JP6601376B2 - 回転体の検査装置、および、回転体の検査方法 - Google Patents
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Description
加速度検出部は、回転体の回転により発生する振動の大きさを検出可能に設けられ、回転体を回転可能に支持するベアリング(92)の加速度によって当該振動の大きさを示した加速度信号を出力可能である。
フーリエ変換部は、加速度信号をフーリエ変換した加速度信号のパワースペクトルを演算可能である。
一次積分演算部は、加速度信号のパワースペクトルの積分、または、加速度信号を積分した一次積分信号である速度信号のフーリエ変換、によって導出される速度信号のパワースペクトルを演算可能である。
判定部は、加速度信号のパワースペクトルおよび速度信号のパワースペクトルに基づいて回転体の回転状態を判定可能である。
判定部は、予備異常判定部(141)、真性異常判定部(142)、および、処理部(143)を有する。
予備異常判定部は、加速度信号のパワースペクトルにおける最大スペクトル値と所定の加速度スペクトル閾値との比較に基づいて、ベアリングが、異常な状態ではあるものの交換が不要な予備異常状態であるか否かを判定する。
真性異常判定部は、速度信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である速度周波数と所定の一次周波数閾値との比較に基づいて、ベアリングが、交換が必要な真性異常状態であるか否かを判定する。
処理部は、予備異常判定部における判定結果、および、真性異常判定部における判定結果に基づいて外部に信号を出力する。
ベアリングの異常が進行すると、加速度信号のパワースペクトルの最大スペクトル値を示す周波数は、比較的高い周波数領域から低い周波数領域に遷移する。この最大スペクトル値を示す周波数領域の遷移は、加速度信号のパワースペクトルに比べ速度信号のパワースペクトルにおいてより顕著に見られる。そこで、判定部は、加速度信号のパワースペクトルおよび速度信号のパワースペクトルに基づいてベアリングの異常の進行の度合いを判定する。
これにより、本発明の回転体の検査装置は、検査対象の回転体を有する回転装置が当該回転体の異常によって停止する直前まで当該回転体を使用することができるため、回転体を比較的長期間使用することができる。すなわち、本発明の回転体の検査装置は、回転体の最適なメンテナンス時期を判定することができる。
信号取得段階では、回転体を回転可能に支持するベアリングの加速度によって回転体の回転による振動の大きさを示す加速度信号を取得する。
フーリエ変換段階では、信号取得段階で取得した加速度信号をフーリエ変換した加速度信号のパワースペクトルを演算する。
一次積分演算段階では、加速度信号のパワースペクトルの積分、または、加速度信号を積分した一次積分信号のフーリエ変換、によって導出される一次積分信号である速度信号のパワースペクトルを演算する。
判定段階では、加速度信号のパワースペクトルおよび速度信号のパワースペクトルに基づいて回転体の状態を判定する。
判定段階は、予備異常判定段階、および、真性異常判定段階を含む。
予備異常判定段階では、加速度信号のパワースペクトルにおける最大スペクトル値と所定の加速度スペクトル閾値との比較に基づいて、ベアリングが、異常な状態ではあるものの交換が不要な予備異常状態であるか否かを判定する。
真性異常判定段階では、速度信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である速度周波数と所定の一次周波数閾値との比較に基づいて、ベアリングが、交換が必要な真性異常状態であるか否かを判定する。
本発明の第一実施形態による「回転体の検査装置」としての回転診断装置10、および、「回転体の検査方法」としての回転体3の回転状態の診断プロセスを図1〜6に基づいて説明する。回転診断装置10は、回転体3を回転可能に支持するベアリング92の状態を検出可能な装置である。
カップリング7は、モータ6の出力軸61と回転軸8とを連結可能に設けられている。カップリング7は、出力軸61と回転軸8との芯ずれを許容するよう設けられている。
回転軸8は、二つのベアリング91,92によって回転可能に支持されている。ベアリング91とベアリング92との間の回転軸8に回転体3が設けられている。
フーリエ変換部121は、振動センサ11およびベースフィルタ122と電気的に接続している。フーリエ変換部121は、振動センサ11が出力する加速度信号を高速フーリエ変換した加速度信号のパワースペクトル(以下、「加速度パワースペクトル」という)を演算する。フーリエ変換部121は、加速度パワースペクトルをベースフィルタ122に出力する。
ベースフィルタ122は、積分演算部13および判定部14と電気的に接続している。ベースフィルタ122は、フーリエ変換部121が出力する加速度パワースペクトルをフィルタ処理する。ベースフィルタ122は、フィルタ処理された加速度パワースペクトルを積分演算部13および判定部14に出力する。
予備異常判定部141は、ベースフィルタ122と電気的に接続している。予備異常判定部141は、ベースフィルタ122が出力する加速度パワースペクトルにおける最大スペクトル値の大きさに基づいて回転体3の回転状態を判定する。予備異常判定部141は、当該判定結果を処理部143に出力する。
一次真性異常判定部1421は、一次フィルタ132と電気的に接続している。一次真性異常判定部1421は、一次フィルタ132が出力する速度パワースペクトルに基づいて回転体3の回転状態を判定する。一次真性異常判定部1421は、当該判定結果を処理部143に出力する。
二次真性異常判定部1422は、二次フィルタ134と電気的に接続している。二次真性異常判定部1422は、二次フィルタ134が出力する変位パワースペクトルに基づいて回転体3の回転状態を判定する。二次真性異常判定部1422は、当該判定結果を処理部143に出力する。
次に、「信号取得段階」としてのS102において、診断部100に加速度信号を入力する。S102では、診断部100に振動センサ11が出力する加速度信号を入力する。
最初に、S1031において、加速度信号を高速フーリエ変換する。S1031では、フーリエ変換部121は、S102で診断部100に入力された加速度信号を高速フーリエ変換し、加速度パワースペクトル(例えば、図4(a))を演算する。
S101における診断部100の初期化の直後では、赤信号は出力されていないため、S105に進む。
S101における診断部100の初期化の直後では、黄信号は出力されていないため、S106に進む。
S101における診断部100の初期化の直後では、赤信号は出力されていないため、S109に進む。
回転診断装置10では、このようにして、回転体3の回転状態を診断する。
具体的には、第一実施形態では、加速度スペクトル値に基づいてベアリング92が交換が不要な予備異常状態であることを示す黄信号を出力した後、速度周波数が第二閾値より小さくなったとき、赤信号を出力することによってベアリング92が交換が必要な真性異常状態であることを外部に示す。
第一実施形態による回転診断装置10において、加速度スペクトル値が第一閾値より大きくなり黄信号が出力されるとき(図6の時刻T21)、ベアリング92の状態は、定常摩耗時期T2にある。このとき、ベアリング92の状態が回転装置5の機能に影響を与えることはないため、当該ベアリング92を引き続き使用することが可能である。
一方、速度周波数が第二閾値より小さくなり赤信号が出力されるとき(図6の時刻T22)、ベアリング92の状態は、定常摩耗時期T2にあるが、時刻T21に比べ回転装置5の異常停止の原因となるおそれがある異常摩耗時期T3に近い。これにより、赤信号が出力されるときにベアリング92を交換すると、これまで使用開始の時刻T20から時刻T21まで使用していたベアリング92を時刻T20から時刻T22まで使うことができる。したがって、回転装置5の運転に影響を与えることなくベアリング92の使用時間を長くするようことができる。すなわち、ベアリング92を最適な時期に交換することができる。
次に、本発明の第二実施形態による回転診断装置を図7に基づいて説明する。第二実施形態は、診断プロセスの一部が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
S204の次のS205において、第一実施形態のS105と同様に、黄信号が出力されているか否かを判定する。黄信号が出力されていると処理部143が判定すると、S208に進む。黄信号が出力されていないと処理部143が判定すると、S206に進む。S201における診断部100の初期化の直後では、黄信号が出力されていないため、S206に進む。
S206の次のS207において、第一実施形態のS107と同様に、処理部143は、黄信号を出力する。処理部143が黄信号を出力するとS208に進む。
S205、S206およびS207の次のS208において、S204と同様に、赤信号が出力されているか否かを判定する。赤信号が出力されていると処理部143が判定すると、S211に進む。赤信号が出力されていないと処理部143が判定すると、S209に進む。S201における診断部100の初期化の直後では、赤信号が出力されていないため、S209に進む。
S209の次のS210において、処理部143は、赤信号を出力する。処理部143が赤信号を出力するとS211に進む。
S211の次のS212において、第一実施形態のS112と同様に、運転停止信号を出力する。
第二実施形態による回転診断装置10では、このようにして、回転体3の回転状態を診断する。
次に、本発明の第三実施形態による回転診断装置を図8に基づいて説明する。第三実施形態は、診断プロセスの一部が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
S306の次のS307において、第一実施形態のS107と同様に、処理部143は、黄信号を出力する。処理部143が黄信号を出力するとS308に進む。
S309の次のS310において、第一実施形態のS110と同様に、処理部143は、赤信号を出力する。処理部143が赤信号を出力するとS311に進む。
S311の次のS312において、第一実施形態のS112と同様に、運転停止信号を出力する。
第三実施形態による回転診断装置10では、このようにして、回転体3の回転状態を診断する。
次に、本発明の第四実施形態による回転診断装置を図9に基づいて説明する。第四実施形態は、診断プロセスの一部が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
S406の次のS407において、第一実施形態のS107と同様に、処理部143は、黄信号を出力する。処理部143が黄信号を出力するとS408に進む。
S409の次のS410において、第一実施形態のS110と同様に、処理部143は、赤信号を出力する。処理部143が赤信号を出力するとS411に進む。
S411の次のS412において、第一実施形態のS112と同様に、運転停止信号を出力する。
第四実施形態による回転診断装置10では、このようにして、回転体3の回転状態を診断する。
次に、本発明の第五実施形態による回転診断装置を図10に基づいて説明する。第五実施形態は、診断プロセスの一部が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
S506の次のS507において、第一実施形態のS107と同様に、処理部143は、黄信号を出力する。処理部143が黄信号を出力するとS508に進む。
S509の次のS510において、第一実施形態のS110と同様に、処理部143は、赤信号を出力する。処理部143が赤信号を出力するとS511に進む。
S511の次にS512において、回転装置5が停止しているか否かを判定する。S511における運転停止信号によって回転装置5は停止することとなるが、S512における判定のときに停止していない場合、S502に戻り、S504およびS511を通って再び、S512において、回転装置5が停止しているか否かを判定する。S512において、回転装置5が運転を停止していると診断部100が判定し、今回の回転体3の回転状態の診断プロセスを終了する。
第五実施形態による回転診断装置10では、このようにして、回転体3の回転状態を診断する。
上述の実施形態では、診断プロセスは、回転体を回転するとき実行され、回転体を交換するまで、または、運転停止信号によって回転装置が運転を停止するまで実行されるとした。しかしながら、診断プロセスの内容をこれに限定されない。例えば、第一実施形態におけるS104、S105、S106などのプロセスを省き、スタートからエンドまでを回転体を交換するまで、または、運転停止信号によって回転装置が運転を停止するまで繰り返し実行してもよい。
次に、S6032において、第一実施形態のS1032と同様に、加速度パワースペクトルをフィルタ処理する。
次に、S6033において、一次積分演算部131は、加速度信号を時間積分し、ベアリング92の振動の状態を速度で示した速度信号を演算する。
次に、S6034において、速度信号を高速フーリエ変換し、速度パワースペクトルを演算する。
次に、S6035において、第一実施形態のS1034と同様に、速度パワースペクトルをフィルタ処理する。
次に、S6036において、二次積分演算部133は、速度信号を時間積分し、ベアリング92の振動の状態を変位で示した変位信号を演算する。
次に、S6037において、変位信号を高速フーリエ変換し、変位パワースペクトルを演算する。
次に、S6038において、第一実施形態のS1036と同様に、変位パワースペクトルをフィルタ処理する。
次に、S6039において、S6032でフィルタ処理された加速度パワースペクトル、S6035でフィルタ処理された速度パワースペクトル、および、S6038でフィルタ処理された変位パワースペクトルを判定部14に出力する。
このような方法でも、速度パワースペクトルおよび変位パワースペクトルを演算することが可能である。
5・・・回転装置
10・・・回転診断装置(回転体の検査装置)
11・・・振動センサ(加速度検出部)
12・・・フーリエ変換部
131・・・一次積分演算部
14・・・判定部
92・・・ベアリング
Claims (8)
- 回転体(3)の回転状態を検査可能な回転体の検査装置であって、
前記回転体の回転により発生する振動の大きさを検出可能に設けられ、前記回転体を回転可能に支持するベアリング(92)の加速度によって当該振動の大きさを示した加速度信号を出力可能な加速度検出部(11)と、
前記加速度信号をフーリエ変換した加速度信号のパワースペクトルを演算可能な加速度フーリエ変換部(12)と、
前記加速度信号のパワースペクトルの積分、または、前記加速度信号を積分した一次積分信号である速度信号のフーリエ変換、によって導出される速度信号のパワースペクトルを演算可能な一次積分演算部(131)と、
前記加速度信号のパワースペクトルおよび前記速度信号のパワースペクトルに基づいて前記回転体の回転状態を判定可能な判定部(14)と、
を備え、
前記判定部は、
前記加速度信号のパワースペクトルにおける最大スペクトル値と所定の加速度スペクトル閾値との比較に基づいて、前記ベアリングが、異常な状態ではあるものの交換が不要な予備異常状態であるか否かを判定する予備異常判定部(141)と、
前記速度信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である速度周波数と所定の一次周波数閾値との比較に基づいて、前記ベアリングが、交換が必要な真性異常状態であるか否かを判定する真性異常判定部(142)と、
前記予備異常判定部における判定結果、および、前記真性異常判定部における判定結果に基づいて外部に信号を出力する処理部(143)と、
を有する回転体の検査装置。 - 前記速度信号のパワースペクトルの積分、または、前記速度信号を積分した二次積分信号である変位信号のフーリエ変換、によって導出される変位信号のパワースペクトルを演算する二次積分演算部(133)をさらに備え、
前記真性異常判定部は、前記変位信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である変位周波数と所定の二次周波数閾値との比較に基づいて、前記ベアリングの使用制限時間を過ぎているか否かを判定し、
前記処理部は、前記真性異常判定部が前記ベアリングは使用制限時間を過ぎていると判定すると、前記回転体を有する回転装置(5)の運転を停止する運転停止信号を出力する請求項1に記載の回転体の検査装置。 - 前記真性異常判定部は、
前記速度周波数が前記一次周波数閾値より小さいとき、前記ベアリングが前記真性異常状態であると判定し、
前記変位周波数が前記二次周波数閾値より小さいとき、前記ベアリングの使用制限時間を過ぎていると判定する請求項2に記載の回転体の検査装置。 - 回転体(3)の回転状態を検査する回転体の検査方法であって、
前記回転体を回転可能に支持するベアリング(92)の加速度によって前記回転体の回転による振動の大きさを示す加速度信号を取得する信号取得段階と、
前記信号取得段階で取得した加速度信号をフーリエ変換した加速度信号のパワースペクトルを演算するフーリエ変換段階と、
前記加速度信号のパワースペクトルの積分、または、前記加速度信号を積分した一次積分信号のフーリエ変換、によって導出される一次積分信号である速度信号のパワースペクトルを演算する一次積分演算段階と、
前記加速度信号のパワースペクトルおよび前記速度信号のパワースペクトルに基づいて前記回転体の状態を判定する判定段階と、
を含み、
前記判定段階は、
前記加速度信号のパワースペクトルにおける最大スペクトル値と所定の加速度スペクトル閾値との比較に基づいて、前記ベアリングが、異常な状態ではあるものの交換が不要な予備異常状態であるか否かを判定する予備異常判定段階と、
前記速度信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である速度周波数と所定の一次周波数閾値との比較に基づいて、前記ベアリングが、交換が必要な真性異常状態であるか否かを判定する真性異常判定段階と、
を含む回転体の検査方法。 - 前記予備異常判定段階を複数回行う請求項4に記載の回転体の検査方法。
- 前記真性異常判定段階を複数回行う請求項4または5に記載の回転体の検査方法。
- 前記速度信号のパワースペクトルの積分、または、前記速度信号を積分した二次積分信号である変位信号のフーリエ変換、によって導出される変位信号のパワースペクトルを演算する二次積分演算段階と、
前記変位信号のパワースペクトルにおいて最大スペクトル値を示す周波数である変位周波数と所定の二次周波数閾値との比較に基づいて、前記ベアリングの使用制限時間を過ぎているか否かを判定する最終判定段階と、
をさらに含む請求項4〜6のいずれか一項に記載の回転体の検査方法。 - 前記真性異常判定段階では、前記速度周波数が前記一次周波数閾値より小さいとき、前記ベアリングが前記真性異常状態であると判定し、
前記最終判定段階では、前記変位周波数が前記二次周波数閾値より小さいとき、前記ベアリングの使用制限時間を過ぎていると判定する請求項7に記載の回転体の検査方法。
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