(実施例1)
図1−図4は、本実施例の半導体装置2の構成を模式的に示している。半導体装置2は、可動構造基板4と回路基板6を接合して構成されている。可動構造基板4は、例えば、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板である。回路基板6は、例えば、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板である。半導体装置2では、可動構造基板4の下面と回路基板6の上面が、互いに接合されている。
可動構造基板4の上面には、複数の可動構造装置8と、接地電極パッド10と、リフレッシュ電極パッド12が形成されている。複数の可動構造装置8は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである。図1に示すように、本実施例の半導体装置2では、複数の可動構造装置8は、列方向(図のX方向)および行方向(図のY方向)に行列状に配置されており、ミラーアレイを構成している。
図2および図3に示すように、それぞれの可動構造装置8は、可動構造体14と、可動構造体14の上面に積層されたミラー16と、可動構造体14を駆動するための複数の駆動電極18を備えている。可動構造体14は、例えば導電性を付与されたポリシリコンから構成されている。ミラー16は、例えばAl等の金属から構成されている。駆動電極18は、可動構造基板4の上面近傍の、可動構造基板4の内部の領域に、高濃度のp型の不純物をドーピングすることによって構成されている。本実施例の半導体装置2では、可動構造体14は接地電位に維持されている。駆動電極18には、回路基板6から駆動電位が印加される。駆動電極18に駆動電位が印加されると、駆動電極18と可動構造体14の間に静電引力が作用し、可動構造体14が傾動してミラー16の反射角度が変化する。なお、可動構造基板4の上面には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20は、例えば酸化アルミニウムから構成されている。可動構造体14は絶縁膜20上に形成されており、可動構造基板4の内部の領域からは絶縁されている。また、可動構造体14が傾動した場合でも、可動構造体14と駆動電極18が直接接触することはない。
図2に示すように、可動構造基板4の上面の接地電極パッド10は、絶縁膜20上に形成されている。接地電極パッド10は、例えばAl等の金属から構成されている。接地電極パッド10は、絶縁膜20上に形成された図示しない配線によって、それぞれの可動構造装置8の可動構造体14と電気的に接続されている。本実施例の半導体装置2では、接地電極パッド10が回路基板6から供給される接地電位に接続されることで、それぞれの可動構造装置8の可動構造体14が接地電位に維持される。
図3に示すように、可動構造基板4の上面のリフレッシュ電極パッド12は、絶縁膜20上に形成されている。リフレッシュ電極パッド12は、例えばAl等の金属から構成されている。可動構造基板4の上面近傍の可動構造基板4の内部の領域であって、リフレッシュ電極パッド12の直下に位置する領域には、高濃度のn型の不純物をドーピングしたコンタクト領域22が形成されている。リフレッシュ電極パッド12は、絶縁膜20を貫通してコンタクト領域22に直接接触しており、コンタクト領域22と電気的に接続している。本実施例の半導体装置2では、リフレッシュ電極パッド12と、それぞれの可動構造装置8のそれぞれの駆動電極18の間で、pn接合によるダイオード46(図4参照)が形成されている。
図2および図3に示すように、可動構造基板4の下面には、それぞれの可動構造装置8のそれぞれの駆動電極18に対応して、下面電極24が形成されている。下面電極24は、例えばAl等の金属から構成されている。可動構造基板4の下面近傍の可動構造基板4の内部の領域であって、下面電極24の直上に位置する領域には、高濃度のp型の不純物をドーピングしたバックアップ領域25が形成されている。バックアップ領域25は、可動構造基板4を下面から平面視したときに、下面電極24を内包する形状に形成されている。それぞれの駆動電極18と、その駆動電極18に対応する下面電極24は、シリコン貫通電極(TSV)26によって電気的に接続されている。TSV26は、可動構造基板4を上面から下面まで貫通する円柱状のトレンチ28の内部に形成されており、側面を絶縁膜30によって覆われている。TSV26は、例えば導電性を付与されたポリシリコンから構成されている。絶縁膜30は例えば酸化シリコンから構成されている。可動構造基板4の上面側では、駆動電極18とTSV26は、中継電極32を介して電気的に接続している。中継電極32は、可動構造基板4の上面の絶縁膜20を部分的に除去した領域に形成されており、駆動電極18とTSV26の両方に直接的に接触している。中継電極32は、例えばAl等の金属から構成されている。可動構造基板4の下面側では、下面電極24とTSV26は、直接的に接触することで電気的に接続している。
回路基板6の上面には、絶縁膜34が形成されている。絶縁膜34は、例えば酸化シリコンから構成されている。絶縁膜34の上面近傍であって、絶縁膜34の内部には、複数の対向電極36が形成されている。それぞれの対向電極36は、例えばAl等の金属から構成されている。それぞれの対向電極36は、絶縁膜34を挟んで、可動構造基板4の下面電極24と対向するように配置されている。回路基板6の対向電極36と可動構造基板4の下面電極24によって、静電容量が形成される。対向電極36は、回路基板6の内部に形成された回路素子38と電気的に接続している。なお、以下では回路基板6の内部に形成された回路素子38により構成される回路を、単に回路48ともいう。
図1−図3に示すように、回路基板6の上面において、可動構造基板4と接合したときに露出する箇所には、複数の電極パッド40が形成されている。それぞれの電極パッド40は、例えばAl等の金属から構成されている。それぞれの電極パッド40は、絶縁膜34上に形成されており、回路基板6の内部に形成された回路素子38と電気的に接続している。複数の電極パッド40のうちの1つは、回路基板6から接地電位VLを供給する。接地電位VLを供給する電極パッド40は、図示しない配線を介して、可動構造基板4の接地電極パッド10に電気的に接続されている。複数の電極パッド40のうちの他の1つは、回路基板6から逆バイアス電位VHを供給する。接地電位VLを供給する電極パッド40と、逆バイアス電位VHを供給する電極パッド40は、図示しない配線とスイッチ50(図4参照)を介して、可動構造基板4のリフレッシュ電極パッド12に接続されている。スイッチ50は、逆バイアス電位VHを供給する電極パッド40にリフレッシュ電極パッド12を接続する状態と、接地電位VLを供給する電極パッド40にリフレッシュ電極パッド12を接続する状態の間で切り替わる。
図4は、半導体装置2の回路構成を模式的に示している。半導体装置2では、複数の駆動電極18のそれぞれに関して、可動構造体14と駆動電極18によって静電容量42が形成されているとともに、下面電極24と対向電極36によって静電容量44が形成されている。回路基板6の回路48からは、それぞれの対向電極36に電圧V1、V2、・・・、Vnが印加される。それぞれの対向電極36に印加された電圧V1、V2、・・・、Vnは、静電容量42と静電容量44で分圧されて、分圧された電圧が駆動電極18に印加される。なお、図4に示すように、半導体装置2を通常動作させる際には、リフレッシュ電極パッド12には逆バイアス電位VHが印加されている。逆バイアス電位VHは、それぞれの対向電極36に印加される電圧V1、V2、・・・、Vnよりも高い電位とされている。このため、それぞれの駆動電極18とリフレッシュ電極パッド12の間に形成されているそれぞれのダイオード46には逆バイアスが印加されて、それぞれのダイオード46は遮断されている。
半導体装置2において、それぞれの駆動電極18に電荷が蓄積すると、可動構造体14を正常に動作させることができなくなってしまう。そこで、半導体装置2では、それぞれの駆動電極18に蓄積した電荷を放出させるリフレッシュ動作を実行可能である。半導体装置2にリフレッシュ動作を実行させる際には、スイッチ50を切り換えて、リフレッシュ電極パッド12を接地電位VLに接続する。これによって、電荷が蓄積した駆動電極18とリフレッシュ電極パッド12の間に形成されているダイオード46に順バイアスが印加されて、ダイオード46が導通して、駆動電極18に蓄積した電荷が放出される。
以下では、図5−図15を参照しながら、半導体装置2の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、可動構造基板4として、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板を用意する。そして、可動構造基板4の上面から高濃度のp型の不純物を注入して、駆動電極18を形成する。また、可動構造基板4の上面から高濃度のn型の不純物を注入して、コンタクト領域22を形成する。
次いで、図6に示すように、可動構造基板4の上面に酸化アルミニウムを成膜して、成膜された酸化アルミニウムをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板4の上面に、絶縁膜20が形成される。
次いで、図7に示すように、可動構造基板4の上面からエッチングによってトレンチ28を形成し、トレンチ28の内側壁を酸化させて絶縁膜30を形成するとともに、絶縁膜30で覆われたトレンチ28の内部に導電性を付与したポリシリコンを充填する。これによって、TSV26が形成される。なお、この時点で形成されるトレンチ28は、可動構造基板4の下面までは到達しておらず、可動構造基板4を上面から下面まで貫通するものではない。
次いで、図8に示すように、可動構造基板4の上面に酸化シリコンを成膜して、成膜された酸化シリコンをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板4の上面の絶縁膜20上に、犠牲層52が形成される。この犠牲層52は、可動構造体14(図2、図3参照)を形成するために用いられ、製造プロセスの最終段階で可動構造体14をリリースする際に除去される。
次いで、図9に示すように、可動構造基板4の上面に導電性を付与されたポリシリコンを成膜して、成膜されたポリシリコンをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板4の上面に可動構造体14が形成される。
次いで、図10に示すように、可動構造基板4の上面にアルミニウムを成膜して、成膜されたアルミニウムをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板4の上面に、ミラー16と、中継電極32と、リフレッシュ電極パッド12と、接地電極パッド10(図1−図3参照)が形成される。
次いで、図11に示すように、可動構造基板4の上面にポリイミドを塗布してポリイミド層54を形成するとともに、ポリイミド層54の上面を仮支持用シリコン基板56に接合する。仮支持用シリコン基板56は、可動構造基板4をハンドリングするために用いられる。ポリイミド層54は、可動構造基板4の上面に形成した各種の構造を保護するために塗布されている。
次いで、図12に示すように、可動構造基板4を下面側から研削研磨し、可動構造基板4を所望の厚さまで薄くする。これによって、TSV26が可動構造基板4の下面側に露出する。そして、可動構造基板4の下面から高濃度のp型の不純物を注入して、バックアップ領域25を形成する。
次いで、図13に示すように、可動構造基板4の下面にアルミニウムを成膜して、成膜されたアルミニウムをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板4の下面に、下面電極24が形成される。なお、本実施例の半導体装置2では、それぞれの下面電極24に対応して、下面電極24よりも広い範囲でバックアップ領域25が形成されている。このような構成とすることによって、形成された下面電極24の位置や形状がばらついた場合でも、下面電極24が可動構造基板4のn型の不純物領域に接触して電気的に短絡を生じてしまうことを防ぐことができる。
次いで、図14に示すように、回路基板6を用意して、回路基板6の上面に可動構造基板4の下面を接合する。
次いで、図15に示すように、仮支持用シリコン基板56を除去するとともに、アッシングによって可動構造基板4の上面のポリイミド層54を除去する。その後に、HF(フッ化水素)ガスエッチングによって、可動構造基板4の上面の犠牲層52を除去する。その後に、可動構造基板4の接地電極パッド10、リフレッシュ電極パッド12と、回路基板6の電極パッド40の間で必要な配線を形成することで、半導体装置2が完成する。
本実施例の半導体装置2では、可動構造基板4の下面電極24と、回路基板6の対向電極36が、直接的な接触をすることなく、容量結合によって互いに接続されている。仮に、回路基板6の対向電極36を絶縁膜34上に露出させて、下面電極24と対向電極36を直接的に接触させる構成とすると、下面電極24や対向電極36の位置や大きさにばらつきがあると、両者が直接的に接触できずに電気的な接続を確保できなくなる場合がある。半導体装置2が多数の駆動電極18を備える場合には、どこか一箇所でも下面電極24と対向電極36の間で電気的な接続が確保できていないと、半導体装置2それ自体が不良品となってしまい、歩留まりが大幅に低下してしまう。これに対して、本実施例の半導体装置2のように、可動構造基板4の下面電極24と回路基板6の対向電極36を容量結合によって接続する場合、下面電極24や対向電極36の位置や大きさにばらつきがあっても、両者の間の電気的な接続を確保することができる。このため、半導体装置2が多数の駆動電極18を備えている場合でも、歩留まりの低下を防ぐことができる。
本実施例の半導体装置2のように、可動構造基板4の下面電極24と、回路基板6の対向電極36を、容量結合により接続する構成では、駆動電極18に電荷が流れこむと、その電荷が駆動電極18に蓄積してしまう。駆動電極18に電荷が蓄積すると、可動構造体14を正常に動作させることができなくなってしまう。そこで、本実施例の半導体装置2では、それぞれの駆動電極18にダイオード46が接続されており、駆動電極18に蓄積した電荷をダイオード46を介して放出するリフレッシュ動作を実行可能となっている。このような構成とすることによって、駆動電極18に電荷が蓄積して可動構造体14を正常に動作させることができない事態を防ぐことができる。
以上のように、本実施例の半導体装置2は、可動構造基板4(第1基板の一例である)と回路基板6(第2基板の一例である)を備えている。半導体装置2では、可動構造基板4の下面と回路基板6の上面が互いに接合されている。可動構造基板4は、可動構造基板4の上面側に形成された可動構造体14と、可動構造体14を駆動する駆動電極18と、可動構造基板4の下面側に形成されており、駆動電極18と導通している下面電極24を備えている。回路基板6は、回路基板6の上面側に形成された対向電極36を備えている。半導体装置2では、可動構造基板4の下面電極24と回路基板6の対向電極36が、容量結合により電気的に接続されている。
本実施例の半導体装置2は、駆動電極18に蓄積した電荷を放出する、駆動電極18と可動構造基板4のpn接合からなるダイオード46(電荷放出機構の一例である)をさらに備えている。
本実施例の半導体装置2では、可動構造基板4の可動構造体14が、アレイ状に複数配置されている。
なお、本実施例では、可動構造体14が導電性を付与されたポリシリコンから構成されており、駆動電極18が高濃度のp型の不純物をドーピングされた可動構造基板4のシリコンから構成されている場合について説明したが、可動構造体14および駆動電極18の構成はこれに限られるものではない。例えば、可動構造体14が絶縁性の可動構造部と、可動構造部に支持された導電性の(例えば金属や導電性のポリシリコンからなる)可動電極を備える構成としてもよい。また、駆動電極18は、可動構造基板4の上面の絶縁膜20上に形成された、導電性の(例えば金属や導電性のポリシリコンからなる)電極から構成されていてもよい。
本実施例では、可動構造装置8が、駆動電極18からの静電引力により可動構造体14を傾動させてミラー16の反射角度を変更する偏光器である場合について説明したが、可動構造装置8は他の構成であってもよい。例えば、可動構造体14と駆動電極18のそれぞれが互いに対向する櫛歯電極を有しており、駆動電極18への電圧の印加によって可動構造体14が並進運動する構成としてもよい。
本実施例では、可動構造基板4の下面電極24が可動構造基板4の下面に形成された金属製の電極であって、回路基板6の対向電極36が絶縁膜34の内部に形成された金属製の電極である場合について説明したが、下面電極24と対向電極36は、両者が容量結合により電気的に接続されるものであれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、下面電極24は、導電性を付与されたポリシリコンから構成されていてもよいし、高濃度のp型の不純物をドーピングされた可動構造基板4のシリコンから構成されていてもよい。また、可動構造基板4の下面電極24の下方に、絶縁膜が形成されていてもよい。
本実施例では、TSV26が導電性を付与されたポリシリコンから構成されている場合について説明したが、TSV26は金属から構成されていてもよい。
本実施例では、駆動電極18に蓄積した電荷を放出する電荷放出機構として、駆動電極18と可動構造基板4のpn接合からなるダイオード46を用いる構成について説明したが、電荷放出機構としては、他の構成のものを用いてもよい。
(実施例2)
図16−図19に示す本実施例の半導体装置102は、実施例1の半導体装置2と同様に、可動構造基板104と回路基板106を接合することによって構成されている。可動構造基板104は、例えば、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板である。回路基板106は、例えば、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板である。半導体装置102では、可動構造基板104の下面と回路基板106の上面が、互いに接合されている。
可動構造基板104の上面には、複数の可動構造装置108が形成されている。複数の可動構造装置108は、例えばMEMSミラーである。図16に示すように、本実施例の半導体装置102では、複数の可動構造装置108は、列方向(図のX方向)および行方向(図のY方向)に行列状に配置されており、ミラーアレイを構成している。
図17に示すように、それぞれの可動構造装置108は、可動構造体110と、可動構造体110の上面に積層されたミラー112と、可動構造体110を駆動するための複数の駆動電極部114を備えている。可動構造体110は、例えば導電性を付与されたポリシリコンから構成されている。ミラー112は、例えばAl等の金属から構成されている。可動構造基板104は、可動構造基板104を上面から下面まで貫通するトレンチ116によって、複数の駆動電極部114と、周辺部118に分離されている。すなわち、複数の駆動電極部114と周辺部118は、それぞれ、n型の不純物をドーピングされたシリコンによって構成されており、上端が可動構造基板104の上面に露出しており、下端が可動構造基板104の下面に露出している。トレンチ116の内部には、絶縁膜120が充填されている。絶縁膜120は、例えば酸化シリコンから構成されている。本実施例の半導体装置102では、可動構造体110は周辺部118に直接的に接触しており、電気的に接続されている。周辺部118は、接地電位に維持されている。駆動電極部114には、回路基板106から駆動電位が印加される。駆動電極部114に駆動電位が印加されると、駆動電極部114と可動構造体110の間に静電引力が作用し、可動構造体110が傾動してミラー112の反射角度が変化する。
可動構造基板104の下面側において、それぞれの駆動電極部114には、p型の不純物をドーピングしたアノード領域122が形成されており、pn接合によるダイオードが形成されている。可動構造基板104の下面には、それぞれの駆動電極部114のアノード領域122に対応して、リフレッシュ電極124が形成されている。リフレッシュ電極124は、例えばAl等の金属から構成されている。リフレッシュ電極124は、アノード領域122に直接的に接触している。
可動構造基板104の下面側において、周辺部118には、高濃度のn型の不純物をドーピングしたコンタクト領域126が形成されている。可動構造基板104の下面には、周辺部118のコンタクト領域126に対応して、接地電極128が形成されている。接地電極128は、例えばAl等の金属から構成されている。接地電極128は、コンタクト領域126に直接的に接触している。
回路基板106の上面には、絶縁膜130が形成されている。絶縁膜130は、例えば酸化シリコンから構成されている。絶縁膜130の上面には、リフレッシュ電極132と、接地電極134が形成されている。リフレッシュ電極132と、接地電極134は、例えばAl等の金属から構成されている。回路基板106の上面のリフレッシュ電極132は、可動構造基板104の下面のリフレッシュ電極124と直接的に接触することで、電気的に接続している。回路基板106の上面のリフレッシュ電極132は、回路基板106の内部に形成された回路素子136と電気的に接続している。回路基板106の上面の接地電極134は、可動構造基板104の下面の接地電極128と直接的に接触することで、電気的に接続している。回路基板106の上面の接地電極134は、回路基板106の内部に形成された回路素子136と電気的に接続している。
回路基板106の絶縁膜130の上面近傍であって、絶縁膜130の内部には、複数の対向電極138が形成されている。それぞれの対向電極138は、例えばAl等の金属から構成されている。なお、絶縁膜130の上面は、対向電極138が存在する箇所が、他の箇所に比べて、盛り上がった形状に形成されている。それぞれの対向電極138は、絶縁膜130を挟んで、可動構造基板104の駆動電極部114と対向するように配置されている。対向電極138が形成された箇所では、絶縁膜130の上面は可動構造基板104の駆動電極部114と当接しており、回路基板106の対向電極138と可動構造基板104の駆動電極部114によって、静電容量が形成される。対向電極138は、回路基板106の内部に形成された回路素子136と電気的に接続している。
図18は、可動構造基板104を下面側から見た平面図である。図18に示すように、それぞれの駆動電極部114は、矩形形状に形成されている。また、可動構造基板104のリフレッシュ電極124は、行方向(図のY方向)に互いに平行に伸びる複数の直線部124aと、それぞれの直線部124aの端部を連結する連結部124bを備えている。また、可動構造基板104の接地電極128は、行方向(図のY方向)に伸びる直線状に形成されている。
図19は、回路基板106を上面側から見た平面図である。図19に示すように、それぞれの対向電極138は、駆動電極部114に対応して、矩形形状に形成されている。回路基板106のリフレッシュ電極132は、可動構造基板104のリフレッシュ電極124に対応して、行方向(図のY方向)に互いに平行に伸びる複数の直線部132aと、それぞれの直線部132aの端部を連結する連結部132bを備えている。また、回路基板106の接地電極134は、可動構造基板104の接地電極128に対応して、行方向(図のY方向)に伸びる直線状に形成されている。可動構造基板104を回路基板106と接合すると、回路基板106のリフレッシュ電極132の直線部132aと連結部132bは、可動構造基板104のリフレッシュ電極124の直線部124aと連結部124bと直接的に接触して電気的に接続する。また、可動構造基板104を回路基板106と接合すると、回路基板106の接地電極134は、可動構造基板104の接地電極128と直接的に接触して電気的に接続する。
以下では、図20−図29を参照しながら、半導体装置102の製造方法について説明する。
まず、図20に示すように、可動構造基板104として、n型の不純物をドーピングされたシリコン基板を用意する。そして、可動構造基板4の上面に酸化シリコンを成膜して、成膜された酸化シリコンをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板104の上面に犠牲層140が形成される。この犠牲層140は、可動構造体110(図17参照)を形成するために用いられ、製造プロセスの最終段階で可動構造体110をリリースする際に除去される。
次いで、図21に示すように、可動構造基板104の上面に導電性を付与されたポリシリコンを成膜して、成膜されたポリシリコンをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板104の上面に可動構造体110が形成される。
次いで、図22に示すように、可動構造基板104の上面にアルミニウムを成膜して、成膜されたアルミニウムをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板104の上面に、ミラー112が形成される。
次いで、図23に示すように、可動構造基板104の上面にポリイミドを塗布してポリイミド層142を形成するとともに、ポリイミド層142の上面を仮支持用シリコン基板144に接合する。仮支持用シリコン基板144は、可動構造基板104をハンドリングするために用いられる。ポリイミド層142は、可動構造基板104の上面に形成した各種の構造を保護するために塗布されている。
次いで、図24に示すように、可動構造基板104を下面側から研削研磨し、可動構造基板104を所望の厚さまで薄くする。そして、可動構造基板104の下面からエッチングによってトレンチ116を形成する。この時点で形成されるトレンチ116は、可動構造基板104の上面の犠牲層140まで達しており、可動構造基板104を上面から下面まで貫通するものとなっている。これによって、可動構造基板104が、複数の駆動電極部114と周辺部118に分離される。
次いで、図25に示すように、可動構造基板104の下面からのTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)のCVDによって、トレンチ116の内部に酸化シリコンを充填させる。これによって、トレンチ116の内部の絶縁膜120が形成される。
次いで、図26に示すように、可動構造基板104の下面からp型の不純物を注入して、アノード領域122を形成する。また、可動構造基板104の下面から高濃度のn型の不純物を注入して、コンタクト領域126を形成する。
次いで、図27に示すように、可動構造基板104の下面にアルミニウムを成膜して、成膜されたアルミニウムをエッチングにより選択的に除去する。これによって、可動構造基板104の下面に、リフレッシュ電極124と、接地電極128が形成される。
次いで、図28に示すように、回路基板106を用意して、回路基板106の上面に可動構造基板104の下面を接合する。
次いで、図29に示すように、仮支持用シリコン基板144を除去するとともに、アッシングによって可動構造基板104の表面のポリイミド層142を除去する。その後に、HF(フッ化水素)ガスエッチングによって、可動構造基板104の上面の犠牲層140を除去することで、半導体装置102が完成する。
本実施例の半導体装置102では、可動構造基板104の駆動電極部114と、回路基板106の対向電極138が、直接的な接触をすることなく、容量結合によって互いに接続されている。このような構成とすることによって、駆動電極部114や対向電極138の位置や大きさにばらつきがあっても、両者の間の電気的な接続を確保することができる。このため、半導体装置102が多数の駆動電極部114を備えている場合でも、歩留まりの低下を防ぐことができる。
本実施例の半導体装置102では、それぞれの駆動電極部114にアノード領域122が形成されており、駆動電極部114とリフレッシュ電極124の間でダイオードが形成されている。このため、半導体装置102は、駆動電極部114に蓄積した電荷をダイオードを介して放出するリフレッシュ動作を実行可能となっている。このような構成とすることによって、駆動電極部114に電荷が蓄積して可動構造体110を正常に動作させることができない事態を防ぐことができる。
本実施例の半導体装置102では、可動構造基板104と回路基板106を接合する際に、可動構造基板104の下面のリフレッシュ電極124と、回路基板106の上面のリフレッシュ電極132が、直接的に接触する。可動構造基板104のリフレッシュ電極124は互いに平行に伸びる複数の直線部124aを有しており、回路基板106の上面のリフレッシュ電極132は互いに平行に伸びる複数の直線部132aを有している。このような構成とすることによって、可動構造基板104と回路基板106の接点がストライプ状となって、可動構造基板104と回路基板106の間のギャップが安定する。なお、本実施例の半導体装置102では、可動構造基板104のリフレッシュ電極124と回路基板106のリフレッシュ電極132は、全体が直接的に接触していなくても、一部が直接的に接触していれば、半導体装置102を正常に動作させることができる。このため、可動構造基板104のリフレッシュ電極124と回路基板106のリフレッシュ電極132を直接的に接触させる構成としても、半導体装置102の歩留まりを低下させることがない。同様に、本実施例の半導体装置102では、可動構造基板104の接地電極128と回路基板106の接地電極134は、全体が直接的に接触していなくても、一部が直接的に接触していれば、半導体装置102を正常に動作させることができる。このため、可動構造基板104の接地電極128と回路基板106の接地電極134を直接的に接触させる構成としても、半導体装置102の歩留まりを低下させることがない。
以上のように、本実施例の半導体装置102は、可動構造基板104(第1基板の一例である)と回路基板106(第2基板の一例である)を備えている。半導体装置102では、可動構造基板104の下面と回路基板106の上面が互いに接合されている。可動構造基板104は、可動構造基板104の上面側に形成された可動構造体110と、可動構造体110を駆動する駆動電極部114の上部(駆動電極の一例である)と、可動構造基板104の下面側に形成されており、駆動電極部114の上部と導通している駆動電極部114の下部(下面電極の一例である)を備えている。回路基板106は、回路基板106の上面側に形成された対向電極138を備えている。半導体装置102では、可動構造基板104の駆動電極部114の下部と回路基板106の対向電極138が、容量結合により電気的に接続されている。
本実施例の半導体装置102は、駆動電極部114に蓄積した電荷を放出する、駆動電極部114とアノード領域122のpn接合からなるダイオード(電荷放出機構の一例である)をさらに備えている。
本実施例の半導体装置102では、可動構造基板104の可動構造体110が、アレイ状に複数配置されている。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。