JP6596798B2 - アンジュレータ磁石列及びアンジュレータ - Google Patents

アンジュレータ磁石列及びアンジュレータ Download PDF

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Description

本発明は、アンジュレータ磁石列及びそれを有するアンジュレータに関する。
放射光施設で電子ビームから放射光を取り出すために使用されるアンジュレータは、互いに対向するように平行に配置された1対の磁石列を有して周期的な磁場を形成し、1対の磁石列の間を通る光速に近い速度の電子を蛇行運動させることで強力な放射光を発生させる。永久磁石又は電磁石を用いて周期磁場を形成することができるが、特にX線領域の波長の短い放射光を得るためには、磁場の周期を数センチメートル程度或いはそれよりも短くする必要があるため、電磁石では充分な強度の磁場を形成することができない。このため、殆どのアンジュレータで永久磁石が採用されている。
図22に、従来のアンジュレータで使用されているアンジュレータ磁石列の例を示す。図22のアンジュレータ磁石列901は、第1磁石列910及び第2磁石列920を有する。磁石列910及び920の夫々は1周期λuに4個の磁石930を含み、各磁石列に含まれる磁石930の磁化方向(磁石930内の矢印で磁化方向を表す)が磁石列910及び920を含む面内で90°ずつ変化している(特許文献1及び非特許文献1)。このようなアンジュレータ磁石列901はHalbach型磁石列などと呼ばれる。磁石列910及び920間を通る光速に近い電子は、磁石列910及び920によって形成される周期磁場の作用により蛇行運動をして、下記式にて示される波長λの光を放出する。
λ(λu,B,E)=130λu[1+(93.37λuB)2/2]/E2
上記式において、λはナノメートルで表した放射光の波長(基本波長と呼ばれる)、λuはメートルで表した磁石列の周期長、Bはテスラで表した磁場振幅、Eはギガ電子ボルトで表した電子のエネルギである。
放射光施設において電子のエネルギは固定されており、周期長はアンジュレータの設計時に決まるため、放射光施設の運転中に特定の波長を選択するためには磁場振幅の調整が必要となる。磁場振幅は、ギャップと呼ばれる磁石列910及び920間の間隔を変化させることで、或る程度の範囲で容易に調整可能である。
特開2012−160408号公報
K. Halbach, "Permanent Magnet Unjulators", J. Physique, C1 (1983) 211
但し、数百個〜千個の強力な磁石が設置された磁石列間の吸引力は数トンにもなり、この吸引力に耐えながらギャップを数マイクロメートルの精度で調整する必要がある。このため、アンジュレータでは非常に剛性の高い構造材料や駆動機構が全体にわたって用いられ、その全体重量は10トンを超える。また、負荷を分散させるために部品点数が多くなり、複雑な構造や高い加工及び組み立て精度が要求される。これらは、アンジュレータの製造、運搬及び設置におけるコスト及び期間を増大させる。
そこで本発明は、磁石列に加わる磁気による力の低減に寄与するアンジュレータ磁石列及びアンジュレータを提供することを目的とする。
本発明に係るアンジュレータは、互いに対向するように間隙をあけて平行に配置された第1磁石列及び第2磁石列を有し、前記第1磁石列に含まれる磁石の磁化方向及び前記第2磁石列に含まれる磁石の磁化方向が、前記第1磁石列及び前記第2磁石列を含む面内において、各磁石列の磁石配列方向に沿って周期的に変化するアンジュレータ磁石列であって、前記第1磁石列は各々が複数の磁石から成る第1シフト磁石列及び第1基準磁石列を結合して形成される一方で、前記第2磁石列は各々が複数の磁石から成る第2基準磁石列及び第2シフト磁石列を結合して形成され、前記第1シフト磁石列は、前記第2基準磁石列に対向配置されつつ、前記第1磁石列及び前記第2磁石列により形成される周期性を持った磁場の振幅が最大化される状態を基準として前記第2基準磁石列から見て前記磁石配列方向に平行な所定の向きに所定のシフト量だけシフトして配置され、前記第2シフト磁石列は、前記第1基準磁石列に対向配置されつつ、前記状態を基準として前記第1基準磁石列から見て前記所定の向きに前記シフト量だけシフトして配置されることを特徴とする。
上記のシフトにより、第1及び第2磁石列間に加わる磁気力の低減が可能となる。また、第1及び第2磁石列の夫々をシフトが行われるシフト磁石列とシフトが行われない基準磁石列にて形成し、それらを上記の如く配置することにより、磁石配列方向に加わる磁気力の相殺も可能となる。
本発明によれば、磁石列に加わる磁気による力の低減に寄与するアンジュレータ磁石列及びアンジュレータを提供することが可能である。
は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の概要を示す図である。 は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の基準構成図である。 (a)及び(b)は、磁石の磁化方向の角度を説明するための図である。 は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の第1改良構成図である。 は、第1改良構成に係るアンジュレータ磁石列との対比に供されるアンジュレータ磁石列の構成図である。 は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の第2改良構成図である。 は、第2改良構成に係るアンジュレータ磁石列の作成方法を説明するための図である。 は、第2改良構成に係るアンジュレータ磁石列の作成方法を説明するための図である。 は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の第3改良構成図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係り、上側磁石列及び下側磁石列間に加わる磁気力のギャップ依存性を示す図である。 は、本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列の第4改良構成図である。 は、本発明の第1実施形態に係るシミュレーション結果を示す図である。 は、本発明の第1実施形態に係るシミュレーション結果を示す図である。 は、本発明の第2実施形態に係り、上側磁石列及び下側磁石列間に働く磁気力の位相依存性と、上側磁石列及び下側磁石列により形成される磁場の振幅の位相依存性とを示す図である。 は、本発明の第3実施形態に係る、M=8のアンジュレータ磁石列の構成図である。 は、本発明の第3実施形態に係る、M=8のアンジュレータ磁石列の他の構成図である。 は、本発明の第3実施形態に係る、M=2のアンジュレータ磁石列の構成図である。 は、本発明の第3実施形態に係る、M=2のアンジュレータ磁石列の他の構成図である。 は、本発明の第4実施形態に係るアンジュレータの側面図である。 は、本発明の第4実施形態に係るアンジュレータの正面図である。 は、本発明の第4実施形態に係る放射光施設の平面図である。 は、従来のアンジュレータ磁石列の構成図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1に本発明の第1実施形態に係るアンジュレータ磁石列1の構成を示す。アンジュレータ磁石列1は、互いに対向するように間隔をあけて平行に配置された2つの磁石列10及び磁石列20を有する。磁石列10及び磁石列20の夫々は、直線状に配列された複数の磁石30にて形成される。磁石30は、ネオジム磁石等の永久磁石である。特に記述無き限り、磁石列10及び磁石列20を形成する全磁石30は全て同じ形状及び大きさを有しており、各磁石列において複数の磁石30は一定のピッチで配列される。
本実施形態では、説明の具体化のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を想定する。Z軸は各磁石列における磁石30の配列方向に平行である。磁石列10及び20間において磁石30の配列方向は互いに同じである。Y軸は磁石列10及び20間を結ぶ方向に平行である。また、X軸及びY軸に平行な面をXY面と呼び、Y軸及びZ軸に平行な面をYZ面と呼び、Z軸及びX軸に平行な面をZX面と呼ぶ。YZ面は磁石列10及び20を含む面である。より厳密に言うと、磁石列10及び20を形成する全磁石30の中心はYZ面上に位置する。
更に、上下左右を以下のように定義する。左右方向はZ軸に平行であり、Z軸の正に向かう向きを右と定義し、Z軸の負に向かう向きを左と定義する。上下方向はY軸に平行であり、Y軸の正に向かう向きを上と定義し、Y軸の負に向かう向きを下と定義する。また、或る2つの磁石列に関し、相対的に上側に位置している磁石列及び相対的に下側に位置している磁石列を夫々上側磁石列及び下側磁石列と呼ぶ。ここでは、磁石列20から見て磁石列10は上側に位置していると考える。このため、以下では、磁石列10及び磁石列20を夫々上側磁石列10及び下側磁石列20と呼ぶことがある。
磁石30を含む任意の磁石について、当該磁石のS極からN極に向かう方向を磁化方向(磁化の向き)と呼ぶ。図1から明らかではないが(例えば図2等参照)、磁石列10に含まれる複数の磁石30の磁化方向及び磁石列20に含まれる複数の磁石30の磁化方向は、磁石列10及び20を含むYZ面内において、Z軸に平行な方向に沿って周期的に変化する。各磁石列(10、20)における磁石30の磁化方向の変化の周期(周期長)をλuにて表す。周期λuは磁石列10及び20間で共通であり、例えば数10mm(ミリメートル)程度である。
磁石列10及び20によって形成される磁場をアンジュレータ磁場Bと呼ぶ。但し、ここにおけるアンジュレータ磁場Bは、磁石列10及び20によって形成される磁場の内、電子ビーム軸上における、電子ビーム軸に垂直な成分の磁場を指す。電子ビーム軸は、磁石列10及び20間を通過する電子ビームの軸である。電子ビーム軸は、Z軸に平行であって且つ磁石列10及び20間の中間を通る。アンジュレータ磁場Bの向き及び大きさはZ軸方向に沿って周期的に変化し、図1では、アンジュレータ磁場Bの周期的な変化が磁石列10及び20間の曲線にて示されている。Y軸方向における磁石列10及び20間の隙間をギャップという。
[基準となる構成]
本実施形態では、アンジュレータ磁石列1における特異な磁石配列を説明するが、まず図2を参照して、アンジュレータ磁石列1の基準例としてのアンジュレータ磁石列1REFの構成を説明する。アンジュレータ磁石列1REFは、磁石列10及び20の基準例としての磁石列10REF及び20REFを備える。尚、図2及びアンジュレータ磁石列を示す後述の各図面では、アンジュレータ磁石列を形成する全磁石30の一部のみが抽出して示されている。
アンジュレータ磁石列1REFは、Halbach型磁石列であり、1周期λuの中に4個の磁石30が存在する。図2を含む磁石(例えば磁石30)を図示する図面において、磁石の磁化方向を磁石(例えば磁石30)内に矢印で示している。
図3(a)に示す如く、Y軸に平行なベクトルであってY軸の原点からY軸の正側に向かう基準ベクトルと、磁化方向を示すベクトルとの成す角度を、磁化方向の角度と呼ぶ。磁化方向の角度は0°以上360°未満となる。従って、或る磁化方向がY軸の負から正に向かう向きと一致するとき、その磁化方向の角度は0°であり、且つ、或る磁化方向がY軸の正から負に向かう向きと一致するとき、その磁化方向の角度は180°である。ここでは、基準ベクトルを起点とし、図2の紙面の時計周り方向に磁化方向の角度を定めるものとする。つまり、或る磁化方向がZ軸の負から正に向かう向きと一致するとき、その磁化方向の角度は90°であり、且つ、或る磁化方向がZ軸の正から負に向かう向きと一致するとき、その磁化方向の角度は270°であるものとする。
1周期λuの中に存在する磁石30の個数Mがアンジュレータ磁石列1REFでは4であるので、磁石列10REF及び20REFの夫々において、磁石30の磁化方向はYZ面内でZ軸に平行な方向に沿って90°(=360°/M)ずつ変化する。但し、その変化の向きは、上側磁石列10REF及び下側磁石列20REF間で互いに逆である。以下では、図3(b)に示す如く、角度θを磁化方向の角度として持つ磁石30を、θの磁石30と表現する。また、Z軸方向における磁石30の幅を記号dにて表す。
磁石列10REFでは、左から右に向かって、0°、90°、180°、270°の磁石30が、この順番で繰り返し配列され、連続する4つの磁石30により1周期分の磁石列が形成される。従って、磁石列10REFにおける0°の磁石30の中心をZ軸の原点にとった場合、Z軸方向において原点から右向きに距離(i×4)×d、距離(i×4+1)×d、距離(i×4+2)×d、距離(i×4+3)×dだけ離れた位置に、夫々、磁石列10REFにおける0°、90°、180°、270°の磁石30の中心が位置する(iは整数)。
磁石列20REFでは、左から右に向かって、0°、270°、180°、90°の磁石30が、この順番で繰り返し配列され、連続する4つの磁石30により1周期分の磁石列が形成される。従って、磁石列20REFにおける0°の磁石30の中心をZ軸の原点にとった場合、Z軸方向において原点から右向きに距離(i×4)×d、距離(i×4+1)×d、距離(i×4+2)×d、距離(i×4+3)×dだけ離れた位置に、夫々、磁石列20REFにおける0°、270°、180°、90°の磁石30の中心が位置する。
但し、磁石列10REFにおける0°、90°、180°、270°の磁石30に対向する位置に、夫々、磁石列20REFにおける0°、270°、180°、90°の磁石30が配置される。より具体的には、磁石列10REFにおける第i磁石の中心位置と磁石列20REFにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、磁石列10REFにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、90°、180°、270°の磁石30であって且つ磁石列20REFにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、270°、180°、90°の磁石30である。
図2を含む磁石(例えば磁石30)を図示する図面において、磁石ペアに加わる吸引力をドットで満たされた矢印にて表す。図2においては、0°の磁化方向を持つ磁石ペア及び180°の磁化方向を持つ磁石ペアにのみ注目して吸引力を示している(後述の図4等においても同様)。図2を含むアンジュレータ磁石列を図示する図面において、上側磁石列及び下側磁石列に加わる全体的な力を白抜きの矢印で表す。基準となるアンジュレータ磁石列1REFでは、磁石列10REF及び20REF間に大きな吸引力が加わる。
[第1改良構成]
アンジュレータ磁石列の第1改良構成を説明する。第1改良構成に係る図4のアンジュレータ磁石列1Aは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10A及び下側磁石列20Aを備える。上側磁石列10A単体の構成は上述の上側磁石列10REFのそれと同様であると共に、下側磁石列20A単体の構成は上述の下側磁石列20REFのそれと同様である。
但し、アンジュレータ磁石列1Aでは、アンジュレータ磁石列1REFを基準として、上側磁石列が下側磁石列に対して左側に周期λuの1/4分の距離だけずらして配置されている。以下では、説明の便宜上、周期λuの1/w分の距離だけずらすことを、1/w周期分だけシフトさせるなどと表現することがある(wは任意の実数)。アンジュレータ磁石列1Aでは、アンジュレータ磁石列1REFを基準として、上側磁石列が下側磁石列に対して左側に1/4周期分だけシフトされている。
従って、磁石列10Aにおける0°、90°、180°、270°の磁石30に対向する位置に、夫々、磁石列20Aにおける90°、0°、270°、180°の磁石30が配置される。より具体的には、磁石列10Aにおける第i磁石の中心位置と磁石列20Aにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、磁石列10Aにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、90°、180°、270°の磁石30であって且つ磁石列20Bにおける第1〜第4磁石は、夫々、90°、0°、270°、180°の磁石30である。
図4を含む磁石(例えば磁石30)を図示する図面において、磁石ペアに加わる反発力を黒塗りの矢印にて表す。図4においては、0°の磁石30と180°の磁石30による磁石ペアにのみ注目して吸引力を示している(後述の図5においても同様)。
図4の構成により形成される磁気回路は、図2の構成により形成される磁気回路と図5の構成により形成される磁気回路との中間の磁気回路であると考えることができる。図5の構成では、アンジュレータ磁石列1REFを基準として上側磁石列が下側磁石列に対して左側に1/2周期分だけ(即ち周期λuの1/2分の距離だけ)シフトされており、結果、上側磁石列及び下側磁石列間に反発力が働いている。
また、図2の構成により形成される磁気回路では(即ち基準となるアンジュレータ磁石列1REFでは)、アンジュレータ磁場Bの振幅(即ちZ軸方向に沿って向き及び大きさが変化するアンジュレータ磁場BのY軸成分の振幅)が最大化され、図4の構成により形成される磁気回路では(即ちアンジュレータ磁石列1Aでは)、アンジュレータ磁場Bの振幅が図2のそれよりも小さくなる。図5の構成により形成される磁気回路では、アンジュレータ磁場Bの振幅はゼロとなる。
図4の構成により形成される磁気回路では、上側磁石列及び下側磁石列が上下方向の力を受けない。このため、ギャップを可変するための駆動機構の小型化が可能となる。但し、代わりに、上側磁石列は全体として右向きの大きな力を受ける一方で下側磁石列は全体として左向きの大きな力を受けるため、上側及び下側磁石列を支える構造部品に左右方向の大きな力が加わる。つまり、ギャップを可変するための駆動機構の小型化は可能となるものの、上側及び下側磁石列を支える構造部品(後述の図19における架台170を含む)には強い剛性が求められる。
[第2改良構成]
そこで、第2改良構成として、図6にアンジュレータ磁石列1Bを考える。第2改良構成に係るアンジュレータ磁石列1Bは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10B及び下側磁石列20Bを備える。上側磁石列10B及び下側磁石列20Bの構成は、基本的に、夫々、上側磁石列10REF及び下側磁石列20REFのそれと同様である。
但し、アンジュレータ磁石列1Bでは、アンジュレータ磁石列1REFを基準として、上側磁石列の左半分が下側磁石列に対して左側に1/4周期分だけ(即ち周期λuの1/4分の距離だけ)シフトして配置され且つ下側磁石列の右半分が上側磁石列に対して左側に1/4周期分だけ(即ち周期λuの1/4分の距離だけ)シフトして配置される。右半分では上側磁石列ではなく下側磁石列を左側にずらすことで、アンジュレータ磁場Bの周期性が担保される。
図7及び図8を参照し、アンジュレータ磁石列1Bの構成について説明を加える。図7及び図8は、アンジュレータ磁石列1REFを出発点としたアンジュレータ磁石列1Bの作成手順を示している。アンジュレータ磁石列1REFにおいて、上側磁石列10REFの左半分及び右半分の磁石列を夫々磁石列310及び320と呼び、下側磁石列20REFの左半分及び右半分の磁石列を夫々磁石列360及び370と呼ぶ。
まず、図7に示す如く、アンジュレータ磁石列1REFを出発点として、上側磁石列10REFの左半分の磁石列310を下側磁石列20REFに対して左側に1/4周期分だけシフトさせる。図7の磁石列310aは当該シフト後の磁石列310を表す。このシフトにより、上側磁石列の左半分の磁石列310aと上側磁石列の右半分の磁石列320との間に、周期λuの1/4分の隙間が被補間領域330として生じる。この被補間領域330に、補間元領域340内の磁石30と同じ磁化方向を持った磁石30を補間配置する。磁石330aは補間配置された磁石を表している。補間元領域340は、磁石列320の左端と、その左端から右向きに距離λu/4分だけずれた位置とに挟まれた領域である。磁石列310aと磁石330aから成る磁石列を磁石列310bにて参照する。磁石列310bと磁石列320がそれらの境界面である結合面BD1で結合されることで上側磁石列10Bが形成される。
一方、図8を示す如く、アンジュレータ磁石列1REFを出発点として、下側磁石列20REFの右半分の磁石列370を上側磁石列10REFに対して左側に1/4周期分だけシフトさせる。図7の磁石列370aは当該シフト後の磁石列370を表す。磁石列370を左側にシフトさせる際、磁石列370の左端付近の磁石30が磁石列360の右端付近の磁石30と重なり合うような現象が生じるが、磁石列370の磁石30の内、上記シフトによって磁石列360内の磁石30と重なり合うことになる磁石30は削除する。磁石列360と磁石列370aがそれらの境界面である結合面BD2で結合されることで下側磁石列20Bが形成される。
図7の結合面BD1のZ軸方向における位置と図8の結合面BD2のZ軸方向における位置とが互いに一致する状態で、上側磁石列10Bと下側磁石列20Bを組み合わせることによりアンジュレータ磁石列1Bが形成される。尚、磁石列310及び370のシフトにより、アンジュレータ磁石列の左右端で上側磁石列が下側磁石列よりも1/4周期分だけ突出することになるが、そのような突出を無くしたものをアンジュレータ磁石列1Bとすればよい。
図6のアンジュレータ磁石列1Bにより形成される磁気回路では、磁石列10B及び20Bの夫々において左右方向の力が相殺されるため、磁石列を一体化して保持する構造部品(後述の図19の磁石列ビーム110、120に相当)にのみZ軸方向の圧縮及び引張力が作用し、上側及び下側磁石列を支える構造部品(後述の図19における架台170を含む)には、磁気力による力が働かない。これにより、基準となるアンジュレータ磁石列1REFを用いる場合と比べて、上側及び下側磁石列を支える構造部品に要求される剛性を減少させることが可能となり、ひいてはアンジュレータ全体の重量を大幅に減少させることが可能となる。
アンジュレータ磁石列1REFを出発点として、上側磁石列の内、下側磁石列から見て左側にシフトされた部分を上側シフト磁石列と呼び、そのようなシフトが成されてない部分を上側基準磁石列と呼ぶ。同様に、アンジュレータ磁石列1REFを出発点として、下側磁石列の内、上側磁石列から見て左側にシフトされた部分を下側シフト磁石列と呼び、そのようなシフトが成されてない部分を下側基準磁石列と呼ぶ。図7及び図8に示す例においては、磁石列310b及び320が、夫々、上側シフト磁石列及び上側基準磁石列に相当し、磁石列370a及び360が、夫々、下側シフト磁石列及び下側基準磁石列に相当する。図6に示す例においては、磁石列10SB及び10RBが、夫々、上側シフト磁石列及び上側基準磁石列に相当し、磁石列20SB及び20RBが、夫々、下側シフト磁石列及び下側基準磁石列に相当する。
上側磁石列10Bは、上側シフト磁石列10SBと上側基準磁石列10RBとを結合して形成される一方で、下側磁石列20Bは、下側基準磁石列20RBと下側シフト磁石列20SBとを結合して形成される。尚、図6では、上側シフト磁石列と上側基準磁石列の結合部分及び下側基準磁石列と下側シフト磁石列の結合部分に力が加わる様子を、太線で模擬的に表している(後述の図9等でも同様)。
上側シフト磁石列は下側基準磁石列に対向配置される(上側シフト磁石列及び下側基準磁石列を含む、後述の他のアンジュレータ磁石列についても同様)。つまり、アンジュレータ磁石列1Bにおいては、上側シフト磁石列10SBにおける0°、90°、180°、270°の磁石30に対向する位置に、夫々、下側基準磁石列20RBにおける90°、0°、270°、180°の磁石30が配置される。より具体的には、上側シフト磁石列10SBにおける第i磁石の中心位置と下側基準磁石列20RBにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、上側シフト磁石列10SBにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、90°、180°、270°の磁石30であって且つ下側基準磁石列20RBにおける第1〜第4磁石は、夫々、90°、0°、270°、180°の磁石30である。
下側シフト磁石列は上側基準磁石列に対向配置される(下側シフト磁石列及び上側基準磁石列を含む、後述の他のアンジュレータ磁石列についても同様)。つまり、アンジュレータ磁石列1Bにおいては、下側シフト磁石列20SBにおける0°、270°、180°、90°の磁石30に対向する位置に、夫々、上側基準磁石列10RBにおける270°、0°、90°、180°の磁石30が配置される。より具体的には、下側シフト磁石列20SBにおける第i磁石の中心位置と上側基準磁石列10RBにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、下側シフト磁石列20SBにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、270°、180°、90°の磁石30であって且つ上側基準磁石列10RBにおける第1〜第4磁石は、夫々、270°、0°、90°、180°の磁石30である。
[第3改良構成]
アンジュレータ磁石列の第3改良構成を説明する。第3改良構成に係る図9のアンジュレータ磁石列1Cは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10C及び下側磁石列20Cを備える。上側磁石列10C及び下側磁石列20Cの構成は、基本的に、夫々、上側磁石列10REF及び下側磁石列20REFのそれと同様であるが、第2改良構成で述べた磁石列のシフト技術が適用されている。更に、第3改良構成では、上側磁石列10Cに上側シフト磁石列及び上側基準磁石列を夫々に複数設け、それに対応して、下側磁石列20Cに下側基準磁石列及び下側シフト磁石列を夫々に複数設けている。
アンジュレータ磁石列1Cの構成を、より具体的に説明する。上側磁石列10Cは、複数の上側シフト磁石列10SC及び複数の上側基準磁石列10RCを結合して形成されており、下側磁石列20Cは、複数の下側シフト磁石列20SC及び複数の下側基準磁石列20RCを結合して形成されている。
上側磁石列10Cにおいて、上側シフト磁石列10SCと上側基準磁石列10RCは交互に配置される。つまり、上側磁石列10Cにおいて、1つの上側シフト磁石列10SCは1つの上側基準磁石列10RCと他の1つの上側基準磁石列10RCとの間に配置され(但し、注目した上側シフト磁石列10SCが上側磁石列10Cの端に位置していないと仮定)、1つの上側基準磁石列10RCは1つの上側シフト磁石列10SCと他の1つの上側シフト磁石列10SCとの間に配置される(但し、注目した上側基準磁石列10RCが上側磁石列10Cの端に位置していないと仮定)。
下側磁石列20Cにおいて、下側シフト磁石列20SCと下側基準磁石列20RCは交互に配置される。つまり、下側磁石列20Cにおいて、1つの下側シフト磁石列20SCは1つの下側基準磁石列20RCと他の1つの下側基準磁石列20RCとの間に配置され(但し、注目した下側シフト磁石列20SCが下側磁石列20Cの端に位置していないと仮定)、1つの下側基準磁石列20RCは1つの下側シフト磁石列20SCと他の1つの下側シフト磁石列20SCとの間に配置される(但し、注目した下側基準磁石列20RCが下側磁石列20Cの端に位置していないと仮定)。
上側磁石列10Cの左端のZ軸座標(Z軸上の位置)と下側磁石列20Cの左端のZ軸座標(Z軸上の位置)は同じであるとする。そうすると、上側磁石列10Cの左端から見て第j番目の上側シフト磁石列10SCは下側磁石列20Cの左端から見て第j番目の下側基準磁石列20RCに対向配置される(jは整数)。つまり、第j番目の上側シフト磁石列10SCにおける0°、90°、180°、270°の磁石30に対向する位置に、夫々、第j番目の下側基準磁石列20RCにおける90°、0°、270°、180°の磁石30が配置される。より具体的には、第j番目の上側シフト磁石列10SCにおける第i磁石の中心位置と第j番目の下側基準磁石列20RCにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、第j番目の上側シフト磁石列10SCにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、90°、180°、270°の磁石30であって且つ第j番目の下側基準磁石列20RCにおける第1〜第4磁石は、夫々、90°、0°、270°、180°の磁石30である。
下側磁石列20Cの左端から見て第j番目の下側シフト磁石列20SCは上側磁石列10Cの左端から見て第j番目の上側基準磁石列10RCに対向配置される。つまり、第j番目の下側シフト磁石列20SCにおける0°、270°、180°、90°の磁石30に対向する位置に、夫々、第j番目の上側基準磁石列10RCにおける270°、0°、90°、180°の磁石30が配置される。より具体的には、第j番目の下側シフト磁石列20SCにおける第i磁石の中心位置と第j番目の上側基準磁石列10RCにおける第i磁石の中心位置とを結ぶ直線はY軸に平行であり、第j番目の下側シフト磁石列20SCにおける第1〜第4磁石は、夫々、0°、270°、180°、90°の磁石30であって且つ第j番目の上側基準磁石列10RCにおける第1〜第4磁石は、夫々、270°、0°、90°、180°の磁石30である。
図9の例では、磁石30の配列における1周期ごとに、シフト磁石列と基準磁石列を切り替えている。即ち、図9の例では、磁石列10SC、10RC、20SC及び10RCの各々に1周期分の磁石30、即ち4個の磁石30しか含まれていない。故に、図6及び図9を比較すると、図6の上側シフト磁石列10SBの右端から4つ分の磁石30にて図9の上側シフト磁石列10SCが形成され、図6の下側基準磁石列20SBの右端から4つ分の磁石30にて図9の下側基準磁石列20RCが形成され、図6の上側基準磁石列10RBの左端から4つ分の磁石30にて図9の上側基準磁石列10RCが形成され、図6の下側シフト磁石列20SBの左端から4つ分の磁石30にて図9の下側シフト磁石列20SCが形成されている。
尚、1つの上側シフト磁石列、1つの上側基準磁石列、1つの下側シフト磁石列及び1つの下側基準磁石列の夫々を1周期分の磁石30にて形成する例を説明したが、それらの夫々を複数周期分(例えば10周期分)の磁石30にて形成するようにしても良い。
第3改良構成によれば、第2改良構成の作用及び効果が得られる点に加え、磁石列を一体化して保持する構造部品(後述の図19の磁石列ビーム110、120に相当)にかかる圧縮及び引張力を分散させることが可能であり、当該構造部品に要求される剛性をも減少させること可能となる。
[第4改良構成]
アンジュレータ磁石列の第4改良構成を説明する。第1〜第3改良構成で述べた方法により、上側磁石列及び下側磁石列間における吸引力と反発力は、理想的には完全につりあう。しかし、実際の磁石30の透磁率は1ではないこと及び上側/下側磁石列をシフト磁石列及び基準磁石列に分割したことが原因で、吸引力と反発力は完全にはつりあわず、ギャップによっては吸引力及び反発力のどちらかが表れる(図10(c)参照)。つまり、吸引力のギャップに対する依存曲線(図10(a)参照)と反発力のギャップに対する依存曲線(図10(b)参照)とが一致しない状態が作られる。
吸引力及び反発力を微調整するべく、1/4周期分だけシフトせしめられた上側又は下側シフト磁石列を、そのシフト後の位置から更に左右どちらかに微小量だけシフトさせることが考えられる。第4改良構成では、そのような微小量のシフトを磁化方向の回転によって近似する。
第4改良構成に係る図11のアンジュレータ磁石列1Dは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10D及び下側磁石列20Dを備える。上側磁石列10Dは複数の上側シフト磁石列10SDと複数の上側基準磁石列10RDを結合して形成され、下側磁石列20Dは複数の下側シフト磁石列20SDと複数の下側基準磁石列20RDを結合して形成される。
図9の上側磁石列10Cにおける上側シフト磁石列10SC及び上側基準磁石列10RCを夫々上側シフト磁石列10SD及び上側基準磁石列10RDに置換することで図11の上側磁石列10Dが形成される。図9の下側磁石列20Cにおける下側シフト磁石列20SC及び下側基準磁石列20RCを夫々下側シフト磁石列20SD及び下側基準磁石列20RDに置換することで図11の下側磁石列20Dが形成される。
図9の磁石列10RC及び20SCにおいて、0°、90°、180°、270°の磁石30を、夫々、(360°−Δφ)、(90°−Δφ)、(180°−Δφ)、(270°−Δφ)の磁石30に置換することができ、その置換後の磁石列10RC及び20SCが夫々磁石列10RD及び20SDである。
図9の磁石列10SC及び20RCにおいて、0°、90°、180°、270°の磁石30を、夫々、(0°+Δφ)、(90°+Δφ)、(180°+Δφ)、(270°+Δφ)の磁石30に置換することができ、その置換後の磁石列10SC及び20RCが夫々磁石列10SD及び20RDである。Δφは所定の正の角度量である。Δφは90°未満であり、通常は0°に近い微小な角度量である。Δφによる磁化方向の回転が、上記微小量のシフトの近似に相当する。
実際に使用するギャップの範囲に合わせて磁石30の磁化方向の設計を行い、その設計結果に基づくアンジュレータ磁石列1Dを形成すれば、ギャップの範囲は限られるが、吸引力及び反発力を十分にゼロに近づけることが可能となる。
[シミュレーション]
次に、上述した幾つかのアンジュレータ磁石列に対して行ったシミュレーションの内容及び結果を説明する。本シミュレーションでは、周期λuが18mm(ミリメートル)であって且つアンジュレータ磁石列の全長(Z軸方向における長さ)が4.5m(メートル)であることを想定した。また、ギャップの可変範囲を3〜9mmとし、磁石30を形成する永久磁石の残留磁束密度及び比透磁率は夫々1.2T(テスラ)及び1.06であると仮定した。
図12に、複数のギャップにおけるアンジュレータ磁石列の吸引力のシミュレーション結果(計算結果)を示す。図12のグラフにおいて、横軸はギャップを示し、縦軸は上側磁石列及び下側磁石列間の吸引力を示す。但し、負の吸引力は反発力を表している。実線による折れ線410REFは、図2のアンジュレータ磁石列1REFにおける上側磁石列及び下側磁石列間の吸引力の計算結果を表す。実線による折れ線410Bは、図6のアンジュレータ磁石列1Bにおける上側磁石列及び下側磁石列間の吸引力の計算結果を表す。破線による折れ線410Cは、図9のアンジュレータ磁石列1Cにおける上側磁石列及び下側磁石列間の吸引力の計算結果を表す。
3mmのギャップにおいて、アンジュレータ磁石列1REFでは約5.4tf(重量トン)の吸引力がある一方、アンジュレータ磁石列1Bでは吸引力が約220kgf(重量キログラム)となっており、アンジュレータ磁石列の自重程度にまで吸引力を軽減できていることが分かる。アンジュレータ磁石列1Cでは、ギャップの大きい領域において反発力が吸引力より勝っているが、絶対値としては磁気力を400kgf程度に抑えられている。また、アンジュレータ磁石列1REF、1B及び1Cの全てにおいて左右方向の力はゼロとみなせるほどに小さい。
上記のシミュレーション条件(計算条件)において、ギャップが3mmであるときのアンジュレータ磁石列の磁場分布を図13に示す。図13において、横軸はZ軸方向の位置(z)を示し、縦軸はアンジュレータ磁場BのY軸成分Byを示す。実線曲線420REFは、アンジュレータ磁石列1REFにおけるZ軸方向の位置変化に対する磁場Byの変化を示し、実線曲線420Bは、アンジュレータ磁石列1BにおけるZ軸方向の位置変化に対する磁場Byの変化を示す。図13には示さないが、アンジュレータ磁石列1Cにおけるそれも実線曲線420Bと略同じである。
アンジュレータ磁石列1B(又は1C)にて生成される磁場の強さは、アンジュレータ磁石列1REFのそれの75%程度になっているが、アンジュレータ磁石列1B(又は1C)においても、十分な強度を持った周期性の良い磁場が生成されていることが分かる。Halbach型磁石列では磁気吸引力がアンジュレータ磁場Bの強さの2乗に比例することが知られている。アンジュレータ磁石列1REFにおいてアンジュレータ磁場Bの強さを図13の状態の75%程度にまで落としたとしても、吸引力は元の5割以上残る(例えば、“5.4トン×0.752”の吸引力が残る)ため、磁石列シフトによる磁場強度の減少を考慮に入れたとしても、アンジュレータ磁石列1B(又は1C)の優位性が認められる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態並びに後述の第3〜第5実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2〜第5実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2〜第5実施形態にも適用される。矛盾の無い限り、第1〜第5実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
今、下側基準磁石列に対する上側シフト磁石列の左へのシフト量Δzを、位相φzを用いて表現する。上側基準磁石列に対する下側シフト磁石列の左へのシフト量もΔzである。1周期λu分の位相φzはラジアン表記で2πである。故に、位相φzは、“φz=2π×Δz/λu”にて表される。アンジュレータ磁石列1REFでは上記シフト自体が行われていないため、アンジュレータ磁石列1REFにおいては“φz=0”である。上述のアンジュレータ磁石列1A、1B、1C及び1Dにおいては、シフト量Δzが周期λuの1/4であるため、“φz=π/2”である。図5のアンジュレータ磁石列においては、シフト量Δzが周期λuの1/2であるため、“φz=π”である。
図14において、曲線Fyは、上側磁石列及び下側磁石列間に働くY軸方向の磁気力を表している。図14では、下側基準磁石列に対し上側シフト磁石列が右へシフトされるときのシフト量Δzが負であると考えている。Y軸方向の磁気力Fyは、“−π/2<φz<π/2”であるとき吸引力であり、“−π≦φz<−π/2”又は“π/2<φz≦π”であるとき反発力である。吸引力としてのY軸方向の磁気力Fyは、“φz=0”であるときに最大となり、位相φzが0からπ/2又は(−π/2)に向けて増大又は減少するにつれてゼロに向けて減少する。反発力としてのY軸方向の磁気力Fyは、“φz=π”であるときに最大となり、位相φzがπからπ/2に向けて減少するにつれて又は(−π)から(−π/2)に向けて増大するにつれてゼロに向けて減少する。
図14において、曲線ByAMPは、アンジュレータ磁場BのY軸成分の振幅の大きさを表している。アンジュレータ磁場BのY軸成分の振幅の大きさByAMPは、位相φzが0であるときに最大となり、位相φzが0からπ又は(−π)に向けて増大又は減少するにつれてゼロに向けて減少する。
Y軸方向の磁気力Fy及びアンジュレータ磁場BのY軸成分の振幅の大きさByAMPは、位相φzの極性に依存せず位相φzの絶対値のみで決まるため、以下では、“0≦φz≦π”の範囲にのみ注目する。
第1実施形態では、吸引力と反発力の相殺に重きをおき、“φz=π/2”となるアンジュレータ磁石列(1A、1B、1C又は1D)を提案した。但し、位相φzが0以外であって且つπ/2以外のアンジュレータ磁石列を形成するようにしても良い。即ち例えば、“0<φz<π”を満たす任意のシフト量Δzを用いてアンジュレータ磁石列1を形成しても良い。
一般化して考えた場合、アンジュレータ磁石列1の例である第2実施形態に係るアンジュレータ磁石列1GN(不図示)は、各々が複数の磁石30から成る上側シフト磁石列及び上側基準磁石列を結合して形成された上側磁石列と、各々が複数の磁石30から成る下側基準磁石列及び下側シフト磁石列を結合して形成された下側磁石列とを有し、上側シフト磁石列は、下側基準磁石列に対向配置されつつ、上側磁石列及び下側磁石列により形成される周期性を持った磁場の振幅が最大化される状態(以下、磁場最大化状態という;φz=0であるときに磁場最大化状態が実現される)を基準として、下側基準磁石列から見て磁石配列方向に平行な所定の向き(図6の例では左向き)に所定のシフト量Δzだけシフトして配置され、下側シフト磁石列は、上側基準磁石列に対向配置されつつ、磁場最大化状態を基準として、上側基準磁石列から見て磁石配列方向に平行な所定の向き(図6の例では左向き)に所定のシフト量Δzだけシフトして配置される。
第1実施形態におけるアンジュレータ磁石列1A、1B、1C又は1Dは、アンジュレータ磁石列1GNの一種であり、後述の第3及び第4実施形態に係るアンジュレータ磁石列もアンジュレータ磁石列1GNに属する。
アンジュレータ磁石列1GNでは、“0<φz<π”が満たされるようにシフト量Δzが決定される。つまり、シフト量Δzは、磁石30の磁化方向の変化の周期λuの1/2未満である。これにより、“φz=0”であるアンジュレータ磁石列1REFとの比較において、上側磁石列及び下側磁石列間で生じる磁気力(吸引力又は反発力)の大きさを低減させることができ、第1実施形態の第1及び第2改良構成等の説明にて述べたような作用及び効果を得ることが可能となる。
但し、位相φzが0近辺又はπ近辺では、実質的な有益性は得られにくい。従って例えば、アンジュレータ磁石列1GNでは、“π/4≦φz≦3π/4”が満たされるようにシフト量Δzを決定すると良い。つまり、シフト量Δzは、周期λuの1/8以上且つ3/8以下であると良い。
典型的には例えば、第1実施形態におけるアンジュレータ磁石列1A、1B、1C又は1Dの如く、アンジュレータ磁石列1GNでは、“φz=π/2”が満たされるようにシフト量Δzを決定すると良い。つまり、シフト量Δzは、周期λuの1/4であると良い。これにより、上側磁石列及び下側磁石列間で生じる磁気力の大きさの低減効果が最大化される。尚、シフト量Δzが周期λuの1/4であるとは、誤差を含んだ若干の幅のある概念であると解される。第1実施形態の第4改良構成の説明にて述べたように、吸引力のギャップ依存性と反発力のギャップ依存性は僅かであっても実際には互いに異なる。この対策として、シフト量Δzを周期λuの1/4から若干相違させることも可能である。この相違があっても、実質的にはシフト量Δzは周期λuの1/4であると考えることも可能であるし、この相違の結果、シフト量Δzが周期λuの1/8以上且つ3/8以下になると考えても良い。
尚、図7を参照して説明したように、アンジュレータ磁石列1GNの上側シフト磁石列において、上側シフト磁石列の右側に隣接する上側基準磁石列からシフト量Δz分の距離以内の領域(図7の被補間領域330に相当)には、上側基準磁石列内の磁石30の磁化方向を元に磁化方向が定められた磁石30が配置される。これにより、磁場Bの周期性の担保が可能となる。より具体的には、上記領域(図7の被補間領域330に相当)に、上側基準磁石列における所定領域(図7の補間元領域340に相当)内の磁石30の磁化方向と同じ磁化方向を有する磁石30が配置される。ここにおける所定領域(図7の補間元領域340に相当)は、上側基準磁石列の両端の内、上側シフト磁石列に近い方の端(図7では上側基準磁石列320の左端)と、その端から右向きにシフト量Δzだけずれた位置とに挟まれた領域である。
また、第1実施形態におけるアンジュレータ磁石列1C又は1Dの如く、アンジュレータ磁石列1GNにおいて、上側シフト磁石列、上側基準磁石列、下側シフト磁石列及び下側基準磁石列は夫々に複数設けられていて良い。これにより、磁石列を一体化して保持する構造部品(後述の図19の磁石列ビーム110、120に相当)にかかる圧縮及び引張力を分散させることが可能であり、当該構造部品に要求される剛性をも減少させること可能となる。この場合、上側磁石列において上側シフト磁石列及び上側基準磁石列が交互に結合される一方、下側磁石列において下側基準磁石列及び下側シフト磁石列が交互に結合される。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第1実施形態では、1周期λuの中に存在する磁石30の個数Mが4であることを想定したが、Mが4以外のアンジュレータ磁石列1を形成しても良い。例として、以下に、M=8又はM=2のアンジュレータ磁石列1を説明するが、Mが2、4及び8の何れでもないアンジュレータ磁石列1を形成することも可能である。
図15は、M=8の条件で形成されたアンジュレータ磁石列1PAの構成図である。アンジュレータ磁石列1PAは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10PA及び下側磁石列20PAを備える。上側磁石列10PAは、1つの上側シフト磁石列10SPAと1つの上側基準磁石列10RPAとを結合することで形成される。下側磁石列20PAは、上側シフト磁石列10SPAに対向配置される1つの下側基準磁石列20RPAと、上側基準磁石列10RPAに対向配置される1つの下側シフト磁石列20SPAとを結合することで形成される。
図16は、M=8の条件で形成された他のアンジュレータ磁石列1PBの構成図である。アンジュレータ磁石列1PBは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10PB及び下側磁石列20PBを備える。上側磁石列10PBは、複数の上側シフト磁石列10SPBと複数の上側基準磁石列10RPBを結合することで形成される。下側磁石列20PBは、複数の下側基準磁石列20RPBと、複数の下側シフト磁石列20SPBを結合することで形成される。M=4の場合と同様(即ち第1実施形態の第3改良構成と同様)、上側磁石列10PBにおいて上側シフト磁石列10SPBと上側基準磁石列10RPBは交互に配置されると共に下側磁石列20PBにおいて下側シフト磁石列20SPBと下側基準磁石列20RPBは交互に配置され、且つ、各々の上側シフト磁石列10SPBは何れかの下側基準磁石列20RPBに対向配置されると共に各々の下側シフト磁石列20SPBは何れかの上側基準磁石列10RPBに対向配置される。
図15のアンジュレータ磁石列1PA及び図16のアンジュレータ磁石列1PBでは、M=8であるため、周期λuは“M×d=8×d”であり(図3(b)参照)、上側シフト磁石列、上側基準磁石列、下側シフト磁石列及び下側基準磁石列の夫々において、磁石30の磁化方向はYZ面内でZ軸に平行な方向に沿って45°(=360°/M)ずつ変化する。但し、その変化の向きは、上側磁石列及び下側磁石列間で互いに逆である。
図15のアンジュレータ磁石列1PA及び図16のアンジュレータ磁石列1PBおけるシフト量Δzは、φz=π/2に相当する、λu/4であるが、第2実施形態で述べたように、それらのシフト量Δzを周期λuの1/4以外にすることも可能である。また、図16のアンジュレータ磁石列1PBでは、1つの上側シフト磁石列、1つの上側基準磁石列、1つの下側シフト磁石列及び1つの下側基準磁石列の夫々を1周期分の磁石にて形成しているが、それらの夫々を複数周期分(例えば10周期分)の磁石にて形成するようにしても良い。
図17は、M=2の条件で形成されたアンジュレータ磁石列1QAの構成図である。アンジュレータ磁石列1QAは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10QA及び下側磁石列20QAを備える。上側磁石列10QAは、1つの上側シフト磁石列10SQAと1つの上側基準磁石列10RQAとを結合することで形成される。下側磁石列20QAは、上側シフト磁石列10SQAに対向配置される1つの下側基準磁石列20RQAと、上側基準磁石列10RQAに対向配置される1つの下側シフト磁石列20SQAとを結合することで形成される。
図18は、M=2の条件で形成された他のアンジュレータ磁石列1QBの構成図である。アンジュレータ磁石列1QBは、アンジュレータ磁石列1の例であり、上側磁石列10及び下側磁石列20の例としての上側磁石列10QB及び下側磁石列20QBを備える。上側磁石列10QBは、複数の上側シフト磁石列10SQBと複数の上側基準磁石列10RQBを結合することで形成される。下側磁石列20QBは、複数の下側基準磁石列20RQBと、複数の下側シフト磁石列20SQBを結合することで形成される。M=4の場合と同様(即ち第1実施形態の第3改良構成と同様)、上側磁石列10QBにおいて上側シフト磁石列10SQBと上側基準磁石列10RQBは交互に配置されると共に下側磁石列20QBにおいて下側シフト磁石列20SQBと下側基準磁石列20RQBは交互に配置され、且つ、各々の上側シフト磁石列10SQBは何れかの下側基準磁石列20RQBに対向配置されると共に各々の下側シフト磁石列20SQBは何れかの上側基準磁石列10RQBに対向配置される。
図17のアンジュレータ磁石列1QA及び図18のアンジュレータ磁石列1QBでは、M=2であるため、周期λuは“M×d=2×d”であり(図3(b)参照)、上側シフト磁石列、上側基準磁石列、下側シフト磁石列及び下側基準磁石列の夫々において、磁石30の磁化方向はYZ面内でZ軸に平行な方向に沿って180°(=360°/M)ずつ変化する。
図17のアンジュレータ磁石列1QA及び図18のアンジュレータ磁石列1QBおけるシフト量Δzは、φz=π/2に相当する、λu/4である。M=2の場合、周期λuの1/4分の磁石のZ軸方向における幅は、磁石30の幅dの半分である。Z軸方向における幅がd/2の磁石、即ち、磁石30の半分の大きさを持つ磁石を磁石30aにて参照する。磁石30aの2つ分が、磁石30の1つ分に相当する。図17及び図18の上側シフト磁石列(10SQA、10SQB)及び下側シフト磁石列(20SQA、20SQB)の夫々では、λu/4分のシフトに伴い、磁石30aが部分的に用いられている。尚、図17のアンジュレータ磁石列1QA及び図18のアンジュレータ磁石列1QBおけるシフト量Δzを、第2実施形態で述べたように、周期λuの1/4以外にすることも可能である。また、図18のアンジュレータ磁石列1QBでは、1つの上側シフト磁石列、1つの上側基準磁石列、1つの下側シフト磁石列及び1つの下側基準磁石列の夫々を1周期分の磁石にて形成しているが、それらの夫々を複数周期分(例えば10周期分)の磁石にて形成するようにしても良い。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。図19は、第4実施形態に係るアンジュレータ(アンジュレータ装置)100の側面図である。
アンジュレータ100は、上側磁石列10及び下側磁石列20を含むアンジュレータ磁石列1と、上側磁石列10を一体化して保持する磁石列ビーム110と、下側磁石列20を一体化して保持する磁石列ビーム120と、アンジュレータ磁石列1並びに磁石列ビーム110及び120を内包する空間を真空状態に保つための真空チャンバ130と、真空チャンバ130の上方に配置され且つ上側磁石列10及び磁石列ビーム110を上方から支える高剛性ビーム140Uと、真空チャンバ130の下方に配置され且つ下側磁石列20及び磁石列ビーム120を下方から支える高剛性ビーム140Lと、真空チャンバ130の真空状態を保ちながらシャフト151Uを用いて高剛性ビーム140Uと磁石列ビーム110を連結する真空導入連結部150Uと、真空チャンバ130の真空状態を保ちながらシャフト151Lを用いて高剛性ビーム140Lと磁石列ビーム120を連結する真空導入連結部150Lと、高剛性ビーム140U及び140Lに結合される駆動機構であって、ボールねじを利用して高剛性ビーム140U及び140Lを上下方向に移動させることが可能なボールねじ式駆動機構160と、ボールねじ式駆動機構160が取り付けられる概略L字状の断面形状を有した架台170と、を備える。尚、真空チャンバ130における真空状態とは、真空に近い状態を指し、少なくとも大気圧よりも気圧が低い状態を指すものであって良い。
図20は、アンジュレータ100の正面図である。図20では、図示の便宜上、真空チャンバ130の図示を省略している。また、図20では、真空導入連結部150U及び150Lの構成要素の内、高剛性ビーム140Uと磁石列ビーム110を物理的に結合する複数のシャフト151U及び高剛性ビーム140Lと磁石列ビーム120を物理的に結合する複数のシャフト151Lのみが示されている。
ボールねじ式駆動機構160は、図示されない制御部からの制御信号に従い、高剛性ビーム140U及び140Lの双方を個別に上下方向に移動させることで、或いは、高剛性ビーム140U及び140Lの一方に上下方向に移動させることで、上側磁石列10及び下側磁石列20間のギャップを可変させることができる。より具体的には例えば、ボールねじ式駆動機構160は、高剛性ビーム140Uを上方に且つ高剛性ビーム140Lを下方に互いに同じ量だけ移動させることで上側磁石列10及び下側磁石列20間のギャップを増大させることができ、高剛性ビーム140Uを下方に且つ高剛性ビーム140Lを上方に互いに同じ量だけ移動させることで上側磁石列10及び下側磁石列20間のギャップを減少させることができる。このため、アンジュレータ100は、上側磁石列10及び下側磁石列20間のギャップ(間隔)が可変となるようにアンジュレータ磁石列1を保持する保持部を備えていると言える。保持部は、磁石列ビーム110及び120、高剛性ビーム140U及び140L、真空導入連結部150U及び150L、ボールねじ式駆動機構160並びに架台170を含むと考えて良い。
図21に、放射光施設200の平面図を模式的に示す。放射光施設200は、電子銃201、線形加速器202、シンクロトロン203、蓄積リング204、及び、1以上のビームライン205を有する。蓄積リング204における各ビームライン205の基部付近にアンジュレータ100が配置される。
電子銃201から発射された電子eは、線形加速器202により1GeV(ギガエレクトロンボルト)程度のエネルギの速度にまで加速された後、シンクロトロン203により高周波を用いて8GeV程度のエネルギの速度にまで更に加速され、光速に近い速度を有した状態で蓄積リング204に入る。
電子eは、そのエネルギを維持したまま蓄積リング204内を高速で回り、蓄積リング204内に配置されているアンジュレータ磁石列1の形成する周期磁場により蛇行せしめられて、放射光Rを放出する。放射光Rはビームライン205に入り、ビームライン205内で種々な研究及び実用的用途に利用される。
上述の如く、第1〜第4実施形態の技術によれば、上側及び下側磁石列間の磁気吸引力を大幅に減少させることが可能である。このため、上側及び下側磁石列を支える構造部品に要求される剛性を減少させることが可能となると共に、アンジュレータの構造(駆動機構を含む)の簡略化及びアンジュレータ全体の重量の大幅な減少が可能となる。結果、アンジュレータの製造及び設置に関わるコスト及び期間の大幅な削減が可能となる、
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
本発明を、互いに対向配置された一対の磁石列(上側磁石列及び下側磁石列)に適用する方法を上述したが、同様の方法を様々な形態のアンジュレータ磁石列及びアンジュレータ(アンジュレータ装置)に適用することができる、例えば、Figure−8アンジュレータやSpring−8型のヘリカルアンジュレータは、互いに対向配置された一対の磁石列(上側磁石列及び下側磁石列)を3組有しているが、夫々の組に本発明が適用されて良い。また、AppleII型のアンジュレータは、互いに対向配置された一対の磁
石列(上側磁石列及び下側磁石列)を2組有しているが、夫々の組に本発明が適用されて良い。
上述の実施形態では、磁石列10及び20が上下方向に並んでいると考えたが、磁石列10及び20は上下方向以外の方向(例えば左右方向)に並んでいても良い。
1、1REF、1A〜1D、1PA、1PB、1QA、1QB アンジュレータ磁石列
10、10REF、10A〜10D、10PA、10PB、10QA、10QB 上側磁石列
10SB〜10SD、10SPA、10SPB、10SQA、10SQB 上側シフト磁石列
10RB〜10RD、10RPA、10RPB、10RQA、10RQB 上側基準磁石列
20、20REF、20A〜20D、20PA、20PB、20QA、20QB 下側磁石列
20SB〜20SD、20SPA、20SPB、20SQA、20SQB 下側シフト磁石列
20RB〜20RD、20RPA、20RPB、20RQA、20RQB 下側基準磁石列
30、30a 磁石
100 アンジュレータ

Claims (5)

  1. 互いに対向するように間隙をあけて平行に配置された第1磁石列及び第2磁石列を有し、前記第1磁石列に含まれる磁石の磁化方向及び前記第2磁石列に含まれる磁石の磁化方向が、前記第1磁石列及び前記第2磁石列を含む面内において、各磁石列の磁石配列方向に沿って周期的に変化するアンジュレータ磁石列であって、
    前記第1磁石列は各々が複数の磁石から成る第1シフト磁石列及び第1基準磁石列を結合して形成される一方で、前記第2磁石列は各々が複数の磁石から成る第2基準磁石列及び第2シフト磁石列を結合して形成され、
    前記第1シフト磁石列は、前記第2基準磁石列に対向配置されつつ、前記第1磁石列及び前記第2磁石列により形成される周期性を持った磁場の振幅が最大化される状態を基準として前記第2基準磁石列から見て前記磁石配列方向に平行な所定の向きに所定のシフト量だけシフトして配置され、
    前記第2シフト磁石列は、前記第1基準磁石列に対向配置されつつ、前記状態を基準として前記第1基準磁石列から見て前記所定の向きに前記シフト量だけシフトして配置され
    前記第1シフト磁石列において、前記第1基準磁石列から前記シフト量分の距離以内の領域には、前記第1基準磁石列内の磁石の磁化方向を元に磁化方向が定められた磁石が配置される
    ことを特徴とするアンジュレータ磁石列。
  2. 前記領域には、前記第1基準磁石列における所定領域内の磁石の磁化方向と同じ磁化方向を有する磁石が配置され、
    前記所定領域は、前記第1基準磁石列の両端の内、前記第1シフト磁石列に近い方の端と、その端から前記所定の向きと反対の向きに前記シフト量だけずれた位置と、に挟まれた領域である
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンジュレータ磁石列。
  3. 前記第1シフト磁石列、前記第1基準磁石列、前記第2シフト磁石列及び前記第2基準磁石列は、夫々に複数設けられ、
    前記第1磁石列において前記第1シフト磁石列及び前記第1基準磁石列が交互に結合される一方、前記第2磁石列において前記第2基準磁石列及び前記第2シフト磁石列が交互に結合される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアンジュレータ磁石列。
  4. 互いに対向するように間隙をあけて平行に配置された第1磁石列及び第2磁石列を有し、前記第1磁石列に含まれる磁石の磁化方向及び前記第2磁石列に含まれる磁石の磁化方向が、前記第1磁石列及び前記第2磁石列を含む面内において、各磁石列の磁石配列方向に沿って周期的に変化するアンジュレータ磁石列であって、
    前記第1磁石列は各々が複数の磁石から成る第1シフト磁石列及び第1基準磁石列を結合して形成される一方で、前記第2磁石列は各々が複数の磁石から成る第2基準磁石列及び第2シフト磁石列を結合して形成され、
    前記第1シフト磁石列は、前記第2基準磁石列に対向配置されつつ、前記第1磁石列及び前記第2磁石列により形成される周期性を持った磁場の振幅が最大化される状態を基準として前記第2基準磁石列から見て前記磁石配列方向に平行な所定の向きに所定のシフト量だけシフトして配置され、
    前記第2シフト磁石列は、前記第1基準磁石列に対向配置されつつ、前記状態を基準として前記第1基準磁石列から見て前記所定の向きに前記シフト量だけシフトして配置され、
    前記第1シフト磁石列、前記第1基準磁石列、前記第2シフト磁石列及び前記第2基準磁石列は、夫々に複数設けられ、
    前記第1磁石列において前記第1シフト磁石列及び前記第1基準磁石列が交互に結合される一方、前記第2磁石列において前記第2基準磁石列及び前記第2シフト磁石列が交互に結合される
    ことを特徴とするアンジュレータ磁石列。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のアンジュレータ磁石列と、
    前記アンジュレータ磁石列における前記第1磁石列及び前記第2磁石列間の間隔が可変となるように、前記アンジュレータ磁石列を保持する保持部と、を備えた
    ことを特徴とするアンジュレータ。
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