JP7036185B2 - バリアフィルム、並びに、これを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置 - Google Patents

バリアフィルム、並びに、これを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、バリアフィルム、並びに、これを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置に関する。
パーソナルコンピューター(特に携帯用パーソナルコンピューター)の発達に伴って、液晶表示装置の需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、さらには、スマートフォン、タブレット端末も広く普及しつつある。このため、液晶表示装置の市場はさらに拡大する状況にある。
このような液晶表示装置は、一般的に、カラーフィルタ、液晶セル及びバックライトを有する構成からなり、液晶セル内の液晶層のシャッター機能により光の強弱をコントロールし、カラーフィルタにより各画素の色をR、G、Bの三原色に分けて表示することにより、画像を表示するものである。
液晶表示装置のバックライトの光源としては、従前は、冷陰極管(CCFL)が用いられてきた。しかし、低消費電力及び少スペースの観点から、バックライトの光源は、冷陰極管からLEDに切り替えられている。
通常のバックライトの光源として使用されるLEDは、青色LEDと、YAG系黄色蛍光体とを組み合わせてなる白色LEDとよばれるものを用いている。かかる白色LEDは、発光波長のスペクトル分布がブロードであり、疑似白色とよばれている。
一方、近年では、量子ドットの技術を用いたバックライトの開発も進められている。量子ドットとは、半導体のナノメートルサイズの微粒子をいう。
量子ドットを用いたバックライトの基本構成は、一次光を生じる光源(青色光を放出する青色LED等)と、量子ドットとを組み合わせたものである。
量子ドットは、例えば、CdSeであるコアとZnSであるシェルにより構成される半導体微粒子と、シェルの周辺を覆うリガンドにより構成されるナノサイズの化合物半導体微粒子である。量子ドットは、その粒子径が化合物半導体の励起子のボーア半径よりも小さいため、量子閉じ込め効果が現れる。そのため、量子ドットの発光効率は、従来用いられている希土類イオンを賦活剤とする蛍光体(希土類蛍光体)よりも高く、90%以上の高発光効率を実現することができる。
また、量子ドットの発光波長は、このように量子化された化合物半導体微粒子のバンドギャップエネルギーにより決まるため、量子ドットの粒径を変化させることで任意の発光波長、すなわち任意の発光スペクトルを得ることができる。これらの量子ドットと青色LED等とを組み合わせたバックライトは、高発光効率で高い色純度を実現することが可能とされている(例えば、特許文献1~2参照)。
量子ドットは上記の優れた特徴を備える一方で、水分、酸素等影響により劣化しやすいという問題がある。このため、量子ドット含有層の両側の面はバリアフィルムにより保護することが好ましい。
特許文献3及び4には、基材、無機酸化物層及び有機被覆層を有するバリアフィルムによって量子ドット含有層を保護してなる波長変換シートが提案されている。
国際公開第2012/132239号 特開2015-18131号公報 特開2019-126924号公報 特開2020-19141号公報
しかし、特許文献3及び4の波長変換シートを用いた液晶表示装置は、継続して使用している間に、初期とは異なった色味の画像が視認されるケースが散見された。すなわち、特許文献3及び4の波長変換シートを用いた液晶表示装置は、初期の時点と任意の時点とを比較した際に、色味が大きく異なるケースが散見された。量子ドットは、色純度を高めることを特徴とするものである。このため、量子ドットを用いた液晶表示装置の色味が安定しないことは、当該液晶表示装置の特徴が損なわれ、品質上極めて重要な問題であった。
本発明は、上記問題に鑑み、波長変換シートに適用した際に、色味の変化を抑制し得るバリアフィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、当該バリアフィルムを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、バリアフィルムを適用した波長変換シートが高湿環境下に晒された際に、バリアフィルムの有機被覆層が膨潤することが、色味が変化する一因であることを見出した。そこで、本発明者らは、バリア性に影響を与えない程度に有機被覆層の厚みを薄くすることを検討した。しかし、有機被覆層の厚みを薄くしても、色味が変化するケースが多発した。
そして、本発明者らはさらに鋭意研究した結果、有機被覆層の厚みを所定の範囲として、かつ、量子ドット含有層との密着性を向上するために形成するプライマー層の厚みと、有機被覆層との厚みとの比を所定の範囲とすることにより、バリアフィルムを適用した波長変換シート等の色味の変化を抑制できることを見出した。
本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]光透過性基材上に、無機酸化物層A、有機被覆層B、無機酸化物層C、及びプライマー層Dをこの順に有してなり、
前記光透過性基材、前記無機酸化物層A、前記有機被覆層B、前記無機酸化物層C、及び前記プライマー層Dの厚みを、それぞれ、t、t、t、t、及びtと定義した際に、
が150nm~500nmであり、かつ、
/tが0.55~1.65である、
液晶表示装置のバックライト光源の波長変換シート用のバリアフィルム。
[2]前記無機酸化物層A及び前記無機酸化物層Cが、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含む、[1]に記載のバリアフィルム。
[3]前記有機被覆層Bがポリビニルアルコールを含む、[1]又は[2]に記載のバリアフィルム。
[4]量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の両側に積層されてなるバリアフィルムを有する波長変換シートであって、前記バリアフィルムとして、[1]~[3]の何れかに記載のバリアフィルムの光透過性基材とは反対側の面が前記量子ドット含有層側を向くように積層してなる、波長変換シート。
[5]一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された波長変換シートとを備えたバックライトにおいて、前記波長変換シートが[4]に記載の波長変換シートであるバックライト。
[6]バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが[5]に記載のバックライトである液晶表示装置。
本発明のバリアフィルム、並びに、これを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置は、色味の変化を抑制することができる。
本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明の波長変換シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの一実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの他の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書において、「AA~BB」との表記は、AA以上BB以下であることを意味する。
また、本明細書において、各層の屈折率は、波長632.8nmにおける屈折率を意味するものとする。各層の屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。
[バリアフィルム]
本発明のバリアフィルムは、
光透過性基材上に、無機酸化物層A、有機被覆層B、無機酸化物層C、及びプライマー層Dをこの順に有してなり、
前記光透過性基材、前記無機酸化物層A、前記有機被覆層B、前記無機酸化物層C、及び前記プライマー層Dの厚みを、それぞれ、t、t、t、t、及びtと定義した際に、
が150nm~500nmであり、かつ、
/tが0.55~1.65であり、
液晶表示装置のバックライト光源の波長変換シートに用いられるものである。
図1は、本発明のバリアフィルム(100)の実施形態を示す断面図である。図1のバリアフィルム(100)は、光透過性基材(10)上に、無機酸化物層A(21)、有機被覆層B(30)、無機酸化物層C(22)、及びプライマー層D(40)をこの順に有している。
<光透過性基材>
光透過性基材としては、波長変換シートに適用した際に波長変換シートの機能を害することのない樹脂フィルムであれば、特に制限されない。
光透過性基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等から選ばれる1種以上の樹脂から形成されてなる樹脂フィルムが挙げられる。
これらの樹脂フィルムの中でも、機械的強度、寸法安定性及び耐熱性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム)が好ましい。
光透過性基材は、樹脂フィルムの単層であっても良く、複数の樹脂フィルムを有するものであってもよい。複数の樹脂フィルムを有する場合、各樹脂フィルムは直接接着したものであっても良いし、接着層を介して接着したものであってもよい。
光透過性基材の厚みtは、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。光透過性基材の厚みを5μm以上とすることにより、バリアフィルムの強度を良好にしやすくできる。
また、光透過性基材の厚みtは、薄膜化及び端部からの水蒸気及び酸素の侵入を抑制しやすくする観点から、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがより好ましい。
本明細書において、光透過性基材の厚みt等のバリアフィルムを構成する各層の厚み、並びに、量子ドット含有層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。
本明細書において、各層の厚み、全光線透過率、色味(Yxy表色系のx値及びy値)等の各種のパラメータを測定する際は、特に断りのない限り、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気で測定するものとする。さらに、各種のパラメータを測定する前に、サンプルを前記雰囲気に30分以上晒すものとする。
なお、本明細書で示す構成要件において、数値の上限の選択肢及び下限の選択肢がそれぞれ複数示されている場合には、上限の選択肢から選ばれる一つと、下限の選択肢から選ばれる一つとを組み合わせ、数値範囲の実施形態とすることができる。例えば、上記の光透過性基材の厚みtの場合、5μm以上200μm以下、5μm以上25μm以下、8μm以上50μm以下、10μm以上50μm以下、10μm以上25μm以下などの数値範囲の実施形態が挙げられる。
2枚の樹脂フィルムで光透過性基材を構成する場合、無機酸化物層Aに近い側の第1の樹脂フィルムの厚みは、5~50μmであることが好ましく、8~25μmであることがより好ましく、10~20μmであることがさらに好ましい。第1の樹脂フィルムが前記厚みであると、無機酸化物層の製造効率を良好にしやすくできるとともに、ハンドリング性を良好にしやすくできる。
また、無機酸化物層Aに遠い側の第2の樹脂フィルムの厚みは、5~150μmであることが好ましく、8~100μmであることがより好ましく、10~50μmがさらに好ましい。第2の樹脂フィルムが前記厚みであると、バリアフィルムのハンドリング性及び剛性のバランスを良好にしやすくできる。
2枚の樹脂フィルムで光透過性基材を構成する場合、2枚の樹脂フィルムを接着層を介して貼り合わせてから、無機酸化物層A等を形成してもよいし、第1の樹脂フィルム上に無機酸化物層A等を形成した後、第1の樹脂フィルムの無機酸化物層A等とは反対側の面に接着層を介して第2の樹脂フィルムを貼り合わせてもよい。接着層の厚みは3μm~100μmであることが好ましく、3μm~50μmであることがより好ましく、4μm~8μmが更に好ましい。接着層は、厚みが薄すぎると塗工不良が発生する場合があり、厚みが厚すぎると硬化不足となる場合がある。
光透過性基材の無機酸化物層Aが設けられる側の表面には、密着性等を向上させるために、予め所望の表面処理が施されていても良い。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理などが挙げられる。
<無機酸化物層>
本発明のバリアフィルムは、無機酸化物層として、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cを有する。このように、2層の無機酸化物層を有することにより、バリアフィルムの酸素及び水蒸気に対するバリア性を良好にして、量子ドットの劣化を抑制しやすくできる。また、1層の無機酸化物層でバリア性を良好にしようとすると、無機酸化物層の厚みが厚くなり、無機酸化物層にクラックが生じやすくなるため、バリア性を長期に渡って良好にすることが難しくなる。しかし、2層の無機酸化物層とすることにより、それぞれの無機酸化物層の厚みが厚くなることを抑制し、クラックを生じにくくし、バリア性を長期に渡って良好にしやすくできる。
なお、無機酸化物層の厚みを薄くしてもクラックやピンホールが生じる場合はある。しかし、2層の無機酸化物層のそれぞれにクラックやピンホールが生じたとしても、クラックやピンホールの位置が面方向で一致しない限り、積層体として所定のバリア性を担保することができる。すなわち、2層の無機酸化物層とすることにより、無機酸化物層にクラックやピンホールが生じた場合であっても所定のバリア性を担保しやすい点で好ましい。
無機酸化物層A及び無機酸化物層Cは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウムスズ(ITO)、及び酸化ケイ素から選ばれる1種又はこれらの混合物からなる層を例示することができる。無機酸化物層A及び無機酸化物層Cの組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
無機酸化物層A及び無機酸化物層Cは、透明性及び生産性などの観点から、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含む層であることが好ましい。
また、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cの少なくとも一方は、十分なバリア性、透明性及び生産性などの観点から、酸化アルミニウムを含む層であることが好ましく、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cの両方が酸化アルミニウムを含む層であることがより好ましい。
無機酸化物層A又は無機酸化物層Cにおける酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の含有割合は、質量基準で80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
無機酸化物層Aと無機酸化物層Cとの組み合わせの実施形態は、例えば、下記(1)~(4)が挙げられる。
(1)無機酸化物層A及び無機酸化物層Cの何れもが酸化アルミニウムを含む層である実施形態
(2)無機酸化物層A及び無機酸化物層Cの何れもが酸化ケイ素を含む層である実施形態
(3)無機酸化物層Aが酸化アルミニウムを含む層であり、無機酸化物層Cが酸化ケイ素を含む層である実施形態
(4)無機酸化物層Aが酸化ケイ素を含む層であり、無機酸化物層Cが酸化アルミニウムを含む層である実施形態
上記(1)~(4)の中では、バリア性の観点からは(1)、(3)及び(4)が好ましく、(1)がより好ましい。
一方、バリアフィルムは他の部材とラミネートする場合があり、ラミネートの際にはバリアフィルムに所定の張力がかかる。当該張力に対する割れ防止性は、酸化アルミニウムを含む層よりも酸化ケイ素を含む層の方が優れている。よって、当該張力に対する割れ防止性の観点からは、(2)~(4)が好ましく、(2)がより好ましい。
以上のことから、(3)及び(4)は、バリア性と、張力に対する無機酸化物層の割れ防止性とのバランスの観点から好ましい。また、酸化ケイ素を含む層は、酸化アルミニウムを含む層よりも無機酸化物層を形成する際にピンホールが生じやすい傾向がある。(3)と(4)とを比較した際に、(4)は、酸化ケイ素を含む層にピンホールが発生したとしても、当該ピンホールが有機被覆層Bによって埋められ、バリア性を維持しやすい点で好ましい。
無機酸化物層は、厚みが薄すぎるとバリア性が低下する傾向があり、厚みが厚すぎると傷及びクラックが生じやすくなる傾向がある。無機酸化物層Aの厚みt、及び、無機酸化物層Cの厚みtは、バリア性、傷の抑制、及びクラックの抑制のバランスが良好になるように、無機酸化物層の材質に応じて適切な範囲とすることが好ましい。
例えば、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cが酸化アルミニウムを含む層である場合、t及びtは、それぞれ、下限が6nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましい。t及びtを6nm以上とすることにより、バリア性を良好にしやすくできる。
また、t及びtは、それぞれ、上限が25nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがより好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがより好ましい。t及びtを25nm以下とすることにより、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cに傷及びクラックが発生することを抑制しやすくできる。
また、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cが、酸化ケイ素、酸化マグネシウム及び酸化インジウムスズ(ITO)の何れか1以上を含む層である場合、t及びtは、それぞれ、下限が20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、27nm以上であることがより好ましい。t及びtを20nm以上とすることにより、バリア性を良好にしやすくできる。
また、t及びtは、それぞれ、上限が100nm以下であることが好ましく、75nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることがよりさらに好ましい。t及びtを100nm以下とすることにより、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cに傷及びクラックが発生することを抑制しやすくできる。
無機酸化物層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等により形成することができる。これらの中でも、生産性(蒸着速度)の観点から真空蒸着法が好ましい。
<有機被覆層>
本発明のバリアフィルムは、有機被覆層として、有機被覆層Bを有する。無機酸化物層と併用して有機被覆層を有することにより、バリアフィルムのバリア性を良好にして、量子ドットの劣化を抑制しやすくできる。また、有機被覆層は無機酸化物層に比べて可撓性が良好であるため、有機被覆層Bにより、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cに傷及びクラックが発生することを抑制しやすくできる。有機被覆層Bは、バリアフィルムの厚み方向において、無機酸化物層A及び無機酸化物層Cに接していることが好ましい。
有機被覆層Bの厚みtは、150nm~500nmであることを要する。tは、175nm~450nmであることが好ましく、200nm~400nmであることがより好ましい。
が150nm未満の場合、バリアフィルムのバリア性が不足して、量子ドット含有層の量子ドットが劣化することなどにより経時的に色味が変化してしまう。
また、tが500nmを超える場合、バリア性の問題は生じ難いものの、色味の変化を抑制できない。この理由は、tが大きくなると、高湿環境下で有機被覆層Bが膨潤することによる厚みの変化量が大きくなるため、薄膜干渉の作用が大きく変化し、バリアフィルムの分光透過率の波形がシフトするためと考えられる。より詳しく説明すると、バリアフィルムの分光透過率は、波長ごとに値が異なり、所定の周期で増減している。よって、有機被覆層Bが膨潤し、バリアフィルムの分光透過率の波形が長波長側又は短波長側にシフトした場合、特定の波長(例えば波長450nm)の分光透過率が変化することになるため、色味が変化することになる。
また、tが厚すぎると、有機被覆層を塗布し、乾燥する際に生じる応力が大きくなり、当該応力によって無機酸化物層にクラックが生じ、バリア性が低下ことがある。このため、tを500nm以下とすることにより、初期のバリア性を良好にしやすくできる。
有機被覆層Bは、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、有機被覆層Bは、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物のうち、水溶性高分子から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、水溶性高分子から選ばれる1種以上と、金属アルコキシド系化合物から選ばれる1種以上とを含むことがさらに好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられ、これらの中でもバリア性の観点から、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。すなわち、有機被覆層Bは、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、ポリビニルアルコールを含むことがより好ましい。
有機被覆層Bが、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物を含有する場合、金属アルコキシド系化合物の合計量100質量部に対する水溶性高分子の含有量は、5質量部以上500質量部以下であることが好ましく、7質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、8質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
金属アルコキシド系化合物としては、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物及び金属アルコキシド重合物が挙げられる。
金属アルコキシドは、M(OR)の一般式で表される化合物である。式中、Mは、Si、Ti、Al及びZr等の金属を示し、Rは、メチル基及びエチル基等のアルキル基を示す。金属アルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びイソプロポキシアルミニウム等が挙げられる。
有機被覆層Bは、例えば、有機被覆層Bを構成する成分を含む塗布液を、無機酸化物層上に塗布、乾燥することにより形成することができる。該塗布液中には、シランカップリング剤、硬化剤及び分散剤等の添加剤を含有してもよい。
<プライマー層>
本発明のバリアフィルムは、前記無機酸化物層Cの前記有機被覆層Bとは反対側にプライマー層Dを有することを要する。当該位置にプライマー層を有することにより、バリアフィルムと量子ドット含有層との密着性が良好となり、バリアフィルムのバリア性を長期に渡って維持しやすくなるため、経時的な色味の変化を抑制することができる。また、プライマー層Dにより、無機酸化物層Cに傷及びクラックが発生することを抑制しやすくなることも期待できる。
プライマー層は、無機酸化物層Cと接する位置に配置することが好ましい。また、プライマー層は、バリアフィルムの最外層に配置することが好ましい。
本発明のバリアフィルムは、プライマー層Dの厚みtと、有機被覆層Bの厚みtとの比(t/t)が、0.55~1.65であることを要する。t/tは、0.60~1.50であることが好ましく、0.70~1.30であることがより好ましい。
/tが0.55未満の場合、バリアフィルムが伸縮するなどして応力が生じた際に、厚みの薄いプライマー層Dに過度な負荷がかかり、プライマー層Dの界面が剥離しやすくなる。また、t/tが1.65を超える場合、バリアフィルムが伸縮するなどして応力が生じた際に、厚みの薄い有機被覆層Bに過度な負荷がかかり、有機被覆層Bの界面が剥離しやすくなる。
すなわち、t/tが0.55~1.65であることにより、応力発生時に、有機被覆層B及びプライマー層Dの一方に過度な負荷がかかることを抑制できるため、バリアフィルムのバリア性を長期に渡って維持しやすくなり、経時的な色味の変化を抑制しやすくできる。
プライマー層Dの厚みtは、t/tが0.55~1.65であれば、特に限定されない。
は、通常は、82.5nm~825nmであり、好ましくは100nm~600nm、より好ましくは125nm~400nmである。
《組成》
プライマー層Dは、ポリウレタン系樹脂組成物等の樹脂成分を含むことが好ましい。ポリウレタン系樹脂は、量子ドット含有層との密着性を良好にしやすく、かつ、量子ドット含有層を電離放射線硬化あるいは熱硬化させる際に生じる応力を緩和し、該応力が無機酸化物層及び有機被覆層に伝わりにくくする役割を果たす。さらに、プライマー層Dは、プライマー層Dの伸長度を向上してバリアフィルムを構成する層(特に無機酸化物層)にクラックが生じることを抑制しやすくできる。
ポリウレタン系樹脂組成物としては、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られる、一液ないし二液型ポリウレタン系樹脂組成物が挙げられる。多官能イソシアネート及びヒドロキシル基含有化合物はそれぞれ、1種のみ用いられていても良いし、複数種が用いられていても良い。
具体的に、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネ-ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基含有化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリアクリレートポリオールなどが挙げられる。本発明においては、蛍光体層との密着性、及び、耐久性の観点から、ポリエステルポリウレタンポリオールが特に好ましい。ポリエステルポリウレタンポリオールは、例えば特開2001-288408号公報、特開2003-26996号公報に記載の方法により製造することができる。
ポリウレタン系樹脂組成物の含有量は、プライマー層Dの全量基準で、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
プライマー層Dは、シランカップリング剤を更に含有していても良い。シランカップリング剤を含むことにより、プライマー層Dと無機酸化物層Cとの密着性を向上しやすくできる。シランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、又は、アセトキシ基等が加水分解してシラノ-ル基(Si-OH)を形成する。これにより、プライマー層Dの樹脂組成物が共有結合等で修飾され、強固な結合を形成する。また、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ系、エポキシ系、あるいは、メルカプト等の有機官能基により、プライマー層Dと無機酸化物層C、及び、プライマー層Dと量子ドット含有層、との密着性を良好にしやすくできる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β-ヒドロキシエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ-アミノプロピルシリコ-ン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
シランカップリング剤の含有量は、プライマー層Dの全量基準で、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であると、プライマー層Dと無機酸化物層C、及び、プライマー層Dと量子ドット含有層、との密着性をさらに向上しやすくできる。
なお、プライマー層Dの伸長性を良好とするとともに、プライマー層Dのクラック発生を抑制するために、シランカップリング剤の含有量は、プライマー層Dの全量基準で、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
プライマー層Dは、充填剤を更に含んでいても良い。充填剤は、プライマー層を形成するための塗布液の粘度等を調整し、コーティング適性等を高める役割を有する。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末などを使用することができる。
プライマー層は、更に、必要に応じて、安定剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を含んでいても良い。
無機酸化物層A、有機被覆層B、無機酸化物層C、及びプライマー層Dの合計厚みは、300~1200nmであることが好ましく、400~900nmであることがより好ましく、500~800nmであることがさらに好ましい。該合計厚みを300nm以上とすることにより、バリア性を良好にしやすくできる。また、該合計厚みを1200nm以下とすることにより、分光透過率の波形の周期が短くなりすぎることを抑制し、有機被覆層が膨潤してバリアフィルムの分光透過率の波形が長波長側又は短波長側にシフトした際に、特定の波長(例えば波長450nm)の分光透過率が大きく変化することを抑制しやすくできる。
<物性>
《水蒸気透過度》
バリアフィルムは、JIS K7129-2:2019による水蒸気透過度の値が、0.20g/m・day以下であることが好ましく、0.15g/m・day以下であることがより好ましい。なお、水蒸気透過度を測定する際の温度及び湿度の条件は、40℃、90%RHとする。また、水蒸気透過度の測定前に、測定用のサンプルを温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気に30分以上晒すものとする。
水蒸気透過度は、例えば、MOCON社製の水蒸気透過度測定装置(商品名:PERMATRAN)にて測定できる。
《酸素透過度》
バリアフィルムは、JIS K7126-2:2006による酸素透過度の値が、0.5cc/m・day・atm以下であることが好ましい。なお、酸素透過度を測定する際の温度及び湿度の条件は、23℃、90%RHとする。また、酸素透過度の測定前に、測定用のサンプルを温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気に30分以上晒すものとする。
酸素透過度は、例えば、MOCON社製の酸素透過度測定装置(商品名:OX-TRAN)にて測定できる(モコン法)。
《b*値》
バリアフィルムは、L表色系のb値が-1.3~1.0であることが好ましく、-1.5~0.8であることがより好ましく、-1.0~0.5であることがさらに好ましい。なお、b値は透過のb値である。また、b値を測定する際の光入射面は光透過性基材とは反対側の面とする。
表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)により規格化されたL表色系に基づくものであり、JIS Z8781-4:2013において採用されている。
《全光線透過率》
バリアフィルムは、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、87%以上であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率を測定する際の光入射面は光透過性基材とは反対側の面とする。
<積層構成>
本発明のバリアフィルムの積層構成としては、例えば、下記(1)が挙げられる。下記(1)において、「/」は層の界面を意味する。
(1)光透過性基材/無機酸化物層A/有機被覆層B/無機酸化物層C/プライマー層層D
本発明の効果を阻害しない範囲で、バリアフィルムは、上記以外の層を有していてもよい。
なお、バリアフィルムの積層構成として、下記(2)の構成も考えられる。しかし、下記(2)の積層構成は、上記(1)に比べて界面の数が多いため光学特性の点で不利であり、また、総厚も増加してしまう。このため、上記(1)の積層構成が好ましい。
(2)第一の光透過性基材/無機酸化物層A/有機被覆層B/無機酸化物層C/第二の光透過性基材/プライマー層D
<製造方法>
バリアフィルムは、光透過性基材上に、無機酸化物層A、有機被覆層B、無機酸化物層C、及びプライマー層Dをこの順に形成することにより、製造することができる。
無機酸化物層A及び無機酸化物層Cは、上述したように、真空蒸着法等の物理気相成長法、あるいは、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法等により形成することができる。
有機被覆層B及びプライマー層Dは、各層を構成する組成物を溶解ないしは分散させた塗布液を塗布、乾燥し、必要に応じて硬化することにより形成することができる。
[波長変換シート]
本発明の波長変換シートは、量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の両側に積層されてなるバリアフィルムを有する波長変換シートであって、前記バリアフィルムとして、上述した本発明のバリアフィルムの光透過性基材とは反対側の面が前記量子ドット含有層側を向くように積層してなるものである。
図2は、本発明の波長変換シート(200)の実施形態を示す断面図である。図2の波長変換シート(200)は、量子ドットを含む量子ドット含有層(50)と、量子ドット含有層の両側に積層されてなるバリアフィルム(100a、100b)とを有している。また、図2の波長変換シート(200)は、バリアフィルム(100a、100b)の光透過性基材(10)とは反対側の面が、量子ドット含有層(50)側を向くように積層されている。
波長変換シートは、図2のように、量子ドット含有層を中心として、上下対称の構成を有することが好ましい。言い換えると、量子ドット含有層の両側に積層されてなるバリアフィルムは、同一構成のバリアフィルムを用いることが好ましい。当該構成を有することにより、歪みが均等に分散され、波長変換シートの平面性を良好にしやすくできるとともに、波長変換シートの各界面の密着性を良好にしやすくできる。
<量子ドット含有層>
量子ドット含有層は、量子ドット及びバインダー樹脂を含む。
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子とか、半導体ナノ結晶とも呼ばれるものである。
量子ドットは、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。量子ドットとしては、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子及びドーパントを有する半導体微粒子が挙げられる。
量子ドットは、その粒径により発光色を異にするものであり、例えば、CdSeからなるコアのみから構成される量子ドットの場合、粒径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmの時の蛍光スペクトルのピーク波長は、528nm、570nm、592nm、637nmである。つまり、ピーク波長637nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は4.6nmであり、ピーク波長528nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は2.3nmである。
量子ドットは、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドットを含むことが好ましい。なお、量子ドットは、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット以外の量子ドットを含有してもよい。
量子ドットの含有量は、量子ドット含有層の厚み、バックライトにおける光のリサイクル率、目的とする色味等に応じて適宜調整する。量子ドット含有層の厚みが後述する範囲であれば、量子ドット含有層のバインダー樹脂100質量部に対して、量子ドットの含有量は、0.01~1.0質量部程度である。
量子ドットのコアとなる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII-VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII-V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドットとしては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオン又は遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
量子ドットのコアとなる材料としては、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
量子ドットは、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよく、例えば、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。
コアシェル型の量子ドットを用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットのサイズを変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5nm~20nmの範囲であることが好ましく、特に1nm~10nmの範囲であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットは、樹脂で被覆されているものであってもよい。
量子ドット含有層のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐久性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の他に、後述するチオール化合物を含むことが好ましく、多官能チオール化合物を含むことがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物の他に、後述するチオール化合物を含むことが好ましく、多官能チオール化合物を含むことがより好ましい。
電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和結合基が好ましい。また、エチレン性不飽和結合基の中でも(メタ)アクリレート基が好ましい。以下、(メタ)アクリロイル基を有する電離放射線硬化性化合物を(メタ)アクリレート系化合物と称する。すなわち、バインダー樹脂は、(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物の硬化物を含むことが好ましい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本明細書において、「電離放射線」は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物は、上記官能基を1つのみ有する単官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、上記官能基を2つ以上有する多官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。これらの中でも、多官能の電離放射線硬化性化合物が好ましく、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有してなる多官能の(メタ)アクリレート系化合物がより好ましい。すなわち、バインダー樹脂は、多官能の電離放射線硬化性化合物の硬化物を含むことが好ましく、多官能(メタ)アクリレート系化合物の硬化物を含むことがより好ましい。さらには、バインダー樹脂は、多官能の電離放射線硬化性化合物及びチオール化合物を含む組成物の硬化物を含むことが好ましく、多官能(メタ)アクリレート系化合物及びチオール化合物を含む組成物の硬化物を含むことがより好ましい。
多官能(メタ)アクリレート系化合物は、アルキレンオキシ基を有するものであってもよい。
アルキレンオキシ基としては、例えば、炭素数が2~4のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数が2又は3のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数が2のアルキレンオキシ基がさらに好ましい。
アルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物は、複数個のアルキレンオキシ基を含むポリアルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物であってもよい。
多官能(メタ)アクリレート系化合物がアルキレンオキシ基を有する場合、一分子中のアルキレンオキシ基の数は、2個~30個であることが好ましく、2個~20個であることがより好ましく、3個~10個であることがさらに好ましく、3個~5個であることがよりさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレート系化合物がアルキレンオキシ基を有する場合、ビスフェノール構造を有することが好ましい。これにより、硬化物の耐熱性が向上する傾向にある。ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA構造及びビスフェノールF構造が挙げられ、中でも、ビスフェノールA構造が好ましい。
アルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、中でも、エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びプロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートが好ましく、エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、電離放射線硬化性化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、低分子量のポリマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。
上述したように、熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物は、好ましくはチオール化合物を含む。
チオール化合物は、R-SHで表される単位(Rは有機基)を一つ以上有する化合物である。本明細書において、R-SHで表される単位を一つ有する化合物を単官能チオール化合物、該単位を二つ以上有する化合物を多官能チオール化合物と称する。
チオール化合物は、単官能チオール化合物でもよいが、量子ドット含有層の強度を良好にする観点から、多官能チオール化合物が好ましい。また、多官能チオール化合物の中でも、3官能チオール化合物又は4官能チオール化合物がより好ましい。
チオール化合物は、ラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合性官能基を有する化合物と下記式の反応(チオール-エン反応)を起こす。チオール-エン反応は重合収縮を抑制できるため、量子ドット含有層の硬化時に生じる応力を緩和し、その結果、波長変換シートの層間密着性をより向上しやすい点で好ましい。また、チオール-エン反応により得られた硬化物は、耐熱性を良好にしやすい点で好ましい。さらに、チオール化合物の屈折率(約1.53)は、多官能(メタ)アクリレート系化合物の屈折率(約1.45)よりも高いため、量子ドット含有層の屈折率の調整の自由度を高めることができる。
なお、下記の反応は単官能チオール化合物と、一つのラジカル重合性官能基を有する化合物との反応例である。多官能チオール化合物と、二以上のラジカル重合性官能基を有する化合物との反応物はデンドリマー構造を形成しやすいと考えられる。そして、デンドリマー構造を形成した場合、量子ドット含有層の柔軟性が増し、量子ドット含有層自体が優れた応力緩和性を発揮しやすくなると考えられる。ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合含有基が挙げられる。
Figure 0007036185000001

[式中、R及びRは有機基である。]
単官能チオール化合物の具体例としては、ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタンチオール、1-ノナンチオール、1-デカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
多官能チオール化合物の具体例としては、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-プロピレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,8-オクタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,8-オクタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物(又は熱硬化性樹脂樹脂組成物)中において、電離放射線硬化性化合物(又は熱硬化性樹脂)と、チオール化合物との質量比は、80:20~35:65であることが好ましく、70:30~40:60であることがより好ましい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
量子ドット含有層中には、内部拡散粒子を含んでいてもよい。
内部拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル等からなる粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。
内部拡散粒子の形状は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等の形状が挙げられる。また、内部拡散粒子は、中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子の何れであってもよい。
内部拡散粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましく、3~30質量部であることがより好ましい。
内部拡散粒子の平均粒子径は、1~7μmであることが好ましく、1~3μmであることがより好ましい。
量子ドット含有層の厚みは、10~200μmであることが好ましく、20~150μmであることがより好ましく、30~130μmであることがさらに好ましい。
量子ドット含有層の屈折率nは、1.40~1.55であることが好ましく、1.43~1.52であることがより好ましく、1.46~1.50であることがさらに好ましい。
量子ドット含有層の屈折率nは、概ねバインダー樹脂の屈折率に支配される。量子ドット含有層は、量子ドットの含有量は少なく、また、内部拡散剤が入っていたとしても、内部拡散剤は粒子径が光の波長よりも大きく、層の屈折率には影響しないためである。
[バックライト]
本発明のバックライトは、一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された波長変換シートとを備えたバックライトにおいて、前記波長変換シートが上述した本発明の波長変換シートであるものである。
本発明のバックライト300としては、一例として、図3に示すようなエッジライト型のバックライト301、あるいは、図4に示すような直下型のバックライト302が挙げられる。
図3のエッジライト型のバックライト301に用いられる光学板220は、光源210で放出された一次光を導光するための光学部材であり、いわゆる導光板221である。導光板221は、例えば、少なくとも一つの面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状の形状からなる。
導光板は、主としてポリメチルメタクリレート等の高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。導光板は、必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものであってもよく、ドットパターン等が設けられていてもよい。
図4の直下型のバックライト302に用いられる光学板220は、光源210のパターンを見えにくくするための光拡散性を有する光学部材(光拡散板222)である。光拡散板222としては、例えば、厚み1~3mm程度の乳白色の樹脂板が挙げられる。
エッジライト型及び直下型のバックライトには、上述した光源、光学板及びバリアフィルムの他に、目的に応じて、反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム(BEF)及び反射型偏光フィルム(DBEF)等から選ばれる一種以上の部材を備えていてもよい。
反射板は、光学板の光出射面側と反対側に配置される。光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルムは、光学板の光出射面側に配置される。反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルム等から選ばれる一種以上の部材を備える構成とすることで、正面輝度、視野角等のバランスに優れたバックライトとすることができる。
エッジライト型及び直下型のバックライトにおいて、光源210は、一次光を放出する発光体であり、青に相当する波長の一次光を放出する発光体を用いることが好ましい。青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380~480nmの範囲であることが好ましい。当該ピーク波長は450nm±7nmであることがより好ましく、450nm±5nmであることがより好ましく、450nm±3nmであることがより好ましく、450nm±1nmであることがより好ましい。
光源210としては、バックライトを設置する装置が単純化及び小型化できるという観点から、LED光源であることが好ましく、青色単色のLED光源であることがより好ましい。光源210は、少なくとも1つであり、十分な一次光を放出するという観点から、複数個であることが好ましい。
波長変換シートを含むバックライトは、国際照明委員会(CIE)のYxy表色系に関して、下記の高温高湿試験前後のx値の差(Δx)及びy値の差(Δy)が、何れも0.015以下であることが好ましく、何れも0.010以下であることがより好ましい。Δx及びΔyを0.020以下とすることにより、色味の変化を抑制することができる。
高温高湿試験:60℃90%RHの雰囲気に1000時間晒す試験
なお、高温高湿試験後のx値及びy値は、高温高湿試験の環境から測定用サンプルを取り出した後、速やかに、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気で測定するものとする。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが上述した本発明のバックライトであるものである。
液晶パネルは、特に限定されず、液晶表示装置の液晶パネルとして汎用のものを用いることができる。例えば、液晶層の上下をガラス板で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
液晶表示装置は、さらに、偏光板及びカラーフィルタ等を備える。偏光板及びカラーフィルタは汎用のものを用いることができる。
液晶表示装置の表示画像は、バックライトから照射された白色光がカラーフィルタを透過することでカラー表示される。液晶表示装置は、量子ドットによるバックライトのスペクトルと適合するカラーフィルタを用いることで、明るさと効率に優れ、非常に鮮明な色を生成するディスプレイを実現することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
1.測定及び評価
実施例及び比較例のバリアフィルム又は波長変換シートに関して、下記の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
1-1.水蒸気透過度
実施例及び比較例のバリアフィルムに関して、JIS K7129-2:2019による水蒸気透過度の値を測定した。測定装置は、MOCON社製の商品名「PERMATRAN」を用いた。水蒸気透過度を測定する際の温度及び湿度の条件は、40℃、90%RHとした。また、水蒸気透過度の測定前に、測定用のサンプルを温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気に30分以上晒した。このようにして測定された水蒸気透過度は、初期段階の水蒸気透過度を意味する。水蒸気透過度が0.20g/m・day以下であるものが合格レベルである。
1-2.全光線透過率
実施例及び比較例のバリアフィルムに関して、全光線透過率を測定した。光入射面は、光透過性基材とは反対側の面とした。測定装置は、ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いた。全光線透過率が85%以上のものが合格レベルである。
なお、全光線透過率は、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気で測定した。また、測定前にサンプルを前記雰囲気に30分以上晒した。このようにして測定された全光線透過率は、初期段階の全光線透過率を意味する。
1-3.b
実施例及び比較例のバリアフィルムに関して、L表色系のb値(透過のb値)を測定した。光入射面は、光透過性基材とは反対側の面とした。測定装置は日本分光社製の分光光度計(商品名:V670)を用いた。b値が-1.3~1.0のものが合格レベルである。
なお、b値は、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気で測定した。また、測定前にサンプルを前記雰囲気に30分以上晒した。このようにして測定されたb値は、初期段階のb値を意味する。
1-4.Δx、Δy
<測定用の直下型バックライトの準備>
直下型バックライトを備える市販の液晶テレビ(VIZIO社製、PQ65-F1)を分解し、直下型バックライトを取り出した。当該直下型バックライトには、光源として発光中心波長が450nm、半値全幅が20nmの直下型の青色LEDが搭載されており、当該光源の光出射側には、光拡散板、量子ドット含有層を含む波長変換シート、プリズムシート及び反射偏光板(輝度向上フィルム、スリーエム社製、DBEF(登録商標))が、この順に配置されている。また、光源の光出射側と反対側には、反射シートが備えられている。
当該直下型バックライト中の波長変換シートを、実施例及び比較例の波長変換シートに変更し、「初期段階のx値及びy値測定用の直下型バックライト」を得た。なお、実施例及び比較例の波長変換シートは、直下型バックライトに組み込む前に、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気に30分以上晒した。
また、当該直下型バックライト中の波長変換シートを、高温高湿試験(60℃90%RHの雰囲気に1000時間晒す試験)を実施した実施例及び比較例の波長変換シートに変更し、「高温高湿試験後のx値及びy値測定用の直下型バックライト」を得た。高温高湿試験を実施した実施例及び比較例の波長変換シートを直下型バックライトに組み込む作業は、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHの雰囲気において速やかに行った。
そして、当該測定用の直下型バックライトに関して、以下の測定環境下で測定を実施した。
<初期段階のx値及びy値>
初期段階のx値及びy値測定用の直下型バックライトを点灯し、暗室環境下において、500mm離れた正面方向から、国際照明委員会(CIE)のYxy表色系のx値及びy値を測定した。測定雰囲気は、温度23℃±5℃、湿度40~65%RHとした。また、測定前にサンプルを前記雰囲気に30分以上晒した。測定装置はトプコンテクノハウス社製の分光放射計(商品名:SR-3AR)を用いた。
<高温高湿試験後のx値及びy値>
高温高湿試験後のx値及びy値測定用の直下型バックライトを点灯し、暗室環境下において、500mm離れた正面方向から、国際照明委員会(CIE)のYxy表色系のx値及びy値を測定した。測定雰囲気は温度23℃±5℃、湿度40~65%RHとした。測定装置はトプコンテクノハウス社製の分光放射計(商品名:SR-3AR)を用いた。
<Δx、Δy>
初期段階のx値と高温高湿試験後のx値との差(Δx)、及び、初期段階のy値と高温高湿試験後のy値との差(Δy)を算出した。Δx及びΔyが何れも0.015以下であるものが合格レベルである。
2.量子ドット分散液の作製
酸素濃度が300ppm以下となるように窒素パージしたグローブボックス内において、量子ドット及びアミノ変性シリコーンを下記に示す組成比で混合し、90℃で湯煎しながら、マグネチックスターラーにて4時間攪拌した。その後、孔径0.2μmのポリプロピレン性フィルタでろ過して、CdSe/ZnSコアシェル型量子ドット分散液を得た。
・量子ドット 0.9質量部
(発光ピーク:540nm、製造番号:748056、シグマアルドリッチ社製)
・量子ドット 0.9質量部
(発光ピーク:630nm、製造番号:790206、シグマアルドリッチ社製)
・アミノ変性シリコーン 99質量部
(Genesee社製、品番:GP-344、粘度:670mPa・s)
3.バリアフィルムの作製、及び波長変換シートの作製
[実施例1]
二軸延伸PETフィルム(屈折率n:1.636、厚みt:12μm)の一方の面上に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを蒸着し、無機酸化物層A(屈折率n:1.77、厚みt:8nm)を形成した。
次いで、無機酸化物層A上に、下記の有機被覆層形成用塗布液をグラビア印刷により塗布し、180℃で60秒間加熱処理し、有機被覆層B(屈折率n:1.55、厚みt:219nm)を形成した。
次いで、有機被覆層B上に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを蒸着し、無機酸化物層C(屈折率n:1.77、厚みt:8nm)を形成した。
次いで、無機酸化物層C上に、下記のプライマー層形成用塗布液1をグラビア印刷により塗布し、80℃で60秒間加熱処理し、プライマー層D(屈折率n:1.575、厚みt:270nm)を形成し、実施例1のバリアフィルムを得た。なお、同一構成のバリアフィルムを2つ作製した。
<有機被覆層形成用塗布液の調製>
水、イソプロピルアルコ―ル及び0.5N塩酸を混合した溶液(pH2.2)に、テトラエトキシシランを10℃になるように冷却しながら混合させて、溶液Aを調整した。別途、ケン化価99%以上のポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールを混合した溶液Bを調整した。溶液Aと溶液Bとを混合し、有機被覆層形成用塗布液(固形分:5質量%)を調整した。有機被覆層形成用塗布液中において、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとの質量比は29:4である。
<プライマー層形成用塗布液1>
・ポリエステルポリウレタンポリオール 50質量部
(水酸基価:62mgKOH/g、固形分20質量%)
・シランカップリング剤 1質量部
(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)
・シリカフィラー 1質量部
(平均粒径5μm)
・硬化剤 1質量部
(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%)
・溶剤 50質量部
(メチルエチルケトン)
上記で作製した2つのバリアフィルムのうちの一方のバリアフィルムのプライマー層側の面に、下記処方の量子ドット含有層塗布液を塗布、乾燥し、電離放射線未照射の量子ドット含有層を形成してなる積層体Aを得た。
次いで、積層体Aの電離放射線未照射の量子ドット含有層側の面と、他方のバリアフィルムのプライマー層側の面とが対向するように積層した後、紫外線を照射して、量子ドット含有層の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、実施例1の波長変換シートを得た。量子ドット含有層の厚みは100μm、屈折率は1.48である。
<量子ドット含有層塗布液>
・多官能アクリレート系化合物 58.11質量部
(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート;新中村化学工業社の商品名「ABE-300」)
・多官能チオール化合物 38.74質量部
(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート);SC有機化学社の商品名「PEMP」)
・光重合開始剤 0.5質量部
(IGM Resins B.V.社の商品名「Omnirad TPO H」)
・上記「2」で作製した量子ドット分散液 1.61質量部
・酢酸 0.79質量部
・酸化チタン 0.25質量部
(Chemours社の商品名「タイピュア R-706」;粒子径0.36μm)
[実施例2~14]
有機被覆層B及びプライマー層Dの厚みを表1の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~14のバリアフィルム及び波長変換シートを得た。
但し、実施例9~14のプライマー層は、下記のプライマー層形成用塗布液2から形成した。また、実施例9~14のプライマー層の屈折率nは1.58であった。
<プライマー層形成用塗布液2>
・ポリエステルポリウレタンポリオール 50質量部
(水酸基価:52mgKOH/g、固形分20質量%)
・シランカップリング剤 1質量部
(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)
・シリカフィラー 1質量部
(平均粒径5μm)
・硬化剤 1質量部
(1,3-キシレンジイソシアネート、固形分35%)
・溶剤 50質量部
(メチルエチルケトン)
[比較例1]
有機被覆層B上にプライマー層Dを形成し、無機酸化物層Cを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1のバリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[比較例2~15]
有機被覆層B及びプライマー層Dの厚みを表2の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2~15のバリアフィルム及び波長変換シートを得た。
但し、比較例12~15のプライマー層は、上記のプライマー層形成用塗布液2から形成した。また、比較例12~15のプライマー層の屈折率nは1.58であった。
Figure 0007036185000002
Figure 0007036185000003
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例のバリアフィルムは、波長変換シートに適用した際に、色味の変化を抑制し得ることが確認できる。
一方、比較例のバリアフィルムは、波長変換シートに適用した際に、色味の変化を抑制できないことが確認できる。比較例1のバリアフィルムは、tが150nm~500nmであり、かつ、t/tが0.55~1.65であるが、無機酸化物層Cを有さないため、バリア性が劣り、色味の変化を抑制できないものであった。比較例2~15のバリアフィルムは、t及びt/tの少なくとも何れかが所定の範囲外であるため、色味の変化を抑制できないものであった。
10:光透過性基材
21:無機酸化物層A
22:無機酸化物層C
30:有機被覆層B
40:プライマー層D
50:量子ドット含有層
100:バリアフィルム
100a:バリアフィルム
100b:バリアフィルム
200:波長変換シート
210:光源
220:光学板
221:導光板
222:拡散板
230:反射板
240:プリズムシート
300:バックライト
301:エッジライト型バックライト
302:直下型バックライト

Claims (5)

  1. 光透過性基材上に、無機酸化物層A、有機被覆層B、無機酸化物層C、及びプライマー層Dをこの順に有してなり、
    前記光透過性基材、前記無機酸化物層A、前記有機被覆層B、前記無機酸化物層C、及び前記プライマー層Dの厚みを、それぞれ、t、t、t、t、及びtと定義した際に、
    200nm~450nmであり、かつ、
    /tが0.55~1.65である、
    液晶表示装置のバックライト光源の波長変換シート用のバリアフィルム。
  2. 前記無機酸化物層A及び前記無機酸化物層Cが、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含む、請求項1に記載のバリアフィルム。
  3. 量子ドットを含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の両側に積層されてなるバリアフィルムを有する波長変換シートであって、前記バリアフィルムとして、請求項1又は2に記載のバリアフィルムの光透過性基材とは反対側の面が前記量子ドット含有層側を向くように積層してなる、波長変換シート。
  4. 一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された波長変換シートとを備えたバックライトにおいて、前記波長変換シートが請求項3に記載の波長変換シートであるバックライト。
  5. バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが請求項4に記載のバックライトである液晶表示装置。
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