JP2020140909A - 非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビール粕を材料として用いて非水電解質二次電池負極用炭素質材料を効率よく製造する。【解決手段】金属元素を含む原料ビール粕から、金属元素の少なくとも一部を除去して、脱灰ビール粕を得る脱灰工程と、脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程と、炭化物を非酸化性雰囲気中で、1000℃〜1600℃で焼成して、炭素質材料を得る焼成工程と、を含む、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、主として非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法に関し、その製造方法で製造された炭素質材料、並びにこれを用いた負極、非水電解質二次電池および車両にも関する。
近年、環境問題への関心の高まりから、エネルギー密度が高く、出力特性の優れた非水電解質二次電池の自動車への搭載が検討されている。車載用非水電解質二次電池には、自動車と同程度の耐久性(例えば10年以上の寿命性能)が求められ得る。例えば車載用リチウムイオン二次電池の負極材料としては、リチウムイオンのドープおよび脱ドープによる膨張収縮の程度が小さく、高いサイクル耐久性を有する難黒鉛化性炭素が適している。難黒鉛化性炭素は、黒鉛質材料と比べて結晶性が低く、充放電に寄与し得るサイトが多く、充放電曲線がなだらかであり、急速充電を行う場合に充電規制電圧との電位差を確保しやすい点でも車載用途に適している。
ただし、自動車のブレーキ時のエネルギー回生や加速時間を考慮すると、車載用非水電解質二次電池には、小型携帯機器用二次電池と比較して圧倒的に優れた急速充放電(入出力)特性が求められる。
植物由来のチャー(植物由来の有機物)から製造される炭素質材料は、多量のリチウムイオンをドープすることが可能であり、車載用非水電解質二次電池の負極材料として有望であることが見出されている(特許文献1)。しかし、植物由来のチャーには、カリウム等の不純物元素が比較的多く含まれている。不純物元素は、充放電に好ましくない影響を及ぼすことが知られている。
特許文献2は、植物由来のチャーを酸洗浄により脱灰処理して、カリウム元素の含有量を低減させる方法を開示している。
酸洗浄等によって脱灰処理を行う場合、灰分が溶出した溶液を濾過により除去するのに長時間を要するため、炭素質材料の製造コストが高くなることが懸念される。そこで、本発明は、非水電解質二次電池負極用炭素質材料をビール粕から効率的に製造する方法を提供すること、更には電気化学的特性に優れた非水電解質二次電池負極用炭素質材料を提供すること等を目的とする。
すなわち、本発明の一側面は、(i)金属元素を含む原料ビール粕から、前記金属元素の少なくとも一部を除去して、脱灰ビール粕を得る脱灰工程と、(ii)前記脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程と、(iii)前記炭化物を非酸化性雰囲気中で、1000℃〜1600℃で焼成して、炭素質材料を得る焼成工程と、を含む、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法に関する。
本発明の別の側面は、酸素含有量が5質量%以下、カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下であり、ブタノール真密度が1.48〜1.62g/cm3である、ビール粕由来の非水電解質二次電池負極用炭素質材料に関する。
本発明の更に別の側面は、酸素含有量が5質量%以下、カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下であり、ブタノール真密度が1.48〜1.62g/cm3である炭素質材料であって、前記炭素質材料を含む第1電極と金属リチウムの第2電極とを含むセルを組み立て、定電流定電圧方式で前記セルを充電したとき、0.5mA/cm2の電流で終止電圧0mVに達するまでに定電流充電で得られる容量:CCと、その後、終止電流20μAに達するまでに定電圧充電で得られる容量CVとの比:CC/CVが、1.0以上であり、前記第1電極は、90質量部の前記炭素質材料と10質量部のポリフッ化ビニリデンとの混合物であり、かつ前記炭素質材料を10mg含む直径15mmの円盤状の成形体であり、前記第2電極は、厚さ0.8mmで直径15mmの円盤状である、非水電解質二次電池負極用炭素質材料に関する。
本発明の更に別の側面は、上記のいずれかの非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含む、負極に関する。
本発明の更に別の側面は、集電シートと、前記集電シートの少なくとも一方の表面に形成された活物質層と、を具備し、前記活物質層が、上記のいずれかの非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含み、前記活物質層の厚みが80μm以下である、負極に関する。
本発明の更に別の側面は、正極と、上記の負極と、非水電解質と、を含む、非水電解質二次電池に関する。
本発明の更に別の側面は、上記の非水電解質二次電池を具備する、車両に関する。
本発明の更に別の側面は、カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下である、非水電解質二次電池負極用炭素質材料に用いるビール粕に関する。
本発明によれば、電気化学的特性に優れた非水電解質二次電池負極用炭素質材料をビール粕から効率的に製造することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法は、(i)金属元素を含む原料ビール粕から、金属元素の少なくとも一部を除去して、脱灰ビール粕を得る脱灰工程と、(ii)脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程と、(iii)炭化物を非酸化性雰囲気中で、1000℃〜1600℃で焼成して、炭素質材料を得る焼成工程とを含む。
以下、工程ごとに説明する。
以下、工程ごとに説明する。
<脱灰工程>
脱灰工程は、金属元素を含む原料ビール粕から、金属元素の少なくとも一部を除去する工程である。原料ビール粕とは、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の原料として用いるビール粕をいう。
脱灰工程は、金属元素を含む原料ビール粕から、金属元素の少なくとも一部を除去する工程である。原料ビール粕とは、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の原料として用いるビール粕をいう。
ビール粕は、飲料としてのビールの製造過程で産出される副生成物であり、ビールを抽出した後の抽出残渣でもよく、ビールを抽出する前の組成物もしくはビール粕の前駆体であってもよい。ビール粕の産地、ビール品種等は、特に限定されない。中でも適度に破砕された状態で多量に入手し得る点で、ビールを抽出した後の抽出残渣を原料ビール粕として用いることが好ましい。
ビール粕は、例えば、モルトフィード(生ビール粕)、モルトレージ(脱水ビール粕)等として供給される。ビール粕の主成分は、麦殻、麦皮などであり、本明細書においてはビール粕を麦殻および麦皮と言い換えてもよい。ビール粕には、より具体的には、タンパク質、アミノ酸、脂肪、繊維、灰分などが含まれている。金属元素は灰分に分類される。
ビール粕には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属等が含まれており、具体的には、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄等が含まれ得る。中でもカリウムおよび鉄は除去する必要性が大きい。
金属元素を除去せずにビール粕を炭化すると、炭化時に、金属元素が炭素質を侵食し、必要な炭素質が分解されるおそれがある。また、炭素質材料に残存する金属元素は、電池内で負極から溶出し、還元されて析出し、内部短絡を引き起こす原因となり得る。以上より、ビール粕を炭素質材料の原料に用いる場合、ビール粕から金属元素の少なくとも一部を除去する脱灰工程が必要である。
ビール粕は、麦汁ろ過後の残渣であり、灰分は濃縮された状態になっている。でんぷんなどの金属成分を強く保持する成分は少なく、金属成分は麦芽中よりも除き易い状態になっている。一方、ビール粕には強酸に脆い有機成分が含まれるため、脱灰はビール粕を構成する有機成分の構造をできるだけ維持し得る条件で行われる。
脱灰工程は、例えば、原料ビール粕を酸性水溶液と接触させることにより行い得る。例えば、原料ビール粕を酸性水溶液中に浸漬することでと原料ビール粕を酸性水溶液と接触させればよい。原料ビール粕から金属元素もしくは金属元素を含む化合物(金属化合物)が酸性水溶液中に溶出し、金属元素の含有量の少ない脱灰ビール粕が得られる。
酸性水溶液としては、例えば有機酸水溶液を用いればよい。有機酸水溶液は、ビール粕から溶出する金属化合物の溶解度が高く、廃液処理が容易であり、環境適合性に優れている。有機酸水溶液の溶媒は、水のみでもよく、水と水溶性有機溶媒との混合物でもよい。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピレングリコール、エチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。
有機酸水溶液に用いる有機酸は、リン、硫黄、ハロゲン等の不純物となり得る元素を含まないことが好ましい。有機酸がリン、硫黄、ハロゲン等の元素を含まない場合、有機酸水溶液に浸漬された後の脱灰ビール粕の水洗を省略し得る。すなわち、脱灰ビール粕に有機酸が残存してもよい。また、脱灰工程で使用後の有機酸水溶液の廃液は、特別な装置を用いることなく、比較的容易に処理し得る。
有機酸水溶液に用いる有機酸としては、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸等を用い得る。飽和カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、安息香酸、テレフタル酸等が挙げられる。中でも、入手が容易で、腐食性が低く、人体への影響が小さい点で、酢酸、蓚酸およびクエン酸が好ましい。
有機酸水溶液中の有機酸の濃度は、特に限定されず、有機酸の種類に応じて濃度を選択すればよい。有機酸水溶液の有機酸濃度は、例えば0.001質量%〜20質量%でもよく、0.01質量%〜18質量%でもよく、0.02質量%〜15質量%でもよい。有機酸濃度が上記範囲内であれば、金属元素もしくは金属化合物を適度な溶出速度で除去することができ、脱灰ビール粕における有機酸の残留量も少なくなる。
有機酸水溶液のpHは、例えば3.5以下であり、3以下が好ましい。有機酸水溶液のpHが上記値を超えない場合、金属元素もしくは金属化合物の有機酸水溶液への溶出速度が低下しにくく、金属元素の除去を効率的に行うことができる。
ビール粕と接触させる有機酸水溶液の温度は、特に限定されないが、例えば45℃〜120℃であり、50℃〜110℃でもよく、60℃〜100℃が好ましい。有機酸水溶液の温度が上記範囲内であれば、有機酸の分解が抑制され、かつ金属元素もしくは金属化合物の有機酸水溶液への溶出速度も好適となり、脱灰工程に要する時間を短縮し得る。また、特殊な装置を用いずに脱灰工程を容易に行うことができる。
原料ビール粕を酸性水溶液中に浸漬する方法は、連続式でもよく、バッチ式でもよい。連続式では、例えば、容器内に収容されたビール粕に有機酸水溶液を連続的もしくは間欠的に添加し、容器内で所定時間滞留させるとともに容器から連続的もしくは間欠的に抜き取る方法が挙げられる。バッチ式では、容器内に滞留させた有機酸水溶液中にビール粕を所定時間浸漬した後、有機酸水溶液を脱液する方法が挙げられる。
バッチ式の場合、少なくとも1回は酸性水溶液の更新を行うことが望ましく、浸漬と脱液とを繰り返してもよい。浸漬と脱液とを繰り返す場合、例えば2回〜8回、好ましくは3回〜5回繰り返してもよい。また、1回の更新において、有機酸水溶液の全部を取り替えてもよく、有機酸水溶液の一部を取り替えてもよい。このとき、1回の更新当たり前回に使用した酸性水溶液の50%以上を取り替えることが望ましい。
ビール粕は、親水性成分の含有量が小さいことから、水分の切れがよく、有機酸水溶液の脱液が容易である。よって、酸性水溶液によって脱灰工程を行う場合、極めて高い効率で脱灰工程を遂行することができる。
脱灰工程を行う前に、原料ビール粕の粒度を調整してもよい。ビール粕は、水分の切れが良いため、ビール粕の平均粒子径をかなり小さくしても、脱灰工程を高効率で行うことができる。例えば、脱灰工程を行う前に、原料ビール粕の平均粒子径を2mm以下としてもよい。これにより、原料ビール粕からの金属元素の除去が促進される。一方、原料ビール粕の平均粒子径を、例えば0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上とすることで、ビール粕の取り扱いが容易となる。種々の大きさのビール粕を混合して用いてもよい。
平均粒子径とは、体積基準の粒度分布のメディアン径(D50)をいい、例えばレーザー回折式の粒度分布測定装置により測定し得る。ビール粕以外の以下の材料、すなわち炭化物、炭素質材料等の平均粒子径についても同様である。
ビール粕を有機酸水溶液と接触させる時間は、有機酸の種類に応じて適宜調節すればよいが、経済性および脱灰効率の観点から、例えば0.1時間〜100時間であり、0.2時間〜80時間でもよく、0.5時間〜50時間でもよい。
容器内に滞留させる有機酸水溶液100質量部に対するビール粕の量は、有機酸の種類、濃度、水溶液の温度等に応じて適宜調節すればよいが、例えば0.1質量部〜200質量部であり、1質量部〜150質量部でもよく、1.5質量部〜120質量部でもよい。上記範囲内であれば、有機酸水溶液に溶出した金属元素もしくは金属化合物が析出しにくく、ビール粕への再付着を抑制しやすく、経済的観点からも好ましい。
脱灰工程を行う雰囲気は、特に限定されないが、例えば、大気雰囲気下で脱灰工程を実施すればよい。
脱灰工程の後、必要に応じて、脱灰ビール粕を洗浄してもよく、その後、乾燥してもよい。また、脱灰ビール粕を洗浄せずに、そのまま乾燥してもよい。
脱灰工程を経た脱灰ビール粕において、例えば、カリウム含有量は0.1質量%以下になり、鉄含有量は0.05質量%以下になる。
<炭化工程>
次に、脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程を行う。例えば、脱灰ビール粕を不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、脱灰ビール粕を炭化すればよい。脱灰ビール粕を炭化するための加熱温度は、特に限定されないが、例えば300℃〜800℃であり、350℃〜700℃であってもよい。上記温度範囲内では、揮発性有機物が乾留により十分に脱離し得る。また、得られる炭化物の硬度が適度となるので、炭化物を破砕する場合には、メディアの損傷が抑制され、コンタミが低減され、生産性も向上する。
次に、脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程を行う。例えば、脱灰ビール粕を不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、脱灰ビール粕を炭化すればよい。脱灰ビール粕を炭化するための加熱温度は、特に限定されないが、例えば300℃〜800℃であり、350℃〜700℃であってもよい。上記温度範囲内では、揮発性有機物が乾留により十分に脱離し得る。また、得られる炭化物の硬度が適度となるので、炭化物を破砕する場合には、メディアの損傷が抑制され、コンタミが低減され、生産性も向上する。
炭化時の不活性ガス雰囲気は、脱灰ビール粕の酸化燃焼が生じない雰囲気であればよく、窒素、希ガス(ヘリウム、アルゴン等)等の不活性ガス雰囲気であればよい。不活性ガスは、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、脱灰ビール粕の炭化を乾留ガス雰囲気中で行ってもよい。
加熱時の昇温速度は、加熱方法によって異なるが、例えば1℃/分〜20℃/分であり、2℃/分〜18℃/分であってもよい。昇温速度が上記範囲内であれば、良好な生産性が得られる。また、発生する乾留ガスによる賦活の進行が抑制され、良好な炭素密度を得やすく、炭素質材料の容量が向上しやすい。
加熱温度における保持時間は、特に限定されないが、例えば0.1時間〜20時間であり、0.5時間〜15時間でもよい。保持時間が上記範囲内であれば、炭化が十分に進行し、揮発性有機物も十分に除去される。
<微粒化工程>
炭化物を粉砕する微粒化工程を実施してもよい。微粒化工程では、炭化物を、例えば平均粒子径が20μm以下になるように粉砕してもよく、平均粒子径が2μm〜20μmになるように粉砕してもよい。
炭化物を粉砕する微粒化工程を実施してもよい。微粒化工程では、炭化物を、例えば平均粒子径が20μm以下になるように粉砕してもよく、平均粒子径が2μm〜20μmになるように粉砕してもよい。
炭化工程の後に微粒化工程を行う場合、脱灰工程から炭化工程における材料の操作性が阻害されにくく、材料を回収する敷設設備の容積効率を高く維持できる。また、後述の焼成工程の前に微粒化工程を行うことで、炭化物の焼成を効率よく進行させることができる。ただし、焼成工程の後、炭素質材料を粉砕して微粒化してもよい。
粉砕に用いる粉砕機は、特に限定されないが、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル、ロッドミル等を用いることができる。中でも微粉の発生が少なくなる点で、分級機能を備えたジェットミルが好ましい。一方、ボールミル、ハンマーミル、ロッドミルなどを用いる場合は、粉砕後に分級を行うことで微粉を除去してもよい。
<分級工程>
粉砕工程に続き、分級工程を行ってもよい。分級工程によって、炭化物の平均粒子径をより正確に調整することができる。分級工程では、粒子径1μm以下の微粉を除去してもよい。
粉砕工程に続き、分級工程を行ってもよい。分級工程によって、炭化物の平均粒子径をより正確に調整することができる。分級工程では、粒子径1μm以下の微粉を除去してもよい。
分級工程では、篩による分級、湿式分級、乾式分級などを採用し得る。湿式分級機としては、重力分級、慣性分級、水力分級、遠心分級などの原理を利用した分級機を挙げることができる。乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級、遠心分級等の原理を利用した分級機を挙げることができる。
粉砕と分級は1つの装置を用いて行うこともできる。例えば、乾式の分級機能を備えたジェットミルを用いれば、粉砕と分級とを行うことができる。また、粉砕機と分級機とが独立した装置を用いてもよい。粉砕と分級は連続して行ってもよく、不連続に行ってもよい。
<焼成工程>
次に、炭化物を非酸化性雰囲気中で1000℃〜1600℃で焼成することにより、非水電解質二次電池負極用炭素質材料が得られる。以下、炭化物を非酸化性雰囲気中で1000℃〜1600℃で焼成することを、本焼成とも称する。炭化物の平均粒子径を2μm〜20μmに制御した場合には、本焼成により、炭化物の平均粒子径を反映して平均粒子径2μm〜20μmの炭素質材料を得ることができる。
次に、炭化物を非酸化性雰囲気中で1000℃〜1600℃で焼成することにより、非水電解質二次電池負極用炭素質材料が得られる。以下、炭化物を非酸化性雰囲気中で1000℃〜1600℃で焼成することを、本焼成とも称する。炭化物の平均粒子径を2μm〜20μmに制御した場合には、本焼成により、炭化物の平均粒子径を反映して平均粒子径2μm〜20μmの炭素質材料を得ることができる。
本焼成の温度を1000℃以上とすることで、本焼成後の炭素質材料における官能基の残存量が低減し、H/C値が低く(水素含有量が低く)なり、炭素質材料の不可逆容量を低減しやすくなる。本焼成の温度は、1000℃以上であればよいが、1100℃以上でもよく、1150℃以上でもよい。一方、本焼成の温度を1600℃以下とすることで、炭素六角平面の選択的な配向が抑制され、より高い放電容量を得やすくなる。本焼成の温度は、1600℃以下であればよいが、1500℃以下でもよく、1450℃以下でもよい。
本焼成は、非酸化性雰囲気で行えばよく、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。不活性ガスとしては、窒素、希ガス(ヘリウム、アルゴン等)等を挙げることができる。不活性ガスは、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。非酸化性ガスの供給量(流通量)も、限定されるものではないが、炭化物1g当たり、例えば1mL/分以上であり、5mL/分以上でもよく、10mL/分以上でもよい。本焼成は、減圧下、例えば10kPa以下で行うことも可能である。
本焼成の加熱温度における保持時間は、特に限定されないが、例えば0.05時間〜10時間であればよく、0.05時間〜3時間でもよく、0.05時間〜1時間でもよい。保持時間が上記範囲内であれば、焼成が十分に進行する。
<表面改質>
炭化物を揮発性有機物と混合してから本焼成を行ってもよい。この場合、炭化物と揮発性有機物との混合物を1000℃〜1600℃の非酸化性雰囲気中で焼成すればよい。混合物の本焼成は、炭化物のみの場合と同様に行えばよい。
炭化物を揮発性有機物と混合してから本焼成を行ってもよい。この場合、炭化物と揮発性有機物との混合物を1000℃〜1600℃の非酸化性雰囲気中で焼成すればよい。混合物の本焼成は、炭化物のみの場合と同様に行えばよい。
揮発性有機物とは、炭素質材料の充放電効率を向上させ得る揮発物質(炭化水素系ガス、タール等)を発生させる材料をいう。揮発性有機物において、充放電効率を向上させ得る揮発物質の含有量は、特に限定されない。揮発性有機物としては、熱可塑性樹脂、低分子有機化合物等を用い得る。揮発性有機物は、常温(25℃)で固体状態であり、残炭率が5質量%未満の有機物であることが好ましい。
揮発性有機物として用い得る熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルの総称である。
揮発性有機物として用い得る低分子有機化合物としては、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の中では、本焼成中に熱分解した揮発物質が炭化物もしくは炭素質材料の表面を酸化賦活しにくい点で、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。低分子有機化合物の中では、常温での揮発性が小さい点で、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン等が好ましい。
残炭率は、質量W1(g)の揮発性有機物の試料を不活性ガス中で強熱した後の強熱残分の質量W2(g)に含まれる炭素量を定量することにより測定される。具体的には、質量W1(g)(約1g)の揮発性有機物を坩堝に入れ、1分間当たり20リットルの窒素を流しながら坩堝を電気炉にて10℃/分の昇温速度で常温から800℃まで昇温し、その後、800℃で1時間強熱する。このときの残存物が強熱残分であり、その質量W2(g)を求める。次に、強熱残分について、JIS M 8819に定められた方法に準拠して元素分析を行い、強熱残分中の炭素の質量割合P1(%)を測定する。残炭率P2(%)は、以下の式により算出される。
炭化物と揮発性有機物との混合物における揮発性有機物の含有量は、特に限定されないが、充放電効率を十分に向上させる観点から、3質量%以上、60質量%以下であればよく、5質量%以上、40質量%以下でもよく、7質量%以上、20質量%以下でもよい。揮発性有機物を過剰に用いても、効果が飽和するので、適量を用いることが望ましい。
上記製造方法によれば、電気化学的特性に優れた非水電解質二次電池負極用炭素質材料を効率的に製造することができる。以下、本発明に係る非水電解質二次電池負極用炭素質材料の物性について、更に説明する。
電気化学特性に優れた炭素質材料が得られる理由は、炭素質材料に含まれる不純物が少ない点だけに起因するものではなく、おそらくビール粕に由来する炭素質材料に特有の構造が関連している。炭素質材料の特徴は、細孔径分布、粒度分布、比表面積、X線回折分析などで評価されることが多いが、現在の分析手法では、炭素質材料の構造の詳細を知ることは困難である。しかし、後述のCC/CV比のように、優れた電気化学特性が得られるという事実は、ビール粕に由来して発現する構造的特徴の存在を示している。
上記製造方法によれば、例えば、酸素含有量が5質量%以下(例えば3質量%〜5質量%)であり、カリウム含有量が0.1質量%以下であり、かつ鉄含有量が0.05質量%以下であり、ブタノール真密度が1.48g/cm3〜1.62g/cm3である炭素質材料が得られる。炭素質材料に含まれる金属元素の含有量は、例えば、蛍光X線分析装置を用いて測定し得る。
炭素質材料のCuKα線を用いるX線回折測定の結果を分析するとき、(002)面の面間隔d002は、例えば3.8オングストローム以上である。すなわち、上記製造方法で得られる炭素質材料は、いわゆる難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)に分類される。
上記製造方法で得られた炭素質材料は、例えば石油ピッチ由来の炭素質材料と比較すると、優れた充電特性(充電受入性)を有する。具体的には、本発明に係る炭素質材料を含む第1電極と金属リチウムの第2電極とを含むセルを組み立て、定電流定電圧方式で前記セルを充電したとき、0.5mA/cm2の電流で終止電圧0mVに達するまでに定電流充電で得られる容量:CCと、その後、終止電流20μAに達するまでに定電圧充電で得られる容量CVとの比:CC/CVは、例えば1.0以上であり、1.2以上とすることも可能であり、1.4以上とすることも可能である。通常、植物由来のチャー(植物由来の有機物)から製造される炭素質材料のCC/CVは、1.2未満である。
上記セルにおいて、第1電極は、90質量部の炭素質材料と10質量部のポリフッ化ビニリデンとの混合物(例えば、炭素質材料90質量%とポリフッ化ビニリデン10質量%の組成物)であり、かつ炭素質材料を10mg含む直径15mmの円盤状の成形体である。また、第2電極は、厚さ0.8mmで直径15mmの円盤状である。非水電解液には、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを体積比1:2:2で混合した混合溶媒に1.5mol/Lの割合でLiPF6を溶解した電解液を使用すればよい。セパレータには、例えば、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製の不織布を用いればよい。セル形状およびサイズは、2016サイズのコイン型とすればよい。
(平均粒子径)
炭素質材料の平均粒子径(D50)は、例えば2μm〜20μmである。平均粒子径を2μm以上とすることで、微粉の含有割合が減少し、比表面積の過度な増大が抑制され、炭素質材料の不可逆容量が抑制される。また、炭素質材料間に形成される空隙の大きさが適度になり、リチウムイオンの移動が制限されにくくなる。更に、粒子サイズの小さい炭素質材料は、特に厚みの薄い負極の材料として適している。厚みの薄い負極は、充放電反応における抵抗が小さく、急速充電に適し、高い入出力特性が要求される用途に適している。
炭素質材料の平均粒子径(D50)は、例えば2μm〜20μmである。平均粒子径を2μm以上とすることで、微粉の含有割合が減少し、比表面積の過度な増大が抑制され、炭素質材料の不可逆容量が抑制される。また、炭素質材料間に形成される空隙の大きさが適度になり、リチウムイオンの移動が制限されにくくなる。更に、粒子サイズの小さい炭素質材料は、特に厚みの薄い負極の材料として適している。厚みの薄い負極は、充放電反応における抵抗が小さく、急速充電に適し、高い入出力特性が要求される用途に適している。
平均粒子径の下限は、例えば2μm以上であればよいが、2.2μm以上でもよく、2.5μm以上でもよい。一方、炭素質材料の平均粒子径を20μm以下とすることで、炭素質材料の粒子内におけるリチウムイオンの拡散自由行程が小さくなり、急速充放電に有利となる。
本焼成の条件によっても異なるが、本焼成により炭化物から炭素質物質に変化する際、粒子の体積が0〜20%程度収縮する。よって、最終的に平均粒子径D50が2μm〜20μmの炭素質材料が得られるように、炭化物の平均粒子径を制御してもよい。例えば、炭化物の平均粒子径D50を2μm〜24μmとすればよく、2μm〜22.8μmとしてもよく、3μm〜19.2μmとしてもよく、3μm〜18μmとしてもよい。
(比表面積)
炭素質材料のBET比表面積は、例えば1m2/g〜50m2/gであり、1.5m2/g〜40m2/gでもよく、2m2/g〜40m2/gでもよく、3m2/g〜30m2/gでもよい。BET比表面積を50m2/g以下とすることで、炭素質材料と電解液との副反応が抑制され、不可逆容量の増加が抑制される。また、BET比表面積を1m2/g以上とすることで、十分な入出力特性を得やすくなる。
炭素質材料のBET比表面積は、例えば1m2/g〜50m2/gであり、1.5m2/g〜40m2/gでもよく、2m2/g〜40m2/gでもよく、3m2/g〜30m2/gでもよい。BET比表面積を50m2/g以下とすることで、炭素質材料と電解液との副反応が抑制され、不可逆容量の増加が抑制される。また、BET比表面積を1m2/g以上とすることで、十分な入出力特性を得やすくなる。
(カリウム含有量)
炭素質材料のカリウム含有量は、例えば0.1質量%以下であればよいが、0.05質量%以下が好ましく、0.03質量%以下が更に好ましい。カリウム含有量を0.5質量%以下とすることで、例えば炭素質材料の不可逆容量を抑制しやすくなる。
炭素質材料のカリウム含有量は、例えば0.1質量%以下であればよいが、0.05質量%以下が好ましく、0.03質量%以下が更に好ましい。カリウム含有量を0.5質量%以下とすることで、例えば炭素質材料の不可逆容量を抑制しやすくなる。
(鉄含有量)
炭素質材料の鉄含有量は、例えば0.05質量%以下であればよいが、0.045質量%以下が好ましく、0.04質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。鉄含有量を0.5質量%以下とすることで、例えば鉄に由来する微小短絡が抑制されるとともに、炭素質材料の不可逆容量を抑制しやすくなる。
炭素質材料の鉄含有量は、例えば0.05質量%以下であればよいが、0.045質量%以下が好ましく、0.04質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。鉄含有量を0.5質量%以下とすることで、例えば鉄に由来する微小短絡が抑制されるとともに、炭素質材料の不可逆容量を抑制しやすくなる。
(酸素含有量)
炭素質材料の酸素含有量は、通常の元素分析で得られる分析値で、例えば3質量%〜5質量%であり、4.9質量%以下でもよく、4.8質量%以下でもよい。酸素含有量を上記範囲に制限することで、リチウムイオンと酸素との反応が抑制され、リチウムイオンの利用効率が低下しにくくなる。また、炭素質材料が空気中の酸素および水分を誘引しにくくなる。一方、適度な酸素を含むことで、水の吸着に起因する酸化反応が抑制されやすくなる。ビール粕を有機酸水溶液と接触させた後に炭化する場合、酸素含有量は上記範囲に制御されやすい。
炭素質材料の酸素含有量は、通常の元素分析で得られる分析値で、例えば3質量%〜5質量%であり、4.9質量%以下でもよく、4.8質量%以下でもよい。酸素含有量を上記範囲に制限することで、リチウムイオンと酸素との反応が抑制され、リチウムイオンの利用効率が低下しにくくなる。また、炭素質材料が空気中の酸素および水分を誘引しにくくなる。一方、適度な酸素を含むことで、水の吸着に起因する酸化反応が抑制されやすくなる。ビール粕を有機酸水溶液と接触させた後に炭化する場合、酸素含有量は上記範囲に制御されやすい。
(ブタノール真密度)
ブタノール真密度(ρBt)とは、JIS R 7212に定められた方法に準拠して、ブタノール法により測定される密度である。炭素質材料のブタノール真密度は、1.48g/cm3〜1.62g/cm3であればよいが、優れた容量を得る観点からは、1.50g/cm3以上が好ましく、1.52g/cm3以上がより好ましい。
ブタノール真密度(ρBt)とは、JIS R 7212に定められた方法に準拠して、ブタノール法により測定される密度である。炭素質材料のブタノール真密度は、1.48g/cm3〜1.62g/cm3であればよいが、優れた容量を得る観点からは、1.50g/cm3以上が好ましく、1.52g/cm3以上がより好ましい。
次に、負極について、更に説明する。
(負極)
負極は、例えば、負極集電シートと、負極集電シートの少なくとも一方の表面に形成された負極活物質層とを具備する。負極活物質層は、通常、負極合剤で形成されている。負極合剤は、炭素質材料を必須成分として含み、結合剤(バインダー)、導電助材等を任意成分として含み得る。負極集電シートには、例えば銅箔のような金属箔を用い得る。負極活物質層は、例えば、分散媒とともに負極合剤を混練してスラリーを調製し、スラリーを負極集電シートの表面に塗布し、塗膜を乾燥後、圧延することにより製造される。
(負極)
負極は、例えば、負極集電シートと、負極集電シートの少なくとも一方の表面に形成された負極活物質層とを具備する。負極活物質層は、通常、負極合剤で形成されている。負極合剤は、炭素質材料を必須成分として含み、結合剤(バインダー)、導電助材等を任意成分として含み得る。負極集電シートには、例えば銅箔のような金属箔を用い得る。負極活物質層は、例えば、分散媒とともに負極合剤を混練してスラリーを調製し、スラリーを負極集電シートの表面に塗布し、塗膜を乾燥後、圧延することにより製造される。
導電助剤は、負極に高い導電性を付与したい場合に、必要に応じて電極合剤に添加される。導電助剤としては、カーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等を用い得る。負極合剤に含まれる導電助剤の量は、導電助剤の種類によって異なるが、例えば0.5質量%〜10質量%であればよく、0.5質量%〜7質量%でもよく、0.5質量%〜5質量%でもよい。
結合剤は、特に限定されないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が用いられる。中でもPVDFは、リチウムイオンの移動を阻害せず、良好な入出力特性を得る上で好ましい。PVDFを用いる場合、スラリーの調製には、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒が分散媒として好ましく用いられる。SBRの水性エマルジョン等を用いる場合には、水を分散媒に用い、CMCを併用することが好ましい。負極合剤に含まれる結合剤の量は、結合剤の種類によって異なるが、PVDFの場合、例えば3質量%〜13質量%であり、3質量%〜10質量%でもよい。一方、SBRとCMCとを併用する場合、負極合剤に含まれる結合剤の総量は、例えば0.5質量%〜5質量%であり、1質量%〜4質量%でもよい。
負極活物質層は、通常、集電シートの両面に形成されるが、必要に応じて片面でもよい。負極活物質層が厚いほど、電池における集電シートおよびセパレータの体積占有率が小さくなり、高容量化には有利である。一方、負極活物質層が厚くなると、炭素質材料へのリチウムイオンの入出力に対する抵抗が大きくなる傾向がある。
非水電解質二次電池の入出力特性を向上させる観点からは、負極活物質層の厚みを小さくすることが望ましく、例えば80μm以下とすることが望まれる。集電シートの片面当たりの負極活物質層の厚みは、例えば10μm〜80μmが好適であり、20μm〜75μmとしてもよく、20μm〜60μmとしてもよい。炭素質材料の平均粒子径が20μm以下であれば、負極活物質層の厚みを小さくすることが容易となる。炭素質材料の平均粒子径は、19μm以下でもよく、15μm以下でもよく、13μm以下でもよい。
次に、非水電解質二次電池について、更に説明する。
(非水電解質二次電池)
非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解液とを具備する。通常、正極と負極との間にはセパレータが配置される。正極、セパレータおよび非水電解液は、特に限定されず、種々の材料を使用し得る。非水電解質二次電池は、一般に、正極と負極とをセパレータを介して対向させた電極体に、非水電解液を含浸させることにより製造される。
(非水電解質二次電池)
非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解液とを具備する。通常、正極と負極との間にはセパレータが配置される。正極、セパレータおよび非水電解液は、特に限定されず、種々の材料を使用し得る。非水電解質二次電池は、一般に、正極と負極とをセパレータを介して対向させた電極体に、非水電解液を含浸させることにより製造される。
正極は、例えば、正極集電シートと、正極集電シートの少なくとも一方の表面に形成された正極活物質層とを具備する。正極活物質層は、通常、正極合剤で形成されている。正極合剤は。正極活物質を必須成分として含み、結合剤(バインダー)、導電助材等を任意成分として含み得る。正極集電シートには、例えばアルミニウム箔のような金属箔を用い得る。正極活物質層は、例えば、分散媒とともに正極合剤を混練してスラリーを調製し、スラリーを正極集電シートの表面に塗布し、塗膜を乾燥後、圧延することにより製造される。
正極活物質としては、例えば、一般式LiMO2で表される層状酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNixCoyMnzO2)、一般式LiMPO4で表されるオリビン化合物(例えばLiFePO4)、一般式LiM2O4で表されるスピネル化合物(例えばLiMn2O4)等の金属カルコゲン化合物が好ましい。上記各一般式において、x、yおよびzは組成比を表わし、Mはリチウム以外の金属元素であり、遷移金属を含む。2種以上の金属カルコゲン化合物を必要に応じて併用してもよい。
非水電解液には、一般に、リチウム塩などの電解質塩を溶解させた非水溶媒の溶液が用いられる。
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等が用いられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiCl、LiBr、LiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2等が用いられる。電解質塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セパレータとしては、ガラスもしくは樹脂製の不織布、樹脂製の多孔質膜などを用い得る。セパレータの代わり、もしくはセパレータと共に、非水電解液を含浸させたポリマー(すなわちゲル電解質)や固体電解質を用いてもよい。
(車両)
上記非水電解質二次電池は、車両の駆動用電源等として好適である。車両は、電池のみを駆動用電源とする電動車両に限らず、燃料電池や内燃機関を電池とともに搭載するハイブリッド車なども包含し、その種類は特に制限されない。
上記非水電解質二次電池は、車両の駆動用電源等として好適である。車両は、電池のみを駆動用電源とする電動車両に限らず、燃料電池や内燃機関を電池とともに搭載するハイブリッド車なども包含し、その種類は特に制限されない。
車両は、例えば、非水電解質二次電池を備えた電源装置と、電源装置からの電源供給により駆動する電動駆動機構と、これらを制御する制御装置とを備えればよい。車両は、更に、発電ブレーキもしくは回生ブレーキを備えてもよく、制動によるエネルギーを電気に変換して電池に充電する機構を備えてもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、以下は本発明の範囲を限定するものではない。
以下に、炭素質材料の物性値(レーザー回折散乱法による平均粒子径、比表面積等)および灰分の測定方法を記載する。本明細書中に記載する物性値は、実施例を含め、以下の方法により求めた値に基づくものである。
[レーザー回折散乱法による平均粒子径の測定]
ビール粕由来の炭化物および炭素質材料の平均粒子径(粒度分布)は、以下の方法により測定する。まず、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製「ToritonX100」)を0.3質量%含む水溶液に試料を投入し、超音波洗浄器で10分以上処理し、水溶液中に試料を分散させる。得られた分散液を用いて粒度分布を測定する。測定は、粒子径・粒度分布測定器(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックMT3000」)を用いて行い得る。累積体積が50%となるメディアン径(D50)が平均粒子径である。
ビール粕由来の炭化物および炭素質材料の平均粒子径(粒度分布)は、以下の方法により測定する。まず、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製「ToritonX100」)を0.3質量%含む水溶液に試料を投入し、超音波洗浄器で10分以上処理し、水溶液中に試料を分散させる。得られた分散液を用いて粒度分布を測定する。測定は、粒子径・粒度分布測定器(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックMT3000」)を用いて行い得る。累積体積が50%となるメディアン径(D50)が平均粒子径である。
[元素分析]
株式会社堀場製作所製、酸素・窒素・水素分析装置「EMGA−930」を用いて元素分析を行い得る。この装置における検出方法は、以下の通りである。
酸素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)
窒素:不活性ガス融解−熱伝導度法(TCD)
水素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)
株式会社堀場製作所製、酸素・窒素・水素分析装置「EMGA−930」を用いて元素分析を行い得る。この装置における検出方法は、以下の通りである。
酸素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)
窒素:不活性ガス融解−熱伝導度法(TCD)
水素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)
具体的には、前処理として、250℃で、約10分間、加熱乾燥した試料20mgをNiカプセルに量り取り、上記分析装置内にセットし、30秒脱ガス操作を実施した後に測定する。試験は3検体(n=3)で分析し、平均値を分析値とする。
[比表面積]
窒素吸着法により比表面積を測定する。以下、BET式から誘導された近似式を記す。
窒素吸着法により比表面積を測定する。以下、BET式から誘導された近似式を記す。
上記近似式を用いて、液体窒素温度における窒素吸着による3点法によりvmを求め、次式により試料の比表面積を計算する。
ここで、vmは、試料表面に単分子層を形成するのに必要な窒素吸着量(cm3/g)、vは、実測される窒素吸着量(cm3/g)、p0は飽和蒸気圧、pは絶対圧、cは定数(吸着熱を反映)、Nはアボガドロ数6.022×1023、a(nm2)は吸着分子が試料表面で占める面積(分子占有断面積)である。
例えば、日本BELL社製「BELLSorbMini」を用いて、以下のようにして液体窒素温度における試料への窒素吸着量を測定する。粒子径約5〜50μmに粉砕した試料を試料管に充填し、試料管を−196℃に冷却した状態で、一旦減圧し、その後、所望の相対圧にて、試料に窒素(純度99.999%)を吸着させる。各所望の相対圧にて平衡圧に達した時の試料に吸着している窒素量を吸着ガス量vとする。
[灰分]
カリウム含有量および鉄含有量は、以下の方法により測定する。まず、予め所定のカリウム元素および鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用いて、カリウムKα線の強度とカリウム含量との関係、および鉄Kα線の強度と鉄含量との関係に関する検量線を作成する。次に、測定対象試料について、蛍光X線分析におけるカリウムKα線および鉄Kα線の強度を測定し、先に作成した検量線からカリウム含有量および鉄含有量を求める。
カリウム含有量および鉄含有量は、以下の方法により測定する。まず、予め所定のカリウム元素および鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用いて、カリウムKα線の強度とカリウム含量との関係、および鉄Kα線の強度と鉄含量との関係に関する検量線を作成する。次に、測定対象試料について、蛍光X線分析におけるカリウムKα線および鉄Kα線の強度を測定し、先に作成した検量線からカリウム含有量および鉄含有量を求める。
蛍光X線分析には、例えば、株式会社島津製作所製「LABCENTERXRF−1700」を用い、以下の条件で測定を行う。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とする。内径25mmのポリエチレン製容器の中に測定対象試料を0.5g入れ、裏をプランクトンネットで押さえ、測定表面をポリプロピレン製フィルムで覆い測定を行う。X線源は40kV、60mAに設定する。
カリウムについては、分光結晶にLiF(200)、検出器にガスフロー型比例係数管を使用し、2θが90〜140°の範囲を、走査速度8°/分で測定する。
鉄については、分光結晶にLiF(200)、検出器にシンチレーションカウンターを使用し、2θが56〜60°の範囲を、走査速度8°/分で測定する。
[ブタノール法による真密度]
試料の真密度ρBtは、JIS R 7212に準拠してブタノール法により測定する。まず、内容積約40mLの側管付比重びんの質量(m1)を正確に測定する。次に、比重びんの底部に試料を約10mmの厚さになるように平らに入れた後、その質量(m2)を正確に測定する。比重びんに1−ブタノールを静かに加え、底部から20mm程度の深さとする。次に、比重びんに軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、比重びんを真空デシケーター中に入れ、徐々に排気して2.0kPa〜2.7kPaとする。その圧力で20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、比重びんを取り出し、さらに1−ブタノールを満たし、1−ブタノールの液面を標線に合わせた後、栓をして、30±0.03℃に調節された恒温水槽に15分間以上浸する。次に、比重びんを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後、質量(m4)を正確に測定する。次に、同じ比重びんに1−ブタノールだけを満たし、前記と同様にして液面を標線に合わせ、恒温水槽に浸した後、質量(m3)を測定する。また、使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重びんにとり、標線を合わせた後、前記と同様に恒温水槽に浸し、質量(m5)を測定する。真密度ρBtは、次式により計算する。dは、水の30℃における比重(0.9946)である。
試料の真密度ρBtは、JIS R 7212に準拠してブタノール法により測定する。まず、内容積約40mLの側管付比重びんの質量(m1)を正確に測定する。次に、比重びんの底部に試料を約10mmの厚さになるように平らに入れた後、その質量(m2)を正確に測定する。比重びんに1−ブタノールを静かに加え、底部から20mm程度の深さとする。次に、比重びんに軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、比重びんを真空デシケーター中に入れ、徐々に排気して2.0kPa〜2.7kPaとする。その圧力で20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、比重びんを取り出し、さらに1−ブタノールを満たし、1−ブタノールの液面を標線に合わせた後、栓をして、30±0.03℃に調節された恒温水槽に15分間以上浸する。次に、比重びんを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後、質量(m4)を正確に測定する。次に、同じ比重びんに1−ブタノールだけを満たし、前記と同様にして液面を標線に合わせ、恒温水槽に浸した後、質量(m3)を測定する。また、使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重びんにとり、標線を合わせた後、前記と同様に恒温水槽に浸し、質量(m5)を測定する。真密度ρBtは、次式により計算する。dは、水の30℃における比重(0.9946)である。
《実施例1》
(脱灰工程)
平均粒子径(D50)が2mmの原料ビール粕(乾燥モルトフィード)580gをポリプロピレン製ネットに入れ、濃度0.04Mのクエン酸水溶液3286g(固液質量比15:85)を入れた5Lセパラブルフラスコに浸漬した。セパラブルフラスコに、温度計と還流環を装着し、オイルバスにて80℃に昇温し、昇温完了後、80℃で1時間保持した。室温に冷却後、ポリプロピレン製ネットを取り出し、クエン酸水溶液を脱液した。同様の操作を8回繰り返した。その後、固形分を120℃、0.1Torrで12時間真空乾燥し、脱灰ビール粕539.4g(回収率93%)を得た。
(脱灰工程)
平均粒子径(D50)が2mmの原料ビール粕(乾燥モルトフィード)580gをポリプロピレン製ネットに入れ、濃度0.04Mのクエン酸水溶液3286g(固液質量比15:85)を入れた5Lセパラブルフラスコに浸漬した。セパラブルフラスコに、温度計と還流環を装着し、オイルバスにて80℃に昇温し、昇温完了後、80℃で1時間保持した。室温に冷却後、ポリプロピレン製ネットを取り出し、クエン酸水溶液を脱液した。同様の操作を8回繰り返した。その後、固形分を120℃、0.1Torrで12時間真空乾燥し、脱灰ビール粕539.4g(回収率93%)を得た。
(炭化工程)
得られた脱灰ビール粕102.5gを舟形坩堝に入れ、株式会社モトヤマ製環状炉(管径200mmφ×1800mm)に導入した。10LN/分の流量で窒素を1時間導入し、系内を窒素置換した後、常温から700℃まで昇温速度2.5℃/分にて昇温し、700℃で1時間保持し、12時間かけて700℃から常温に自然放冷した後、炭化物31.42g(回収率30%)を取り出した。
得られた脱灰ビール粕102.5gを舟形坩堝に入れ、株式会社モトヤマ製環状炉(管径200mmφ×1800mm)に導入した。10LN/分の流量で窒素を1時間導入し、系内を窒素置換した後、常温から700℃まで昇温速度2.5℃/分にて昇温し、700℃で1時間保持し、12時間かけて700℃から常温に自然放冷した後、炭化物31.42g(回収率30%)を取り出した。
(微粒化工程)
得られた炭化物を、ミキサーミルで平均粒子径(D50)2.8μmに粗粉砕した。
得られた炭化物を、ミキサーミルで平均粒子径(D50)2.8μmに粗粉砕した。
(焼成工程)
粉砕された炭化物3.40gを舟形坩堝に入れ、再び株式会社モトヤマ製環状炉に導入、5LN/分の流量で窒素を1時間導入し、系内を窒素置換した後、常温から700℃まで昇温速度16℃/分(31分)で昇温し、更に、700℃から1100℃に昇温速度12℃/分(50分)で昇温し、1100℃で30分間保持し、12時間かけて室温まで冷却し、2.58g(収率83%)の炭素質材料A1を得た。
粉砕された炭化物3.40gを舟形坩堝に入れ、再び株式会社モトヤマ製環状炉に導入、5LN/分の流量で窒素を1時間導入し、系内を窒素置換した後、常温から700℃まで昇温速度16℃/分(31分)で昇温し、更に、700℃から1100℃に昇温速度12℃/分(50分)で昇温し、1100℃で30分間保持し、12時間かけて室温まで冷却し、2.58g(収率83%)の炭素質材料A1を得た。
《実施例2》
焼成温度を1100℃から1200℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A2を得た。
焼成温度を1100℃から1200℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A2を得た。
《実施例3》
焼成温度を1100℃から1300℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A3を得た。
焼成温度を1100℃から1300℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A3を得た。
《実施例4》
炭化物3.40gにポリスチレン0.34gを添加して混合し、焼成温度を1100℃から1300℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A4を得た。
炭化物3.40gにポリスチレン0.34gを添加して混合し、焼成温度を1100℃から1300℃に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素質材料A4を得た。
《比較例1》
ビール粕に代え、椰子殻を使用した以外は、実施例2と同様にして椰子殻由来の炭素質材料B1を得た。
ビール粕に代え、椰子殻を使用した以外は、実施例2と同様にして椰子殻由来の炭素質材料B1を得た。
《比較例2》
焼成温度を1300℃とした以外は、比較例1と同様にして、椰子殻由来の炭素質材料B2を得た。
各炭素質材料の物性を表1に示す。
焼成温度を1300℃とした以外は、比較例1と同様にして、椰子殻由来の炭素質材料B2を得た。
各炭素質材料の物性を表1に示す。
[炭素質材料のドープ/脱ドープ試験]
炭素質材料A1〜A4および炭素質材料B1、B2を用いて、以下の(a)〜(d)の操作を行い、それぞれ試験セルA1〜A4およびB1、B2を作製した。
炭素質材料A1〜A4および炭素質材料B1、B2を用いて、以下の(a)〜(d)の操作を行い、それぞれ試験セルA1〜A4およびB1、B2を作製した。
(a)電極作製
炭素質材料90質量部と、ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製「KF#1100」)10質量部との混合物に、NMPを加えてスラリー状にし、銅箔の表面に均一に塗布した。塗膜を乾燥した後、銅箔とともに塗膜を直径15mmの円板状に打ち抜き、塗膜をプレスして電極(作用極)とした。電極中の炭素質材料の質量は約10mgになるように調整した。
炭素質材料90質量部と、ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製「KF#1100」)10質量部との混合物に、NMPを加えてスラリー状にし、銅箔の表面に均一に塗布した。塗膜を乾燥した後、銅箔とともに塗膜を直径15mmの円板状に打ち抜き、塗膜をプレスして電極(作用極)とした。電極中の炭素質材料の質量は約10mgになるように調整した。
(b)試験セルの作製
炭素質材料の放電容量(脱ドープ量)および不可逆容量(非脱ドープ量)が対極の性能バラツキに影響されないように精度良く評価する観点から、特性の安定したリチウム金属を対極とし、上記で得られた電極を作用極として、試験セルを構成し、その特性を評価した。
炭素質材料の放電容量(脱ドープ量)および不可逆容量(非脱ドープ量)が対極の性能バラツキに影響されないように精度良く評価する観点から、特性の安定したリチウム金属を対極とし、上記で得られた電極を作用極として、試験セルを構成し、その特性を評価した。
リチウム金属からなる対極の調製は、Ar雰囲気のグローブボックス内で行った。予め2016サイズのコイン型電池用缶の外蓋に直径16mmのステンレススチール網円盤をスポット溶接した後、直径15mmの円盤状に打ち抜かれた厚さ0.8mmの金属リチウム箔をステンレススチール網円盤に圧着し、対極とした。
非水電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを体積比1:2:2で混合した混合溶媒に、1.5mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて調製した。直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製の不織布をセパレータとして用い、ポリエチレン製のガスケットを用いてArグローブボックス中で、2016サイズのコイン型の試験セルを組み立てた。
(c)電池容量の測定
試験セルについて、充放電試験装置(東洋システム社製「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。炭素質材料へのリチウムイオンのドープ反応を定電流定電圧法により行い、脱ドープ反応を定電流法で行った。
試験セルについて、充放電試験装置(東洋システム社製「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。炭素質材料へのリチウムイオンのドープ反応を定電流定電圧法により行い、脱ドープ反応を定電流法で行った。
なお、例えば、正極にリチウムカルコゲン複合化合物を使用した電池では、負極へのリチウムのドープ反応が「充電」であるが、上記試験セルのように対極にリチウム金属を使用した電池では、電位上、炭素質材料へのドープ反応を「放電」と呼ぶことになる。ただし、ここでは、便宜上、炭素質材料へのリチウムのドープ反応を「充電」と記述することにする。逆に、試験セルの「放電」は、炭素質材料からのリチウムの脱ドープ反応とする。
ここで採用した充電方法は、定電流定電圧法であり、具体的には端子電圧が0mVになるまで0.5mA/cm2で定電流充電を行い、端子電圧を0mVに達した後、端子電圧0mVで電流値が20μA/cm2に達するまで定電圧充電を継続した。このとき、定電流充電および定電圧充電で供給された電気量を作用極の炭素質材料の質量で除した値を、それぞれ炭素質材料の単位質量当たりのCC容量およびCV容量(mAh/g)と定義する。
充電終了後、30分間電池回路を開放し、その後、0.5mA/cm2で定電流放電を行い、終止電圧を1.5Vとした。このとき放電した電気量を作用極の炭素質材料の質量で除した値を炭素質材料の単位質量当たりの放電容量(mAh/g)と定義する。
同一試料を用いて作製した3つの試験セル(n=3)についての測定値を平均して充電容量(CC、CV)を決定した。また、充電容量に対する放電容量の割合を充放電効率として計算した。結果を表2に示す。
表1より、実施例の試験セルA1〜A4は、全容量が比較例の試験セルB1、B2に比べて大幅に増加していることが理解できる。また、試験セルA3、A4の充放電効率は、試験セルB1、B2に比べて遜色もない。中でも、電池A1〜A4では、定電流充電による容量CCが大きく、高容量であるだけでなく、優れた入力特性を有することが理解できる。
上記非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法によれば、ビール粕から効率よくカリウム、鉄等を除去することが可能であり、植物由来の20μm以下の平均粒子径を有する炭素質材料を工業的に且つ大量に製造し得る。得られた炭素質材料を用いた非水電解質二次電池は、高容量と高い入出力特性が求められるハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)などの車両に搭載するのに適している。
Claims (17)
- 金属元素を含む原料ビール粕から、前記金属元素の少なくとも一部を除去して、脱灰ビール粕を得る脱灰工程と、
前記脱灰ビール粕を炭化して、炭化物を得る炭化工程と、
前記炭化物を非酸化性雰囲気中で、1000℃〜1600℃で焼成して、炭素質材料を得る焼成工程と、を含む、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。 - 前記脱灰工程は、前記原料ビール粕を酸性水溶液と接触させることを含む、請求項1に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 前記酸性水溶液は、有機酸水溶液である、請求項2に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 原料ビール粕の平均粒子径が2mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 前記炭化工程は、前記脱灰ビール粕を非酸化性雰囲気中で300℃〜800℃で加熱することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 更に、前記炭化物を平均粒子径20μm以下に粉砕する微粒化工程、を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 前記金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属および重金属からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 酸素含有量が5質量%以下、カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下であり、
ブタノール真密度が1.48g/cm3〜1.62g/cm3である、ビール粕由来の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。 - 酸素含有量が5質量%以下、カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下であり、ブタノール真密度が1.48g/cm3〜1.62g/cm3である炭素質材料であって、
前記炭素質材料を含む第1電極と金属リチウムの第2電極とを含むセルを組み立て、定電流定電圧方式で前記セルを充電したとき、0.5mA/cm2の電流で終止電圧0mVに達するまでに定電流充電で得られる容量:CCと、その後、終止電流20μAに達するまでに定電圧充電で得られる容量CVとの比:CC/CVが、1.0以上であり、
前記第1電極は、90質量部の前記炭素質材料と10質量部のポリフッ化ビニリデンとの混合物であり、かつ前記炭素質材料を10mg含む直径15mmの円盤状の成形体であり、
前記第2電極は、厚さ0.8mmで直径15mmの円盤状である、非水電解質二次電池負極用炭素質材料。 - 前記ブタノール真密度が1.50g/cm3以上である、請求項8または9に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
- 平均粒子径が2μm〜20μmである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
- CuKα線を用いるX線回折測定の結果から分析される前記炭素質材料の(002)面の面間隔d002が、3.8オングストローム以上である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
- 請求項8〜12のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含む、負極。
- 集電シートと、前記集電シートの少なくとも一方の表面に形成された活物質層と、を具備し、
前記活物質層が、請求項8〜12のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含み、
前記活物質層の厚みが80μm以下である、負極。 - 正極と、
請求項13または14に記載の負極と、
非水電解質と、を含む、非水電解質二次電池。 - 請求項15に記載の非水電解質二次電池を具備する、車両。
- カリウム含有量が0.1質量%以下、かつ鉄含有量が0.05質量%以下である、非水電解質二次電池負極用炭素質材料に用いるビール粕。
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JP2019036948A JP2020140909A (ja) | 2019-02-28 | 2019-02-28 | 非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法 |
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CN113479879A (zh) * | 2021-08-02 | 2021-10-08 | 桂林电子科技大学 | 一种基于二次发酵酒糟的活性碳材料及其制备方法和应用 |
WO2022045096A1 (ja) | 2020-08-24 | 2022-03-03 | 三菱造船株式会社 | 船舶 |
-
2019
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