JP6593996B2 - 粘着補強フィルム - Google Patents
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Description
また、歯の部分的な欠損を修復するインレーという治療方法や、虫歯になりやすい歯の裂溝を未然にレジン(プラスチック)で封鎖するレジン充填等の治療方法が知られている。
またレジン充填は、光重合レジンを用い、歯牙の裂溝や破損個所へ接着した後に、光を照射して硬化させ、切削、研磨を行って元の歯牙と一体化させるように審美性を持たせて修復する(例えば、特許文献2)。
また、歯科用CAD/CAM装置は非常に高価であり、安価に導入することが困難であるという問題があった。
また、レジン充填の場合、審美性はよいが金属やセラミックのような強度を得ることができないという問題があった。
このため、鋳造法のように成形型を製作して補強部材を造形する必要がないので、製作期間や工数を大幅に低減することができる。
また、フィルムは、前記硬化光を透過する性質を備えているため、前記光硬化樹脂が着設されたフィルムを歯に貼着した状態で前記硬化光を照射して当該光硬化樹脂を固化させることで、固化された光硬化樹脂によって歯を補強することができる。
また、補強層は、外表面に開口する流通空間を備えたことで、外表面に開口する流通空間に光硬化樹脂を流通させることができるため、流通空間に流通する光硬化樹脂を介してフィルム層および補強層と補強する歯とを強固に接合させることができる。
また、繊維層は、光硬化樹脂が流通する隙間を有する繊維の特性を利用することで、この隙間に光硬化樹脂を流通させることができるため、隙間に流通する光硬化樹脂を介してフィルム層と繊維層および補強する歯を強固に接合させることができる。
また、凹部領域に貼着することで、歯を削る修復面積を最小限に留めることができるため、クラックの部分的な補強が可能となり、患者の負担を低減することができる。
〈補強層を有しない形態〉
第1の実施形態に係る粘着補強フィルム1は、図1に示すように、所定の波長の硬化光を照射して固化させる光硬化樹脂2と、この光硬化樹脂2が着設されたフィルム3と、を備えている。
なお、図1において、説明の便宜上、光硬化樹脂2とフィルム3とを区別するために光硬化樹脂2にドットを付して表示したものであって、外観を表示するものではない。
粘着補強フィルム1は、光硬化樹脂2が着設されたフィルム3を歯W(図2)に貼着した状態で硬化光L(図6(c)参照)を照射して光硬化樹脂を固化させてクラック等が入って損傷した歯W(図2参照)を補強する歯の治療用に使用される。
光硬化樹脂2は、例えば波長が450〜520nmの可視光を含む硬化光を照射すると硬化する光重合レジン等を使用することができる。
フィルム3は、例えば波長が450〜520nmの可視光に対する透過性が優れ、伸びを少なくして強度を確保する材質が望ましい。このため、硬化光L(図6(c)参照)に対する所定の波長の光に対する透過性が確保できれば、必ずしも無色透明である必要はなく白色に着色したり、カーボン繊維等で強化したりした材質を使用してもよい。
更に、フィルム3は、単体フィルムに限らず、図9に示すように、複合粘着補強フィルム1Dであっても良い。
複合粘着補強フィルム1Dは、異なる機能を持つフィルムを貼り合わせて、フィルムの必要な様々な機能を持ったもので、単体フィルムの短所をカバーし、長所を増長させることが可能である。
例えば、基材フィルム31として透過性のよい強靭なフィルムを使用し、貼り合わせフィルム32として光硬化樹脂2との接着強度が高いフィルムを使用すれば、剥がれにくくフィルムと一体で固化補強することが可能となる。
一方、貼り合わせフィルム32として光硬化樹脂2との接着強度が低く剥離性の良いフィルムを使用すれば、光硬化樹脂2が固化した後にフィルムを剥がして使用することが可能となる。
また、一般的に可視光領域の波長より繊維径が大きい補強材料を透明樹脂に含有すると、可視光の光散乱が生じ、その結果、樹脂の透明性が損なわれてしまう。そこで木材や草本から得られるセルロース繊維等の食物繊維を用いた樹脂補強材と透明樹脂とを複合させた透明樹脂複合材からなる複合フィルムを用いてもよい。
使用者(不図示)は、治療する歯W1に対して、粘着補強フィルム1aのサイズに合わせてエナメル質の表層を薄くそぎ落とした凹部領域Waを形成し(図3(a)参照)、この凹部領域Waに粘着補強フィルム1aを貼着した状態で硬化光L(図6(c)参照)を照射して光硬化樹脂2を固化させてクラックCL1等が入って損傷した歯W1を補強する(図3(b)参照)。
使用者(不図示)は、治療する歯W2に対して、粘着補強フィルム1bのサイズに合わせてエナメル質の表層を薄くそぎ落とした凹部領域Wbを形成し、この凹部領域Wbに粘着補強フィルム1bを貼着した状態で硬化光L(図6(c)参照)を照射して光硬化樹脂2を固化させてクラックCL2等が入って損傷した歯W2を補強する。
使用者(不図示)は、治療する歯W3に対して、患部のサイズに合わせてエナメル質の表層を薄くそぎ落とした凹部領域Wcを形成し(図5(a)参照)、この凹部領域Wcに粘着補強フィルム1cを貼着した状態で硬化光L(図6(c)参照)を照射して光硬化樹脂2を固化させてクラックCL3(図2参照)等が入って損傷した歯W3を補強する(図5(c)参照)。
光硬化樹脂2が固化した後にフィルム3を剥がして光硬化樹脂2が固化して形成される固化層2aのみで歯W1を補強する治療方法について、図7を参照しながら説明する。
参照する図7は、フィルムを剥がして粘着補強フィルムを使用する場合における歯の治療方法を示す正面図であり、(a)から(d)は治療の流れを示し、(e)はそれぞれ異なる完成した状態を示す。
また、フィルム3を剥がしてから歯W1の表面を研磨した後(図7(d)参照)、樹脂を縫って仕上げた治療方法による歯W13を図7(e)の下段に示す。
本発明の第2の実施形態に係る粘着補強フィルム1A,1B,1Cについて、主として図8を参照しながら詳細に説明する。参照する図8は、粘着補強フィルムの補強層の構成を示す図4の平面断面図である。
また、本実施形態では、パッチ状の粘着補強フィルム1A,1B,1Cについて説明するが、帯状や鉢巻き状の粘着補強フィルムについても同様に適用することができる。
具体的には、図8(a)に示すように、補強層6Aは、繊維が形成する隙間61aを有する不織布61Aと、隙間61aに充填された光硬化樹脂2と、を備えている。補強層6Aにおける流通空間6aは、不織布61Aを構成する繊維が形成する隙間61aであり、この隙間61aを利用して光硬化樹脂2を充填する。
かかる構成により、補強層6Aは、繊維が形成する隙間61aに充填された光硬化樹脂2に硬化光L(図6(c)参照)を照射して固化させることで、フィルム3と協働して歯W2を補強することができる。
なお、本実施例では、補強層6Bとしてカーボン繊維強化樹脂61Bを使用したが、これに限定されるものではなく、カーボン繊維ではなく強度および耐熱性が高いパラ系アラミド繊維を適用することもできる。
つまり、粘着補強フィルム1は、光硬化樹脂2が塗布等によって着設されたフィルム3を備えたことで、フィルム3に柔軟性を持たせることができるため、補強する歯Wの形状に簡易に適合させることができる。また、フィルム3に光硬化樹脂2が着設されているため、光硬化樹脂2の粘着性を利用して容易に補強しようとする歯に貼り付けて使用することができる。
例えば、本実施形態においては、フィルム3は、0.3〜0.5mm程度の厚さのシート状に成形した材料を使用が、これに限定されるものではなく、平らなシート状の他、歯の形状に適合する立体的な曲面に成形したものでもよい。
また、前記した実施形態においては、フィルム3に光硬化樹脂2を均一に塗布して着設したが、図10(b)に示すように、フィルム3Eにへこみ、くぼみ、削り込み等による凹部8を形成して、この凹部8の中に光硬化樹脂2を埋設してもよい。
本発明の変形例2に係る粘着補強フィルム1Eは、図10に示すように、フィルム3Eに光硬化樹脂2を着設する凹部8を備え、凹部8の中に光硬化樹脂2を着設している。
また、図10(b)に示すように、凹部8は、歯間W40(図10(a)参照)の形状に適合するように差し込み方向の先端側を細く、後端側を太くした断面視で三角形状にしたことで、差し込みやすくしかも差し込んだ後はずれにくくなっている(図10(d)参照)。
1A,1B,1C 粘着補強フィルム
1D 複合粘着補強フィルム
1E 粘着補強フィルム
2 光硬化樹脂
2a 固化層
3 フィルム
3D 複合フィルム
4 保護シート
5 切り取り線
6,6A,6B,6C 補強層
6a,61a,61b 流通空間
31 基材フィルム
32 貼り合わせフィルム
61A 不織布
61B カーボン繊維強化樹脂
61a 隙間
61b 貫通孔
8 凹部
CL1,CL2,CL3 クラック
L 硬化光
LV ラミネートベニヤ
W 歯
W1,W2,W3 歯
W11,W12,W13 歯
Wa,Wb,Wc 凹部領域
Claims (9)
- 所定の波長の硬化光を照射して固化させる光硬化樹脂と、
この光硬化樹脂が着設され前記硬化光を透過するフィルムと、を備え、
前記フィルムは、補強する歯の形状にならう柔軟性を有しており、
前記光硬化樹脂は粘着流動性を有し、
前記光硬化樹脂が流通し外表面に開口する流通空間を有する補強層をさらに備え、
前記光硬化樹脂が前記補強層に流通して保持されて着設された前記フィルムを歯に貼着した状態で、前記光硬化樹脂に前記硬化光を照射して当該光硬化樹脂を固化させることで前記フィルムと前記光硬化樹脂の固化層と歯とを固着して歯を補強することを特徴とする粘着補強フィルム。 - 前記流通空間は、前記光硬化樹脂が流通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。
- 前記補強層は、繊維層からなり、
前記流通空間は、前記繊維層の繊維が形成する隙間であることを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。 - 前記補強層は、複数が積層されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粘着補強フィルム。
- 前記補強する歯に巻き付けて使用することを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。
- 前記補強する歯のエナメル質の表層をそぎ落として形成した凹部領域に貼着して使用することを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。
- 前記硬化光の透過を規制して前記光硬化樹脂の硬化を防止する保護シートと、
前記光硬化樹脂が着設されたフィルムを所定の形に切り取る切り取り線と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。 - 前記フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムに貼着された貼り合わせフィルムと、を有し、
前記基材フィルムは前記貼り合わせフィルムよりも強靭性を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。 - 前記フィルムは、前記光硬化樹脂を着設する凹部を備え、
前記凹部の中に前記光硬化樹脂を着設したことを特徴とする請求項1に記載の粘着補強フィルム。
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