JP6594750B2 - 渦流ポンプ - Google Patents

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Description

本明細書は、渦流ポンプに関する。なお、渦流ポンプは、ウエスコポンプ、カスケードポンプ、再生ポンプとも呼ばれる。
特許文献1に、外周部に複数の羽根を有するインペラと、インペラを収容するハウジングと、を有する渦流ポンプが開示されている。ハウジングには、インペラの羽根に対向する流路が配置されている。この渦流ポンプでは、インペラが回転すると、吸入経路から流体をハウジング内に吸入し、ハウジング内で昇圧して、吐出経路からハウジング外に吐出する。
特開平9−242689号公報
例えば、自動車のエンジンの吸気管内の負圧を利用して、燃料タンクで発生した気化燃料を供給管に供給するシステムのように、流体経路内に発生する負圧を利用して流体を流すシステムが用いられている。このようなシステムにおいて、流体経路内に十分な負圧が発生しない場合にも、流体を供給可能にするために、流体経路上に渦流ポンプを配置する構成が検討されている。
本明細書では、上記のシステムにおいて、渦流ポンプを効率よく利用することができる技術を提供する。
本明細書は、渦流ポンプを開示する。渦流ポンプは、吸入流路と、吐出流路と、吸入流路及び吐出流路に連通する収容空間と、を有するハウジングと、収容空間に収容されており、回転軸回りに回転するインペラと、を備える。ハウジングは、収容空間内にインペラの外周に沿った内部流路を有している。内部流路の流路断面積は、内部流路の全長に亘って、吸入流路の流路断面積よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積よりも大きい。
流体経路内に発生する負圧を利用して流体を流すシステムでは、渦流ポンプは、発生する負圧が不足している状況において、補助的に用いられる。このシステムでは、負圧が十分に発生している状況では、渦流ポンプを利用しなくても流体を流すことができる。従って、負圧が十分に発生している状況では、渦流ポンプの駆動を停止してインペラを回転させずに、ハウジング内に流体を通過させることによって、渦流ポンプを駆動させる期間を短縮することができる。
上記の渦流ポンプの構成によれば、ハウジング内の内部流路の流路断面積が吸入経路及び吐出経路の流路断面積よりも大きい。この構成によれば、ハウジング内に流入する流体の圧力が損失されることを抑制することができる。これにより、渦流ポンプの駆動を停止した状態で、ハウジング内で流体をスムーズに通過させることができる。これにより、渦流ポンプを効率よく利用することができる。
実施例の自動車の燃料供給システムの概略を示す。 第1実施例のパージポンプの斜視図を示す。 図2のIII-III断面の断面図を示す。 第1実施例のインペラの底面図を示す。 第1実施例のカバーを下方から見た底面図を示す。 図3の領域ARの拡大図を示す。 第2実施例のパージポンプの斜視図を示す。 図7のVIII-VIII断面の断面図を示す。 第2実施例のパージポンプの吸入ポートの上方から見た図を示す。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本実施例の渦流ポンプでは、ハウジングは、インペラの回転方向に延びており、内部流路を有する1本以上の対向溝を有していてもよい。回転軸を通過する断面における1本以上の対向溝の断面積の合計は、対向溝の全長に亘って、吸入流路の流路断面積以上であり、かつ、吐出流路の流路断面積以上であってもよい。この構成では、過流ポンプが停止している間、ハウジング内の流体が対向溝内及びハウジングとインペラとの隙間を流れる。対向溝の断面積の合計を吸入流路及び吐出流路の断面積よりも大きくすることによって、流体が対向溝によって圧力損失が発生することを抑制することができる。
(特徴2)本実施例の渦流ポンプでは、インペラは、一方の端面の外周部に回転方向に沿って配置される複数の羽根と、隣り合う羽根の間にそれぞれ配置される複数の羽根溝と、外周縁において複数の羽根溝のインペラ外周側を閉塞する外周壁を有していてもよい。複数の羽根溝のそれぞれは、インペラの一方の端面に開口する一方、インペラの他方の端面に閉塞していてもよい。この構成では、渦流ポンプを駆動している間、羽根溝と内部流路とで画定される空間内で旋回する流体を、外周壁及び羽根溝のインペラの他方の端面側の面で案内することができる。これにより、渦流ポンプの回転数を抑えても、流体を昇圧されることができる。この結果、渦流ポンプの駆動中においても、渦流ポンプを効率よく利用することができる。
(特徴3)本実施例の渦流ポンプでは、吸入流路及び吐出流路は、インペラの外周から回転軸に垂直に延びていてもよい。ハウジングは、吸入流路と収容空間とを連通する吸入側連通流路と、吐出流路と収容空間とを連通する吐出側連通流路と、をさらに有していてもよい。吸入側連通流路の流路断面積と吐出側連通流路の流路断面積とは、それぞれ、吸入流路の流路断面積よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積よりも大きくてもよい。この構成によれば、吸入流路及び吐出流路がインペラの回転軸に垂直に延びる渦流ポンプにおいて、吸入側連通流路と吐出側連通流路とによって、流体の圧力損失が発生することに抑制することができる。
(特徴4)本実施例の渦流ポンプでは、吸入流路及び吐出流路の少なくとも一方は、インペラの回転軸方向に沿って延びていてもよい。内部流路は、インペラの両面のそれぞれに対向して配置されていてもよい。収容空間は、吸入流路及び吐出流路のうち、インペラの回転軸方向に延びる流路のインペラの回転軸方向の延長線上に位置しており、インペラの両面に配置される内部流路をインペラの外周側で連通する外周流路を、さらに備えていてもよい。インペラの一方の面側に配置されている内部流路が外周流路よりも上流側に位置する一方、インペラの他方の面側に配置されている内部流路が外周流路よりも下流側に位置していてもよい。回転軸に垂直な方向における外周流路の流路断面積は、吸入流路の流路断面積の1/2よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積の1/2よりも大きくてもよい。この構成では、吸入流路から内部流路に流入する流体のうち、およそ半分がインペラの一方の面側に配置されている内部流路に流入し、他のおよそ半分が外周流路を通過して、インペラの他方の面側に配置されている内部流路に流入する。この構成によれば、吸入流路及び吐出流路がインペラの回転軸方向に沿って延びる渦流ポンプにおいて、外周流路によって、流体の圧力損失が発生することに抑制することができる。
(第1実施例)
図面を参照して、実施例のパージポンプ10を説明する。図1に示すように、パージポンプ10は、自動車に搭載され、燃料タンク3に貯留される燃料をエンジン8に供給する燃料供給システム1に配置される。燃料供給システム1は、燃料タンク3からエンジン8に燃料を供給するためのメイン供給経路2とパージ供給経路4を有する。
メイン供給経路2には、燃料ポンプユニット7と、供給管70と、インジェクタ5と、が配置されている。燃料ポンプユニット7は、燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ、制御回路等を備える。燃料ポンプユニット7では、後述するECU(Engine Control Unitの略)6から供給される信号に応じて制御回路が燃料ポンプを制御する。燃料ポンプは、燃料タンク3内の燃料を昇圧して吐出する。燃料ポンプから吐出される燃料は、プレッシャレギュレータで調圧されて、燃料ポンプユニット7から供給管70に供給される。
供給管70は、燃料ポンプユニット7とインジェクタ5とを連通する。供給管70に供給された燃料は、供給管70内をインジェクタ5まで流れる。インジェクタ5は、ECU6によって開度がコントロールされる弁を有する。インジェクタ5は、弁が開かれると、供給管70から供給される燃料をエンジン8に供給する。
パージ供給経路4には、キャニスタ73と、パージポンプ10と、VSV(Vacuum Switching Valveの略)100と、それらを連通する連通管72,74,76,78と、を備える。キャニスタ73は、燃料タンク3内で発生した気化燃料を吸着する。キャニスタ73は、タンクポートと、パージポートと、大気ポートとを備える。図1にパージ供給経路4から吸気管80までの気体の流れ方向が矢印で示されている。タンクポートは、燃料タンク3の上端から延びる連通管72に接続されている。これにより、キャニスタ73は、燃料タンク3の上端から延びる連通管72に連通する。キャニスタ73は、燃料を吸着可能な活性炭を収容する。活性炭は、燃料タンク3から連通管72を介してキャニスタ73内部に流入する気体から気化燃料を吸着する。キャニスタ73内部に流入した気体は、気化燃料が吸着された後、キャニスタ73の大気ポートを通過して大気に放出される。これにより、気化燃料が大気に放出されることを防止することができる。
キャニスタ73のパージポートには、連通管74を介して、パージポンプ10が接続されている。詳細な構造は後述するが、パージポンプ10は、気体を圧送する、いわゆる渦流ポンプである。パージポンプ10は、ECU6によって制御される。パージポンプ10は、キャニスタ73で吸着されている気化燃料を吸入し、昇圧して吐出する。パージポンプ10が駆動している間、キャニスタ73では、大気ポートから大気が吸入され、吸着された気化燃料とともにパージポンプ10に流入する。
パージポンプ10から吐出された気化燃料は、連通管76とVSV100と連通管78とを通過して吸気管80に流入する。VSV100は、ECU6に制御される電磁弁である。ECU6は、VSV100を制御することによって、パージ供給経路4から吸気管80に供給される気化燃料量を調整する。VSV100は、インジェクタ5よりも上流側で吸気管80に接続される。吸気管80は、エンジン8に空気を供給する配管である。吸気管80のVSV100が接続される位置よりも上流側には、スロットルバルブ82が配置されている。スロットルバルブ82は、吸気管80の開度を制御することによって、エンジン8に流入する空気を調整する。スロットルバルブ82は、ECU6によって制御される。
吸気管80のスロットルバルブ82よりも上流側には、エアクリーナ84が配置されている。エアクリーナ84は、吸気管80に流入する空気から異物を除去するフィルタを有する。吸気管80では、スロットルバルブ82が開くと、エアクリーナ84からエンジン8に向けて吸気される。エンジン8は、吸気管80からの空気と燃料とを内部での燃焼に用い、燃焼後に排気する。
パージ供給経路4では、パージポンプ10が駆動することによって、キャニスタ73に吸着された気化燃料を吸気管80に供給することができる。エンジン8が駆動している場合、吸気管80内に負圧が発生している。このため、パージポンプ10が停止されている状態で、キャニスタ73に吸着された気化燃料が、吸気管80内の負圧によって停止中のパージポンプ10内を通過して吸気管80内に吸入される。一方で、自動車の停止時にエンジン8のアイドリングを停止したり、ハイブリッド車のようにエンジン8を停止してモータで走行する場合、言い換えると、環境対策のためにエンジン8の駆動を制御する場合、エンジン8の駆動による吸気管80内の負圧が発生しない状況が生じる。また、過給機が搭載される場合、過給機によって吸気管80が正圧にされる状況が生じる。パージポンプ10は、このような状況において、エンジン8に替わってキャニスタ73に吸着された気化燃料を吸気管80に供給することができる。なお、変形例では、エンジン8が駆動しており、吸気管80内に負圧が発生している状況でも、パージポンプ10が駆動し、気化燃料を吸入し吐出してもよい。
次いで、パージポンプ10の構成を説明する。図2は、パージポンプ10のポンプ部50側から見た斜視図を示す。図3は、図2のIII-III断面を示す断面図である。本実施例では、図3の上下方向を基準として「上」、「下」を表すが、図3の上下方向が、パージポンプ10が自動車に搭載される方向とは限らない。
パージポンプ10は、モータ部20と、ポンプ部50と、を備える。モータ部20は、ブラシレスモータを有する。モータ部20は、上方ハウジング26と、ロータ(図示省略)と、ステータ22と、制御回路24と、を備える。上方ハウジング26は、ロータと、ステータ22と、制御回路24とを収容する。制御回路24は、自動車のバッテリから供給される直流電力をU相、V相、W相の三相交流電力に変換し、ステータ22に供給する。制御回路24は、ECU6から供給される信号に従ってステータ22に電力を供給する。ステータ22は、円筒形状を有しており、その中心部には、ロータが配置されている。ロータは、ステータ22に対して回転可能に配置されている。ロータは、その周方向に交互に異なる方向に磁化されている永久磁石を有する。ロータは、ステータ22に電力が供給されることによって、シャフト30の中心軸X(以下では「回転軸X」と呼ぶ)を中心に回転する。
モータ部20の下方には、ポンプ部50が配置されている。ポンプ部50は、モータ部20によって駆動される。ポンプ部50は、下方ハウジング52と、インペラ54と、を備える。下方ハウジング52は、上方ハウジング26の下端に固定されている。下方ハウジング52は、底壁52aとカバー52bとを備える。カバー52bは、上壁52cと、周壁52dと、吸入ポート56と、吐出ポート58(図2参照)と、を備える。上壁52cは、上方ハウジング26の下端に配置されている。周壁52dは、上壁52cから下方に向かって突出しており、上壁52cの外周縁を一巡する。周壁52dの下端には、底壁52aが配置されている。底壁52aは、ボルトによってカバー52bに固定されている。底壁52aは、周壁52dの下端を閉塞している。底壁52aとカバー52bとによって、空間60が画定されている。
図5は、カバー52bを下方から見た図である。周壁52dには、それぞれが空間60に連通する吸入ポート56と吐出ポート58とが外側に向かって突出している。吸入ポート56と吐出ポート58とは、互いに平行に、かつ、回転軸X方向と垂直に配置されている。吸入ポート56は、連通管74を介してキャニスタ73に連通している。吸入ポート56は、内部に吸入流路を備え、キャニスタ73から気化燃料を空間60に導入する。吐出ポート58は、内部に吐出流路を備え、下方ハウジング52内で吸入ポート56に連通しており、空間60内に吸入された気化燃料を、パージポンプ10外に排出する。吸入流路は流路断面積S1を有し、吐出流路は流路断面積S4を有する。以下では、流路断面積を単に「断面積」と呼ぶ。断面積S1は、吸入流路を気化燃料の流れ方向に垂直な断面の断面積であり、断面積S4は、吐出流路を気化燃料の流れ方向に垂直な断面の断面積である。即ち、吸入流路の断面積は、吸入ポート56の内側の面積に等しく、吸入流路の断面積は、吐出ポート58の内側の面積に等しい。
上壁52cには、吸入ポート56から吐出ポート58まで周壁52dに沿って延びる対向溝52eを有する。底壁52aも同様に、吸入ポート56から吐出ポート58まで周壁52dに沿って延びる対向溝52f(図3参照)を有する。対向溝52e及び対向溝52fは、長手方向の両端を除く中間位置、詳細には、インペラ54に対向する位置において、一定の深さを有し、長手方向の両端では、それぞれ吸入ポート56、吐出ポート58に近づくのに従って徐々に浅くなっている。インペラ54の回転方向Rに沿って見たときに、吐出ポート58と吸入ポート56との間は、周壁52dによって、隔離されている。これにより、高圧の吐出ポート58から低圧の吸入ポート56に気体が流れることを抑制することができる。
図3に示すように、空間60には、インペラ54が収容されている。インペラ54は、円板形状を有する。インペラ54の厚みは、下方ハウジング52の上壁52cと底壁52aとの隙間よりも若干小さい。インペラ54は、上壁52cと底壁52aのそれぞれに対して、小さな隙間を有して対向している。また、インペラ54と周壁52dとの間には、小さな隙間が設けられている。インペラ54は、中心にシャフト30に嵌合される嵌合孔を有する。これにより、インペラ54は、シャフト30の回転に伴って、回転軸Xを中心に回転する。
図4に示されるように、インペラ54は、下面54hの外周部に、複数の羽根54aと複数の羽根溝54bとを有する羽根溝領域54fを有する。なお、図面では、1個の羽根54aと1個の羽根溝54bのみに符号が付されている。同様に、インペラ54は、上面54gの外周端にも、複数の羽根54aと複数の羽根溝54bとを有する羽根溝領域54fを有する。なお、上面54g及び下面54hを、インペラ54の回転軸X方向の端面ということができる。上面54gに配置される羽根溝領域54fは、対向溝52eに対向して配置されている。同様に、下面54hに配置される羽根溝領域54fは、対向溝52fに対向して配置されている。各羽根溝領域54fは、インペラ54の外周壁54cの内側において、インペラ54の周方向に一巡する。複数の羽根54aは、同一の形状を有する。複数の羽根54aは、羽根溝領域54fにおいて、インペラ54の周方向に等間隔で配置されている。インペラ54の周方向に隣り合う2個の羽根54aの間には、1個の羽根溝54bが配置されている。即ち、複数の羽根溝54bは、インペラ54の外周壁54cの内側において、インペラ54の周方向に等間隔で配置されている。言い換えると、複数の羽根溝54bは、外周壁54cによって、外周側の端部が閉塞されている。
図6は、図3の領域ARの拡大図であり、回転軸Xを通過し、かつ、インペラ54の両面に配置される羽根溝54bの深さが最も深い位置の断面を表す。図6では、見易さを優先して、インペラ54と下方ハウジング52との間の隙間が広くされている。図6に示すように、インペラ54の下面54hに配置されている複数の羽根溝54bのそれぞれは、インペラ54の下面54h側に開口する一方、インペラ54の上面54g側で閉塞している。同様に、インペラ54の上面54gに配置されている複数の羽根溝54bのそれぞれは、インペラ54の上面54g側で開口する一方、インペラ54の下面54h側で閉塞している。即ち、インペラ54の下面54hに配置されている複数の羽根溝54bとインペラ54の上面54gに配置されている複数の羽根溝54bとは遮断されており、連通していない。この構成では、パージポンプ10を駆動している間、羽根溝54bと対向溝52e,52fとで画定される空間内で旋回する気体を、外周壁54c及び羽根溝54bの底面で案内することができる。これにより、パージポンプ10の回転数を抑えても、気体を昇圧することができる。この結果、パージポンプ10の駆動中において、パージポンプ10を効率よく利用することができる。
パージポンプ10の駆動中では、モータ部20のロータに伴って、インペラ54が回転される。この結果、キャニスタ73に吸着された気化燃料を含む気体が吸入ポート56から下方ハウジング52内に吸入される。羽根溝54bと対向溝52eとによって形成される空間57内では気体の渦流(旋回流)が発生する。羽根溝54bと対向溝52fとによって形成される空間59内でも同様である。この結果、下方ハウジング52内の気体が昇圧され、吐出ポート58から吐出される。
一方、パージポンプ10が停止している間、即ち、パージポンプ10への電力の供給が停止され、モータ部20の回転に応じたインペラ54の回転が停止されている間、エンジン8の駆動によって発生する吸気管80内の負圧によって、キャニスタ73に吸着された気化燃料は、パージポンプ10を通過して、吸気管80内に流入する。
気化燃料は、図5に示す吸入ポート56内の吸入経路と内部流路64とを連通する連通流路61を通過する。内部流路64は、インペラ54と下方ハウジング52との隙間によって画定される流路である。次いで、気化燃料は、図6に示す内部流路64を通過する。インペラ54が停止しているため、羽根溝54b内に気化燃料は流れない。気化燃料は、内部流路64から流出すると、内部流路64と吐出ポート58内の吐出経路とを連通する連通流路62を通過する。次いで、気化燃料は、連通流路62から吐出経路に流れ、パージポンプ10外の連通管78に吐出される。
対向溝52eの断面積はS5a(図6ではドットで示されている)であり、対向溝52fの断面積はS5b(図6ではドットで示されている)である。対向溝52e,52fの断面積S5a,S5bは、インペラ54の回転方向Rに垂直な断面の断面積であり、回転軸Xを通過する断面における対向溝52e,52fの断面積である。断面積S5aは、断面積S5bと等しい。内部流路64の断面積S7は、S5(=S5a+S5b)+S6であり、断面積S6は、回転軸Xを一辺とする平面におけるインペラ54と下方ハウジング52との隙間の断面の断面積である(図6ではドットで示されている)。連通流路61の断面積はS2であり、連通流路62の断面積はS3である。連通流路61,62の断面積S2,S3は、連通流路61,62を流れる気体の流れ方向に垂直な断面における断面積である。なお、対向溝52e,52fの断面積S5a,S5b及び連通流路61,62の断面積S2,S3は、気体の流れ方向で変化する。吸入流路の断面積S1と吐出流路の断面積S4及び、断面積S6及びは、気体の流れ方向の全長において一定である。なお、変形例では、断面積S5a,S5b,S2,S3は一定であってもよく、断面積S1,S2,S6は変化してもよい。
吸入流路の断面積S1と吐出流路の断面積S4とは等しく、内部流路64の断面積S7の最小値は、断面積S1,S4よりも大きく、連通流路61,62の断面積S2,S3のそれぞれの最小値は、断面積S1,S4よりも大きい。これにより、吸入流路からパージポンプ10内を通過して吐出流路に流れる気体が、パージポンプ10内で断面積が小さくなることによって、圧力損失が発生することを抑制することができる。これにより、パージポンプ10の駆動を停止した状態で、下方ハウジング52内で気体をスムーズに通過させることができる。これにより、パージポンプ10を効率よく利用することができる。
また、対向溝52e,52fの断面積S5は、吸入流路の断面積S1及び吐出流路の断面積S4と等しいか、あるいはそれ以上である。この構成によれば、インペラ54と下方ハウジング52との隙間を、断面積S6の大きさを考慮せずに小さくすることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。なお、第1実施例と同様の構成には、同一の符号が付されている。図7に示すように、パージポンプ100では、吸入ポート156が、回転軸X方向に平行に延びている。その他の構成は、第1実施例と同様である。図8は、吸入ポート156と吸入ポート156の下方(即ち延長線上)に位置する外周流路160の断面図である。図9は、吸入ポート156を上方から見たときの吸入ポート156から見えるハウジング152内部を表す図である。図8に示されるように、吸入ポート156内の吸入流路156aは、対向溝52eに直接的に接続されている。また、吸入流路156aは、外周流路160を介して、対向溝52fに接続されている。即ち、対向溝52eは外周流路160の上流側に位置しており、対向溝52fは外周流路160の下流側に位置している。
図9に示すように、外周流路160は、吸入流路156aの延長線上に位置する流路であって、インペラ54の外周縁とハウジング152との隙間のうち、吸入流路156aを延長したときに重複する範囲の隙間である。外周流路160の断面積S24は、吸入流路156aの断面積S21(=断面積S1)の1/2よりも大きく、かつ、吐出ポート58内の吐出経路の断面積S2の1/2よりも大きい。
気体が吸入流路156aを通過して内部流路64に流入されると、吸入流路156aを通過した約半分の量の気体が対向溝52e側に流入する一方、残りの約半分の量の気体が外周流路160を通過して、対向溝52f側に流入する。外周流路160の断面積S24を断面積S21の半分より大きく設定することによって、気体の圧力損失を抑制することができる。
なお、変形例では、吐出ポート58も回転軸X方向に平行に延びていてもよい。この場合、吐出流路の延長線上に位置する流路であって、インペラ54の外周縁とハウジング152との隙間のうち、吐出流路を延長したときに重複する範囲の外周流路が、断面積S21(=断面積S1)の1/2よりも大きく、かつ、断面積S2の1/2よりも大きくてもよい。
また、吸入流路156aは、回転軸Xに平行でなくてもよく、回転軸Xに対して90度以内で傾斜していてもよい。吐出流路も同様である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、インペラ54の外周壁54cの形状は、実施例の形状に限られない。例えば、外周壁54cは、インペラ54の上下方向の中央部に配置される一方、上下端部に配置されていなくてもよい。この場合、外周壁54cの上端は、上下方向において、渦流の中心と同じ位置かそれより上方に位置していてもよい。外周壁54cの下端も同様に、上下方向において、渦流の中心と同じ位置かそれより下方に位置していてもよい。あるいは、インペラ54は、外周壁54cを有していなくてもよい。
また、上記の実施例では、インペラ54の羽根54a及び羽根溝54bは、上下面54g,54hで同一の形状を有している。しかしながら、羽根54a及び羽根溝54bの形状は、上下面54g,54hで異なっていてもよい。あるいは、羽根54a及び羽根溝54bは、上下面54g,54hのいずれか一方のみに配置されていてもよい。
本明細書の「渦流ポンプ」は、パージポンプ10に限られず、他のシステムにも利用することができる。例えば、エンジン8の排気を循環させ、吸気と混合させてエンジン8の燃料室に供給する排気再循環(即ちEGR(Exhaust Gas Recirculationの略))において、排気を吸気管80に供給するためのポンプとして利用することができる。また、自動車以外の産業用のポンプとしても利用することができる。さらに、本明細書の「渦流ポンプ」は、例えば燃料ポンプ等の液体を対象とする渦流ポンプであってもよい。
吸入経路と吐出経路の流路断面積は、互いに異なっていてもよい。同様に、対向溝52e,52fの流路断面積は、互いに異なっていてもよい。
上記の下方ハウジング52には、対向溝52e,52fが配置されている。しかしながら、対向溝52e,52fは、互いに区別されていなくてもよい。例えば、下方ハウジング52は、インペラ54の上下面54g,54hのそれぞれの羽根溝領域54fに対向する領域と、それらの領域をインペラ54の外周縁の外側で連通する領域と、がインペラ54から同じ距離だけ離間することによって構成される内部流路を有していてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
1 :燃料供給システム
2 :メイン供給経路
10 :パージポンプ
20 :モータ部
30 :シャフト
50 :ポンプ部
52 :下方ハウジング
52a :底壁
52b :カバー
52c :上壁
52d :周壁
52e :対向溝
52f :対向溝
54 :インペラ
54a :羽根
54b :羽根溝
54c :外周壁
54f :羽根溝領域
54g :上面
54h :下面
56 :吸入ポート
58 :吐出ポート

Claims (5)

  1. 吸入流路と、吐出流路と、吸入流路及び吐出流路に連通する収容空間と、を有するハウジングと、
    収容空間に収容されており、回転軸回りに回転するインペラと、を備え、
    ハウジングは、収容空間内にインペラの外周に沿った内部流路を有しており、
    内部流路の流路断面積は、内部流路の全長に亘って、吸入流路の流路断面積よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積よりも大きく、
    ハウジングは、インペラの回転方向に延びており、内部流路を有する1本以上の対向溝を有し、
    対向溝のインペラの回転方向の両端を除く中間位置において、対向溝は、一定の深さを有し、
    対向溝のインペラの回転方向の両端において、対向溝は、吸入流路と吐出流路のそれぞれに近づくのに従って徐々に浅くなる、渦流ポンプ。
  2. 転軸を通過する断面における1本以上の対向溝の断面積の合計は、対向溝の全長に亘って、吸入流路の流路断面積以上であり、かつ、吐出流路の流路断面積以上である、請求項1に記載の渦流ポンプ。
  3. インペラは、
    回転軸方向の両面の少なくとも一方の端面の外周部に回転方向に沿って配置される複数の羽根と、
    隣り合う羽根の間にそれぞれ配置される複数の羽根溝と、
    外周縁において複数の羽根溝のインペラ外周側を閉塞する外周壁を有しており、
    複数の羽根溝のそれぞれは、インペラの一方の端面に開口する一方、インペラの他方の端面に閉塞している、請求項1又は2に記載の渦流ポンプ。
  4. 吸入流路及び吐出流路は、インペラの外周から回転軸に垂直に延びており、
    ハウジングは、吸入流路と収容空間とを連通する吸入側連通流路と、吐出流路と収容空間とを連通する吐出側連通流路と、をさらに有し、
    吸入側連通流路の流路断面積と吐出側連通流路の流路断面積とは、それぞれ、吸入流路の流路断面積よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦流ポンプ。
  5. 吸入流路及び吐出流路の少なくとも一方は、インペラの回転軸方向に沿って延びており、
    内部流路は、インペラの両面のそれぞれに対向して配置されており、
    収容空間は、吸入流路及び吐出流路のうち、インペラの回転軸方向に延びる流路のインペラの回転軸方向の延長線上に位置しており、インペラの両面に配置される内部流路をインペラの外周側で連通する外周流路を、さらに備え、
    インペラの一方の面側に配置されている内部流路が外周流路よりも上流側に位置する一方、インペラの他方の面側に配置されている内部流路が外周流路よりも下流側に位置しており、
    回転軸に垂直な方向における外周流路の流路断面積は、吸入流路の流路断面積の1/2よりも大きく、かつ、吐出流路の流路断面積の1/2よりも大きい、請求項1からのいずれか一項に記載の渦流ポンプ。
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