JP6593701B2 - 誘電体薄膜 - Google Patents

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本発明は、酸化亜鉛微粒子を含有する誘電体薄膜に関する。
誘電材料を使用した電子素子としてはコンデンサやセンサ等が知られているが、それらの中でも静電容量の変化を利用する電子素子(静電容量可変素子)として容量可変コンデンサや圧力センサ、タッチセンサ等が知られている。従来の静電容量可変素子の多くは、電極間距離や電極面積を変化させるといった物理的操作によって素子の静電容量を変化させるものであるが、誘電材料自体の誘電率を変化させることによって素子の静電容量を変化させるものも知られている。例えば、特開2013−129588号公報(特許文献1)には、バリウムとストロンチウムとチタニウムとを含有する複合金属酸化物に、銅を含む複合酸化物及びマンガンを含む複合酸化物が混合した混合複合金属酸化物からなる誘電体薄膜が開示されており、印加する電圧を変化させることによって静電容量が減少することが記載されている。しかしながら、誘電材料自体の誘電率を変化させる方法として光照射を利用した静電容量可変素子は知られていなかった。
一方、酸化亜鉛は導電性を有する材料であり、電子部品の分野においては、高分子材料に導電性を付与する目的で使用されることが一般的である(例えば、特開2003−257254号公報(特許文献2)。このような導電性を有する材料は、誘電正接が非常に大きく、誘電材料として使用することは困難である。
特開2013−129588号公報 特開2003−257254号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、紫外線照射によって誘電率(比誘電率)を変化させることが可能な誘電体薄膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、表面に所定の膜厚の高分子被覆層を有する酸化亜鉛微粒子を用いることによって、紫外線照射によって誘電率(比誘電率)を変化させることが可能な誘電体薄膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の誘電体薄膜は、酸化亜鉛微粒子と該酸化亜鉛微粒子の表面に形成されている平均厚さが5〜500nmの高分子被覆層とからなる高分子被覆酸化亜鉛微粒子を含有することを特徴とするものである。
本発明の誘電体薄膜においては、前記酸化亜鉛微粒子の平均粒子径が10nm〜1μmであることが好ましい。また、前記高分子被覆酸化亜鉛微粒子中の酸化亜鉛微粒子の含有率が1〜20vol%であることが好ましい。さらに、平均膜厚が0.5〜10μmであることが好ましい。
また、本発明の誘電体薄膜においては、前記高分子被覆層を構成する高分子材料が、前記酸化亜鉛微粒子の表面に化学的に結合していることが好ましく、前記酸化亜鉛微粒子の表面に結合している重合開始剤を介して前記酸化亜鉛微粒子の表面に化学的に結合していることがより好ましい。
前記高分子被覆層としては、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、及びポリ(α−メチルスチレン)からなる群から選択される少なくとも1種の高分子材料からなるものが好ましい。
なお、本発明の誘電体薄膜において、紫外線照射によって誘電率(比誘電率)が変化する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、酸化亜鉛微粒子を高分子材料で被覆することによって、酸化亜鉛微粒子の導電性が抑制されることによって、酸化亜鉛微粒子を誘電体薄膜の材料として利用できるようになり、さらに、酸化亜鉛は、価電子が紫外線照射によって自由電子となり、分極が大きくなったため、誘電体薄膜の誘電正接を低く抑えたまま、誘電率(比誘電率)を増加させることが可能になったと推察される。
本発明によれば、紫外線照射によって誘電率(比誘電率)を変化させることが可能な誘電体薄膜を得ることが可能となる。
実施例1で得られたポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示すグラフである。 実施例2で得られたポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示すグラフである。 実施例3で得られたポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示すグラフである。 比較例1で得られたポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の誘電体薄膜は、酸化亜鉛微粒子と、この酸化亜鉛微粒子の表面に形成されている平均厚さが5〜500nmの高分子被覆層とからなる高分子被覆酸化亜鉛微粒子を含有するものである。
本発明に用いられる酸化亜鉛微粒子は酸化亜鉛(ZnO)を主成分(好ましくは、ZnO含有率が50質量%以上)とするものである。ZnO微粒子の平均粒子径としては、10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。ZnO微粒子の平均粒子径が前記下限未満になると、高分子被膜層を形成させることが困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、誘電体薄膜内部にまで紫外線が侵入できず、紫外線照射による誘電率の変化が小さくなる傾向にある。
本発明においては、このようなZnO微粒子の表面を高分子材料で被覆した高分子被覆酸化亜鉛微粒子を使用する。ZnO微粒子の表面を高分子材料で被覆することによって、ZnO微粒子の導電性が抑制され、誘電材料として使用することが可能となる。一方、ZnO微粒子の表面をシランカップリング剤等の低分子化合物で処理した場合には、形成される被覆層が薄く、ZnO微粒子の導電性を十分に抑制することは困難である。
また、本発明においては、前記高分子被覆ZnO微粒子を構成する高分子被覆層の平均厚さは5〜500nmである必要がある。高分子被覆層の平均厚さが前記下限未満になると、十分な絶縁性が得られず、紫外線照射により薄膜の誘電正接が増加する。他方、高分子被覆層の平均厚さが前記上限を超えると、ZnO微粒子の含有率が小さくなり、紫外線照射による誘電率の変化が小さくなる。また、十分な絶縁性を確保しながら、紫外線照射による誘電率の変化が大きくなるという観点から、高分子被覆層の平均厚さとしては、10〜100nmが好ましく、15〜50nmがより好ましい。
このような高分子被覆層を構成する高分子材料としては特に限定されないが、体積抵抗率が1013Ω・cm以上(より好ましくは、1015Ω・cm以上)のものが好ましい。高分子材料の体積抵抗率が前記下限未満になると、薄膜の誘電正接を低減できず、得られる薄膜が誘電材料として適さない傾向にある。
このような高分子材料として具体的には、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート類、ポリアリレート類、ポリエーテルイミド類、ポリスルホン類、ポリフェニルエーテル類等が挙げられる。これらの高分子材料は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの高分子材料のうち、ZnO微粒子の表面に化学的に結合しやすいという観点から、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート類、ポリアリレート類、ポリエーテルイミド類が好ましく、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルがより好ましく、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)が特に好ましい。
本発明に用いられる高分子被覆ZnO微粒子において、ZnO微粒子の含有率としては、1〜20vol%が好ましく、5〜15vol%がより好ましい。ZnO微粒子の含有率が前記下限未満になると、紫外線照射による誘電率の変化が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、誘電体薄膜内部にまで紫外線が侵入できず、紫外線照射による誘電率の変化が小さくなる傾向にある。
また、前記高分子被覆ZnO微粒子においては、高分子材料がZnO微粒子の表面に化学的に結合していることが好ましく、ZnO微粒子の表面に結合している重合開始剤を介してZnO微粒子の表面に化学的に結合していることがより好ましい。このような高分子被覆ZnO微粒子を用いることによって、薄膜を形成する際に、高分子被覆層がZnO微粒子から剥離しにくく、ZnO微粒子の導電性が十分に抑制され、さらに、紫外線を照射しても、薄膜の誘電正接を低く抑えることが可能となる。
このような高分子被覆ZnO微粒子は、例えば、特開2010−24263号公報に記載の方法によって調製することができる。すなわち、表面に求核性官能基を有するZnO微粒子と下記式(1):
−CH−Ar−(Y (1)
〔前記式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Arは芳香族環を表し、Yは重合開始能を有する官能基を含有する基を表し、nは1〜3の整数である。〕
で表されるハロゲン化メチル芳香族化合物誘導体を含む重合開始剤とを反応させてZnO微粒子の表面に前記重合開始剤を結合させ、次いで、表面に前記重合開始剤が結合しているZnO微粒子とラジカル重合性モノマーとを反応させてZnO微粒子の表面にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させる。これにより、ZnO微粒子の表面に、所定の平均厚さの高分子被覆層を容易に形成することができる。
前記求核性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、ホスフィノ基、スルフィノ基等が挙げられ、中でも、重合開始剤中のハロゲン化メチル基との反応性の観点から、アミノ基、カルボキシル基、フェノール性水酸基が好ましい。
前記ハロゲン化メチル芳香族化合物誘導体としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸−p−(ブロモメチル)ベンジル、2−ブロモプロピオン酸−p−(ブロモメチル)ベンジル、α,α’−ジブロモ−p−キシレンが挙げられる。
本発明の誘導体薄膜は、このような高分子被覆ZnO微粒子を含有するものであり、前記高分子被覆ZnO微粒子のみからなるものであってもよいし、前記高分子被覆ZnO微粒子と他の高分子材料とを含有するものであってもよい。前記他の高分子材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド等が挙げられ、高分子被覆ZnO微粒子の分散性が向上するという観点から、高分子被膜との相溶性が高いものが好ましい。
本発明の誘導体薄膜の平均膜厚としては、0.5〜50μmであれば特に問題はないが、実用的な静電容量可変性(誘電率可変性)が得られるという観点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、1〜3μmが特に好ましい。
このような誘電体薄膜の製造方法としては特に制限はないが、例えば、前記高分子被覆ZnO微粒子を溶媒に均一に分散させ、得られた分散液を基板上に、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法等の公知のコーティング方法によりコートする方法が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の膜厚及び複素誘電率は以下の方法により測定した。また、重合開始剤修飾酸化亜鉛微粒子は以下の方法により調製した。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の膜厚測定>
先ず、ポリメタクリル酸メチル被覆酸化亜鉛微粒子を成形体の厚さが約0.5mmとなるようにプレス成形して、直径33mmの成形体(ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛厚膜)を作製し、この成形体の厚さを正確に測定した。次いで、この成形体の両面にイオンコータ―を用いて直径27mmの金電極を作製し、LCRメータ(日置電機(株)製「IM3523」)を用いて、周波数1kHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。
次に、実施例及び比較例で得られた金電極を有するポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜について、LCRメータ(日置電機(株)製「IM3523」)を用いて、周波数1kHzにおける静電容量を測定した。この静電容量と前記成形体(ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛厚膜)の比誘電率を用いて、ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の膜厚を算出した。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の複素誘電率測定>
実施例及び比較例で得られた金電極を有する前記ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜に、紫外線ランプ(アズワン(株)製「SLUV−4」)を用いて紫外線(波長365nm)を3分間照射した。なお、紫外線照射強度は、紫外線ランプとポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜との距離を変化させることにより調整した。次いで、紫外線照射後のポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜について、LCRメータ(日置電機(株)製「IM3523」)を用いて、周波数1kHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。
(調製例1)
<重合開始剤修飾酸化亜鉛微粒子の調製>
先ず、N,N−ジメチルホルムアミド97mlに酸化亜鉛(ZnO)微粒子(関東電化工業(株)製、粒子径15nm、比表面積60m/g、密度5.22g/cm)10gを分散させた後、トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン840μl(4.3mmol)及び水0.5mlを添加した。この分散液に超音波処理を施しながら50℃で6時間反応させ、ZnO微粒子にアミノ基を導入した。得られた分散液に遠心分離を施してアミン修飾ZnO微粒子を回収した。このアミン修飾ZnO微粒子をアセトニトリルに再分散させた後、遠心分離を施してアミン修飾ZnO微粒子を回収した。この操作を繰り返してアミン修飾ZnO微粒子を洗浄した。
次に、アセトニトリル95mlに前記アミン修飾ZnO微粒子16gを分散させ、この分散液に、特開2010−24263号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した2−ブロモイソ酪酸−p−(ブロモメチル)ベンジル1.0g(2.9mmol)、及び1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン0.60g(2.8mmol)を添加した。この分散液に超音波処理を施しながら40℃で12時間反応させ、前記アミン修飾ZnO微粒子に重合開始剤である2−ブロモイソ酪酸−p−(ブロモメチル)ベンジルを導入した。得られた分散液に遠心分離を施して重合開始剤修飾ZnO微粒子を回収した。この重合開始剤修飾ZnO微粒子をN,N−ジメチルホルムアミドに再分散させた後、遠心分離を施して重合開始剤修飾ZnO微粒子を回収した。この操作を繰り返して重合開始剤修飾ZnO微粒子を洗浄した。
(実施例1)
<ポリメタクリル酸メチル被覆酸化亜鉛微粒子の調製>
調製例1で得られた重合開始剤修飾ZnO微粒子2.0g及び臭化銅(I)14.3mg(100μmol)を混合し、これにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加して超音波処理を施し、前記重合開始剤修飾ZnO微粒子を均一に分散させた。この分散液に、2,2’−ビピリジル46.8mg(300μmol)を溶解させたメタクリル酸メチル90mlを添加し、60℃で180分間攪拌して重合を行なった。その後、メタノール中に析出させた固形物を遠心分離により精製し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)被覆ZnO微粒子を得た。
得られたPMMA被覆ZnO微粒子について、示差熱天秤((株)リガク製「TG8120」)を用いて、空気流中、室温から600℃まで10℃/minで昇温しながら熱重量測定を行なった。その結果、前記PMMA被覆ZnO微粒子中のZnO微粒子の割合は5.1vol%と算出された(以下、このPMMA被覆ZnO微粒子を「PMMA−ZnO(5%)微粒子」と略す。)。また、前記PMMA−ZnO(5%)微粒子の構造を、ZnOコアとPMMAシェルの球状のコアシェル構造とみなし、使用したZnO微粒子の粒径を考慮して、次式により、前記PMMA−ZnO(5%)微粒子中の高分子被覆層(PMMA層)の厚さDを算出したところ、13nmであった。
D={(1/Φ)(1/3)−1}×d/2
ここで、ΦはPMMA被覆ZnO微粒子中のZnO微粒子の割合であり、dはZnO微粒子の粒子径である。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の作製>
前記PMMA−ZnO(5%)微粒子をγ−ブチロラクトンに分散させ、得られた分散液を、表面に透明電極(ITO電極)を有するガラス基板上に滴下し、スピンコートにより薄膜化した。γ−ブチロラクトンを揮発させた後、120℃で加熱して、PMMA−ZnO(5%)微粒子からなる薄膜(以下、「PMMA−ZnO(5%)薄膜」と略す。)を形成した。スピンコーターの回転数を変化させることにより、膜厚が異なる4種類のPMMA−ZnO(5%)薄膜を作製した。これらの薄膜上にイオンコータ―を用いて直径9mmの金電極を作製した。得られたPMMA−ZnO(5%)薄膜の膜厚、比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。図1(a)には、各膜厚のPMMA−ZnO(5%)薄膜における紫外線照射強度と比誘電率との関係を、図1(b)には、各膜厚のPMMA−ZnO(5%)薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示す。
(実施例2)
<ポリメタクリル酸メチル被覆酸化亜鉛微粒子の調製>
重合開始剤修飾ZnO微粒子の量を5.6gに変更し、重合時間を115分間に変更した以外は実施例1と同様にして、PMMA被覆ZnO微粒子を調製した。実施例1と同様にして、このPMMA被覆ZnO微粒子中のZnO微粒子の割合を算出したところ、11vol%であり(以下、このPMMA被覆ZnO微粒子を「PMMA−ZnO(11%)微粒子」と略す。)、また、前記PMMA−ZnO(11%)微粒子中の高分子被覆層(PMMA層)の厚さを算出したところ、8.2nmであった。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の作製>
PMMA−ZnO(5%)微粒子の代わりに、前記PMMA−ZnO(11%)微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚が異なる4種類の、PMMA−ZnO(11%)微粒子からなる薄膜(以下、「PMMA−ZnO(11%)薄膜」と略す。)を作製し、さらに、これらの薄膜上に金電極を作製した。得られたPMMA−ZnO(11%)薄膜の膜厚、比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。図2(a)には、各膜厚のPMMA−ZnO(11%)薄膜における紫外線照射強度と比誘電率との関係を、図2(b)には、各膜厚のPMMA−ZnO(11%)薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示す。
(実施例3)
<ポリメタクリル酸メチル被覆酸化亜鉛微粒子の調製>
重合開始剤修飾ZnO微粒子の量を11.2gに、N,N−ジメチルアセトアミドの量を75mlに、メタクリル酸メチルの量を75mlに変更し、重合時間を130分間に変更した以外は実施例1と同様にして、PMMA被覆ZnO微粒子を調製した。実施例1と同様にして、このPMMA被覆ZnO微粒子中のZnO微粒子の割合を算出したところ、17vol%であり(以下、このPMMA被覆ZnO微粒子を「PMMA−ZnO(17%)微粒子」と略す。)、また、前記PMMA−ZnO(17%)微粒子中の高分子被覆層(PMMA層)の厚さを算出したところ、6.0nmであった。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の作製>
PMMA−ZnO(5%)微粒子の代わりに、前記PMMA−ZnO(17%)微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚が異なる4種類の、PMMA−ZnO(17%)微粒子からなる薄膜(以下、「PMMA−ZnO(17%)薄膜」と略す。)を作製し、さらに、これらの薄膜上に金電極を作製した。得られたPMMA−ZnO(17%)薄膜の膜厚、比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。図3(a)には、各膜厚のPMMA−ZnO(17%)薄膜における紫外線照射強度と比誘電率との関係を、図3(b)には、各膜厚のPMMA−ZnO(17%)薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示す。
(比較例1)
<ポリメタクリル酸メチル被覆酸化亜鉛微粒子の調製>
重合開始剤修飾ZnO微粒子の量を16.8gに、N,N−ジメチルアセトアミドの量を90mlに、メタクリル酸メチルの量を60mlに変更し、重合時間を150分間に変更した以外は実施例1と同様にして、PMMA被覆ZnO微粒子を調製した。実施例1と同様にして、このPMMA被覆ZnO微粒子中のZnO微粒子の割合を算出したところ、23vol%であり(以下、このPMMA被覆ZnO微粒子を「PMMA−ZnO(23%)微粒子」と略す。)、また、前記PMMA−ZnO(23%)微粒子中の高分子被覆層(PMMA層)の厚さを算出したところ、4.7nmであった。
<ポリメタクリル酸メチル修飾酸化亜鉛薄膜の作製>
PMMA−ZnO(5%)微粒子の代わりに、前記PMMA−ZnO(23%)微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚が異なる4種類の、PMMA−ZnO(23%)微粒子からなる薄膜(以下、「PMMA−ZnO(23%)薄膜」と略す。)を作製し、さらに、これらの薄膜上に金電極を作製した。得られたPMMA−ZnO(23%)薄膜の膜厚、比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。図4(a)には、各膜厚のPMMA−ZnO(23%)薄膜における紫外線照射強度と比誘電率との関係を、図4(b)には、各膜厚のPMMA−ZnO(23%)薄膜における紫外線照射強度と誘電正接との関係を示す。
(比較例2)
PMMAとZnO微粒子との合計量に対するZnO微粒子の割合が17vol%となるように、PMMA及び調製例1で得られた重合開始剤修飾ZnO微粒子をγ−ブチロラクトンに溶解した。この溶液を用いて薄膜を形成した以外は実施例1と同様にして、PMMAと重合開始剤修飾ZnO微粒子との混合物からなる薄膜(以下、「PMMA/重合開始剤修飾ZnO(17%)薄膜」と略す。)を作製し、さらに、この薄膜上に金電極を作製した。得られたPMMA/重合開始剤修飾ZnO(17%)薄膜の比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。
(比較例3)
PMMAをγ−ブチロラクトンに溶解した。この溶液を用いて薄膜を形成した以外は実施例1と同様にして、PMMA薄膜を作製し、さらに、この薄膜上に金電極を作製した。得られたPMMA薄膜の比誘電率及び誘電正接を前記方法により測定した。
図1(a)〜図4(a)に示したように、PMMA修飾ZnO薄膜においては、紫外線照射強度を増加させることによって、比誘電率が増加することがわかった。また、膜厚が小さいほど比誘電率が大きくなることがわかった。さらに、ZnO微粒子の含有率を増加させ、高分子被覆層の厚さを薄くすることによって比誘電率が増加することがわかった。一方、比較例3で得られたPMMA薄膜においては、紫外線を照射しても比誘電率は変化しなかった。
また、図1(b)〜図3(b)に示したように、ZnO微粒子の含有率が5〜17vol%のPMMA修飾ZnO薄膜は、いずれの膜厚においても、誘電正接が0.1以下であり、また、誘電正接の紫外線照射強度依存性は小さく、誘電材料として適していることがわかった。一方、図4(b)に示したように、ZnO微粒子の含有率が23vol%のPMMA修飾ZnO薄膜においては、膜厚が2.6μm以下になると、紫外線照射強度が増加するにつれて誘電正接が大きくなることがわかった。特に、膜厚が1.1μmになると、紫外線照射により誘電正接が0.1を超え、誘電材料として適していないことがわかった。これは、ZnO微粒子の含有率が23vol%のPMMA修飾ZnO薄膜は、高分子被覆層(PMMA層)の厚さが5nm未満となり、絶縁性が不十分であるためと考えられる。また、PMMAと重合開始剤修飾ZnO微粒子とを単に混合した薄膜(比較例2)では、絶縁性が不十分なため、誘電正接が大きくなり、特に、2.0mW/cmで紫外線を照射すると、誘電正接は10以上となり、誘電材料として適していないことがわかった。これは、重合開始剤修飾ZnO微粒子の表面がPMMAで十分に被覆されていないため、薄膜内でZnO微粒子同士が接触しているためと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、紫外線照射によって誘電率(比誘電率)を変化させることが可能な誘電体薄膜を得ることが可能となる。したがって、本発明の誘電体薄膜は、容量可変コンデンサの材料の他に、光センサ等の光応答性電子素子の材料として有用である。

Claims (7)

  1. 酸化亜鉛微粒子と該酸化亜鉛微粒子の表面に形成されている平均厚さが5〜500nmの高分子被覆層とからなる高分子被覆酸化亜鉛微粒子を含有することを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 前記酸化亜鉛微粒子の平均粒子径が10nm〜1μmであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜。
  3. 前記高分子被覆酸化亜鉛微粒子中の酸化亜鉛微粒子の含有率が1〜20vol%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘電体薄膜。
  4. 前記高分子被覆層を構成する高分子材料が前記酸化亜鉛微粒子の表面に化学的に結合していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の誘電体薄膜。
  5. 前記高分子材料が、前記酸化亜鉛微粒子の表面に結合している重合開始剤を介して前記酸化亜鉛微粒子の表面に化学的に結合していることを特徴とする請求項4に記載の誘電体薄膜。
  6. 前記高分子被覆層が、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸エステル類、ポリスチレン、及びポリ(α−メチルスチレン)からなる群から選択される少なくとも1種の高分子材料からなるものであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の誘電体薄膜。
  7. 平均膜厚が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の誘電体薄膜。
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