JP6589463B2 - 量子ドット用バリアフィルムの選択方法、量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 - Google Patents

量子ドット用バリアフィルムの選択方法、量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、量子ドット用バリアフィルムの選択方法、量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイバックライト及び照明装置等の白色LED光源を用いた発光装置の高発光効率化、高演色化に向けた開発が進んでいる。近年、このような発光装置を実現するため、青色光を放出する青色LEDと、半導体微粒子からなる量子ドット蛍光体(以下、「量子ドット」と称す)とを組み合わせた発光装置の開発が行われている。
量子ドットは、例えば、CdSeであるコアとZnSであるシェルにより構成される半導体微粒子と、シェルの周辺を覆うリガンドにより構成されるナノサイズの化合物半導体微粒子である。量子ドットは、その粒子径が化合物半導体の励起子のボーア半径よりも小さいため、量子閉じ込め効果が現れる。そのため、量子ドットの発光効率は、従来用いられている希土類イオンを賦活剤とする蛍光体(希土類蛍光体)よりも高く、90%以上の高発光効率を実現することができる。また、量子ドットの発光波長は、このように量子化された化合物半導体微粒子のバンドギャップエネルギーにより決まるため、量子ドットの粒径を変化させることで任意の発光波長、すなわち任意の発光スペクトルを得ることができる。これらの量子ドット蛍光体を青色LEDと組み合わせることで、高発光効率で高演色性の白色LED光源を実現することが可能とされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
量子ドットの有効寿命は、用途と動作条件に大きく依存する複雑な問題である。量子ドットを劣化させる要因としては、量子ドットが酸化すること、量子ドットに対する熱及び光束が高くなること等が挙げられる。基本的に、量子ドットを最も急速に劣化させる要因は酸化である。そこで、量子ドットの劣化を防止するために、量子ドットを含有する量子ドット含有層の一方の面上又は両面上に、耐酸素性や耐湿性を有する樹脂及びガラス等のバリアフィルムを配置した発光装置が提案されている。
しかし、量子ドット含有層上にバリアフィルムを備える発光装置は、視認する角度により、大きく色味が変化してしまうことがあり、視認性が悪化してしまう問題を生じることがある。
国際公開第2012/132239号 特開2015−18131号公報 特開2015−28139号公報
本発明は、上記問題に鑑み、角度による色味の変化を抑制することができる量子ドット用バリアフィルムの選択方法、量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、量子ドット用バリアフィルムは、赤、緑、青に相当する波長の透過率が入射角によって異なり、赤、緑、青の透過率のバランスが崩れると色味の変化が生じることを見出した。そして、本発明者らは、量子ドット用バリアフィルムとして特定のものを用いることにより、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[17]の量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供する。
[1]第1基材上にバリア層を有してなる量子ドット用バリアフィルムを選択する際に、下記条件(1)を満たすことを判定条件とする量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
<条件(1)>
該量子ドット用バリアフィルムは、該量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定し、
各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出し、
該透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと該透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxが5.0%以下である。
[2]下記条件(2)を満たす上記[1]に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
<条件(2)>
前記量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出し、色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が2.0×10−3以下である。
[3]前記バリア層の膜厚が、5〜30nmである上記[1]又は[2]に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
[4]前記量子ドット用バリアフィルムが、前記バリア層上に光学調整層を有してなる上記[1]〜[3]のいずれかに記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
[5]前記光学調整層の最小膜厚に対する最大膜厚の比率が、115〜135%である上記[4]に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
[6]前記光学調整層の膜厚が、100〜300nmである上記[4]又は[5]に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
[7]第1基材上にバリア層を有してなる量子ドット用バリアフィルムであって、下記条件(1)を満たす量子ドット用バリアフィルム。
<条件(1)>
該量子ドット用バリアフィルムは、該量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定し、
各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出し、
該透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと該透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxが5.0%以下である。
[8]下記条件(2)を満たす上記[7]に記載の量子ドット用バリアフィルム。
<条件(2)>
前記量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出し、色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が2.0×10−3以下である。
[9]前記バリア層の膜厚が、5〜30nmである上記[7]又は[8]に記載の量子ドット用バリアフィルム。
[10]前記量子ドット用バリアフィルムが、前記バリア層上に光学調整層を有してなる上記[7]〜[9]のいずれかに記載の量子ドット用バリアフィルム。
[11]前記光学調整層の最小膜厚に対する最大膜厚の比率が、115〜135%である上記[10]に記載の量子ドット用バリアフィルム。
[12]前記光学調整層の膜厚が、100〜300nmである上記[10]又は[11]に記載の量子ドット用バリアフィルム。
[13]一次光を吸収して二次光を放出する量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の光出射側の面上又は両面上に設けられた量子ドット用バリアフィルムとを備える量子ドットシートであって、前記量子ドット用バリアフィルムが上記[1]〜[6]のいずれかに記載の量子ドット用バリアフィルム選択方法により選択された量子ドットシート。
[14]一次光を吸収して二次光を放出する量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の光出射側の面上又は両面上に設けられた量子ドット用バリアフィルムとを備える量子ドットシートであって、前記量子ドット用バリアフィルムが上記[7]〜[12]のいずれかに記載の量子ドット用バリアフィルムである量子ドットシート。
[15]一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが上記[13]又は[14]に記載の量子ドットシートであるバックライト。
[16]前記光源は、LED光源である上記[15]に記載のバックライト。
[17]上記[15]又は[16]に記載のバックライトを備える液晶表示装置。
本発明によれば、角度による色味の変化を抑制することができる量子ドット用バリアフィルムの選択方法、量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の量子ドット用バリアフィルムの模式的断面図(その1)である。 本発明の量子ドット用バリアフィルムの模式的断面図(その2)である。 本発明の量子ドットシートの模式的断面図である。 本発明のエッジライト型のバックライトの模式的上面図である。 本発明の直下型のバックライトの模式的断面図である。 本発明の液晶表示装置の模式的断面図である。 実施例1の量子ドット用バリアフィルムにおける入射角と透過率の関係を示すグラフである。 比較例1の量子ドット用バリアフィルムにおける入射角と透過率の関係を示すグラフである。 実施例1の量子ドット用バリアフィルムにおける入射角と色度差の関係を示すグラフである。 比較例1の量子ドット用バリアフィルムにおける入射角と色度差の関係を示すグラフである。
以下、本発明の量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の説明に用いる図面において、各要素のサイズ(厚み、幅、高さ等)は説明のために必要に応じて拡大あるいは縮小されたものであって、実際の量子ドット用バリアフィルム、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置の各要素のサイズを反映したものではない。
[量子ドット用バリアフィルムの選択方法]
本発明の量子ドット用バリアフィルムの選択方法は、第1基材上にバリア層を有してなる量子ドット用バリアフィルムを選択する際に、下記条件(1)を満たすことを判定条件とする。
<条件(1)>
量子ドット用バリアフィルムは、量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定し、
各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出し、
該透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと該透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxが5.0%以下である。
量子ドット用バリアフィルムは、最大変化Vmaxが5.0%以下であることによって、色味の変化を抑制することができる。量子ドット用バリアフィルムは、色味の抑制という観点から、最大変化Vmaxが4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることがさらに好ましい。
量子ドット用バリアフィルムの最大変化Vmaxが5.0%を超える場合は、角度による色味が変化してしまい、液晶表示装置に用いるフィルムとして好ましくない。角度による色味の変化が生じるのは、バリア層及び光学調整層が可視光波長オーダーなので、入射角による光学距離の変化による干渉が、波長により異なることが理由であると考えられ、入射角度が大きいとより顕著になる。
本発明の量子ドット用バリアフィルムの選択方法は、下記条件(2)を満たすことが好ましい。
<条件(2)>
量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出し、色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が2.0×10−3以下である。
色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差は、1.5×10−3以下であることがより好ましく、1.2×10−3以下であることがさらに好ましい。色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が上記範囲であることで、角度による色味の変化を抑制することができる。
なお、x値及びy値の測定は、量子ドット用バリアフィルムを通過後の光を測定し、視野角、光源、測定波長を以下の条件とすることが好ましい。
視野角;2度、光源;D65、測定波長;380〜780nmを0.5nm間隔
[量子ドット用バリアフィルム]
本発明の量子ドット用バリアフィルム10は、図1に示すように、第1基材1上にバリア層2を有し、上記条件(1)を満たす。そして、本発明の量子ドット用バリアフィルム10は、上記条件(2)を満たすことが好ましい。
第1基材1は、特に制限されないが、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
上記の中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
第1基材1の厚さは、耐候性、機械的強度、取り扱い性、薄膜化及び軽量化の観点から、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
第1基材1の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
第1基材1の屈折率は、光学特性の観点から、1.40〜1.75であることが好ましく、1.50〜1.70であることがより好ましく、1.55〜1.65であることがさらに好ましい。
屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。
バリア層2は、透光性を有し、後述する量子ドットシートに酸素ガス及び水蒸気が到達するのを阻止する低い酸素透過度及び水蒸気透過度を有する層である。
バリア層2としては、無機物又は無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜からなるものであることがより好ましい。バリア層2としての蒸着膜は、公知の無機物又は無機酸化物を用いて、公知の方法により形成することができ、その組成及び形成方法は特に限定されない。バリア層2は、単層でもよく、2層以上有してもよい。バリア層2を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜の材料は、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物、又はこれらの酸化物等、さらにはこれらに有機物が配合されたものが挙げられる。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。Xの値の範囲としては、Siは0〜2、Alは0〜1.5、Mgは0〜1、Caは0〜1、Kは0〜0.5、Snは0〜2、Naは0〜0.5、Bは0〜1、5、Tiは0〜2、Pbは0〜1、Zrは0〜2、Yは0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではないので含まない。また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
バリア層2として、上記のような無機物又は無機酸化物の蒸着膜を使用する場合、膜厚(平均)は、使用する無機物又は無機酸化物の種類等によって異なるが、厚ければバリア性は向上するが、ひび割れによる性能劣化、着色及びコストダウンの観点からは薄いほうが好ましい。バリア層2の膜厚は、例えば、1μm以下で任意に選択して形成することで、量子ドット用バリアフィルムの色味の角度依存性を改善することに寄与することができ、5〜30nmであることが好ましく、7〜25nmであることがより好ましく、10〜20nmであることがさらに好ましい。
バリア層2、及び、後述する光学調整層3の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
バリア層2の屈折率は、光学特性の観点から、1.30〜1.75であることが好ましく、1.35〜1.70であることがより好ましく、1.40〜1.55であることがさらに好ましい。
バリア層2としての蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。
なお、バリア層2は、第1基板1との接着を容易にするため、第1基板1上に設けられたプライマー層(図示せず)上に設けることが好適である。
本発明の量子ドット用バリアフィルム10は、図2に示すように、バリア層2上に光学調整層3を有してなる構成とすることが好ましい。
また、本発明の量子ドット用バリアフィルム10は、例えば、図2に示すように、光学調整層3上に接着層4を介して第2基材5を有してなる構成とすることが好ましい。
光学調整層3は、透光性を有し、バリア層2の入射角による光学距離の変化による干渉を緩和するための層である。光学調整層3が入射角による光学距離の変化による干渉を緩和することで、色味の変化を抑制することができる。
光学調整層3は、有機化合物で構成されていてもよく、無機化合物で構成されていてもよく、さらに有機無機ハイブリッドで構成されていてもよい。光学調整層3としては、例えば、金属アルコキシド及びその加水分解物から選ばれる少なくとも1種を好適に採用することができる。金属アルコキシドは、加水分解性を有するものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、下記一般式(A)で表されるものが挙げられる。
(RM(OR(m-n)・・・(A)
(一般式(A)中、Mは金属原子である。Rは炭素数1〜8の有機基を表す。RYは、炭素数1〜12のアルキル基を表し、mは金属原子Mの価数であり、nは0以上、m以下の整数である。Rx及びRYが複数ある場合、複数あるR、及び複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
有機基とは、炭素原子を1個以上有する基をいう。Rにおける有機基としては、アルキル基又はフェニル基であることが好ましく、該アルキル基及びフェニル基は、更に置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また、上記アルキル基は二重結合を有していてもよい。
は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の水素原子が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
光学調整層3の形成方法は、特に制限されないが、生産性及びコストダウンの要求の観点から、ウェットコート法による公知の方法の中から適宜選択することが好ましい。ウェットコート法の具体例としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、スプレーコート法、スピンコート法、コンマコート法等が挙げられる。
光学調整層3の膜厚は、使用する材料の種類等によって異なるが、バリア層2による干渉の作用と相対する作用を有するような膜厚とすればよく、例えば、100〜300nmの範囲内で任意に選択して形成することができ、125〜275nmであることがより好ましく、150〜250nmであることがさらに好ましい。
光学調整層3は、膜厚を測定した20点のうちの最小膜厚に対する最大膜厚の比率が、115〜135%であることが好ましく、120〜135%であることがより好ましく、125〜135%であることがさらに好ましい。光学調整層3の最小膜厚に対する最大膜厚の比率は、入射角による光学距離が場所により異なることで、干渉による着色がシャッフルされ、より着色を緩和することができるという観点から、ある程度大きい方が好ましい。
光学調整層3の屈折率は、バリア層2と異なることを要する。当該観点から、光学調整層3の屈折率は、1.30〜1.75であることが好ましく、1.35〜1.70であることがより好ましく、1.40〜1.55であることがさらに好ましい。
第2基材5は、第1基材1と同様のものを用いることができる。
第2基材5の膜厚は、第1基材1と同様とすることができ、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
第2基材5の屈折率は、光学特性の観点から、1.40〜1.75であることが好ましく、1.50〜1.70であることがより好ましく、1.55〜1.65であることがさらに好ましい。
光学調整層3と第2基材5との間には、光学調整層3及び第2基材5の接着性を向上させるための接着層4が設けられていることが好ましい。
接着層4には、公知の材料及び形成法を採用することができる。例えば、ウレタン系、アクリレート系及びエポキシ系等の感光性樹脂組成物、或いは熱可塑性樹脂組成物の塗布によって形成することができる。
本発明の量子ドット用バリアフィルム10によれば、構成する層の調整により、角度による色味の変化を抑制することができる。
なお、本発明の量子ドット用バリアフィルム10は、角度による色味の変化をより抑制するために、光拡散層を有するフィルムを単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
[量子ドットシート]
本発明の量子ドットシート20は、図3に示すように、量子ドット含有層11と、量子ドット含有層11の光出射側の面上又は両面上に設けられた量子ドット用バリアフィルム10とを備える。
量子ドット含有層11は、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含むものである。
量子ドットとしては、青に相当する波長の一次光を吸収して赤に相当する波長の二次光を放出する第1量子ドット、及び青に相当する波長の一次光を吸収して緑に相当する波長の二次光を放出する第2量子ドットの少なくとも一種を含むことが好ましく、第1量子ドット及び第2量子ドットの両方を含むことがより好ましい。
青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が430〜470nmであることがより好ましい。また、緑に相当する波長の二次光は、ピーク波長が495〜570nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が510〜550nmであることがより好ましい。赤に相当する波長の二次光は、ピーク波長が620〜750nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が620〜650nmであることがより好ましい。
量子ドット含有層11の厚さは、角度による色味変化の抑制の観点から、1〜150μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、1〜70μmであることがさらに好ましい。
量子ドット(第1量子ドット及び第2量子ドット)について、以下に説明する。
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子とか、半導体ナノ結晶とも呼ばれるものである。
量子ドットは、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。例えば、既に述べたような、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子と、ドーパントを有する半導体微粒子がある。本発明における量子ドットとしては、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子及びドーパントを有する半導体微粒子のいずれも用いることができ、共に優れた色純度を得ることができる。
量子ドットは、その粒径により発光色を異にするものであり、例えば、CdSeからなるコアのみから構成される量子ドットの場合、粒径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmの時の蛍光スペクトルのピーク波長は、528nm、570nm、592nm、637nmである。つまり、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドットの粒径は4.6nmであり、緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドットの粒径は2.3nmである。
なお、量子ドット含有層中に、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット以外の量子ドットを含有してもよい。
量子ドットの含有量は、量子ドット含有層の厚み、バックライトにおける光のリサイクル率、目的とする色味等に応じて適宜調整する。
量子ドットのコアとなる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドットとしては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオン又は遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
量子ドットのコアとなる材料としては、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
量子ドットは、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよく、例えば、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。
コアシェル型の量子ドットを用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットのサイズを変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5〜20nmの範囲であることが好ましく、特に1〜10nmの範囲であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
また、量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットの粒径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、量子ドットの結晶構造、粒径については、X線結晶回折(XRD)により得ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒径、表面に関する情報を得ることもできる。
本発明の量子ドットシート20によれば、色味の変化を抑制する量子ドット用バリアフィルムを用いているので、高発光効率及び高演色性の白色光源であるバックライトを実現する構成部材として有効に寄与することができる。
[バックライト]
本発明のバックライト30は、図4及び図5に示すように、光源21と、光源21に隣接して配置された光学板22と、光学板22の光出射側に配置された量子ドットシート20とを備える。
本発明のバックライト30としては、一例として、図4に示すようなエッジライト型のバックライト、あるいは、図5に示すような直下型のバックライトを採用することができる。
図4のエッジライト型のバックライトに用いられる光学板22は、光源21で放出された一次光を導光するための光学部材であり、いわゆる導光板である。導光板は、例えば、少なくとも一つの面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状の形状からなる。
導光板は、主としてポリメチルメタクリレート等の高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。導光板は、必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものであってもよく、ドットパターン等が設けられていてもよい。
図5の直下型のバックライトに用いられる光学板22は、光源21のパターンを見えにくくするための光拡散性を有する光学部材(光拡散材)である。光拡散材としては、例えば、厚み1〜3mm程度の乳白色の樹脂板が挙げられる。
エッジライト型及び直下型のバックライトには、上述した光源21、光学板22及び量子ドットシート20の他に、目的に応じて反射板23、光拡散フィルム24及びプリズムシート25、さらに輝度上昇フィルム(BEF)及び反射型偏光フィルム(DBEF)等を備えていてもよい。反射板23は、光学板22からの光の放出方向と反対側に配置される。光拡散フィルム24及びプリズムシート25は、光学板22からの光の放出方向に配置される。反射板23、光拡散フィルム24及びプリズムシート25を備える構成とすることで、正面輝度、視野角のバランス等に優れたバックライトとすることができる。
エッジライト型及び直下型のバックライトにおいて、光源21は、一次光を放出する発光体であり、青に相当する波長の一次光を放出する発光体を用いることが好ましい。青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380nm〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が430〜470nmであることがより好ましい。光源21としては、バックライトを設置する装置が単純化及び小型化できるという観点から、LED光源であることが好ましく、青色単色のLED光源であることがより好ましい。光源21は、少なくとも1つであり、十分な一次光を放出するという観点から、複数個であることが好ましい。
なお、量子ドットシートの量子ドット含有層中に、第1量子ドット及び第2量子ドットの一方のみを含有する場合、青に相当する波長の一次光を放出する発光体からなる一次光源に加えて、補助光源を有することが好ましい。具体的には、量子ドット含有層中に第1量子ドットのみを含有する場合には、緑色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。また、量子ドット含有層中に第2量子ドットのみを含有する場合には、赤色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。
本発明のバックライト30によれば、角度による色味の変化を抑制する量子ドット用バリアフィルムを備えた量子ドットシートを用いているので、高発光効率及び高演色性の白色光源として用いることができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置40は、図6に示すように、バックライト30と、液晶パネル31とを備える。バックライト30及び液晶パネル31は、ホルダ32に組み込まれて固定される。
液晶パネル31は、偏光板(図示せず)及びカラーフィルター(図示せず)等を備える。液晶パネル31は、特に限定されず、一般的に液晶表示装置の液晶パネルとして公知のものを用いることができる。例えば、液晶層の上下をガラス板で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
偏光板は、所望の偏光特性を備えるものであれば特に限定されず、一般的に液晶表示装置の偏光板として公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光板が好適に用いられる。
カラーフィルターとしては、特に限定されず、例えば、一般的に液晶表示装置のカラーフィルターとして公知のものを用いることができる。カラーフィルターは、通常、赤色、緑色及び青色の各色の透明着色パターンから構成され、それら各透明着色パターンは、着色剤が溶解又は分散、好ましくは顔料微粒子が分散された樹脂組成物から構成される。
カラーフィルターの形成方法は、所定の色に着色したインキ組成物を調整して、着色パターン毎に印刷することによって形成する方法や、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成する方法が挙げられる。
液晶表示装置40の表示画像は、バックライト30から照射された白色光がカラーフィルターを透過することでカラー表示される。液晶表示装置40は、量子ドットによるバックライトのスペクトルと適合するカラーフィルターを用いることで、明るさと効率に優れ、非常に鮮明な色を生成するディスプレイを実現することができる。
液晶パネル31は、カラーフィルター上に任意の層が単層及び/又は複層形成された構成であってもよい。上記任意の層としては特に限定されず、例えば、タッチパネル用センサー層、ハードコート層、帯電防止層、低屈折率層、高屈折率層、防眩層、防汚層、反射防止層、高誘電体層、電磁波遮蔽層、接着剤層等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置40によれば、色味の変化を抑制する量子ドット用バリアフィルムを備えたバックライトを用いているので、高発光効率及び高演色性を実現することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
1.物性及び評価
実施例及び比較例で得られた量子ドット用バリアフィルムについて、以下の測定及び評価を行った。
1−1.量子ドット用バリアフィルムの透過率の測定
量子ドット用バリアフィルムのサンプルを用意し、当該サンプルの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定した。透過率の測定は、透過率測定装置(日本分光株式会社製、商品名:V670)を用い、測定波長は448nm、526nm、640nmとした。結果を表1に示す。また、横軸を入射角とし、縦軸を透過率とした実施例1の結果を図7に示し、比較例1の結果を図8に示す。
1−2.最大変化Vmaxの算出
各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出した。結果を表2に示す。
算出した透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと算出した透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxを算出した。
1−3.変化率ΔDの算出
変化率ΔDの測定方法は、まず、上述したように、各入射角における透過率差Dのうち、隣接する2つの入射角の透過率差Dを選択する。ここで、0度に近い側の入射角での透過率差Dの値をDとし、5度変化させた入射角での透過率差Dの値をDとする。そして、選択した透過率差Dの値D及びDから、色度(y)の変化率ΔDとしてのD−Dを算出した。
1−4.量子ドット用バリアフィルムの色度差
量子ドット用バリアフィルムのサンプルの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出した。x値及びy値の測定は、透過率測定装置日本分光株式会社製、商品名:V670)を用い、測定波長は380−780nmとした。
算出した色度差Δx及び色度差Δyのそれぞれの標準偏差を算出した。結果を表3に示す。また、横軸を入射角とし、縦軸を色度差とした実施例1の結果を図9に示し、比較例1の結果を図10に示す。
1−5.色味の角度依存性
実施例及び比較例の量子ドット用バリアフィルムを用いたバックライトを点灯し、様々な方向からバックライトの中心付近の色味を目視で評価した。角度による色味の変化が全く気にならないものを1点、角度による色味の変化が若干気になるが実用上問題ないレベルであるものを2点、角度による色味の変化が大きく実用上問題あるレベルであるものを3点とする評価基準で、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.5点未満のものを「AA」、平均点が1.5点以上2.0点未満のものを「A」、平均点が2.0点以上2.5点未満のものを「B」、平均点が2.5点以上のものを「C」とした。結果を表4に示す。
2.量子ドット用バリアフィルムの作製
(実施例1)
膜厚12μmの二軸延伸PETフィルム(屈折率1.62)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着した。次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、PVD法にて酸化ケイ素からなる膜厚20nmのバリア層を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10−6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2〜5×10−3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/min
次いで、下記処方の光学調整層形成用塗布液を塗布及び乾燥し、膜厚300nm、屈折率1.50の光学調整層を形成した。次いで、光学調整層上に、接着層としてのウレタン系樹脂を介して、膜厚50μmのPETフィルム(屈折率1.60)である第2基板を設けた。
<光学調整層形成用塗布液の調製>
下記に示す組成に従って、組成(a)のEVOH、イソプロピルアルコール、及びイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成(b)のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、さらに予め調製した組成(c)のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明の光学調整層形成用塗布液を得た。
<組成(a)>
・EVOH(エチレン共重合率29%) 0.122wt%
・イソプロピルアルコール 0.659wt%
・HO 0.439wt%
<組成(b)>
・エチルシリケート40(コルコート社製) 9.146wt%
・イソプロピルアルコール 8.780wt%
・アルミニウムアセチルアセトン 0.018wt%
・HO 16.291wt%
<組成(c)>
・ポリビニルアルコール 1.220wt%
・イソプロピルアルコール 19.893wt%
・HO 43.329wt%
・酢酸 0.103wt%
(比較例1)
膜厚25μmの二軸延伸PETフィルム(屈折率1.62)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着した。次いで、実施例1と同じ条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、PVD法にて酸化ケイ素からなる膜厚20nmのバリア層を形成した。次いで、バリア層上に、接着層としてのウレタン系樹脂を介して、膜厚50μmのPETフィルム(屈折率1.60)である第2基板を設けた。
実施例1では、例えば、0度の最大透過率Tmax及び最小透過率Tminがそれぞれ87.9518%及び86.1152%であり、そこから算出される0度の透過率差Dは1.8366%である。かかる透過率差Dの算出を5〜80度でそれぞれ行った。
表2より、実施例1における最大透過率差Dmaxは、入射角70度のときにおける透過率差Dの2.2656%であった。実施例1における最小透過率差Dminは、入射角10度のときにおける透過率差Dの0.8773%であった。よって、実施例1における最大変化Vmaxは、入射角10度における1.3883であり、条件(1)を満たす。
比較例1における最大透過率差Dmaxは、入射角70度のときにおける透過率差Dの11.0877%であった。比較例1における最小透過率差Dminは、入射角40度のときにおける透過率差Dの1.2389%であった。よって、比較例1における最大変化Vmaxは、入射角40度における9.8488であり、条件(1)を満たさない。
実施例1における変化率ΔDは、±1%以下であり、比較例1における変化率ΔDと比して小さく、透過率の変化率が低いことを示している。
表3より、実施例1において、量子ドット用バリアフィルムのサンプルの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させた各入射角(全17点)の色度差Δxの標準偏差は1.1×10−3であり、全17点の色度差Δyの標準偏差は0.75×10−3であるので条件(2)を満たす。
比較例1における全17点の色度差Δxの標準偏差は2.3×10−3であり、全17点の色度差Δyの標準偏差は2.6×10−3であるので条件(2)を満たさない。
表4より、実施例1のものは、色味の角度依存性を改善できるものであった。
1…第1基板
2…バリア層
3…光学調整層
4…接着層
5…第2基板
10…量子ドット用バリアフィルム
11…量子ドット含有層
20…量子ドットシート
21…光源
22…光学板
23…反射板
24…光拡散フィルム
25…プリズムシート
30…バックライト
31…液晶パネル
32…ホルダ
40…液晶表示装置

Claims (17)

  1. 第1基材上にバリア層を有してなる量子ドット用バリアフィルムを選択する際に、下記条件(1)を満たすことを判定条件とする量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
    <条件(1)>
    該量子ドット用バリアフィルムは、該量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定し、
    各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出し、
    該透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと該透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxが5.0%以下である。
  2. 下記条件(2)を満たす請求項1に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
    <条件(2)>
    前記量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出し、色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が2.0×10−3以下である。
  3. 前記バリア層の膜厚が、5〜30nmである請求項1又は2に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
  4. 前記量子ドット用バリアフィルムが、前記バリア層上に光学調整層を有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
  5. 前記光学調整層の最小膜厚に対する最大膜厚の比率が、115〜135%である請求項4に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
  6. 前記光学調整層の膜厚が、100〜300nmである請求項4又は5に記載の量子ドット用バリアフィルムの選択方法。
  7. 第1基材上にバリア層を有してなる量子ドット用バリアフィルムであって、下記条件(1)を満たす量子ドット用バリアフィルム。
    <条件(1)>
    該量子ドット用バリアフィルムは、該量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、各入射角において赤に相当する波長の光の透過率T、緑に相当する波長の光の透過率T、青に相当する波長の光の透過率Tを測定し、
    各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最大のものを最大透過率Tmaxとし、各入射角における赤、緑、青に相当する波長の光の透過率T、T、Tのうち最小のものを最小透過率Tminとし、該最大透過率Tmaxと該最小透過率Tminとの差分である透過率差Dを算出し、
    該透過率差Dのうち最大である最大透過率差Dmaxと該透過率差Dのうち最小である最小透過率差Dminとの差分である最大変化Vmaxが5.0%以下である。
  8. 下記条件(2)を満たす請求項7に記載の量子ドット用バリアフィルム。
    <条件(2)>
    前記量子ドット用バリアフィルムの表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角を5度ずつ80度まで変化させ、CIE 1931 標準色系のx値及びy値を測定し、各入射角のx値及びy値から入射角0度のx値及びy値を減じた色度差Δx及び色度差Δyを算出し、色度差Δx及び色度差Δyの標準偏差が2.0×10−3以下である。
  9. 前記バリア層の膜厚が、5〜30nmである請求項7又は8に記載の量子ドット用バリアフィルム。
  10. 前記量子ドット用バリアフィルムが、前記バリア層上に光学調整層を有してなる請求項7〜9のいずれか1項に記載の量子ドット用バリアフィルム。
  11. 前記光学調整層の最小膜厚に対する最大膜厚の比率が、115〜135%である請求項10に記載の量子ドット用バリアフィルム。
  12. 前記光学調整層の膜厚が、100〜300nmである請求項10又は11に記載の量子ドット用バリアフィルム。
  13. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の光出射側の面上又は両面上に設けられた量子ドット用バリアフィルムとを備える量子ドットシートであって、前記量子ドット用バリアフィルムが請求項1〜6のいずれか1項に記載の量子ドット用バリアフィルム選択方法により選択された量子ドットシート。
  14. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の光出射側の面上又は両面上に設けられた量子ドット用バリアフィルムとを備える量子ドットシートであって、前記量子ドット用バリアフィルムが請求項7〜12のいずれか1項に記載の量子ドット用バリアフィルムである量子ドットシート。
  15. 一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが請求項13又は14に記載の量子ドットシートであるバックライト。
  16. 前記光源は、LED光源である請求項15に記載のバックライト。
  17. 請求項15又は16に記載のバックライトを備える液晶表示装置。
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