JP6601296B2 - オーブン調理用フィルム、および包装体 - Google Patents
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Description
即ち、本発明の要旨は、延伸ポリエステル系フィルム(A−1)と結晶化度20%以上40%以下の無延伸ナイロン6フィルム(A−2)とを積層した積層フィルム(A)であって、被着体と200℃以下でヒートシールが可能であることを特徴とするオーブン用積層フィルムに存する。
積層フィルム(A)を構成する延伸ポリエステル系フィルム(A−1)は、結晶性ポリエステル樹脂層(A−1−1)と、非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)とから構成される。
結晶性ポリエステル樹脂層(A−1−1)は、無延伸ナイロン6フィルム(A−2)と積層する側に位置して、非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)を支持する基材層である。非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)は、被着体と向き合って200℃以下でヒートシールを可能とする層である。
その観点から、非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)は、ポリエステル樹脂(2a)60〜97質量%と、ポリエステル樹脂(2a)に対し非相溶の樹脂(2b)3〜30質量%とから構成されることが好ましい。樹脂(2b)が3質量%以上により、包装体のシール部が引裂かれ易さよりも層剥離し易さが強くなり開け易くなる。また、30質量%以下により、フィルムの透明性が向上する。
樹脂(2a−1)のガラス転移温度は、フィルム製膜時のロール非付着性の点から50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。樹脂(2a−2)のガラス転移温度は、包装体のイージーピール性の点から、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂(2a)における(2a−1)と(2a−2)との含有質量%比率は、20〜80:80〜20が好ましい。
また、樹脂(2b)のガラス転移温度は、フィルムの透明性の点から、50〜160℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
粒子(2c)の種類は、特に制限されないが、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、マンガン等の炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、ジカルボン酸塩の他、非晶シリカ、タルク、カオリン、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリレート粒子などが挙げられ、中でも樹脂分散性の点から非晶シリカ粒子が好ましい。
粒子(2c)の大きさは、特に制限されないが、フィルム透明性、耐ブロッキング性、イージーピール性の兼備の点から、1〜10μm程度が好ましく、3〜6μm程度がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)の厚さは、ヒートシール性と開封性とのバランスから、0.7〜4.0μmが好ましく、0.8〜2.5μmがより好ましい。
包装体形態において、延伸ポリエステル系フィルム(A−1)の外気側に無延伸ナイロン6フィルム(A−2)を配することにより、冷蔵・冷凍流通下などの寒冷環境においても積層フィルム(A)の耐衝撃性を向上させることができる。
結晶核剤は、特に制限はないが、カオリン、タルク、モンモリロイト、酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、フェニルリン酸金属塩等が使用できる。添加濃度は、10〜10000ppmが好ましく、100〜1000ppmがより好ましい。
結晶化度(%)=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm0×100 (式1)
ΔHm: 融解熱量(J/g)
ΔHc: 結晶化熱量(J/g)
ΔHm0: 結晶化度100%の融解熱量190.92J/g、出典:福本修編,”ポリアミド樹脂ハンドブック”,p.72,(昭和63年),(日刊工業社)
無延伸ナイロン6フィルム(A−2)の厚さは、積層フィルムおよび包装体の耐ピンホール性向上の観点で、下限は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は特に制限はなく、耐荷重性、取り扱い性、経済性の点などから適宜選定できるが、一般に300μm以下が好ましい。例えば、積層フィルム(A)を蓋材に用いる場合は、無延伸ナイロン6フィルム(A−2)の厚さは10〜100μm、深絞り包装用底材に用いる場合は、耐衝撃性や深絞り成形性の点から30〜300μmが挙げられる。
用いる接着剤の組成や、接着剤層の厚みは、積層フィルム(A)の層間密着性が十分であり、またオーブン加熱による損傷や溶融が発生しない範囲で、適宜選定できる。
例えば、接着剤の種類は、高温耐熱性があれば特に制限されないが、公知の2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いることができ、例えば、脂肪族ポリエステル系ポリオール、または芳香族ポリエステル系ポリオールとイソシアネート化合物とを化合させるウレタン系接着剤が挙げられる。希釈溶剤は乾燥条件を鑑み、酢酸エチル系、イソプロピルアルコール系、またはそれらの混合等を使用することが好ましい。接着剤層厚は、1〜10μmが好ましく、2〜6μmがより好ましい。エージングは、室温下で12時間以上、より好ましくは48時間以上が好ましい。
本発明の積層フィルム(A)は、食品を収容した包装体において、オーブン庫内設定温度180〜220℃程度、加熱時間10〜30分間程度の条件で使用できる。
また、延伸ポリエステル系フィルム(A−1)により被着体と200℃以下のヒートシール条件で十分な密着ができ、且つ200℃以下であれば、外気側の無延伸ナイロン6フィルム(A−2)表面がヒートシール熱板に溶着することも発生しない。
ヒートシール強度は、ヒートシールされた箇所の剥離強度であり、ヒートシールによる密着性を示す。ヒートシール強度は、オーブン用包装体の密封性の点から0.3N/15mm幅以上が好ましく、0.5N/15mm幅以上がより好ましい。他方、オーブン加熱時の包装体の破裂を抑制するために、過度な内圧増大に対してはヒートシール部が開いて内部蒸気を逃すことが望ましく、その点から3N/15mm以下が好ましく、2N/15mm以下がより好ましい。
積層フィルム(A)の被着体としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B−1)と無延伸ナイロン6フィルム(B−2)とから構成される積層フィルム(B)を用いることが好ましい。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B−1)の厚さは、特に制限されないが、積層フィルム(A)の二軸延伸ポリエステル系フィルム(A−1)の場合と同様に設定できる。
また、積層フィルム(B)は、積層フィルム(A)と同様にしてドライラミネート法により積層できる。
・OPET2; 非晶ポリエステル系樹脂(1μm)/結晶ポリエステル系樹脂(18μm)共押出二軸延伸フィルム 融点260℃
・OPET3; ヒートシール性二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム 中本パックス製HS−PET(登録商標) 融点260℃
・OPEN1; 二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム 帝人デュポンQ51(登録商標) 融点270℃
・CNy66; 無延伸ナイロン66フィルム 融点260℃
(2a−1); エチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合体、ガラス転移温度約75℃
(2a−2); エチレンアゼレート−エチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合体、ガラス転移温度約0℃
(2b); ノルボルネン−エチレン共重合体、ガラス転移温度約75℃
各例の層順は、包装体において収容物側から外気側への順で示す。
<実施例2> OPET2(19μm)//CNy6(100μm)
<比較例2> OPET1(25μm)//CNy6(50μm)
<比較例3> OPET1(100μm)
<比較例4> OPEN1(100μm)
<比較例5> CNy66(50μm)
<参考例2> OPET1(100μm)//CNy6(50μm)
<参考例3> OPET1(100μm)//CNy66(5μm)
<参考例4> OPET1(100μm)//CNy66(50μm)
<参考例5> OPET1(50μm)//CNy6(50μm)//OPET1(50μm)
<ヒートシール性(1)>
各例のフィルムのOPETフィルム側と、OPET1(100μm厚)とを合わせ、180℃2秒間、シール幅15mmの条件でヒートシールし、引張試験機(INSTRON製3342型機)を用い、引張速度200mm/分、180度剥離、室温下の条件で、剥離強度を測定した。
A; 剥離強度0.5N/15mm幅以上
B; 剥離強度0.5N/15mm幅未満
実施例1の積層フィルムと、各例のフィルムとを、OPETフィルム側同士を合わせて、180℃2秒間、シール幅15mmの条件でヒートシールし、引張試験機(INSTRON製3342型機)を用い、引張速度200mm/分、180度剥離、室温下の条件で、剥離強度を測定した。
A; 剥離強度0.5N/15mm幅以上
B; 剥離強度0.5N/15mm幅未満
各例のフィルムを深絞り包装機(大森工業製FV−6300)に供し、成形温度230℃で、縦13cm横10cm深さ2cmの略直方体状に深絞り成形した際の、加熱成形に要した最小時間で加工性を評価した。
A; 230℃2秒間で成形できた
B; 230℃4秒間で成形できた
C; 230℃6秒間で成形できた
参考例2の積層フィルムを底材として用い、深絞り包装機(大森工業製FV6300)に供し、底材を成形温度230℃2秒間の条件で、縦13cm横10cm深さ2cmの略直方体状に深絞り成形し、次いで鶏胸肉100gを収容し、次いで蓋材として各例のフィルムを被せ、底材フランジ部と蓋材とを180℃2秒間、シール幅15mmの条件でヒートシールし、深絞り包装体を作製した。
上記の深絞り包装体を、オーブン(三菱電機製三菱オーブンレンジRO−MS8)を用い設定温度220℃20分の条件で加熱し、包装体の状態を観察し、次の基準で評価した。
A; 蓋材が溶融せず、かつ加熱前の包装体の形状を保った
B; 蓋材の一部が溶融した、または溶融し穴が開いた
上記の深絞り包装体20個を−30℃条件で冷凍し、1.0m高さから底材を下に向けステンレス板材の上に落下させた際の破袋個数を調べた。
A; 破袋個数2個以下
B; 破袋個数3個以上6個以下
C; 破袋個数7個以上
2 深絞り包装体の底材
Claims (6)
- 結晶性ポリエステル樹脂層(A−1−1)と、非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)とから構成される延伸ポリエステル系フィルム(A−1)と結晶化度20%以上40%以下の無延伸ナイロン6フィルム(A−2)とを積層した積層フィルム(A)であって、前記非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)が、被着体とヒートシールするヒートシール層であり、被着体と200℃以下でヒートシールが可能であることを特徴とするオーブン用積層フィルム。
- 前記延伸ポリエステル系フィルム(A−1)が、二軸延伸ポリエステル系フィルムである請求項1に記載のオーブン用積層フィルム。
- 前記被着体が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B−1)である請求項1または2に記載のオーブン用積層フィルム。
- 前記積層フィルム(A)の非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)が、イージーピール性を有する請求項1に記載のオーブン用積層フィルム。
- 前記積層フィルム(A)の延伸ポリエステル系フィルム(A−1)が、二軸延伸ポリエステル系フィルムであり前記非晶性ポリエステル樹脂層(A−1−2)がイージーピール性を有する請求項1に記載のオーブン用積層フィルム。
- 請求項1〜5の何れかに記載の積層フィルム(A)からなる深絞り包装用蓋材または底材と、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B−1)と結晶化度20%以上40%以下の無延伸ナイロン6フィルム(B−2)との積層フィルム(B)とからなる深絞り包装用底材または蓋材とにより構成されるオーブン用包装体。
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