JP3995358B2 - 挿入型偏光発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入型偏光発生装置の磁気回路の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光速近くまで加速された電子ビームが磁界中で曲げられると、電子ビームの移動軌跡の接線方向に放射光を発光し、これをシンクロトロン放射光と呼んでいる。このようなシンクロトロン放射光を発生させる光源を、電子貯蔵リング(電子ビーム蓄積リング)の直線部に設置し、高指向性、高強度、高偏光性などの特性を生かした種々の技術の実用化のための研究が行われている。今日の電子貯蔵リングには、より高いビーム電流、より小さなビーム断面積による高輝度光源であるウイグラー又はアンジュレータと呼ばれている挿入型偏光発生装置が複数設けられている。
【0003】
ここで従来技術にかかる挿入型偏光発生装置(アンジュレータ)を図5、図6、図7により説明する。図7において、このアンジュレータ100は多数個の磁石mが列状に(1列に)配列された第1磁石列Mと、同じく多数個の磁石m' が列状に(1列に)配列された第2磁石列M' とを備えており、これら第1磁石列Mと第2磁石列M' により磁気回路が構成されている。第1磁石列Mを構成する磁石mは個々にホルダー50に保持されると共に、各ホルダー50はさらに支持台51にボルトなどの適宜の手段により固定されている。また、第2磁石列M' を構成する磁石m' も個々にホルダー52に保持されると共に、各ホルダー52はさらに支持台53に適宜の手段により固定されている。第1磁石列Mと第2磁石列M' とは所定のギャップ空間を隔てて配置されており、このギャップ空間を光速近くまで加速された電子ビーム(図7に示される矢印E方向)が移動するようになっている。
【0004】
次に磁気回路を構成する第1、第2磁石列M,M' について図5によりさらに詳しく説明する。第1磁石列Mは、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石m1と、水平方向(−Z方向)に磁化された磁石m2と、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石m3と、水平方向(Z方向)に磁化されたm4とで構成される4つの磁石を1単位として、これが繰り返し配列されたものである。また、この1単位を構成する磁石列の列方向の長さL(図5参照)を周期長と呼んでいる。また、第2磁石列M' についても同様で、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石m1' と、水平方向(Z方向)に磁化された磁石m2' と、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石m3' と、水平方向(−Z方向)に磁化されたm4' とで構成される。第2磁石列M' の磁石が配列される周期長Lは、第1磁石列Mと等しく設定されている。
【0005】
また、ギャップ空間における磁場の方向は図5の太い矢印で示され、磁束の流れの1例を示すと磁石m1→ギャップ→磁石m1' →磁石m2' →磁石m3' →ギャップ→磁石m3→磁石m2→磁石m1となり、したがって、第1磁石列Mと第2磁石列M' との間には吸引力が作用することになる。
【0006】
ところで、電子ビームが移動する空間であるギャップ空間は真空にする必要があり、この場合、ギャップ空間に真空チャンバを挿入し、真空チャンバの外側に磁気回路を構成するものがある。この構成によれば、真空チャンバの大きさを確保する必要があることから、第1磁石列Mと第2磁石列M' とのギャップは20mmよりも小さくすることができない。したがって、磁束密度が十分に大きくならず、得られる放射光のエネルギーや輝度が限られていた。大きなエネルギーや輝度を有する放射光を得るには、真空チャンバの中に磁気回路を構成し、第1磁石列Mと第2磁石列M' とのギャップを小さくして磁束密度を大きくすることが考えられる。
【0007】
また、波長の短い放射光を作り出すためには、磁気回路の周期長を短くする必要がある。周期長を短くした場合にはギャップ空間における磁束密度を確保するためには、真空チャンバの内部に磁気回路を構成すると共に、ギャップを短くする必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ギャップを小さくして磁場を強くすると、第1磁石列Mと第2磁石列M' との間に作用する吸引力により、各ホルダー50,52及び支持台51,53が図6に示すように変形してしまう。ここで、吸引力Fは次の式で表わされる。
【0009】
F=2.03×S×B2 (式1)
S:電子ビームが移動するギャップ空間に面する磁石列の面積(cm2
B:磁束密度の大きさ(T)
ここで磁束密度Bの大きさはギャップの大きさに反比例するから、ギャップを小さくすると第1磁石列Mと第2磁石列M' との間に作用する吸引力Fは飛躍的に大きくなる(二乗できいてくる。)。したがって、ギャップを小さくすればするほど吸引力も大きくなるから図6に示されるたわみδ(Y方向の変形量) も大きくなる。かかるたわみ変形が生じると、場所によってギャップが変わることになり(図6の例では列方向の中央部分でギャップが最も小さくなる。) 、均一な磁場分布が得られないことになる。磁場分布を均一にすると言うことは、所望の特定波長の放射光を得るためには重要な条件であるから、磁場分布が均一にならないといろいろな波長の放射光が出てくるため好ましくない。上記たわみδは、数十μmのオーダーでも問題となり、極力押さえる必要がある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁石列のたわみ変形を押さえることで所望の放射光を得ることのできる挿入型偏光発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る挿入型偏光発生装置は、
電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
このギャップ空間を挟むように配置され、かつ、吸引力が作用するように磁石が列状に多数配列された第1主磁石列及び第2主磁石列と、
前記ギャップ空間を挟むように配置され、かつ、反発力が作用するように磁石が列状に多数配列された第1補助磁石列及び第2補助磁石列とを備え、
前記第1及び第2補助磁石列は、前記第1及び第2主磁石列の左右両側に配置され、第1及び第2補助磁石列を構成する磁石の配列は、左右で同じであることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によると、第1主磁石列と第2主磁石列の間には吸引力が作用するが、これら主磁石列のほかに第1補助磁石列と第2補助磁石列とを備え、これら補助磁石列の間には反発力が作用する。つまり、吸引力を打ち消すように反発力が作用する。従って、第1及び第2主磁石列を保持している保持部のたわみ変形を押さえることができる。その結果、所望の放射光を得ることのできる挿入型偏光発生装置を提供することができた。
【0012】
本発明の目的を達成するための別の挿入型偏光発生装置は、
電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列された第1主磁石列と、
この第1主磁石列と前記ギャップ空間を隔てて設けられ、垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列され、垂直磁化方向が前記第1主磁石列と同じで水平磁化方向が前記第1主磁石列と反対向きになるように磁石が配列された第2主磁石列と、
垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列された第1補助磁石列と、
この第1補助磁石列と前記ギャップ空間を隔てて設けられ、垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列され、垂直磁化方向が前記第1補助磁石列と反対で水平磁化方向が前記第1補助磁石列と同じ向きになるように磁石が配列された第2補助磁石列と、
前記第1主磁石列と前記第1補助磁石列とを保持するための第1保持部と、
前記第2主磁石列と前記第2補助磁石列とを保持するための第2保持部とを備え、
前記第1及び第2補助磁石列は、前記第1及び第2主磁石列の左右両側に配置され、第1及び第2補助磁石列を構成する磁石の配列は、左右で同じであることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によると、まず第1主磁石列と第2主磁石列の垂直方向に磁化された磁石について着目すると、垂直磁化方向が同じになるように磁石が配列されている。つまり、ギャップ空間を隔ててS極とN極とが向かい合う関係になるように配列される。従って、第1主磁石列と第2主磁石列との間には吸引力が作用する。次に、第1補助磁石列と第2補助磁石列の垂直方向に磁化された磁石について着目すると、垂直磁化方向が反対方向になるように磁石が配列されている。つまり、ギャップ空間を隔ててS極とS極、又はN極とN極とが向かい合う関係になるように配列される。従って、第1補助磁石列と第2補助磁石列との間には反発力が作用する。
【0014】
以上のことから、第1及び第2主磁石列の間に作用する吸引力を第1及び第2補助磁石列の間に作用する反発力により打ち消すことができる。従って、第1及び第2主磁石列を保持している保持部のたわみ変形を押さえることができ、所望の放射光を得ることのできる挿入型偏光発生装置を提供することができた。
【0015】
なお、前記第1主磁石列と前記第1補助磁石列とを保持するための第1保持部を備えているが、第1保持部として、第1主磁石列を保持する部分と第1補助磁石列を保持する部分を一体に構成しても良いし、別々に構成しても良いものとする。この点は、前記第2主磁石列と前記第2補助磁石列とを保持するための第2保持部についても同様である。
【0016】
本発明の好適な実施形態として、前記第1補助磁石列は、前記第1主磁石列の両側に一対配置され、前記第2補助磁石列は、前記第2主磁石列の両側に一対配置される構成のものがあげられる。第1補助磁石列は、第1主磁石列の方側に1つだけ配置しても良いが、両側に一対配置することにより、バランス良く吸引力を打ち消すことができる。
【0017】
本発明の別の実施形態として、前記第1及び第2主磁石列の磁石配列の周期長と、前記第1及び第2補助磁石列の磁石配列の周期長とを等しくなるように設定していることが好ましい。
【0018】
上記構成のように、周期長を等しく設定することで、主磁石列による変動磁場の周期 (吸引力が作用する周期) と同じ周期で反発力を作用させることができる。かかる構成により、主磁石列に作用する吸引力を打ち消すことができる補助磁石列による反発力の設定が容易なものになる。
【0019】
本発明の更に別の実施形態として、前記第1及び第2補助磁石列は、それぞれ前記第1及び第2主磁石列に対して、水平方向において所定の距離を隔てて配置されていることが好ましい。
【0020】
第1及び第2補助磁石列により構成される磁場からの漏れ磁束が、第1及び第2主磁石列により構成される磁場に対して影響を与えないことが好ましい。上記構成によると、補助磁石列は主磁石列に対して所定の距離を隔てて配置されるから、補助磁石列による漏れ磁束が主磁石列により構成される磁場に対して影響を与えないようにすることができる。従って、補助磁石列を設けることにより挿入型偏光発生装置の本来の性能を低下させることがない。
【0021】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1主磁石列と前記第1補助磁石列との組み合わせで構成される第1ユニットと、
前記第1保持部として機能する、前記第1ユニットの複数が円周方向に沿って配置された第1回転支持体と、
前記第2主磁石列と前記第2補助磁石列との組み合わせで構成される第2ユニットと、
前記第2保持部として機能する、前記第2ユニットの複数が円周方向に沿って配置された第2回転支持体と、
前記第1回転支持体と前記第2回転支持体とを連動して回転させる機構とを備え、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの組み合わせ種類が複数になるように構成したものがあげられる。
【0022】
この構成によると、第1回転支持体と第2回転支持体とを連動して回転させることにより、第1ユニットと第2ユニットとの組み合わせを複数設定することができる。このような回転式にすることで、複数種類の放射光を得ることができる。回転支持体の円周方向に沿って第1又は第2ユニットを設けると、長手方向に伸びるユニットの中央部分は構造的に支持体に固定することができず、長手方向の両側部分でのみ支持体に対して固定することができる。つまり、主磁石列による吸引力が作用した場合には、中央部分のたわみが通常のものに比べてより発生しやすくなる。したがって、回転式による場合は、補助磁石列を設ける構成を採用することはきわめて効果的であるということができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明に係る挿入型偏光発生装置の1例であるアンジュレータの実施形態を説明する。
【0024】
<磁気回路の構成>
アンジュレータの全体の構成については、既に説明した図7の装置を用いることができる。新規な磁気回路の構成は図1の模式図に示される。この磁気回路は、電子ビームの移動するギャップ空間を挟んで下側に配置される第1主磁石列M1、第1補助磁石列M2,M3と、上側に配置される第2主磁石列M4、第2補助磁石列M5,M6とを備えている。なお、磁化方向などをわかりやすく説明するために座標系が示されており、X軸(電子ビームの移動方向に対して水平方向に直交する方向)、Y軸(電子ビームの移動方向に対して垂直方向に直交する方向) 、Z軸 (電子ビームの移動方向) により定義される。
【0025】
第1主磁石列M1は、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石1aと、水平方向(−Z方向)に磁化された磁石1bと、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石1cと、水平方向(Z方向)に磁化された1dとで構成される4つの磁石を1単位として、これが繰り返し配列されたものである。また、この1単位を構成する磁石列の列方向の長さLが周期長と呼ばれる。第2主磁石列M4は、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石4aと、水平方向(Z方向)に磁化された磁石4bと、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石4cと、水平方向(Z方向)に磁化された4dとで構成される4つの磁石を1単位として、これが同じ周期長Lで繰り返し配列されたものである。ギャップ空間における磁場の方向は図1の太い矢印で示され、磁束の流れの1例を示すと磁石1a→ギャップ→磁石4a→磁石4b→磁石4c→ギャップ→磁石1c→磁石1b→磁石1aとなる。磁石1aと磁石4a、および、磁石1cと磁石4cはN極とS極が向かい合う関係にあり、吸引力が作用する。主磁石列M1,M4におけるほかの磁石も同様である。したがって、第1磁石列M1と第2磁石列M2との間には吸引力が作用する。
【0026】
次に補助磁石列について説明する。第1補助磁石列M2は、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石2aと、水平方向(−Z方向)に磁化された磁石2bと、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石2cと、水平方向(Z方向)に磁化された2dとで構成される4つの磁石を1単位として、これが主磁石列と同じ周期長Lで配列されたものである。第2補助磁石列M5は、垂直方向(−Y方向)に磁化された磁石5aと、水平方向(−Z方向)に磁化された磁石5bと、垂直方向(Y方向)に磁化された磁石5cと、水平方向(Z方向)に磁化された5dとで構成される4つの磁石を1単位として、これが同じ周期長Lで繰り返し配列されたものである。ギャップ空間における磁場の方向は図1の太い矢印で示され、磁束の流れの1例を示すと第1補助磁石列M2については磁石2a→ギャップ→磁石2c→磁石2b→磁石2aとなる。第2補助磁石列M5については、磁石5a→ギャップ→磁石5c→磁石5b→磁石5aとなる。磁石2aと磁石5a、および、磁石2cと磁石5cは、N極とN極又はS極とS極が向かい合う関係にあり、反発力が作用する。補助磁石列M2,M5におけるほかの磁石も同様である。したがって、第1補助磁石列M2と第2補助磁石列M5との間には反発力が作用する。第1補助磁石列M3の構成は第1補助磁石列M2と同じである。第2補助磁石列M6の構成は第2補助磁石列M5の構成と同じである。
【0027】
図3は、各磁石列の間に作用する吸引力と反発力をわかりやすく示したものであり、反発力が吸引力を打ち消すように作用し、従来技術の図6のようなたわみ変形は生じない。
【0028】
また、図1の磁気回路のその他の特徴について説明する。主磁石列M1,M4の磁石よりも補助磁石列M2、M3,M5,M6の大きさは小さくなっている。更に詳しく説明すると、X方向の長さで比較して、主磁石列M1,M4の磁石のほうが長い。Z方向の長さはすべて等しい。Y方向の高さもすべて等しい。
【0029】
第1補助磁石列M2,M3は第1主磁石列に対して水平方向において所定の間隔を隔てて配置されている。第2補助磁石列M5,M6についても第2主磁石列M4に対して水平方向において所定の同じ間隔を隔てて配置されている。これにより、補助磁石列M2、M3,M5,M6による磁気回路からの漏れ磁束が、主磁石列M1,M4による磁気回路に対して影響を与えないようにしている。また、主磁石列M1,M4の両側にある一方の補助磁石列M2、M3の磁場が他方の補助磁石列M5,M6に対して影響を与えないように、両側の補助磁石列の磁化方向は対称になるようにしている。
【0030】
さらに、第1及び第2主磁石列M1,M4に作用する吸引力と、第1及び第2補助磁石列M2,M5に作用する反発力とM3,M6に作用する反発力との和が等しくなるように設定される。
【0031】
電子ビームがギャップ空間内に進入してくると、変動磁界の内部をX方向に繰り返し振動しながらZ方向に進行する。電子ビームが移動軌跡を曲げられるたびに強力な高輝度のシンクロトロン放射光を発生する。
【0032】
<磁石の取り付け構造>
図2により、主磁石列及び補助磁石列の取り付け構造 (保持部H) の1例を説明する。保持部Hは、第1主磁石列M1の磁石1a、1b・・・を保持するホルダー10・・・とクランプ部材13・・・と、第1補助磁石列M2の磁石2a,2b・・・を保持するホルダー11.11・・・とクランプ部材14と、第1補助磁石列M3の磁石3a,3b・・・を保持するホルダー12とクランプ部材14と、ホルダー10,11,12・・・を固定する支持台15とを備えている。クランプ部材13にはテーパ面13aが形成され、この部分で磁石1a,1b・・・に形成された斜面部を押さえることで確実に保持される。クランプ部材14も同様のテーパ面を備えている。クランプ部材13,14はそれぞれホルダー10,11,12に対してボルト等により(不図示)結合される。ホルダー10,11,12は、同様にボルト等により (不図示) 支持台15に対して固定される。
【0033】
第1主磁石列M1のために設けられたホルダー10は、第1補助磁石列のために設けられたホルダー11,12とは別部材である。かかる構成により、補助磁石列を取り外した状態で、主磁石列の磁場の調整を行うことができるので便利である。磁石列に用いられる磁石は、好ましくはNd−Fe−B系希土類磁石が用いられる。図2には示されないが、第2主磁石列と第2補助磁石列の保持部も同じ機構が採用される。
【0034】
<別実施形態>
図4は、磁気回路の別実施形態の構成を示すものである。この構成は回転式ミニポールアンジュレータと呼ばれている。このアンジュレータは、回転軸28,29に固定された第1回転支持体30 (第1保持部) と、回転軸31,32に固定された第2回転支持体33 (第2保持部) とを備えている。第1回転支持体30は、円周方向に沿って磁気回路ユニット20、22,24,26 (第1ユニット) を備えており、第2回転支持体33は、円周方向に沿って磁気回路ユニット21,23,25,27 (第2ユニット) を備えている。
【0035】
磁気回路ユニット20を構成する第1主磁石列M1、第1補助磁石列M2,M3は図1に示されるものと同じである。磁気回路ユニット21を構成する第2主磁石列M4、第2補助磁石列M5,M6も図1に示されるものと同じである。また、保持部H1、H2の構造も図2に示されるものと同じで良い。
【0036】
図4のアンジュレータによると、磁気回路ユニット20と21、22と23、24と25,26と27の4通りの組み合わせのうちから任意の組み合わせを選択することができる。つまり、4通りの放射光を作り出すことができる。そのため、各組み合わせにおいては、ギャップ、周期長、磁石の種類等の条件を少しずつ変えている。
第1及び第2回転支持体30,33を連動させるための機構としては、例えば、回転軸28,31の一端にそれぞれギヤを取り付けてかみ合わせ、いずれかのギヤを電動モータに連結するようにすれば良い。
図4に示すような構造を採用すると、磁石列の両端部は回転支持体30,33に対して固定することができるが、磁石列の中央部分は構造的に回転支持体30,33に対して固定できない。つまり、補助磁石列を設けないと主磁石列の中央部分は通常のものに比べてよりたわみやすい。従って、補助磁石列を設ける構成は、図4に示すような回転式のアンジュレータにおいては、極めて効果的であると言うことができる。
【0037】
<具体的構成(実験)例>
具体的な磁気回路の構成例として、主磁石列の磁石の幅を2cm、長さを1m、ギャップ間の磁束密度を1Tとした場合に、補助磁石列による反発力が作用しない場合には、図6に示すように中央部分にたわみδが発生する。その際の吸引力は前述した式1により406Kgf、たわみδは40μmとなる。主磁石列の両側に補助磁石列を配置した場合は、図3に示すように、主磁石列の吸引力に加えて両側の補助磁石列による反発力がかかる。この場合に、アンジュレータ全体に作用する吸引力は全ギャップ空間領域においてキャンセルされる。
【0038】
【発明の効果】
本発明 (本実施形態) の構成によると次に示すような効果を発揮する。
(1)主磁石列により発生する吸引力によるたわみがなくなり、ギャップの変動による磁場の変化が低減され、アンジュレータ内の磁場を均一にすることができる。
(2)主磁石列の両側に反発力の作用する補助磁石列を設けることで、吸引力を打ち消すことができるので、磁気回路を保持する保持部の必要な強度を小さくすることができる。又、保持部の軽量化も達成できる。
(3)保持部を軽量化することで、その構造も簡易にすることができ、その結果装置の安全性を高めることができる。
【0039】
(4)保持部の必要強度を小さくすることで装置を小型化することができる。その結果、異なる磁場の磁気回路を1つの装置内に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気回路の構成を示す模式図
【図2】本実施形態にかかる磁石列の取り付け構造を示す図
【図3】吸引力と反発力との関係をわかりやすく示す図
【図4】別実施形態に係る磁気回路の構成を示す図
【図5】従来技術にかかる磁気回路の構成を示す図
【図6】従来技術において吸引力によるたわみ変形が生じた状態を示す図
【図7】アンジュレータ (挿入型偏光発生装置) の外観を示す斜視図
【符号の説明】
H,H1,H2 保持部
M1 第1主磁石列
M4 第2主磁石列
M2,M3 第1補助磁石列
M5,M6 第2補助磁石列
1a,1b,1c,1d,2a,2b,2c,2d 磁石
3a,3b 磁石
4a,4b,4c,4d,5a,5b,5c,5d 磁石
20,21,22,23,24,25,26,27 磁気回路ユニット
30 第1回転支持体
33 第2回転支持体

Claims (6)

  1. 電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
    このギャップ空間を挟むように配置され、かつ、吸引力が作用するように磁石が列状に多数配列された第1主磁石列及び第2主磁石列と、
    前記ギャップ空間を挟むように配置され、かつ、反発力が作用するように磁石が列状に多数配列された第1補助磁石列及び第2補助磁石列とを備え、
    前記第1及び第2補助磁石列は、前記第1及び第2主磁石列の左右両側に配置され、第1及び第2補助磁石列を構成する磁石の配列は、左右で同じであることを特徴とする挿入型偏光発生装置。
  2. 電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
    垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列された第1主磁石列と、
    この第1主磁石列と前記ギャップ空間を隔てて設けられ、垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列され、垂直磁化方向が前記第1主磁石列と同じで水平磁化方向が前記第1主磁石列と反対向きになるように磁石が配列された第2主磁石列と、
    垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列された第1補助磁石列と、
    この第1補助磁石列と前記ギャップ空間を隔てて設けられ、垂直方向に磁化された磁石と水平方向に磁化された磁石とが交互に列状に配列され、垂直磁化方向が前記第1補助磁石列と反対で水平磁化方向が前記第1補助磁石列と同じ向きになるように磁石が配列された第2補助磁石列と、
    前記第1主磁石列と前記第1補助磁石列とを保持するための第1保持部と、
    前記第2主磁石列と前記第2補助磁石列とを保持するための第2保持部とを備え、
    前記第1及び第2補助磁石列は、前記第1及び第2主磁石列の左右両側に配置され、第1及び第2補助磁石列を構成する磁石の配列は、左右で同じであることを特徴とする挿入型偏光発生装置。
  3. 前記第1補助磁石列は、前記第1主磁石列の両側に一対配置され、前記第2補助磁石列は、前記第2主磁石列の両側に一対配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の挿入型偏光発生装置。
  4. 前記第1及び第2主磁石列の磁石配列の周期長と、前記第1及び第2補助磁石列の磁石配列の周期長とを等しくなるように設定していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の挿入型偏光発生装置。
  5. 前記第1及び第2補助磁石列は、それぞれ前記第1及び第2主磁石列に対して、水平方向において所定の距離を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の挿入型偏光発生装置。
  6. 前記第1主磁石列と前記第1補助磁石列との組み合わせで構成される第1ユニットと、
    前記第1保持部として機能する、前記第1ユニットの複数が円周方向に沿って配置された第1回転支持体と、
    前記第2主磁石列と前記第2補助磁石列との組み合わせで構成される第2ユニットと、
    前記第2保持部として機能する、前記第2ユニットの複数が円周方向に沿って配置された第2回転支持体と、
    前記第1回転支持体と前記第2回転支持体とを連動して回転させる機構とを備え、
    前記第1ユニットと前記第2ユニットとの組み合わせ種類が複数になるように構成したことを特徴とする請求項〜5のいずれか1項に記載の挿入型偏光発生装置。
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