以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるフルカラーレーザビームプリンタの全体構成を示す図である。
図1において、フルカラーレーザビームプリンタ(以下、プリンタという)201の画像形成装置本体であるプリンタ本体201Aには、シートに画像を形成する画像形成部201Bが設けられている。また、プリンタ本体201Aの上方には、上部装置である画像読取装置202が略水平に設置されており、この画像読取装置202とプリンタ本体201Aとの間に、シート排出用の排出空間Sが形成されている。プリンタ本体201Aの下部には、給紙カセット11からシートPを給送するシート給送装置230が設けられ、プリンタ本体201Aの一側面には手差し可能な手差しトレイ111を備えたシート給送装置である手差し給送装置100が設けられている。
画像形成部201Bは、4ドラムフルカラー方式のものであり、レーザスキャナ210と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ211を備えている。ここで、各プロセスカートリッジ211は、感光体ドラム212、帯電手段である帯電器213、現像手段である現像器214及び不図示のクリーニング手段であるクリーナを備えている。また、画像形成部201Bは、プロセスカートリッジ211の上方に配された中間転写ユニット201Cを備えている。
中間転写ユニット201Cは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた中間転写ベルト216を備えている。また、中間転写ユニット201Cは、中間転写ベルト216の内側に設けられ、感光体ドラム212に対向した位置で中間転写ベルト216に当接する1次転写ローラ219を備えている。ここで、中間転写ベルト216は、フィルム状部材で構成されると共に各感光体ドラム212に接するように配置され、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ216aにより矢印方向に回転する。
そして、この中間転写ベルト216に1次転写ローラ219によって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト216に多重転写される。中間転写ユニット201Cの駆動ローラ216aと対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像をシートPに転写する2次転写部を構成する2次転写ローラ217が設けられている。
さらに、この2次転写ローラ217の上部に定着部220が配置され、この定着部220の左上部には第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b及び反転排紙部である両面反転部201Dが配置されている。この両面反転部201Dは、正逆転可能なシート反転搬送ローラである反転ローラ対222及び一面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部201Bに搬送する再搬送通路R等が設けられている。
シート給送装置230は、給紙カセット11と、給紙カセット11に収納されたシートPの最上面に当接して回転することにより最上位のシートを送り出すピックアップローラ8を備えている。また、手差し給送装置100は、普通紙以外に、給紙カセット11には収容できない大サイズのシート、封筒、葉書等の剛度の高いシート、OHP紙やエンボス紙等の特殊紙を給送するものである。そして、手差し給送装置100は、シートがセットされる手差しトレイ111と、手差し給紙トレイ上のシートを送り出すピックアップローラ101が備えられている。なお、図1において、260はプリンタ本体201Aの画像形成動作、シート給送装置230及び手差し給送装置100のシート給送動作を制御する制御部(制御手段)、215はトナーカートリッジである。
次に、プリンタ201の画像形成動作について説明する。まず、原稿の画像情報を画像読取装置202によって読み取ると、この画像情報は画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201Bのレーザスキャナ210に伝送される。画像形成部201Bでは、レーザ光により、帯電器213によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム212の表面が順次露光される。
これにより、各プロセスカートリッジ211の感光体ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。この後、この静電潜像を各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ219に印加した1次転写バイアスにより、各感光体ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト216に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト216上にトナー画像が形成される。
このトナー画像形成動作に並行してシート給送装置230に設けられたシート給送ローラであるピックアップローラ8により、給紙カセット11に収納されたシートPが送り出される。送り出されたシートPは搬送ローラであるフィードローラ9、及びフィードローラ9に圧接する分離ローラであるリタードローラ10により構成される分離部により、1枚ずつ分離されてレジストレーションローラ対240に搬送される。そして、このレジストレーションローラ対240により斜行が補正される。また、手差し給紙の際には、手差しトレイ111にセットされたシートPを、シート給送ローラであるピックアップローラ101により、レジストレーションローラ対240に向けて搬送する。
斜行が補正された後、シートPは、レジストレーションローラ対240により2次転写部まで搬送され、2次転写部において、2次転写ローラ217に印加した2次転写バイアスにより、トナー像がシートP上に一括して転写される。次に、トナー像が転写されたシートPは、定着部220に搬送され、定着部220において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートPにカラーの画像として定着される。
この後、画像が定着されたシートPは、定着部220の下流に設けられた第1排出ローラ対225a及び第2排出ローラ対225bによって排出空間Sに排出され、排出空間Sの底面に突出された積載部223に積載される。なお、シートPの両面に画像を形成する際は、画像が定着された後、シートPは反転ローラ対222により再搬送通路Rに搬送され、再度、画像形成部201Bに搬送される。
図2は、手差し給送装置100の斜視図である。手差し給送装置100は、ピックアップローラ101と、ピックアップローラ101のシート給送方向下流側に配置され、ピックアップローラ101と同方向に回転する後述する図3に示す搬送ローラであるフィードローラ102を備えている。さらに、手差し給送装置100は、フィードローラ102に下側から圧接可能に設けられ、トルクリミッタ105を介してシート給送方向に回転可能な分離ローラであるリタードローラ103を備えている。
このフィードローラ102は、図3に示すシートを給送する方向である矢印R2の方向に回転する。リタードローラ103は、シートを給送する方向と逆方向である矢印R3の方向に回転するが、ピックアップローラ101により2枚以上のシートが送り出された場合には、トルクリミッタ105の作用により逆転する。
これにより、矢印R1の方向に回転するピックアップローラ101により、シートPが送り出される際、2枚以上のシートが送り出された場合、シートPはフィードローラ102とリタードローラ103とにより1枚ずつ分離される。このように、フィードローラ102とリタードローラ103とにより、ピックアップローラ101によって送り出されたシートPを1枚ずつ分離する分離部が構成される。なお、分離部により分離されたシートPは矢印R4の方向に回転する引き抜きローラ104によりフィードローラ102とリタードローラ103とのニップ部から引き抜かれた後、矢印R5の方向に回転するレジストレーションローラ対240により搬送される。
図4は、手差し給送装置100のシートを送り出すシート給送部100Aを説明する図であり、図4(a)はシート給送部100Aの正面図、図4(b)は斜視図である。図4に示すように、フィードローラ102は、既述した図2に示す手差しフレーム142に回転可能に支持された、搬送ローラ軸であるフィードローラ軸134に取り付けられている。なお、このフィードローラ軸134のプリンタ本体奥側端には搬送駆動入力ギア121が取り付けられている。
ピックアップローラ101は、フィードローラ軸134に上下方向に回動自在に支持されている支持手段である給紙ホルダ135に、ピックアップローラ駆動軸101Aを介して回転自在に支持されている。そして、ピックアップローラ101は、給紙ホルダ135内に設けられた駆動列116による駆動伝達によりフィードローラ軸134の駆動が伝達されることで、フィードローラ102と同期して回転が可能となっている。なお、ピックアップローラ101、ピックアップローラ駆動軸101A、駆動列116及び給紙ホルダ135等で、昇降ユニット1061が構成される。
リタードローラ103はリタードローラ軸133に取り付けられている。リタードローラ軸133は、リタードローラ103がフィードローラ102と圧接及び離間するように、不図示の支持部により図4(a)の上下方向に平行移動可能に支持されている。そして、このリタードローラ軸133は、カップリング117を介してリタードローラ駆動軸118に接続されており、このリタードローラ駆動軸118のプリンタ本体奥側端には分離駆動入力段ギア122が取り付けられている。リタードローラ駆動軸118は、手差しフレーム142に、不図示の軸受けにより回転可能に支持されている。また、リタードローラ軸133は、不図示の加圧ばねによりフィードローラ側(上方)に付勢されることにより、リタードローラ103がフィードローラ102に圧接される。ピックアップローラ101、リタードローラ103及びフィードローラ102は、後述する駆動部により駆動される。なお、リタードローラ軸133及びリタードローラ駆動軸118により分離ローラ軸133aが構成される。
また、シート積載手段である手差しトレイ111は、図5に示すようにプリンタ本体201Aの一側面に開放可能に設けられた扉221に、回動支点114を中心に回動可能に軸支されている。つまり、手差しトレイ111は扉221に対して下ヒンジ構成により矢印R6に示す方向に開閉可能となっている。そして、手差しトレイ111を開閉する場合は、手差しトレイ111の回動端部に設けられた把手部115に手を引っ掛けて手差しトレイ111を開閉する。なお、手差しトレイ111を開いた時、手差しトレイ111は、手差しトレイ保持リンクLによりプリンタ本体201Aの側面に対して所定の角度で保持される。ここで、保持された状態のとき、手差しトレイ111は位置が固定された状態となっており、このように手差しトレイ111が固定された状態でピックアップローラ101が昇降して、積載されているシートを送り出す。
なお、図5に示すように、手差しトレイ111にはシートPのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制するサイド規制板113が設けられている。ここで、このサイド規制板113は、図6に示すように、手差しトレイ111の上面に幅方向に沿って形成されたガイド溝111a,111bにより矢印S1で示す幅方向に移動可能となっている。そして、手差しトレイ111にシートをセットした後、サイド規制板113をシートPの幅に応じた位置に移動させることにより、シートの幅方向の位置を規制する。
また、図6に示すように、手差しトレイ111の回動端部には、補助トレイ112が矢印S2に示すように、シート給送方向に沿って引き出し可能に収納されている。そして、補助トレイ112は、図6(a)に示すように、A3サイズあるいはB4サイズ等の手差しトレイ111からはみ出る大きさのシートを給送する際には、図6(b)に示すように手差しトレイ111からスライドさせながら引き出されて使用される。また、手差しトレイ111のシート給送方向下流側には、手差しトレイ111の表面よりも摩擦係数の大きい分離パッド120が両面テープにて貼り付けている。なお、この分離パッド120は、手差しトレイ111上のピックアップローラ101に臨む位置に貼り付けられている。
ところで、図7に示すように、手差しフレームと給紙ホルダ135との間には、ローラ加圧ばね106が取り付けられている。そして、このローラ加圧ばね106の付勢力(弾性力)により、昇降ユニット1061はフィードローラ軸134を支点としてR7に示す方向に回動するように付勢される。ここで、給紙ホルダ135のフィードローラ軸134側の底面には係合部としての凸部136が設けられている。
また、分離ローラ軸133aを構成するリタードローラ駆動軸118には、カムフォロワ131が回動可能に取り付けられており、このカムフォロワ131は、上端部と、給紙ホルダ135の凸部136とが係合可能に配置されている。このカムフォロワ131は、リタードローラ駆動軸118に、軸方向の移動が規制された状態で、かつ軸線周りにリタードローラ駆動軸118とは関係なく回動自在に支持されている。さらに、カムフォロワ131の下方には不図示の軸支部によって回転可能に支持されたカム軸132aにより回転する駆動部材であるカム132が設けられている。そして、このカム132と、作動部材であるカムフォロワ131とにより、昇降ユニット1061を昇降させる昇降手段1062が構成される。
フィードローラ軸134、リタードローラ駆動軸118、カム軸132aは、この順番で上から下に平行に、かつフィードローラ軸134を通る鉛直線Vから大きく離れることなく鉛直線Vに沿って配置されている。このように、各軸134,118,132aを上下方向に配置することにより、プリンタ本体201Aの一側面の狭い領域でも手差し給送装置100を効率よく配置することができる。
カム軸132aは、後述する駆動部により回転し、カム軸132aが回転すると、カム132が矢印R9の方向に回転し、これに伴いカムフォロワ131も回動する。なお、カム軸132aには、不図示の検知フラグが設けられており、この検知フラグを後述する図12に示すカムHPフォトセンサ137によって検知することにより、ピックアップローラ101が待機位置にあることを検知する。
図7は、手差し給送装置100のシート給送前の状態を示しており、このときピックアップローラ101は、手差しトレイ上のシートPから上方に離間した待機位置に位置している。また、この状態のとき、ローラ加圧バネ106の付勢力(弾性力)により給紙ホルダ135は矢印R7に示す方向に回動するように加圧され、給紙ホルダ135の凸部136がカムフォロワ131の上端部に係合している。このように給紙ホルダ135の凸部136が係合することにより、カムフォロワ131には、矢印R8に示す方向に回動する方向に負荷が加わるが、カムフォロワ131はカム132により回動が規制されている。このため、カムフォロワ131は回動せず、給紙ホルダ135及びピックアップローラ101は、待機位置に保持される。
この状態で、シート給送動作が開始されると、後述する駆動部が駆動され、これに伴い、図7に示すように、カム132が矢印R9の方向に回転し、これに追従してカムフォロワ131が矢印R8に示す方向に回動する。この後、図8に示すようにカム132の周面からカムフォロワ131の下端部が外れると、カムフォロワ131は、給紙ホルダ135により押圧されて下端部をカム132の切欠き部分に入り込ませながら回動し、これに伴い昇降ユニット1061が下方回動する。これにより、ピックアップローラ101が下降し、手差しトレイ上のシートPに当接する。このようにピックアップローラ101がシートPの上面に当接した位置をピックアップローラ101の当接位置とし、この当接位置は、シートの積載量に応じて上下方向で異なる。
この後、カム132が図8のR9の方向に回転すると、カム132により下端部が押圧されてカムフォロワ131が矢印R81の方向に回動し、給紙ホルダ135の凸部136を押圧する。これにより、給紙ホルダ135がフィードローラ軸134を中心に矢印R71に示す方向に回動してピックアップローラ101が上昇し、既述した図7に示す待機位置に移動する。なお、ピックアップローラ101が待機位置に達すると、後述する図12に示すカムHPフォトセンサ137によりカム132を検知し、このカムHPフォトセンサ137の検知により、カム132の回転を停止する。
図9は、シート給送部を駆動すると共にカム132を回転させる駆動部130の構成を示す図である。この駆動部130は、正逆転可能な給紙モータ127と、給紙モータ127により回転する駆動ギア126aと、駆動ギア126aと噛合する本体側揺動ギア126と、本体側揺動ギア126と噛合するユニット側段ギア125とを備えている。ここで、本実施の形態において、図10に示すように、駆動ギア126a(図9参照)、本体側揺動ギア126及び駆動源(駆動手段)としての給紙モータ127をプリンタ本体201Aに設け、ユニット側段ギア125等を扉221に設けている。
なお、扉221に給紙モータ127を取り付けるようにしても良いが、この場合、扉221側に電気部品を備えるため、束線が複雑化することから、例えば部品等の故障で手差し給紙ユニットを交換する際の工数が多くなるため、サービス性が悪くなる。また、給紙モータ127を取り付けた場合、扉221の重量も大きくなり、扉221の開閉の操作性が悪化する。このため、本実施の形態では、給紙モータ127をプリンタ本体201Aに取り付け、扉221の軽量化及びサービス性を向上させている。
また、扉221に設けられたユニット側段ギア125に本体側揺動ギア126を確実に噛合させることができるよう、給紙モータ127により回転する本体側揺動ギア126を揺動するギアとしている。つまり、本実施の形態において、給紙モータ127により駆動されるギアを揺動するギアとすることにより、本体側揺動ギア126とユニット側段ギア125を確実に噛合させるようにしている。なお、本体側揺動ギア126は、ホルダ126bに回転自在に保持されている。そして、このホルダ126bは、加圧バネ140により、本体側揺動ギア126がユニット側段ギア125と噛合する方向に付勢されている。
シート給送部において、ローラの回転はシートを搬送する上で重要項目であり、例えば本体側揺動ギア126とユニット側段ギア125との噛合部で歯飛び等を引き起こすと、シートの不送りが発生する。一方、カム132の回転、つまりピックアップローラ101の昇降動作は、歯飛びを引き起こした場合においても、シート給送動作への影響が小さい。
このため、本実施の形態においては、図11(a)に示すように、シート給送時には、給紙モータ127を矢印で示すように正転させ、加圧バネ140により付勢されている本体側揺動ギア126の回転方向をユニット側段ギア125に食い込む方向にしている。これにより、本体側揺動ギア126とユニット側段ギア125を確実に噛合させることができるため、ピックアップローラ101がシートを給送する際にはギアの噛合部での歯飛びが低減する。
ここで、このようにシート給送時における給紙モータ127の回転方向を正転方向とした場合、ピックアップローラ101を昇降動作させるための給紙モータ127の回転方向は逆転方向となる。そして、図11(b)に示すように、給紙モータ127を矢印で示すよう逆転させた場合、本体側揺動ギア126の回転方向はユニット側段ギア125から逃げる方向となる。なお、本体側揺動ギア126の回転方向を、このような逃げ方向とすることにより、ピックアップローラ101の昇降時に給紙ホルダ135に負荷を与えるような想定されない操作が行われた場合でも、ギアの噛合部で歯飛びが生じるのを防ぐことができる。これにより、ギアやギアを支持している部品等の破損を防ぐことができる。
一方、ユニット側段ギア125は、既述した図9に示すように、搬送駆動入力ギア121と噛合している。また、搬送駆動入力ギア121は、アイドラギア124と噛合し、アイドラギア124は分離駆動入力段ギア122と噛合している。さらに、分離駆動入力段ギア122は、カム駆動ギア123と噛合している。これにより、給紙モータ127の回転は、駆動ギア126a、本体側揺動ギア126、ユニット側段ギア125、搬送駆動入力ギア121、アイドラギア124、分離駆動入力段ギア122、カム駆動ギア123の順に伝達される。そして、このような駆動ギア126a等により給紙モータ127の回転をピックアップローラ101、フィードローラ102及びリタードローラ103、あるいはカム132に伝達する駆動伝達手段130aが構成される。
ここで、本実施の形態において、図12に示すようにフィードローラ軸134と搬送駆動入力ギア121との間には第1ワンウェイクラッチ138aが設けられている。また、リタードローラ駆動軸118と分離駆動入力段ギア122との間には第2ワンウェイクラッチ138bが設けられ、カム軸132aとカム駆動ギア123との間には第3ワンウェイクラッチ139が設けられている。
第1ワンウェイクラッチ138aは、給紙モータ127の正転による既述した図11(a)に示す搬送駆動入力ギア121の矢印方向の回転をフィードローラ軸134に伝達するためのものである。また、第1ワンウェイクラッチ138aは、給紙モータ127の逆転による既述した図11(b)に示す搬送駆動入力ギア121の矢印方向の回転はフィードローラ軸134に伝達しない。
第2ワンウェイクラッチ138bは、図11(a)に示す分離駆動入力段ギア122の矢印方向の回転をリタードローラ駆動軸118、リタードローラ軸133に伝達するためのものである。また、第2ワンウェイクラッチ138bは、図11(b)に示す分離駆動入力段ギア122の矢印方向の回転はリタードローラ軸133に伝達しない。
第3ワンウェイクラッチ139は、給紙モータ127の逆転による既述した図11(b)に示す搬送駆動入力ギア121及び分離駆動入力段ギア122の矢印方向の回転によるカム駆動ギア123の回転をカム軸132aに伝達するためのものである。また、第3ワンウェイクラッチ139は、給紙モータ127の正転による既述した図11(a)に示す搬送駆動入力ギア121及び分離駆動入力段ギア122の矢印方向の回転によるカム駆動ギア123の回転はカム軸132aに伝達しない。
そして、このようにワンウェイクラッチ138a,138b,139を設けることにより、給紙モータ127が正転する際には、第1及び第2ワンウェイクラッチ138a,138bの作用によりフィードローラ軸134及びリタードローラ軸133が回転する。これにより、ピックアップローラ101、フィードローラ102及びリタードローラ103が回転する。なお、この際、第3ワンウェイクラッチ139によりカム駆動ギア123が空転するため、カム132は回転しない。
また、給紙モータ127が逆転すると、第1及び第2ワンウェイクラッチ138a,138bにより、搬送駆動入力ギア121及び分離駆動入力段ギア122が空転し、ピックアップローラ101、フィードローラ102及びリタードローラ103は回転しない。一方、第3ワンウェイクラッチ139によりカム駆動ギア123が回転するため、カム132が回転し、これに伴いカムフォロワ131を介して給紙ホルダ135が昇降する。このように、本実施の形態においては、給紙モータ127の正転及び逆転により、シート給送動作とピックアップローラ101の昇降動作を行うことが可能となる。
図13は、本実施の形態の手差し給送装置100の制御ブロック図であり、図13に示すように、制御部260には既述した給紙モータ127、カムHP(ホームポジション)フォトセンサ137が接続されている。また、制御部260には、引き抜きローラ104の下流側に設置され、引き抜きローラ104によりシートが引き抜かれたことを検知する引き抜き検知センサS10、手差しトレイ上のシートの有無を検知するシート有無センサS11が接続されている。
次に、制御部260による制御動作について説明する。シート給送動作が開始されるまでは、既述した図7に示すようにピックアップローラ101を手差しトレイ上のシートPから離間した待機位置で待機させる。そして、シートの給送を行う場合、制御部260は、シート有無センサS11により手差しトレイ上のシートの有無を検知し、手差しトレイ上にシートが有ると判断すると、まず給紙モータ127を逆転させる。
これにより、カム132が回転し、これに伴いカムフォロワ131が矢印R8の方向に回転し、図8に示すように給紙ホルダ135が下方回動する。そして、給紙ホルダ135が下方回動することにより、ピックアップローラ101が下降し、手差しトレイ上のシートPに当接する。なお、ピックアップローラ101をシートに当接された後、給紙モータ127を停止させる。
次に、制御部260は給紙モータ127を正転させる。これにより、ピックアップローラ101、フィードローラ102及びリタードローラ103が回転し、シートを1枚ずつ給送する。ここで、給紙モータ127を正転させる時間は、引き抜き検知センサS10の検知により、給送するシートのサイズごとに設定されている。そして、設定された時間が経過してシートの給送が終了すると、給紙モータ127を逆転させ、ピックアップローラ101を待機位置に移動させる。
シートを連続給送する場合には、給紙モータ127のON(正転)、OFFを繰り返し、ピックアップローラ101、フィードローラ102及びリタードローラ103の回転と非回転を繰り返す制御を行う。この給紙モータ127のOFFの時間により、連続給送される先行シートとそれに続く後続シートの間隔(紙間)が設定される。
ここで、シートを1枚送り出すごとにピックアップローラ101を上昇させると、時間がかかってしまい、紙間が長くなってしまう。そこで、本実施の形態において、シートの連続給送時にはピックアップローラ101はシートに当接する状態が維持されて、昇降は実施されず、ジョブが終了次第、ピックアップローラ101を上昇させて待機位置に移動させるようにしている。
このようにピックアップローラ101を上昇させないで回転と停止を繰り返すことにより、紙間を出来るだけ小さくさせることができ、装置としての生産性を高くすることができる。なお、給紙モータ127をOFFしてしまうと、ピックアップローラ101及びフィードローラ102の両方とも停止してしまうため、シートを送り出すことができない。そのため、給紙モータ127をOFFするタイミングは、送り出されたシートの先端が引き抜きローラ104に到達した後に設定される必要がある。
ところで、本実施の形態において、図14に示すように、手差しフレーム142には第1軸支部142a、第2軸支部142b及び第3軸支部142cが設けられている。この第1軸支部142a、第2軸支部142b及び第3軸支部142cには、円筒状の軸受144を介して、シート給送方向と直交する方向に延びたフィードローラ軸134が回転自在に支持されている。また、給紙ホルダ135のフィードローラ軸側における幅方向の両端部には、取り付け部である第1支持アーム135a及び第2支持アーム135bが設けられている。
そして、この第1支持アーム135a及び第2支持アーム135bを軸受144の外周面に取り付けることにより、給紙ホルダ135は軸受144を介してフィードローラ軸134に回動可能に、かつ軸方向に移動可能に支持される。即ち、本実施の形態において、フィードローラ軸134と、フィードローラ軸134及び第1〜第3支持アーム135a〜135bの間に設けられた軸受144により、手差しフレーム142の回動中心となる軸部145が構成される。
ここで、軸部側に設けられた給紙ホルダ135の第2支持アーム135bは、第2軸支部142b及び第3軸支部142cの間で軸受144に取り付けられている。さらに、軸受144の第2支持アーム135bと、第3軸支部142cの間の部分には、押し付け手段である圧縮バネ141が取り付けられている。この圧縮バネ141は、給紙ホルダ135を矢印で示す軸支部側に押圧するものであり、この圧縮バネ141により押圧されて、例えば第1支持アーム135aが第1軸支部142aに圧接する。
このように、第1支持アーム135aを第1軸支部142aに圧接させることにより、軸方向に移動可能な給紙ホルダ135の軸方向の移動を規制することができる。これにより、シートを給送する際、ピックアップローラ101が振動した場合でも、給紙ホルダ135が振動するのを防ぐことができる。
圧縮バネ141の付勢力は、給紙ホルダ135を軸方向に移動させることができると共に、シート給送時における給紙ホルダ135の上下方向の回動を妨げないような大きさに設定する必要がある。このため、本実施の形態において、圧縮バネ141の必要となる付勢力F[N]を次のように設定している。
なお、上記式において、a[N]はシート給送時に作用する圧(給紙ホルダ135の自重含む)、μRはシートとピックアップローラ101の摩擦係数であり、a×μRはシート給送時の反力を示している。c[mm]は、図14に示すフィードローラ102とピックアップローラ101の軸間距離であり、a×μR×cはフィードローラ回りのモーメントを示している。d[mm]は図14に示す軸受144の、第1及び第2支持アーム135a,135bが取り付けられる部分の外径であり、(a×μR×c)/dは軸受外周部の力(垂直抗力)を示している。μは給紙ホルダ135と軸受144の摩擦係数であり、(((a×μR×c)/d)×μ)は給紙ホルダ135と軸受144の摩擦力、αは安全率であり、安全率αは≧1である。
上記の式を満足するようにバネ圧を設定することにより、シート給送時を含めて常に、第1支持アーム135aを第1軸支部142aに圧接させることができ、給紙ホルダ135の振動を抑えることができる。また、付勢力Fが10N以上の場合は、シート給送時における給紙ホルダ135の下方回動にバラつきが生じてピックアップローラ101のシートPとの当接圧にバラつきが生じることから、付勢力Fは10Nよりも小さく設定している。
以上説明したように、本実施の形態においては、圧縮バネ141により給紙ホルダ135を第1軸支部142aに突き当てるようにしている。そして、このように給紙ホルダ135を第1軸支部142aに突き当てることにより、ピックアップローラ101が下降した後、シート給送動作を行う際の給紙ホルダ135の振動を抑えることができ、騒音を低減することができる。
また、本実施の形態のように、給紙ホルダ135を第1軸支部142aに突き当てることにより、ピックアップローラ101の軸方向の位置を規制することができるので、シート給送の際、ピックアップローラ101のシートと当接する位置が一定となる。これにより、ピックアップローラ101はシートに対して安定した給送力を付与することができると共に、シートの斜行の発生を防ぐことができるようになり、シート給送性能が向上する。さらに、騒音を低減することにより、騒音発生によるエネルギー損失を低減することができ、電力消費を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、第1支持アーム135aを、複数備えた軸支部のうちの第1軸支部142aに圧接させているが、第2支持アーム135bを第2軸支部142bに圧接させても良い。また、第1支持アーム135aを第1軸支部142aに、第2支持アーム135bを第2軸支部142bに圧接させるようにしても良い。つまり、給紙ホルダ135を複数の軸支部のうちの少なくとも1つに圧接させれば良い。
また、本実施の形態においては、給紙ホルダ135を軸支部側に押圧する押し付け手段として圧縮バネ141を用いた場合について説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、押し付け手段としてスポンジ等の弾性部材である緩衝材を用いても良い。そして、図15に示すように、この緩衝材150を軸受144の第2支持アーム135bと、第3軸支部142cとにより挟持することにより、給紙ホルダ135を第1軸支部142aに突き当てるようにしている。これにより、シート給送動作を開始した時の給紙ホルダ135の振動を抑えることができ、騒音を低減することができる。