JP6589002B2 - 冬虫夏草子実体の生産方法 - Google Patents

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本発明は、冬虫夏草子実体の生産方法に関する。
冬虫夏草は、冬虫夏草菌が寄主となる昆虫に寄生して形成された子実体と、その寄主である昆虫の死体の複合体から構成される。
冬虫夏草は広義的に子嚢菌亜門、核菌綱、バッカク菌目、バッカク菌科に属する昆虫寄生性の一群の菌類と言われている。この中にCordyceps属、Orrubiella属などの完全菌類のほか、Paecilomyces属、Beauveria属などの不完全菌もある。
冬虫夏草は、滋養強壮等の効用を持つ生薬として古くから民間で使用されており、近年、薬効から漢方薬としての需要が拡大している。冬虫夏草は、かつては中国の高地に自生しているものを採取した自然物が供給されていたが、年々採取量が減少し価格も更に高騰してきている。そのため、冬虫夏草の人工培養の需要が高まっている。
冬虫夏草の人工培養方法として、昆虫を宿主に使用せずに人工培地を使用した人工培地栽培法がある。人工培地栽培法では、宿主昆虫を使用しないため、比較的容易に冬虫夏草菌の繁殖を行うことが可能である。しかしながら、人工培地栽培法では、培養によって菌糸体を生成させるものが多い。また、人工培養方法で特定の波長の光を照射して菌糸体の繁殖を促進する方法もあるが(例えば、特許文献1〜3)、子実体と比較して薬理活性が不十分であることが多い。
一方、宿主昆虫を使用した冬虫夏草の人工培養方法は、得られる子実体は優れた薬理活性を有する。しかしながら、宿主昆虫を培地として培養する場合は、菌糸の発育が遅く、子実体の形成量も少ないという問題がある。また、特定の波長の光を照射する等の菌の繁殖を促進させる方法も確立していない。
特開2001−269054号公報 特開2004−344027号公報 特開2006−204310号公報
以上のように、従来の冬虫夏草の人工培養方法では、薬理活性に優れた子実体を効率よく生産することができていないのが実情である。
かかる状況下、本発明の目的は、冬虫夏草の子実体を生産性よく得ることができる、冬虫夏草子実体の生産方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、体内で冬虫夏草菌の菌糸体を形成した宿主昆虫に対し、高電圧のインパルスの電気刺激(高電圧パルス)を印加することにより、冬虫夏草の子実体の発生率が向上することを見出した。さらに、高電圧パルス印加と共にLED照射とを組み合わせて与えることによって、冬虫夏草子実体の生産性をより向上させることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 宿主昆虫に冬虫夏草菌の菌種を接種し、前記宿主昆虫の体内で冬虫夏草菌を増殖させて菌糸体を形成する工程と、
菌糸体が形成された前記宿主昆虫に、印加電圧80kV以上で電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程と、
前記火花放電により電気刺激を加えた宿主昆虫を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程と、
を含み、
前記宿主昆虫が、生きたカイコ幼虫またはカイコ蛹であり、かつ、前記冬虫夏草菌が、サナギタケ(Cordyceps militaris)であり、
前記火花放電により電気刺激を加える工程において、火花放電の方法が、高電圧発生部に接続された球状の放電極を、対象物としての菌糸体が形成された前記宿主昆虫から離間させた状態で、前記高電圧発生部から前記放電極に高電圧を印加することで前記放電極と前記宿主昆虫との間に火花放電を発生させて、前記火花放電により前記宿主昆虫に電気刺激を加える方法であって、前記火花放電による電気刺激を、1日1回の頻度で、1日以上4日以下行う、
冬虫夏草子実体の生産方法。
<2> 前記火花放電により電気刺激を加える工程において、宿主昆虫に対し、LED照射を行う工程を有する<1>に記載の生産方法。
本発明によれば、冬虫夏草の子実体を効率よく生産することができ、収量を増加させて生産性を高めることができる。
電圧印加による子実体発生量指数への影響を示す評価結果である。 高電圧パルス(火花放電による電気刺激、印加電圧80kV)の印加日数(印加回数)と子実体発生量指数との関係を示す評価結果である。 高電圧パルス(火花放電による電気刺激、印加電圧80kV)とLED照射の組み合わせによる子実体発生量指数への影響を示す評価結果である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
本発明は、宿主昆虫に冬虫夏草菌の菌種を接種し、前記宿主昆虫の体内で冬虫夏草菌を増殖させて菌糸体を形成する工程と、菌糸体が形成された前記宿主昆虫に、印加電圧50kV以上でパルス電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程と、前記火花放電により電気刺激を加えた宿主昆虫を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程と、を含む冬虫夏草子実体の生産方法(以下、「本発明の冬虫夏草子実体の生産方法」あるいは単に「本発明の生産方法」と記載する。)に関する。
なお、以下の説明において、菌糸体を形成する工程を「工程(1)」、パルス電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程を「工程(2)」、前記宿主昆虫を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程を「工程(3)」と称す。
「子実体」は、糸状の菌糸体が多数集まってできたものであり、いわゆるキノコの部分である。本明細書において、「冬虫夏草」と称した場合は、子実体と、冬虫夏草菌が増殖した宿主昆虫との全体を指すものとし、子実体を示す場合は「冬虫夏草子実体」または単に子実体と記載する。
本発明の冬虫夏草子実体の生産方法は、工程(2)に特徴があり、体内に冬虫夏草菌の菌糸体を形成した宿主昆虫に対し、50kV以上でパルス電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程により、子実体および子嚢殻の形成が促進され、子実体の発生率が改善されるという利点がある。なお、本明細書において、「電圧50kV以上」を「高電圧」と称する場合がある。
以下、本発明の冬虫夏草子実体の生産方法の各工程を詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、宿主昆虫に冬虫夏草菌の菌種を接種し、前記宿主昆虫の体内で冬虫夏草菌を増殖させて菌糸体を形成する工程である。
(冬虫夏草菌)
本発明の生産方法において使用できる冬虫夏草菌は、子嚢菌類麦角菌科の菌類で主として昆虫類に寄生して子実体を形成する菌類であればよく、特にはノムシタケ属(Cordyceps属)に属する菌類を使用することができる。Cordyceps属に属する菌類としては、例えば、セミタケ(Cordyceps sobolifera)、サナギタケ(Cordyceps militaris)、ミミカキタケ(Cordycepsnutans)、オオノムシタケ(Cordyceps nawai)、天然冬虫夏草(Cordyceps sinensis)などが挙げられる。
また、Cordyceps属に属する冬虫夏草菌以外にも、コナサナギタケ(Isaria farinosa)、ハナサナギタケ(Isaria japonica)等の冬虫夏草菌も使用できる。
これらの冬虫夏草菌の中でも、サナギタケ(Cordyceps militaris)が好適である。サナギタケは、カイコ蛹、幼虫などに寄生して、養分を摂取して増殖して、虫の死骸より子実体を発生する。サナギタケは自生するものであってもよいが、宿主をカイコとして人工栽培されたものが好ましい。
(宿主昆虫)
宿主昆虫は、使用する冬虫夏草菌に適した昆虫を使用すればよく、生きているものを使用することが好ましい。
冬虫夏草菌としてサナギタケを使用する場合には、カイコの幼虫や蛹が好適であり、特に生きたカイコ幼虫またはカイコ蛹であることが好ましい。生きたカイコ幼虫またはカイコ蛹は清浄な環境で飼育したものが好ましく、特には冬虫夏草菌以外の他の雑菌を有さない無菌飼育したものが好ましい。無菌飼育した生きたカイコ幼虫またはカイコ蛹であると、冬虫夏草菌が繁殖しやすく、子実体の発生率が増加する傾向にある。なお、冬虫夏草菌を接種しやすいという面では、動きの少ないカイコ蛹が宿主昆虫として好ましい。
宿主昆虫へ冬虫夏草菌を接種する方法は特に制限はないが、宿主昆虫の種類に応じて適宜選択される。宿主昆虫がカイコ幼虫やカイコ蛹である場合には、冬虫夏草菌を含む溶液をカイコ幼虫やカイコ蛹の体内に直接注入接種する方法や、カイコ幼虫やカイコ蛹を減圧後、大気圧開放するときにカイコ幼虫やカイコ蛹の体内に強制的に冬虫夏草菌を含む溶液を浸入接種させる方法などが挙げられる。
<工程(2)>
工程(2)は、菌糸体が形成された前記宿主昆虫に、印加電圧50kV以上でパルス電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程である。工程(2)は、本発明の特徴的工程であり、印加電圧50kV以上での火花放電により電気刺激を加えることによって、子実体および子嚢殻の形成が促進され、子実体の発生率が増加させることができる。
火花放電により電気刺激を加えることによって、子実体の発生率が増加する理由については現在のところ不明であるが、火花放電による電気刺激として、高電圧を短時間に急峻に印加することによって、冬虫夏草菌を死滅させることなく、子実体の発生を惹起する刺激を与えることができているものと推測される。
なお、山間部にあるシイタケ栽培場に落雷があると、シイタケが異常発生することは生産者の間で経験的に知られている。これは、落雷時の電撃が、シイタケのホダ木に何らかの電気刺激を与え、シイタケの発生を促したと考えられる。しかし、この雷の電気刺激効果はシイタケなど担子菌類に対するもので、冬虫夏草のような子嚢菌類に対する影響は不明で、特に子嚢菌類に感染された昆虫に対する研究報告は見当たらない。
工程(2)で使用する電圧パルス発生装置は処理対象に火花放電により電気刺激を与える装置であれば任意である。好適な市販品を例示すると、グリーンテクノ株式会社製電圧パルス放電装置(品名:らいぞう、型番:GM100)が挙げられる。この放電装置は、きのこ増産装置として市販されており、放電電極からの火花放電によって対象物に電気刺激を加えることができる。この装置の詳細は特開2012−54号公報に記載の通りであるが、簡単に記載すると、高電圧発生部に接続された球状の放電極を、対象物から離間させた状態で、前記高電圧発生部から前記放電極に高電圧を印加することで前記放電極と前記対象物との間に火花放電を発生させて、前記火花放電により前記対象物に電気刺激を加えるものである。
この装置では、パルス状の高電圧印加指令が発振回路に入力し、発振した交流電圧で、所定の電位Vに達するまで電圧を高め、電位Vになると放電する機構を有し、指定した処理時間の間、所定の電位Vに達する回数だけ、火花放電が繰り返し発生される。その結果、火花放電はパルス状に行われることになるため、本明細書において、このような仕組みの放電装置によるパルス状での電気刺激を、「高電圧パルス」又は単に「電圧パルス」と称する場合がある。
印加電圧は50kV以上を必須とする。印加電圧が50kV未満であると、有意な子実体の発生率が増加しない。より子実体の発生率を高める点では、印加電圧は、好ましくは80kV以上、より好ましくは100kV以上である。
なお、印加電圧の上限は子実体の発生率を高める限り制限はないが、200kV以下であり、好ましくは150kV以下である。
パルス幅(パルス電圧の幅)は、子実体の発生率が増加する範囲で任意であり、使用する装置、印加電圧等に応じて適宜設定される。例えば、上記市販の放電措置のように交流電源を使用する装置の場合ではmsオーダーであるが、これには限定されない。
高電圧パルスでの火花放電による電気刺激を行う時間は、子実体の発生率が増加する範囲で任意であり、印加電圧等にもよるが、通常、1〜30秒間、好適には5〜15秒間である。
火花放電により電気刺激を付与する回数は、子実体の発生率が増加する範囲で任意であるが、回数が多すぎると、子実体の発生率が減少する場合がある。好適な条件を例示すると、火花放電による電気刺激は、1日1回の頻度で、1日以上4日以下である。
本発明の生産方法において、工程(2)の後に宿主昆虫に対し、LED照射を行う工程を有することが好ましい。
LEDは蛍光灯や白熱灯など他の多くの光源と異なり、特定の波長に偏った光である。そのため、対応する波長に対する光化学反応が促進されたり、逆に明るさの割に必要な波長の光がないため十分な効果が得られないことがある。
照射するLEDの波長としては、子実体の発生率が増加する範囲で任意であるが、540〜720nmの波長域にピークをもつ光が選択される。
好ましい波長のひとつは、400〜500nm(特には450nm)の波長域にピークを持つ青色光である。また、他の好ましい波長のひとつは、600〜700nm(特には660nm)の波長域にピークを持つ赤色光である。
実施例で後述するように、青450nmと赤660nmの混合光であると、より優れた冬虫夏草子実体の生産性の向上効果が認められる。
また、LED光の強度は、子実体の発生率が増加する範囲で任意である。
<工程(3)>
工程(3)は、前記宿主昆虫を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程である。
培養する条件は、子実体が成長するのに適した温度および湿度であればよく、使用する冬虫夏草菌の種類や宿主昆虫の種類に応じて適宜選択されるが、具体的な条件を例示すると、温度18〜24℃程度、湿度80%以上、全暗で一週間から15日間程度の条件で生育し、子実体を形成させる。不完全菌類の場合は束状体(子実体)と分生子の形成、完全菌類の場合は子実体と子嚢殻の形成が確認された時点で成熟と判断し、その前後に収穫を行えばよい。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示であって制限的なものではない。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1):「印加電圧による冬虫夏草子実体発生量への影響」
人工飼料無菌飼育法により、カイコを飼育し、得られた生きたカイコ蛹を寄主とし実験を行った。まず、子嚢菌類の冬虫夏草菌であるサナギタケ(C. militaris)をカイコ蛹に接種し、17℃〜23℃の環境で菌糸体を形成させた。
なお、使用した冬虫夏草菌は、自然界にある野生サナギタケを採取し、サナギタケ菌株の分離培養を行い、無菌蚕を寄主として、菌糸の成長がよく、子実体の形成がいい菌株を厳選し得られた菌株(「CM02」と命名)を使用した。
次いで、放電装置として株式会社グリーンテクノGM100(らいぞう)を使用し、菌糸体を形成させたカイコ蛹に対し、所定の印加電圧の火花放電によるパルス状での電気刺激を付与して子実体の培養を行った。
印加電圧は、低電圧の0.5kV区と、高電圧の50kV区、80kV区、100kV区を設けた。また、対照区として電圧を与えない区を設定した。
各試験区とも二連で行い、一連を20頭とし、パルス電圧の印加(火花放電によるパルス状での電気刺激)は1日一回、一回約10秒、連続二日間行った。電圧印加後のカイコ蛹は通常培養(温度:20〜23℃、湿度:80%)を行い、子実体を形成させ、1ケ月後収穫した。
以下の式で定義される子実体発生量指数を求めた結果を図1に示す。

子実体発生量指数 =(乾燥子実体重さ)/(乾燥子実体重さ+乾燥サナギ重さ)
図1に示されるように低電圧の0.5kV区と電圧印加のない対照区とそれほど差がないのに対し、印加電圧が50kV以上であると、電圧印加のない対照区や0.5kV電圧印加と比較して、有意に子実体の生産率が高くなるという結果が得られた。高電圧を印加した50kV区、80kV区、100kV区では、長さ4〜12cmの子実体を収穫でき、収穫した子実体は、棒状であり、分岐がなく、鮮やかなオレンジ色であり、野生のサナギタケ子実体の形態と似ていた。特に100kV区には太くて大きい子実体が得られた。この結果から、印加電圧50kV以上の電気刺激で刺激であると、子実体の生産率が高くなるということが認められた。
(実施例2):「高電圧パルスの印加日数(印加回数)と子実体発生量指数との関係」
上記の結果に基づき、菌糸形成後子実体培養開始時に、印加電圧80kVの火花放電によるパルス状での電気刺激(高電圧パルス)を与える日数(印加回数)による子実体発生量への影響を調べた。
試験は、上記実施例1に準じる方法で行い、試験区においては、印加電圧80kVの火花放電による電気刺激を一日一回与えた。これを1日、連続2日間、4日間、6日間、8日間行った。電気刺激を与えた後のカイコ蛹は通常培養を行い、子実体を形成させ、1ケ月後収穫した。なお、対照区として無印加区を設けた。結果を図2に示す。
図2の通り、電気刺激一回のみ(1日)でも子実体発生量への促進効果も認められた。連続2日間区、4日間区も最も高い収穫量が得られたが、6日間、8日間の印加区は対照区に比べ大きな変化が見られなかった。
(実施例3):「電圧パルスとLED照射の組み合わせによる子実体発生量への影響」
印加電圧80kVの火花放電によるパルス状での電気刺激(電圧パルス印加区)、および印加電圧80kVでの火花放電による電気刺激とLED照射との組み合わせ処理(電圧パルス+LED照射区)による影響を調べた。実験は実施例1に準じる方法で行った。
電圧パルスの印加区は一日一回、一回約5秒の高電圧パルス(80kV)を印加し、火花放電による電気刺激を与えるパルス電圧処理を連続して3日間行った。
電圧パルス+LED照射区は、上記電圧パルスの印加区と同じ方法で火花放電による電気刺(高電圧パルス処理)を行い、光源はLED光源装置(KP-E2)により、さらにLED赤とLED赤青の混色(発光波長:赤660nm、青450nm)を一日6時間の照射行い、これを連続して3日間行った。
それぞれの処理後、通常培養を行い、子実体を形成させ、1ケ月後収穫した。その結果、各試験区の子実体発生指数を図3に示す。
図3に示されるように、子実体発生指数をみると、対照区に比べ、電圧パルスの印加区、高電圧+LED青区、高電圧+LED青赤区のいずれも増加の効果が得られ、特に高電圧パルス+LED青赤区は増産効果が顕著であることが認められた。
本発明によれば、健康増進等の薬効が認められる冬虫夏草の子実体を人工的に生産することが可能となるので、産業的に有望である。

Claims (2)

  1. 宿主昆虫に冬虫夏草菌の菌種を接種し、前記宿主昆虫の体内で冬虫夏草菌を増殖させて菌糸体を形成する工程と、
    菌糸体が形成された前記宿主昆虫に、印加電圧80kV以上で電圧を印加し、火花放電により電気刺激を加える工程と、
    前記火花放電により電気刺激を加えた宿主昆虫を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程と、
    を含み、
    前記宿主昆虫が、生きたカイコ幼虫またはカイコ蛹であり、かつ、前記冬虫夏草菌が、サナギタケ(Cordyceps militaris)であり、
    前記火花放電により電気刺激を加える工程において、火花放電の方法が、グリーンテクノ株式会社製電圧パルス放電装置(品名:らいぞう、型番:GM100)を使用し、高電圧発生部に接続された球状の放電極を、対象物としての菌糸体が形成された前記宿主昆虫から離間させた状態で、前記高電圧発生部から前記放電極に高電圧を印加することで前記放電極と前記宿主昆虫との間に火花放電(パルス幅:msオーダー)を発生させて、前記火花放電により前記宿主昆虫に電気刺激を加える方法であって、
    前記火花放電による電気刺激を、1日1回の頻度で、1日以上4日以下行う、
    ことを特徴とする冬虫夏草子実体の生産方法。
  2. 前記火花放電により電気刺激を加える工程において、宿主昆虫に対し、LED照射を行う工程を有する請求項1に記載の生産方法。
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