JP6590493B2 - 非水電解質二次電池用微細炭素質材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池の負極用の炭素質材料として好適に用いることができる、植物由来の非水電解質二次電池用炭素質材料及びその製造方法、該炭素質材料を含む電極、ならびに該電極を備える非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノートパソコンのような小型携帯機器に広く用いられている。リチウムイオン二次電池の負極材としては、黒鉛の理論容量372mAh/gを超える量のリチウムのドープ(充電)及び脱ドープ(放電)が可能な難黒鉛化性炭素が開発され(例えば特許文献1)、使用されてきた。
難黒鉛化性炭素は、例えば石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂、植物を炭素源として得ることができる。これらの炭素源の中でも、植物は栽培することによって持続して安定的に供給可能な原料であり、安価に入手できるため注目されている。また、植物由来の炭素原料を焼成して得られる炭素質材料には、細孔が多く存在するため、良好な充放電容量が期待される(例えば特許文献1、特許文献2)。
微細な炭素材料による電極への利用は、例えば特許文献3に記載されている。特許文献3には、多孔質材料を電極材料として用いて製造した電極を正極として用いて硫黄を担持させる二次電池が開示されている。しかし、特許文献3に記載された多孔質炭素を負極材として使用した場合、リチウムイオンの利用効率が著しく低くなる場合がある。
特開平9−161801号公報 特開平10−21919号公報 国際公開第2014/103480号パンフレット
特に車載用途でのリチウムイオン電池に用いられる炭素質材料には、良好な充放電容量と共に、さらに酸化劣化に対する耐性が求められる。
従って、本発明は、良好な充放電容量及び低い電気抵抗と共に、酸化劣化に対する良好な耐性を有する、非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)の電極に用いる炭素質材料(非水電解質二次電池用炭素質材料)、ならびにその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために炭素質材料について詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕植物由来の炭素質材料であって、平均粒子径が2μm以下であり、X線回析法による(002)面の平均面間隔d002が0.38nm〜0.40nmである非水電解質二次電池用炭素質材料。
〔2〕BET比表面積が80m/g〜200m/gである、請求項1に記載の非水電解質二次電池用炭素質材料。
〔3〕カリウム元素の含有量は、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の総量に基づいて50ppm以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解質二次電池用炭素質材料。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の炭素質材料を含む非水電解質二次電池用電極。
〔5〕前記〔4〕に記載の非水電解質二次電池用電極を備える非水電解質二次電池。
〔6〕植物原料又は植物由来の炭素材を気相脱灰処理及び/又は液相脱灰処理後に粉砕して得た2μm以下の平均粒子径を有する炭素前駆体を800℃〜1500℃の温度で焼成して炭素質材料を得ること、又は、
植物原料又は植物由来の炭素材を気相脱灰処理及び/又は液相脱灰処理後に800℃〜1500℃の温度で焼成し、次いで粉砕して、2μm以下の平均粒子径を有する炭素質材料を得ること
を含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の二次電池用炭素質材料の製造方法。
本発明の炭素質材料を非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)中の電極に用いると、良好な充放電容量と低い電気抵抗が得られると共に、酸化劣化に対する良好な耐性が得られる。
以下は本発明の実施形態を例示する説明であって、本発明を以下の実施形態に制限する趣旨ではない。なお、本明細書において、常温とは25℃を指す。
〔炭素質材料〕
本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料は、植物由来の炭素質材料であり、例えば植物由来の炭素前駆体を焼成して得ることができる。
植物由来の炭素前駆体は、炭素質材料を製造する際に炭素成分を供給する炭素質材料の前駆体である。炭素前駆体は、植物由来の炭素材(以下において「植物由来のチャー」とも称する)を原料として用いて製造することができる。なお、チャーとは、一般的には、石炭を加熱した際に得られる溶融軟化しない炭素分に富む粉末状の固体を示すが、ここでは、有機物を加熱して得られる溶融軟化しない炭素分に富む粉末状の固体も示す。
植物由来のチャーの原料となる植物(以下において「植物原料」とも称する)は、特に制限されない。植物原料としては、椰子殻、珈琲豆、茶葉、サトウキビ、果実(例えば、みかん、バナナ)、藁、籾殻、広葉樹、針葉樹、竹が例示される。この例示は、本来の用途に供した後の廃棄物(例えば、使用済みの茶葉)、あるいは植物原料の一部(例えば、バナナやみかんの皮)を包含する。これらの植物原料を、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの植物原料の中でも、大量入手が容易な観点から椰子殻が好ましい。
椰子殻としては、特に限定されないが、例えばパームヤシ(アブラヤシ)、ココヤシ、サラク、オオミヤシ等の椰子殻が挙げられる。これらの椰子殻を、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。椰子を、食品、洗剤原料、バイオディーゼル油原料等として利用した後に大量に発生するバイオマス廃棄物であるココヤシ及びパームヤシの椰子殻は、入手容易性の観点から、特に好ましい。
植物原料から植物由来のチャーを製造する方法は特に限定されないが、例えば植物原料を、不活性ガス雰囲気下、300℃以上の温度で熱処理(以下において「仮焼成」とも称する)することによって製造することができる。
仮焼成の熱処理温度は、300℃以上であれば特に限定されない。仮焼成の熱処理温度が高すぎると、チャーが高結晶化し、続く粉砕が困難になる場合がある。そのため、仮焼成の熱処理温度は、通常300℃〜1000℃であり、好ましくは400℃〜900℃であり、より好ましくは500℃〜800℃である。
仮焼成の熱処理時間は特に限定されない。仮焼成の熱処理時間が長すぎると、チャーが高結晶化し、続く粉砕が困難になる場合がある。そのため、仮焼成の熱処理時間は、通常1〜24時間であり、好ましくは1.5〜20時間であり、より好ましくは2〜15時間である。
また、植物由来のチャー(例えば椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
植物由来のチャーから製造された炭素質材料は、多量の活物質をドープ可能であることから、非水電解質二次電池用炭素質材料として基本的には適している。しかし、植物由来のチャーには、植物原料に含まれていた金属元素が多く含有されている。例えば、椰子殻チャーは、カリウム元素を0.3%程度、鉄元素を0.1%程度含有している。このような金属元素の含有量が多い炭素質材料を含む電極を非水電解質二次電池に用いると、非水電解質二次電池の電気化学的な特性や安全性に好ましくない影響を与えることがある。
また、植物由来のチャーは、カリウム元素以外のアルカリ金属元素(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属元素(例えば、マグネシウム、カルシウム)、遷移金属元素(例えば、鉄、銅)及びその他の元素類(以下において、これらを総称して「灰分」とも称する)も含有している。これらの金属元素類を含有する炭素質材料を含む電極を非水電解質二次電池の負極に用いると、負極からの脱ドープ時に不純物が電解液中に溶出し、電池性能に好ましくない影響を与え、非水電解質二次電池の信頼性が損なわれる場合がある。
さらに、本発明者等の検討によれば、炭素質材料に含有される灰分によって炭素質材料の細孔が閉塞され、電池の充放電容量に悪影響を及ぼす可能性があることが確認されている。
従って、植物原料又は植物由来のチャーにおける灰分(アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、及びその他の元素類)の含有量を、炭素質材料を得るために炭素前駆体を焼成する前に低下させておくことが好ましい。ここで、植物原料又は植物由来原料のチャーにおける灰分の含有量を低下させることを、以下において「脱灰」とも称する。また、脱灰処理後の植物原料又は植物由来原料のチャーを、以下において「炭素前駆体」とも称する。脱灰方法は特に制限されないが、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸、酢酸、蟻酸等の有機酸等を含む酸性溶液を用いて金属分を抽出脱灰する方法(液相脱灰)、塩化水素などのハロゲン化合物を含有した高温の気相に暴露させて脱灰する方法(気相脱灰)を用いることができる。
液相脱灰は、植物原料又は植物由来のチャーのいずれの形態で実施してもよい。液相脱灰は、例えば、植物原料又は植物由来のチャーを酸性溶液に浸漬することにより行うことができる。酸性溶液は酸と水性溶液との混合物である。酸としては、特に限定されないが、例えば塩酸、硫酸などの鉱酸、酢酸、酪酸、クエン酸などの有機酸の水溶液が挙げられる。被脱灰物に不要なイオンが残留することが回避される観点から、酸として有機酸を用いることが好ましく、脱灰の効率、酸の価格等の経済性、使用後の廃液処理が比較的容易である観点から、酢酸及び/又はクエン酸を用いることがより好ましい。水性溶液としては、水、水と水溶性有機溶媒との混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピレングリコール、エチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。
酸性溶液中の酸濃度は特に限定されないが、酸の濃度に脱灰速度が影響されるため、好ましくは0.001〜1Mの範囲であり、より好ましくは0.002〜0.9Mの範囲であり、さらに好ましくは0.005〜0.5Mの範囲である。酸性溶液の使用量も特に限定されないが、浸漬させる植物原料又は植物由来のチャーが酸性溶液に浸る程度であることが好ましく、例えば浸漬させる植物原料又は植物由来のチャーの重量に対する酸性溶液の重量は、好ましくは100〜1000重量%であり、より好ましくは200〜900重量%であり、さらに好ましくは250〜800重量%である。
液相脱灰の温度は、被脱灰物である植物原料又は植物由来のチャーにより変えることが好ましいが、例えば10〜120℃、好ましくは20〜100℃、より好ましくは25〜95℃である。脱灰温度が低すぎると、脱灰効率が低下し、十分に脱灰できないことがある。脱灰温度が高すぎると、植物を構成する有機物の加水分解により、炭素含量が低下する場合がある。
液相脱灰の時間は、特に制限されないが、例えば0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜50時間であり、より好ましくは0.5〜20時間である。液相脱灰は、植物原料又は植物由来のチャーを酸性溶液に浸漬し続けて行ってもよいし、脱灰に使用する酸性溶液を更新しながら複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けて液相脱灰を行う場合には、合計した脱灰時間を液相脱灰の時間とする。
液相脱灰に用いる装置は、植物原料又は植物由来のチャーを酸性溶液に浸漬することが可能な装置である限り特に限定されない。例えば、ガラスライニング製攪拌漕を用いることができる。
気相脱灰は、植物原料又は植物由来のチャーのいずれの形態で実施してもよい。気相脱灰は、例えば、植物原料又は植物由来のチャーを、ハロゲン化合物を含む気相中で熱処理することにより行うことができる。ハロゲン化合物としては、特に限定されないが、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、臭化ヨウ素、フッ化塩素(ClF)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、塩化臭素(BrCl)等が挙げられる。熱分解によりこれらのハロゲン化合物を発生する化合物又はこれらの混合物を用いることもできる。ハロゲン化合物は、供給安定性及び使用するハロゲン化合物の安定性の観点から、塩化水素であることが好ましい。
気相脱灰は、ハロゲン化合物と不活性ガスとを混合した気相中で行ってよい。不活性ガスは、脱灰温度において被脱灰物(植物原料又は植物由来のチャー)及び脱灰後の植物原料又は植物由来のチャーと反応しないガスであれば特に制限されない。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、又はそれらの混合ガスが挙げられる。不活性ガスは、供給安定性及び経済性の観点から、窒素であることが好ましい。
ハロゲン化合物と不活性ガスとを混合した気相中で気相脱灰を行う場合、ハロゲン化合物と不活性ガスとの混合比は、十分な脱灰が達成できる限り特に限定されない。例えば不活性ガスに対するハロゲン化合物の量が、0.01〜10.0体積%であることが好ましく、0.05〜8.0体積%であることがより好ましく、0.1〜5.0体積%であることがさらに好ましい。
気相脱灰の温度は、被脱灰物である植物原料又は植物由来のチャーにより変えることが好ましいが、例えば500〜950℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜910℃、さらに好ましくは850〜930℃である。脱灰温度が低すぎると、脱灰効率が低下し、十分に脱灰できないことがある。脱灰温度が高すぎると、ハロゲン化合物による賦活が起きることがある。
気相脱灰の時間は特に制限されないが、例えば5〜300分であり、好ましくは10〜200分であり、より好ましくは20〜150分である。
気相脱灰における気相の供給量(流動量)は特に限定されないが、例えば植物原料又は植物由来のチャー1g当たり好ましくは1ml/分以上、より好ましくは5ml/分以上、さらに好ましくは10ml/分以上である。
気相脱灰に用いる装置は、植物原料又は植物由来のチャーとハロゲン化合物を含む気相とを混合しながら加熱できる装置であれば特に限定されない。例えば、流動炉を用い、流動床等による連続式又はバッチ式の層内流通方式の装置を用いることができる。
気相脱灰を行う場合、ハロゲン化合物を含む気相中での熱処理の後で、さらに、ハロゲン化合物非存在下での熱処理を行ってもよい。ハロゲン化合物を含む気相中での熱処理によって、植物原料又は植物由来のチャーにはハロゲンが含まれる。植物原料又は植物由来のチャーに含まれているハロゲンを、ハロゲン化合物非存在下での熱処理によって除去することができる。例えば、前記ハロゲン化合物を含む気相中での熱処理後に、ハロゲン化合物の供給を遮断して熱処理を行うことにより、ハロゲンを除去することができる。具体的には、ハロゲン化合物非存在下での熱処理は、ハロゲン化合物を含まない不活性ガス雰囲気中で500℃〜940℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜940℃、さらに好ましくは850〜930℃で熱処理することによって行ってよい。ハロゲン化合物非存在下での熱処理の温度は、ハロゲン化合物を含む気相中での熱処理の温度と同じか、又はそれよりも高い温度で行うことが好ましい。また、ハロゲン化合物非存在下での熱処理の時間も特に限定されないが、好ましくは5分〜300分であり、より好ましくは10分〜200分であり、さらに好ましくは10分〜100分である。
本実施形態における液相脱灰及び気相脱灰は、植物原料又は植物由来のチャーに含まれているカリウム、鉄等の灰分を除去する処理である。液相脱灰処理後又は気相脱灰処理後に得られる炭素前駆体のカリウム元素の含有量は、好ましくは1000ppm(0.1重量%)以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以下である。液相脱灰処理後又は気相脱灰処理後に得られる炭素前駆体の鉄元素の含有量は、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは150ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。炭素前駆体のカリウム元素や鉄元素の含有量が多くなると、得られる炭素質材料を非水電解質二次電池において用いる場合に、非水電解質二次電池の脱ドープ容量が小さくなったり、非脱ドープ容量が大きくなる場合がある。さらに、これらの金属元素が電解液中に溶出し、再析出した際に短絡が生じ、非水電解質二次電池の安全性に大きな問題が生じる場合がある。
被脱灰物である植物原料又は植物由来のチャーの平均粒子径は、特に限定されない。液相脱灰を行う場合、抽出液から植物原料又は植物由来のチャーを分離しやすい観点から、平均粒子径の下限は、好ましくは500μm以上であり、より好ましくは1mm以上であり、さらに好ましくは3mm以上である。平均粒子径の上限は、好ましくは40mm以下であり、より好ましくは35mm以下であり、さらに好ましくは30mm以下である。気相脱灰を行う場合、平均粒子径が小さすぎると、脱灰により除去されたカリウム等を含む気相と、脱灰処理後の植物原料又は植物由来のチャーとを分離することが困難になり得ることから、平均粒子径の下限は、好ましくは100μm以上であり、より好ましくは300μm以上であり、さらに好ましくは500μm以上である。平均粒子径の上限は、好ましくは10000μm以下であり、より好ましくは8000μm以下であり、さらに好ましくは5000μm以下である。
液相脱灰又は気相脱灰に植物原料を使用した場合、液相脱灰又は気相脱灰処理後の植物原料を、不活性ガス雰囲気下、300℃以上の温度で熱処理する仮焼成によって、液相脱灰又は気相脱灰処理後の植物由来のチャーを製造することができる。この場合の仮焼成の熱処理温度や熱処理時間も、上記に述べたとおりである。
このようにして得た、液相脱灰又は気相脱灰処理後の植物由来のチャーに、粉砕及び焼成を行うことにより、平均粒子径が2μm以下である本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料を得ることができる。炭素前駆体は焼成によって溶解しないため、炭素材の平均粒子径は焼成の前後で変化しない。そのため、粉砕工程の順番は脱灰工程後であれば特に限定されず、粉砕工程を焼成工程前に行ってもよいし、焼成工程後に行ってもよい。
粉砕工程に用いる粉砕機は特に限定されず、例えばジェットミル、ボールミル、ビーズミル、ハンマーミル又はロッドミルなどを使用することができる。1種類の粉砕機を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。より小さい平均粒子径を有する炭素材を製造しやすい観点から、粉砕機としては、ボールミル及びビーズミルが好ましい。特に、従来使用されているボールミルでは、打解による粉砕時に併発する凝集、植物由来の材料の繊維方向への破砕(異型化)が生じる場合があり、これらを回避しやすい観点からは、ビーズミルがより好ましい。
粉砕は、湿式粉砕、乾式粉砕のいずれであってもよい。植物由来の炭素材の表面酸化を抑制しやすい観点から、乾式粉砕が好ましい。
粉砕機としてビーズミルを使用する場合、ビーズミルのメディア(ボール又はビーズ)の材質は、特に限定されず、例えばポリアミドなどの有機高分子化合物、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物を使用することができる。メディアからのコンタミが生じにくく、粉砕時間を短縮しやすい観点から、メディアはアルミナ又はジルコニアであることが好ましい。粉砕機へのメディアの充填率は特に限定されないが、粉砕時の異型化を抑制しやすい観点から、好ましくは60〜90%であり、より好ましくは70〜85%である。
粉砕時間は特に限定されないが、通常、10〜120分の範囲であり、粉砕効率及び微粉の生成量を考慮すると、20〜90分であることが好ましい。
粉砕後に、必要に応じて分級を行い、平均粒子径を調整してもよい。分級方法は、特に制限されないが、例えば篩を用いた分級、湿式分級、乾式分級が挙げられる。湿式分級機としては、例えば重力分級、慣性分級、水力分級、遠心分級等の原理を利用した分級機が挙げられる。乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級、遠心分級等の原理を利用した分級機が挙げられる。
焼成(以下において「本焼成」とも称する)は、通常の焼成手順に従って行うことができる。本焼成を行うことにより、非水電解質二次電池用炭素質材料を得ることができる。本焼成工程は、炭素前駆体を加熱し、炭素前駆体に含まれる揮発成分を除去し、炭素骨格を構築するための工程である。
本焼成の焼成温度は通常、800〜1500℃であり、好ましくは1000〜1350℃であり、より好ましくは1100〜1300℃である。本焼成は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられ、ハロゲンガスを含有する不活性ガス中で本焼成を行うことも可能である。本焼成を減圧下で行ってもよく、例えば10kPa以下で行ってよい。本焼成の焼成時間は特に限定されないが、例えば0.05〜10時間であり、好ましくは0.05〜8時間であり、より好ましくは0.05〜6時間である。
本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の平均粒子径は2μm以下であり、好ましくは1.9μm以下である。本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは0.7μm以上である。平均粒子径が上記の上限以上である場合、リチウムイオンの粒子内拡散が律速となり、抵抗が大きくなる場合がある。平均粒子径が上記の下限以上であると、電極を作成するために炭素質材料とバインダーとを含むスラリーを調製する際に、粘度上昇を回避しやすく、炭素質材料とリチウムイオンとが反応することによる不可逆容量の増加を抑制しやすく、リチウムイオン効率の低下を回避しやすいため好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料のX線回析法による(002)面の平均面間隔d002は、0.38nm〜0.40nmであり、好ましくは0.381nm〜0.389nmである。(002)面の平均面間隔d002が上記の下限以上であると、リチウムイオンが挿入される際の抵抗を小さくしやすく、リチウムイオン電池としての出力特性を高めやすいため好ましい。また、炭素質材料が膨張収縮を繰り返すことによる電池材料としての安定性の低下を回避しやすい点でも好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記の上限以下であると、炭素質材料の体積あたりの実行容量を高めやすいため好ましい。平均面間隔を上記範囲に調整する方法は何ら限定されない。例えば、炭素質材料を与える炭素質前駆体の焼成温度を800〜1500℃の範囲で行えばよい。
本発明の一態様において、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料のBET比表面積は、好ましくは80m/g〜200m/gであり、より好ましくは82m/g〜190m/gであり、さらに好ましくは85m/g〜180m/gである。比表面積が上記の下限以上であると、炭素質材料へのリチウムイオンの吸着量を高めやすく、非水電解質二次電池の充電容量を高めやすいため好ましい。比表面積が上記の上限以下であると、リチウムイオンの炭素質材料表面での反応が抑制され、リチウムイオンの利用効率を高めやすいため好ましい。BET比表面積を上記範囲に調整する方法は何ら限定されない。例えば焼成温度を高くしたり、焼成時間を長くすると比表面積は小さくなる傾向があるので、上記の範囲の比表面積が得られるように、炭素質材料を与える炭素質前駆体の焼成温度や焼成時間を調整する方法を用いることができる。
本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料に不純物として含まれるカリウム、鉄などの金属の含有量は、本発明の炭素質材料を用いた非水電解質二次電池の脱ドープ容量を高めやすい観点から、少ないほど好ましい。
本発明の一態様において、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料のカリウム元素の含有量は、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の総量に基づいて好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは80ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料のカリウム元素の含有量は、0ppm以上であってよい。
本発明の一態様において、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の鉄元素の含有量は、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の総量に基づいて好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは150ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の鉄元素の含有量は、0重量%以上であってよい。
〔非水電解質二次電池用電極〕
本発明の非水電解質二次電池用電極は、本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料を含む電極であり、特に非水電解質二次電池における負極として使用される。
以下において、本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法を説明する。本発明の電極は、電極合剤を集電板に塗布し、集電板に電極活物質層を形成させることにより製造することができる。電極合剤は、本発明の炭素質材料に結合剤(バインダー)、場合により導電助剤、ならびに、適当な溶媒を適量添加し、混練して得ることができる。電極活物質層は、例えば、電極合剤を集電板に塗布し、乾燥させた後、加圧成形することにより形成させることができる。集電板としては、例えば金属板を使用してよい。
結合剤は、電解液と反応しないものであれば特に限定されず、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、及びSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物等が挙げられる。これらの中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入出力特性を得やすいために好ましい。結合剤として、1種類の結合剤を用いてもよいし、2種以上の結合剤を組み合わせて用いてもよい。結合剤の添加量は、使用する結合剤の種類によって適宜選択してよい。結合剤の添加量が高すぎると、得られる電極の抵抗が大きくなり、電池の内部抵抗が大きくなるため、電池特性が低下する場合がある。また、結合剤の添加量が少なすぎると、電極中の炭素質材料の粒子間の結合、及び、炭素質材料と集電材との結合が不十分となることがある。このような観点から、結合剤の添加量は、使用する結合剤の種類によっても異なるが、好ましくは1〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%である。例えばPVDF系の結合剤である場合には、好ましくは3〜13重量%であり、より好ましくは3〜10重量%である。ここで、結合剤の添加量は、活物質(炭素質材料)量+バインダー量+導電助剤量=100重量%として算出される。
溶媒は、使用する結合剤の種類よって適宜選択してよい。溶媒として、1種類の結合剤を用いてもよいし、2種以上の結合剤を組み合わせて用いてもよい。例えば結合剤としてPVDFを用いる場合、PVDFを溶解させてスラリーを得やすい観点から、N−メチルピロリドン(NMP)等の極性溶媒を用いることが好ましい。結合剤としてSBR等を用いる場合、結合剤を水性エマルジョンの形態で用いてもよい。結合剤としてCMCを用いる場合、結合剤を水などの溶媒に溶解させて用いてもよい。
例えば、溶媒として水を使用し、SBRとCMCとの混合物などの2種以上の結合剤を組み合わせて混合して使用することが多い。この態様において、2種以上の結合剤を使用する場合、結合剤の総添加量は、好ましくは0.5〜5重量%であり、より好ましくは1〜4重量%である。ここで、結合剤の添加量は、活物質(炭素質材料)量+バインダー量+導電助剤量=100重量%として算出される。
本発明の炭素質材料を含む電極は、導電助剤を含有しない場合であっても高い導電性を有する。さらに高い導電性を賦与することを目的として、電極合剤の調製時に、必要に応じて導電助剤を添加してよい。導電助剤としては、導電性のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、ナノチューブ等を用いることができる。導電助剤の添加量は、使用する導電助剤の種類によっても異なるが、添加量が少なすぎると期待する導電性が得られないことがあり、多すぎると電極合剤中での導電助剤の分散が悪くなることがある。このような観点から、導電助剤の添加量は、好ましくは0.5〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜7重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。ここで、導電助剤の添加量は、活物質(炭素質材料)量+バインダー量+導電助剤量=100重量%として算出される。
電極活物質層は、通常、集電板の両面に形成されるが、必要に応じて集電板の片面に形成されていてもよい。電極活物質層の片面当たりの厚みは、好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは20〜75μmであり、さらに好ましくは20〜60μmである。電極活物質層の厚みが上記の下限以上であると、二次電池中の集電板やセパレータ等が占める割合が少なくて済むため、電池を高容量化しやすい観点から好ましい。電極活物質層の厚みが上記の上限以下であると、対極と対向する電極面積が広いほど入出力特性の向上に有利なため、入出力特性を高めやすい観点から好ましい。
〔非水電解質二次電池〕
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極を含み、良好な充放電容量と低い電気抵抗を有すると共に、酸化劣化に対する良好な耐性を有する。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極を負極として含むことが好ましい。本発明の非水電解質二次電池において、正極材料、セパレータ及び電解液などの電池を構成する他の材料は特に限定されず、非水電解質二次電池において従来使用され、あるいは提案されている、種々の材料を使用することが可能である。
例えば、正極材料としては、層状酸化物系(LiMOと表されるもので、Mは金属:例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、又はLiNiCoMo(ここでx、y、zは組成比を表わす))、オリビン系(LiMPOで表され、Mは金属:例えばLiFePOなど)、スピネル系(LiMで表され、Mは金属:例えばLiMnなど)の複合金属カルコゲン化合物が好ましい。正極材料として、これらのカルコゲン化合物の1種を用いてもよいし、2種以上を必要に応じて混合して用いてもよい。これらの正極材料を適当な結合剤と電極に導電性を付与するための炭素材料と共に成形して、導電性の集電材上に層を形成することにより、正極を製造することができる。
正極及び負極と組み合わせて用いられる非水溶媒型の電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解させて得ることができる。非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、又は1,3−ジオキソラン等の有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、1種類の有機溶媒を用いてもよいし、2種以上の有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。電解質としては、例えばLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiB(C、又はLiN(SOCF等が挙げられる。
非水電解質二次電池は、一般に、正極と負極とを、必要に応じてセパレータを介して対向させ、電解液中に浸漬させることにより製造することができる。セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布、その他の多孔質材料からなる透液性セパレータを用いることができる。セパレータの代わりに、もしくはセパレータと共に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料は、例えば自動車などの車両に搭載される電池(典型的には車両駆動用非水電解質二次電池)用炭素質材料として好適である。本発明において車両とは、通常、電動車両としてしられるものや、燃料電池や内燃機関とのハイブリッド車など、特に制限されることなく対象とすることができるが、少なくとも上記電池を備えた電源装置と、該電源装置からの電源供給により駆動する電動駆動機構と、これを制御する制御装置とを備える。車両は、さらに、発電ブレーキや回生ブレーキを備え、制動によるエネルギーを電気に変換して、前記非水電解質二次電池に充電する機構を備えていてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下に非水電解質二次電池用炭素質材料の物性値の測定法を記載するが、実施例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づく。
(1)炭素質材料の平均粒子径
炭素質材料の平均粒子径は、以下の方法により測定した。
試料を界面活性剤(和光純薬工業(株)製「ToritonX100」)を0.3質量%含有する水溶液に投入し、超音波洗浄器で10分以上分散処理し、中に分散させた。この分散液を用いて粒度分布を測定した。粒度分布測定は、粒子径・粒度分布測定装置(日機装(株)製「マイクロトラックMT3000」)を用いて行った。d50は、累積体積が50%となる粒子径であり、この値を平均粒子径として用いた。
(2)金属元素含有量
カリウム元素及び鉄元素の含有量を測定するにあたり、予め所定のカリウム元素及び鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用い、カリウムKα線の強度とカリウム元素含有量との関係、及び、鉄Kα線の強度と鉄元素含有量との関係に関する検量線を作成した。次いで、測定試料を蛍光X線分析し、カリウムKα線及び鉄Kα線の強度を測定し、予め作成した検量線から、カリウム元素含有量及び鉄元素含有量を求めた。
蛍光X線分析は、株式会社リガク製 走査型蛍光X線分析装置「ZSX PrimusII」を用い、以下の条件で行った。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とした。測定試料0.5gを内径25mmのポリエチレン製容器の中に入れ、試料の裏をプランクトンネットで押さえ、試料表面をポリプロピレン製フィルムで覆い測定を行った。X線源は40kV、60mAに設定した。カリウム元素については、分光結晶としてLiF(200)、検出器としてガスフロー型比例係数管を使用し、2θが90〜140°の範囲を、走査速度8°/minで測定した。鉄元素については、分光結晶としてLiF(200)、検出器としてシンチレーションカウンターを使用し、2θが56〜60°の範囲を、走査速度8°/minで測定した。
(3)BET比表面積
以下にBETの式から誘導された近似式を記す。
Figure 0006590493
上記の近似式を用いて、液体窒素温度での窒素吸着による3点法によりvを求め、次式により試料の比表面積を計算した。
Figure 0006590493
上記式中、vは試料表面に単分子層を形成するに必要な窒素の吸着量(cm/g)、vは実測される窒素の吸着量(cm/g)、pは飽和蒸気圧であり、pは絶対圧、cは定数(吸着熱を反映)、Nはアボガドロ数6.022×1023、aは吸着質分子が試料表面で占める面積(分子占有断面積)(nm)である。
具体的には、日本BELL社製「BELL Sorb Mini」を用いて、以下のようにして、液体窒素温度での炭素質材料への窒素の吸着量を測定した。粒子径が約5〜50μmになるように粉砕した炭素質材料を試料管に充填し、試料管を−196℃に冷却した状態で、一旦減圧し、その後、所望の相対圧にて炭素質材料に窒素(純度99.999%)を吸着させる。各所望の相対圧にて平衡圧に達した時の炭素質材料に吸着された窒素の量を窒素の吸着量v(cm/g)とした。
(4)X線回析法による(002)面の平均面間隔d002
炭素質材料を試料ホルダーに充填し、株式会社リガク製「MiniFlexII」にて、Niフィルターにより単色化したCuKα線を線源として用い、X線回折図形を得た。回折図形のピーク位置は重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正した。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に記すBraggの公式により平均面間隔d002を算出した。
Figure 0006590493
〔調製例1〕
椰子殻を破砕し、500℃で乾留して、粒径0.850〜2.360mmの椰子殻チャー(粒径0.850〜2.360mmの粒子を98重量%含有)を得た。この椰子殻チャー100gに対して、塩化水素ガスを1体積%含む窒素ガスを10L/分の流量で供給しながら、870℃で50分間熱処理し、気相脱灰処理を行った。その後、塩化水素ガスの供給のみを停止し、さらに900℃で30分間熱処理して、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、ボールミルを用いて平均粒子径200μmに粗粉砕した後、粗粉砕物を、乾式ビーズミル(株式会社アシザワ・ファインテック製「SDA−1」)にて、1.5mmのビーズ径を有するジルコニア製ビーズを800ml充填した1Lの粉砕容器を用いて粉砕し、平均粒子径1.5μmの炭素前駆体を得た。
〔調製例2〕
乾式ビーズミルにて、2mmのビーズ径を有するジルコニア製ビーズを800ml充填した1Lの粉砕容器を使用したこと以外は調製例1と同様にして炭素前駆体を得た。得られた炭素前駆体の平均粒子径は、1.9μmであった。
〔調製例3〕
乾式ビーズミルにて、3.5mmのビーズ径を有するジルコニア製ビーズを800ml充填した1Lの粉砕容器を使用したこと以外は調製例1と同様にして炭素前駆体を得た。得られた炭素前駆体の平均粒子径は、3.2μmであった。
〔調製例4〕
乾式ビーズミルにて、5.5mmのビーズ径を有するジルコニア製ビーズを800ml充填した1Lの粉砕容器を使用したこと以外は調製例1と同様にして炭素前駆体を得た。得られた炭素前駆体の平均粒子径は、5.2μmであった。
〔実施例1〕
調製例1で得た炭素前駆体10gを、黒鉛製鞘(縦100mm、横100mm、高さ50mm)に入れ、株式会社モトヤマ製高速昇温炉中、毎分5Lの窒素気流下、毎分60℃の昇温速度で1270℃まで昇温した後、11分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から焼成物を取り出した。得られた炭素質材料の回収量は9.3gであり、炭素前駆体に対する回収率は93%であった。
〔実施例2〕
調製例2で得た炭素前駆体を使用したこと以外は実施例1と同様にして炭素質材料を得た。得られた炭素質材料の回収量は9.3gであり、炭素前駆体に対する回収率は93%であった。
〔比較例1〕
調製例3で得た炭素前駆体を使用したこと以外は実施例1と同様にして炭素質材料を得た。得られた炭素質材料の回収量は9.1gであり、炭素前駆体に対する回収率は91%であった。
〔比較例2〕
調製例4で得た炭素前駆体を使用したこと以外は実施例1と同様にして炭素質材料を得た。得られた炭素質材料の回収量は9.1gであり、炭素前駆体に対する回収率は91%であった。
実施例1及び2、比較例1及び2で得た炭素質材料の物性を表1に示す。
Figure 0006590493
〔電極の作製〕
実施例1及び2、比較例1及び2で得た炭素質材料をそれぞれ用いて、以下の手順に従い電極を作製した。
各実施例又は比較例で得た炭素質材料92質量部を、アセチレンブラック2質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)6質量部及びNMP(N−メチルピロリドン)90質量部と混合し、スラリー状の電極合剤を得た。得られた電極合剤を、厚さ14μmの銅箔に塗布し、乾燥させた後、プレスして、厚さ60μmの電極を得た。得られた電極の密度は、0.9〜1.1g/cmであった。
〔リチウム二次電池の作製〕
上記で得た電極を作用極とし、金属リチウムを対極及び参照極として使用した。電解液として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1mol/L溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ガラス繊維不織布を使用した。これらを用いて、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で電気化学セルを作製し、リチウムイオン二次電池として用いた。
〔初回の充放電容量、充放電効率、直流抵抗〕
上記のようにして作製したリチウムイオン二次電池について、充放電試験装置(東洋システム株式会社製「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。リチウムイオンのドーピングは、活物質の質量に対して70mA/gの速度で、リチウム電位に対して1mVになるまで行った。さらに、リチウム電位に対して1mVの定電圧を8時間印加して、ドーピングを終了した。このときの充電された容量(mAh/g)を充電容量とした。次いで、リチウムイオンの脱ドーピングを、活物質の質量に対して70mA/gの速度で、リチウム電位に対して2.5Vになるまで行った。このとき放電された容量を放電容量とした。また、放電容量/充電容量の百分率を充放電効率(初回の充放電効率)とし、入出力特性の指標とした。さらに、脱ドーピングを開始してから3秒間の電圧低下率から、直流抵抗を算出し、これを電極の炭素質材料の抵抗の指標とした。得られた結果を表2に示す。
〔100回の充放電を繰り返した後の放電容量維持率〕
上記の、リチウムイオンのドーピング及び脱ドーピングを100回繰り返した後の放電容量(100回後の放電容量)を測定し、100回後の放電容量/初回の放電容量の百分率を100回後の放電容量維持率とした。得られた結果を表2に示す。
Figure 0006590493
実施例1及び2で得た炭素質材料を用いて作製した二次電池は、比較例1及び2で得た炭素質材料を用いて作製した二次電池と比較して、同等の初回の充放電容量を示しているにもかかわらず、低い直流抵抗を示した。また、100回の充放電を繰り返した後の放電容量維持率は、実施例と比較例で同程度であり、この結果は、特に車載用途等に使用される二次電池として満足のいくものであった。

Claims (5)

  1. 植物由来の炭素質材料であって、平均粒子径が2μm以下であり、X線回析法による(002)面の平均面間隔d002が0.38nm〜0.40nmであり、BET比表面積が80m /g〜200m /gであり、カリウム元素の含有量が、非水電解質二次電池用炭素質材料の総量に基づいて200ppm以下である、非水電解質二次電池用炭素質材料。
  2. 請求項1に記載の炭素質材料を含む非水電解質二次電池用電極。
  3. 請求項に記載の非水電解質二次電池用電極を備える非水電解質二次電池。
  4. 植物原料又は植物由来の炭素材を気相脱灰処理及び/又は液相脱灰処理後に粉砕して得た2μm以下の平均粒子径を有する炭素前駆体を800℃〜1500℃の温度で焼成して炭素質材料を得ること、又は、
    植物原料又は植物由来の炭素材を気相脱灰処理及び/又は液相脱灰処理後に800℃〜1500℃の温度で焼成し、次いで粉砕して、2μm以下の平均粒子径を有する炭素質材料を得ること
    を含む、請求項1に記載の二次電池用炭素質材料の製造方法。
  5. 粉砕は乾式粉砕である、請求項4に記載の製造方法。
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