JP6593306B2 - 排気浄化システムの制御装置 - Google Patents
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Description
第一検出部は、触媒の状態を検出可能に設けられ、触媒の状態に応じた信号を出力する。
炭化水素情報取得部は、触媒に流入する炭化水素化合物の種類および濃度に関する情報を取得可能に設けられ、炭化水素化合物の種類および濃度に応じた信号を出力する。
スリップ量演算部は、第一検出部および炭化水素情報取得部と電気的に接続し、第一検出部および炭化水素情報取得部が出力する信号に基づいて触媒から流出する炭化水素化合物の流出量である炭化水素スリップ量を演算する。
制御部は、スリップ量における演算結果に基づいて燃料添加部を制御する。
本発明の排気浄化システムの制御装置では、第一検出部が検出する触媒の状態、ならびに、炭化水素情報取得部が取得する触媒に流入する炭化水素化合物の種類および濃度に関する情報に基づいて、触媒から流出する炭化水素化合物の流出量である炭化水素スリップ量をスリップ量演算部が演算する。制御部は、演算された炭化水素スリップ量に基づいて炭化水素スリップ量が少なくなるよう燃料添加部を制御する。
このように、本発明の排気浄化システムの制御装置では、触媒の状態および炭化水素化合物のそれぞれの特性に基づいて炭化水素スリップ量を高精度に算出し、当該算出した結果に基づいて炭化水素スリップ量が少なくなるよう添加燃料を供給する。これにより、本発明の排気浄化システムの制御装置は、外部に排出される炭化水素化合物の量を低減することができる。
本発明の第一実施形態による「排気浄化システムの制御装置」は、内燃機関が排出する排気に含まれる窒素酸化物を排気から除去する排気浄化システムに適用される。
制御ユニット26は、このようにして、流量センサ21、酸素濃度センサ22、NOx濃度センサ23、炭化水素濃度センサ24、および、触媒温度センサ25が出力する信号に基づいて、燃料添加部11を制御する。
S104では、スリップ量演算部261は、S101で検出した排気浄化部12を流れる気体の流量、酸素濃度、および、排気浄化部12の温度におけるNOx除去率マップを炭化水素の種類ごとに選択する。
最初に、S1071において、HC浄化率マップを選択する。S1071では、スリップ量演算部261は、複数のHC浄化率マップから、S101で検出した排気浄化部12の状態およびS102で検出した排気浄化部12に流入する気体に含まれる炭化水素の種類に対応するHC浄化率マップを選択する。ここで、HC浄化率マップとは、炭化水素の種類ごとにそれぞれの炭化水素の排気浄化部12における消費率をまとめたマップである。
具体的には、排気浄化部12に流入する炭化水素は、窒素酸化物の還元に利用される、窒素酸化物の還元に利用されないものの排気浄化部12の触媒によって酸化される、または、炭化水素のまま排気浄化部12から排出される、のいずれかとなる。このうち、排気浄化部12に流入する炭化水素の全量が窒素酸化物の還元に利用されるまたは排気浄化部12の触媒によって酸化されると、HC浄化率は、100%となる。すなわち、HC浄化率とは、排気浄化部12に流入する炭化水素の流入量に対する排気浄化部12における炭化水素の消費量の割合である。
オレフィンは、平均炭素数が同じ直鎖パラフィンに比べHC浄化率が高い。
含酸素炭化水素は、平均炭素数が同じ直鎖パラフィンやオレフィンに比べHC浄化率が高い。また、分子内の歪みが比較的大きい含酸素炭化水素は、分子内の歪みが比較的小さい含酸素炭化水素に比べHC浄化率が高い。特に、低温領域および中温領域において平均炭素数が小さくなると、分子内の歪みが比較的大きい含酸素炭化水素のHC浄化率と分子内の歪みが比較的小さい含酸素炭化水素のHC浄化率との差が大きくなる。
低反応性炭化水素は、平均炭素数が同じ直鎖パラフィンに比べHC浄化率が低くなっている。
S1071では、スリップ量演算部261は、複数のHC浄化率マップからS101で検出した排気浄化部12の状態およびS102で検出した排気浄化部12に流入する気体に含まれる炭化水素の種類に対応するHC浄化率マップを選択する。
次に、S1074において、総HCスリップ量を算出する。S1074では、スリップ量演算部261は、S1072で算出した総HC浄化率とS1073で取得した添加燃料の供給量とに基づいて総HCスリップ量を算出する。総HCスリップ量を算出する計算式は、総HCスリップ量をHCst、添加燃料の供給量をSf、および、総HC浄化率をHCctとすると、以下のように表すことができる。
HCst = Sf×(1−HCct)
図5には、燃料添加部10が排気通路90に噴射する添加燃料の量の時間変化を示す。図5では、横軸に時間を示し、縦軸に一回の添加燃料の供給時間に比べ短い単位時間当たりの添加燃料の供給量(以下、「単位供給量」という)を示す。具体的には、図5において一回の添加燃料は、例えば、時刻t10から時刻t20までの間、時刻t20から時刻t30までの間に行われている。
今回の制御装置20における排気浄化システムの制御プロセスでは、S105において、窒素酸化物の目標除去率を達成可能な添加燃料の供給量が算出されている。このとき、燃料添加部11による添加燃料は、比較的短時間に全ての添加燃料を噴射することとなっている。1回目のS105において設定されている単位供給量の時間変化を点線L51で示す。このときの添加燃料の噴射時間は、時刻t10から時刻t11までの間や時刻t20から時刻t21までの間であって、単位供給量の最大値は、単位供給量Mij1となる(図5参照)。
第一実施形態による制御装置20は、このようにして排気浄化システム1を制御し、窒素酸化物の除去率およびHCスリップ量を所望の値とする。
次に、本発明の第二実施形態による排気浄化システムの制御装置を図6に基づいて説明する。第二実施形態は、排気浄化システムの制御プロセスが第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、S202において、第一実施形態のS102と同様に、排気浄化部12に流入する気体の種類およびその濃度を検出する。
Sfmax = HCsm/HCst
第二実施形態による制御装置20は、このようにして排気浄化システム1を制御し、排気浄化部12の触媒を昇温するととともにHCスリップ量を所望の値とする。
次に、本発明の第三実施形態による排気浄化システムの制御装置を図7〜10に基づいて説明する。第三実施形態は、排気系に炭化水素を改質可能な改質部が設けられている点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
制御ユニット36は、このようにして、流量センサ21、酸素濃度センサ22、NOx濃度センサ23、炭化水素濃度センサ24、触媒温度センサ25、および、改質部温度センサ131が出力する信号に基づいて、燃料添加部11およびヒータ132を制御する。
次に、S302において、第一実施形態のS102と同様に、排気浄化部12に流入する気体の種類およびその濃度を検出する。
図10には、改質部13の温度と改質部13の空燃比との関係において生成される炭化水素の種類を示している。図10では、アルデヒドなど窒素酸化物の還元率が比較的高い高活性炭化水素が生成される領域を領域A101で示し、芳香族化合物やナフテンなど窒素酸化物の還元率が比較的低い低活性炭化水素が生成される領域を領域A102で示す。また、炭化水素が酸化することによって主に一酸化炭素などに変化する領域を領域A103とする。なお、図10に一点鎖線で示す境界は厳密な境界ではない。
図10に示すように、改質部13の温度および改質部13の空燃比を変更することによって、改質部13で生成される炭化水素の種類が変化する。例えば、比較的低温で空燃比がリッチな条件で改質部13から低活性炭化水素が比較的多く排出される場合、改質部13の温度を上げるとともに空燃比をリーンな条件にすると(図10に示す点線矢印F10)、高活性炭化水素が生成されやすくなる。
次に、S307において、第一実施形態のS104と同様に、NOx除去率マップを選択する。
制御装置30は、このようにして排気浄化システム3を制御し、窒素酸化物の除去率およびHCスリップ量を所望の値とする。
次に、本発明の第四実施形態による排気浄化システムの制御装置を図11に基づいて説明する。第四実施形態は、排気浄化システムの制御プロセスが第三実施形態と異なる。なお、第三実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、S402において、第三実施形態のS302と同様に、排気浄化部12に流入する気体の種類およびその濃度を検出する。
次に、S406において、第三実施形態のS304と同様に、改質HCマップを選択する。
次に、S407において、第三実施形態のS305と同様に、改質部13において生成可能な炭化水素の種類およびその濃度の組み合わせを選択する。
次に、S409において、第三実施形態のS3102と同様に、S407において炭化水素の種類およびその濃度の組み合わせごとの総HC浄化率を算出する。このとき、総HC浄化率が所定の値以上の組み合わせを選定する。また、総HC浄化率が所定の値に比べ小さい場合、総HC浄化率が最も大きい組み合わせを選定する。
次に、S410において、第三実施形態のS309と同様に、目標HCスリップ量を設定する。
第四実施形態による制御装置30は、このようにして排気浄化システム3を制御し、排気浄化部12の触媒を昇温するととともにHCスリップ量を所望の値とする。
次に、本発明の第五実施形態による排気浄化システムの制御装置を図12に基づいて説明する。第五実施形態は、改質部が設けられる位置が第三実施形態と異なる。なお、第三実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
炭化水素濃度センサ24は、還元剤添加管111において改質部13の下流側に設けられる。
流量センサ141は、還元剤添加管111において大気から流入する空気と添加燃料との混合気の流量を検出可能に設けられている。流量センサ141は、制御ユニット36と電気的に接続している。流量センサ141は、還元剤添加通路110を流れる空気と添加燃料との混合気の流量に応じた信号をスリップ量演算部361に出力する。
酸素濃度センサ142は、還元剤添加管111において大気から流入する空気と添加燃料との混合気の酸素濃度を検出可能に設けられている。酸素濃度センサ142は、制御ユニット36と電気的に接続している。酸素濃度センサ142は、還元剤添加通路110を流れる空気と添加燃料との混合気の酸素濃度に応じた信号をスリップ量演算部361に出力する。
次に、本発明の第六実施形態による排気浄化システムの制御装置を図13に基づいて説明する。第六実施形態は、改質部が設けられる位置が第三実施形態と異なる。なお、第三実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
炭化水素濃度センサ24は、バイパス管60において改質部13の下流側に設けられる。
流量センサ151は、バイパス管60において改質部13の上流側を流れるエンジン8の排気の一部、大気供給バルブ15を介して大気から流入する空気、および、添加燃料との混合気の流量を検出可能に設けられている。流量センサ151は、制御ユニット36と電気的に接続している。流量センサ151は、バイパス通路600を流れる排気と空気と添加燃料との混合気の流量に応じた信号をスリップ量演算部361に出力する。
酸素濃度センサ152は、バイパス管60において改質部13の上流側を流れる排気、空気、および、添加燃料との混合気の酸素濃度を検出可能に設けられている。酸素濃度センサ152は、制御ユニット36と電気的に接続している。酸素濃度センサ152は、バイパス通路600を流れる排気と空気と添加燃料との混合気の酸素濃度に応じた信号をスリップ量演算部361に出力する。
次に、本発明の第七実施形態による排気浄化システムの制御装置を図14に基づいて説明する。第七実施形態は、バイパス通路に流量制御バルブが設けられている点が第六実施形態と異なる。なお、第六実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
上述の実施形態では、「第一検出部」は、流量センサ、酸素濃度センサ、NOx濃度センサ、および、触媒温度センサであるとした。しかしながら、「第一検出部」はこれに限定されない。排気浄化部の触媒の状態を検出可能であればよい。
また、第三〜七実施形態では、改質部温度センサ、供給ポンプまたは大気供給バルブと改質部との間に設けられる流量センサおよび酸素濃度センサが検出する改質部の状態、および、制御部による改質部の制御内容に基づいて排気浄化部に流入する炭化水素の種類および濃度に関する情報を推定してもよい。この場合でも、炭化水素濃度センサが不要となるため、制御装置の製造コストを低減することができる。
5・・・エンジン(内燃機関)
20,30・・・制御装置(排気浄化システムの制御装置)
11・・・燃料添加部
12・・・排気浄化部(触媒)
21・・・流量センサ(第一検出部)
22・・・酸素濃度センサ(第一検出部)
23・・・NOx濃度センサ(第一検出部)
24・・・炭化水素センサ(炭化水素情報取得部)
25・・・触媒温度センサ(第一検出部)
261,361・・・スリップ量演算部
262,362・・・制御部
Claims (18)
- 内燃機関(5)の排気系(9)に設けられ、炭化水素化合物を還元剤として排気に含まれる窒素酸化物を還元可能な触媒(12)と、
前記内燃機関の燃料を添加燃料として排気に添加可能な燃料添加部(11)と、
を有する排気浄化システムの制御装置であって、
前記触媒の状態を検出可能に設けられ、前記触媒の状態に応じた信号を出力する第一検出部(21,22,23,25)と、
前記触媒に流入する炭化水素化合物の種類および濃度に関する情報を取得可能に設けられ、炭化水素化合物の種類および濃度に応じた信号を出力する炭化水素情報取得部(24)と、
前記第一検出部および前記炭化水素情報取得部と電気的に接続し、前記第一検出部および前記炭化水素情報取得部が出力する信号に基づいて前記触媒から流出する炭化水素化合物の流出量である炭化水素スリップ量を演算するスリップ量演算部(261,361)と、
前記スリップ量演算部における演算結果に基づいて前記燃料添加部を制御する制御部(262,362)と、
を備える排気浄化システムの制御装置。 - 前記スリップ量演算部は、前記炭化水素情報取得部が濃度に関する情報を取得可能な炭化水素化合物の複数の種類のそれぞれにおける前記触媒に流入する炭化水素化合物の流入量に対する前記触媒における炭化水素化合物の消費量の割合である炭化水素浄化率を示すマップを有する請求項1に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、炭素数が多くなるにしたがって炭化水素浄化率が高くなることを示す直鎖パラフィンに関するマップを有する請求項2に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、同じ炭素数の直鎖パラフィンに比べ炭化水素浄化率が高くなることを示すオレフィンに関するマップを有する請求項2または3に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、同じ炭素数のオレフィンに比べ炭化水素浄化率が高くなることを示す含酸素炭化水素化合物に関するマップを有する請求項2〜4のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、同じ炭素数であって分子内の歪みの大きさが異なる含酸素炭化水素化合物に関するマップを有し、
当該マップは、分子内の歪みが比較的大きい含酸素炭化水素化合物の炭化水素浄化率が分子内の歪みが比較的小さい含酸素炭化水素化合物の炭化水素浄化率に比べ高くなることを示す請求項2〜5のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。 - 前記スリップ量演算部は、同じ炭素数の直鎖パラフィン、オレフィン、および、含酸素炭化水素化合物に比べ炭化水素浄化率が低くなることを示す低反応性炭化水素化合物に関するマップを有する請求項2〜6のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記燃料添加部と前記触媒との間に設けられ添加燃料に含まれる炭化水素化合物を改質可能な改質部(13)における添加燃料中の炭化水素化合物の改質反応を制御可能である請求項1〜7のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記改質部の状態を検出可能に設けられ、前記改質部の状態に応じた信号を前記スリップ量演算部に出力する第二検出部(131,141,142,151,152)をさらに備え、
前記制御部は、前記第二検出部が出力する信号に応じて前記改質部における炭化水素化合物の改質反応を制御する請求項8に記載の排気浄化システムの制御装置。 - 前記炭化水素情報取得部は、前記第二検出部が検出する前記改質部の状態、および、前記制御部による前記改質部の制御内容に基づいて前記触媒に流入する炭化水素化合物の種類および濃度に関する情報を推定する請求項9に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記改質部における炭化水素化合物の濃度を制御可能な炭化水素濃度制御部(11)を制御可能である請求項8〜10のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記改質部の温度を制御可能な温度制御部(132)を制御可能である請求項8〜11のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記改質部における気体の流速を制御可能な流速制御部(14)を制御可能である請求項8〜12のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記改質部における酸素濃度を制御可能な酸素濃度制御部(15)を制御可能である請求項8〜13のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、前記炭化水素情報取得部が濃度に関する情報を取得可能な炭化水素化合物のそれぞれの種類における窒素酸化物の還元率であるNOx除去率を示すマップに基づいて前記触媒における炭化水素化合物のNOx除去率を演算する請求項1〜14のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は,前記触媒における炭化水素化合物の反応熱によって前記触媒の温度が目標温度となるよう添加燃料の供給量を演算する請求項1〜15のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記スリップ量演算部は、炭化水素化合物の反応熱によって前記触媒を昇温するとき、炭化水素浄化率を示すマップおよび目標炭化水素スリップ量に基づいて添加燃料の供給量の上限を算出可能である請求項16に記載の排気浄化システムの制御装置。
- 前記炭化水素情報取得部は、前記燃料添加部が排気に添加する添加燃料の量、および、前記内燃機関の運転条件に基づいて前記触媒に流入する炭化水素化合物の種類および濃度に関する情報を推定する請求項1〜17のいずれか一項に記載の排気浄化システムの制御装置。
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