子ドット領域の後段の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合し、前記第1の方向性結合領域とともにマッハツェンダー干渉計を形成する第2の方向性結合領域を有し、前記第1の光導波路は、前記第1の方向性結合領域と前記第2の方向性結合領域の間の領域に、伝搬する前記励起光パルスの位相を制御する温度制御構造を有することを特徴とする単一光子発生装置が提供される。
開示の単一光子発生装置によれば、ノイズを制御性良く抑圧して識別不可能な単一光子を発生することが可能になる。
本発明の実施の形態の単一光子発生装置の概念的構成図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の概略的平面図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の途中までの説明図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の図3以降の途中までの説明図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の図4以降の途中までの説明図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の図5以降の途中までの説明図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の図6以降の途中までの説明図である。 本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程の図7以降の説明図である。 本発明の実施例2の単一光子発生装置の説明図である。 本発明の実施例3の単一光子発生装置の説明図である。 本発明の実施例4の単一光子発生装置の概念的平面図である。 本発明の実施例5の単一光子発生装置の概念的平面図である。 従来の単一光子発生装置の説明図である。 従来の単一光子発生装置における単一光子発生過程の説明図である。
ここで、図1を参照して、本発明の実施の形態の単一光子発生装置を説明する。図1は、本発明の実施の形態の単一光子発生装置の概念的構成図である。本発明の実施の形態の単一光子発生装置は、一端を励起光パルスの入力端とし、他端に無反射端構造17を備えた第1の光導波路11と、一端を単一光子パルスの出力端とし、他端に無反射端構造18を備える第2の光導波路12を備えている。この第2の光導波路12は、出力端と無反射端構造18との間に1個乃至20個、好適には5個以下の量子ドットを含む量子ドット領域13を備えている。この第1の光導波路11と第2の光導波路12は、第2の光導波路12の出力端と量子ドット領域13との間の領域において、第1の方向性結合領域14により方向性結合されている。量子ドット領域13に含まれる量子ドットの数が、1個乃至20個の範囲であれば、その内の一個の量子ドットの励起子基底準位エネルギーのみが励起光パルスの波長と一致する確率が高くなり、特に、5個以下であれば確率的には一個の量子ドットの励起子基底準位エネルギーのみが励起光パルスの波長と一致する。
一般に、共鳴蛍光を利用した識別不可能な単一光子生成では、励起光1パルス当たりの光子数が単一光子パルスにくらべ1010倍以上高く、十分なS/Nを得るためには励起光パルスの残留成分を100dB以上抑圧しなければならない。このような条件は、上述の構成で十分満たすことが可能である。
なお、1個の励起光パルスにより量子ドットにより複数回にわたり単一光子パルスが発生しないようにするために、励起光パルスのパルス幅は、単一光子パルスのパルス幅より十分小さくする必要がある。単一光子パルスのパルス幅は量子ドットにおけるキャリアのライフタイム(〜1ナノ秒)に依存するので、励起光パルスのパルス幅は、数10ピコ秒〜数100フェムト秒程度とし、通常はレーザ光を用いる。
第1の光導波路11の入力側端面より入射された励起光パルスは、第1の方向性結合領域14を経て第1の光導波路11及び第2の光導波路12の両方にa:bの比率(但し、a+b=100)に分配される。第1の光導波路11を伝搬する励起光パルスは、他端の無反射端構造17から光導波路外に放出或いは吸収される。なお、この分岐比率は、第1の方向性結合領域14の長さ、第1の方向性結合領域14における第1の光導波路11と第2の光導波路12との間隔等により制御する。この分岐比率は任意であり、励起光パルスの出力に余裕がある場合には、a≫bとした方が、単一光子パルスを取り出す際の損失(b/2%)が少なくなる。余裕が少ない場合には、a≒bとすれば良い。
一方、第2の光導波路12を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域13を通過する際に、光励起により単一光子パルスを発生する。発生した単一光子パルスは50:50の同確率で第2の光導波路12の出射端側と無反射端構造18側へ伝搬するが、出射端側に向かう単一光子パルスのみを出力する。この時、出射端側に向かう単一光子パルスは、第1の方向性結合器14においてb%だけ第1の光導波路11側へ分岐されるので、(50−b/2)%が出力となる。なお、無反射端構造18へ向かう単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった励起光パルスとともに、無反射端構造18から光導波路外に放出或いは吸収される。
この時、励起光パルスの波長が量子ドットの内の一つの量子ドットの励起子基底準位エネルギーのみと一致するようにすることにより、一つの量子ドットのみを共鳴励起し、共鳴蛍光により励起光パルスと同じ波長の単一光子パルスを発生する。共鳴蛍光による単一光子パルスであるので、識別不可能な単一光子となる。また、散乱成分となる励起光パルスは、無反射端構造17,18から光導波路外に放出或いは吸収され出射端側へは伝搬しないので、励起散乱光を制御性良く抑圧することができる。
なお、励起光散乱光を制御性良く抑圧するためには、第1の光導波路11及び第2の光導波路12の励起光パルスの進行方向において、無反射端構造17,18の直前に曲がり導波路構造の減衰構造15,16を設けることが望ましい。曲がり導波路構造の減衰構造15,16としては、曲率半径の極めて小さな曲がり導波路を一箇所、ないしは複数箇所設ければ良く、導波路曲げ部での伝搬損失により光強度の減衰を与えることができる。また、無反射端構造としては無反射膜、斜め終端導波路または先細りテーパ導波路のいずれか、或いは、それらの組み合わせを用いれば良い。
無反射膜としては、SiO膜やMgF膜等を用いた単層膜或いは多層膜を用いれば良い。なお、予め量子ドット領域に光導波路外から励起光を照射して発生したフォトルミネッセンス光の波長を測定して無反射膜の膜厚を設定するようにしても良い。
また、励起光パルスの進行方向における量子ドット領域の後段の領域において、第1の光導波路11と第2の光導波路12とが方向性結合する第2の方向性結合領域を設けても良い。この時、第1光導波路11の第1の方向性結合領域14と第2の方向性結合領域の間の領域に伝搬する励起光パルスの位相を制御する温度制御構造を設けることが望ましい。
特に、第1の光導波路11及び第2の光導波路12を伝搬する励起光パルスが第2の方向性結合領域において合波される際に、合波された励起光パルスの100%が第1の光導波路11へ結合するように、温度制御構造により位相を制御することが望ましい。このように設定することで、第2の光導波路12の無反射端構造18に向かう励起光パルスは0%になり、仮に、若干の励起光パルスが反射されたとしても、第2の方向性結合領域において、その100%が第1の光導波路11に分岐される。
また、第1の光導波路11に、励起光パルスの進行方向の第2の方向性結合領域の後段の領域において、第3の方向性結合領域及び第4の方向性結合領域によりマッハツェンダー干渉計型光導波路を形成し、量子ドット領域を有する第3の光導波路を結合しても良い。さらに、マッハツェンダー干渉計型光導波路を利用して量子ドット領域を有する多数の光導波路を第1の光導波路11に結合しても良い。このように複数の光導波路を結合することにより、多数のポートからそれぞれ単一光子パルスを発生させることができ、高いスケーラビリティが得られる。また、1つの半導体基板上に多数の識別不可能な単一光子源を集積的に配置するようにしても良く、多数の単一光子パルスを同時に発生させることも可能になる。なお、これらの量子ドット領域に含まれる量子ドットの数は、1個乃至20個、特に、5個以下とすることが望ましい。
また、この量子ドット領域に、量子ドットの励起子基底準位エネルギーを制御する一対の電極を設けることが望ましい。このように、電極を設けることによって、第3の光導波路等から出力される単一光子パルスの波長を第2の光導波路12から出射される単一光子パルスの波長に一致させることができる。
このような、単一光子発生装置は、GaAs基板を用いたAlGaAs/GaAs系や、InP基板を用いたInGaAsP/InP系等の化合物半導体によって形成するのが一般的である。また、上部クラッドとして半導体層を用いた埋め込み構造が一般的ではあるが、上部クラッドとしてSiO等の誘電体または空気を用いたリッジ構造としても良い。特に、量子ドット領域に電極を設けた場合に有効な構造となる。
また、各光導波路をSOI基板を用いてシリコンフォトニクス的に形成しても良い。この場合、SOI基板の単結晶Si層の一部を除去して、露出したBOX層上に基板貼り合せ技術を用いて化合物半導体を貼り合せて光導波路を形成し、単結晶Si層の残部に制御用等の電子デバイスを形成しても良い。
本発明の実施の形態においては、方向性結合器と無反射端構造を用いているので、共鳴蛍光における励起光パルスの散乱成分を効果的に抑圧して、識別不可能な単一光子パルスを効率よく生成することができる。また、上記の構成を用いることで、1つの半導体基板上に多数の識別不可能な単一光子源を集積的に配置することができる。
次に、図2乃至図8を参照して、本発明の実施例1の単一光子発生装置を説明する。図1は、本発明の実施例1の単一光子発生装置の概略的平面図であり、一端を励起光パルスの入力端とした第1光導波路29と、一端を単一光子パルスの出力端とし、量子ドット領域31を備えた第2光導波路30とを結合する方向性結合領域32を設ける。
量子ドット領域31には、5個以下の量子ドットが含まれるように、量子ドットの製造条件及び領域の区画を設定する。また、方向性結合領域32の分岐比率は、励起光パルス光源の強度に余裕があるので、ここでは、10:90に設定する。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部には、夫々減衰領域となる曲がり導波路領域33,34を設け、後続する端部には斜め終端導波路35,36を介して無反射膜38を設ける。
第1光導波路29の入力端から励起光パルスが入射すると、方向性結合領域32において10%は第2光導波路30を伝搬し、残りの90%はそのまま第1光導波路29を伝搬する。第2光導波路30を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域31において一つの量子ドットのみを励起し、量子ドット内には励起子(電子‐正孔対)が一組だけ生成される。生成された励起子が再結合する際に単一光子パルスを生成する。なお、量子ドット領域31に含まれる量子ドットは5個以下であるので、製造過程にける量子ドットのサイズにバラツキにより、夫々の励起子基底準位エネルギーが異なるため、励起光パルスの波長に一致する励起子基底準位エネルギーの量子ドットのみが励起される。
発生した単一光子パルスは夫々50%の確率で左右方向に伝搬する。図において、左方向に伝搬する単一光子パルスは、方向性結合領域32において、その10%、したがって、5%(=50%×10%)は第1光導波路29に分岐されるが、残りの45%は第2光導波路30の出射端から出射されて光信号成分となる。また、右方向に伝搬する単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった10%の励起光パルスとともに、曲がり導波路領域34においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を斜め終端導波路36を介して無反射膜38から単一光子発生装置外に放出する。また、第1光導波路29を伝搬する90%の励起光パルスも曲がり導波路領域33においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を斜め終端導波路35を介して無反射膜38から単一光子発生装置外に放出する。
具体的な光子数を挙げると、量子ドット一個の励起に必要な励起光パワーはモード径が1μmの時、大凡10ナノワット程度である。これは励起光パルスの波長を1.3μmとする時、大凡1011個の光子に相当する。残留励起光パルスの強度も同程度のオーダとすると、第2光導波路30の出力端側で100:1のS/N比を実現するには、残留励起光パルスの出力端からの反射成分を130dB以上抑圧し、単一光子1パルス当たりに含まれる残留励起光の平均光子数を0.01個以下にまで減少させる必要がある。
端面に無反射膜38を設けた場合の反射の抑制は最大50dB程度であるが、その直前に曲がり導波路領域33,34を設け、その伝搬損失を利用することで往復80dB以上の減衰を実現することができる。その結果、第2光導波路30及び第1光導波路29の右方向に伝搬する励起光パルスは、端部で反射されて左方向に伝搬することは実効的にはないので、第2光導波路30の出力端から放出される単一光子パルスに励起光パルスの反射成分が混在することはない。したがって、ノイズとなる励起光パルスの反射成分を完全に抑制した識別不可能な単一光子の発生が可能になる。
次に、図3乃至図8を参照して、本発明の実施例1の単一光子発生装置の製造工程を説明する。なお、各図における図(a)は平面図であり、図(b)は図(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。まず、図3に示すように、i型GaAs基板21上に、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いてAl組成比が0.2で厚さが2μmのi型AlGaAs下部クラッド層22及び厚さが0.2μmのi型GaAsコア層23を成膜する。次いで、Stranski−Krastanov(SK)成長モードでInAs量子ドット24を形成した後、厚さが0.2μmのi型GaAsコア層25でInAs量子ドット24を覆う。なお、この場合のInAs量子ドット24の面内密度は10cm−2〜10cm−2程度になる。
次いで、図4に示すように、誘電体マスク26を設けて、この誘電体マスク26をマスクとして露出部をi型AlGaAs下部クラッド層22に達するまでドライエッチングする。誘電体マスク26の材料としては、SiO膜でもSiN膜でも良いが、ここではSiO膜を用いる。この時、後述するように、導波路パターンを形成する際に、量子ドット領域に含まれるInAs量子ドット24の数が5個以下になるように、誘電体マスク26の幅は0.2μm〜1μm、ここでは、0.5μmとする。
次いで、図5に示すように、誘電体マスク26をそのまま選択成長マスクとして用いて、MOCVD法により、厚さが0.4μmのi型GaAsコア層27を成長させて、i型GaAsコア層25と高さを揃える。
次いで、図6に示すように、誘電体マスク26をウェットエッチングにより除去したのち、新たにSiO膜を設け、エッチングにより図2に示した導波路パターンを形成するための幅が1.5μmの誘電体マスク28を形成する。この時、図2に示した方向性結合領域32における分岐比が10:90になるように、方向性結合領域における長さ及び二本の導波路パターンの間隔を適切に設定する。
次いで、図7に示すように、誘電体マスク28をマスクとしてICP−RIE法を用いて、露出部をi型AlGaAs下部クラッド層22に達するまでドライエッチングして、メサ形状の第1光導波路29及び第2光導波路30を形成する。この時、第2光導波路30の一部に幅が1.5μmで長さが0.5μmの量子ドット領域31が形成される。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の後端部側には減衰領域となる曲がり導波路領域33,34と後続する斜め終端導波路35,36が形成される。
次いで、図8に示すように、誘電体マスク28をウェットエッチングにより除去したのち、MOCVD法を用いて全面にAl組成比が0.2で厚さが1.0μmのi型AlGaAs上部クラッド層37を成長する。最後に後端面にCVD法を用いてMgF膜を成膜して無反射膜38を形成することによって、本発明の実施例1の単一光子発生装置の基本構成が完成する。
本発明の実施例1においては、量子ドット領域31に含まれる量子ドットの数を5個以下にしているので、共鳴励起の手法を用いてコヒーレンス時間の十分に長い識別不可能な単一光子パルスを効果的に生成することが可能となる。また、方向性結合領域32により励起光パルス源と分離するとともに、減衰構造として曲がり導波路領域33,34及び無反射端構造としての斜め終端導波路35,36及び無反射膜38を設けているので、ノイズとなる励起光パルスの反射成分を効率的に抑圧することができる。なお、斜め終端導波路の代わりに通常の端面に対して垂直に交差する終端導波路を用いても良い。
次に、図9を参照して、本発明の実施例2の単一光子発生装置を説明するが、無反射端構造として先細りテーパ部を用いた以外は、上記の実施例1と同様であるので最終構造のみを示す。図9は、本発明の実施例2の単一光子発生装置の説明図であり、図9(a)は概略的平面図であり、図9(b)は、図9(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。一端を励起光パルスの入力端とした幅が1.5μmの第1光導波路29と、一端を単一光子パルスの出力端とし、量子ドット領域31を備えた幅が1.5μmの第2光導波路30とを方向性結合領域32により結合する。
量子ドット領域31には、5個以下の量子ドットが含まれるように、量子ドットの製造条件及び領域の区画を設定する。また、方向性結合領域32の分岐比率は、任意であるが、ここでは、10:90に設定する。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部には、夫々減衰領域となる曲がり導波路領域33,34を設け、後続する端部には無反射端構造として先細りテーパ部39,40を設ける。
第1光導波路29の入力端から励起光パルスが入射すると、方向性結合領域32において10%は第2光導波路30を伝搬し、残りの90%はそのまま第1光導波路29を伝搬する。第2光導波路30を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域31において一つの量子ドットのみを励起し、単一光子パルスを生成する。
発生した単一光子パルスは夫々50%の確率で左右方向に伝搬する。図において、左方向に伝搬する単一光子パルスは、方向性結合領域32において、その10%、したがって、5%は第1光導波路29に分岐されるが、残りの45%は第2光導波路30の出射端から出射されて光信号成分となる。
右方向に伝搬する単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった10%の励起光パルスとともに、曲がり導波路領域34においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を先細りテーパ部40により導波路外に放出する。また、第1光導波路29を伝搬する90%の励起光パルスも曲がり導波路領域33においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を先細りテーパ部39により導波路外に放出する。放出された励起光パルスは光導波路領域以外で散乱・吸収されることになり、効果的な反射光の抑圧が期待できる。
本発明の実施例2においては、無反射端構造として先細りテーパ部39,40を用いているので、導波路パターンの形成工程で一括して形成することができ、膜厚制御が必要な無反射膜の形成工程が不要になる。
次に、図10を参照して、本発明の実施例3の単一光子発生装置を説明するが、量子ドット領域に一対の電極を設けた以外は上記の実施例1と同様であるので最終構造のみ示す。図10は、本発明の実施例3の単一光子発生装置の説明図であり、図10(a)は概略的平面図であり、図10(b)は、図10(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。一端を励起光パルスの入力端とした幅が1.5μmの第1光導波路29と、一端を単一光子パルスの出力端とし、量子ドット領域31を備えた幅が1.5μmの第2光導波路30とを方向性結合領域32で結合する。
方向性結合領域32の分岐比率は、任意であるが、ここでは、10:90に設定する。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部には、夫々減衰領域となる曲がり導波路領域33,34を設け、後続する端部には斜め終端導波路35,36を介して無反射膜38を設ける。
量子ドット領域31には、5個以下の量子ドットが含まれるように、量子ドットの製造条件及び領域の区画を設定する。この実施例3においては、量子ドット領域31を両側から挟むように一対の電極39,40を設ける。この一対の電極41,42により量子ドットに電界を印加することにより、その励起子基底準位エネルギーを制御して単一光子の波長を制御することができる。
本発明の実施例3においては、量子ドット領域31に一対の電極41,42を設けているので、励起光パルスの波長と各量子ドットの励起子基底準位エネルギーとが一致しない場合に、電界を印加することで両者の一致を図ることができる。特に複数の光導波路を集積化する場合には、各光導波路に設けた量子ドット領域で発生する単一光子の波長を励起光パルスの波長に合わせることができる。
次に、図11を参照して、本発明の実施例4の単一光子発生装置を説明するが、反射光抑制機構が異なるだけで、基本的な積層構造及び製造方法は上記の実施例1と同様であるので、最終的な平面図のみを示す。図11は、本発明の実施例4の単一光子発生装置の概略的平面図であり、一端を励起光パルスの入力端とした第1光導波路29と、一端を単一光子パルスの出力端とし、量子ドット領域31を備えた第2光導波路30とを方向性結合領域32で結合する。
量子ドット領域31には、5個以下の量子ドットが含まれるように、量子ドットの製造条件及び領域の区画を設定する。また、方向性結合領域32の分岐比率は、ここでは、50:50に設定する。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部には、夫々減衰領域52,53となる曲がり導波路領域を設け、後続する端部には無反射端構造54,55を設ける。なお、ここでは、無反射端構造として実施例1と同様に斜め終端導波路と無反射膜の組み合わせを用いるが、実施例2のように先細りテーパ部を用いても良い。
この実施例4においては、減衰領域52,53の前段部に第2の方向性結合領域51を設け、方向性結合領域32とともにマッハツェンダー干渉計型光導波路を形成する。なお、方向性結合領域51の分岐比は0:100とし、マッハツェンダー干渉計型光導波路部おけるアームとなる第1光導波路29には温度制御部56を設け、方向性結合領域51において第1光導波路29への結合率が100%となるよう位相制御する。なお、温度制御部56としては、ここでは薄膜ヒータを用いるが、ペルチェ効果素子等を用いても良い。
第1光導波路29の入力端から励起光パルスが入射すると、方向性結合領域32において50%は第2光導波路30を伝搬し、残りの50%はそのまま第1光導波路29を伝搬する。第2光導波路30を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域31において一つの量子ドットのみを励起し、単一光子パルスを生成する。
発生した単一光子パルスは夫々50%の確率で左右方向に伝搬する。図において、左方向に伝搬する単一光子パルスは、方向性結合領域32において、その50%、したがって、25%(=50%×50%)は第1光導波路29に分岐されるが、残りの25%は第2光導波路30の出射端から出射されて光信号成分となる。
また、右方向に伝搬する単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった50%の励起光パルスとともに、方向性結合領域51において、全てが第1光導波路29側に合波する。合波した単一光子パルスと100%の励起光パルスは減衰領域52においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を無反射端構造54から単一光子発生装置外に放出する。なお、方向性結合領域51において、第2光導波路30側にも励起光パルスが伝搬したとしても、減衰領域53においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を無反射端構造55から単一光子発生装置外に放出するので、ノイズを確実に抑制することができる。
なお、実施例4においては、単一光子パルスの取り出し効率が25%と実施例1より低くなる。しかし、励起光パルスの出力に余裕がなく、第1の方向性結合領域32での結合効率を高く設計しなければならない場合でも単一光子パルスのS/N比を効果的に高めることが可能になる。
次に、図12を参照して、本発明の実施例5の単一光子発生装置を説明する。この実施例5は、第2の方向性結合器から第1光導波路の出力側へ向かう励起光パルスの残留成分を、無反射減衰構造を介さず次のマッハツェンダー干渉計型導波路の入力とした以外は上記の実施例4と同様であるので、最終的な平面図のみを示す。図12は、本発明の実施例5の単一光子発生装置の概略的平面図であり、一端を励起光パルスの入力端とした第1光導波路29と、一端を単一光子パルスの出力端とし、量子ドット領域31を備えた第2光導波路30とを方向性結合領域32で結合する。
量子ドット領域31には、5個以下の量子ドットが含まれるように、量子ドットの製造条件及び領域の区画を設定する。また、方向性結合領域32の分岐比率は、ここでは、50:50に設定する。また、第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部に第2の方向性結合領域51を設けてマッハツェンダー干渉計型光導波路を形成する。ここでも、マッハツェンダー干渉計型光導波路部おけるアームとなる第1光導波路29に温度制御部56を設け、方向性結合領域51において第1光導波路29への結合率が100%となるよう位相制御する。
一方の第2光導波路30の方向性結合領域51以降の領域には減衰領域53となる曲がり導波路領域を設け、後続する端部には無反射端構造55を設ける。なお、ここでは、無反射端構造55として実施例2のように先細りテーパ部を用いる。
この実施例5においては、第2の方向性結合器41から第1光導波路30の出力側へ向かう励起光パルスの残留成分を、第2のマッハツェンダー干渉計型光導波路構造を形成する方向性結合領域63,64により第3光導波路61に結合する。この第2のマッハツェンダー干渉計型導波路のアームとなる第3光導波路61の部分に5個以下の量子ドットが含まれる量子ドット領域62を設ける。なお、図示は省略するが、各量子ドット領域31,62には、実施例3と同様に一対の電極を設けており、電極に電圧を印加することで、量子ドット領域31,62に含まれる一つの量子ドットの共鳴波長が励起光パルスの波長に一致するように制御する。
方向性結合領域63の分岐比は50:50とし、また、第2のマッハツェンダー干渉計型光導波路部おけるアームとなる第1光導波路29には温度制御部69を設け、方向性結合領域64において第1光導波路29への結合率が100%となるよう位相制御する。なお、温度制御部69としては、ここでは薄膜ヒータを用いるが、ペルチェ効果素子等を用いても良い。
また、方向性結合領域64以降の第1光導波路29及び第2光導波路30の延長部の後端部には、夫々減衰領域65,66となる曲がり導波路領域を設け、後続する端部には無反射端構造67,68を設ける。なお、ここでは、無反射端構造67,68として実施例1と同様に斜め終端導波路と無反射膜の組み合わせを用いるが、実施例2のように先細りテーパ部を用いても良い。
第1光導波路29の入力端から励起光パルスが入射すると、方向性結合領域32において50%は第2光導波路30を伝搬し、残りの50%はそのまま第1光導波路29を伝搬する。第2光導波路30を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域31において一つの量子ドットのみを励起し、単一光子パルスを生成する。
発生した単一光子パルスは夫々50%の確率で左右方向に伝搬する。図において、左方向に伝搬する単一光子パルスは、方向性結合領域32において、その50%、したがって、25%は第1光導波路29に分岐されるが、残りの25%は第2光導波路30の出射端から出射されて光信号成分となる。
また、右方向に伝搬する単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった50%の励起光パルスとともに、方向性結合領域51において、全てが第1光導波路29側に合波する。方向性結合領域51において、第2光導波路30側にも励起光パルスが伝搬したとしても、減衰領域53においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を無反射端構造55から単一光子発生装置外に放出する。
方向性結合領域51において第1光導波路29側に合波した単一光子パルスと100%の励起光パルスは方向性結合領域63において50%は第3光導波路61を伝搬し、残りの50%はそのまま第1光導波路29を伝搬する。第3光導波路61を伝搬する励起光パルスは量子ドット領域62において再び一つの量子ドットのみを励起し、単一光子パルスを生成する。
発生した単一光子パルスは夫々50%の確率で左右方向に伝搬する。図において、左方向に伝搬する単一光子パルスは、方向性結合領域63において、その50%、したがって、25%は第1光導波路29に分岐されるが、残りの25%は第3光導波路61の出射端から出射されて光信号成分となる。
また、右方向に伝搬する単一光子パルスは量子ドットで吸収されなかった50%の励起光パルスとともに、方向性結合領域64において、全てが第1光導波路29側に合波する。合波した単一光子パルスと100%の励起光パルスは減衰領域65においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を無反射端構造67から単一光子発生装置外に放出する。方向性結合領域64において、第3光導波路61側にも励起光パルスが伝搬したとしても、減衰領域66においてその一部を光導波路外に放出し、さらに、残存する成分を無反射端構造68から単一光子発生装置外に放出する。
なお、量子ドット領域62で発生して左側に伝搬する単一光子パルスのうち、方向性結合領域63において、その50%が第1光導波路29側に分岐する。分岐した成分は、方向性結合領域32において、さらにその50%、したがって、12.5%(=50%×50%×50%)は第2光導波路30側に分岐して出力端から出力される。量子ドット領域62で発生した単一光子パルスのうち、第2光導波路30の出力端から出力される単一光子パルスが、量子ドット領域31で発生した単一光子パルスのうち、第2光導波路30の出射端から出射される単一光子パルスに混じるのを避けるのであれば、方向性結合領域51と方向性結合領域63の間に、減衰領域65,66と同様の機構による新たな無反射減衰部を設ければよい。例えば、無反射減衰部の減衰率を6dBに設定すると、量子ドット領域62で発生した単一光子パルスのうち、第2光導波路30の出力端から出力される単一光子パルスの割合は3%程度にまで低減される。方向性結合領域51から方向性結合領域63に向かう励起光パルスも6dB減衰するが、第1導波路29の励起光入力端より入力する励起光の強度を約4倍強くすることで減衰分が補われる。
本発明の実施例5においては、第2の方向性結合領域51において第1光導波路29に戻された励起光パルスを、第2のマッハツェンダー干渉計に含まれる量子ドットを励起するための新たな励起光パルスとして用いている。これにより、励起光パルスの入力ポートを増やすことなく、複数のポートから同時に単一光子パルスを発生させることが可能となる。
なお、本発明の実施例5においては、2組のマッハツェンダー干渉計を用いて2本の光導波路の出射端(ポート)からノイズの混ざらない単一光子パルスを出力している。しかし、原理的にはN組のマッハツェンダー干渉計を接続することにより、N個のポートからそれぞれ単一光子パルスを発生させることができ、高いスケーラビリティが得られる。
ここで、実施例1乃至実施例5を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)一端を励起光パルスの入力端とし、他端に無反射端構造を備えた第1の光導波路と、一端を単一光子パルスの出力端とし、他端に無反射端構造を備えるとともに、前記出力端と前記無反射端構造との間に1個乃至20個の量子ドットを含む量子ドット領域を備えた第2の光導波路とを有し、前記出力端と前記量子ドット領域との間の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合する第1の方向性結合領域を有することを特徴とする単一光子発生装置。
(付記2)前記量子ドット領域は、5個以下の量子ドットを含むことを特徴とする付記1に記載の単一光子発生装置。
(付記3)励起光パルスの波長が前記量子ドットの内の一つの量子ドットの励起子基底準位エネルギーのみと一致することを特徴とする付記1または付記2に記載の単一光子発生装置。
(付記4)前記第1の光導波路の前記励起光パルスの進行方向において、前記無反射端構造の直前に曲がり導波路構造の減衰構造を有し、前記第2の光導波路の前記励起光パルスの進行方向において、前記無反射端構造の直前に曲がり導波路構造の減衰構造を有することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
(付記5)前記無反射端構造が、無反射膜、斜め終端導波路、または先細りテーパ導波路のいずれか、或いはこれらの組み合わせであることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
(付記6)前記量子ドット領域に、前記量子ドットの励起子基底準位エネルギーを制御する一対の電極を設けたことを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
(付記7)前記励起光パルスの進行方向における前記量子ドット領域の後段の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合し、前記第1の方向性結合領域とともにマッハツェンダー干渉計を形成する第2の方向性結合領域を有し、前記第1の光導波路は、前記第1の方向性結合領域と前記第2の方向性結合領域の間の領域に、伝搬する前記励起光パルスの位相を制御する温度制御構造を有することを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
(付記8)前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路を伝搬する前記励起光パルスが前記第2の方向性結合領域において合波される際に、前記励起光パルスの100%が前記第1の光導波路へ結合することを特徴とする付記7に記載された単一光子発生装置。
(付記9)前記第1の方向性結合領域において、入射した前記励起光パルスが、1:1で前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路を伝搬することを特徴とする付記8に記載の単一光子発生装置。
(付記10)前記励起光パルスの進行方向における前記第2の方向性結合領域の後段の領域において、マッハツェンダー干渉計を形成する第3の方向性結合領域及び第4の方向性結合領域により前記第1の光導波路と方向性結合する第3の光導波路を有し、前記第3の光導波路は、前記第3の方向性結合領域と前記第4の方向性結合領域との間の領域に、1個乃至20個の量子ドットを含む量子ドット領域を有することを特徴とする付記7乃至付記9のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
(付記11)前記第3の光導波路に設けられた量子ドット領域は、5個以下の量子ドットを含むことを特徴とする付記10に記載の単一光子発生装置。
(付記12)前記第3の光導波路に設けられた量子ドット領域に、前記量子ドットの励起子基底準位エネルギーを制御する一対の電極を設けたことを特徴とする付記10または付記11に記載の単一光子発生装置。
(付記13)前記第1の光導波路は、前記第3の方向性結合領域と前記第4の方向性結合領域の間の領域に、伝搬する前記励起光パルスの位相を制御する温度制御構造を有することを特徴とする付記10乃至付記12のいずれか1に記載の単一光子発生装置。
11 第1の光導波路
12 第2の光導波路
13 量子ドット領域
14 方向性結合領域
15,16 減衰構造
17,18 無反射端構造
21 i型GaAs基板
22 i型AlGaAs下部クラッド層
23,25,27 i型GaAsコア層
24 InAs量子ドット
26,28 誘電体マスク
29 第1光導波路
30 第2光導波路
31,52 量子ドット領域
32,53 方向性結合領域
33,34 曲がり導波路領域
35,36 斜め終端導波路
37 i型AlGaAs上部クラッド層
38 無反射膜
39,40 先細りテーパ部
41,42 電極
51,64 方向性結合領域
52,53,65,66 減衰領域
54,55,67,68 無反射端構造
56,69 温度制御部
61 第3光導波路
71 単一光子量子ドット
73,73,75,77 光導波路
74 接合面
76,78 ダイクロイックミラー
79 励起パルス光
80 一光子
81 価電子帯の最高エネルギー準位
82 伝導帯の最低エネルギー準位
83 励起子のエネルギー準位
84 正孔
85 電子

Claims (4)

  1. 一端を励起光パルスの入力端とし、他端に無反射端構造を備えた第1の光導波路と、
    一端を単一光子パルスの出力端とし、他端に無反射端構造を備えるとともに、前記出力端と前記無反射端構造との間に1個乃至20個の量子ドットを含む量子ドット領域を備えた第2の光導波路と
    を有し、
    前記出力端と前記量子ドット領域との間の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合する第1の方向性結合領域を有し、前記励起光パルスの進行方向における前記量子ドット領域の後段の領域において、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とが方向性結合し、前記第1の方向性結合領域とともにマッハツェンダー干渉計を形成する第2の方向性結合領域を有し、
    前記第1の光導波路は、前記第1の方向性結合領域と前記第2の方向性結合領域の間の領域に、伝搬する前記励起光パルスの位相を制御する温度制御構造を有することを特徴とする単一光子発生装置。
  2. 前記第1の光導波路の前記励起光パルスの進行方向において、前記無反射端構造の直前に曲がり導波路構造の減衰構造を有し、
    前記第2の光導波路の前記励起光パルスの進行方向において、前記無反射端構造の直前に曲がり導波路構造の減衰構造を有することを特徴とする請求項1に記載の単一光子発生装置。
  3. 前記量子ドット領域に、前記量子ドットの励起子基底準位エネルギーを制御する一対の電極を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単一光子発生装置。
  4. 前記励起光パルスの進行方向における前記第2の方向性結合領域の後段の領域において、マッハツェンダー干渉計を形成する第3の方向性結合領域及び第4の方向性結合領域により前記第1の光導波路と方向性結合する第3の光導波路を有し、
    前記第3の光導波路は、前記第3の方向性結合領域と前記第4の方向性結合領域との間の領域に、1個乃至20個の量子ドットを含む量子ドット領域を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単一光子発生装置。
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