JP6599673B2 - ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびに、該ヒアルロン酸および/またはその塩を含む食品、化粧料、および医薬品 - Google Patents

ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびに、該ヒアルロン酸および/またはその塩を含む食品、化粧料、および医薬品 Download PDF

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Description

本発明は、ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびに、該ヒアルロン酸および/またはその塩を含む食品、化粧料、および医薬品に関する。
ヒアルロン酸は、鶏冠、さい帯、皮膚、軟骨、硝子体、関節液などの生体組織中に広く分布しており、例えば、化粧料、医薬品、食品の成分として広く利用されている。化粧品や医薬品、食品の成分としてヒアルロン酸を用いる場合、製剤化する際の打錠適性等の取扱性が求められる。
ところで、ヒアルロン酸の精製は通常、エタノール添加による沈殿や凍結乾燥により行われる(特許文献1および2)。
しかしながら、凍結乾燥によりヒアルロン酸を精製する場合、通常、密度が低い固体状(例えば綿状)のヒアルロン酸が得られる。このような密度が低いヒアルロン酸は、製剤化する際の打錠適性が劣る場合がある。
また、エタノール、メタノール、アセトン、イソプロパノール、ヘキサン等の有機溶媒を添加することによる沈殿によってヒアルロン酸を精製する場合、ヒアルロン酸の分子量が小さくなると、これらの有機溶媒に対し、沈殿形成が生じにくくなる傾向があるため、精製されるヒアルロン酸の量が少ない場合がある。
特開2006−265287号公報 特開2009−155486号公報
本発明は、打錠適性等の取扱性に優れたヒアルロン酸および/またはその塩、ならびに、該ヒアルロン酸および/またはその塩を含む食品、化粧料、および医薬品を提供する。
本願発明者は、所定の分子量およびかさ密度を有するヒアルロン酸および/またはその塩が、優れた特性(例えば取扱性)を有することを見出した。
1.本発明の一態様に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きい。
2.上記1に記載のヒアルロン酸および/またはその塩において、平均粒子径が10μm以上40μm以下であることができる。
3.上記1または2に記載のヒアルロン酸および/またはその塩において、粒子径の標準偏差が0.1以上0.4以下であることができる。
4.上記1ないし3に記載のヒアルロン酸および/またはその塩において、単糖の割合が1.5質量%以上3質量%以下であることができる。
5.本発明の一態様に係る食品は、上記1ないし4のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含む。
6.本発明の一態様に係る化粧料は、上記1ないし4のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含む。
7.本発明の一態様に係る医薬品は、上記1ないし4のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含む。
8.本発明の一態様に係るヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、低級アルコールと、平均分子量が3,500以上10万以下の原料ヒアルロン酸および/またはその塩と、酸と、を含む酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する工程と、前記調製する工程で得られた前記酸性原料ヒアルロン酸溶液中で前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸加水分解する工程と、前記酸加水分解により得られた加水分解物を含む酸性溶液を陰イオン交換樹脂で処理する工程と、前記樹脂処理された前記加水分解物を噴霧乾燥または凍結乾燥させる工程と、を含み、
前記酸性原料ヒアルロン酸溶液は、15質量%以上35質量%以下の前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を含み、かつ、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液は、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下の前記低級アルコールを含む。
9.上記8に記載のヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法において、前記噴霧乾燥させる工程は、前記加水分解物を含む液を噴霧乾燥する工程を含み、前記加水分解物を含む液の質量に対する前記加水分解物の質量が8質量%以上35質量%以下であることができる。
上記1ないし4のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きいことにより、打錠適性等の取扱性に優れている。上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば、食品、化粧料および医薬品の成分として使用することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[ヒアルロン酸および/またはその塩]
本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、かつ、かさ密度(bulk density)が0.15g/cmよりも大きい。
(ヒアルロン酸の定義)
本発明において、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの2糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、食品または薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
ヒアルロ酸は、基本的にはβ−D−グルクロン酸の1位とβ−D−N−アセチル−グルコサミンの3位とが結合した2糖単位を少なくとも1個含む2糖以上のものでかつβ−D−グルクロン酸とβ−D−N−アセチル−グルコサミンとから基本的に構成され、2糖単位が1個かまたは複数個結合したものである。本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、非還元末端糖(例えば、グルクロン酸の4,5位炭素間が不飽和のもの)を実質的に含まない(すなわち、非還元末端糖の含有量が1質量%以下)ことができる。
本発明において、「2糖(disaccharide)」とは、β−D−グルクロン酸の1位とβ−D−N−アセチル−グルコサミンの3位とが結合した2糖単位1個(2個の糖から構成される)をいい、「4糖(tetrasaccharide)」とは、当該2糖単位2個(4個の糖から構成される)をいい、「6糖(hexasaccharide)」とは、当該2糖単位3個(6個の糖から構成される)をいい、「8糖(octasaccharide))」とは、当該2糖単位4個(8個の糖から構成される)をいう。なお、本発明において、2糖、4糖、6糖および8糖はいずれも、非還元末端糖を含まないもの(飽和糖)をいう。
(かさ密度)
本発明において、「かさ密度」は、「第十六改正日本薬局方、3.粉体物性測定法、3.01 かさ密度およびタップ密度測定法」に記載の方法に準じて測定された値である。本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きく、好ましくは0.25g/cmよりも大きいことにより、低分子でありながら、打錠適性(tableting adequacy)等の取扱性(handling ability)に優れている。また、かさ密度の上限は特に限定していないが、かさ密度が大きすぎると取扱性に問題が生じる場合があるため、0.5g/cm以下であることができ、さらに0.4g/cm以下であることができる。
(平均分子量)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、純度をより高くできる点で、平均分子量が3,500以下であり、2,500以下であることが好ましく、一方、通常800以上であり、1,000以上であることが好ましい。なお、本発明において、ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、後述するHPLCを用いた方法にて測定することができる。
より具体的には、各HPLC測定により得られたヒアルロン酸および/またはその塩の各ピークの分子量(例えば2糖であれば分子量400)にピーク面積を乗じた値を算出し、このピーク毎に算出した値を積算する。さらに、この積算した値を全体のピーク面積で除することによって、平均分子量を算出することができる。
(純度)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、純度が90%以上であることができ、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
本発明において、「純度」とは、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩のうちヒアルロン酸および/またはその塩以外の成分を除いた割合をいう。ヒアルロン酸および/またはその塩以外の成分としては、例えば、単糖(例えば、グルクロン酸、N−アセチルグルコサミン、およびこれらに由来する単糖)、非還元末端糖が挙げられる。
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の純度は、例えば、ヒアルロン酸および/またはその塩のHPLCのスペクトルデータから、単糖に相当するピークを除することにより算出することができる。本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩において、単糖の割合は通常3質量%以下であり、2質量%以下であることが好ましい。
(白色度)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、色の色相を表すb値(以下、単に「b値」ともいう)が10以下であることができ、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、通常0以上である。
b値は、物質が有する色の色相(hue)を規定する値であり、b値が大きいほど黄味が強いことを示し、一方、b値が小さいほど青味が強いことを示す。
本発明の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、色の明度を表すL値(以下、単に「L値」ともいう)が90以上であり、L値が92以上であることがより好ましく、L値が93以上であることがさらに好ましい。
L値は、物質が有する色の明度(lightness)を規定する値であり、0〜100の間の数値で表される。L値が100である場合最も明るい状態(完全な白色)を示し、一方、L値が0である場合最も暗い状態(完全な黒色)を示す。
b値およびL値は、JIS Z 8730−1995によって規定される色差表示方法によって、Lab系色度座標で表示されることができる。また、b値およびL値は、市販の色差計により測定することができる。なお、本発明においては、固体の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩について、b値およびL値を測定するものとする。
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩のb値およびL値は、例えば、色差計(商品名「COLOR AND COLOR DIFFERENCE METER MODEL 1001 DP」,日本電色工業株式会社製)に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上を敷き詰めて測定することができる。
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩によれば、色差計によって測定された色の色相を表すb値が10以下(さらにはL値が90以上)であることにより、高い白色度を有するため、例えば、化粧料、食品、および医薬品の原料として使用することができる。
(硫黄含量および塩素含量)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩によれば、塩素含量および硫黄含量がいずれも1質量%以下であることにより、打錠適性に優れている。ヒアルロン酸および/またはその塩中の塩素含量または硫黄含量が1質量%を超えると、塩化ナトリウム等の塩素の金属塩や硫酸ナトリウムなどの硫化物の金属塩が増えることによって、粒子形状の不均一性が増し、打錠時の結着力を弱めると推察される。これに対して、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、塩素含量および硫黄含量がいずれも1質量%以下であり、塩素の含量および硫黄の含量が少ないことから、粒子形状の均一性が増し、打錠時の結着力が高められるため、打錠適性が向上する。
また、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、後述するように、食品をはじめとして、医薬品、化粧料に使用される。
例えば、塩化ナトリウムをはじめとする塩類は、系の安定性を損なう可能性がある。特に乳化系においては、解乳化の要因となりうる。また、これらは肌や毛髪に直接塗布する、または摂食するものであるため、いずれの理由によっても、塩化ナトリウム等のハロゲン化物や硫酸ナトリウム等の硫化物、ならび塩酸や硫酸等の酸に由来する塩素や硫黄は極力低減されたものであることが望まれる。
したがって、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、かさ密度が高く、かつ、乳化安定性および安全性を高めることができる点でも、塩素含量が1質量%以下であることができ、0.8質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の塩素含量および硫黄含量は、公知の方法(例えば元素分析(燃焼法、ICP発光分光分析法、原子吸光法、蛍光X線分析法)、質量分析)によって測定することができる。さらに、本発明において、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の塩素含量は、モール法で測定した値から算出することによって測定することができる。
(平均粒子径)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、打錠適性により優れている点で、平均粒子径が10μm以上40μm以下であることができ、さらに10μm以上35μm以下であることができ、15μm以上であることが好ましく、一方、30μm以下であることが好ましい。
(粒子径の標準偏差)
粒子径の標準偏差(standard deviation)は、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の粒子径のばらつきを示す指標である。本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、粒子径のばらつきが少ないため、密度をより高めることができることにより、打錠適性をより高めることができる点で、粒子径の標準偏差が0.1以上0.4以下であることができ、さらに0.1以上0.3以下であることができ、0.15以上であることが好ましく、一方、0.25以下であることが好ましい。
(2糖の割合)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、ヒアルロン酸本来の生理機能を発揮できる点で、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、一方、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
動物または微生物由来の酵素(ヒアルロン酸分解酵素)を用いてヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化する場合、通常、2糖(飽和2糖)を得ることが困難である。これに対して、後述する製造方法を用いることにより、2糖を含む本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であることから、短い糖鎖の糖を所定量含む。これにより、吸湿性が高くなり、結着力が増すため、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩をかさ高い粒子として得ることができる。また、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、単糖の割合が1.5質量%以上3質量%以下であることができる。これにより、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩をかさ高い粒子として得られやすくなる。
(ヒアルロン酸分解酵素)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、抗原性をより低減できる点で、ヒアルロン酸分解酵素を含有しないことができる。本発明において、「ヒアルロン酸分解酵素を含有しない」とは、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩におけるヒアルロン酸分解酵素の含有量が1質量%以下であることをいう。抗原性が低減されている点で、例えば、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、酸分解(例えば後述する本実施形態に係る製造方法)により得られた、酸分解ヒアルロン酸および/またはその塩であることが好ましく、より具体的には、製造方法のいずれかで酸分解を経て得られた酸分解ヒアルロン酸および/またはその塩であることがより好ましい。
酵素(ヒアルロニダーゼ)を用いてヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化する場合、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩にヒアルロン酸分解酵素が残存する場合がある。
これに対して、後述する実施形態に係る製造方法によって、ヒアルロン酸分解酵素を使用せずに得られた本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、ヒアルロン酸分解酵素を含有しないため、抗原性がより低減されている。
(8糖の割合)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、8糖に由来する生理活性をより確実に発揮できる点で、8糖の割合が1質量%以上30質量%以下であることができ、5質量%以上であることがより好ましい。
(2糖、4糖、6糖および8糖の合計)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、2糖、4糖、6糖および8糖の合計が5質量%以上80質量%以下であることができ、10質量%以上であることが好ましく、一方、70質量%以下であることが好ましい。
例えば、本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、かつ、2糖、4糖、6糖および8糖の合計が5質量%以上80質量%以下であることができ、さらに20質量%以上60質量%以下であることができる。この場合、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であることができる。また、この場合、8糖の割合が1質量%以上30質量%以下であることができる。
なお、本発明において、ヒアルロン酸および/またはその塩における2糖、4糖、6糖および8糖の割合(質量%)は、ヒアルロン酸および/またはその塩に対するHPLCにより同定することができる。より具体的には、各HPLC測定により得られたヒアルロン酸および/またはその塩の各ピーク(例えば2糖であれば分子量400)のピーク面積を全体のピーク面積で除することによって、ヒアルロン酸および/またはその塩における2糖、4糖、6糖および8糖の割合(質量%)を算出することができる。
(動粘度)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、該ヒアルロン酸および/またはその塩の5質量%水溶液の動粘度が2.0mm/s以下(好ましくは、1.5mm/s以下、より好ましくは1.3mm/s以下)であることができる。
本発明において、ヒアルロン酸および/またはその塩の5質量%水溶液の動粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社製)を用いて測定することができる。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。ウベローデ粘度計により測定された前記水溶液の流下秒数と、ウベローデ粘度計の係数との積により、動粘度(単位:mm/s)を求めることができる。
(作用効果)
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩によれば、平均分子量が3,500以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、塩素含量および硫黄含量がいずれも1質量%以下であり、かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きいことにより、例えば打錠適性等の取扱性に優れている。
[ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法]
本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法(以下、「第1製造方法」ともいう。)は、低級アルコール(loweralcohol)と、平均分子量が3,500以上10万以下の原料ヒアルロン酸および/またはその塩と、酸と、を含む酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する工程と、前記調製する工程で得られた前記酸性原料ヒアルロン酸溶液中で前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸加水分解する工程(以下、「液相(liquid phase)分解工程」ともいう。)と、前記酸加水分解により得られた加水分解物を含む酸性溶液を陰イオン交換樹脂で処理する工程(以下、「陰イオン交換樹脂処理工程」ともいう。)と、前記樹脂処理された前記加水分解物を噴霧乾燥(spray−drying)または凍結乾燥(freeze−drying)させる工程(以下、「噴霧乾燥工程」または「凍結乾燥工程」ともいう。)と、を含み、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液は、15質量%以上35質量%以下の前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を含み、かつ、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液は、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下の前記低級アルコールを含む。
<酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する工程>
酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する工程では、低級アルコールと、平均分子量が3,500以上10万以下の原料ヒアルロン酸および/またはその塩と、酸と、を含む酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する。
(原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量)
本実施形態に係る製造方法において、分子量が3,500以下であり白色度が高いヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる点で、酸性原料ヒアルロン酸溶液に含まれる原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は5,000以上であることが好ましく、6,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることが好ましく、一方、5万以下であることが好ましく、2万以下であることがより好ましい。
((出発)原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量の測定方法)
本発明において、原料ヒアルロン酸および/またはその塩(ならびに、後述する出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩)の平均分子量は、下記の方法にて測定することができる。即ち、約0.05gのヒアルロン酸(本品)を精密に量り、0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液に溶かし、正確に100mLとした溶液及びこの溶液8mL、12mL並びに16mLを正確に量り、それぞれに0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液を加えて正確に20mLとした溶液を試料溶液とする。この試料溶液および0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液につき、日本薬局方(第十六改正)一般試験法の粘度測定法(第1法毛細管粘度測定法)により30.0±0.1℃で比粘度を測定し(式(A))、各濃度における還元粘度を算出する(式(B))。還元粘度を縦軸に、本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL)を横軸にとってグラフを描き、各点を結ぶ直線と縦軸との交点から極限粘度を求める。ここで求められた極限粘度をLaurentの式(式(C))に代入し、平均分子量を算出する(Torvard C Laurent,Marion Ryan,and Adolph Pietruszkiewicz,”Fractionation of hyaluronic Acid”,Biochemina et Biophysica Acta.,42,476−485(1960)、四方田千佳子、「ヒアルロン酸ナトリウム製剤のSEC−MALLSによる分子量評価」、国立衛研報、第121号,030−033(2003))。
(式A)
比粘度={試料溶液の所要流下秒数)/(0.2mol/L塩化ナトリウム溶液の所要流下秒数)}−1
(式B)
還元粘度(dL/g)=比粘度/(本品の換算した乾燥物に対する濃度g/100mL))
(式C)
極限粘度(dL/g)=3.6×10−40.78
M:平均分子量
(原料ヒアルロン酸および/または塩の濃度)
酸性原料ヒアルロン酸溶液では、原料ヒアルロン酸および/またはその塩が酸性原料ヒアルロン酸溶液中に溶解する濃度にするのが好ましい。
より具体的には、液相分解工程において、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止しつつ、かつ原料ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化(例えば、得られるヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量を3,500以下にすること)を達成でき、かつ、単糖の発生を抑えることができる点で、酸性原料ヒアルロン酸溶液における原料ヒアルロン酸および/または塩の濃度(該酸性原料ヒアルロン酸溶液の質量に対する前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩の質量)が15質量%以上であり、16質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましく、一方、35質量%以下であり、32質量%以下であることが好ましい。
(溶媒)
原料ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性に優れている点で、酸性原料ヒアルロン酸溶液に使用される溶媒は含水溶媒(好ましくは水)であることが好ましいが、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を溶解させることができるのであれば、該溶媒は、水、または、水と混和する有機溶媒を30質量%以下含む含水溶媒であってもよい。
(低級アルコール)
本発明において「低級アルコール」とは、炭素原子数1、2または3のアルコールをいい、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、および2−プロパノールが挙げられる。このうち、1種または2種以上を低級アルコールとして使用することができる。低級アルコールとしては、例えば、メタノールおよび/またはエタノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩の分子量をより確実に3,500以下に調整できる点で、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液は、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩100質量部に対して、10質量部以上、または、50質量部以下の前記低級アルコールを含むことが好ましい。
(酸)
前記酸性原料ヒアルロン酸溶液に含まれる酸は、該酸性原料ヒアルロン酸溶液のpHを酸性に調整できる酸であれば、いずれの酸を使用することができる。酸の使用量を低減できる観点から、該酸は例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、スルホン基含有有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、フッ素原子含有有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)等の有機酸を使用することができる。
(添加方法)
前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する工程では、前記低級アルコールと、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩との混合物(ここで、前記混合物は、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩100質量部に対して5質量部以上60質量部以下の前記低級アルコールを含む。)を、酸を含む液(酸性液)に添加することにより、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製することができる。
あるいは、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩および低級アルコールを含む溶液に酸を添加することにより、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製することもできる。
前記酸性液に前記混合物を添加して、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する場合、前記混合物では、原料ヒアルロン酸および/またはその塩が低級アルコールで湿潤されている(moisted)ことができる。この場合、後述する固相分解工程において得られた前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を使用して酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製する場合、該固相分解工程を行った後のデカンテーションで、該固相分解工程で使用した低級アルコールが所望の割合になるように調整することによって、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製してもよい。
本発明において、「原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低級アルコールで湿潤させる」とは、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の少なくとも一部が低級アルコール中で固体として存在し、この固体の原料ヒアルロン酸および/またはその塩が低級アルコールによって湿って膨らんだ状態のことをいう。
前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩が低級アルコールで湿潤されている状態で、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩と低級アルコールとの混合物を前記酸性液中に添加して、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液を調製することにより、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩が酸性液中でダマになること(すなわち、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩が酸性液中で凝集して、酸溶液中で均一に分散しないこと)を防止し、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩の酸性液での分散性を高めることができる。
低分子化の進行をより容易にできる点で、前記混合物を添加する前の前記酸性液の質量を100質量部とした場合、前記混合物を添加する前の前記酸性液の質量に対する、添加する前記混合物の質量(前記混合物の質量/前記混合物を添加する前の前記酸性液の質量)が10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、一方、30質量部以下であることがより好ましい。
(酸性原料ヒアルロン酸溶液のpH)
また、液相分解工程において、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止し、かつ原料ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化を達成できる点で、前記酸性原料ヒアルロン酸溶液のpHは0.2以上2以下であることができ、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましく、一方、1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。
<液相分解工程>
液相分解工程(第1低分子化工程)では、平均分子量が3,500以上10万以下の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を15質量%以上35質量%以下含む酸性原料ヒアルロン酸溶液中に保持して、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸加水分解する。これにより、原料ヒアルロン酸および/またはその塩が酸加水分解により低分子化されて、分子量がより小さい加水分解物(ヒアルロン酸および/またはその塩)が得られる。
(反応温度)
液相分解工程では、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防ぐことができる点から、反応液の温度は通常85℃以下(好ましくは80℃以下)であることが好ましく、60℃以上(好ましくは65℃以上)であることがより好ましい。
(反応時間)
液相分解工程では、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防ぐことができる点から、反応時間は通常30分以上10時間以下であることが好ましく、60分以上8時間以下であることがより好ましい。
(得られるヒアルロン酸および/または塩の分子量)
液相分解工程によって、平均分子量が3,500以下(好ましくは2,800以下、より好ましくは2,500以下、一方、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,200以上)のヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
<陰イオン交換樹脂処理工程>
本実施形態に係る製造方法では、前記液相分解工程の後、前記酸加水分解により得られた加水分解物を含む酸性溶液を陰イオン交換樹脂で処理する。ここで、加水分解物は、原料ヒアルロン酸および/またはその塩が低分子化されて得られた、原料ヒアルロン酸および/またはその塩よりも分子量が小さいヒアルロン酸および/またはその塩である。
陰イオン交換樹脂処理工程を行うことにより、前記酸性溶液中の陰イオン(例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンや、硫酸イオン等の硫化物イオン)を除去することができるため、本実施形態に係る製造方法によって最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩に含まれる、陰イオンに由来する元素(例えば、塩素や硫黄)の含量を低減することができる。
陰イオン交換樹脂処理工程では、液相分解工程の後、液相分解工程によって得られた加水分解物を含む前記酸性溶液を陰イオン交換樹脂で処理するため、処理の効率に優れている。この場合、使用する陰イオン交換樹脂としては、例えば、強塩基性、弱塩基性、さらにはゲル型やポーラス型のイオン交換樹脂が挙げられる。なお、樹脂へのダメージを少なくするため、前記酸性溶液にアルカリを添加して、該酸性溶液のpHを高くしてから(pH7未満)、該酸性溶液を陰イオン交換樹脂で処理してもよい。
また、陰イオン交換樹脂処理工程では、例えば、前記保持(酸加水分解)後の前記酸性溶液中に陰イオン交換樹脂を添加して撹拌してもよい。例えば、陰イオン交換樹脂を容器内に固定化させておき、その容器の中に記酸性溶液を入れ、攪拌して、酸性溶液中のヒアルロン酸および/またはその塩を陰イオン交換樹脂と接触させることにより、陰イオン(例えば、上記に例示される陰イオン)を除去することができる。この場合、陰イオン交換樹脂を容器に固定化させてもよい。陰イオン交換樹脂を固定化することにより、陰イオン交換樹脂と、酸性溶液とを処理後に容易に分離することができる。あるいは、前記保持(酸加水分解)後の前記酸性溶液を、陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通液してもよい。
なお、液相分解工程(例えば、陰イオン交換樹脂処理工程)で得られた液のpHを調整した後に噴霧乾燥または凍結乾燥を行ってもよい。この場合、最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止でき、かつ、安定性を高めることができる点で、該液のpHを4以上8以下(好ましくは5以上、または7以下)に調整することが好ましい。
pHの調製は、塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、重炭酸マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩等の塩基性無機塩、あるいは塩基性有機塩)を用いて行うことができる。
<噴霧乾燥工程または凍結乾燥工程>
本実施形態に係る製造方法は、陰イオン交換樹脂処理工程の後に、前記樹脂処理(陰イオン交換樹脂による処理)された前記加水分解物を噴霧乾燥または凍結乾燥させる工程を含む。
<噴霧乾燥工程>
噴霧乾燥工程では、前記加水分解物を含む液を噴霧乾燥させて、固体のヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法を得る。すなわち、前記噴霧乾燥工程により、分子量が3,500以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きいヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
すなわち、噴霧乾燥工程によって、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。噴霧乾燥工程において、前記液相分解工程および陰イオン交換樹脂処理工程を行った後に得られる、加水分解物を含む液を噴霧乾燥させることにより、最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩の陰イオン含量を低減することができ、かつ、かさ高くバラつきが少ないヒアルロン酸および/またはその粒子を得ることができる。
(ヒアルロン酸および/又はその塩の濃度)
より具体的には、噴霧乾燥工程では、噴霧を適切に行うことができる点で、噴霧乾燥させる液は、加水分解物を8質量%以上35質量%以下含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、11質量%以上含むことがさらに好ましく、一方、30質量%以下であることが好ましく、28質量%以下含むことがより好ましく、26質量%以下含むことがさらに好ましく、24質量%以下含むことが特に好ましい。
ここで、噴霧乾燥させる液に含まれる、加水分解物の量は、液相分解工程の酸性原料ヒアルロン酸溶液中に含まれる原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量を、加水分解物の含有量とみなして算出された値である。
(噴霧乾燥装置)
噴霧乾燥工程では、市販の噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥を行うことができる。市販の噴霧乾燥装置としては、ディスク型スプレードライヤーやベーン型スプレードライヤーが挙げられる。
(噴霧温度)
噴霧乾燥工程では、ヒアルロン酸および/またはその塩の凍結および褐変を防止できる点で、噴霧乾燥工程におけるヒーター温度は通常200℃以下(好ましくは180℃以下)であることが好ましく、150℃以上(好ましくは100℃以上)であることがより好ましい。
平均分子量が3,500以上のヒアルロン酸および/またはその塩は粘度が高いため、噴霧乾燥により精製を行う場合、噴霧を適切に行なうためには、通常、ヒアルロン酸および/またはその塩を含む液の粘度を低減した状態(例えば、ヒアルロン酸および/またはその塩の濃度が通常1質量%以上8質量%以下)に調整する必要がある。
これに対して、加水分解物は低粘度であるため、陰イオン交換樹脂処理工程で得られた液を希釈せずに(あるいは希釈の量が少ない状態で)、噴霧乾燥工程において噴霧を行うことができるため、効率的である。
<凍結乾燥工程>
より具体的には、凍結乾燥工程では、凍結を適切に行うことができる点で、凍結乾燥させる液は、加水分解物を8質量%以上35質量%以下含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、11質量%以上含むことがさらに好ましく、一方、28質量%以下含むことがより好ましく、26質量%以下含むことがさらに好ましく、24質量%以下含むことが特に好ましい。
ここで、凍結乾燥させる液に含まれる加水分解物の量は、液相分解工程の酸性原料ヒアルロン酸溶液中に含まれる原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量(または、液相分解工程の酸性原料ヒアルロン酸溶液中に含まれる出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量)を加水分解物の含有量とみなして算出された値である。
(凍結乾燥装置)
凍結乾燥工程では、市販の凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥を行うことができる。市販の凍結乾燥装置としては、アルバック社凍結乾燥機(DFR-5N-B)が挙げられる。
(凍結乾燥温度)
凍結乾燥工程では、ヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止できる点で、凍結乾燥工程における温度は通常−20℃以下(好ましくは−30℃以下)であることが好ましく、−80℃以上(好ましくは−70℃以上)であることがより好ましい。
<固相分解工程>
本実施形態に係る製造方法では、前記液相分解工程(第1低分子化工程)の前に、第2低分子化工程として、平均分子量が3,000以上50万以下の出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体(medium)中に分散させて、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を得る工程(以下、「固相(solid phase)分解工程」ともいう。)をさらに含むことができる。
固相分解工程では、該出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化して、前記原料ヒアルロン酸および/またはその塩を得る。より具体的には、固相分解工程では、前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させることにより、前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩の少なくとも一部を酸性含水媒体に溶解させずに、前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を固体状態(より具体的には、前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩が、前記酸性含水媒体中に懸濁した状態)で酸と反応させることができる。これにより、得られるヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止することができ、かつ、副生成物(ヒアルロン酸の分解物、例えば単糖や非還元末端糖等)の生成を防止することができため、得られるヒアルロン酸および/またはその塩の純度を高めることができる。
また、固相分解工程によれば、前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩の少なくとも一部を酸性含水媒体に溶解させずに固体状態で酸と反応させることができるため、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩が反応液に溶解し酸と反応することにより単糖が生成するのを抑制することができる。その結果、続く液相分解工程を得て最終的に得られる加水分解物(ヒアルロン酸および/またはその塩)中の2糖の割合を1質量%以上30質量%以下に調整することができ、かつ、続く液相分解工程を得て最終的に得られる加水分解物(ヒアルロン酸および/またはその塩)中の8糖の割合を1質量%以上30質量%以下に調整することができ、かつ、続く液相分解工程を得て最終的に得られる加水分解物(ヒアルロン酸および/またはその塩)中の2糖、4糖、6糖および8糖の合計を5質量%以上80質量%以下に調整することができる。
なお、平均分子量が1万以上50万以下の出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させて、平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を得ようとした場合、より水溶性が高い、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩が、酸性含水媒体を構成する水に優先して溶解する結果、最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩に褐変が生じたり、副生成物(例えば単糖)の生成量が増加する(例えば、単糖の含有量が3質量%を超える)おそれがある。
これに対して、本実施形態に係る製造方法において、固相分解工程によって出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩をある程度低分子化した後に、液相分解工程によって平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を得ることにより、褐変の発生および副生成物の発生を抑えることができる。
(出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩)
出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩は、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の出発原料であり、原料ヒアルロン酸および/またはその塩よりも平均分子量が大きい。
原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量の3,500以上50万以下を得ることができる点で、出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は1万以上であることが好ましく、10万以上であることがより好ましく、一方、200万以下であることが好ましく、100万以下であることがより好ましい。
前記固相分解工程において、前記酸性含水媒体の質量に対する前記出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩の質量(酸性含水媒体の質量100質量%とする)が3質量%以上20質量%以下であることができ、3質量%以上であることが好ましく、一方、15質量%以下であることが好ましい。
(酸性含水媒体)
本実施形態に係る製造方法では、出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を分散させる酸性含水媒体に使用する溶媒としては、水溶性有機溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒(なかでも、低級アルコール)、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
(水の割合)
酸性含水媒体中において原料ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解を防止し、収率低下を防ぐ点から、酸性含水媒体の全量に対する水の割合は40容量%以下が好ましく、30容量%以下がさらに好ましく、通常、1容量%以上である。
(酸性含水媒体のpH)
また、固相分解工程では、原料ヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防止し、かつ原料ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化を達成できる点で、前記酸性含水媒体のpHは1以下であることが好ましく、0以上であることがより好ましい。
(固相分解工程以外の第2低分子化工程)
なお、固相分解工程の代わりに、第2低分子化工程として、例えば、酵素分解、熱分解、原料ヒアルロン酸および/またはその塩が反応液に溶解した状態における酸分解、アルカリ分解、電子線照射による分解、および超音波による分解から選ばれる少なくとも1種の方法によって出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化して、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができるが、最終的に得られるヒアルロン酸および/またはその塩における単糖、2糖、8糖の割合をコントロールしやすい点で、固相分解工程(すなわち、出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体に分散させ、該出発原料ヒアルロン酸および/またはその塩を固体状態で酸と反応させる方法)によって加水分解する方法が好ましい。
(反応温度)
固相分解工程では、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防ぐことができる点から、反応液の温度は通常95℃以下(好ましくは90℃以下)であることが好ましく、55℃以上(好ましくは60℃以上)であることがより好ましい。
(反応時間)
固相分解工程では、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩の褐変を防ぐことができる点から、反応時間は通常30分以上10時間以下であることが好ましく、60分以上2時間以下であることがより好ましい。
<作用効果>
本実施形態に係る製造方法によれば、液相分解工程と、陰イオン交換樹脂処理工程と、噴霧乾燥工程または凍結乾燥工程と、を含むことにより、前記陰イオン交換樹脂処理工程で得られた液を使用して前記噴霧乾燥工程または凍結乾燥工程を行うことができるため、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を固体として効率的に得ることができる。
より具体的には、本実施形態に係る製造方法によれば、平均分子量が3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を高濃度(例えば8質量%以上35質量%以下)含む液を噴霧乾燥または凍結乾燥することにより、かさ密度が高いヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
本実施形態に係る製造方法において、噴霧乾燥工程を経て、平均分子量が3,500以下であり、かつ、かさ密度が高く(0.15g/cm以上)、かつ粒子径のバラつきが少ないヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる理由としては、平均分子量が3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩の粘度が低いため、噴霧乾燥する際の濃度を高くすることができるため、適切な噴霧ができることが挙げられる。
噴霧乾燥によって固体を得るためには、通常、噴霧乾燥する際に、噴霧乾燥の対象となる物質を適度な濃度で含み、かつ、粘度が低い液を用いることが必要である。噴霧乾燥の対象となる物質の濃度が低すぎると、噴霧乾燥の対象となる物質を固体として得ることが難しい場合がある。
高分子のヒアルロン酸および/またはその塩(例えば、平均分子量が3,500を超えるもの、特に、平均分子量が10万以上200万以下のもの)は粘度が高いため、噴霧乾燥を行うためには、粘度を下げるために濃度を低くしなければならない。しかしながら、このような濃度が低い液を用いて噴霧乾燥を行った場合、ヒアルロン酸を固体として回収できないという問題が生じることがある。
これに対して、本発明者らは、平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩について、噴霧乾燥の対象となる液中の濃度を8質量%以上35質量%以下にすることにより、噴霧乾燥を行うことができるという新たな知見を見出して、本実施形態に係る製造方法を創出した。
すなわち、本実施形態に係る製造方法によって、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
また、本実施形態に係る製造方法は、以下の特徴(1)ないし(5)を有する。
(1)酵素を用いたヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化方法と比較して、本実施形態に係る製造方法によれば、純度および白色度が高いヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができ、抗原性をより低減することができ、かつ、製造コストを低減することができる。
(2)エタノールの添加による沈殿によってヒアルロン酸および/またはその塩を精製する方法と比較して、本実施形態に係る製造方法によれば、微量の不純物(例えば塩化物イオン)の含有量が少ないヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができ、かつ、ヒアルロン酸および/またはその塩の収率が優れている。
(3)平均分子量が10万を超える原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性またはアルカリ性の原料ヒアルロン酸溶液中に溶解させた状態で低分子化して、平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を得る方法と比較して、本実施形態に係る製造方法によれば、白色度が高く、かつ、副生成物(例えば単糖)の含有量が少ないヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
(4)平均分子量が10万を超える原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に固体のまま分散させる方法(ここで、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に固体のまま分散させる方法としては、例えば、上記固相分解工程として記載された方法が挙げられる。)によって、平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を得ようとすると、条件によっては、生成した低分子化物(平均分子量が3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩)が、該酸性含水媒体を構成する酸性水に溶解する結果、回収が難しくなるうえに、該低分子化物が、該酸性水に含まれる酸によって褐変したり、酸によって該低分子化物が分解されて単糖等の副生成物が生じたりする場合がある。これに対して、本実施形態に係る製造方法によれば、白色度が高く、かつ、副生成物(例えば単糖)の含有量が少ないヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
(5)特に、噴霧乾燥工程を経て得られたヒアルロン酸および/またはその塩は、凍結乾燥工程を経て得られたヒアルロン酸および/またはその塩(通常、フワフワした綿状の固体が得られる)と比較して、粒子径のバラつきがより少なく、かつ、微量の不純物の含有量がより少ない。
[低分子ヒアルロン酸と噴霧乾燥・凍結乾燥]
本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、平均分子量が3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩を8質量%以上35質量%以下含む液を噴霧乾燥または凍結乾燥させて、固体のヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法を得る工程を含む。
本実施形態に係る製造方法において、かさ密度がより高く、粒子径のバラつきが少ない粒子が得られる点で、噴霧乾燥させて、固体のヒアルロン酸および/またはその塩を得ることがより好ましい。この場合、噴霧乾燥の対象となるヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、3,500以下であることが好ましく、2,800以下であることがより好ましく、一方、1,000以上であることが好ましく、1,200以上であることがより好ましい。
すなわち、平均分子量3,500以下のヒアルロン酸および/またはその塩は、高分子のヒアルロン酸および/またはその塩よりも粘度が低いため、本実施形態に係る製造方法において、噴霧乾燥の対象となる液中の濃度を高くする(8質量%以上35質量%以下する)ことで、かさ密度が高く、かつ、粒子径のバラつきが少ない粒子状のヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
[食品]
本発明の一実施形態に係る食品は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を含む。より具体的には、本実施形態に係る食品は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を0.1質量%以上100質量%以下含有することができる。
上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する食品の態様は特に限定されないが、例えば、主食である米飯加工食品、製パン類等、副食であるレトルト缶詰、冷凍食品、惣菜、乾燥食品等、マヨネーズ等調味料、飲料、菓子、デザート類、液状,ゲル状またはソフトカプセル状等のサプリメント類等の一般食品全般のほか、生理機能を表現することを許可された特定保健用食品全般を挙げることができる。
本実施形態に係る食品の態様は特に限定されないが、例えば、ガム、キャンディー、グミキャンディー、トローチ様食品、ゼリー飲料、米飯加工食品、製パン類、レトルト缶詰、冷凍食品、惣菜、乾燥食品、マヨネーズ等調味料、飲料、菓子、デザート類、サプリメント類等の一般食品全般、生理機能を表現することを許可された特定保健用食品全般が挙げられ、このうち、利便性に優れている点で、サプリメント類が好ましい。
また、サプリメント類の形態としては、例えば、錠剤状、散剤状、細粒状、顆粒状、カプセル状(ハードカプセル、ソフトカプセル)等の固形状、液状、懸濁液状、ゼリー状、シロップ状等の流動状が挙げられる。
ヒアルロン酸および/またはその塩は生体物質であるため、多量に摂取しても副作用がない、またはきわめて低いと考えられるが、食品として摂取する本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の量は、一日当たり1mg以上1000mg以下、好ましくは15mg以上300mg以下を目安とすることができる。
[化粧料]
本発明の一実施形態に係る化粧料は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を含む。
本実施形態に係る化粧料の使用態様は特に限定されないが、生体組織の表面に塗布または接触して摂取させるのが好ましく、特に、顔、腕、手指、足、関節などの皮膚に塗布または接触させるのが好ましい。
本実施形態に係る化粧料としては、例えば、皮膚用化粧料が挙げられる。上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を皮膚用化粧料に使用することにより、適度な粘度を有し、かつ、保水効果が高いため、皮膚に潤いを付与し、皮膚のかさつき感を改善することができる。
本実施形態に係る皮膚用化粧料の態様としては、例えば、洗顔料、洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプ)、クレンジング、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、シェービングローション、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル、石鹸、入浴剤が挙げられる。
本実施形態に係る化粧料にはさらに、以下の成分が配合されていてもよい。前記成分としては、例えば、カチオン化多糖類(例えば、カチオン化ヒアルロン酸、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等)、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等)、陽イオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、油分(例えば、シリコーン、シリコーン誘導体、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油、馬油等)、保湿剤(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、セラミド、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、トレハロース、グリセリン、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール、1,3−ブチレングリコール等)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等)、高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等)、多価アルコール(例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール等)、増粘剤(例えば、セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、パルミチン酸デキストリン等)、両性高分子樹脂化合物(例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等)、カチオン性高分子樹脂化合物(例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等)、防腐剤(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、トコフェノール、BHT等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、エチドロン酸塩等)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線反射剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、タンパク質加水分解物(例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド等)、アミノ酸(例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L−テアニン等)、天然物エキス(クジンエキス、カモミールエキス海草エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス等)、その他の機能性成分(コエンザイムQ10、アルブチン、ポリクオタニウム51、エラスチン、白金ナノコロイド、パルミチン酸レチノール、パンテノール、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸2−グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、トラネキサム酸等)、リン脂質ポリマー、香料、色素が挙げられる。
[医薬品]
本発明の一実施形態に係る医薬品は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を含む。より具体的には、本実施形態に係る医薬品は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩を5質量%以上100質量%以下含有することができる。
本実施形態に係る医薬品は、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原料を含むことができる。そのような原料の例としては水、賦形剤、抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、粘稠剤、緩衝剤、吸着剤、溶剤、乳化剤、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、アルコール類等が挙げられる。
本実施形態に係る医薬品の剤形は特に限定されないが、該医薬品を経口摂取する場合、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。
本実施形態に係る医薬品として摂取するヒアルロン酸および/またはその塩の量は、1日当たり10mg以上1,000mg以下、好ましくは100mg以上500mg以下を目安とすることができる。投与回数は、症状に応じて一日当たり一回もしくは複数回を選択できる。
なお、本実施形態に係る医薬品には、必要に応じて、増量剤、結合剤、滑沢剤、保存剤、酸化防止剤、香料、甘味料、酸味料、賦形剤等を配合することができる。また、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンE等のビタミン類、核酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲン等の栄養成分、鉄、亜鉛等のミネラル成分等の各種栄養成分を配合することもできる。
[ヒアルロン酸および/またはその塩の一例]
本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が3,500以下であり、かつ、以下の特徴(1)ないし(13)のうち1つまたはそれ以上(2個,3個,4個,5個,6個,7個,8個,9個,10個,11個,12個または13個)を有する。
(1)かさ密度が0.15g/cmよりも大きい。
(2)純度が90%以上である。
(3)色の色相を表すb値が10以下である。
(4)平均粒子径が10μm以上40μm以下である。
(5)粒子径の標準偏差が0.1以上0.4以下である。
(6)塩素含量が1.0質量%以下である。
(7)硫黄含量が1.0質量%以下である。
(8)2糖の割合が1質量%以上30質量%以下である。
(9)ヒアルロン酸分解酵素を含有しない。
(10)8糖の割合が1質量%以上30質量%以下である。
(11)2糖、4糖、6糖および8糖の合計が5質量%以上80質量%以下である。
(12)5質量%水溶液の動粘度が2.0mm/s以下である。
(13)単糖の割合が3質量%以下である。
本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩によれば、上記実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩と同様の作用効果を有する。
[実施例]
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
<実施例1:ヒアルロン酸の調製>
分子量1万の原料ヒアルロン酸約5kgをエタノール1kgで湿潤させ、攪拌機およびジャケットを装備した50L容タンクで2%塩酸25L(pH1.0、25kg)に添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、これを70℃で5時間保持し、加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水8Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:12質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥(ヒーター温度:180℃)によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。
得られたヒアルロン酸は、HPLCの測定より換算した分子量が2,200であり、b値が2.2であり、L値が95であった。また、このヒアルロン酸のかさ密度、粒子径、粒度分布、および塩素含量を測定した結果を表1に示す。
また、実施例1のヒアルロン酸、後述する実施例2ないし8ならびに比較例2ないし4、7および8のヒアルロン酸についてHPLCの測定を行った。なお、HPLCの測定条件は以下の通りである。HPLCの測定結果から、上記実施形態の欄で説明した方法にしたがって、実施例1ないし8のヒアルロン酸および後述する比較例2ないし4、7および8のヒアルロン酸の平均分子量および2糖、4糖、6糖および8糖の割合をそれぞれ算出した。
(HPLC測定条件)
HPLC分析装置:商品名「アライアンスPDAシステム」,日本ウォーターズ株式会社製
使用カラム:ゲル濾過カラム(商品名「Diol−120」,株式会社ワイエムシイ製
分析サンプル:ヒアルロン酸の0.1%(w/v)水溶液
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
ヒアルロン酸の0.1%(w/v)水溶液の注入量:20μL
移動相:0.003Mリン酸バッファー(0.15M NaCl含有,pH7.0)
本実施例に係るゲル濾過カラムを用いた液体クロマトグラフィーでは、保持時間が遅いものほど低分子である。よって、ヒアルロン酸のHPLCの測定結果では、保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(2糖:繰り返し構造単位1個)、ヒアルロン酸(4糖:繰り返し構造単位2個)、ヒアルロン酸(6糖:繰り返し構造単位3個)、ヒアルロン酸(8糖:繰り返し構造単位4個)…のピークが得られた。各ピークの分子量(例えば2糖であれば分子量400)にピーク面積を乗じた値を算出し、ピーク毎に算出した値を積算する。さらに、それを全体のピーク面積で除することによって、平均分子量を算出できる。
<比較例1:ヒアルロン酸の調製>
乾燥した分子量1万の原料ヒアルロン酸約2kgを攪拌機およびジャケットを装備した50L容タンクで2%塩酸25L(pH1.0、25kg)に添加し、原料ヒアルロン酸を約7質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、これを70℃で5時間保持し、加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物に25質量%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した上で陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水18Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:4質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥(ヒーター温度:180℃)によって乾燥したところ、霧状となり、ヒアルロン酸を回収することができなかった。
<比較例2:ヒアルロン酸の調製>
噴霧乾燥を行う代わりに凍結乾燥を行った以外は比較例1と同様にして、比較例2の白色微粉末のヒアルロン酸1.9kgを得た。
<実施例2:ヒアルロン酸の調製>
攪拌機およびジャケットを装備した200L容タンクに、8%塩酸28L(28kg)とエタノール100Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸5kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール1kgで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約6kgに2%塩酸25L(pH1.0、25kg)を添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水12Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:11質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥(ヒーター温度:180℃)によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<実施例3:ヒアルロン酸の調製>
実施例2において主に、使用するタンクの容量、出発原料ヒアルロン酸の質量、塩酸の質量、エタノールの質量、水酸化ナトリウムの質量を全て100分の1に変更しスケールダウンし、噴霧乾燥する際のヒアルロン酸溶液の濃度を14質量%とした以外は、同様の方法で、実施例3のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:14質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥(ヒーター温度:180℃)によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸46g(収率約92%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<実施例4:ヒアルロン酸の調製>
実施例3において主に、樹脂を除去した後に得られた溶液に水を添加してヒアルロン酸の濃度を調整した以外は、同様の方法で、実施例4のヒアルロン酸11質量%を含む溶液を得た。この溶液を凍結乾燥させて、実施例4のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液の一部を1.25倍希釈したもの(ヒアルロン酸の濃度:11質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を凍結乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<比較例3:ヒアルロン酸の調製>
実施例2において主に、樹脂を除去した後に得られた溶液に水を添加してヒアルロン酸の濃度を調整した以外は、同様の方法で、比較例3のヒアルロン酸約1質量%(0.6質量%)を含む溶液を得た。この溶液を凍結乾燥させて、比較例3のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液の一部を22倍希釈したもの(ヒアルロン酸の濃度:0.6質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を凍結乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<比較例4:ヒアルロン酸の調製>
比較例3において主に、樹脂を除去した後に得られた溶液に添加する水の量を変更した他は比較例3と同様の方法にて、比較例4のヒアルロン酸6質量%を含む溶液を得た。この溶液を凍結乾燥させて、比較例4のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液の一部を2.5倍希釈したもの(ヒアルロン酸の濃度:6質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を凍結乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<比較例5:ヒアルロン酸の調製>
実施例2において主に、樹脂を除去した後に得られた溶液に添加する水の量を変更した他は比較例3と同様の方法にて、比較例5のヒアルロン酸6質量%を含む溶液を得た。この溶液を実施例2と同様の噴霧乾燥したところ、霧状となり、ヒアルロン酸を回収することができなかった。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液の一部を2.5倍希釈したもの(ヒアルロン酸の濃度:6質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥したところ、霧状となり、ヒアルロン酸を回収することができなかった。
<比較例6:ヒアルロン酸の調製>
2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物を減圧乾燥により乾燥させた。乾燥後のヒアルロン酸約50gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加したところヒアルロン酸がダマになり完全には溶解できなかったが、そのまま原料ヒアルロン酸を約25質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水120mLで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:15質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥によって乾燥させたところ、褐変したヒアルロン酸が得られ、得られたヒアルロン酸はb値が10以上であった。また、単糖の割合は4%であった。
<比較例7:ヒアルロン酸の調製>
実施例2において主に、固相分解工程の加水分解時間を2時間とし、陰イオン交換樹脂で処理をする前に、水酸化ナトリウムを添加して中和した後、エタノールを添加してヒアルロン酸を沈殿させ、比較例7のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、攪拌機およびジャケットを装備した500L容タンクに、8%塩酸28L(28kg)とエタノール100Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸5kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール1kgで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約6kgに2%塩酸25L(pH1.0、25kg)を添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で2時間加水分解を実施した(液相分解工程)。エタノール240Lを添加し懸濁状態とし、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液でpHを4.0以上6.5以下に調製することによってヒアルロン酸を沈殿させた。得られた沈殿物を減圧乾燥し、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
比較例7のヒアルロン酸は、陰イオン交換樹脂処理工程を経ずに得られたものであるため、塩素含量が1.0質量%を超えるうえに、沈殿により得られたものであるため、粒子径の標準偏差が0.3を大きく超え、粒子形状が不均一性であることが理解できる。
<比較例8:ヒアルロン酸の調製>
攪拌機およびジャケットを装備した200L容タンクに、8%塩酸28L(28kg)とエタノール100Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸5kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール1kgで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約6kgに2%塩酸25L(pH1.0、25kg)を添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:15質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
比較例8のヒアルロン酸は、陰イオン交換樹脂処理工程を経ずに得られたものであるため、塩素含量が1.0質量%を超えるため、粒子径の標準偏差が0.3を超え、粒子形状が不均一性であることが理解できる。
<実施例5:ヒアルロン酸の調製>
攪拌機およびジャケットを装備した200L容タンクに、8%塩酸14L(14kg)とエタノール53Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸5kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール1.5kgで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約6.5kgに2%塩酸25L(pH1.0、25kg)を添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で3時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水8Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:12質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を凍結乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<実施例6:ヒアルロン酸の調製>
攪拌機およびジャケットを装備した200L容タンクに、8%塩酸14L(14kg)とエタノール53Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸5kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール1.5kgで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約6.5kgに2%塩酸25L(pH1.0、25kg)を添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、70℃で6時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、水8Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:12質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を凍結乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸4.5kg(収率約90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<実施例7:ヒアルロン酸の調製>
実施例3において主に、樹脂を除去した後に得られた溶液を水押し希釈せずにそのまま用いた以外は、同様の方法で、実施例7のヒアルロン酸22質量%を含む溶液を得た。この溶液を噴霧乾燥させて、実施例7のヒアルロン酸を得た。
より具体的には、2L容ビーカーに、8%塩酸280mL(280g)とエタノール1Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう湯浴で加熱した。70℃に達温後、攪拌しながら、平均分子量30万の出発原料ヒアルロン酸50gをビーカーに投入した。塩酸含有含水エタノール(pH0.2)の温度を70℃に維持するよう加熱を行ないながら、ヒアルロン酸微粉末が分散状態となるように攪拌し、攪拌を1時間行った(固相分解工程)。次いで、塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去した後、残存する固形物(エタノール10gで湿潤した状態の原料ヒアルロン酸)約60gに2%塩酸150mL(pH1.0、150g)を添加し、原料ヒアルロン酸を約24質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH1.0)を調製し、70℃で5時間加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)を行い、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液20g添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:22質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、出発原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥によって乾燥させ、白色微粉末のヒアルロン酸45g(収率:90%)を得た。なお、固相分解工程で得られた原料ヒアルロン酸の平均分子量を別途測定したところ約1万であった。
<実施例8:ヒアルロン酸の調製>
実施例3において、樹脂を除去した後に得られた溶液に水を添加してヒアルロン酸濃度を調整した以外は、同様の方法で、実施例8のヒアルロン酸9質量%を含む溶液を得た。この溶液を噴霧乾燥させて、実施例8のヒアルロン酸を得た。
<実施例9:ヒアルロン酸の調製>
実施例7において、固相分解工程において使用したエタノールをメタノールに置き換えた以外は同様の方法で、実施例9のヒアルロン酸22質量%を含む溶液を得た。この溶液を噴霧乾燥させて、実施例9のヒアルロン酸を得た。
実施例9のヒアルロン酸は分子量、ヒアルロン酸の純度、b値、かさ密度、粒度分布(平均粒子径および粒子径の標準偏差を含む)、塩素含量、2糖の割合、ならびに、2糖、4糖、6糖、8糖の合計の割合において、実施例7と同等であった。
<実施例10:ヒアルロン酸の調製>
実施例1において、分子量3.8万の原料ヒアルロン酸を用いた以外は、同様の方法で、実施例10のヒアルロン酸を得た。実施例10のヒアルロン酸は分子量、ヒアルロン酸の純度、b値、かさ密度、粒度分布(平均粒子径および粒子径の標準偏差を含む)、塩素含量、2糖の割合、ならびに、2糖、4糖、6糖、8糖の合計の割合において、実施例1と同等であった。
<比較例9:ヒアルロン酸の調製>
分子量11万の原料ヒアルロン酸約5kgをエタノール1kgで湿潤させ、攪拌機およびジャケットを装備した50L容タンクで2%塩酸25L(pH1.0、25kg)に添加し、原料ヒアルロン酸を約16質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製しようとしたところ、ヒアルロン酸溶液が非常に高粘度となり、攪拌することができなかった。
<比較例10:ヒアルロン酸の調製>
分子量11万の原料ヒアルロン酸約0.2kgをエタノール0.05kgで湿潤させ、攪拌機およびジャケットを装備した50L容タンクで2%塩酸25L(pH1.0、25kg)に添加し、原料ヒアルロン酸を約0.8質量%含む酸性原料ヒアルロン酸水溶液(pH約1)を調製し、これを70℃で10時間保持し、加水分解を実施した(液相分解工程)。さらに、得られた加水分解物を含む液を陰イオン交換樹脂処理(商品名:ダイヤイオンもしくはセパビーズ、三菱化学製)し、水8Lで押し出すとともに希釈し、80メッシュフィルターによって樹脂を除去した。25%水酸化ナトリウム水溶液2kg添加し、pHを4.0以上6.5以下に調製した。得られた溶液(ヒアルロン酸の濃度:約0.6質量%、ここで、ヒアルロン酸の濃度は、原料ヒアルロン酸の添加量をヒアルロン酸の含有量とみなして算出した。)を噴霧乾燥(ヒーター温度:180℃)によって乾燥させたとろ、霧状となり、ヒアルロン酸を回収することができなかった。
実施例2ないし8ならびに比較例2ないし4、7および8のヒアルロン酸の純度、b値、かさ密度、粒度分布(平均粒子径および粒子径の標準偏差を含む)、塩素含量、2糖の割合、ならびに、2糖、4糖、6糖、8糖の合計の割合を実施例1のヒアルロン酸と同様に測定した。その結果を表1に示す。なお、実施例1ないし8ならびに比較例2ないし4、7および8のヒアルロン酸の塩素含量および硫黄含量を測定したところ、いずれも1.0質量%以下であった。
[表1]
表1に示すように、実施例1ないし8のヒアルロン酸は、かさ密度が0.15g/cmより大きく、粒子径のバラつきが少なく、塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、2糖の割合が1質量%以上30質量%以下である。また、実施例1ないし8のヒアルロン酸は、8糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、かつ、2糖、4糖、6糖および8糖の合計が5質量%以上80質量%以下であることが理解できる。
また、実施例1ないし10、ならびに比較例2ないし4,7、8の200mgをそれぞれ打錠して錠剤を作製し、打錠適性を比較してみたところ、実施例1ないし10のヒアルロン酸は、比較例2ないし4,7、8のヒアルロン酸に比べ、結着力が高く、打錠適性が高かった。特に、塩素含量の低い実施例3ないし7のヒアルロン酸を含有する錠剤で打錠適性が高かった。また、平均粒子径が最も小さく、粒子径の標準偏差の小さい実施例1、3、7および10のヒアルロン酸を含有する錠剤は、粉が舞いにくく特に取扱性にも優れていた。
<配合例1:美容液>
本配合例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られたヒアルロン酸を配合した美容液(美白保湿エッセンス)を調製した。本配合例で使用した、実施例1で得られたヒアルロン酸は適度な結着性を有し、粉が舞いにくく本配合例では製剤化が容易であった。
ヒアルロン酸(実施例1) 1.0%
加水分解ヒアルロン酸0.1%
1,3−ブチレングリコール5.0%
グリセリン1.5%
POEソルビタンモノステアリン酸エステル1.0%
ソルビタンモノステアリン酸エステル0.5%
キサンタンガム0.2%
アルギン酸ナトリウム0.2%
カルボキシビニルポリマー0.2%
水酸化カリウム0.1%
オリーブ油0.2%
トコフェロール0.1%
EDTA−2ナトリウム0.02%
アルギニン0.15%
グリチルリチン酸ジカリウム0.05%
アルブチン0.2%
パルミチン酸レチノール0.2%
クジンエキス0.2%
海藻エキス0.2%
トラネキサム酸0.1%
エラスチン0.1%
コラーゲン0.1%
リン酸アスコルビン酸マグネシウム0.1%
クエン酸ナトリウム1.0%
クエン酸0.1%
プロピルパラベン0.1%
メチルパラベン0.15%
香料適量
精製水残量
<配合例2:ソフトカプセル>
本配合例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られたヒアルロン酸を配合したソフトカプセルを調製した。本配合例で使用した、実施例1で得られたヒアルロン酸は適度な結着性を有し、カプセルへの充填率が高く、本配合例では製剤化が容易であった。
ヒアルロン酸(実施例1) 20%
オリーブ油35%
ミツロウ5%
中鎖脂肪酸トリグリセリド5%
ゼラチン25%
グリセリン10%
<配合例3:散剤>
本配合例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られたヒアルロン酸を配合した散剤(顆粒剤)を調製した。本配合例で使用した、実施例1で得られたヒアルロン酸は適度な結着性を有し、粉が舞いにくく本配合例では製剤化が容易であった。
ヒアルロン酸(実施例1) 10%
乳糖60%
トウモロコシデンプン25%
ヒプロメロース5%
<配合例4:錠剤>
本配合例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られたヒアルロン酸を配合した錠剤を調製した。本配合例で使用した、実施例1で得られたヒアルロン酸は適度な結着性を有し、打錠適性に優れているため、本配合例では製剤化が容易であった。
ヒアルロン酸(実施例1) 25%
乳糖24%
結晶セルロース20%
トウモロコシデンプン15%
デキストリン15%
二酸化ケイ素1%
<配合例5:ゼリー飲料>
本配合例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られたヒアルロン酸を配合したスパウトパウチ入り白桃ゼリー飲料を調製した。本配合例で使用した、実施例1で得られたヒアルロン酸は適度な結着性を有し、粉が舞いにくく本配合例では調製が容易であった。
ヒアルロン酸(実施例1) 0.20%
キサンタンガム1.00%
カラギーナン0.5%
デキストリンアルコール3.0%
スクラロース1%
4倍濃縮白桃果汁5.00%
クエン酸0.60%
クエン酸ナトリウム0.20%
L−アスコルビン酸0.10%
ピーチ香料0.20%
精製水残量

Claims (6)

  1. 平均分子量が3,500以下であり、
    単糖の割合が1.5質量%以上3質量%以下であり、
    2糖の割合が1質量%以上30質量%以下であり、
    8糖の割合が5質量%以上30質量%以下であり、
    塩素含量および硫黄含量がいずれも1.0質量%以下であり、
    かつ、かさ密度が0.15g/cmよりも大きい、
    ヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物
  2. 請求項1において、
    平均粒子径が10μm以上40μm以下である、
    ヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物
  3. 請求項1または2において、
    粒子径の標準偏差が0.1以上0.4以下である、
    ヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物を含む、食品。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物を含む、化粧料。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のヒアルロン酸および/またはその塩の加水分解物を含む、医薬品。
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