JP6589590B2 - Ptp用多層シート及びそれを用いたptp包装体 - Google Patents

Ptp用多層シート及びそれを用いたptp包装体 Download PDF

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Description

本発明は、PTP用多層シートに関する。詳しくは、PTP包装体とした際に、スタッキングしても包装体どうしが接着することがなく、安全性にも優れ、防湿性や錠剤の取り出し性、耐衝撃性、透明性にも優れたPTP包装体を提供することができるPTP用多層シートに関する。
医薬品や食品等の包装分野においては、カプセルや錠剤等の固形剤、粒状の食品等を包装するためにPTP(プレススルーパッケージ)が広く使用されている。
PTPとは、例えば、透明のシートを加熱した後、圧空成形、真空成形等を施すことによりカプセルや錠剤等の固形物を収納するポケット部を形成し、ポケット部にカプセル等を収納した後、例えばアルミ箔のように手で容易に引き裂いたり、開封したりできる材質の箔やフィルムを蓋材として貼り合せて一体化した形態の包装である。PTPによれば、透明なシートのポケットに収納された固形剤や食品等を開封前に直接肉眼で確認でき、開封する際には、ポケット部の固形剤等を指で押して蓋材を押し破ることにより、内容物を容易に取り出すことができる。
PTPに用いられるシートの原料としては、ポリ塩化ビニル系樹脂(以下「PVC」ということもある)が良好な熱成形性、常温での剛性、耐衝撃性、透明性を有するため、従来から使用されてきた。ところが、PVCでは防湿性が十分ではない場合があるため、より防湿性が要求される内容物を包装する場合、PVCの代替としてポリプロピレン系樹脂(以下「PP」ということもある)が使用されている。
しかしながら、PPは、PVCと比較して防湿性に優れるものの、近年はさらなる防湿性の向上が求められており、透明性、防湿性に優れる材料として、環状オレフィンポリマー(以下「COP」ということもある)や、環状オレフィンコポリマー(以下「COC」ということもある)がPVCやPPの代替材料候補の一つとして注目されている。一方、COPやCOCは、透明性、防湿性、機械的強度、成形性等に優れる反面、耐衝撃性が不足していたり、カプセルや錠剤の取り出し性が悪かったりする問題が指摘されている。
また、COPやCOCと同様に防湿性に優れたPTPとして、PVCやPPからなるシートにポリ塩化ビニリデン系共重合樹脂(以下「PVDC系共重合樹脂」ということもある)のラテックスを塗布したシートが提案されている。しかしながら、PVDC系共重合樹脂を積層したシートは、ブロッキングが起こりやすく、この改良が従来から課題となっており、例えば、特許文献1では、基材シートの表面粗さRaを0.4〜1.0μmとする技術が検討されている。また特許文献2では、シートの被覆用として用いるポリ塩化ビニリデン層中に粒子を含有させる技術が検討されている。これらはいずれも、シート表面の粗さを制御することでブロッキングを防止する技術思想で検討されている。しかしこれら技術でPVDC系共重合樹脂層を有するシートの実用上のブロッキング防止は実現できていないのが現状である。
特開2005−060580号公報 特表2008−504380号公報
本発明は、このような従来技術の課題に鑑み、防湿性や錠剤の取り出し性、耐衝撃性、透明性などのPTP用シート特性に優れ、かつ保管時にブロッキングが起こり、シートどうしが接着してしまう不具合が解消された、PTP用多層シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の発明を完成させた。
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂からなる層(I)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層(II)、及び厚みが0.15〜5μmであるトップコート層(III)の少なくとも3層を有し、(I)/(II)/(III)の順に積層されてなる多層シートであり、前記層(III)面を相対させ、JIS K7125に準拠して測定した静摩擦係数が0.8未満であることを特徴とするPTP用多層シートによって達成される。
本発明によれば、PTP包装体とした際に、スタッキングしても包装体どうしが接着することがなく、安全性にも優れ、防湿性や押出性、耐衝撃性、透明性にも優れた、PTP包装体に好適なPTP用多層シートを提供することができる。
以下、本発明のPTP用多層シート(以下、「本発明のシート」と称する)、本発明のPTP包装体(以下、「本発明の包装体」と称する)について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される成分が有する作用効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらにこの用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
<本発明のシート>
本発明のシートは、熱可塑性樹脂からなる層(I)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層(II)、及び、厚みが0.15〜5μmであるトップコート層(III)の少なくとも3層で構成される。
<層(I)>
<熱可塑性樹脂>
本発明のシートの層(I)を構成する熱可塑性樹脂としては、従来公知の一般に使用される樹脂を用いることができ、特に制限はないが、具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂、などが挙げられる。中でも本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい樹脂として挙げられ、特にはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと共重合可能なその他の単量体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体などを挙げることができる。
前記塩化ビニルと共重合可能な単量体は、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などを挙げることができ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら塩化ビニル系共重合体において、共重合体に占める塩化ビニル単量体の割合は、60〜99質量%であることが好ましい。共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下する傾向がある。
前記グラフト共重合体における塩化ビニル系重合体以外の重合体は、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよい。具体的には例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどを挙げることができ、これらは単独でも2種以上の組み合わせで用いてもよい。
なお、層(I)を構成する熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。具体的には例えば、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、顔料、染料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などが挙げられる。また、耐衝撃改良剤として、ゴム・エラストマー等を添加してもよい。
層(I)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えばポリ塩化ビニル系樹脂を用いた場合、以下の方法により製造することができる。
層(I)は、圧延法により製造することができる。具体的には、4本カレンダロールなどの圧延装置によりポリ塩化ビニル系樹脂と各種添加剤のブレンド物を圧延、シート化する。その後、引取ロールで引き取られ、複数本の冷却ロールで次第に冷却され、所定の厚みのシートが得られる。
<層(II)>
<ポリ塩化ビニリデン系樹脂>
本発明のシートの層(II)を構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、具体的には、塩化ビニリデン単量体、あるいは、各種モノマーとの共重合体を使用することができる。共重合モノマーの具体例としては、塩化ビニルやアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸や、αメチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルや、アクリル酸グリシジルメタクリル酸エステルや、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のシートは、層(II)にポリ塩化ビニリデン系樹脂を用いることにより、優れた防湿性や透明性を有するものとなる。層(II)は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を、後述する方法により積層した層が少なくとも1層あればよく、2層以上の複数層で構成されていてもよい。複数層積層し、層(II)の厚みを厚くすれば防湿性能は高まるが、錠剤取り出し性や透明性とのバランス上の観点から、実用的には、層(II)の乾燥後厚みは10μm〜150μmとすることが好ましい。厚みの上限は90μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。下限は15μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。
層(II)を複数層積層する場合、単一のポリ塩化ビニリデン系樹脂を複数積層しても構わないが、異なる2種以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂を交互に各々1層以上積層することで層(II)を構成することがより好ましい。これにより本発明のシートはさらに、防湿性や耐衝撃性、透明性のバランスや錠剤の取り出し性に優れたものとなる。
異なる2種以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂を交互に各々1層以上積層することで、層(II)を構成する場合、具体的には、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が1.05〜1.40であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層(II)−1と、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が0.80〜1.05であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層(II)−2を交互に各々1層以上、好ましくは各々2層以上、さらに好ましくは各々3層以上積層することが好ましい。
層(II)−1の1046cm−1/1070cm−1の吸光度比のより好ましい範囲は1.06〜1.38であり、さらに好ましい範囲は1.07〜1.35である。層(II)−1の吸光度比がかかる範囲を下回る場合、十分な防湿性を付与することができず、一方、吸光度比がかかる範囲を上回る場合、結晶化度が高くなりすぎるため、透明性が低下する場合がある。また、層(II)−2の1046cm−1/1070cm−1の吸光度比のより好ましい範囲は0.82〜1.04であり、さらに好ましい範囲は0.85〜1.03である。層(II)−2の吸光度比がかかる範囲を下回る場合、防湿性を損なう場合があり、一方、吸光度比がかかる範囲を上回る場合、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
なお、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比は、以下の方法で算出する。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂のラテックスを、乾燥後の塗布量が約8g/mとなるように二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムという)に塗布する。次いで、80℃で15秒間乾燥した後、40℃で16時間熱処理を施す。次にフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂が塗布されたOPPフィルムの1200〜800cm−1のスペクトルを測定する。得られたスペクトルにおいて、1100cm−1と850cm−1を線で結び、この線をベースとして1046cm−1と1070cm−1のピーク強度を測定し、吸光度比(1046cm−1の吸光度/1070cm−1の吸光度)を算出した。なお、吸光度比が大きい方が結晶化度が高いことを示す。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の製造方法は、特に限定はされないが、従来公知の方法、例えば乳化重合法などを採用することができる。なお、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製「サランラテックス」シリーズなどが挙げられる。
<層(III)>
本発明のシートは、トップコート層として、以下に説明する層(III)を備えるものであることが重要である。
本発明のシートの層(III)としては、透明であり、かつ製膜後に塗布面同士を相対させ接触した際にブロッキングしない性質を持つ成分を選択することが重要であり、具体的には、ガラス転移点が保管環境における温度以上である樹脂、あるいは、結晶性の高い樹脂を用いるとよい。またさらに前記樹脂層には、適度に硬質な粒子状、繊維状、あるいは繊維素と呼ばれる物資を一定の割合で添加することが好ましい。層の表面に前記物質が適度に露出することで、表面同士のブロッキング防止効果をより高めることができる。このような層(III)を備えることで、包装体とした際のスタッキングによる接着やブロッキングが起こらない本発明のシートが得られる。しかも層(III)を備えた本発明のシートは、透明性も良好で、防湿性や耐衝撃性、錠剤取り出し性も損なわれないため、優れた品質バランスを持つ包装体を得ることができる。
層(III)を構成する、ブロッキングしない性質を持つ成分としては、具体的には、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体が、保管時の温度において硬質であり、かつ加工時には軟質となり、基材との追従性が良好であるため、好適に用いられる。
また前記の適度に硬質な粒子状、繊維状、あるいは繊維素と呼ばれる物質の具体例としては、粒子状物質としてはガラス粒子、ケイ素粒子、アルミナ粒子などの無機組成物や、アクリル粒子などの有機組成物が挙げられる。また繊維状物質としてはガラス繊維等の無機組成物や、前項に挙げた樹脂組成物を繊維状に成形したもの、あるいはセルロース類などの有機組成物が挙げられる。これらの中でも、セルロース類が、ブロッキング防止効果と透明性のバランスに優れるため好適に用いられる。
前記物質の添加量としては、層(III)全体に対して10〜80質量%の範囲であることが望ましい。かかる範囲より少ないとブロッキング防止効果が発現しにくく、またかかる範囲より多いと透明性が損なわれてしまったり、添加物質の脱離が発生しやすくなる。
本発明のシートの層(III)の厚みとしては、ブロッキングを防止するために層(II)の表面を覆っている必要がある。理論上は層(II)を完全に被覆してさえいればよいため層(III)の必要厚みは10nm前後でよいのだが、実際この厚みで層(III)を形成しようとすると、層(II)の平滑性によっては塗布厚みが変動することがあり、必要厚みを下回ることがある。また、PTP成形時に、凸部となった部位は層(III)が伸長されるため、凸部の厚みが層形成時の50%前後まで低下することが確認された。かかる状況より、本発明者らは検討の結果、層(III)の厚みは0.15μm〜5μmの範囲内とすること重要であることを見出した。厚みの下限は好ましくは0.3μm、より好ましくは0.4μmであり、上限は好ましくは4μm、より好ましくは3μmである。かかる範囲よりも薄い場合、積層時、及び成形時に層(II)が露出しやすく、またかかる範囲よりも厚い場合、透明性が失われたり、成形加工性が悪化するなどの弊害が発生する場合がある。
本発明のシートにおいて、層(II)及び層(III)を積層する方法としては、これらの層を溶解させた塗料、或いはその前駆体を公知の方法で塗布することが出来る、例えば、エアナイフコーターやロールコーター、リバースグラビアコーター、あるいは、ドクターブレードコーターを用いて塗布することができる。その後、用いた塗料に準じた方法、具体的には、加熱による乾燥や紫外線、電子線などによる硬化により皮膜を形成する。この際、塗料を直接塗布することもできるが、接着性をより向上するため、アルキルチタネート系化合物、ポリイソシアネート系化合物、ポリアルキレンイミン系化合物、ポリウレタン系樹脂等のアンカーコート剤を用いることができる。
<本発明のシートのその他加工>
本発明のシートは、製品の意匠性や二次加工性等を高める目的で、シート表面にエンボス加工や、艶消し加工等の加工を行ってもよい。この場合、一旦鏡面状のシートを作成してからエンボスロールや艶消しロールで加工を施すようにしても、押出成形の際にキャストロールをエンボスロールや艶消しロールに変更して成形するようにしてもよい。本発明の趣旨を損なわない限り、シート表面に帯電防止剤、シリコーン、ワックスなどをコーティングすることも、印刷層を設けることも可能である。なお、印刷層の形成手段は現在公知の任意の手段を採用できる。
<本発明のシートの全厚み>
本発明のシートの全厚みは、特に限定するものではないが、例えば加工性、実用性を考慮した場合、0.1mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、0.35mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.3mm以下であることがさらに好ましい。シートの厚みが0.1mm以上であれば、好適なシートの剛性、防湿性が得られる。一方、シートの厚みが0.4mm以下であれば、PTPとして使用する際に薬剤の取り出しで不具合を生じることがない。
<静摩擦係数>
本発明のシートは、層(III)面を相対させ、JIS K7125に準拠して測定した静摩擦係数が0.8未満であることが重要である。静摩擦係数は0.6未満であることが好ましく、0.5未満であることがより好ましい。静摩擦係数が上記範囲であれば、層(III)を凸側にしてポケットを成形し、凸側を相対させ交互に重ねた状態で保管しても、シート同士が接着しないため好ましい。
なお、本発明のシートの静摩擦係数は、層(III)面の表面平滑性、剛性等により調整することができる。
<動摩擦係数>
本発明のシートは、層(III)面を相対させ、JIS K7125に準拠して測定した動摩擦係数が、0.4未満であることが好ましい。動摩擦係数は0.3未満であることがより好ましい。動摩擦係数が上記範囲であれば、静摩擦係数同様に層(III)を凸側にしてポケットを成形し、凸側を相対させ交互に重ねた状態で保管しても、シート同士が接着しないため好ましい。
なお、本発明のシートの動摩擦係数は、層(III)面の表面平滑性、剛性等により調整することができる。
<ブロッキング性>
本発明のシートは、層(III)を凸側にしてポケットを成形し、凸側を相対させ交互に重ねた状態で接触させて300秒経過後にシート同士が接着しないことが好ましい。この要件を満たすものであれば、実用上、包装体どうしが接着することがないPTP包装体を得ることができる。
なお、本発明において、ブロッキング性は、次の方法にて評価する。
本発明のシートを、PTP用成形装置としてCKD株式会社製FBP−300Eを用いて、シート加熱温度125℃、ポケットサイズΦ10mm、深さ4.5mmの条件にて、層(III)が凸部外側となるよう加熱成形を行った後、厚さ20μmのアルミ箔でシールし、PTPシートを作成する。その後、作成したPTPシートを、シートの長手方向37mm、幅方向110mmの切片に切り出し、シートの凸面同士を相対させて静置し、300秒経過後に片方のシートを持ち上げ、もう片方のシートが接着されているかを確認する。これらの操作を別々のシートを用いて3度行い、接着された場合が1回以下であるものを合格とする。
<本発明のシートの用途>
本発明のシートは、スタッキングしても包装体どうしが接着することがなく、安全性に優れ、防湿性や錠剤の取り出し性、耐衝撃性や透明性にも優れているため、これら品質を必要とするPTP包装体に好適に使用することができる。PTP包装体は一般的に、内容物を収納する底材と、密封するための蓋材とが、融着、接着されて構成される。本発明のシートは主として底材として好適に用いることができる。なお、蓋材としては一般的にPTP包装に使用される材料、例えば、アルミニウム箔やフィルム等、従来公知のものを用いることができる。また、PTP包装体の内容物は、錠剤やカプセル剤等、ポケット部に収納できるものであれば、特に限定されない。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される原料及び試験片についての、種々の測定値及び評価は、次のようにして行った。
<評価方法>
(1)静摩擦係数・動摩擦係数
作成したシートの層(III)面を相対させ、JIS K7125に準拠して、静摩擦係数、動摩擦係数を測定した。
(2)全光線透過率
IS K7105に基づき、反射・透過率計(株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」)を用いて、全光線透過率を測定した。
(3)ブロッキング性
作成したシートを、PTP用成形装置としてCKD株式会社製FBP−300Eを用いて、シート加熱温度125℃、ポケットサイズΦ10mm、深さ4.5mmの条件にて、層(III)が凸部外側となるよう加熱成形を行った後、厚さ20μmのアルミ箔でシールし、PTPシートを作成した。その後、作成したPTPシートを、シートの長手方向37mm、幅方向110mmの切片に切り出し、シートの凸面同士を相対させて静置し、300秒経過後に片方のシートを持ち上げ、もう片方のシートが接着されているかを確認した。これらの操作を別々のシートを用いて3度行い、接着された場合が1回以下であるものを合格(○)とした。
<実施例1>
層(I)として、硬質PVCシート(三菱樹脂社製:ビニホイルC−0459、厚み=0.25mm)を用いた。層(I)の片面にアンカーコート剤(三井化学製:タケラックA−616とタケネートA−65の16:1混合希釈物)をグラビアコーターを用いて塗工し、乾燥させた後、層(II)としてポリ塩化ビニリデン系樹脂1(旭化成ケミカルズ社製:サランラテックスL580C、吸光度比=0.96)とポリ塩化ビニリデン系樹脂2(旭化成ケミカルズ社製:サランラテックスL574A、吸光度比=1.10)とを交互にグラビアコーターを用いて繰り返し塗工し、乾燥させた。層(II)として層(I)上に1/2/1/2/1/2と6層積層した。乾燥後の層(II)全体の厚みは0.035mmであった。さらに層(II)表面に、層(III)として、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及び脂肪酸セルロースを含むトップコート液(DICグラフィックス株式会社製、商品名:VG−S メジューム)を用いて、グラビアコーターにて塗工し、乾燥させ、積層シートを得た。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1の層(III)を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及び脂肪酸セルロースを含むトップコート液(DICグラフィックス株式会社製、商品名:VG−S メジューム(M)SA)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例2の層(III)の厚みを変更した以外は、実施例2と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例2の層(III)の厚みを変更した以外は、実施例2と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1の層(III)の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
参考例1
実施例1の層(III)を、高分子量熱可塑性ポリエステル樹脂を含むトップコート液(DIC株式会社製、商品名:ファインテックス ES−2200X)98質量%、及び平均粒子径0.8μmの架橋アクリル単分散粒子(綜研化学株式会社製、商品名:MX−80H3wT)2質量%の混合液に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
参考例2
実施例1の層(III)を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びアクリルを含むトップコート液(富士インキ工業株式会社製、商品名:MPX メヂュームN)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
層(III)を設けなかった以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
実施例2の層(III)の厚みを変更した以外は、実施例2と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
実施例1の層(III)を、微粒子型ポリウレタン樹脂を含むトップコート液(DIC株式会社製、商品名:U001ハイドランAP−40F)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
実施例1の層(III)を、フッ素重合体を含むトップコート液(明成化学工業株式会社製、商品名:アサヒガードE−070)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例5>
実施例1の層(III)を、水系アクリル樹脂を含むトップコート液(東亜合成株式会社製、商品名:ジュリマー FC−80)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例6>
実施例1の層(III)を、スチレンアクリル系エマルジョン(BASFジャパン株式会社製、商品名:PDX−7326)に代えた以外は、実施例1と同様にシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006589590
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本発明のPTP用多層シートは、スタッキングしても包装体どうしが接着することがなく、安全性に優れ、防湿性や錠剤の取り出し性、耐衝撃性や透明性にも優れているため、これら品質を必要とするPTP包装体に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂からなる層(I)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層(II)、及び厚みが0.15〜5μmである繊維状物質を含むトップコート層(III)の少なくとも3層を有し、(I)/(II)/(III)の順に積層されてなる多層シートであり、前記層(III)面を相対させ、JIS K7125に準拠して測定した静摩擦係数が0.8未満であることを特徴とするPTP用多層シート。
  2. 前記繊維状物質が、ガラス繊維および/またはセルロース類である請求項1に記載のPTP用多層シート。
  3. 前記多層シートを、層(III)を凸側にしてポケットを成形し、凸側を相対させ交互に重ねた状態で接触させ、300秒経過後にシート同士が接着しないことを特徴とする請求項1または2に記載のPTP用多層シート。
  4. 前記層(II)の乾燥後厚みが10〜150μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のPTP用多層シート。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のPTP用多層シートを用いて形成されたPTP包装体。
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