以下、本発明の実施形態に係る光波長変換粒子、光波長変換分散液、光波長変換組成物、光波長変換部材、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「シート」、「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」は、フィルムとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられ、また「フィルム」はシートとも呼ばれ得るような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る光波長変換粒子の概略構成図であり、図2は本実施形態に係る光波長変換シートの概略構成図であり、図3は本実施形態に係る光波長変換シートの作用を示す図であり、図4〜図6、図8、図9は本実施形態に係る他の光波長変換シートの概略構成図であり、図7は図6の光波長変換シートのI−I線に沿った断面図であり、図10および図11は本実施形態に係る光波長変換シートの製造工程を模式的に示す図である。
<<<光波長変換粒子>>>
図1に示される光波長変換粒子1は、入射する光の波長を他の波長に変換する粒子である。光波長変換粒子1は、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素(以下、この元素を「特定の元素」と称する。)およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子2と、樹脂粒子2に内包された1以上の量子ドット3とを含む。図1に示される光波長変換粒子1は、樹脂粒子2の表面を覆う被覆層4をさらに備えている。光波長変換粒子1は、樹脂粒子2および量子ドット3を備えていれば、被覆層4を備えていなくともよい。
光波長変換粒子1においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子1中の特定の元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。特定の元素の含有量が0.5質量%未満であると、量子ドットの劣化を抑制できないおそれがある。特定の元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。特定の元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とする。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子1中の特定の元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、特定の元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。特定の元素の含有量が20質量%を越えると、光波長変換粒子の形成時に充分な硬化が行われないおそれがある。なお、光波長変換粒子が2種以上の特定の元素を含む場合には、上記含有量は特定の元素の合計の含有量を意味するものとする。
光波長変換粒子1の平均粒子径は、量子ドット3の平均粒子径の2倍以上であることが好ましい。光波長変換粒子1の平均粒子径が、量子ドット3の平均粒子径の2倍以上であると、量子ドット3からの光波長変換粒子1の表面までの距離を充分に確保できるので、水分や酸素から量子ドット3の劣化をより抑制できる。光波長変換粒子1の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)による光波長変換粒子の観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることができる。また、量子ドット3の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡による光波長変換粒子の断面観察において量子ドット20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることができる。
光波長変換粒子1の平均粒子径は、10nm以上100μm以下であることが好ましい。光波長変換粒子の平均粒子径が、10nm未満であると、量子ドットの劣化を抑制できないおそれがあり、また100μmを超えると、分散性の悪化や光波長変換部材の加工時に欠点となりやすくなるおそれがある。光波長変換粒子1の平均粒子径の下限は、20nm以上であることが好ましく、光波長変換粒子1の平均粒子径の上限は30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
光波長変換粒子1の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光波長変換粒子1の粒子径は、光波長変換粒子1の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光波長変換粒子1は、1個あたり1個以上の量子ドット3を含んでいることが好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個を下回ると、輝度が低くなるおそれがある。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することにより求めるものとする。
光波長変換粒子1は、1個あたり2個以上の量子ドット3を含んでおり、かつ1個の光波長変換粒子1に含まれる量子ドット3における量子ドット3間の平均距離が1nm以上であることが好ましい。量子ドット間の平均距離が1nm未満であると、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれがある。量子ドット間の平均距離は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から量子ドット間の距離を算出し、算出した量子ドット間の距離の平均値を算出することにより求めるものとする。量子ドット3における量子ドット3間の平均距離の上限は100nm以下であることがより好ましい。
<<樹脂粒子>>
樹脂粒子2は、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むものである。樹脂粒子2は、2種以上の特定の元素を含んでいてもよく、また特定の元素とカルボン酸の両方を含んでいてもよい。特定の元素やカルボン酸は、樹脂粒子2中に固定されていなくともよいが、特定の元素やカルボン酸の溶出を防ぐ観点から、樹脂粒子2を構成する樹脂との結合によって樹脂粒子2中に固定されていることが好ましい。樹脂粒子2を構成する樹脂に特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを固定する場合には、特定の元素を含む化合物(以下、この化合物を「特定の化合物」と称する。)およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基を有することが好ましい。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基、エポキシ基、イソシアネート基、または水酸基が挙げられる。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基としてイソシアネート基を含む場合、樹脂粒子2を構成する樹脂の形成に用いられる重合性化合物は水酸基を含み、また特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基として水酸基を含む場合、樹脂粒子2を構成する樹脂の形成に用いられる重合性化合物はイソシアネート基を含むことが好ましい。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが重合性官能基を含むことにより、重合性化合物と重合し、樹脂粒子2中に特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを固定することができる。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが重合性官能基を含む場合、特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかは重合性官能基を1以上含んでいればよいが、2以上含んでいてもよい。
樹脂粒子2が、特定の元素やカルボン酸を含んでいるか否かは、以下のようにして確認することができる。まず、後述するように量子ドットのシェルの表面には、硫黄系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、またはカルボキシル基含有化合物等からなるリガンドが結合しているので、光波長変換粒子から特定の元素やカルボン酸が検出された場合であっても、検出された特定の元素やカルボン酸は、樹脂粒子に含まれる特定の元素やカルボン酸であるとは限らない。一方で、量子ドットのリガンドはシェルの表面に結合しており、またリガンドの配位部位の大きさは通常1nm以内程度であるので、シェルの表面から3nm以上離れた位置には存在しない。したがって、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、X線光電子分光分析(XPS)やエネルギー分散型X線分析(EDS)によって特定の元素が検出されれば、または顕微赤外分光分析(IR)によってカルボン酸が検出されれば、樹脂粒子が特定の元素やカルボン酸を含んでいると判断できる。
樹脂粒子2は、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかと、重合性化合物とを含む混合物の硬化物の粒子である。特定の元素は、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素であるが、特定の元素を組み込む場合には、特定の化合物を用いることが好ましい。特定の化合物としては、例えば、硫黄系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
<硫黄系化合物>
硫黄系化合物は、硫黄を含む化合物である。硫黄系化合物としては、特に限定されないが、チオール化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物、チオフェン化合物等が挙げられる。硫黄化合物として、チオール化合物を用いた場合には、樹脂粒子中においては、チオール化合物と重合性化合物は、チオール−エン反応により共重合体を形成していることが好ましい。チオールと重合性化合物が共重合することにより、チオール化合物を樹脂粒子中に固定することができる。なお、本実施形態では、チオール化合物と重合性化合物は別々の化合物であるが、1分子中にチオール基とラジカル重合性官能基を有するチオール化合物を用いてもよい。チオール化合物を用いる場合には、塗工時のポットライフや臭気抑制の観点から、特に2級チオール化合物または3級チオール化合物を用いるのが好ましい。
2級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に2つの炭化水素基が結合している化合物をいう。3級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に3つの炭化水素基が結合している化合物をいう。2級チオール化合物および3級チオール化合物においては、1分子中にチオール基が1以上であればよいが、量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、2以上であることが好ましい。
2級チオール化合物または3級チオール化合物としては、特に限定されないが、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
式中、R
1は置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R
2は置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、R
3は炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のn価の脂肪族基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜30の整数である。
R1のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
R2のアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。R2のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。
R1のアルキル基やR2のアルキレン基が置換されている場合、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびフェニル基等から選択される基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が挙げられる。
R1のアルキル基中またはR2のアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR4−、−CONR4−、−NR4CO−、−N=CH−および−CH=CH−からなる群から選択された少なくとも1つの基で置換されていてもよい(式中、R4はそれぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
R3の脂肪族基に含まれても良い炭素原子以外の原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
これらのうち、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、R1が置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2が置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、R3が炭素原子数1〜10の脂肪族基であり、mが1〜10であり、nが1〜15である2級チオール化合物が好ましい。ここでのR2のアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基も、上記と同様の基によって置換されていてもよい。
2級チオール化合物の具体例としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。3級チオール化合物の具体例としては、tert−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
<リン系化合物>
リン系化合物は、リンを含む化合物である。リン系化合物としては、特に限定されないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、およびホスフィン系化合物が挙げられる。これらの中でも、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、下記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
式中、qは0または1の整数であり、R
5〜R
7は、それぞれ独立して、水素、水酸基、置換されていてもよい炭素原子数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいビフェニル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよいフェノキシ基、または置換されていてもよい複素環基、または水酸基を表す。
R5〜R7のいずれかが置換基を有している場合、置換基としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、または複素環基等が挙げられる。
複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、ピラジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピロール基、ピラゾリル基、またはテトラゾリル基が挙げられる。
リン化合物としては、具体的には、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ブチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ジメチルビニルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルハイドロゼンホスファイト、ジオレイルハイドロゼンホスファイト等が挙げられる。
<窒素系化合物>
窒素系化合物は、窒素を含む化合物である。窒素系化合物としては、特に限定されないが、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、アミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物および3級アミン化合物、ジアミン化合物のいずれであってもよい。
アミン化合物としては、具体的には、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、オレイルプロピレンジアミン等が挙げられる。
<カルボン酸>
カルボン酸は、カルボキシル基を少なくとも1以上含む化合物である。カルボン酸は、カルボキシル基を2以上含んでいてもよく、また重合性官能基を含んでいてもよい。
上記カルボン酸の重量平均分子量は、揮発性し難く、分散性に優れ、また作業性が容易である観点から、150以上50000以下であることが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。上記カルボン酸の重量平均分子量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸のカルボキシル基当量(重量平均分子量/カルボキシル基数)は、量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、150以上50000以下であることが好ましい。上記カルボン酸のカルボキシル基当量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸の具体例としては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ペンタエリスリトールとアクリル酸の反応物と無水コハク酸の反応物、3−ブテン酸、10−ウンデセン酸、n−オクタン酸、ステアリン酸、アジピン酸、ドデカニン酸、4,4‘−ジカルボキシジフェニルエーテル、オクタデカンニ酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂粒子2を構成する樹脂中へのカルボン酸の固定および量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートや2−アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましい。
<重合性化合物>
重合性化合物(硬化性化合物)は、重合可能な化合物であり、例えば、電離放射線重合性化合物(電離放射線硬化性化合物)や熱重合性化合物(熱硬化性化合物)が挙げられる。本明細書における電離放射線としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
(電離放射線重合性化合物)
電離放射線重合性化合物は、分子内に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーがより好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光波長変換部材の外観が悪化するおそれがある。このため、重量平均分子量が8万を超える電離放射線重合性プレポリマーを用いている場合には、上記重合性モノマーや上記重合性オリゴマーを混合して用いることが好ましい。多官能重合性プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(熱重合性化合物)
熱重合性化合物は、分子内に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。熱重合性官能基としては、例えば、エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
エポキシ化合物は、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、ノボラックフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、これらの変性物等の芳香族系、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレンオキサイド等の脂肪族系が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等の脂肪族系エポキシ化合物、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の分子内に1個以上のエポキシ基と1個以上のエステル基を含有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
<<量子ドット>>
量子ドット3は、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有するナノサイズの半導体粒子である。量子ドット3の粒子径および平均粒子径は、例えば、1nm以上20nm以下となっている。量子ドット3は、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドット3のエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドット3の粒子径又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドット3は、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。
具体的には、量子ドット3は粒子径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドット3の発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドット3の粒子径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドットが後述するCdSe/ZnSから構成されている場合には、量子ドットの粒子径が2.0nm以上4.0nm以下の場合は青色光を発し、量子ドットの粒子径が3.0nm以上6.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドットの粒子径が4.5nm以上10.0nm以下の場合は赤色光を発する。なお、上記においては、青色光を発する量子ドットの粒子径と緑色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しており、また緑色光を発する量子ドットの粒子径と赤色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しているが、同じ粒子径を有する量子ドットであっても、量子ドットのコアの大きさによっても発光色が異なる場合があるので、何ら矛盾するものではない。
量子ドット3としては、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒子径または材料等が異なることにより、それぞれ単独の波長域の発光帯を有する2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。図1に示される量子ドット3は、第1の量子ドット3Aと、第1の量子ドット3Aとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドット3Bとを含んでいる。
量子ドット3は、所望の狭い波長域で強い蛍光を発生することができる。このため、光波長変換シートを用いたバックライト装置は、色純度の優れた三原色の光で、表示パネルを照明することができる。この場合、表示パネルは、優れた色再現性を有することになる。
量子ドット3は、例えば、第1の半導体化合物からなるコアと、およびこのコアを覆い、かつ第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、シェルの表面に結合したリガンドとから構成されている。
コアを構成する第1の半導体化合物としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶が挙げられる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。これらの中でも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒子径の制御性等の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
シェルを構成する第2の半導体化合物としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを構成する第1の半導体化合物よりもバンドギャップの高い半導体化合物を用いることが好ましい。これにより、量子ドットの発光効率を高めることができる。シェルを構成する第2の半導体化合物としては、例えば、ZnS、ZnSe、CdS、GaN、CdSSe、ZnSeTe、AlP、ZnSTe、ZnSSe等が挙げられる。
コアとシェルからなるコアシェル構造(コア/シェル)の具体的な組み合わせとしては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InP/ZnSSe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
リガンドは、不安定な量子ドットを安定化させるためのものである。リガンドとしては、チオール等の硫黄系化合物、ホスフィン系化合物またはホスフィン酸化物等のリン系化合物、アミン等の窒素系化合物、カルボキシル基含有化合物等が挙げられる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒子径は、量子ドットの形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットの粒子径、平均粒子径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡により得ることができる。また、量子ドットは粒子径によって発光色が変化するので、量子ドットの発光色の確認から量子ドットの粒子径を求めることも可能である。また、量子ドットの結晶構造、結晶子サイズについては、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒子径等に関する情報を得ることもできる。
<<被覆層>>
被覆層4は、樹脂粒子3の表面を被覆するものである。被覆層4は、容易に樹脂粒子3の表面全体を覆うことができる点から、コート層であることが好ましい。被覆層4の機能は、特に限定されないが、例えば、被覆層4は、樹脂粒子の形状保持機能、樹脂粒子中の成分の粒子外への溶出防止機能、樹脂粒子内への分散液や組成物中の成分の浸透防止機能、酸素や水蒸気に対するバリア性付与機能、樹脂粒子に入射する励起光の反射防止機能、および分散液や組成物としたときの樹脂粒子分散性付与機能の少なくともいずれかの機能を有する。
被覆層4の膜厚は、被覆層4が発揮する機能にもよるが、製造のしやすさおよび樹脂粒子を適度な大きさとする観点から、10nm以上5000nm以下となっていることが好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましい。特に被覆層4がバリア性付与機能を発揮する場合には、バリア性を保ちつつ、被覆層のクラック等を防止する観点から被覆層4の膜厚は50nm以上1000nm以下となっていることがより好ましい。また、被覆層4が反射防止機能を発揮し、かつ屈折率が後述するバインダ樹脂<被覆層<樹脂粒子の関係またはバインダ樹脂>被覆層>樹脂粒子の関係を満たす場合には、光波長変換粒子1表面での反射を抑制し、励起光を効率よく樹脂粒子2内に取り込む観点から被覆層4の膜厚は50nm以上300nm以下となっていることがより好ましい。被覆層4の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換粒子1の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換粒子1の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
被覆層4の機能にもよるが、被覆層4が樹脂粒子の形状保持機能を有する場合には、被覆層4は、例えば、重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが可能である。重合性化合物は、樹脂粒子2の形成に用いる重合性化合物と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。これらの中でも、樹脂粒子と被覆層の密着性向上の観点から、例えば、樹脂粒子を電離放射線重合性化合物から形成する場合には電離放射線重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが好ましく、樹脂粒子を熱重合性化合物で形成する場合には熱重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが好ましい。
被覆層4として、水分や酸素の透過を抑制するバリア層を形成する場合には、バリア層の構成材料としては、例えば、無機酸化物が挙げられる。具体的には、上記無機酸化物としては、例えば、シリカ等の酸化ケイ素(SiOx)、アルミナ等の酸化アルミニウム(AlnOm)、酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiOxNyCz)等が挙げられ、これらの中でも、酸素や水蒸気の透過性が低いという観点からガラス等のシリカまたはアルミナが好ましい。これらの材料は、単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、酸化物半導体を除く無機酸化物を用いることも可能である。
バリア層は、後述するバインダ樹脂16との密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤で表面修飾されていることが好ましい。シランカップリング剤としては、硬化後にバインダ樹脂16となる重合性化合物の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、重合性化合物としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
<<<光波長変換粒子の製造方法>>>
このような光波長変換粒子は、例えば、以下の方法によって作製することができる。まず、量子ドット、上記特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれか、および上記重合性化合物を含む光波長変換粒子用組成物を硬化させて、光波長変換粒子用組成物の硬化物を得る。そして、この硬化物を、例えば、ビーズミルによって、粉砕する。これにより、表面が樹脂粒子の表面となった光波長変換粒子を得ることができる。光波長変換粒子用組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。なお、被覆層を備える光波長変換粒子は、上記樹脂粒子の表面に被覆層を形成することによって、得ることができる。
また、光波長変換粒子は、以下の方法によっても作製することもできる。まず、量子ドット、上記特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれか、および上記重合性化合物を含む光波長変換粒子用組成物を、水等の貧溶媒中で粒状に分散させる。そして、光波長変換粒子用組成物を粒状に分散させた状態で、光波長変換粒子用組成物中の重合性化合物を、例えば懸濁重合または乳化重合などによって重合させて、表面が樹脂粒子の表面となった光波長変換粒子を得ることができる。「貧溶媒」とは、光波長変換粒子用組成物がほぼ溶解しない溶媒を意味し、水等の極性溶媒が挙げられる。光波長変換粒子用組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。なお、この場合も、被覆層を備える光波長変換粒子は、上記と同様に上記樹脂粒子の表面に被覆層を形成することによって、得ることができる。
上記樹脂粒子の表面に被覆層としてバリア層を形成する場合、バリア層はゾルゲル法を用いて作製することができる。具体的には、まず、樹脂粒子に、適量の例えばテトラエトキシシラン等の金属アルコキシド(1)を添加して、適度に加水分解させることで、樹脂粒子の表面を金属アルコキシド(1)の加水分解物で置換する。このような液体を有機溶剤Aとする。一方で、水溶液中に例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド(2)を分散させ、部分的に加水分解することで水溶液Bを得る。ここで、金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解速度が遅いものを選択する。そして、有機溶液Aと水溶液Bを混合することで、金属アルコキシド(1)が覆われた樹脂粒子の表面にさらに金属アルコキシド(2)の層が形成される。樹脂粒子は、水相に沈殿する。表面付近にある金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解の速度が遅いので、水相に沈殿したときに樹脂粒子の表面のアルコキシドが一気に脱水縮合し、大きな塊となることを防ぐ。水相中の樹脂粒子にさらにシリカガラス層等の無機酸化物層を堆積させる。これは、通常のストーバー法により、アルカリ性領域でわずかな量の金属アルコキシド(3)を、大量の水とアルコールで加水分解し、核となる樹脂粒子に堆積させることで行える。これにより、バリア層を形成することができる。
量子ドットが耐熱性試験や耐湿熱性試験によって劣化しやすいのは、以下のことが原因であると考えられる。まず、上記したように、量子ドットの表面には硫黄系化合物やリン系化合物等からなるリガンドが配位しているが、このリガンドは光や熱で脱離しやすい。リガンドが量子ドットから脱離すると、量子ドットに水分や酸素が付着しやすくなるので、量子ドットは、酸化され、劣化してしまう。これにより、量子ドットが耐熱性試験や耐湿熱性試験によって劣化してしまうものと考えられる。これに対し、本実施形態においては、量子ドット3を包む樹脂粒子2が硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含んでいるので、量子ドット3の近傍に硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかを存在させることができ、これにより優れた耐熱性および耐湿熱性を有する光波長変換粒子1を得ることができる。これは、リガンドが量子ドットから脱離した場合であっても、樹脂粒子2中に存在する硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかがリガンドの役割を補助するような機能(例えば、リガンドの代わりに量子ドットに結合して、リガンドを代替する機能および酸素を捕捉する機能の少なくともいずれかの機能)を発揮するので、量子ドットの劣化が抑制されるためであると考えられる。
上述したように、本実施形態においては、量子ドット3を包む樹脂粒子2が硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むので、このような元素やカルボン酸を含まない樹脂粒子に比べて、量子ドット3の劣化を抑制することができるが、量子ドットの中には、量子ドットの表面の一部が樹脂粒子の表面に露出しているものも存在する。被覆層4が、水分や酸素の透過を抑制するバリア層である場合には、量子ドット3の一部が樹脂粒子2の表面に露出している場合であっても、バリア層によって樹脂粒子2から一部が露出している量子ドット3と水分や酸素との接触を抑制することができるので、量子ドットの劣化をより抑制できる。これにより、より優れた耐熱性および耐湿熱性を有する光波長変換粒子1を得ることができる。
量子ドットを直接ガラス粒子に内包させた場合には、水分や酸素の浸入を抑制できるものの、脆いので、製造時や加工時、または耐熱性試験や耐湿熱性試験の際にクラックによる欠陥が発生しやすく、安定な品質を有する光波長変換粒子が得られにくい。これに対し、本実施形態においては、量子ドット3を樹脂粒子2に内包させているので、優れた柔軟性を有し、クラックによる欠陥を抑制することができる。これにより、安定な品質を有する光波長変換粒子1を提供することができる。被覆層4がバリア層である場合、量子ドットを直接ガラス粒子に内包させた場合よりも、柔軟性を有し、クラックによる欠陥を抑制することができる。
<<<光波長変換粒子分散液>>>
光波長変換粒子分散液は、分散媒と、分散媒中に分散された光波長変換粒子1とを含むものである。分散媒としては、特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコ−ル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、量子ドットの分散性を向上させる観点から、エタノールやトルエンが好ましい。
光波長変換粒子分散液の光波長変換粒子1の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光波長変換粒子の含有量が1質量%未満であると、充分な波長変換機能を得られないおそれがあり、また、光波長変換粒子1の含有量が50質量%を超えると、沈殿を生じて分散液における分散性が不十分となるおそれがある。
<<<光波長変換組成物>>>
光波長変換組成物は、光波長変換粒子1と、硬化後に後述するバインダ樹脂16となる重合性化合物とを含むものである。光波長変換組成物は、光波長変換粒子1および重合性化合物の他、重合開始剤をさらに含んでいてもよい。光波長変換組成物は、光散乱性粒子をさらに含んでいることが好ましく、また添加剤や溶剤を含んでいてもよい。
光波長変換組成物の粘度は、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。光波長変換組成物の粘度が、10mPa・s未満であると、充分な膜厚を形成することが困難な場合があり、また10000mPa・sを超えると、光波長変換組成物を塗布する際に塗出が困難となり、レベリング性が悪くなるおそれがある。光波長変換組成物の粘度の下限は10mPa・s以上であることが好ましく、光波長変換組成物の粘度の上限は10000mPa・s以下であることが好ましい。
光波長変換組成物の全固形分質量に対する光波長変換粒子の含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光波長変換粒子の含有量が1質量%未満であると、充分な発光強度が得られないおそれがあり、また、光波長変換粒子の含有量が40質量%を超えると、製膜時の加工が困難となる場合がある。
光波長変換組成物の全固形分質量に対する重合性化合物の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上99質量%以下であることが好ましい。重合性化合物の含有量が30質量%未満であると、光波長変換組成物を硬化させる際に充分な硬化性が得られないおそれがある。なお、光波長変換組成物が電離放射線重合性化合物および熱重合性化合物の両方を含む場合には、上記含有量は電離放射線重合性化合物および熱重合性化合物の合計の含有量を意味するものとする。
<<重合性化合物>>
重合性化合物は、樹脂粒子2で説明した重合性化合物と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<重合開始剤>>
重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルやイオン種を発生させて重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。重合開始剤としては、光重合開始剤(例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤)、熱重合開始剤(例えば、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤)、またはこれらの混合物が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO(いずれもBASFジャパン社製)、NCI−930(ADEKA社製)、SPEEDCURE EMK(日本シーベルヘグナー社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。これらの中でも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の各種オニウム塩類等が挙げられる。上記熱カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(いずれもADEKA社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(いずれも三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)等が挙げられる。
光波長変換組成物中における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量が、0.3質量部未満であると、重合性化合物が硬化しにくく、また、5.0質量部を超えると、光波長変換シートが黄変してしまうおそれがある。
<<光散乱性粒子>>
光散乱性粒子は、後述する光波長変換層や光波長変換部に進入した光を散乱させることによって光の進行方向を変化させる作用を有する粒子である。
光散乱性粒子の平均粒子径は、量子ドットの平均粒子径の20倍以上2000倍以下であることが好ましく、50倍以上1000倍以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の20倍未満であると、光波長変換層や光波長変換部において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2000倍を超えると、添加量が同じであっても光散乱性粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られないおそれがある。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドットの平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、光散乱性粒子の平均粒子径は、後述する光波長変換層の平均膜厚の1/300以上1/20以下であることが好ましく、1/200以上1/30以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/300未満であると、光波長変換層において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/20を超えると、添加量が同じであっても光波長変換部材に対する光散乱性粒子の割合が低下するため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
具体的には、光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光散乱性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、添加量(質量%)が同じであっても光散乱粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
光散乱性粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光散乱性粒子の粒子径は、光散乱性粒子の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で表面処理されることによって、後述するバインダ樹脂と化学結合させることができる。
シランカップリング剤としては、用いる重合性化合物の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、チオール基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、チオール基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、重合性化合物としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、チオール基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
光散乱性粒子は、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、およびウレタン樹脂粒子等の有機粒子であってもよいが、耐熱性試験の前後における輝度変化率を小さくことができ、また光波長変換シートへの入射光を好適に散乱させることが可能となり、この入射光に対する光波長変換効率の向上を好適に図ることできることから、無機粒子が好ましい。
無機粒子は、Al2O3等のアルミニウム含有化合物、ZrO2等のジルコニウム含有化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)や酸化インジウムスズ(ITO)等のスズ含有化合物、MgOやMgF2等のマグネシウム含有化合物、TiO2やBaTiO3等のチタン含有化合物、Sb2O5等のアンチモン含有化合物、SiO2等のケイ素含有化合物、およびZnO等の亜鉛含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、バインダ樹脂との屈折率差を大きくすることができるので、大きなミー散乱強度を得ることができる観点からも好ましい。光波長変換シート10による入射光に対する光波長変換効率の向上をより好適に図ることができることから、光散乱性粒子は、2種以上の材料からなるものであってもよい。
光波長変換組成物の全固形分質量に対する光散乱性粒子の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の含有量が1質量%未満であると、光散乱効果が充分に得られないおそれがあり、また、光散乱性粒子の含有量が50質量%を超えると、ミー散乱が起こり難くなるので、光散乱効果を充分に得られないおそれがあり、さらに光散乱性粒子が多すぎるために加工性が低下するおそれがある。
<<添加剤>>
添加剤としては、特に限定されないが、量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物が好ましい。量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物、カルボシキシ基含有化合物、ヒドラジン系化合物、アミド系化合物、およびヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。添加剤は、電離放射線重合性官能基や熱重合性官能基等の重合性官能基を有していてもよい。
<<溶剤>>
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコ−ル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられる。
<<<光波長変換部材>>>
光波長変換部材は、光波長変換粒子1を含むものである。光波長変換部材は、光波長変換部材が組み込まれる箇所等によって、適宜、形状や構造を変えることができる。例えば、光波長変換部材は、次に説明するような光波長変換シート、後述する光源、または光源近傍に設置されるキャピラリであってもよい。また、光波長変換部材は、カラーフィルタであってもよい。光波長変換部材がカラーフィルタである場合には、例えば、青色着色層に代えて青色発光量子ドットを含む光波長変換粒子を含む光波長変換層を用い、緑色着色層に代えて緑色発光量子ドットを含む光波長変換粒子を含む光波長変換層を用い、赤色着色層に代えて赤色発光量子ドットを含む光波長変換粒子を含む光波長変換層を用いればよい。
<<<光波長変換シート>>>
図2に示される光波長変換シート10は、光波長変換部材の一形態であり、入射する光のうち一部の光の波長を他の波長に変換し、入射した光の他の一部および波長変換された光を出射させるシートである。図2に示される光波長変換シート10は、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面に設けられた光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13における光波長変換層11側の面とは反対側に設けられた光拡散層14、15とを備えている。
光波長変換シート10においては、光拡散層14、15の表面が光波長変換シート10の表面10A、10Bを構成している。光波長変換シート10は、光透過性基材12、13を備えているが、バリア層を備えていないので、光透過性基材およびバリア層からなるバリアフィルムを備えていない。なお、光波長変換シート10は、光拡散層14/光透過性基材12/光波長変換層11/光透過性基材13/光拡散層15の構造となっているが、光波長変換層を有していれば、光波長変換シートの構造は特に限定されない。
光波長変換シート10においては、図3に示されるように、光波長変換シート10の表面10Aから光を入射させた場合には、光波長変換層11中の量子ドット3に入射した光L1は光L1とは異なる波長の光L2に変換されて、表面10Bから出射する。一方、表面10Aから光を入射させた場合であっても、光波長変換層11中の量子ドット3間を通過する光L1は波長変換されずに、表面10Bから出射する。
光波長変換シート10においては、光波長変換粒子1が優れた耐熱性および耐湿熱性を有するため、シート全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)が0.1g/(m2・24h)以上となっていてもよい。水蒸気透過率はJIS K7129:2008に準拠した手法で得られる数値である。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。水蒸気透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。従来の光波長変換シートはバリアフィルムが形成されているので、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水蒸気透過率が高くなっている、すなわち、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水分が透過しやすい。後述するように、光波長変換シートが、光波長変換層の他、光学部材を備えている場合には、水蒸気透過率は光学部材を含めた光波長変換シート全体での水蒸気透過率である。
光波長変換シート10においては、光波長変換粒子1が優れた耐熱性および耐湿熱性を有するため、シート全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)が0.1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。光波長変換シート10は、上記水蒸気透過率および上記酸素透過率を同時に満たすものであってもよい。酸素透過率はJIS K7126:2006に準拠した手法で得られる数値である。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。酸素透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。従来の光波長変換シートはバリアフィルムが形成されているので、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて酸素透過率が高くなっている、すなわち、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水分のみならず酸素が透過しやすい。上記と同様に、光波長変換シートが、光波長変換層の他、光学部材を備えている場合には、酸素透過率は光学部材を含めた光波長変換シート全体での酸素透過率である。
光波長変換シート10における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m2・24h)以上となっていてもよく、また光波長変換シート10における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。
光波長変換シート10における内部ヘイズ値は50%以上となっていることが好ましい。内部ヘイズは、光波長変換シートの内部に起因するヘイズ値であり、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状を加味しないものである。光波長変換シート10の内部ヘイズ値が50%以上であることにより、内部ヘイズによって光を充分に拡散させて、量子ドットを複数回励起させることができ、また、外部ヘイズ値をより小さくすることができる。光波長変換シート10における内部ヘイズ値は60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
光波長変換シート10における外部ヘイズ値は10%以下(0%を含む)であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。外部ヘイズ値は、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状のみに起因するものである。光波長変換シート10の外部ヘイズ値が10%以下であることにより、レンズシート等の再帰反射性シートで再帰反射が生じやすくなる。
光波長変換シート10においては、光波長変換シート10の外部ヘイズ値は光波長変換シート10の内部ヘイズ値よりも小さくなっていることが好ましい。すなわち、光波長変換シート10は、下記式の関係を満たしていることが好ましい。
内部ヘイズ値>外部ヘイズ値
内部ヘイズ値および外部ヘイズ値は、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、求めることができる。具体的には、まず、ヘイズメーターを用いて、JIS K7136:2000に従って光波長変換シートの全ヘイズ値を測定する。その後、光波長変換シートの両面に、膜厚が25μmの透明光学粘着層(製品名「パナクリーンPD−S1」、パナック社製)を介して厚みが60μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TD60UL」、富士フイルム社製)を貼り付ける。これによって、光波長変換シートの表面の凹凸形状が潰れ、光波長変換シートの表面が平坦化される。そして、この状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136:2000に従ってヘイズ値を測定することで内部ヘイズ値を求める。また、外部ヘイズ値は、全ヘイズから内部ヘイズを差し引くことによって求められる。本明細書における「外部ヘイズ値」は、光波長変換シート全体の外部ヘイズ値を意味する。すなわち、本明細書における外部ヘイズ値は、光波長変換シートの一方の表面における外部ヘイズ値と光波長変換シートの他方の表面における外部ヘイズ値の合計を意味する。内部ヘイズ値および外部ヘイズ値は、それぞれ3回測定して得られた値の算術平均値とする。
内部ヘイズ値と外部ヘイズ値は関係性がある。具体的には、内部ヘイズ値が大きくなると、同一の表面凹凸を有する場合でも外部ヘイズが小さくなる傾向がある。これは、以下の理由からであると考えられる。JIS K7136:2000には、ヘイズは、試験片を通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率であることが規定されている。すなわち、ヘイズの定義においては入射光に対し2.5°以上それた透過光はヘイズとして測定されるが、入射光に対し2.5°未満の透過光であればヘイズとして測定されない。一方で、内部ヘイズが大きい光波長変換シートにおいては、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、光はシート内部でより散乱されるので、シート表面に到達する入射光に対して2.5°未満の透過光は少なくなる。このため、内部ヘイズが大きい光波長変換シートと内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートが同一の表面凹凸を有する場合、内部ヘイズが大きい光波長変換シートの方が、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、表面凹凸による影響が少なくなる。したがって、シート表面に存在する表面凹凸の影響のみを考えた場合、内部ヘイズが大きい光波長変換シートと内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートが同じ表面凹凸を有していたとしても、内部ヘイズが大きい光波長変換シートの方が、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、表面凹凸から出射する入射光に対して2.5°未満の透過光のみならず、表面凹凸から出射する入射光に対して2.5°以上それた透過光も、少なくなる。よって、内部ヘイズ値が大きくなると、同一の表面凹凸を有する場合でも外部ヘイズが小さくなると考えられる。
光波長変換シート10において、光波長変換シート10の外部ヘイズ値を光波長変換シート10より小さくするためには、例えば、光波長変換シート10の内部に光散乱性粒子を添加することが挙げられる。光波長変換シートがバリアフィルムおよび光拡散層の少なくともいずれかを備えている場合には、光散乱性粒子は、光波長変換層11の他、バリアフィルム中にも添加されてもよく、また光拡散層中にも添加されてもよい。光散乱性粒子が添加された層が最外層である場合には、外部ヘイズを伴うことがあるため、最外層の表面凹凸を制御することにより上記の内部ヘイズと外部ヘイズの関係性を満たすことができる。
光波長変換シート10における内部ヘイズ値に対する外部ヘイズ値の割合(外部ヘイズ値/内部ヘイズ値)は、0以上0.1以下であることが好ましく、0以上0.05以下であることがより好ましい。この割合がこの範囲内にあれば、内部ヘイズによって光を充分に拡散させて、量子ドットを複数回励起させることができる。
光波長変換シート10の表面10A、10Bの算術平均粗さ(Ra)は、それぞれ0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。光波長変換シート10の表面10A、10BのRaが0.1μmであることが好ましいとしたのは、以下の理由からである。光波長変換シートはバックライト装置内では後述する光学板やレンズシートと接触するが、光波長変換シートと光学板やレンズシートとが貼り付いてしまうと、光波長変換シートと光学板との間の界面や光波長変換シートとレンズシートとの間の界面にウエットアウトと呼ばれる水で濡らしたようなパターンが形成されてしまうおそれがあるので、光波長変換シート10と光学板やレンズシートとの貼り付きを防止するために、Raは、0.1μm以上であることがより好ましい。
上記「Ra」の定義は、JIS B0601:1994に従うものとする。Raは、例えば、表面粗さ測定器(製品名「SE−3400」、小坂研究所社製)を用いて測定することができる。Raは、光波長変換シート10の表面10A、10Bの目視で異常のない箇所(大きい異物や擦りキズ等がない箇所)において、ランダムに15点測定して得られた値の算術平均値とする。
青色光を発する光源を用い、青色光を緑色光に変換する量子ドットおよび青色光を赤色光に変換する量子ドットの両方を含む光波長変換シート10に照射したとき、光波長変換シートにおける透過光のうち青色光の光強度のピーク値に対する緑色光の光強度のピーク値の割合(緑色光の光強度のピーク値/青色光の光強度のピーク値)は、0.3以上2.0以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
また光波長変換シート10における透過光のうち青色光の光強度のピーク値に対する赤色光の光強度のピーク値の割合(赤色光の光強度のピーク値/青色光の光強度のピーク値)は、0.3以上2.0以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
本明細書における「青色光」とは、380nm以上480nm未満の波長域を有する光であり、「緑色光」とは、480nm以上590nm未満の波長域を有する光であり、「赤色光」とは、590nm以上750nm以下の波長域を有する光である。また、上記各光の光強度は、分光放射輝度計(例えば、製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて測定することができる。
光波長変換シート10の厚みは、10μm以上500μm以下となっていることが好ましい。光波長変換シート10の平均厚みがこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。
光波長変換シート10の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート10の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換シート10の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの平均値とする。SEMでの測定の際には、加速電圧を30kVとし、倍率を1000〜7000倍とすることが好ましい。
<<光波長変換層>>
光波長変換層11は、光波長変換粒子1と、重合性化合物の硬化物であるバインダ樹脂16とを含んでいる。図2に示される光波長変換層11はさらに光散乱性粒子17を含んでいる。光散乱性粒子17を含むことにより、光波長変換効率および内部ヘイズを高めることができる。なお、光波長変換層11に含まれる光散乱性粒子17は、上記で説明した光散乱性粒子と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
光波長変換層11の膜厚は、10μm以上200μm以下となっていることが好ましい。この光波長変換層11の平均厚みがこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。光波長変換層11の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換層11の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換層11の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。光波長変換層11の平均膜厚の上限は170μm未満であることがより好ましい。
光散乱性粒子17とバインダ樹脂16との屈折率差の絶対値は、充分な光散乱を得る観点から、0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。なお、光散乱性粒子17の屈折率とバインダ樹脂16の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。ここで、光波長変換層に含有させる前の光散乱性粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、ベッケ法、最小偏角法、偏角解析、モード・ライン法、エリプソメトリ法等によって測定することができる。また、光波長変換層11中のバインダ樹脂16の屈折率は、例えば、光波長変換層11中からバインダ樹脂16の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法によりバインダ樹脂16の屈折率をそれぞれ測定し、測定したバインダ樹脂16の屈折率の10個の平均値として求めることができる。また、光散乱性粒子17の屈折率は、例えば、バインダ樹脂16から光散乱性粒子17の表面の一部が露出した欠片を光波長変換層11中から切り出し等により取り出し、取り出した欠片において、ベッケ法により表面が露出した10個の光散乱性粒子17の屈折率をそれぞれ測定し、測定した光散乱性粒子17の屈折率の10個の平均値として求めることができる。ベッケ法とは、屈折率が既知の屈折率標準液を用い、上記欠片をスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に屈折率標準液を滴下し、屈折率標準液で欠片を浸漬し、その様子を顕微鏡観察によって観察し、バインダ樹脂や光散乱性粒子の表面と屈折率標準液の屈折率が異なることによってバインダ樹脂や光散乱性粒子の表面に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる屈折率標準液の屈折率を、バインダ樹脂や光散乱性粒子の屈折率とする方法である。なお、取り出した欠片において、光散乱性粒子の表面が露出していない場合には、光散乱性粒子の表面はバインダ樹脂によって覆われているので、光散乱性粒子の周囲に存在するバインダ樹脂と屈折率差が生じない。このため、光散乱性粒子の周囲に存在するバインダ樹脂との屈折率差をベッケ法等で測定することによって、光散乱性粒子の表面の一部が露出しているか否か判断することができる。このほか、位相シフトレーザー干渉顕微鏡(エフケー光学研究所製の位相シフトレーザー干渉顕微鏡や溝尻光学工業所製の二光束干渉顕微鏡等)を用いてバインダ樹脂と光散乱性粒子との屈折率差を測定することができる。
<<光透過性基材>>
光透過性基材12、13の厚みは、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましい。光透過性基材12、13の厚みが、10μm未満であると、光波長変換シートのアッセンブリ、取扱い時における皺や折れが発生するおそれがあり、また300μmを超えると、ディスプレイの軽量化および薄膜化に適さないおそれがある。光透過性基材12、13の厚みのより好ましい下限は50μm以上、より好ましい上限は200μm以下である。
光透過性基材12、13の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、光透過性基材12、13の断面を撮影し、その断面の画像において光透過性基材12、13の厚みを20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
光透過性基材12、13の構成原料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。光透過性基材12、13の構成材料としては、好ましくは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。
光透過性基材12、13は、単一の基材から構成されていてもよいが、複数の基材から構成される積層基材であってもよい。このような積層基材は、用途に応じて、同種の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよい。
<<光拡散層>>
光拡散層14、15は、表面に凹凸形状を有しており、この凹凸形状によって光波長変換シート10に入射する光および出射する光を拡散させることができる。光拡散層14、15を設けることにより、光波長変換シート10における光波長変換効率をより高めることができる。光拡散層14、15は、光散乱性粒子とバインダ樹脂とを含んでいる。
<光散乱性粒子>
光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、主に、光拡散層14、15の表面に凹凸形状を形成するとともに光散乱性機能を発揮するためのものである。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドット3の平均粒子径の10倍以上2万倍以下であることが好ましく、10〜5000倍であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の10倍未満であると、光拡散層に充分な光拡散性が得られないことがあり、また光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2万倍を超えると、光拡散層の光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドットの平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
具体的には、光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光拡散性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が30μmを超えると、光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差の絶対値は、0.02以上0.15以下であることが好ましい。0.02未満であると、光学的に光散乱性粒子の持つ屈折率による光拡散性が得られず、光波長変換シートの光波長変換効率の向上が不充分となることがあり、0.15を超えると、光拡散層の透過率が低下してしまうことがある。光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差のより好ましい下限は0.03以上、より好ましい上限は0.12以下である。なお、光散乱性粒子の屈折率とバインダ樹脂の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。光散乱性粒子およびバインダ樹脂の屈折率は、光散乱性粒子17およびバインダ樹脂の屈折率と同様の手法によって測定することができる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の形状は光波長変換層11中の光散乱性粒子17の形状と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、バインダ樹脂と化学結合していることが好ましい。この化学結合は、シランカップリング剤で表面修飾された光散乱性粒子を用いることによって実現できる。シランカップリング剤は、光波長変換層中の光散乱性粒子の欄で説明したシランカップリング剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
光散乱性粒子は、有機材料からなる粒子または無機材料からなる粒子であってもよい。光散乱性粒子を構成する有機材料としては特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、メラミン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。なかでも、架橋アクリル樹脂が好適に用いられる。また、上記光拡散粒子を構成する無機材料としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物等が挙げられる。なかでも、シリカ及び/又はアルミナが好適に用いられる。
<バインダ樹脂>
光拡散層14、15のバインダ樹脂としては、重合性化合物の硬化物を用いることができる。重合性化合物としては、光波長変換組成物に含まれる重合性化合物と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図4に示されるように、光波長変換層11のみ(単層構造)の光波長変換シート20であってもよい。また、光波長変換シートは、図5に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11を支持する光透過性基材31とを備える光波長変換シート30であってもよい。光透過性基材31を備えることにより、光波長変換シート20より光波長変換シートの強度を高めることができる。
<光透過性基材>
光波長変換シート30の光透過性基材31としては、光透過性基材12、13と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図6および図7に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11の少なくとも一方の面側に配置され、かつ光波長変換層11と一体化された光学部材41とを備える光波長変換シート40であってもよい。
<光学部材>
本明細書において、「光学部材」とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性など)を有する部材を意味し、光学的特性を有するシート(フィルム)状ないし板状の部材であれば、特に限定されない。光学部材としては、レンズシート、導光板および光拡散板等の光学板、ならびに反射型偏光分離シート、偏光板等が挙げられる。なお、光学部材シートが、光波長変換シートの両面側に設けられている場合には、光学部材はそれぞれ別の光学的特性を有する光学部材であってもよい。本実施形態においては、光学部材がレンズシートである例について説明する。
光学部材41は、図6および図7に示されるように、光透過性基材42と、光透過性基材42の一方の面に設けられたレンズ層43とを備えている。レンズ層43は、図5および図6に示されるように、シート状の本体部44、および本体部44の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ45を備えている。光透過性基材42、レンズ層43、本体部44、および単位レンズ45は、後述する光透過性基材101、レンズ層102、本体部103、および単位レンズ104と同様の構成となっているので、ここでは説明を省略するものとする。
光波長変換シート40においては、光学部材41の一方の面に光波長変換組成物を直接塗布、硬化させることによって光波長変換層11と光学部材41とが一体化されている。なお、光波長変換層11と光学部材41は接着層を介して貼り合わせられていてもよい。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図8に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面を覆うオーバーコート層51、52とを備える光波長変換シート50であってもよい。本実施形態においては、光波長変換層11の両面にオーバーコート層51、52が形成されているが、オーバーコート層は光波長変換層の少なくとも一方の面に形成されていれば、光波長変換層11の両面に形成されていなくともよい。なお、光波長変換層の一方の面のみにオーバーコート層が設けられている場合、光波長変換層の他方の面には光透過性基材が設けられていてもよい。
<オーバーコート層>
オーバーコート層51、52は、光波長変換層11の表面を覆い、かつ塗工によって形成された樹脂からなる層である。オーバーコート層51、52上に光拡散層等の他の層が形成されていてもよい。
オーバーコート層51、52は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐために設けられているものである。このようなオーバーコート層51、52を光波長変換層11の少なくとも一方の面に設けることにより、量子ドット3を水分や酸素からより保護することができ、また光透過性基材を光波長変換層11の少なくとも一方の面に設けるよりも、光波長変換シートの厚みを薄くできる。
オーバーコート層51、52は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能以外に、何らかの機能を有していてもよい。具体的には、オーバーコート層51、52は、例えば、アンチブロッキング性、光拡散性、帯電防止性、および反射防止性等の少なくともいずれかの機能を有する層であってもよい。オーバーコート層51、52が、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能およびその他何らかの機能を有する層である場合、オーバーコート層51、52には、何らかの機能を有するための材料が添加されていてもよい。
オーバーコート層51、52の膜厚は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐとともに、光波長変換シートを薄型化する観点から、0.1μm以上100μm以下となっていることが好ましい。オーバーコート層51、52の膜厚は、光波長変換層11の膜厚と同様の手法によって測定することができる。オーバーコート層51、52の膜厚の下限は1μm以上であることがより好ましく、上限は50μm以下であることがより好ましい。
オーバーコート層51、52は、スクラッチ試験において垂直力10μN以上および水平力−5μN以下の少なくともいずれかとなる硬度を有することが好ましい。オーバーコート層51、52がこのような硬度を有している場合には、オーバーコート層51、52は緻密な膜となるので、光波長変換層11を大気暴露から防ぐ能力が高い。スクラッチ試験における垂直力および水平力は、ナノインデンテーション装置(製品名「TI950 TriboIndenter」、HYSITRON(ハイジトロン)社製)を用いて、オーバーコート層の断面からオーバーコート層の内部方向に圧子(Cube Corner:Ti037_110410(12))を50nm押し込み、その深さを一定として、30秒間この圧子を移動速度4μm/minで水平方向に移動させた際に測定される垂直力(荷重)および水平力の平均値をそれぞれ求め、さらにこのスクラッチ試験を5回繰り返すことによって求めた垂直力の5つの平均値の平均値(5回平均値)および水平力の5つの平均値の平均値(5回平均値)とする。垂直力は数値が大きいほど、水平力は数値が小さいほどオーバーコート層51、52の硬度が高い。光波長変換層11を大気暴露から防ぐ能力を高める観点から、オーバーコート層51、52のスクラッチ試験における垂直力は15μN以上であることがより好ましく、また水平力は−8μN以下であることがより好ましい。
オーバーコート層51、52は、上記硬度を有すれば、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ化合物、イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ、金属アルコキシド、ケイ素含有樹脂、水溶性高分子、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成することが可能である。これらの中でも、オーバーコート層51、52は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ観点から、アクリル酸亜鉛、アルコキシシランの加水分解生成物、ポリビニルアルコール、ポリシラザン、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成されることが好ましい。
光波長変換シート20、30、40、50においては、シート全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)以上となっていてもよい。光波長変換シート20、30、40、50においては、シート全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。光波長変換シート20、30、40、50における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m2・24h)以上となっていてもよく、また光波長変換シート20、30、40、50における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図9に示されるような光波長変換シート60であってもよい。この場合、光波長変換シート60の水蒸気透過率や酸素透過率は、上述した範囲内になくてよい。
図8に示される光波長変換シート60は、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面に設けられたバリアフィルム61、62と、バリアフィルム61、62における光波長変換層11側の面とは反対側に設けられた光拡散層13、14とを備えている。光波長変換シート60においては、光拡散層13、14の表面が光波長変換シート60の表面60A、60Bを構成している。
<バリアフィルム>
バリアフィルム61、62は、水分や酸素の透過を抑制して、量子ドット3を水分や酸素から保護するための部材である。ここで、本明細書における「バリアフィルム」とは、部材単体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)未満となり、かつ23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm3/(m2・24h・atm)未満となる部材を意味するものとする。バリアフィルムには、単層構造のフィルムのみならず、多層構造のフィルムも含まれる。光波長変換層11を挟持する状態でバリアフィルム61、62を設置することで、より量子ドット3の耐熱性および耐湿熱を向上させることができる。図8に示されるバリアフィルム61、62は、光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13における光波長変換層11側に設けられ、かつ水分や酸素の透過を抑制する機能を有するバリア層63、64とを備えている。
バリアフィルム61、62の水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)は、40℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10−2g/(m2・24h)以下であることが更に好ましい。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
バリアフィルム61、62の酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)は、23℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10−2cm3/(m2・24h・atm)以下であることが更に好ましい。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
(バリア層)
バリア層63、64は、水分や酸素の透過を抑制する機能を有する蒸着層から構成されている。蒸着層は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の蒸着法で形成された層である。蒸着層は、バリア性を高めることができるという利点を有する。
蒸着層の形成材料としては、蒸着法によって蒸着でき、かつバリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物や金属等が挙げられる。
蒸着層の膜厚は、特に限定されないが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。蒸着層の膜厚が0.01μm未満であると、蒸着層のバリア性能が不充分となることがあり、また1μmを超えると、蒸着層のクラック等によりバリア性能の劣化が起こりやすくなることがある。蒸着層の厚みのより好ましい下限は0.03μm以上であり、より好ましい上限は0.5μm以下である。
蒸着層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート60の断面を撮影し、その断面の画像において蒸着膜の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。また、蒸着層は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。蒸着層が複数層積層されたものである場合、蒸着層を構成する各層は、直接積層形成されていてもよく、貼り合わされていてもよい。
<<<光波長変換シートの製造方法>>>
光波長変換シート10は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、図示しないが、光透過性基材12の一方の面に、光散乱性粒子および重合性化合物を含む光拡散層用組成物を塗布し、乾燥させて、光拡散層用組成物の塗膜を形成する。また、同様に、光透過性基材13の一方の面に、光拡散層用組成物の塗膜を形成する。
次いで、光照射等によって、光拡散層用組成物の塗膜を硬化させる。これにより、図10(A)に示されるように、光透過性基材12の一方の面に光拡散層14が形成されて、光拡散層14付き光透過性基材12が形成される。また、図示しないが、同様にして、光拡散層15付き光透過性基材13を形成する。
光拡散層15付き光透過性基材13を形成した後、図10(B)に示されるように、光拡散層15付き光透過性基材13における光拡散層15側の面とは反対側の面に、上記光波長変換組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換組成物の塗膜18を形成する。
光波長変換組成物の塗膜18形成後、図11(A)に示されるように光拡散層14付き光透過性基材12における光拡散層14側の面とは反対側の面が光波長変換組成物の塗膜18と接するように、上記光波長変換組成物の塗膜18上に光拡散層14付き光透過性基材12を配置する。これにより、光波長変換組成物の塗膜18が、光透過性基材12、13間で挟まれる。
次いで、図11(B)に示されるように光透過性基材12を介して光波長変換組成物の塗膜18に電離放射線を照射して、または熱を加えて、重合性化合物を硬化させて、光波長変換層11を形成するとともに、光波長変換層11と、光拡散層14付き光透過性基材12および光拡散層15付き光透過性基材13とを一体化させる。これにより、図2に示される光波長変換シート10が得られる。
光波長変換粒子の表面が樹脂粒子の表面である場合、光波長変換組成物において光波長変換粒子は凝集しやすいので、分散性に劣るおそれがあるが、光波長変換粒子の表面がバリア層の表面である場合、光波長変換組成物中において光波長変換粒子は凝集しにくいので、分散性を向上させることができる。
光波長変換シート20、30、50は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、基材(図示せず)上に、上記光波長変換組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、重合性化合物を硬化させることによって、光波長変換層11を形成する。その後、光波長変換層11から基材を剥離する。これにより、図4に示される光波長変換シート20が得られる。一方、基材として光透過性基材31を用いた場合には、この基材を光波長変換層11から剥離せずに、そのまま残存させることにより、図5に示される光波長変換シート30が得られる。図8に示される光波長変換シート50は、光波長変換シート20の少なくとも一方の面にオーバーコート層用組成物を塗布して、オーバーコート層用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって形成することが可能である。また、光波長変換シート50は、次のような方法によっても形成することが可能である。まず、2枚の基材の一方の面にオーバーコート層用組成物を塗布して、オーバーコート層用組成物の塗膜を形成する。塗膜を形成した後、それぞれのオーバーコート層用組成物の塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、オーバーコート層を形成する。オーバーコート層を形成した後、一方の基材に形成されたオーバーコート層上に上記光波長変換組成物を塗布して、光波長変換組成物の塗膜を形成する。次いで、光波長変換組成物の塗膜に他方の基材に形成されたオーバーコート層が接するように光波長変換組成物の塗膜上に他方の基材を配置する。次いで、この状態で、光波長変換組成物の塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、光波長変換層を形成するとともに、光波長変換層と、オーバーコート層とを一体化させる。最後に両方の基材を剥離すれば、図8に示される光波長変換シート50が得られる。
光波長変換シート40は、光学部材41の一方の面側に、上記光波長変換組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、重合性化合物を硬化させることによって、光波長変換層11を形成する。これにより、図6に示される光波長変換シート40が得られる。
光波長変換シート60は、光拡散層14、15を、光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13の一方の面に形成されたバリア層63、64とを備えるバリアフィルム61、62に形成すれば、後は光波長変換シート10と同様の工程によって形成することが可能である。
光波長変換シート10、20、30、40、50、60は、バックライト装置および画像表示装置に組み込んで使用することができる。以下、光波長変換シート10をバックライト装置および画像表示装置に組み込んだ例について説明する。図12は本実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図であり、図13は図12に示されるレンズシートの斜視図であり、図14は図13のレンズシートのII−II線に沿った断面図である。図15、図16、図18は本実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図であり、図17は図16に示される光源の概略構成図であり、図19は図18に示される光学板の入光面付近の拡大図である。
<<<画像表示装置>>>
図12に示される画像表示装置70は、バックライト装置80と、バックライト装置80の出光側に配置された表示パネル120とを備えている。画像表示装置70は、画像を表示する表示面70Aを有している。図12に示される画像表示装置70においては、表示パネル120の表面が表示面70Aとなっている。
バックライト装置80は、表示パネル120を背面側から面状に照らすものである。表示パネル120は、バックライト装置80からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面70Aに像を表示するように構成されている。
<<表示パネル>>
図12に示される表示パネル120は、液晶表示パネルであり、入光側に配置された偏光板101と、出光側に配置された偏光板122と、偏光板121と偏光板122との間に配置された液晶セル103とを備えている。偏光板121、122は、入射した光を直交する二つの直線偏光成分(S偏光およびP偏光)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P偏光)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収する機能を有している。
<<バックライト装置>>
図12に示されるバックライト装置80は、エッジライト型のバックライト装置として構成され、光源90と、光源90の側方に配置された導光板としての光学板95と、光学板95の出光側に配置された光波長変換シート10と、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート100と、レンズシート100の出光側に配置されたレンズシート105と、レンズシート105の出光側に配置された反射型偏光分離シート110と、光学板95の出光側とは反対側に配置された反射シート115とを備えている。バックライト装置80は、光学板95、レンズシート100、105、反射型偏光分離シート110、反射シート115を備えているが、これらのシート等は備えられていなくともよい。本明細書において、「出光側」とは、各部材においてバックライト装置から出射する方向に向かう光が出射される側を意味する。
バックライト置80は、面状に光を発光する発光面80Aを有している。図12に示されるバックライト装置80においては、反射型偏光分離シート110の出光面がバックライト装置80の発光面80Aとなっている。
光波長変換シート10における光学板95側の面が表面10A(入光面)となっており、光波長変換シート10におけるレンズシート100側の面が表面10B(出光面)となっている。
<光源>
光源90は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の発光ダイオード(LED)や白熱電球等の発光体を備えている。本実施の形態において、光源90は、光学板95の後述する入光面95C側に、線状に並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。
バックライト装置80においては光波長変換シート10が配置されていることに伴い、光源90は、単一の波長域の光を放出する発光体のみを用いることができる。例えば、光源は、色純度の高い青色光を発する青色発光ダイオードのみを用いることができる。
<光学板>
導光板としての光学板95は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板95は、表示パネル120側の一方の主面によって構成された出光面95Aと、出光面95Aに対向するもう一方の主面からなる裏面95Bと、出光面95Aおよび裏面95Bの間を延びる側面とを有している。側面のうちの光源90側の側面が、光源90からの光を受ける入光面75Cとなっている。入光面95Cから光学板95内に入射した光は、入光面95Cと、入光面95Cと対向する反対面とを結ぶ方向(導光方向)に光学板内を導光され、出光面95Aから出射される。
<レンズシート>
レンズシート100、105は、入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させる機能を有する。本実施形態においては、図14に示されるように、入射角度が大きい光L3の進行方向を変化させて出光側から出射させて、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)とともに、入射角度が小さい光L4を反射させて、光波長変換シート10側に戻す機能(再帰反射機能)を有している。レンズシート100、105は、光透過性基材101と、光透過性基材101の一方の面に設けられたレンズ層102とを備えている。
光波長変換シート10の表面10A、10Bが凹凸面となっている場合には、光学板95の出光面95Aは、表面10Aの一部(例えば、凸部)と光学的に密着し、また表面10Aの他の部分(例えば、凹部)と離間していることが好ましく、またレンズシート100の入光面100Aは、表面10Bの一部(例えば、凸部)と光学的に密着し、また表面10Bの他の部分(例えば、凹部)と離間していることが好ましい。この場合、出光面95Aと表面10Aの他の部分との隙間および入光面100Aと表面10Bの他の部分との隙間は空気層となっている。この空気層を設けることにより、出光面95Aと表面10Aおよび入光面100Aと表面10Bが光学的に密着するように光波長変換シート10と光学板95およびレンズシート100とを固定した場合であっても、光波長変換シート10と光学板95およびレンズシート100とが貼り付くことを抑制できるので、光波長変換シート10と光学板95との間の界面および光波長変換シート10とレンズシート100との間の界面にウエットアウトが形成されることを抑制できる。
(光透過性基材)
光透過性基材101は、光透過性基材12、13と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
(レンズ層)
レンズ層102は、図13および図14に示されるように、シート状の本体部103、および本体部103の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ104を備えている。
本体部103は、単位レンズ104を支持するシート状部材として機能する。図13および図14に示されるように、本体部103の出光側面103A上には、単位レンズ104が隙間をあけることなく並べられている。したがって、レンズシート100、105の出光面100B、105Bは、レンズ面によって形成されている。その一方で、図14に示すように、本体部103は、出光側面103Aに対向する入光側面103Bとして、レンズ層102の入光側面をなす平滑な面を有している。
単位レンズ104は、本体部103の出光側面103A上に並べて配列されている。図13に示されるように単位レンズ104は、単位レンズ104の配列方向ADと交差する方向に線状、とりわけ本実施の形態においては直線状に、延びている。また本実施の形態において、一つのレンズシート100、105に含まれる多数の単位レンズ104は、互いに平行に延びている。また、レンズシート100、105の単位レンズ104の長手方向LDは、レンズシート100、105における単位レンズ104の配列方向ADと直交している。
単位レンズ104は、三角柱状であってもよいし、波状や例えば半球状のような椀状であってもよい。具体的には、単位レンズとしては、単位プリズム、単位シリンドリカルレンズ、単位マイクロレンズ等が挙げられる。なお、そのような単位レンズ形状を有するレンズシートとしては、プリズムシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシート等が挙げられる。本実施形態では、単位レンズとして、出光側に向けて幅が狭くなる三角柱状の単位プリズムについて説明する。レンズシート100、105のシート面の法線方向NDおよび単位レンズ104の配列方向ADの両方に平行な断面(レンズシートの主切断面とも呼ぶ)の形状は、出光側に突出する三角形形状となっている。とりわけ、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、主切断面における単位レンズ104の断面形状は二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が本体部103の出光側面103Aから出光側に突出するように、各単位レンズ104が構成されている。
単位レンズ104は、光の利用効率を向上させる観点から、80°以上100°以下の頂角を有することが好ましく、約90°の頂角を有することがより好ましい。ただし、光波長変換シートの巻き取りの際における単位レンズの先端の破損を考慮すると、単位レンズ104の先端は曲面であってもよい。
レンズシート100、105の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位レンズ104の具体例として、単位レンズ104の配列ピッチ(図示された例では、単位レンズ104の幅に相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位レンズ104の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位レンズ104の配列ピッチを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。また、レンズシート100、105のシート面への法線方向NDに沿った本体部103からの単位レンズ104の突出高さを5μm以上100μm以下とすることができる。さらに、単位レンズ104の頂角θを60°以上120°以下とすることができる。
図12から理解され得るように、レンズシート100の単位レンズ104の配列方向とレンズシート105の単位レンズ104の配列方向とは交差、さらに限定的には直交している。
<反射型偏光分離シート>
反射型偏光分離シート110は、レンズシート105から出射される光のうち、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光分離シート110で反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光分離シート110に入射する。よって、反射型偏光分離シート110は再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。このような過程を繰り返す事により、レンズシート105から出光した光の70〜80%程度が第1の直線偏光成分となった光源光として出光される。したがって、反射型偏光分離シート110を配置することによって、光波長変換シート10の波長変換効率がさらに上昇させることができる。したがって、更なる光の利用効率の改善を期待することができる。
反射型偏光分離シート110としては、3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」やワイヤーグリッド偏光子等を、反射型偏光分離シート90として用いることができる。
<反射シート>
反射シート115は、光学板95の裏面95Bから漏れ出した光を反射して、再び光学板90内に入射させる機能を有する。反射シート115は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。反射シート115での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート115での反射が拡散反射の場合には、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。
<<他のバックライト装置>>
光波長変換シート10を組み込むバックライト装置は、図15に示されるような直下型のバックライト装置であってもよい。図15に示されるバックライト装置130は、光源90と、光源90の光を受け、かつ光拡散板として機能する光学板131と、光学板131の出光側に配置された光波長変換シート10、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート100と、レンズシート100の出光側に配置されたレンズシート105と、レンズシート105の出光側に配置された反射型偏光分離シート110とを備えている。本実施形態においては、光源90は、光学板131の側方ではなく、光学板131の直下に配置されている。図15において、図12と同じ符号が付されている部材は、図12で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。なお、バックライト装置130においては、反射シート115は備えられていない。
<光学板>
光拡散板としての光学板131は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板131は、光源95側の一方の主面によって構成された入光面131Aと、光波長変換シート10側の他方の主面によって構成された出光面131Bとを有している。入光面131Aから光学板131内に入射した光は、光学板131内で拡散され、出光面131Bから出射される。
<<他のバックライト装置>>
図12に示されるバックライト装置80は、光波長変換シート10を備えているが、光波長変換部材を備えていれば、バックライト装置の構造は、特に限定されない。例えば、バックライト装置は、図16に示されるように、光波長変換シート10および光源90の代わりに、光源150を備えるバックライト装置140であってもよい。光源150は、光波長変換部材の一形態であり、図17に示されるように、基板151と、基板151上に配置された開口部152Aを有する反射部材152と、基板151上かつ反射部材152の開口部152A内に配置された発光ダイオード等の発光体153と、発光体153を覆うように反射部材152の開口部152Aに充填された光波長変換部154とを備えている。光波長変換部154は、光波長変換層11と形状および配置箇所が異なるだけで、光波長変換部154の構成や物性は光波長変換層11と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。光波長変換部154は反射部材152の開口部152A内に上記光波長変換組成物を充填し、硬化させることによって形成することが可能である。なお、光波長変換部154を有する光源150を用いる場合には、光波長変換部154は発光体153を覆うように配置されていれば、構造は特に限定されない。
<<他のバックライト装置>>
バックライト装置は、図18に示されるバックライト装置160であってもよい。具体的には、図18に示されるバックライト装置160は、光波長変換シート10の代わりに、光源90と光学板95との間に配置された光透過性のキャピラリ170を備えている。キャピラリ170は、光波長変換部材の一形態であり、図19に示されるように光学板95の入光面95Cに設けられている。キャピラリ170は、長手方向が光源90の配列方向に沿うように配置されている。
キャピラリ170は、光波長変換部171を、ガラスチューブ等のチューブ172に封入したものである。光波長変換部171は、光波長変換層11と配置箇所や形状が異なるだけで、光波長変換部171の構成や物性は光波長変換層11と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。また、光波長変換部171は優れた耐熱性および耐湿熱性を有しているので、チューブ172で覆わないで用いることも可能である。特に、光波長変換部171において、光波長変換粒子1の被覆層4が、バリア層である場合には、より優れた耐熱性および耐湿熱性を有するので、光波長変換部171をチューブ172で覆わないで用いることができる。
本実施形態によれば、光波長変換層11中に存在する樹脂粒子2により量子ドット3の劣化を抑制できるので、光波長変換シート10、20、30、40、50、60のように、バリアフィルムを省略できる。これにより、光波長変換シートの工程を簡素化できることにより品質を良化させやすくなるとともに、光波長変換シートの薄型化を図ることができる。
バリアフィルムを備える光波長変換シートにおいては、耐熱性試験や耐湿熱性試験を行うと、バリアフィルムにピンホールやクラック等の点状の欠点部が発生しやすい。バリアフィルムに欠点部が発生すると、そこから水分や酸素が入り込み、一部の量子ドットが劣化して、光波長変換シートにおいて点状に輝度が低下した部分(輝度欠点)が発生するおそれがある。この点状の輝度欠点は、全体的に量子ドットが劣化して、均一に輝度が低下する場合よりも、視認されやすい。これに対し、本実施形態によれば、光波長変換層11中に存在する樹脂粒子11により量子ドット3の劣化を抑制できるので、たとえ、バリアフィルム61、62に欠点部が発生して、この欠点部から水分や酸素が入り込んだ場合であっても、点状の輝度欠点を抑制することができる。
本実施形態によれば、光波長変換層11中に存在する樹脂粒子2により量子ドット3の劣化を抑制できるので、光波長変換シート10、20、30、40、50、60において、周縁部10C、20A、30A、40A、50A、60Cに存在する量子ドット3の劣化も抑制できる。
光波長変換シート40においては、光波長変換層11と光学部材41が一体化されているので、光波長変換シートと光学部材とを別個独立に配置する場合に比べて、簡素化された薄型のバックライト装置を得ることができる。すなわち、光波長変換シートと光学部材とを別個独立に配置する場合には、光波長変換シートと光学部材との間には空気界面が存在するので、バックライト装置の中に比較的大きな空隙を要する。これに対し、本実施形態においては、光波長変換層11と光学部材41とが一体化されているので、光波長変換層11と光学部材41との間には空気界面が存在しない。これにより、簡素化された薄型のバックライト装置を得ることができる。
発光ダイオード等の発光体は、発光時に熱も発する。このため、通常であれば、光源に光波長変換部を組み込む場合や光源に近接した位置に光波長変換部材を配置する場合には、量子ドットの劣化を抑制するために光波長変換部を覆うバリア部材が必要となる。これに対し、本実施形態においては、光波長変換部154中に存在する樹脂粒子11により光波長変換部154における耐熱性および耐湿熱性を向上させることができるので、光波長変換部154をバリア部材で覆わなくとも、量子ドット3の劣化を抑制できる。これにより、光波長変換部154を光源150に組み込むことができる。
従来から、光波長変換シートの出光側に、光波長変換シートから出射される量子ドットによって波長変換された光を集光し、かつ光波長変換シートによって波長変換されなかった光を光波長変換シート側に戻すレンズシートを配置して、光波長変換効率を高めることが検討されている。しかしながら、このようなレンズシートを配置するだけでは光波長変換効率が充分ではなく、更なる光波長変換効率の向上が望まれている。本実施形態によれば、光波長変換シート10の外部ヘイズ値が光波長変換シート10の内部ヘイズ値よりも小さくした場合には、光波長変換効率をさらに向上させることができる。すなわち、光源から発せられる光は直進性を有しているので、光波長変換シートに入射して、量子ドットによって波長変換されずに、光波長変換シートを出射する光も直進性を有している。ここで、光波長変換シートの外部ヘイズ値が高いと、光波長変換シートの表面で直進性を有する波長変換されていない光が屈折し、光波長変換シートから出射する波長変換されていない光においては出射角度が大きい成分が多くなってしまう。一方、集光機能および再帰反射機能を有するレンズシートは、レンズシートへの入射角度が小さい光ほどレンズシートを再帰反射させやすい傾向がある。すなわち、レンズシートへの入射角度が大きい光ほどレンズシートを透過しやすいという傾向がある。本実施形態においては、光波長変換シート10においては、外部ヘイズ値が内部ヘイズ値よりも小さくなっているので、光波長変換シート10の表面で波長変換されていない光が屈折したとしても、出射角度が小さい状態で出射させることができ、これにより、光波長変換シート10から出射される波長変換されていない光においては出射角度が小さい成分を多くすることができる。したがって、レンズシート100によって、波長変換されずに光波長変換シートから出射した光を再帰反射させて、光波長変換シート10側に戻すことができるので、波長変換される機会が増える。また、内部ヘイズ値が外部ヘイズ値より大きくなっているので、光波長変換シート内部で光が複数回散乱されることにより光路長が伸び、波長変換される機会がさらに増える。これにより、光波長変換効率を向上させることができる。なお、量子ドット3は等方的に発光するので、量子ドット3によって波長変換された光は様々な方向を向いており、光波長変換シート10の表面に到達すると、さらに光波長変換シートの表面で光が屈折し、波長変換された光は角度が大きい光となって光波長変換シートから出射しやすい。このため、波長変換された光は比較的レンズシート100を透過しやすい。
上記において、外部ヘイズ値を用いて光波長変換シートの表面における光拡散特性(外部拡散特性)を表したのは、以下の理由からである。まず、光波長変換シートの光拡散特性はゴニオフォトメータのような公知の変角光度計により透過光の光強度を角度毎に測定することによって評価することができるが、測定された透過光の光強度の結果を用いて光波長変換シートの光拡散特性を規定することは極めて困難である。一方、上記したように、ヘイズの定義においては入射光に対し2.5°以上それた透過光はヘイズとして測定されるが、入射光に対し2.5°未満の透過光であればヘイズとして測定されない。このようにヘイズとしては入射光に対し2.5°未満の透過光は測定されないが、上記したようにレンズシートへの入射角度が大きい光、すなわち光波長変換シートにおける出射角度が大きい透過光が問題となっているので、入射光に対し2.5°未満の透過光よりも2.5°以上それた透過光がどの程度存在するかが重要である。このため、光波長変換シートの光拡散特性は、変角光度計による透過光の角度毎の光強度を測定しなくとも、光波長変換シートのヘイズ値の大きさで表すことができる。一方で、光波長変換シートの表面で光が屈折してしまい、出射角度が大きくなるということを考慮する必要があるので、光波長変換シートの表面での光拡散特性を表すために、外部ヘイズ値を用いた。
本実施形態によれば、光波長変換層11が光散乱性粒子17を含んでいるので、光波長変換効率を一層向上させることができる。したがって、例えば、光源90として青色光を発する光源を用い、第1の量子ドット3Aとして青色光を緑色光に変換する量子ドットを用い、第2の量子ドット3Bとして青色光を赤色光に変換する量子ドットを含む光波長変換シートに青色光を照射した場合、光散乱性粒子を含んでいない光波長変換シートと比べて、色度x、yを上昇させることでき、白色光または白色に近い色味の光を得ることができる。
本実施形態によれば、光波長変換層11が光散乱性粒子17を含んでいるので、緑色の発光が赤色の発光よりも優先的に増強させることができる。この理由は明確ではないが、光散乱性粒子は、青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットから、青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットへのエネルギー移動を阻害するような役割を果たしていると考えられ、本来上記エネルギー移動により失活していた緑色の発光が失活することなく発光過程に至り、結果として緑色の発光が増加するためであると考えられる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<<光波長変換粒子の製造>>
下記の手順に従って、光波長変換粒子を得た。
<実施例1>
(光波長変換粒子1)
攪拌装置を有する重合容器内に、まず、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物1を調整し、そこに貧溶媒として、分散剤であるポリビニルアルコール10質量部をイオン交換水900質量部に溶解させたものを投入した。その後、撹拌装置によって攪拌速度400rpmで10分間攪拌して、光波長変換粒子用組成物1を貧溶媒中に液滴として微分散させた。続いて、攪拌装置による攪拌を攪拌速度400rpmで継続させ、光波長変換粒子用組成物1および貧溶媒を含む反応液の温度を50℃になるまで昇温し、反応液の温度が50℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行い、その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子1を得た。光波長変換粒子1においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子1の平均粒子径は3μmであった。光波長変換粒子1の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により20個の光波長変換粒子1の粒子径を測定し、その平均値を算出することによって求めた。なお、以下の光波長変換粒子2〜15の平均粒子径も、光波長変換粒子1と同様の方法と求めた。
<実施例2>
(光波長変換粒子2)
光波長変換粒子1の表面に被覆層を形成するため、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)30質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)0.3質量部を含む被覆層用組成物1を実施例1の吸引ろ過前の反応液に加え、被覆層用組成物1を含むこの反応液の温度を50℃になるまで昇温し、反応液の温度が50℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行った。その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、表面に被覆層を形成した粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子2を得た。光波長変換粒子2においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子2の平均粒子径は3.3μmであった。
<実施例3>
(光波長変換粒子3)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)90質量部、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製)10質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物2を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子3を得た。光波長変換粒子3においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子3の平均粒子径は3μmであった。
<実施例4>
(光波長変換粒子4)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、tert−ブチルメルカプタン50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物3を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子4を得た。光波長変換粒子4においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子4の平均粒子径は3μmであった。
<実施例5>
(光波長変換粒子5)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(製品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物4を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子5を得た。光波長変換粒子5においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子5の平均粒子径は3μmであった。
<実施例6>
(光波長変換粒子6)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)90質量部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(製品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学社製)10質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物5を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子6を得た。光波長変換粒子6においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子6の平均粒子径は3μmであった。
<実施例7>
(光波長変換粒子7)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ステアリルアミン(製品名「ファーミン80」、花王社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物6を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子7を得た。光波長変換粒子7においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子7の平均粒子径は3μmであった。
<実施例8>
(光波長変換粒子8)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)90質量部、ステアリルアミン(製品名「ファーミン80」、花王社製)10質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物7を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子8を得た。光波長変換粒子8においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子8の平均粒子径は3μmであった。
<実施例9>
(光波長変換粒子9)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(製品名「M−5300」、東亞合成社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物8を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子9を得た。光波長変換粒子9においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子9の平均粒子径は3μmであった。
<実施例10>
(光波長変換粒子10)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)90質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(製品名「M−5300」、東亞合成社製)10質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物9を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子10を得た。光波長変換粒子10においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子10の平均粒子径は3μmであった。
<実施例11>
(光波長変換粒子11)
重合容器内に、上記光波長変換粒子用組成物1を投入し、80℃で乾燥させた後、光波長変換粒子用組成物1に紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して光波長変換粒子用組成物1を硬化させて、光波長変換粒子用組成物1の硬化物を得た。そして、この硬化物を、ビーズ径が500μmのジルコニアビーズを撹拌容器に入れたビーズミル装置を用いて粉砕して、光波長変換粒子11を得た。光波長変換粒子11においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子1の平均粒子径は11μmであった。
<実施例12>
(光波長変換粒子12)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、光波長変換粒子用組成物5を用いたこと以外は、光波長変換粒子11と同様の手順によって、光波長変換粒子12を得た。光波長変換粒子12においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子12の平均粒子径は13μmであった。
<実施例13>
(光波長変換粒子13)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、光波長変換粒子用組成物7を用いたこと以外は、光波長変換粒子11と同様の手順によって、光波長変換粒子13を得た。光波長変換粒子13においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子13の平均粒子径は11μmであった。
<実施例14>
(光波長変換粒子14)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、光波長変換粒子用組成物9を用いたこと以外は、光波長変換粒子11と同様の手順によって、光波長変換粒子14を得た。光波長変換粒子14においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子14の平均粒子径は14μmであった。
<実施例15>
(光波長変換粒子15)
光波長変換粒子1の樹脂粒子の表面にバリア層としてのシリカガラス層を形成して、光波長変換粒子15を得た。バリア層の形成は以下のようにして行われた。まず、光波長変換粒子1の表面をドデシルアミンで覆った後、トルエン(0.4mL)と混合した。次いで、この混合液にテトラエトキシシラン(TEOS、10μL)を添加し、3時間攪拌して、有機混合液1を作製した。一方で、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS、1μL)をエタノール(25mL)とアンモニア水(4mL、アンモニア濃度10wt%)に混合して水溶液2を作製した。そして、有機混合液1と水溶液2を混合し、3時間攪拌したところ、樹脂粒子は水相に沈殿した。この樹脂粒子を遠心分離によって取り出した。最後に、上記の樹脂粒子を含む水溶液0.5mLを取り出し、エタノール(8mL)とアンモニア水(0.1mL、25wt%)を加え、さらにTEOS(14μL)を添加した。これにより、光波長変換粒子1の樹脂粒子の表面を膜厚50nmのシリカガラス層で覆った光波長変換粒子15を得た。光波長変換粒子15の平均粒子径は3.1μmであった。
<実施例16>
(光波長変換粒子16)
光波長変換粒子1の代わりに、光波長変換粒子5を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、光波長変換粒子5の樹脂粒子の表面を膜厚50nmのシリカガラス層で覆った光波長変換粒子16を得た。光波長変換粒子16の平均粒子径は3.1μmであった。
<実施例17>
(光波長変換粒子17)
光波長変換粒子1の代わりに、光波長変換粒子7を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、光波長変換粒子7の樹脂粒子の表面を膜厚50nmのシリカガラス層で覆った光波長変換粒子17を得た。光波長変換粒子17の平均粒子径は3.1μmであった。
<実施例18>
(光波長変換粒子18)
光波長変換粒子1の代わりに、光波長変換粒子9を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、光波長変換粒子9の樹脂粒子の表面を膜厚50nmのシリカガラス層で覆った光波長変換粒子18を得た。光波長変換粒子18の平均粒子径は3.1μmであった。
<比較例1>
(光波長変換粒子19)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)100質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物10を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子19を得た。光波長変換粒子19においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子19の平均粒子径は12μmであった。
<<光波長変換組成物の調整>>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換組成物を得た。
<実施例19>
(光波長変換組成物1)
・光波長変換粒子1:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例20>
(光波長変換組成物2)
・光波長変換粒子1:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・アルミナ粒子(光散乱性粒子、製品名「DAM−03」、電気化学工業社製、平均粒子径4μm):10質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例21>
(光波長変換組成物3)
・光波長変換粒子2:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例22>
(光波長変換組成物4)
・光波長変換粒子3:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例23>
(光波長変換組成物5)
・光波長変換粒子4:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例24>
(光波長変換組成物6)
・光波長変換粒子5:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例25>
(光波長変換組成物7)
・光波長変換粒子6:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例26>
(光波長変換組成物8)
・光波長変換粒子7:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例27>
(光波長変換組成物9)
・光波長変換粒子8:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例28>
(光波長変換組成物10)
・光波長変換粒子9:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例29>
(光波長変換組成物11)
・光波長変換粒子10:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例30>
(光波長変換組成物12)
・光波長変換粒子11:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例31>
(光波長変換組成物13)
・光波長変換粒子12:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例32>
(光波長変換組成物14)
・光波長変換粒子13:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例33>
(光波長変換組成物15)
・光波長変換粒子14:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例34>
(光波長変換組成物16)
・光波長変換粒子15:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例35>
(光波長変換組成物17)
・光波長変換粒子16:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例36>
(光波長変換組成物18)
・光波長変換粒子17:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例37>
(光波長変換組成物19)
・光波長変換粒子18:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<比較例2>
(光波長変換組成物20)
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<比較例3>
(光波長変換組成物21)
・光波長変換粒子19:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<オーバーコート層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、オーバーコート層用組成物を得た。
(オーバーコート層用組成物1)
・アクリル酸亜鉛(製品名「ZN−DA」日本触媒社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名「アロニックス(登録商標)M−403」、東亞合成社製):5質量
・メタノール:70質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
(オーバーコート層用組成物2)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名「アロニックス(登録商標)M−403」、東亞合成社製):30質量部
・メタノール:70質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<光拡散層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光拡散層用組成物1を得た。
(光拡散層用組成物1)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート:99質量部
・光散乱性粒子(架橋ポリスチレン樹脂粒子、製品名「SBX−4」、積水化成品工業株式会社製、平均粒子径4μm):158質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比)):170質量部
<実施例38>
大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としての2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にそれぞれ上記光拡散層用組成物を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、光拡散層付きPET基材を形成した。
次いで、一方の光拡散層付きPET基材における光拡散層側の面とは反対側の面に光波長変換組成物1を塗布し、80℃で乾燥させて、塗膜を形成した。そして、塗膜に他方の光拡散層付きPET基材における光拡散層側の面とは反対側の面が接するように他方の光拡散層付きPET基材を塗膜に積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させ、膜厚が100μmの光波長変換層を形成するとともに、光波長変換層と、2枚の光拡散層付きPET基材とを一体化した。これにより、実施例38に係る光波長変換シートを得た。
<実施例39〜56および比較例4、5>
実施例39〜56および比較例4、5においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例38と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例57>
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の一方の面に光波長変換組成物1を塗布し、80℃で乾燥させて、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させた。最後に、PET基材を剥離し、実施例57に係る膜厚が100μmの光波長変換層のみからなる光波長変換シートを得た。
<実施例58および比較例6、7>
実施例58および比較例6、7においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例57と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例59>
実施例57で作製した光波長変換シート(光波長変換層)の一方の面に、オーバーコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚5μmのオーバーコート層を得た。次いで、同様に、光波長変換層の他方の面に、オーバーコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚5μmのオーバーコート層を得た。これにより、光波長変換層と、光波長変換層の両面に形成されたオーバーコート層とからなる光波長変換シートを得た。
<実施例60>
実施例60においては、オーバーコート層用組成物1の代わりにオーバーコート層用組成物2を用いたこと以外は、実施例59と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例61および比較例8、9>
実施例61および比較例8、9においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例59と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例62>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の一方の面にウレタンアクリレートを含むプリズム層用組成物を均一に塗布して、プリズム層用組成物の塗膜を形成し、プリズムシート用積層体を形成した。そして、所望の単位プリズムの形状に対し逆形状の凹部を有し、かつ回転する成形用型にレンズ層用組成物の塗膜が成形用型側となるようにプリズムシート用積層体を走行速度20m/分で供給して成形用型によってプリズム層用組成物の塗膜に単位プリズムの形状を賦形するとともに、PET基材を介してプリズム層用組成物の塗膜に紫外線等の光を照射して、プリズム層用組成物の塗膜を硬化させた。最後に、硬化させたプリズム層用組成物の塗膜をPET基材と共に成形用型から剥離して、PET基材の一方の面にプリズム層が形成されたプリズムシートを得た。プリズム層は、シート状の本体部と、この本体部上に並べて配置され、かつ各々が配列方向と交差する方向に延びており、頂角が90°であり、幅が47μmであり、高さが30μmである複数の三角柱状の単位プリズムを有していた。
次いで、プリズムシートにおけるPET基材のプリズム層側の面とは反対側の面に光波長変換組成物1を塗布し、80℃で乾燥させて、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、プリズムシートと一体化した膜厚が100μmの光波長変換層を形成した。これにより、実施例62に係る光波長変換シートを得た。
<実施例63および比較例10、11>
実施例63および比較例10、11においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例62と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例64>
まず、2枚のバリアフィルムを次のような方法で作製した。高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にターゲット物質(シリカ)からなる、厚みが50nmであり、かつ屈折率が1.46であるシリカ蒸着層を形成した。これにより、PET基材の一方の面にシリカ蒸着層が形成されたバリアフィルムを2枚形成した。
次いで、両方のバリアフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物1を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、光拡散層付きバリアフィルムを形成した。
次いで、一方の光拡散層付きバリアフィルムのシリカ蒸着層側に光波長変換組成物1を塗布し、80℃で乾燥させて、塗膜を形成した。そして、塗膜における光拡散層付きバリアフィルムのシリカ蒸着層の面に、シリカ蒸着層が接するように他方の光拡散層付きバリアフィルムを積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、両方の光拡散層付きバリアフィルムに密着した膜厚が100μmの光波長変換層を形成した。これにより、実施例64に係る光波長変換シートを得た。
<実施例65および比較例12、13>
実施例65および比較例12、13においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例64と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例66>
発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオードの反射部材の開口部に光波長変換組成物1を充填し、80℃で乾燥させた。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して充填物を硬化させて、青色発光ダイオードの反射部材の開口部に充填された光波長変換部を備える実施例66に係る光源を得た。
<実施例67および比較例14、15>
実施例67および比較例14、15においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例66と同様にして、光源を作製した。
<実施例68>
長さ12mmのガラスチューブに光波長変換組成物1を充填した。そして、ガラスチューブの端部を閉じた後、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して充填物を硬化させて、ガラスチューブ内に光波長変換部が封入された実施例68に係るキャピラリを得た。
<実施例69>
後述するKindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置の導光板の入光面に光波長変換組成物16を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させて、導光板の入光面に形成された実施例69に係る光波長変換層を得た。
<比較例16、17>
比較例16、17においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、実施例68と同様にして、キャピラリを作製した。
<樹脂粒子中の特定の元素およびカルボン酸の確認>
実施例1〜18および比較例1に係る光波長変換粒子1〜19において、樹脂粒子から上記特定の元素またはカルボン酸が検出されるか否か確認した。具体的には、光波長変換粒子1〜8、11〜13、15においては、エネルギー分散型X線分析装置(製品名「JEM−2800」(100mm2シリコンドリフト検出器(SDD)搭載)、日本電子社製)を用いて、加速電圧100kVおよび測定時間30秒の条件下で、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、硫黄元素、リン元素、および窒素元素の少なくともいずれかが検出されるか否か確認した。また、光波長変換粒子9、10、14においては、赤外顕微鏡(製品名「Nicolet iN10」、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、カルボン酸が検出されるか否か確認した。確認基準は以下の通りとした。
○:硫黄元素、リン元素、窒素元素およびカルボン酸のいずれかが検出された。
×:硫黄元素、リン元素、窒素元素およびカルボン酸のいずれも検出されなかった。
<特定の元素の含有量測定>
光波長変換粒子1〜8、11〜13、15〜17、19において、光波長変換粒子に含まれる特定の元素の含有量を、蛍光X線分析装置(製品名「「EDX−800HS」」、島津製作所製)を用いて測定した。特定の元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とした。
<水蒸気透過率および酸素透過率測定>
上記実施例38〜65および比較例4〜13に係る光波長変換シートにおいて、水蒸気透過率および酸素透過率をそれぞれ測定した。光波長変換シートの水蒸気透過率は、JIS K7129:2008に準拠して、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。また、光波長変換シートの酸素透過率は、JIS K7126:2006に準拠して、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて23℃、相対湿度90%の条件下で測定した。水蒸気透過率および酸素透過率は、それぞれ3回測定して得られた値の平均値とした。
<耐熱性試験後における輝度維持率測定>
上記実施例および比較例に係る光波長変換シート、光源、キャピラリ、および光波長変換層において、光波長変換シート、光源、キャピラリおよび光波長変換層を80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行い、光波長変換シート、光源、キャピラリおよび光波長変換層における耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後における輝度の維持率を調べた。具体的には、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置を用意し、耐熱性試験前の光波長変換シートをこのバックライト装置に組み込んだ。このバックライト装置は、発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード、導光板、第1のプリズムシート、および第2のプリズムシートをこの順に備えているものであった。
実施例38〜61、64、65および比較例4〜9、12、13においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に実施例38〜61、64、65および比較例4〜9、12、13に係る光波長変換シート、第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、第2のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が第1のプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。
実施例62、63および比較例10、11においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上にプリズムシートにおけるプリズム面が出光側となるように実施例62、63および比較例10、11に係る光波長変換シート、第2のプリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、第2のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が実施例62、63および比較例10、11に係る光波長変換シートにおけるプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。このようにして、実施例62、63および比較例10、11に係る光波長変換シートが組み込まれたバックライト装置を得た。
そして、光波長変換シートを組み込んだバックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させ、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
次いで、バックライト装置から耐熱性試験前の光波長変換シートを外し、この光波長変換シートに、光波長変換シートを80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行った。そして、耐熱性試験後の光波長変換シートを上記と同様に上記バックライト装置に組み込んだ。この状態で、上記と同様に、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
測定したこれらの輝度から、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率をAとし、耐熱性試験前のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をBとし、耐熱性試験後のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をCとし、下記式によって求めた。
A=C/B×100
実施例66、67および比較例14、15においても、上記と同様にして、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例66、67および比較例14、15においては、光源に対して耐熱性試験を行い、また上記青色発光ダイオードを実施例66、67および比較例14、15に係る光源に代え、光源側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例68、69および比較例16、17においても、上記と同様にして、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例68および比較例16、17においては、キャピラリに対して耐熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、青色発光ダイオードと導光板の入光面との間に実施例68および比較例16、17に係るキャピラリを配置し、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。また、実施例69においては、導光板の入光面に形成された実施例69に係る光波長変換層に対して導光板ごと耐熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が光波長変換層となるようにこの導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
<耐湿熱性試験後における輝度維持率測定>
上記実施例および比較例に係る光波長変換シート、光源、キャピラリおよび光波長変換層において、光波長変換シート、光源、キャピラリおよび光波長変換層を60℃、相対湿度90%の環境下に500時間放置する耐湿熱性試験を行い、光波長変換シート、光源、キャピラリおよび光波長変換層における耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後における輝度の維持率を調べた。具体的には、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置を用意し、耐湿熱性試験前の光波長変換シートを上記耐熱性試験と同様にこのバックライト装置に組み込んだ。
そして、光波長変換シートを組み込んだバックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させ、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
次いで、バックライト装置から耐湿熱性試験前の光波長変換シートを外し、この光波長変換シートに、光波長変換シートを60℃、相対湿度90%の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行った。そして、耐湿熱性試験後の光波長変換シートを上記と同様に上記バックライト装置に組み込んだ。この状態で、上記と同様に、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
測定したこれらの輝度から、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率をDとし、耐湿熱性試験前のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をEとし、耐湿熱性試験後のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をFとし、下記式によって求めた。
D=F/E×100
実施例66、67および比較例14、15においても、上記と同様にして、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例66、67および比較例14、15においては、光源に対して耐湿熱性試験を行い、また上記青色発光ダイオードを実施例66、67および比較例14、15に係る光源に代え、光源側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例68、69および比較例16、17においても、上記と同様にして、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例68および比較例16、17においては、キャピラリに対して耐湿熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、青色発光ダイオードと導光板の入光面との間に実施例68および比較例16、17に係るキャピラリを配置し、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。また、実施例69においては、導光板の入光面に形成された実施例69に係る光波長変換層に対して導光板ごと耐熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が光波長変換層となるようにこの導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
<点状の輝度欠点評価>
実施例38〜65および比較例4〜13に係る耐熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、バックライト装置における発光時の発光面に点状の輝度欠点が存在するかを目視で観察し、評価した。また、実施例38〜65および比較例4〜13に係る耐湿熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、同様に、バックライト装置における発光時の発光面に点状の輝度欠点が存在するかを目視で観察し、評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:点状の輝度欠点が確認されなかった。
△:点状の輝度欠点が数点確認された。
×:点状の輝度欠点が多数確認された。
<光波長変換シートの周縁部の劣化幅測定>
実施例38〜65および比較例4〜13に係る耐熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、バックライト装置における発光時の発光面における輝度分布を、光波長変換シートの厚み方向から、2D色彩輝度計(製品名「UA−200」、トプコンテクノハウス社製)を用いて、測定した。そして、測定した発光面の輝度分布から、発光面の中央部の輝度に対して輝度が80%となる発光面の位置(輝度80%位置)を求め、発光面における輝度80%位置に最も近い端から輝度80%位置までの最短距離を求めた。そして、この最短距離をランダムに20箇所について求め、この20箇所の最短距離の平均値を、光波長変換シートの周縁部の劣化幅とした。また、実施例38〜65および比較例4〜13に係る耐湿熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、同様にして、発光面の輝度分布を測定し、発光面の中央部の輝度に対して輝度が80%となる発光面の位置(輝度80%位置)を求め、発光面における輝度80%位置に最も近い端から輝度80%位置までの最短距離を求めた。
以下、結果について述べる。表3〜表5から分かるように、実施例38〜63に係る光波長変換シートにおいては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1〜18に係る光波長変換粒子1〜18を用いているので、樹脂粒子自体を用いていない比較例4、6、8、および10に係る光波長変換シートや量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例5、7、9、および11に係る光波長変換シートに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。さらに、実施例53〜56、58、61、63に係る光波長変換シートは、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っているので、これらの実施例にそれぞれ対応する樹脂粒子をシリカガラス層で覆っていない実施例38〜52、57、59、60、62に係る光波長変換シートに比べて耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。
実施例64、65に係る光波長変換シートにおいては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1、15に係る光波長変換粒子1、15を用いているので、樹脂粒子自体を用いていない比較例12に係る光波長変換シートや量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例13に係る光波長変換シートに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。さらに、実施例65に係る光波長変換シートは、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っているので、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っていない実施例64に係る光波長変換シートに比べて耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。
実施例66、67に係る光源においては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1、15に係る光波長変換粒子1、15を用いているので、樹脂粒子自体を用いていない比較例14に係る光源や量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例15に係る光源に比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。さらに、実施例67に係る光源は、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っているので、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っていない実施例66に係る光源に比べて耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。
実施例68に係るキャピラリにおいては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1に係る光波長変換粒子1を用いているので、樹脂粒子自体を用いていない比較例16に係るキャピラリや量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例17に係るキャピラリに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。実施例69に係る光波長変換層は、樹脂粒子をシリカガラス層で覆っているので、光波長変換粒子をガラスチューブに封入しなくとも実施例68と同等の耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率を達成できた。
これらは、実施例1〜18に係る光波長変換粒子1〜18の耐熱性および耐湿熱性が高く、また特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかが、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。また、光波長変換粒子15〜18は、光波長変換粒子1〜14よりも量子ドットの劣化をより抑制することができることを意味している。
実施例28〜63および比較例4〜11に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムを用いていなかったので、点状の輝度欠点は確認されなかった。また、実施例64、65に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムを用いているが、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1、15に係る光波長変換粒子1、15を用いているので、点状の輝度欠点は確認されなかった。これに対し、樹脂粒子自体を用いていない比較例12に係る光波長変換シートや、量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例13に係る光波長変換シートにおいては、点状の輝度欠点が確認された。これは、樹脂粒子中の特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかが、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。
実施例38〜65に係る光波長変換シートにおいては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された実施例1〜18に係る光波長変換粒子1〜18を用いているので、周縁部の劣化は抑制されていた。これに対し、樹脂粒子自体を用いていない比較例4、6、8、および10に係る光波長変換シートや、量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例5、7、9、および11に係る光波長変換シートにおいては、周縁部の劣化が確認された。これは、周縁部のような量子ドットが酸素や水蒸気に多く曝される環境においても、樹脂粒子中の特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかが、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。また、比較例12、13に係る光波長変換シートは、バリアフィルムによって中央部の劣化が比較的抑制されたが、周縁部の劣化が抑制されなかった。
実施例38に係る光波長変換シートの全ヘイズ値は98.9%、内部ヘイズ値は96.7%、外部ヘイズ値は2.2%であり、実施例39に係る光波長変換シートの全ヘイズ値は99.3%、内部ヘイズ値は99.3%、外部ヘイズ値は0%であった。両方の光波長変換シートにおいては、外部ヘイズ値が内部ヘイズ値よりも小さくなっているので、両方とも耐熱性試験前後および耐湿熱性試験前後に関わらず輝度が高いが、実施例38に係る光波長変換シートと実施例39に係る光波長変換シートを比べると、実施例39に係る光波長変換シートの方が耐熱性試験前後に関わらず輝度が高かった。これは、実施例39に係る光波長変換シートは光散乱性粒子としてのアルミナ粒子を含んでいるので、実施例31に係る光波長変換シートの内部ヘイズ値が実施例38に係る波長変換シートの内部ヘイズ値に比べて大きくなり、これにより外部ヘイズ値が小さくなったためである。したがって、光波長変換シートに光散乱性粒子を含ませて、内部ヘイズ値をより高めることによって、外部ヘイズ値をより小さくすることができ、これにより光波長変換効率をより向上できることが確認できた。なお、光波長変換シートにおける全ヘイズ値、内部ヘイズ値、ヘイズ値は以下のようにして測定した。まず、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って光波長変換シートの全ヘイズ値を測定した。その後、光波長変換シートの両面に、膜厚が25μmの透明光学粘着層(製品名「パナクリーンPD−S1」、パナック社製)を介して厚みが60μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TD60UL」、富士フイルム社製)を貼り付けた。これによって、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状が潰れ、光波長変換シートの表面が平坦になった。この状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定して内部ヘイズ値を求めた。そして、全ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、外部ヘイズ値を求めた。なお、透明光学粘着層およびトリアセチルセルロース基材も光波長変換シートの内部ヘイズ値や外部ヘイズ値に影響を与えるおそれがあるが、光波長変換シートの内部散乱が極めて大きい場合には、これらが内部ヘイズ値や外部ヘイズ値に与える影響は極めて小さくなるので、無視できる。また、光波長変換シートの内部散乱が極めて大きい場合には、内部ヘイズ値が全ヘイズ値と同じ値になることがあるので、外部ヘイズ値が0%になることもある。
また、実施例59、60に係る光波長変換シートにおいて、オーバーコート層に対してスクラッチ試験を行い、その際の垂直力および水平力を測定したところ、実施例59に係る光波長変換シートは、垂直力が21μNであり、水平力が−11μNであり、実施例60に係る光波長変換シートは、垂直力が11μNであり、水平力が−6μNであった。これらのオーバーコート層は緻密な膜となり、光波長変換層を大気暴露から防ぐ能力を有していたが、光波長変換層を大気暴露から防ぐ能力においては実施例59に係る光波長変換シートのオーバーコート層の方が実施例60に係る光波長変換シートのオーバーコート層よりも高いと言える。スクラッチ試験は、ナノインデンテーション装置(製品名「TI950 TriboIndenter」、HYSITRON(ハイジトロン)社製)を用いて、オーバーコート層の断面からオーバーコート層の内部方向に圧子(Cube Corner:Ti037_110410(12))を50nm押し込み、その深さを一定として、30秒間この圧子を移動速度4μm/minで水平方向に移動させることによって行い、その際の垂直力(荷重)および水平力を測定し、測定された垂直力および水平力の平均値を求め、さらにこのスクラッチ試験を5回繰り返すことによって求めた垂直力の5つの平均値の平均値(5回平均値)を垂直力とし、また水平力の5つの平均値の平均値(5回平均値)を水平力とした。
実施例1〜8、11〜13、15〜17に係る光波長変換粒子1〜8、11〜13、15〜17においては、蛍光X線分析により測定された特定の元素の含有量が、0.5質量%以上であった。これに対し、比較例1に係る光波長変換粒子15においては、蛍光X線分析により測定された特定の元素の含有量が、0.5質量%未満であった。なお、比較例1に係る光波長変換粒子19において、光波長変換粒子19を形成する際に用いた光波長変換粒子用組成物10に特定の元素が含まれていないにも関わらず、特定の元素の含有量が0.204質量%となっているのは、量子ドット自体に硫黄成分が含まれていたためであると考えられる。
上記実施例においては、緑色発光量子ドットや赤色発光量子ドットのコア材料としてCdSeを用いているが、コア材料としてInP、InAs等の非Cd系材料を用いても、上記実施例と同様の結果が得られた。