以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。作用、機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する場合がある、なお、本実施形態に係る表示媒体は複数の画素を含んで構成されるが、説明を簡易化するために、1つの画素に注目した図を用いて本実施形態を説明する。
また、シアン色を符号C、マゼンタ色を符号M、黄色を符号Y、白色を符号Wで表すと共に、特性等を説明する際、色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色符号(C、M、Y、W)を付して区別する。
また、シアン色の粒子を粒子C、マゼンタ色の粒子を粒子M、黄色の粒子を粒子Y、白色の粒子を粒子Wと記し、各粒子とその粒子群を同じ符号によって示す。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る表示装置100を概略的に示した図である。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。 駆動装置20は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の色情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
表示媒体10は、画像表示面とされる透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置されている。また、これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、基板1、2間を複数に区画する間隙部材5が設けられ、表示媒体の面内の粒子群が偏るのを防止している。背面電極4は複数の電極からなり、各電極は画素となるが、画素と上記区画は一致していても、一致していなくてもよい。なお、表示基板1及び背面基板2が共に透光性を有するようにしてもよい。
上記画素と背面側電極4によって挟まれた領域中には、例えば、絶縁性液体で構成された透明の分散媒6と、分散媒6中に分散されたシアン色粒子群11C、マゼンタ色粒子群11M、黄色粒子群11Y、及び白色粒子群12Wが封入されている。粒子群は3種類として説明するが、2種類であっても、また4種類以上であってもよい。
本実施形態に係る粒子群11C、粒子群11M、及び粒子群11Y(以下、粒子群11という)は、例えば、共に正極に帯電され、一対の電極3、4間に予め定めた閾値を越えるエネルギーを印加することにより、粒子群11が一対の電極3、4間を移動する特性を有している。
ここで閾値とは、表示基板1及び背面基板2の何れか一方の基板に付着した粒子群11に働く、例えば、ファンデルワールス力及び分子間力等による粒子11間の引力や粒子群11及び基板1、2間の引力、並びに、鏡像力等による粒子群11及び基板1、2間の引力を断ち切って、粒子群11を表示基板1又は背面基板2から剥離させるのに必要なエネルギー、すなわち、粒子群11が移動を開始するのに必要とする移動開始エネルギーを示すものである。
この粒子群11の移動開始エネルギーは、基板1、2間に印加される電圧の大きさと電圧の印加時間に依存する。
従って、粒子11間の引力や粒子群11及び基板1、2間の引力を断ち切るために必要な電圧を印加しても、閾値に達する前に電圧の印加を停止すると、粒子群11は基板1、2から剥離せず、基板1、2の何れか一方の基板に付着したままとなる。
この粒子群11の移動の特性を表す閾値は、粒子群11の種類毎に異なり、本実施形態では、例えば、粒子群11において粒子群11Yの閾値が最も低く、粒子群11Cの閾値が最も高いものとする。
なお、粒子群11の帯電極性に関する制限はなく、本実施形態は粒子群11の帯電極性には依存しない。例えば、全ての粒子群が正、あるいは負でも、粒子群ごとに帯電極性が異なっていてもよい。
また、本実施形態に係る粒子11C及び粒子11Mの粒径は共に、例えば、粒子11Yの粒径よりも小さく、一対の電極3、4間に予め定めた閾値を越える電圧を印加して粒子11Yが何れかの基板に付着し凝集した状態であっても、凝集した粒子11Yの間隙をすり抜けられる程度の粒径とされる。なお、本実施形態に係る粒子11の粒径に関する制限はなく、粒子11の帯電極性、応答性等に応じて適宜設定すればよい。
更に、粒子群11の色に関しても互いの種類の粒子群の色が異なっていればよく、シアン色、マゼンタ色、及び黄色に限定されない。
一方、粒子群12Wは、粒子群11に比べて帯電量が少ないか、帯電していない粒子群である。そのため、粒子群11が一対の基板1、2のうち何れか一方の基板まで泳動する電圧が一対の電極3、4間に印加されても、粒子群11の泳動速度に比べて粒子群12Wの泳動速度は遅く、粒子群12Wは何れの基板1、2にも付着することなく分散媒6中を浮遊する。
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示側電極3及び背面側電極4に表示させる画像の色情報に応じた電圧を印加することにより、分散媒6中の粒子群11を泳動させ、一対の基板1、2のうち何れか一方の基板に、画像の色情報で指定された粒子群11の各色に対応した表示色の濃度(以下、階調ともいう)に応じた粒子量の粒子11を付着させることで、表示媒体10に画像を表示する。
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されると共に、制御部40と接続され、制御部40からの指示に従い、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加する。
本実施形態では、例えば、背面側電極4がTFT電極で構成されており、n個の横方向の走査線(アドレスラインY1〜Yn)とm個の縦方向の信号線(データラインX1〜Xm)でマトリクスを形成し、その交点に画素毎の背面側電極4が配置される、いわゆるアクティブマトリクス方式の駆動方式が用いられている。
この場合、走査線は背面側電極4のゲートに接続されて、TFT電極のオン、オフを決める電圧を印加する。信号線は背面側電極4のドレイン又はソースに接続されて、表示色の濃度を調整する電圧(以下、濃度調整電圧という)を印加する。
すなわち、走査線の1つYi(i=1〜n)を通じてその配線上の背面側電極4を導通し、信号線から背面側電極4に濃度調整電圧を印加する。その走査をY1〜Yn(1フレーム)の全走査線に渡って行うことで表示媒体10に表示させる画像を書き換える。
従って、本実施形態に係る濃度調整電圧は、1フレームの走査時間を単位時間とする単位パルスを少なくとも1つ以上含んで構成されている。すなわち、濃度調整電圧の印加時間は、濃度調整電圧に含まれる単位パルスの数を増減させることで、単位パルス幅を単位として可変とされる。また、濃度調整電圧の電圧値は、濃度調整電圧の印加時間における単位パルスの高さ(電圧値)の平均値となる。なお、背面側電極4はTFT電極に限定されるものではない。
本実施形態では、表示側電極3をグラウンドレベル(0V)とし、背面側電極4に電圧を印加するものとする。表示電極の電位は、フレーム走査時間の整数倍の時間で同期させて変化させても良く(所謂コモン振り)、その場合の背面側電極の電位は、表示電極に対する相対的な電位を表すものとする。
図2は、電極3、4間に同じ電圧値を有する電圧を印加した場合の、各粒子群11に対する階調制御特性を示した図であり、特性15Yは粒子群11Yの階調制御特性、特性15Mは粒子群11Mの階調制御特性、特性15Cは粒子群11Cの階調制御特性を示している。
同図の横軸は濃度調整電圧による電界の印加時間、縦軸は粒子群11の移動粒子量を表している。ここで移動粒子量が0%とは、各粒子群11の全ての粒子が背面基板2に付着している状態をいい、移動粒子量が100%とは、各粒子群11の全ての粒子が表示基板1に付着している状態をいう。言い換えれば、移動粒子量が0%の状態とは、粒子群11の各粒子色の濃度が表示基板1側から視認されない状態をいい、移動粒子が100%の状態とは、表示基板1側から視認される粒子群11の各粒子色の濃度が最大濃度となっている状態をいう。
同図から、移動粒子量を0%から100%まで変化させるのに要する時間(以下、移動時間という)は、粒子群11の中で最も閾値が低い粒子群11Yが時間TmYmaxと最も短く、粒子群11の中で最も閾値が高い粒子群11Cが時間TmCmaxと最も長いことがわかる。
すなわち、このような特性15Y、15M、15Cを有する粒子群11を含む画素の電極3、4間に電圧値が等しい濃度調整電圧を印加して粒子群11に対する階調制御を実施する場合、粒子群11に含まれる各粒子群の間で移動時間に差異があるため、移動時間に亘って印加した濃度調整電圧に含まれる単位パルスの数も粒子群11に含まれる各粒子群の間で相違する。
既に述べたように、濃度調整電圧の印加時間の可変単位は単位パルス幅となるため、閾値が高い粒子群ほど取り得る階調数が多くなり、閾値が低い粒子群ほど取り得る階調数が少なくなる。
具体的には、例えば、電極3、4間の電界強度を0.3V/μmとした場合の移動時間TmYmaxは0.1s、移動時間TmMmaxは0.3s、移動時間TmCmaxは0.5sとなる。よって、例えば、単位パルス幅を0.02s(50Hz)とした場合には、濃度調整電圧を印加しない場合を含めると、粒子群11Yの取り得る階調数は6ステップ、粒子群11Mの取り得る階調数は16ステップ、粒子群11Cの取り得る階調数は26ステップとなる。
従って、階調数を増加させ表示媒体10に表示する画像の表示品質を向上させる場合であっても、粒子群11の表示色毎に階調数が異なったままとするか、或いは、最も階調数が少ない表示色にその他の表示色の階調を合わせることとなるため、画像の表示品質の向上に対する制限事項の1つとなりうる。
そこで、本発明の発明者らは、粒子群11に印加する電界強度を様々に変化させて考察を行った結果、電界強度の大きさと移動時間との間に相関関係が存在することを見出した。
図3は、粒子群11Yに印加された電界強度と移動時間との関係の一例を示す図であり、特性15Yは図2に示した特性15Yと同じく、電界強度を0.3V/μmとした場合の粒子群11Yの階調制御特性、特性15YAは電界強度を0.2V/μmとした場合の粒子群11Yの階調制御特性、特性15YBは電界強度を0.1V/μmとした場合の粒子群11Yの階調制御特性を示している。
粒子群11Yの濃度が変化し始めるまでに要する時間に関して、tY11<tY12<tY13となり、移動時間に関して、TmYmax<TmYAmax<TmYBmaxとなっていることから、電界強度を低くするほど、粒子群11Yの濃度が変化し始めるまでに要する時間が長くなり、且つ、移動時間が長くなることがわかる。
具体的には、一例として移動時間TmYmaxは0.1s、移動時間TmYAmaxは0.3s、移動時間TmYBmaxは0.5sとなる。
すなわち、例えば電界強度を0.3V/μmとした場合の粒子群11Cの移動時間TmCmaxと、電界強度を0.1V/μmとした場合の粒子群11Yの移動時間TmYBmaxは共に0.5sとなり、例えば濃度調整電圧の単位パルス幅を0.02sとした場合には、粒子群11Yの取り得る階調数と粒子群11Cの取り得る階調数は共に26ステップとなった。
従って、粒子群11に含まれる各粒子群に対して階調制御を行う場合、粒子群11のうち閾値が低い粒子群ほど、電極3、4間に印加する濃度調整電圧の電圧値を低くするように調整すれば、粒子群11C、粒子群11M、及び粒子群11Yの取り得る階調数が等しくなる。
図4は、この状態を説明した図であり、粒子群11Cの移動時間TmCmaxと、粒子群11Mの移動時間TmMmaxと、粒子群11Yの移動時間TmYmaxと、が等しくなるように濃度調整電圧の電圧値を設定している。
ここで、濃度調整電圧の電圧値について、|V3|<|V2|<|V1|に設定し、粒子群11Cに対する階調制御の際には濃度調整電圧V1を、粒子群11Mに対する階調制御の際には濃度調整電圧−V2を、粒子群11Yに対する階調制御の際には濃度調整電圧V3を印加する。
この場合、移動時間TmYmax、移動時間TmMmax、及び移動時間TmCmaxにそれぞれ含まれる単位パルスの数が等しくなるため、粒子群11に含まれる各粒子群が取り得る階調数が等しくなる。
なお、濃度調整電圧V1、−V2、V3がそれぞれ複数の領域に区分されているのは、印加電圧が複数の単位パルスから構成されていることを示している。
図5は、本実施形態に係る駆動装置20の電気系の要部構成を示した図である。
駆動装置20の制御部40は、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、不揮発性メモリ404、及び入出力インターフェース(I/O)405がバス406を介して各々接続された構成であり、I/O405には電圧印加部30が接続されている。
なお、不揮発性メモリ404は、I/O405を介してコンピュータ40の外部に接続されてもよく、例えばメモリカード等の外部記憶装置であってもよい。
以下では、表示媒体10に画像を表示する際に、CPU401が各画素に印加する電圧を制御するプログラムを読み込んで実行することにより、粒子群11に含まれる各粒子群が取り得る階調数を一致させ、粒子群11の各色に対応した表示色を画像の色情報に応じた階調に制御する駆動処理について説明する。
この場合、当該プログラムをROM402に予めインストールしておく形態や、CD−ROMやメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
まず、図6を参照して、本実施形態に係る駆動処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
なお、図6は、この際にCPU401により実行される表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM402の予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU401により実行される。
また、一例として、図6の駆動処理が実行される前に、粒子群11は予め背面基板2に付着しているものとして説明する。
ステップS100では、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている表示媒体10に表示する画像の色情報を取得する。
ここで画像の色情報とは、例えばRGBデータやCMYデータ等の、画像の画素毎の表示色を一意に表現するための情報であり、本実施形態に係る画像の色情報は、例えば粒子群11の各色に対応した、シアン色、マゼンタ色、及び黄色の階調値として与えられるものとする。
ステップS105では、粒子群11のうちで最も閾値が高い粒子群の表示色を階調制御する際に使用する第1の電圧を取得する。
第1の電圧は、粒子群11に含まれる各色の粒子群の移動時間を等しくする電圧に設定され、表示装置100の実機による実験や表示装置100の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められ、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている。
本実施形態の場合、具体的には粒子群11Cの階調を制御する第1の電圧として電圧V1が取得される。
ステップS110では、まず、階調の制御対象である粒子群(この場合、粒子群11C)の閾値より低い閾値を有する粒子群(この場合、粒子群11M及び粒子群11Y)を、基板1、2のうち何れか一方の基板から剥離し、他方の基板に付着させる電圧であると共に、階調の制御対象である粒子群の階調が変化し始めるまでの電圧(以下、予備電圧という)を印加する時間(以下、予備時間という)を取得する。
本実施形態では、ステップS105で取得した第1の電圧V1を、予備時間、印加する電圧(予備電圧V1)として設定し、予備電圧V1に対する予備時間は、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている予備時間テーブルから取得する。
予備時間テーブルは、予備電圧と予備時間との関係が記載されたテーブルであり、表示装置100の実機による実験や表示装置100の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により定められたテーブルである。
なお、予備時間は、粒子群11M及び粒子群11Yが基板1、2のうち何れか一方の基板から剥離し、粒子群11M及び粒子群11Yの全ての粒子が他方の基板に付着するのに要する時間以上に設定されるのが好ましい。
次に、第1の電圧V1を、濃度調整時間、印加する電圧(濃度調整電圧)として設定する。濃度調整時間は、濃度調整時間、濃度調整電圧(第1の電圧V1)を印加した場合に、ステップS100で取得した画像の色情報で指定された色(この場合、シアン色)の階調とするための時間である。濃度調整時間を、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている濃度調整時間テーブルから取得する。
濃度調整時間テーブルは、濃度調整電圧と粒子群11の各色に対応した表示色の階調と濃度調整時間との関係が記載されたテーブルであり、表示装置100の実機による実験や表示装置100の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められたテーブルである。
そして、予備電圧(第1の電圧V1)、取得した予備時間、濃度調整電圧(第1の電圧V1)、及び取得した濃度調整時間を電圧印加指示と共に電圧印加部30へ通知する。
電圧印加部30は制御部40から電圧印加指示を受けると、電極3、4間に予備電圧(第1の電圧V1)を予備時間に亘り印加した後、濃度調整電圧(第1の電圧V1)を濃度調整時間に亘り印加し、表示媒体10の各画素に、画像の色情報で指定された階調に応じたシアン色を表示する。
なお、電極3、4間に濃度調整電圧を印加して移動時間が経過するまでは、次のステップS115へは移行しない。
ステップS115では、ステップS105の処理と同様に、粒子群11のうち、まだ階調制御の対象となっていない粒子群の種類の中で最も閾値が高い粒子群の表示色を階調制御する際に使用する第2の電圧を、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域から取得する。
第2の電圧も第1の電圧と同様に、粒子群11に含まれる各色の粒子群の移動時間を等しくする電圧に予め設定され、本実施形態の場合、具体的には粒子群11Mの階調を制御する第2の電圧として電圧−V2が取得される。
ステップS120では、ステップS110で説明した粒子群11Cに対する階調制御と同様の処理を、階調制御の対象である粒子群11Mに対して実施する。
この場合、予備電圧及び濃度調整電圧は共に第2の電圧−V2に設定され、電圧印加部30は制御部40から電圧印加指示を受けると、電極3、4間に予備電圧を予備時間に亘り印加した後、濃度調整電圧を濃度調整時間に亘り印加し、表示媒体10の各画素に、画像の色情報で指定された階調に応じたマゼンタ色を表示する。
なお、電極3、4間に濃度調整電圧を印加して移動時間が経過するまでは、次のステップS125へは移行しない。
ステップS125では、ステップS115の処理と同様に、粒子群11のうち、まだ階調制御の対象となっていない粒子群の種類の中で最も閾値が高い粒子群の表示色を階調制御する際に使用する第3の電圧を、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域から取得する。
第3の電圧も第1の電圧及び第2の電圧と同様に、粒子群11に含まれる各色の粒子群の移動時間を等しくする電圧であり、本実施形態の場合、具体的には粒子群11Yの階調を制御する第3の電圧として電圧V3が取得される。
ステップS130では、ステップS110で説明した粒子群11Cに対する階調制御と同様の処理を、階調制御の対象である粒子群11Yに対して実施する。
この場合、予備電圧及び濃度調整電圧は共に第3の電圧V3に設定され、電圧印加部30は制御部40から電圧印加指示を受けると、電極3、4間に予備電圧を予備時間に亘り印加した後、濃度調整電圧を濃度調整時間に亘り印加し、表示媒体10の各画素に、画像の色情報で指定された階調に応じた黄色を表示する。
なお、電極3、4間に濃度調整電圧を印加して移動時間が経過するまでは、本駆動処理を終了しない。
図6で説明した駆動処理を図7及び図8に基づいて具体的に説明する。
図7は、図6で説明した駆動処理を時間軸に沿って表したタイミングチャートであり、図8はその際の表示媒体10の画素内の粒子状態を表した図である。
ステップS105で第1の電圧をV1に、ステップS115で第2の電圧を−V2に、ステップS125で第3の電圧をV3に設定したことで、粒子群11Cの移動時間TmCmax、粒子群11Mの移動時間TmMmax、及び粒子群11Yの移動時間TmYmaxが等しくなり、各移動時間に含まれる単位パルスの数が等しくなることで、粒子群11の各色に対応したシアン色、マゼンタ色、及び黄色の階調数が等しく設定される。
その上で、例えば、ステップS110において、予備時間テーブルから取得した予備時間がTpC、濃度調整時間テーブルから取得した濃度調整時間がTmCであれば、予備電圧V1が印加される予備時間TpCの期間に、粒子群11M及び粒子群11Yが表示基板1側に移動する。その後、濃度調整電圧V1が濃度調整時間TmC印加されることで、画像の色情報で指定された階調に応じたシアン色が表示される。
図8(A)は濃度調整電圧V1の印加終了後の画素内の粒子状態を表した図であり、粒子群11M及び粒子群11Yは表示基板1側に移動する一方、粒子群11Cは階調に応じた粒子量の粒子11Cが表示基板1側に移動する。
また、例えば、ステップS120において、予備時間テーブルから取得した予備時間がTpM、濃度調整時間テーブルから取得した濃度調整時間がTmMであれば、予備電圧−V2が印加される予備時間TpMの期間に、粒子群11Yが背面基板2側に移動する。その後、濃度調整電圧−V2が濃度調整時間TmM印加されることで、画像の色情報で指定された階調に応じたマゼンタ色を表示する。
図8(B)は濃度調整電圧−V2の印加終了後の画素内の粒子状態を表した図であり、粒子群11Yは背面基板2側に移動する一方、粒子群11Mは階調に応じた粒子量の粒子11Mが表示基板1側に残り、その他の粒子11Mは背面基板2に移動する。
また、例えば、ステップS130において、予備時間テーブルから取得した予備時間がTpY、濃度調整時間テーブルから取得した濃度調整時間がTmYであれば、予備電圧V3が粒子群11Yの階調が変化し始めるまでの期間である予備時間TpYに亘り印加される。その後、濃度調整電圧V3が濃度調整時間TmY印加されることで、画像の色情報で指定された階調に応じた黄色を表示する。
図8(C)は濃度調整電圧V3の印加終了後の画素内の粒子状態を表した図であり、粒子群11Yは階調に応じた粒子量の粒子11Yが表示基板1側に移動する。
なお、予備時間TpCは、粒子群11M及び粒子群11Yが背面基板2から剥離し、粒子群11M及び粒子群11Yの全ての粒子が表示基板1側に付着するのに要する時間に設定するのが好ましいとしたが、少なくとも粒子群11Mの全ての粒子11が表示基板1側に付着するのに要する時間に設定してもよい。
なぜなら、濃度調整電圧V1印加後に粒子群11Mの移動粒子量が100%となっていない場合、その後、粒子群11Mに対する階調を制御する濃度調整電圧−V2を印加したとしても、粒子群11Mの階調を100%に制御することは困難だからである。
一方、粒子群11Yについては、濃度調整電圧V1印加後に粒子群11Yの移動粒子量が100%でなくとも、粒子群11Yに対する階調を制御する濃度調整電圧V3を印加することで、粒子群11Yの階調を100%にすることができる。
ただし、予備時間TpCの長さ等に制約があり、例えば、予備時間TpCの期間内に粒子群11Mについて粒子量の90%の粒子11Mしか表示基板1に付着させることができない場合は、粒子量が90%の粒子11Mによって表示されるマゼンタ色の階調を、100%の階調とすればよい。
そのためには、例えば、画素に含まれる粒子群11Mの粒子量を粒子群11Yの粒子量より多くする等の処置を行えばよい。
また、表示色の階調を変化させる必要がないため濃度調整電圧を印加しない場合であっても、予備電圧は印加する必要がある。
図9は、粒子群11Cの階調を移動粒子量が0%のまま変化させない場合の駆動処理を、時間軸に沿って表したタイミングチャートである。
この場合、同図に示されるように、粒子群11Cに対する移動時間TmCmaxの期間に濃度調整電圧は印加されないが、予備電圧V1は予備時間TpCに亘り印加される。
なぜなら、粒子群11Cに対する階調制御は不要であっても、粒子群11Cに対する階調制御の後に実施される粒子群11M及び粒子群11Yに対する階調制御のため、粒子群11M及び粒子群11Yを、背面基板2側から表示基板1側に移動させる必要があるからである。
このように本実施形態によれば、粒子群11に含まれる各粒子群の閾値が異なる場合であっても、閾値に応じて各粒子群に印加する濃度調整電圧の電圧値を調整することで、粒子群11に含まれる各粒子群が取り得る階調数を等しく設定するようにした。
従って、画像の表示品質が向上するという効果が期待される。なお、本実施形態において、例えば予備時間TpCは11C粒子の階調制御のためのTmCと合わせた形で、テーブルに記録されて、TpC+TmCに相当する制御時間の値を取得するようにしても構わない。
<第2実施形態>
次に、図10を参照して、第2実施形態に係る駆動処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
本実施形態では、予備電圧の設定に関して第1実施形態と異なるが、その他の処理及び構成は第1実施形態と同様である。
図10は、CPU401により実行される、本実施形態における表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM402の予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU401により実行される。
なお、第1実施形態に係る図6のフローチャートと異なる点は、ステップS102、ステップS112、及びステップS122が追加された点である。
ステップS102では、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている粒子群11Cに対する予備電圧を取得する。
この場合、不揮発性メモリ404の予め定めた領域には粒子群11Cに対する予備電圧として、粒子群11の中で最も閾値が高い粒子群に対する濃度調整電圧、すなわち、電圧V1が予め設定されている。
そして、ステップS110では、予備電圧の電圧をV1に設定して、予備時間TpCの間、予備電圧V1を印加する。
ステップS112では、ステップS102の処理と同様に、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている粒子群11Mに対する予備電圧を取得する。
この場合、不揮発性メモリ404の予め定めた領域には粒子群11Mに対する予備電圧として、粒子群11Cに対する予備電圧と同じ電圧値で且つ極性の異なる、電圧−V1が予め設定されている。
そして、ステップS120では、予備電圧の電圧を−V1に設定して、予備時間TpMの間、予備電圧−V1を印加する。
ステップS122では、ステップS102及びステップS112の処理と同様に、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている粒子群11Yに対する予備電圧を取得する。
この場合、不揮発性メモリ404の予め定めた領域には粒子群11Yに対する予備電圧として、粒子群11Cに対する予備電圧と同様に、電圧V1が予め設定されている。
そして、ステップS130では、予備電圧の電圧をV1に設定して、予備時間TpYの間、予備電圧V1を印加する。
図11は、図10で説明した駆動処理を時間軸に沿って表したタイミングチャートの一例であり、シアン色及び黄色の濃度を最大濃度、マゼンタ色の濃度を最小濃度に制御する駆動処理のタイミングを表している。
本実施形態によれば、第1実施形態と異なり、粒子群11Mに対する予備電圧として、濃度調整電圧−V2より低い電圧値−V1が印加され、粒子群11Yに対する予備電圧として、濃度調整電圧V3より高い電圧値V1が印加される。
従って、予備電圧を濃度調整電圧の電圧値と同じ電圧値に設定した場合と比較して、階調の制御対象である粒子群の閾値より低い閾値を有する粒子群が、基板1、2の一方の基板から剥離して他方の基板へ移動し付着するまでの時間、及び階調の制御対象である粒子群の階調が変化し始めるまでの時間が短くなるため、画像の書き換え時間が短くなるという効果が期待される。
なお、本実施形態では、予備電圧の電圧値として、粒子群11の中で最も閾値が高い粒子群である粒子群11Cに対する濃度調整電圧の電圧値|V1|を設定したが、電圧値|V1|より大きい電圧値を設定してもよい。
この場合、画像の書き換え時間がより短くなるという効果が期待される。
<第3実施形態>
次に、図12を参照して、第3実施形態に係る駆動処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
本実施形態では、濃度調整電圧を印加した後、更に粒子群11を確実に基板1、2の何れか一方に付着させるための電圧を印加する点が第1実施形態と異なるが、その他の処理及び構成は第1実施形態と同様である。
図12は、表示装置100のCPU401により実行される、本実施形態における表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM402の予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU401により実行される。
なお、第1実施形態に係る図6のフローチャートと異なる点は、ステップS113、ステップS123、及びステップS133が追加された点である。
既に説明したように、ステップS110の処理では、予備電圧V1によって、粒子群11M及び粒子群11Yが背面基板2から剥離して表示基板1に付着すると共に、濃度調整電圧V1によって、画像の色情報で指定された階調に応じた粒子群11Cの粒子11Cが表示基板1に付着する。
しかし、例えば、表示基板1に付着する粒子11の付着力にばらつきがある場合、付着力が弱い粒子11が時間の経過と共に表示基板1から剥離して、表示媒体10に表示される画像の品質が劣化することも考えられる。また、例えば、濃度調整電圧V1を印加し終わった後であっても、表示基板1に到達せずに分散媒6中を移動している粒子11Cが存在する場合も考えられる。
そこで、ステップS113では、電極3、4間に濃度調整電圧V1を印加した後、このような粒子11を基板1、2の何れか一方の基板に付着させるための電圧(以下、付加電圧という)を印加する時間(以下、付加時間という)を取得する。
本実施形態では、例えば、付加電圧の電圧値は濃度調整電圧と同じ電圧V1に設定し、付加電圧V1に対する付加時間は、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている付加時間テーブルから取得する。
付加時間テーブルは、付加電圧と付加時間との関係が記載されたテーブルであり、表示装置100の実機による実験や表示装置100の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により定められたテーブルである。
本実施形態では、付加時間テーブルから取得した付加電圧V1に対する付加時間をTaCとする。そして、電極3、4間に付加電圧V1を付加時間TaC印加する。
なお、第1実施形態では、ステップS110で移動時間TmCmaxが経過するまで待機したが、本実施形態では、本ステップにおいて濃度調整時間TmCと付加時間TaCが経過するまで、次のステップS115へ移行しないよう待機する。
ステップS123では、ステップS113と同様の処理を、粒子群11Mに対する濃度調整電圧−V2印加後に実施する。
この場合、付加電圧は粒子群11Mに対する濃度調整電圧と同じ電圧−V2に設定し、付加時間テーブルから取得した付加電圧−V2に対する付加時間をTaMとする。
なお、第1実施形態では、ステップS120で移動時間TmMmaxが経過するまで待機したが、本実施形態では、本ステップにおいて濃度調整時間TmMと付加時間TaMが経過するまで、次のステップS125へ移行しないよう待機する。
ステップS133では、ステップS113と同様の処理を、粒子群11Yに対する濃度調整電圧V3印加後に実施する。
この場合、付加電圧は粒子群11Yに対する濃度調整電圧と同じ電圧V3に設定し、付加時間テーブルから取得した付加電圧V3に対する付加時間をTaYとする。
なお、第1実施形態では、ステップS130で移動時間TmYmaxが経過するまで待機したが、本実施形態では、本ステップにおいて濃度調整時間TmYと付加時間TaYが経過するまで、本駆動処理を終了しないよう待機する。
図13は、図12で説明した駆動処理を時間軸に沿って表したタイミングチャートの一例であり、シアン色及び黄色の濃度を最大濃度、マゼンタ色の濃度を最小濃度に制御する駆動処理のタイミングを表している。
本実施形態によれば、濃度調整時間TmCと予備時間TpMの間に、付加電圧V1が付加時間TaC印加される。また、濃度調整時間TmMと予備時間TpYの間に、付加電圧−V2が付加時間TaM印加される。また、濃度調整時間TmYの後に付加電圧V3が付加時間TaY印加される。
従って、階調制御の際、濃度調整電圧印加後に付加電圧を印加しない場合と比較して、基板1、2の何れか一方に付着している粒子11をより確実に基板に付着させると共に、分散媒6中に浮遊している粒子11を基板1、2の何れか一方に付着させるため、画像の表示品質がより向上する効果が期待される。
なお、本実施形態では、付加電圧を直前に印加した濃度調整電圧と同じ電圧に設定するようにしたが、付加電圧を直前に印加した濃度調整電圧より低い電圧に設定してもよい。
特に、階調制御の対象である粒子群11の表示濃度が最小濃度又は最大濃度である場合、すなわち2値階調の場合には、付加電圧を直前に印加した濃度調整電圧と同じ電圧に設定し、階調制御の対象である粒子群11の表示濃度が最小濃度より高く最大濃度より低い場合、すなわち中間階調の場合には、付加電圧を直前に印加した濃度調整電圧より低い電圧(粒子が基板から剥離しない電圧以下)に設定することが望ましい。
なぜなら、階調制御の対象である粒子群11を中間階調に制御する際に、付加電圧を濃度調整電圧と同じ電圧に設定した場合、付加電圧により中間階調に応じた粒子量以上の粒子が基板1、2の何れか一方の基板から剥離してしまうため、画像の表示品質が劣化する場合が考えられるためである。
なお、第2実施形態の例に対して付加電圧を印加してもよいことは言うまでもない。
<第4実施形態>
次に、図14を参照して、第4実施形態に係る駆動処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
本実施形態では、粒子群11を中間階調に制御するか、2値階調に制御するかに応じて濃度調整電圧の設定を変更する点が第1実施形態と異なるが、その他の処理及び構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態に係る表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れは、第1実施形態における表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示す図6と同様となる。
本実施形態では一例として、シアン色及びマゼンタ色を中間階調に、黄色を最大濃度に制御するものとし、図14はこの場合の駆動処理を時間軸に沿って表したタイミングチャートである。
シアン色及びマゼンタ色の階調制御に関しては、図6のステップS100〜ステップS120に従い処理を実施するが、ステップS125において、ステップS100で取得した画像の色情報で指定された黄色の階調が2値階調をとる場合、第3の電圧として、粒子群11の中で最も閾値が高い粒子群に対する濃度調整電圧に設定する。本実施形態の場合、粒子群11Cに対する濃度調整電圧V1が第3の電圧として設定される。
ステップS130では、第3の電圧V1を粒子群11Yに対する濃度調整電圧として設定し、濃度調整電圧V1を印加した場合に、粒子群11Yを最大濃度にするための濃度調整時間TmYを濃度調整時間テーブルから取得する。そして、電極3、4間に濃度調整電圧V1を濃度調整時間TmY印加する。
第1実施形態では、C、M、Y各色の移動時間が等しくなるように、粒子群11Yに対する濃度調整電圧を粒子群11Cに対する濃度調整電圧より低くなるよう設定したが、本実施形態では、粒子群11Yに対する濃度調整電圧を、粒子群11Cに対する濃度調整電圧と同じ電圧V1に設定したことで、粒子群11Yの表示濃度が最小濃度から最大濃度まで変化するのに要する時間が移動時間TmYmaxから濃度調整時間TmYに短縮される。
従って、第1実施形態の場合と比較して、画像の書き換え時間がより短くなるという効果が期待される。
なお、本実施形態のように、例えば、粒子群11の何れかの種類の粒子群の表示濃度を最小濃度から最大濃度まで変化させる場合、2値階調の制御対象である粒子群より閾値が低い粒子群は、濃度調整時間の間に基板1、2のうち何れか一方の基板から剥離し、他方の基板に付着することから、予備電圧を省略するようにしてもよい。
また、第3実施形態で示したように、濃度調整時間TmC、TmM、及びTmYの後に、付加電圧を印加する付加期間を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、本実施形態では、2値階調に階調制御する際の濃度調整電圧の電圧値として、粒子群11の中で最も閾値が高い粒子群である粒子群11Cに対する濃度調整電圧の電圧値|V1|を設定したが、電圧値|V1|より大きい電圧値を設定してもよい。
この場合、画像の書き換え時間がより短くなるという効果が期待される。
<第5実施形態>
次に、図15を参照して、第5実施形態に係る駆動処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
第1実施形態〜第4実施形態では、粒子群11に含まれる各粒子群が取り得る階調数を等しくするため、粒子群11のうち閾値が低い粒子群ほど、濃度調整電圧の電圧値を低くするように調整し、各粒子群の移動時間に含まれる単位パルスの数を等しくした。
これに対して、本実施形態では、粒子群11の濃度調整電圧の電圧値は調整せずに、濃度調整電圧に含まれる単位パルスの幅を調整することで、粒子群11に含まれる各粒子群が取り得る階調数を等しくする。
なお、表示装置100の構成は第1実施形態と同様である。
図15は、CPU401により実行される、本実施形態における表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM402の予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU401により実行される。
なお、第1実施形態における図6のフローチャートと異なる点は、ステップS106が追加されると共に、第1実施形態におけるステップS105がステップS108に、第1実施形態におけるステップS115がステップS118に、第1実施形態におけるステップS125がステップS128に置き換えられた点である。
ステップS106では、例えば、不揮発性メモリ404の予め定めた領域に予め記憶されている、粒子群11に含まれる各粒子群の階調制御の際に印加する印加電圧を取得する。
この印加電圧は、例えば、粒子群11のうち閾値が最も高い粒子群11Cを基板1、2のうち何れか一方の基板から剥離し、他方の基板に付着させる電圧、例えば電圧V1に設定されているものとするが、これに限られない。
ステップS108では、印加電圧V1を濃度調整電圧とした場合の粒子群11Cの移動時間TmCmaxを濃度調整時間テーブルから取得する。
そして、移動時間TmCmaxで、表示媒体10で表現され得る予め定めた階調数(以下、規定階調数という)を実現するための単位パルス幅を設定する。例えば、移動時間TmCmaxが0.1s、規定階調数が6ステップであれば、単位パルス幅は0.02sに設定される。そして、設定した単位パルス幅を電圧印加部30へ通知する。
電圧印加部30は制御部40からの通知を受け、電極3、4間に印加する電圧の単位パルス幅を指示された値に調整する。
なお、本実施形態に係る電圧印加部30では、一例として、単位パルス幅を1msまで調整することが可能であるが、10ms未満に設定した場合、単位パルス幅が短くなるに従い、粒子群11に含まれる各粒子群が電圧の印加に追従して移動しにくくなる等の理由から、単位パルス幅は10ms以上となるように調整することが好ましい。
ステップS110では、まず、ステップS106で取得した印加電圧V1を予備電圧とした場合の予備時間TpCを予備時間テーブルから取得し、電極3、4間に予備電圧V1を予備時間TpC印加した後、濃度調整電圧V1を濃度調整時間TmC印加して、粒子群11Cの階調を制御する。
ここで、濃度調整時間TmCは、ステップS108で設定した単位パルス幅に、ステップS100で取得した画像の色情報で指定されたシアン色の階調に応じた単位パルスの数を乗じた時間となる。
ステップS118では、ステップS108と同様に、印加電圧−V1を濃度調整電圧とした場合の粒子群11Mの移動時間TmMmaxを濃度調整時間テーブルから取得する。そして、移動時間TmMmaxで、規定階調数を実現するための単位パルス幅を設定し、電圧印加部30の単位パルス幅を調整する。
この場合、TmMmax<TmCmaxであるため、本ステップにおいて設定される単位パルス幅は、ステップS108で設定される単位パルス幅より短くなる。
ステップS120では、ステップS110と同様に、予備電圧−V1を予備時間TpM印加した後、濃度調整電圧−V1を濃度調整時間TmM印加して、粒子群11Mの階調を制御する。
ステップS128では、ステップS108と同様に、印加電圧V1を濃度調整電圧とした場合の粒子群11Yの移動時間TmYmaxを濃度調整時間テーブルから取得する。そして、移動時間TmYmaxで、規定階調数を実現するための単位パルス幅を設定し、電圧印加部30の単位パルス幅を調整する。
この場合、TmYmax<TmMmaxであるため、本ステップにおいて設定される単位パルス幅は、ステップS118で設定される単位パルス幅より短くなる。
ステップS130では、ステップS110と同様に、予備電圧V1を予備時間TpY印加した後、濃度調整電圧V1を濃度調整時間TmY印加して、粒子群11Yの階調を制御する。
図16は、図15で説明した駆動処理を時間軸に沿って表したタイミングチャートであり、例としてシアン色及び黄色の濃度を最大濃度、マゼンタ色の濃度を最小濃度に制御する駆動処理のタイミングを表している。
なお、第3実施形態で示したように、濃度調整時間TmC、TmM、及びTmYの後に、付加電圧を印加する付加期間をそれぞれ設けるようにしてもよい。
このように本実施形態によれば、粒子群11のうち閾値が低い粒子群ほど、濃度調整電圧を構成する単位パルス幅を短くすることで、移動時間内に含まれる単位パルスの数を増加して、粒子群11のうち閾値が最も高い粒子群の取り得る階調数と等しい階調数となるようにした。
なお、本実施形態では、粒子群11に含まれる各粒子群に対する予備電圧及び濃度調整電圧の電圧値を同じ値としたが、粒子群11に含まれる各粒子群の種類毎に予備電圧及び濃度調整電圧の電圧値を変えると共に、単位パルス幅も調整するようにしてもよい。
この場合、閾値が低い粒子群ほど濃度調整電圧の電圧値が低くするようにすれば、粒子群11に含まれる各粒子群に対する濃度調整電圧を固定値とした場合と比較して、閾値が低い粒子群に対する濃度調整電圧の単位パルス幅を長くすることができる。
従って、粒子群11に含まれる各粒子群に対する濃度調整電圧を固定値としたままでは、階調数を等しくする単位パルス幅が電圧印加部30における単位パルス幅の調整限界値を超える場合でも対応することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施形態は、区画内に移動速度が異なる粒子群を複数種類封入しているが、区画毎に移動速度の異なる粒子群を区別して封入したものでも、本発明の効果には変わりはない。また、間隙部材5を用いずにマイクロカプセルに移動速度の異なる粒子群らを含む分散媒を封入した形態であっても、本発明の効果に変わりはない。
また、第1実施形態〜第5実施形態では、駆動処理をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該駆動処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
この場合の形態例としては、例えば、制御部40と同一の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、上記各実施形態の場合と比較して、処理の高速化が期待される。
なお、画像の表示品質よりも画像の書き換え速度を優先する応答優先モードの場合には、例えば、粒子群11の駆動制御の際にできるだけ高い電圧を印加し、画像の書き換え速度よりも画像の表示品質を優先する画質優先モードの場合には、粒子群11に対して第1実施形態〜第5実施形態に示した駆動制御を行うよう処理を切り替えてもよい。応答優先モードに切り替える好適例としては、例えば、表示媒体10に表示されている画像を別の画像に変化させる、いわゆるページめくり処理等が挙げられる。