JP6591747B2 - 圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスの製造方法に関する。
従来の圧電デバイスの製造方法は、パッケージの上面に設けられた電極パッド上に導電性接着剤を塗布し、導電性接着剤上に圧電素子を載置する工程と、導電性接着剤を加熱硬化させ、電極パッドと圧電素子とを導通固着する工程と、蓋体とパッケージとを接合するための工程とを含む製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−235340号公報
上述した従来の圧電デバイスの製造方法においては、電極パッド上に導電性接着剤を塗布後、圧電素子を電極パッドに実装する間に、最初に塗布した導電性接着剤と、最後に塗布した導電性接着剤とでは、経過時間が異なるので、導電性接着剤を塗布した基板の管理を行うことは困難であった。また、時間が経過した導電性接着剤には、表面に被膜が形成されてしまうと共に、圧電素子の引き出し電極に導電性接着剤が濡れ広がりにくくなるため、硬化後に圧電素子が導電性接着剤から剥がれてしまう虞があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性接着剤の管理の簡素化を行うことができると共に、導電性接着剤と圧電素子との接合強度を向上させることができる圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の一つの態様による圧電デバイスの製造方法は、導電性接着剤を塗布するための第一ノズルと溶剤を塗布するための第二ノズルとを有する塗布手段と、電極パッド又は導
電性接着剤の位置を認識するためのカメラ部とレーザ光を照射するための照射部とレーザ光の反射光を受光するための受光部とを備えたレーザ部とを有する認識手段と、レーザ部の照射光と反射光との波長の違いから電極パッド及び導電性接着剤の厚みを測定する測定手段と、を備えた塗布装置にパッケージを配置し、パッケージの上面に設けられた電極パッドに第一ノズルにより導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、導電性接着剤を認識手段により撮影することで、導電性接着剤と電極パッドとの素材の違いを画像により確認して、前記導電性接着剤の位置を認識する位置認識工程と、電極パッドの上面及び導電性接着剤の上面に認識手段のレーザ部よりレーザを照射し、反射光の波長の違いにより測定手段により導電性接着剤の厚みを確認する厚み確認工程と、位置認識工程によって、認識手段で認識された導電性接着剤の位置に合わせて第二ノズルにより溶剤を塗布する溶剤塗布工程と、導電性接着剤上に圧電素子を配置し、硬化することで実装する圧電素子実装工程と、圧電素子を気密するために蓋体を前記パッケージに接合する蓋体接合工程と、を含んでいる。
本発明の一つの態様による圧電デバイスの製造方法は、導電性接着剤を塗布するための第一ノズルと溶剤を塗布するための第二ノズルとを有する塗布手段と、電極パッド又は導電性接着剤の位置を認識するためのカメラ部とレーザ光を照射するための照射部とレーザ光の反射光を受光するための受光部とを備えたレーザ部とを有する認識手段と、レーザ部の照射光と反射光との波長の違いから電極パッド及び導電性接着剤の厚みを測定する測定手段と、を備えた塗布装置にパッケージを配置し、パッケージの上面に設けられた電極パッドに第一ノズルにより導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、導電性接着剤を認識手段により撮影することで、導電性接着剤と電極パッドとの素材の違いを画像により確認して、前記導電性接着剤の位置を認識する位置認識工程と、電極パッドの上面及び導電性接着剤の上面に認識手段のレーザ部よりレーザを照射し、反射光の波長の違いにより測定手段により導電性接着剤の厚みを確認する厚み確認工程と、位置認識工程によって、認識手段で認識された導電性接着剤の位置に合わせて第二ノズルにより溶剤を塗布する溶剤塗布工程と、導電性接着剤上に圧電素子を配置し、硬化することで実装する圧電素子実装工程と、圧電素子を気密するために蓋体を前記パッケージに接合する蓋体接合工程と、を含んでいる。このようにすることで、圧電素子を実装する直前に、溶剤を塗布するので、導電性接着剤を塗布したパッケージの導電性接着剤を塗布してから圧電素子を実装するまでの時間の管理を行う必要がなく、管理の簡素化を行うことができる。また、圧電素子を実装する直前に溶剤を塗布するので、導電性接着剤の表面に溶剤を補填することができ、導電性接着剤の表面が溶剤で被覆されているため、導電性接着剤を硬化した際に導電性接着剤の濡れ性を維持することができる。よって、導電性接着剤の濡れ性が低下することにより生じる導電性接着剤から圧電素子が剥がれてしまうことを低減することができる。
本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法で形成された圧電デバイスを示す分解斜視図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法で用いられる塗布装置を示す斜視図である。 (a)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の導電性接着剤塗布工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の位置認識工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の厚み確認工程を示す断面図であり、(d)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の溶剤塗布工程を示す断面図である。 (a)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電素子実装工程の圧電素子を載置する状態を示す断面図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電素子実装工程の圧電素子を固着する状態を示す断面図であり、(c)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の蓋体接合工程を示す断面図である。
(圧電デバイス)
本実施形態における圧電デバイスは、図1及び図2に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110に接合された圧電素子120とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と枠体110bの内側面によって囲まれた凹部空間Kが形成されている。このような圧電デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面に実装された圧電素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板110aの上面には、圧電素子120を実装するための一対の電極パッド111が設けられている。
また、基板110aの下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つが、圧電素子120と電気的に接続されている。また、圧電素子120と電気的に接続されている一対の外部端子112は、基板110aの下面の対角に位置するように設けられている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、枠体110bの上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン(図示せず)及びビア導体(図示せず)が設けられている。
枠体110bは、基板110aの上面に配置され、基板110aの上面に凹部Kを形成するためのものである。枠体110bは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。
電極パッド111は、圧電素子120を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対で設けられており、枠体110bの内側にある基板110aの内周縁の一辺に沿うように隣接して設けられている。
外部端子112は、電気機器等の外部の実装基板上の実装パッド(図示せず)と接合するために用いられている。外部端子112は、基板110aの下面の四隅に設けられている。外部端子112の少なくとも一つは、ビア導体(図示せず)を介して、封止用導体パターン113と電気的に接続されている。また、外部端子112の少なくとも一つは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続されている実装パッドと接続されている。これにより、封止用導体パターン113に接合された蓋体130がグランド電位となっている外部端子112に接続される。よって、蓋体130による凹部K内のシールド性が向上する。
封止用導体パターン113は、接合部材131を介して蓋体130と接合する際に、接合部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン113は、ビア導体(図示せず)を介して、外部端子112の少なくとも一つと電気的に接続されている。封止用導体パターン113は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
ここで、基板110a及び枠体110bの作製方法について説明する。基板110a及び枠体110bがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112及び封止用導体パターン113となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
圧電素子120は、図1及び図2に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。圧電素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、圧電素子120は、図1及び図2に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている圧電素子120の一端を基板110aの上面と接続した固定端とし、他端を基板110aの上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて圧電素子120が基板110a上に固定されている。
ここで、圧電素子120の動作について説明する。圧電素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、圧電素子120の作製方法について説明する。まず、圧電素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、圧電素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
蓋体130は、
例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。このような蓋体130は、凹部空間Kを、窒素ガス雰囲気中や真空雰囲気中などで気密封止される。具体的には、蓋体130は、窒素雰囲気中や真空雰囲気中で、パッケージ110の枠体110b上に載置され、枠体110bの上面に設けられた封止用導体パターン113の表面と蓋体130の接合部材131とが溶融されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、枠体110bに接合される。
(塗布装置)
塗布装置は、図3に示すように、パッケージ配列治具PJを移動させ所定の位置で停止させる搬送手段HSと、導電性接着剤140を塗布するための第一ノズルNZ1と、溶剤150を塗布するための第二ノズルNZ2とを有する塗布手段TSと、電極パッド111又は導電性接着剤140の位置を認識するためのカメラ部CAとレーザ光を照射部(図示せず)とレーザ光の反射光を受光するための受光部(図示せず)とを備えたレーザ部LBとを有する認識手段NSと、カメラ部CAから得た画像データによって、電極パッド111又は導電性接着剤140の位置ずれを補正するために塗布手段TSを制御する制御手段SSと、レーザ部LBの照射光と反射光との波長の違いから電極パッド111及び導電性接着剤140の厚みを測定する測定手段MSと、を備えている。
また、この塗布装置は、図3に示すように、搬送手段HSと平行となるように備えられ、搬送手段HSを跨ぐように第一ガイドレールR1が設けられ、この第一ガイドレールR1には、塗布手段TS及び認識手段NSが備えられている。また、搬送手段HSと平行になるように第二ガイドレールR2が設けられており、支柱PLを介して第一ガイドレールR1が備えられている。なお、この塗布装置において、パッケージ配列治具PJの移動方向、つまり、搬送手段HSの搬送方向をY方向、平行となる搬送手段HSとに直交する方向をX方向、このX方向とY方向の両方に直行する方向をZ方向とする。また、このX方向の軸線とY方向の軸線とが交わってなす角度の方向をθ方向とする。
搬送手段HSは、パッケージ配列治具PJを移動させ所定の位置で停止させる役割を果たす。この搬送手段HS上にパッケージ配列治具PJが載置され、後述する塗布手段TSが移動してくる位置の下にパッケージ110の凹部空間Kの所定の列が位置するように、パッケージ配列治具PJを移動させる。つまり、Y方向にパッケージ配列治具PJを搬送することができる。
塗布手段TSは、第一ガイドレールR1に備えられている。塗布手段TSは、第一ノズルNZ1と、第二ノズルNZ2と、第一配置部HB1と、第一可動部(図示せず)とで構成されている。また、第一可動部は、X方向可動部KB11と、Y方向可動部KB12と、Z方向可動部KB13とで構成されている。また、塗布手段HSは、パッケージ配列治具PJに配列されているパッケージ110の電極パッド111に導電性接着剤140を塗布するための第一ノズルNZ1と導電性接着剤140に溶剤150を塗布するための第二ノズルNZ2を有する。第一ノズルNZ1と第二ノズルNZ2は、塗布手段TSのノズル配置部HBに並列に配置されている。
これら塗布手段TSは、Z方向に往復して移動可能であり、パッケージ配列治具PJのパッケージ110に導電性接着剤140及び溶剤150を塗布するときにZ方向に移動する。また、パッケージ110に移動するときにX方向に移動する。
第一ノズルNZ1及び第二ノズルNZ2は、パッケージ配列治具PJに配列されているパッケージ110と向かい合うようにして、第一配置部HB1の先端部に並列するようにしてそれぞれ配置されている。このようにすることで、塗布手段TSは、パッケージ配列治具PJにX方向に整列された複数のパッケージ110の凹部空間K内に設けられた素子電極パッド111に導電性接着剤140及び溶剤150を塗布する。
認識手段NSは、カメラ部CAとレーザ部LBとによって構成されている。カメラ部CAは、パッケージ配列治具PJに配列されていると隣り合う2つの内の一方のパッケージ110の電極パッド111及びその電極パッド111上に塗布された導電性接着剤140の画像データを撮影するためのものである。また、認識手段NSは、画像データを撮影後、塗布手段TSと衝突しないように移動することができる。カメラ部CAによって撮影された画像データは、第一記憶部ME1に記憶される。レーザ部LBは、レーザ照射部(図示せず)と受光部(図示せず)により構成されている、レーザ照射部は、レーザ光を対象物に向けて照射するものであり、受光部は、その対象物から反射したレーザ光を受光し、波長を認識するためのものである。パッケージ配列治具PJに配列されているパッケージ110ごとの電極パッド111に照射し受光した際の波長が、第二記憶部ME2に記憶される。次に、塗布手段TSにより導電性接着剤140に塗布した後に、導電性接着剤140にレーザ光を照射し受光した際の波長を第二記憶部ME2に記憶される。
認識手段NSは、第一ガイドレールR1に備えられている。認識手段NSは、カメラ部CAと、レーザ部LBと、第二配置部HB2及び第二可動部(図示せず)とで構成されている。また、第二可動部は、X方向可動部KB21と、Y方向可動部KB22と、Z方向可動部KB23とで構成されている。また、認識手段NSは、パッケージ配列治具PJに配列されていると隣り合う2つの内の一方のパッケージ110の電極パッド111及びその電極パッド111上に塗布された導電性接着剤140の画像データを撮影するためのカメラ部CAと、対象物にレーザを照射し、対象物から反射した反射光を受光するためのレーザ部LBを有する。カメラ部CAとレーザ部LBは、認識手段NSの第二配置部HB2に並列に配置されている。
制御手段SSは、コンピュータにより構成されており、塗布手段TSと、認識手段NSと、第一記憶部ME1に接続されている。制御手段SSは、塗布装置全体の制御を行なうものである。つまり、制御手段SSは、認識手段NSから得た画像データによって数値データを求め、数値データを基にして、塗布手段TSの第一ノズルNZ1と第二ノズルNZ2の位置ずれを補正するように制御する役割を果たす。
また、測定手段MSは、コンピュータにより構成されており、認識手段NSと、第二記憶部ME2に接続されている。第二記憶部ME2に記憶されたパッケージ110の電極パッド111に照射し受光した際の波長と導電性接着剤140にレーザ光を照射し受光した際の波長の差により、導電性接着剤140の上下方向の厚みを確認することができる。
次に本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。本実施形態の圧電デバイスの製造方法は、基板110aの上面に設けられた電極パッド111に導電性接着剤140を塗布する導電性接着剤塗布工程と、導電性接着剤140を認識手段NSにより撮影することで、導電性接着剤140と電極パッド111との素材の違いを画像により確認して、導電性接着剤140の位置を認識する位置認識工程と、電極パッド111の上面及び導電性接着剤140の上面にレーザ光を照射し、反射光の波長の違いにより導電性接着剤140の厚みを確認する厚み確認工程と、導電性接着剤140に溶剤150を塗布する溶剤塗布工程と、導電性接着剤140上に圧電素子120を配置し、硬化することで実装する圧電素子実装工程と、圧電素子120を気密するために蓋体130を基板110aに接合する蓋体接合工程と、を含んでいる。
(導電性接着剤塗布工程)
導電性接着剤塗布工程は、図4(a)に示すように、基板110aの上面に設けられた電極パッド111に導電性接着剤140を塗布する工程である。パッケージ110の凹部空間K内の電極パッド111の位置を後述する認識手段NSのカメラ部CAにより撮影し、画像データを第一記憶部ME1に記憶する。電極パッド111は、塗布装置の認識手段NSによって撮影すると、パッケージ110と電極パッド111とは、同一の素材により設けられていないため、電極パッド111の位置を判別することができる。この電極パッド111の位置に合わせて塗布手段THの第一ノズルNZ1を移動させ、導電性接着剤140を塗布する。また、第一ノズルNZ1は、圧力をかけることによって導電性接着剤140を噴出させ、導電性接着剤140を塗布することができる。
導電性接着剤140としては、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。この導電性粉末の粒径によって、第一ノズルNZ1の内径は適宜対応する。
(位置認識工程)
位置認識工程は、図4(b)に示すように、導電性接着剤140を認識手段NSにより撮影することで、導電性接着剤140と電極パッド111との素材の違いを画像により確認して、導電性接着剤140の位置を認識する工程である。電極パッド111に塗布された導電性接着剤140の位置を認識手段NSのカメラ部CAにより撮影し、その画像データを第一記憶部ME1に記憶する。導電性接着剤140は、塗布装置の認識手段NSによって撮影すると、導電性接着剤140と電極パッド111とは、同一の素材により設けられていないため、導電性接着剤140の位置を判別することができる。このように撮影することで、画像より、導電性接着剤140の塗布径を測定する。また、パッケージ110の一辺の長さが1.0〜4.0mmの場合には、導電性接着剤140の塗布径は、例えば150〜400μmとなっている。
このように導電性接着剤140を認識手段NSにより撮影することで、導電性接着剤140と電極パッド111との素材の違いを画像により確認して、導電性接着剤140の位置を認識することによって、後述する溶剤150を塗布する工程の際に溶剤150を塗布する位置がずれてしまうことを低減することができる。
(厚み確認工程)
厚み確認工程は、図4(c)に示すように、電極パッド111の上面及び導電性接着剤140の上面にレーザを照射し、反射光の波長の違いにより導電性接着剤140の厚みを確認する工程である。塗布装置のレーザ部LBのレーザ照射部は、レーザを電極パッド111に向けて照射し、受光部は、その電極パッド111に当たって反射したレーザを受光し、波長を認識する。その際の波長が第二記憶部ME2に記憶される。次に、塗布手段TSにより導電性接着剤140に塗布した後に、導電性接着剤140にレーザを照射し受光した際の波長を第二記憶部ME2に記憶される。第二記憶部ME2に記憶されたパッケージ110の電極パッド111に照射し受光した際の波長と導電性接着剤140にレーザを照射し受光した際の波長の差により、測定手段MSによって、導電性接着剤140の上下方向の厚みを確認する。
このように厚み確認工程で、導電性接着剤140の上下方向の厚みを確認することによって、一対の電極パッドに設けられた導電性接着剤140の上下方向の厚みが均等であることを確認することができるので、圧電素子120を実装する際に、圧電素子120の長辺側方向に傾くことを低減することができる。
(溶剤塗布工程)
溶剤塗布工程は、図4(d)に示すように、導電性接着剤140に溶剤150を塗布する工程である。位置認識工程によって、認識された導電性接着剤140の位置に合わせて塗布手段TSの第二ノズルNZ2を移動させ、溶剤150を塗布する。また、第二ノズルNZ2は、圧力をかけることによって溶剤150を噴出させ、溶剤150を塗布することができる。溶剤150は、シリコーン樹脂等のバインダーを含む導電性接着剤140に塗布するため、グリコール誘導体、ピロリドン誘導体及びスルホキシド誘導体の少なくとも一つからなっている。具体的にはエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
このようにすることで、圧電素子120を実装する直前に、溶剤150を塗布するので、導電性接着剤140を塗布したパッケージ110の導電性接着剤140を塗布してから圧電素子120を実装するまでの時間の管理を行う必要がなく、管理の簡素化を行うことができる。また、圧電素子120を実装する直前に、溶剤150を塗布するので、導電性接着剤140の表面に溶剤150を補填することができ、導電性接着剤140の表面が溶剤150で被覆されているため、導電性接着剤140を硬化した際に導電性接着剤140の濡れ性を維持することができる。よって、導導電性接着剤140の濡れ性が低下することにより生じる電性接着剤140から圧電素子120が剥がれてしまうことを低減することができる。
(圧電素子実装工程)
圧電素子実装工程は、図5(a)及び図5(b)に示すように、導電性接着剤140上に圧電素子120を配置し、導電性接着剤を硬化することで実装する圧電素子実装工程である。圧電素子実装工程は、圧電素子120の引き出し電極123とパッケージ110の電極パッド111上に塗布された導電性接着剤140とを相対するようにして、圧電素子120を導電性接着剤140上に載置する。次に、大気雰囲気中または窒素雰囲気中の硬化アニール炉の内部空間にパッケージ110を収容した状態で、導電性接着剤140を加熱硬化させ、電極パッド111と圧電素子120とを導通固着する。
硬化アニール炉(図示せず)は、炉本体と、加熱部と、供給部、制御部によって構成されている。炉本体は、内部空間を有し、パッケージ110を格納する役割を果たす。加熱部は、内部空間を所定の温度に加熱する役割を果たす。加熱部は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が用いられている。供給部は、内部空間にガスを供給する役割を果たす。ガスは、例えば窒素等が用いられている。制御部は、炉本体の内部空間の温度や酸素濃度、加熱部の昇温速度、供給部のガスの供給量の制御を行うものである。
(蓋体接合工程)
蓋体接合工程は、図5(c)に示すように、圧電素子120を気密封止するように基板110aに蓋体130を接合する工程である。蓋体130は、窒素ガス雰囲気中や真空雰囲気中で、パッケージ110の枠体110bの封止用導体パターン113上に載置される。封止用導体パターン113と蓋体130とを接合部材131を介して接合されるように、シーム溶接機(図示せず)のローラ電極を蓋体130に接触させ、ローラ電極に電源を供給しながら、蓋体130の外側縁部に沿って動かすことで、枠体110bの封止用導体パターン113上に接合される。
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、パッケージ110の上面に設けられた電極パッド111に導電性接着剤140を塗布する導電性接着剤塗布工程と、導電性接着剤140に溶剤150を塗布する溶剤塗布工程と、導電性接着剤140上に圧電素子120を載置し、硬化することで実装する圧電素子実装工程と、圧電素子120を気密するために蓋体130をパッケージ110に接合する蓋体接合工程と、を備えている。このようにすることで、圧電素子120を実装する直前に、溶剤150を塗布するので、導電性接着剤140を塗布したパッケージ110の導電性接着剤140を塗布してから圧電素子120を実装するまでの時間の管理を行う必要がなく、管理の簡素化を行うことができる。また、圧電素子120を実装する直前に溶剤150を塗布するので、導電性接着剤140の表面に溶剤150を補填することができ、導電性接着剤140の表面が溶剤150で被覆されているため、導電性接着剤140を硬化した際に導電性接着剤140の濡れ性を維持することができる。よって、導電性接着剤140の濡れ性が低下することにより生じる導電性接着剤140から圧電素子120が剥がれてしまうことを低減することができる。
また、本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、導電性接着剤140を認識手段NSにより撮影することで、導電性接着剤140と電極パッド111との素材の違いを画像により確認して、導電性接着剤140の位置を認識する位置認識工程と、を含む。このように導電性接着剤140を認識手段NSにより撮影することで、導電性接着剤140と電極パッド111との素材の違いを画像により確認して、導電性接着剤140の位置を認識することによって、溶剤150を塗布する工程の際に溶剤150を塗布する位置がずれてしまうことを低減することができる。
また、本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、電極パッド111の上面及び導電性接着剤140の上面にレーザを照射し、反射光の波長の違いにより導電性接着剤140の厚みを確認する厚み確認工程と、を含んでいる。このように厚み確認工程で、導電性接着剤140の上下方向の厚みを確認することによって、一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140の上下方向の厚みが均等であることを確認することができるので、圧電素子120を実装する際に、圧電素子120の長辺側方向に傾くことを低減することができる。
また、本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、溶剤150が、グリコール誘導体、ピロリドン誘導体およびスルホキシド誘導体の少なくとも一つからなる。このような溶剤150を用いることにより、溶剤150の管理がしやすく、安定して生産することが可能となる。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記した本実施形態では、圧電素子を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電素子でも構わない。
上記実施形態では、圧電素子120は、AT用水晶素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲水晶素子を用いても構わない。圧電素子は、水晶片と、その水晶片の表面に設けられた励振電極と、引き出し用電極と、周波数調整用金属膜とにより構成されている。水晶片は、水晶基部と水晶振動部とからなり、水晶振動部が第一水晶振動部及び第二水晶振動部とから成る。水晶基部は、結晶の軸方向として電気軸がX軸、機械軸がY軸、及び光軸がZ軸となる直交座標系としたとき、X軸回りに−5°〜+5°の範囲内で回転させたZ′軸の方向が厚み方向となる平面視略四角形の平板である。第一水晶振動部及び第二水晶振動部は、水晶基部の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。このような水晶片は、水晶基部と各水晶振動部とが一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により製造される。
110・・・パッケージ
110a・・・基板
110b・・・枠部
111・・・電極パッド
112・・・外部端子
120・・・圧電素子
121・・・圧電素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋体
131・・・接合部材
140・・・導電性接着剤
150・・・溶剤
NZ1・・・第一ノズル
NZ2・・・第二ノズル
CA・・・カメラ部
TS・・・塗布手段
NS・・・認識手段
K・・・凹部空間

Claims (2)

  1. 導電性接着剤を塗布するための第一ノズルと溶剤を塗布するための第二ノズルとを有する塗布手段と、電極パッド又は導電性接着剤の位置を認識するためのカメラ部とレーザ光を照射するための照射部とレーザ光の反射光を受光するための受光部とを備えたレーザ部とを有する認識手段と、レーザ部の照射光と反射光との波長の違いから電極パッド及び導電性接着剤の厚みを測定する測定手段と、を備えた塗布装置にパッケージを配置し、前記パッケージの上面に設けられた電極パッドに第一ノズルにより導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、
    前記導電性接着剤を前記認識手段により撮影することで、前記導電性接着剤と前記電極パッドとの素材の違いを画像により確認して、前記導電性接着剤の位置を認識する位置認識工程と、
    前記電極パッドの上面及び前記導電性接着剤の上面に前記認識手段のレーザ部よりレーザを照射し、反射光の波長の違いにより前記測定手段により前記導電性接着剤の厚みを確認する厚み確認工程と、
    前記位置認識工程によって、前記認識手段で認識された前記導電性接着剤の位置に合わせて第二ノズルにより溶剤を塗布する溶剤塗布工程と、
    前記導電性接着剤上に圧電素子を配置し、硬化することで実装する圧電素子実装工程と、
    前記圧電素子を気密するために蓋体を前記パッケージに接合する蓋体接合工程と、
    を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
  2. 請求項1記載の圧電デバイスの製造方法であって、
    前記溶剤が、グリコール誘導体、ピロリドン誘導体およびスルホキシド誘導体の少なくとも一つからなることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
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