JP6592824B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents
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Description
1.一対の電極と、イオン液体を含む電解液とを備える電気化学キャパシタであって、 前記電極の少なくとも一方が、多孔質炭素の細孔内部に有機金属錯体を物理的に吸着させて得られる多孔質炭素−有機金属錯体複合体を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
2.前記多孔質炭素のBET比表面積が、500m2/g以上である1の電気化学キャパシタ。
3.前記有機金属錯体が、酸化還元反応を示すものである1又は2の電気化学キャパシタ。
4.前記有機金属錯体がメタロセン又はその誘導体である3の電気化学キャパシタ。
5.前記電解液が、イオン液体のみからなる1〜4のいずれかの電気化学キャパシタ。
6.前記イオン液体のアニオンが、BF4 -である1〜5のいずれかの電気化学キャパシタ。
7.前記イオン液体のカチオンが、下記式(1)、(2)又は(3)で表されるものである1〜6のいずれかの電気化学キャパシタ。
8.前記カチオンが、下記式(4)〜(11)で表されるものから選ばれる7の電気化学キャパシタ。
前記多孔質炭素−有機金属錯体複合体は、多孔質炭素の細孔内部に有機金属錯体を物理的に吸着させて得られるものである。
前記多孔質炭素−有機金属錯体複合体を含む電極は、前記多孔質炭素−有機金属錯体複合体、必要に応じてバインダー、導電材等を混合し、これを集電体上に塗布・積層し、必要に応じて加圧、加熱等することで作製することができる。
本発明の電気化学キャパシタに用いられる電解液は、イオン液体を含む。本発明においてイオン液体とは、イオンのみから構成される塩であって、融点が100℃以下、好ましくは50℃以下のものをいう。
[1]前記イオン液体のみからなる電解液、
[2][1]の電解液にその他の電解質塩を添加した電解液、
[3]前記イオン液体及び有機溶媒を含む電解液、
[4][3]の電解液にその他の電解質塩を添加した電解液
のいずれかの態様を採用し得る。
本発明の電気化学キャパシタとしては、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ、及びハイブリッドキャパシタが挙げられるが、特に、レドックスキャパシタであることが好ましい。
・多孔質炭素:ライオン(株)製ケッチェンブラックカーボンECP600JD(KB)(BET比表面積:1,340m2/g、平均粒子径(一次粒子径)34.0μm)
・デカメチルフェロセン(FeCp* 2):Aldrich社製
・フェロセン(FeCp2):和光純薬工業(株)製
・ルテノセン(RuCp2):Aldrich社製
・カーボンブラック:電気化学工業(株)製デンカブラック(平均粒子径35nm)
・エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4):キシダ化学(株)製
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):デュポン社製
・活性炭:ノリット社製NORIT SX-2
・セパレータ:東京産業洋紙(株)製TF-4850
・非水溶媒系参照電極:BAS(株)製RE-7
・X線回折(XRD):(株)島津製作所製XRD-6100
・X線光電子分光(XPS)分析:KRATOS社製ESCA-3400
・サイクリックボルタモグラム(CV)測定:北斗電工(株)製HZ-5000又はHZ-7000
・定電流充放電測定(C/D):北斗電工(株)製HJ1001-SM8
[合成例1]
事前に150℃で6時間真空加熱乾燥したKB100質量部に対して155質量部のFeCp* 2を量り取り、KBとFeCp* 2とを減圧下(1.0×10-1Pa)でガラス製アンプル管に封じた。アンプル管を250℃で24時間加熱し、蒸気となったFeCp* 2をKBに物理的に吸着させて複合化を行い、多孔質炭素−金属錯体複合体を作製した。得られた多孔質炭素−金属錯体複合体中のFeCp* 2の量は、49.0質量%であった。以下、このサンプルをKB/FeCp* 2(49.0wt%)と表記する。
FeCp* 2のかわりにFeCp2を25質量部用い、アンプル管の加熱温度を100℃にした以外は合成例1と同様の手法を用いて、多孔質炭素−金属錯体複合体を作製した。得られた多孔質炭素−金属錯体複合体中のFeCp2の量は、20.0質量%であった。以下、このサンプルをKB/FeCp2(20.0wt%)と表記する。
FeCp2のかわりにRuCp2を用いた以外は合成例2と同様の手法を用いて、多孔質炭素−金属錯体複合体を作製した。得られた多孔質炭素−金属錯体複合体中のRuCp2の量は、20.0質量%であった。以下、このサンプルをKB/RuCp2(20.0wt%)と表記する。
RuCp2の使用量を155質量部にした以外は合成例3と同様の手法を用いて、多孔質炭素−金属錯体複合体を作製した。得られた多孔質炭素−金属錯体複合体中のRuCp2の量は、50.8質量%であった。以下、このサンプルをKB/RuCp2(50.8wt%)と表記する。
[合成例5]N−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MEMPBF4)の合成
国際公開第02/076924号に記載の方法に従って、MEMPBF4を合成した。
国際公開第02/076924号に記載の方法に従って、DEMEBF4を合成した。
[合成例7]N−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムトリフルオロメチルスルホニルアミド(MEMPTFSA)の合成
国際公開第02/076924号に記載の方法に従って、MEMPTFSAを合成した。
[実施例1]
三極式セルで電気化学測定を行うために、作用極、対極及び参照電極を作製した。まず、KB/FeCp* 2(49.0wt%)に含まれるKBに対して18:1の質量比となるように、導電材としてカーボンブラックとバインダーとしてPTFEとをそれぞれ量り取り、メノウ乳鉢で混合して作用極用電極シート材料を作製した。前記作用極用電極シート材料を、該材料に含まれる有機金属錯体を差し引いた質量とメッシュに圧着する部分の面積との比が65〜75g/m2となるように量り取り、白金製のメッシュ(80メッシュ)に20MPaの圧力で圧着して作製した。作用極は、測定前に真空加熱乾燥にて乾燥処理を行った。
対極は、活性炭に対して18:1の質量比となるように、導電材としてカーボンブラックとバインダーとしてPTFEとをそれぞれ量り取り、メノウ乳鉢で混合して対極用電極シート材料を作製し、これを、対極用電極シート用材料の質量とメッシュに圧着する部分の面積との比が約125g/m2となるように量り取ってメッシュに圧着した。対極は、測定前に150℃で6時間の真空加熱乾燥を行った。
対極と作用極とを不活性ガス雰囲気下のグローブボックス内に移し、150℃で6時間真空加熱乾燥したセパレータを2枚挟んだ状態でガラス製スリットに固定して電極を作製した。その後、シュレンク管に入れて電解液としてイオン液体を添加した。イオン液体は、EMIBF4を用い、10mL加えオイルポンプで1時間減圧した。72時間以上静置することで電極にイオン液体を充分に含浸させた。
参照電極は、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内で、Et4NBF4が1mol/L、AgClO4が0.1mol/Lとなるようにアセトニトリルに溶解させて内部液を調製し、非水溶媒系参照電極に加えて作製した。
三極式セルは、ガラス製ビーカーセルを用いて作製した。作製した三極式セルを用いて電気化学測定により評価を行った。電気化学測定は、CV測定及び定電流充放電測定(C/D)で行った。CV測定は、電位範囲(1)−0.6〜0.2V、掃引速度1mV/sで4サイクル行い、続いて同じ電位範囲で(2)C/Dを50〜500mA/gの電流密度で行った。その後、1mV/sの掃引速度で再び(3)−0.6〜0.2V、(4)−0.6〜0.5V、(5)−1.9〜0.65Vの順に徐々に電位範囲を広げてCV測定を各4サイクルずつ行った。
CV測定の結果を図3に示す。図3に示したように、−0.3V付近にFeCp* 2の酸化還元反応に由来する強いピークが観測された。電位範囲を広げたCV測定を行っても、変色等の錯体の分解に起因する変化は見られず、酸化還元に由来する疑似容量を有効に使用でき、寿命特性が向上した。また、C/D測定の結果を表1に示す。
EMIBF4のかわりにイオン液体であるMEMPBF4を用いた以外は、実施例1と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図4に示す。図4に示したように、−0.3V付近にFeCp* 2の酸化還元反応に由来する強いピークが観測された。電位範囲を広げたCV測定を行っても、変色等の錯体の分解に起因する変化は見られず、酸化還元に由来する疑似容量を有効に使用でき、寿命特性が向上した。また、C/D測定の結果を表1に示す。
EMIBF4のかわりにイオン液体であるDEMEBF4を用いた以外は、実施例1と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図5に示す。図5に示したように、−0.3V付近にFeCp* 2の酸化還元反応に由来するピークが観測された。電位範囲を広げたCV測定を行っても、変色等の錯体の分解に起因する変化は見られず、酸化還元に由来する疑似容量を有効に使用でき、寿命特性が向上した。また、C/D測定の結果を表1に示す。
KB/FeCp* 2(49.0wt%)のかわりにKB/FeCp2(20.0wt%)を用いた以外は、実施例2と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図6に示す。図6に示したように、0V付近にFeCp2の酸化還元反応に由来するピークが観測された。C/D測定の結果を表1に示す。
KB/FeCp* 2(49.0wt%)のかわりにKB/RuCp2(20.0wt%)を用い、EMIBF4のかわりにイオン液体であるMEMPTFSAを用いた以外は、実施例1と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図7に示す。図7に示したように、0.3V付近にRuCp2の酸化還元反応に由来するピークが観測された。C/D測定の結果を表1に示す。
EMIBF4のかわりに電解液として水系の電解液である1 mol/L H2SO4水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図8に示す。図8に示したように、0V付近にFeCp* 2の酸化還元反応に由来するピークが観測された。しかし、電解液の含浸を行った際に電解液が青色に変色したこと、CV測定において電位幅を−0.1〜0.5Vから−0.1〜0.8Vに広げると電流値が低下したことから、錯体の分解あるいは脱着が起こっていることが示唆された。C/D測定の結果を表1に示す。電流密度が50mA/gで測定した際のキャパシタ容量は120.9F/gであったが、酸化還元反応に基づく疑似容量は小さく容量への寄与は少ないため、容量発現のほとんどが二重層容量であると推測される。
KB/FeCp* 2(49.0wt%)のかわりにKB/RuCp2(50.8wt%)を用い、EMIBF4のかわりに電解液として有機溶媒系である0.5mol/Lの六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウムのアセトニトリル溶液(0.5 mol/L TEAPF6/AN)を用いた以外は、実施例1と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図9に示す。図9に示したように、RuCp2の酸化還元反応に由来するピークは観測されたものの、RuCp2の担持量に対してその強度は小さく、有機溶媒では有機金属錯体の酸化還元反応が有効に行えていないことが推測される。また、C/D測定の結果を表1に示す。電流密度が50mA/gで測定した際のキャパシタ容量は37.9F/gであった。酸化還元反応に基づく疑似容量は小さく容量への寄与は少ないため、容量発現のほとんどが二重層容量であると推測される。
KB/RuCp2(50.8wt%)のかわりにKBのみを用いた以外は、実施例2と同様に三極式セルを作製した。CV測定の結果を図10に示す。図10に示したように、酸化還元反応に由来するピークは観測されなかった。また、C/D測定の結果を表1に示す。電流密度が50mA/gで測定した際のキャパシタ容量は50.5F/gであった。
Claims (8)
- 一対の電極と、イオン液体を含む電解液とを備える電気化学キャパシタであって、
前記電極の少なくとも一方が、多孔質炭素の細孔内部に有機金属錯体を物理的に吸着させて得られる多孔質炭素−有機金属錯体複合体を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。 - 前記多孔質炭素のBET比表面積が、500m2/g以上である請求項1記載の電気化学キャパシタ。
- 前記有機金属錯体が、酸化還元反応を示すものである請求項1又は2記載の電気化学キャパシタ。
- 前記有機金属錯体がメタロセン又はその誘導体である請求項3記載の電気化学キャパシタ。
- 前記電解液が、イオン液体のみからなる請求項1〜4のいずれか1項記載の電気化学キャパシタ。
- 前記イオン液体のアニオンが、BF4 -である請求項1〜5のいずれか1項記載の電気化学キャパシタ。
- 前記イオン液体のカチオンが、下記式(1)、(2)又は(3)で表されるものである請求項1〜6のいずれか1項記載の電気化学キャパシタ。
- 前記カチオンが、下記式(4)〜(11)で表されるものから選ばれる請求項7記載の電気化学キャパシタ。
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