JP6590845B2 - 外装部材及びワイヤハーネス - Google Patents
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Description
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
図1(a)及び図2において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末(ハーネス端末13)にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14(外部接続手段)とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するためのクランプCと、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
図2及び図4において、ハーネス本体21は、一本の長尺な導電路22と、この導電路22を収容・保護する外装部材23と、導電路22が引き出された外装部材23の端部24に取り付けられる外装端部用キャップ25とを備えて構成される。
図4において、導電路22は、導電性の導体26と、この導体26を被覆する絶縁性の絶縁体27と、シールド機能を発揮させるための編組28(シールド部材)とを備えて構成される。すなわち、導電路22は、シースの存在しないものが採用される(一例であるものとする)。導電路22は、これにシースが存在しないことから、その分、軽量になるのは勿論である(導電路22は長尺であることから、従来例に比べ大幅に軽量化を図ることができるのは勿論である)。
図4において、導体26は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体26に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば丸単心となる導体構造であり、この場合、導電路自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体26は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体27が押出成形される。
図4において、絶縁体27は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体26の外周面に押出成形される。絶縁体27は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体27は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
図4及び図2において、編組28は、導電路22の最外層として設けられる。このような編組28は、導電性を有する極細の素線を編んで筒状に形成される。また、編組28は、絶縁体27の一端から他端にかけて外周面全体を覆うような形状及びサイズに形成される。尚、編組28に限らず金属箔等をシールド部材として用いてもよいものとする。
図2ないし図5において、外装部材23は、絶縁性を有する樹脂の成形にて一本の真っ直ぐな管体形状のものに形成される(使用前は真っ直ぐである)。また、外装部材23は、腹割きなしの形状に形成される(別な言い方をすれば、スリットのない形状に形成される(割チューブでない形状に形成される))。さらに、外装部材23は、導電路22の形状に合わせて断面円形状に形成される。このような外装部材23は、本発明の特徴部分になる多層構造(多層構造部37)を有する点で公知のものと異なる。以下、二つの形態を例に挙げて、もう少し具体的に説明をする。
図4及び図5において、可撓管部29は、ワイヤハーネス9の梱包状態や輸送時、さらには車両への経路配索時に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるような部分に形成される。すなわち、可撓管部29は、撓ませて曲げ形状にすることができるような部分に形成されるとともに、真っ直ぐな元の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるような部分に形成される。
図5において、蛇腹凹部32及び蛇腹凸部33は、管軸CL方向で見て、底38と頂部39とが斜面40にて連続するような形状に形成される。また、蛇腹凹部32及び蛇腹凸部33は、隣り合う頂部39の間に蛇腹凹部32が位置するような形状に(別な言い方をすれば、底38同士の間に蛇腹凸部33が位置するような形状に)形成される。本実施例では、頂部39の幅が、隣り合う頂部39の間隔よりも広くなるような寸法関係を有して形成される。
図5において、内面凸部35及び内面凹部36は、蛇腹凹部32及び蛇腹凸部33の形状に合わせて形成される。内面凸部35及び内面凹部36は、管軸CL方向で見て、底41と頂部42とが斜面43にて連続するような形状に形成される。また、内面凸部35及び内面凹部36は、隣り合う頂部42の間に内面凹部36が位置するような形状に(別な言い方をすれば、底41同士の間に内面凸部35が位置するような形状に)形成される。本実施例では、頂部42の幅が、隣り合う頂部42の間隔よりも広くなるような寸法関係を有して形成される。尚、底41と斜面43とが連続する部分、及び、頂部42と斜面43とが連続する部分には、微小な曲面が形成されるものとする(導電路22の挿通に支障を来さない形状に形成されることが好ましい)。
図4及び図5において、多層構造部37は、外層構造部44と、内層構造部45と、中間層構造部46とを備えるとともに、これらが隙間なく密着するような、また、層のズレが生じないような、三層の構造部分として形成される(三層に限らないものとする。例えば中間層構造部46が二層や三層…で構成され、全体としては四層や五層…となるような構造部分であってもよいものとする)。このような多層構造部37は、外装部材23の肉厚となるような部分に形成される。本実施例の多層構造部37は、公知のコルゲートチューブと同等の厚みで形成される(多層であっても極端に厚くならず、屈曲性等も十分に確保されるものとする)。
図4及び図5において、外層構造部44は、外面31を有する最も外側の層の部分に形成される。外層構造部44は、中間層構造部46よりも硬質な材料(硬質材料)を用いて形成される。材料に関しては、耐衝突性(耐衝撃性、強度アップ)の機能を持たせるような材料が適宜選定されるものとする。尚、耐衝突性の機能のみならず、ワイヤハーネス9で必要な例えば放熱性や耐熱性等の機能も持たせることができる材料であってもよいものとする。本実施例においては、PP(ポリプロピレン樹脂)、PA(ポリアミド樹脂)等の自動車部品に好適な樹脂材料が採用されるものとする。
図4及び図5において、内層構造部45は、内面34を有する最も内側の層の部分に形成される。内層構造部45は、外層構造部44と同様に、中間層構造部46よりも硬質な材料(硬質材料)を用いて形成される。材料に関しては上記同様であり、PP(ポリプロピレン樹脂)、PA(ポリアミド樹脂)等の自動車部品に好適な樹脂材料が採用されるものとする。
図4及び図5において、中間層構造部46は、外層構造部44及び内層構造部45の間で一つとなる(又は複数となる)層の部分に形成される。中間層構造部46は、外層構造部44及び内層構造部45よりも軟質の材料を用いて形成される。材料に関しては、衝撃吸収性の機能を持たせることができるような材料が適宜選定されるものとする。本実施例においては、ポリエステル系エラストマーやオレフィン系エラストマー、シリコーンゴム等の自動車部品に好適な軟質材料が採用されるものとする。尚、中間層構造部46を複数の層の部分にするのであれば、隣り合う層では材質・材料が異なるものとする(内層構造部45に対しても異なるものとする)。
図6(a)において、外装部材23の外面31に外力が点の状態(「点当て」の状態。線の状態であってもよいものとする)で作用した場合を考える。すると、図6(b)に示す如く外面31の変形と内面34の変形とが多層構造部37における内層構造部46の存在により非オフセットの状態になる。また、内面34の変形が外面31の変形よりも緩くなることで導電路22(一番外側の編組28)に対し略面接触可能な状態(「面当て」の状態)にもなる。具体的には、外層構造部44が変形し、これに伴って中間層構造部46が潰れ、この潰れによって衝撃(外力)がある程度吸収され、そして、内層構造部45が外層構造部44よりも緩く変形することで、外面31の変形と内面34の変形とが異なるようになり、結果、導電路22に対し「面当て」可能な状態になる。この時、外装部材23の破損は起こらず、導電路22の断線や漏電につながることもない。
図3において、ストレート管部30は、可撓管部29のような可撓性を持たない部分として形成される。また、ストレート管部30は、梱包状態や輸送時、さらには経路配索時において曲がらない部分としても形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である)。ストレート管部30は、長い直管形状に形成される。このようなストレート管部30の外周面(外面31)は、凹凸のない形状に形成される(一例であるものとする)。
図2及び図3において、外装端部用キャップ25は、例えば耐候性や耐熱性等を有する樹脂材料を用いて形成される樹脂部品であって、導電路22に対し取り付けられるとともに、この導電路22が引き出された外装部材23に対しても取り付けられる。外装端部用キャップ25は、例えば砂等が外部から外装部材23の内側(内部)に侵入しようとしてもこれを阻止することができるように形成される。
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス9は次のようにして製造される(例えば図3参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、多層構造部37を有して全体が略直線状に樹脂成形される外装部材23の一端開口から他端開口へと二本の導電路22を挿通することにより製造される。また、ワイヤハーネス9は、多層構造部37を有する外装部材23の端部24を外装端部用キャップ25により塞ぐことにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、多層構造部37を有する外装部材23の外面所定位置にクランプCやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらにまた、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
以上、図1ないし図6を参照しながら説明をしてきたように、本発明によれば、ワイヤハーネス用の外装部材23を多層構造(多層構造部37)にすることから、外装部材23を従来例よりも破損し難くすることができる。すなわち、上記多層構造のうちの少なくとも中間層構造部46を軟質材料にて形成することから、外力が外装部材23に作用した時に、中間層構造部46にて衝撃等を吸収させるようにすれば可撓管部29(及びストレート管部30)を破損し難くすることができる。また、少なくとも中間層構造部46を軟質材料にすれば、上記多層構造のうちの外層構造部44(及び内層構造部45)が中間層構造部46よりも硬質の材料での形成になることから、耐衝突性(耐衝撃性、強度アップ)の機能を持たせることができ、結果、可撓管部29(及びストレート管部30)を破損し難くすることができる。従って、本発明によれば、破損し難い外装部材23を提供することができるという効果を奏する。
Claims (3)
- 一又は複数本の導電路を収容保護するために管体形状に形成される、ワイヤハーネス用の外装部材において、
当該外装部材は、外面を有して最も外側の層の部分になる外層構造部と、内面を有して最も内側の層の部分になる内層構造部と、前記外層構造部及び前記内層構造部の間で一又は複数の層の部分になる中間層構造部とを備え、
且つ、当該外装部材は、前記外層構造部、前記中間層構造部、及び前記内層構造部の各層が密着した状態に形成されるとともに、前記中間層構造部が前記外層構造部及び前記内層構造部よりも軟質材料にて形成される、又は、前記中間層構造部及び前記内層構造部が前記外層構造部よりも軟質材料にて形成され、
且つ、当該外装部材は、隣り合う層が異なる硬さの材料にて形成され、
且つ、当該外装部材は、外力が前記外面に対し点又は線の状態で作用した場合に、前記外面の変形と前記内面の変形とが少なくとも前記中間層構造部の存在により非オフセットの状態になるように形成されるとともに、前記内面の変形が前記外面の変形よりも緩くなることで前記導電路に対し略面接触可能な状態にも形成され、
且つ、当該外装部材は、前記外層構造部及び前記内層構造部が耐衝撃性の機能を発揮するとともに前記中間層構造部が衝撃吸収性の機能を発揮し、さらに、前記略面接触可能な状態になるように前記外層構造部、前記内層構造部及び前記中間層構造部の各層の厚みが設定される
ことを特徴とする外装部材。 - 請求項1に記載の外装部材において、
当該外装部材は、全体が可撓性を有する可撓管部になる状態に形成される、又は、前記導電路をストレートに配索するためのストレート管部と前記可撓管部との組み合わせにて全体が形成される
ことを特徴とする外装部材。 - 請求項1又は2に記載の外装部材と、該外装部材に収容保護される一又は複数本の導電路とを備えて構成される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
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