JP6597680B2 - 自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法及び自動車のドアパネル部品 - Google Patents
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Description
なお、本明細書、特許請求の範囲において前後方向及び上下方向とは、ドアパネル部品を自動車の車体に取り付けた際のそれぞれ車体の長さ方向及び高さ方向を表すものとする。
例えば、特許文献1には、ドアやフェンダー等の厚さ1mm以下の自動車外装金属板の補強方法として、補強しようとする部分の金属板の内側にFRP(Fiber-Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)板を感光性接着剤により接着する技術が開示されている。
しかしながら、板厚の増肉はドアパネル部品11の全域に及ぶため、ドアパネル部品11の重量が大幅に増加してしまう。
ドアパネル部品11は、車体の上下方向に沿って外側に凸となる湾曲形状であり、また、アウタパネルリンフォース13がドアパネル部品11の前後方向にわたって配設されているなど、ドアパネル部品11の形状や内部に配設されたアウタパネルリンフォース13の存在により、ドアパネル部品11の変形量は、図6に示すように不均一な分布となるものの、圧子が接触する接触面Iを中心として主に前後方向に広がり、また、上下方向にも広がる分布を示すことがわかった。
x2/XF 2+y2/XT 2=1 ・・・ (i)
y2/XT 2+x2/XR 2=1 ・・・ (ii)
y2/XB 2+x2/XR 2=1 ・・・ (iii)
x2/XF 2+y2/XB 2=1 ・・・ (iv)
ここで、XFは前記中心Oと前記基準点BFとの距離、XTは前記中心Oと前記基準点BTとの距離、XRは前記中心Oと前記基準点BRとの距離、XBは前記中心Oと前記基準点BBとの距離を示す。
以下、本実施の形態に係る自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法の詳細を、図1を参照して説明する。
まず、ドアパネル部品1における圧子が接触する接触面を接触面I、接触面Iの中心をO、中心Oからドアパネル部品1の前後方向に延びる基準線をそれぞれ基準線LF及びLR、中心Oからドアパネル部品1の上下方向に延びる基準線をそれぞれ基準線LT及びLBとし、基準線LF、LR、LT及びLBとドアパネル部品1のパネル端部1aとの交点を交点EF、ER、ET及びEBとする(図1(a)参照)。
同様に、中心Oと交点ET及びEBとの距離をそれぞれ算出し、基準線LT及びLB上における中心Oから算出した距離の10%の位置にある点を基準点AT及びAB、接触面Iの外周と基準線LF及びLRとの交点をそれぞれ交点CF及びCRとし(図1(b)参照)、基準点AT、交点CR、基準点AB及び交点CFを結ぶ直線で囲まれる領域を領域R2とする(図1(c−2)参照)。
そして、領域R1及び領域R2の外形線で囲まれる領域を最小領域Rminとする(図1(b)参照)。
x2/XF 2+y2/XT 2=1 ・・・ (i)
y2/XT 2+x2/XR 2=1 ・・・ (ii)
y2/XB 2+x2/XR 2=1 ・・・ (iii)
x2/XF 2+y2/XB 2=1 ・・・ (iv)
ここで、XFは前記中心Oと前記基準点BFとの距離、XTは前記中心Oと前記基準点BTとの距離、XRは前記中心Oと前記基準点BRとの距離、XBは前記中心Oと前記基準点BBとの距離を示す。
また、本発明に係る補強部材は、中心Oと交点EF、ET、ER、EBとの距離の30%以上を覆うようにすると張り剛性向上の観点からさらに良く、50%以下とすると軽量化の観点からさらに良い。
補強部材3の材質及び板厚に係る上記の範囲については、後述する実施例において実証している。
すなわち、本発明に係る自動車のドアパネル部品は、図1に示すように、前述の実施の形態に係るドアパネル部品の張り剛性向上方法により形状や材質が規定された補強部材3がドアパネル部品1の内側の面に貼付されてなるものである。
また、補強部材3には、形状、材質、厚みが異なるものを使用した。
これらの補強部材の形状を決定するにあたり、図3及び図4に示すように、前後方向の基準線LF及びLR上における中心Oから所定の距離に位置する点を基準点DF及びDRとして設定し、上下方向の基準線LT及びLB上における中心Oから所定の距離に位置する点を基準点DT及びDBとして設定する。
x2/XF 2+y2/XT 2=1 ・・・ (i)
y2/XT 2+x2/XR 2=1 ・・・ (ii)
y2/XB 2+x2/XR 2=1 ・・・ (iii)
x2/XF 2+y2/XB 2=1 ・・・ (iv)
ここで、XFは前記中心Oと前記基準点BFとの距離、XTは前記中心Oと前記基準点BTとの距離、XRは前記中心Oと前記基準点BRとの距離、XBは前記中心Oと前記基準点BBとの距離を示す。
なお、略十字型の各頂点は、前記最大領域を越えないように偏平円型の曲線である。
さらに、補強部材3の主方向弾性率についても、所定の値を設定した。
また、図5に示すようなアウタパネルリンフォース13を有するドアパネル部品11、及び、アウタパネルリンフォース13を省略してドアパネル部品11のみのものを従来例とし、補強部材3の形状が本発明の範囲外であるものを比較例とした。
さらに、ドアパネル部品1と補強部材3からなるドアASSYの重量についても評価した。
従来例1は、図5に示すアウタパネルリンフォース13が配設されたドアパネル部品11であり、200Nの荷重で圧子を押し込んだときの変形量は14mmであった。また、ドアパネル部品11及びアウタパネルリンフォース13からなるドアASSYの重量は、15kgであった。
発明例1は、中心Oからパネル端部1a上の各交点EF、ER、ET、EBまでの距離の70%の位置に基準点DF、DR、DT及びDBを設定した星型の補強部材3a(図3(a))を用い、補強部材3aの材質をGFRPとしたものであり、従来例1に対する変形量比は0.57と低減し、張り剛性は向上した。さらに、ドアASSYの重量に関しても従来例1に比べて減少し、軽量化された。
比較例1は、中心Oからパネル端部1a上の各交点EF、ER、ER、EBまでの距離の90%の位置に基準点DF、DR、DT及びDBを設定した長方形の補強部材3b(図3(b))を用い、補強部材3bの材質を硬質プラスチックであるPEとしたものであり、従来例1に対する変形量比は0.57となって張り剛性の向上は見られたものの、補強部材3bの形状が本発明の範囲外のものであるため、ドアASSYの重量が、従来例1よりも増加する結果となった。
1a パネル端部
3、3a、3b、3c 補強部材
11 ドアパネル部品
13 アウタパネルリンフォース
Claims (4)
- 自動車のドアパネル部品に補強部材を貼付し、該ドアパネル部品の張り剛性を向上する自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法であって、
前記ドアパネル部品における所定の範囲に荷重を負荷する圧子が接触する接触面を接触面I、接触面Iの中心をO、中心Oから前記ドアパネル部品の前後方向に延びる基準線をそれぞれ基準線LF及びLR、中心Oから前記ドアパネル部品の上下方向に延びる基準線をそれぞれ基準線LT及びLB、とし、基準線LF、LR、LT及びLBと前記ドアパネル部品のパネル端部との交点を交点EF、ER、ET及びEBとし、
中心Oと交点EF、ER、ET及びEBとの距離をそれぞれ算出し、基準線LF、LR、LT及びLB上における中心Oから該算出した距離の10%の位置に基準点AF、AR、AT及びABを設定し、
接触面Iの外周と基準線LT及びLBとの交点を交点CT及びCB、接触面Iの外周と基準線LF及びLRとの交点を交点CF及びCRとし、基準点AF、交点CT、基準点AR及び交点CBを結ぶ直線で囲まれる領域を領域R1、基準点AT、交点CR、基準点AB及び交点CFを結ぶ直線で囲まれる領域を領域R2とし、領域R1及びR2の外形線で囲まれる領域を最小領域Rminとし、
基準線LF、LR、LT及びLB上における中心Oと交点EF、ER、ET及びEBとの前記算出した距離の70%の位置に基準点をBF、BR、BT及びBBを設定し、基準線LF及びLRをx軸とし、基準線LF又はLRに直交する基準線LT及びLBをy軸として、焦点が前記x軸上にあって、前記基準点BF及びBTを通る式(i)で表される楕円の基準点BFとBTとの間の曲線をCFTとし、焦点が前記y軸上にあって、前記基準点BT及びBRを通る式(ii)で表される楕円の基準点BTとBRとの間の曲線をCTRとし、焦点が前記y軸上にあって、前記基準点BR及びBBを通る式(iii)で表される楕円の基準点BRとBBとの間の曲線をCRBとし、焦点が前記x軸上にあって、前記基準点BB及びBFを通る式(iv)で表される楕円の基準点BBとBFとの間の曲線をCBFとすると、前記曲線CFT、CTR、CRB及びCBFで囲まれる領域を最大領域Rmaxとし、
最小領域Rminを覆い、かつ最大領域Rmaxを越えない形状の補強部材を貼付することを特徴とする自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法。
x2/XF 2+y2/XT 2=1 ・・・ (i)
y2/XT 2+x2/XR 2=1 ・・・ (ii)
y2/XB 2+x2/XR 2=1 ・・・ (iii)
x2/XF 2+y2/XB 2=1 ・・・ (iv)
ここで、XFは前記中心Oと前記基準点BFとの距離、XTは前記中心Oと前記基準点BTとの距離、XRは前記中心Oと前記基準点BRとの距離、XBは前記中心Oと前記基準点BBとの距離を示す。 - 前記補強部材は、弾性率が1GPa以上の硬質プラスチック、又は、弾性率が1GPa以上かつ0°方向及び90°の弾性率異方性が5%以上100%以下の繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1記載の自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法。
- 前記補強部材は、接触面Iに相当する部位における板厚が0.2mm以上5mm以下であり、接触面Iに相当する部位以外における板厚が、前記接触面Iに相当する部位における板厚の50%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の自動車のドアパネル部品の張り剛性向上方法を用いて補強されていることを特徴とする自動車のドアパネル部品。
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