JP6588276B2 - 硬化性組成物、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像素子および画像表示装置 - Google Patents

硬化性組成物、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像素子および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
固体撮像装置は、撮影レンズと、この撮影レンズの背後に配されるCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子と、この固体撮像素子が実装される回路基板とを備える。この固体撮像装置は、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、スマートフォン等に搭載される。
固体撮像装置においては、可視光の反射によるノイズの発生が生じる場合がある。そこで、特許文献1においては、固体撮像装置内に所定の遮光膜を設けることにより、ノイズの発生の抑制を図っている。遮光膜を形成するための組成物としては、チタンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を含有する硬化性組成物が使用されている。
特開2012−169556号公報
顔料を含有する硬化性組成物には、近年、様々な要求が求められている。
本発明者らが、チタンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を含有する硬化性組成物について検討したところ、貯蔵安定性が不十分な場合があることを明らかにした。
そこで、本発明は、貯蔵安定性が良好な硬化性組成物ならびに上記硬化性組成物を用いたカラーフィルタ、遮光膜、固体撮像素子および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の顔料を用いることで、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好になることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]中空粒子顔料A、分散剤B、溶剤C、及び、重合性化合物Dを含有する硬化性組成物。
[2]上記中空粒子顔料Aが、黒色顔料である、上記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]更に、重合開始剤Eを含有する、上記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4]更に、アルカリ可溶性樹脂Fを含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]上記中空粒子顔料Aが、リグニン由来の中空構造を有する炭素粒子を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]遮光膜形成用組成物である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなるカラーフィルタ。
[8]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる遮光膜。
[9]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜を有する固体撮像素子。
[10]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜を有する画像表示装置。
本発明によれば、貯蔵安定性が良好な硬化性組成物ならびに上記硬化性組成物を用いたカラーフィルタ、遮光膜、固体撮像素子および画像表示装置を提供できる。
第1実施形態の固体撮像装置を示す斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置の分解斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第2実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第3実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第4実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
また本明細書中における「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタアクリルアミドを表す。また、本明細書中において、「単量体」と「モノマー」とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)は、中空粒子顔料A、分散剤B、溶剤C、及び、重合性化合物Dを含有する硬化性組成物である。
本発明の硬化性組成物は、チタンブラックやカーボンブラック等の顔料を使用した硬化性組成物と比較して、貯蔵安定性(経時安定性)に優れる。
すなわち、本発明の組成物は、中空粒子顔料Aを含有するが、この中空粒子顔料Aの比重が比較的小さいため、沈降しにくく、その結果、貯蔵安定性に優れると考えられる。
以下では、まず、本発明の組成物に含有される各成分について、詳述する。
〔中空粒子顔料A〕
本発明の組成物に含有される中空粒子顔料A(以下、単に「中空粒子顔料」又は「顔料」ともいう)は、中空構造を有する粒子からなる顔料である。
中空構造を有する粒子は、例えば、同等の粒子径を有する通常のカーボンブラック(中空構造を有さないもの)よりも比重が小さいので、上述したように、沈降しにくく、貯蔵安定性を向上できる。
なお、中空構造とは、殻で囲まれ内部が完全な空洞状態である構造のほか、粒子内部まで溝による空洞が複数形成された多孔質構造をも含む概念である。
中空構造を有する粒子としては、例えば、中空構造を有する炭素粒子が挙げられ、その具体例としては、リグニンを熱分解して得られる炭素粒子(以下、「リグニンブラック(登録商標)」ともいう)、ケッチェンブラック(登録商標)などが挙げられる。
リグニンブラックとしては、特に限定されないが、例えば特開2009−155199号公報に記載の方法で得られたものを用いることができる。リグニンブラックの製造方法の一例を次に示す。まず、木材や、パルプの製造工程で排出される廃液からリグニンを含む有機材料を分離する。そして、リグニンを含む有機材料及び任意で無機物質(例えば、金属酸化物、水酸化物、及び炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩の水溶性塩等)を含む水溶液を調製する。このようにして得られた水溶液をスプレードライにより微小液滴化し、この微小液滴を300℃〜1200℃で熱分解することによって、この微小液滴が炭素化する。このようにして、リグニン由来の中空構造を有する炭素粒子が得られる。なお、リグニンには、アルカリリグニン、加水分解リグニン及びリグニンスルホン酸等を含む。また、リグニン由来の中空構造を有する炭素粒子は、製造方法を適宜調製することによって、その表面に複数の凹凸形状を備えた多孔質構造とすることもできる。
ケッチェンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、ケッチェンブラック EC300J、EC600JD(ライオン株式会社製)等が挙げられる。ケッチェンブラックは、中空構造を有し、かつ、その表面が賦活処理された多孔質構造を有する。この顔料は、比表面積が大きく嵩高い特性を有しているため単位重量当りの粒子数が通常のファーネス及びチャンネル製法により製造されるカーボンブラックに比べ多いという利点がある。
中空構造を有する炭素粒子のうち、リグニンブラックは、パルプ廃液や、木材及び農産物の廃棄物等から得られるリグニンから製造することができるので、通常の化石資源を原料として得られる炭素粒子よりも、環境面において好ましく用いることができる。
中空構造を有する炭素粒子は、2種以上併用してもよい。例えば、異なる2種の粒径を有する中空粒子を混ぜてもよい。大きい粒子と小さい粒子とを併用することで、凹凸形状に塗布しても下地の形状に追従し、均一に塗布できる。
中空粒子顔料としては、中空構造であっても、中空構造でない顔料と比較して色濃度や色味の変化が少ない観点から、黒色又は有彩色の中空粒子顔料であることが好ましく、退色などか少ない観点から、黒色の中空粒子顔料であることがより好ましい。
また、本発明の組成物は、中空粒子顔料と併用して、ほかの着色剤を含有してもよい。
ほかの着色剤として、以下のものを挙げることができる。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment YELLOW 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279
C.I. Pigment Green 7,10,36,37,58,59,
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80
C.I.Pigment Black 1
これら有機顔料は、単独または色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。
本発明の組成物において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解した状態の着色組成物を得ることができる。
本発明の組成物に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。
また、アルカリ現像により未露光部を除去するという観点では、酸性染料および/またはその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、
acid alizarin violet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40〜45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid
red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
なかでも、着色剤としては、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、アンスラピリドン系ピロメテン系から選ばれる着色剤であることが好ましい。着色剤としては、各種公知の着色顔料及び着色染料が挙げられ、例えば、カラーフィルタの有彩色フィルタの製造、ブラックマトリクスの形成、又は、所望の波長領域の光を遮光する遮光膜の形成に用いられている、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の有彩色系の染料(有彩色染料)若しくは有彩色系の顔料(有彩色顔料)、又は、黒色系染料(黒色染料)若しくは黒色系顔料(黒色顔料)を用いることができる。
これらの着色剤は2種以上併用してもよい。
例えば、本発明における中空粒子顔料と、カーボンブラック及び/又はチタンブラックとを混ぜてもよい。また、色味を調整する観点からは、本発明における中空粒子顔料と、有彩色顔料又は染料とを混ぜてもよい。この場合、赤色の有彩色顔料又は染料が含まれると、ブラックマトリクス、又は所望の波長領域の光を遮光する遮光膜の色味、又は遮光性に優れる。
これらの着色剤に中空粒子顔料を併用することで、中空粒子構造でなくとも、分散物の全体として沈降しにくくなり、その結果、貯蔵安定性がより優れる。
中空構造を有する粒子の粒子径(一次粒子径)は、特に限定されないが、1nm以上400nm未満が好ましく、1nm以上300nm以下がより好ましく、1nm以上200nm以下が更に好ましい。粒子が小さすぎると凝集しやすく大きすぎると沈降しやすい場合があるが、粒子径が上記範囲内であれば、凝集しにくく、沈降がより抑制される。
なお、中空構造を有する粒子の粒子径(一次粒子径)は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を用いて測定できる。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の透過型顕微鏡HT7700を用いることができる。
透過型電子顕微鏡を用いて得た粒子像の最大長(Dmax:粒子画像の輪郭上の2点における最大長さ)、及び最大長垂直長(DV−max:最大長に平行な2本の直線で画像を挟んだ時、2直線間を垂直に結ぶ最短の長さ)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)1/2を粒子径とした。この方法で100個の粒子の粒子径を測定し、その算術平均値を平均粒子径として、中空構造を有する粒子の粒子径(一次粒子径)とした。実施例における「平均一次粒子径」も上記の算術平均値と同じである。
中空粒子顔料Aの含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、15〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。
〔分散剤B〕
本発明の組成物は、分散剤B(以下、単に「分散剤」ともいう)を含有する。分散剤は、上述した顔料の分散性向上に寄与する。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤を適宜選択して用いることができる。なかでも、高分子化合物が好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及び、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子化合物は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及びブロック型高分子に分類することができる。
高分子化合物は、顔料等の被分散体の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位を有することが好ましい。なお、本明細書において、「構造単位」とは「繰り返し単位」と同義である。
このようなグラフト鎖を有する構造単位を有する高分子化合物は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れるものである。また、組成物においては、グラフト鎖の存在により重合性化合物などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎると顔料への吸着力が低下して分散性は低下する傾向となる。このため、グラフト鎖は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるものが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であるものがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であるものが更に好ましい。
ここで、グラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
グラフト鎖は、ポリマー構造を有することが好ましく、このようなポリマー構造としては、例えば、ポリアクリレート構造(例えば、ポリ(メタ)アクリル構造)、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造、及び、ポリエーテル構造などを挙げることができる。
グラフト鎖と溶剤との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造及びポリアクリレート構造からなる群から選ばれた少なくとも1種を有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル構造及びポリエーテル構造の少なくともいずれかを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
高分子化合物が有するグラフト鎖を有する構造単位に対応し、高分子化合物の合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、AW−6(東亜合成社製)、AA−714(東亜合成社製)、AY−707(東亜合成社製)、AY−714(東亜合成社製)、AK−5(東亜合成社製)、AK−30(東亜合成社製)、AK−32(東亜合成社製)、ブレンマーPP−100(日油社製)、ブレンマーPP−500(日油社製)、ブレンマーPP−800(日油社製)、ブレンマーPP−1000(日油社製)、ブレンマー55−PET−800(日油社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)、ブレンマーPSE−400(日油社製)、ブレンマーPSE−1300(日油社製)、ブレンマー43PAPE−600B(日油社製)などが用いられる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWはそれぞれ独立に酸素原子又はNHを表す。W、W、W、及びWは酸素原子であることが好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、及びYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基などが例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基、炭素数5から24の環状アルキル基、又は、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(3)中、Rは分岐若しくは直鎖のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、更に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。Rがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、高分子化合物は、2種以上の構造が異なる、グラフト鎖を有する構造単位を有することができる。即ち、高分子化合物の分子中に、互いに構造の異なる式(1)〜式(4)で示される構造単位を含んでいてもよく、また、式(1)〜式(4)においてn、m、p、及びqがそれぞれ2以上の整数を表す場合、式(1)及び式(2)においては、側鎖中にj及びkが互いに異なる構造を含んでいてもよく、式(3)及び式(4)においては、分子内に複数存在するR、R及びXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(3A)又は式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、式(1A)で表される構造単位を有することがより好ましい。
高分子化合物において、グラフト鎖を有する構造単位(例えば、上記式(1)〜式(4)で表される構造単位)は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し2〜90%の範囲で含まれることが好ましく、5〜30%の範囲で含まれることがより好ましい。グラフト鎖を有する構造単位が、この範囲内で含まれると顔料の分散性が高く、現像性が良好である。
また、高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位とは異なる(すなわち、グラフト鎖を有する構造単位には相当しない)疎水性構造単位を有することが好ましい。ただし、本発明において、疎水性構造単位は、酸基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等)を有さない構造単位である。
疎水性構造単位は、好ましくは、ClogP値が1.2以上の化合物(モノマー)に由来する(対応する)構造単位であり、より好ましくは、ClogP値が1.2〜8の化合物に由来する構造単位である。これにより、本発明の効果をより確実に発現することができる。
ClogP値は、Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム「CLOGP」で計算された値である。このプログラムは、Hansch, Leoのフラグメントアプローチ(下記文献参照)により算出される「計算logP」の値を提供する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することにより化合物のlogP値を推算している。その詳細は以下の文献に記載されている。本発明では、プログラムCLOGP v4.82により計算したClogP値を用いる。
A. J. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990 C. Hansch & A. J. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. John Wiley & Sons. A.J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993.
logPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式で示される。
logP=log(Coil/Cwater)
式中、Coilは油相中の化合物のモル濃度を、Cwaterは水相中の化合物のモル濃度を表す。
logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味し、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
高分子化合物は、疎水性構造単位として、下記一般式(i)〜(iii)表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
上記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基であっても飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基、又は、複素環基が挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zとしては、脂肪族基(例えば、アルキル基、置換アルキル基、不飽和アルキル基、置換不飽和アルキル基、)、芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基には、更に環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、脂肪族基は、置換基として酸基を有さない。
芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、芳香族基は、置換基として酸基を有さない。
複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、複素環基は、置換基として酸基を有さない。
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基若しくはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、特開2013−249417号公報の段落0089〜0093に記載の化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
高分子化合物において、疎水性構造単位は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、20〜80%の範囲で含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲において十分なパターン形成が得られる。
高分子化合物は、顔料と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。ここで、高分子化合物は、顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位を更に有することが好ましい。
この顔料と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、反応性を有する官能基等が挙げられる。
高分子化合物が、酸基、塩基性基、配位性基、又は、反応性を有する官能基を有する場合、それぞれ、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する構造単位を有することが好ましい。
特に、高分子化合物が、更に、酸基として、カルボン酸基などのアルカリ可溶性基を有することで、高分子化合物に、アルカリ現像によるパターン形成のための現像性を付与することができる。
すなわち、高分子化合物にアルカリ可溶性基を導入することで、本発明の組成物は、顔料の分散に寄与する分散剤としての高分子化合物がアルカリ可溶性を有することになる。このような高分子化合物を含有する組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
また、高分子化合物が酸基を有する構造単位を有することにより、高分子化合物が溶剤となじみやすくなり、塗布性も向上する傾向となる。
これは、酸基を有する構造単位における酸基が顔料と相互作用しやすく、高分子化合物が顔料を安定的に分散すると共に、顔料を分散する高分子化合物の粘度が低くなっており、高分子化合物自体も安定的に分散されやすいためであると推測される。
ただし、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記したグラフト鎖を有する構造単位と同一の構造単位であっても、異なる構造単位であってもよいが、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記した疎水性構造単位とは異なる構造単位である(すなわち、上記した疎水性構造単位には相当しない)。
顔料と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又は、フェノール性水酸基などがあり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種であり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高いカルボン酸基である。
すなわち、高分子化合物は、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種を有する構造単位を更に有することが好ましい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜60%である。
顔料と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高い第3級アミノ基である。高分子化合物は、これらの塩基性基を1種或いは2種以上、有することができる。
高分子化合物は、塩基性基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0.01%以上50%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01%以上30%以下である。
顔料と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。高分子化合物は、これらの基を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する官能基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、これらの構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、20%以上60%以下である。
本発明における高分子化合物が、グラフト鎖以外に、顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する場合、上述したような、各種の顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、高分子化合物は、下記一般式(iv)〜(vi)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。一般式(iv)中、R12及びR13は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(iv)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(v)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、一般式(iv)〜一般式(v)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR31’−、ここでR31’は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜10が最も好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
は、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、Zは、グラフト鎖以外に顔料と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
一般式(vi)中、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。R14、R15、及びR16としては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(iv)で表される単量体として、R11、R12、及びR13がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(v)で表される単量体として、R11が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、一般式(vi)で表される単量体として、R14、R15、及びR16がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、一般式(iv)〜一般式(vi)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位の含有量は、顔料との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、高分子化合物の全質量に対して、0.05質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がより好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましい。
更に、高分子化合物は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グラフト鎖を有する構造単位、疎水性構造単位、及び、顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位とは異なる、種々の機能を有する他の構造単位(例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基などを有する構造単位)を更に有していてもよい。
このような、他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物に由来の構造単位が挙げられる。
高分子化合物は、これらの他の構造単位を1種又は2種以上用いることができ、その含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0%以上80%以下であり、特に好ましくは、10%以上60%以下である。含有量が上記範囲において、十分なパターン形成性が維持される。
高分子化合物の酸価は、0mgKOH/g以上160mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上140mgKOH/g以下の範囲であり、更に好ましくは20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の範囲である。
高分子化合物の酸価が160mgKOH/g以下であれば、現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、高分子化合物の酸価が10mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、高分子化合物の酸価が20mgKOH/g以上であれば、顔料などの被分散体の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、本発明の組成物の経時安定性をより向上できる。
本発明において、高分子化合物の酸価は、例えば、高分子化合物中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、高分子化合物の構成成分である酸基を含有する構造単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
本発明における高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、4,000以上300,000以下が好ましく、5,000以上200,000以下がより好ましく、6,000以上100,000以下が更に好ましく、10,000以上50,000以下が特に好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値である。GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー社製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー社製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
高分子化合物は、公知の方法に基づいて合成でき、高分子化合物を合成する際に用いられる溶剤としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
本発明に用いうる高分子化合物の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−161、162、163、164、165、166、170、190(高分子共重合物)」、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)等が挙げられる。
これらの高分子化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、高分子化合物の具体例の例としては、特開2013−249417号公報の段落0127〜0129に記載の高分子化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、分散剤としては、上述した高分子化合物以外に、特開2010−106268号公報の段落0037〜0115(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の段落0075〜0133欄)のグラフト共重合体が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
また、上記以外にも、特開2011−153283号公報の段落0028〜0084(対応する米国特許出願公開第2011/0279759号明細書の段落0075〜0133欄)の酸性基が連結基を介して結合してなる側鎖構造を有する構成成分を含む高分子化合物が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
さらに、本発明において使用できる分散液としては、特開2014−205782号公報の段落0014〜0138に記載された分散剤(分散樹脂、および、一般式(1)で表される高分子化合物)を使用することもでき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
分散剤の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、0.5〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
〔溶剤C〕
本発明の組成物に含有される溶剤C(以下、単に「溶剤」ともいう)としては、水又は有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等、その他、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが好適に挙げられる。
溶剤の含有量は、本発明の組成物の全質量に対し、10〜90質量%が好ましく、20〜85質量%がより好ましい。
これらの有機溶剤は、重合性化合物、アルカリ可溶性樹脂等の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
本発明の組成物は、有機溶剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔重合性化合物D〕
本発明の組成物は、重合性化合物D(以下、単に「重合性化合物」ともいう)を含有する。
重合性化合物は、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。
少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタンなどの多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物;ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールをポリ(メタ)アクリレート化した化合物;特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能の(メタ)アクリレート;等を挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されている化合物も使用できる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び一般式(2)としてその具体例と共に記載の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
なかでも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介してジペンタエリスリトールに連結している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、及び特公平2−16765号の各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、及び特公昭62−39418号の各公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類;等も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、及び特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類も使用できる。
市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(日本製紙ケミカル社製)、UA−7200(新中村化学工業社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の重合性化合物を組み合わせて用いる場合、その組み合わせ態様は、組成物に要求される物性等に応じて適宜設定することができる。重合性化合物の好適な組み合わせ態様の一つとしては、例えば、上述した多官能のアクリレート化合物から選択した2種以上の重合性化合物を組み合わせる態様が挙げられ、その一例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートの組み合わせが挙げられる。
重合性化合物の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、3〜55質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
〔重合開始剤E〕
本発明の組成物は、更に、重合開始剤E(以下、単に「重合開始剤」ともいう)を含有していてもよい。
重合開始剤としては特に制限はなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するもの(いわゆる、光重合開始剤)が好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が特に好ましい。
特に、本発明の着色組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、光重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、光重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが特に好ましい。また、オキシム化合物を用いることにより、色移り性をより良化できる。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0265〜0268を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィン系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379EG(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤は、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム系開始剤は高感度で重合効率が高く、色材濃度によらず硬化でき、色材の濃度を高く設計しやすいため好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
本発明において、好適に用いることのできるオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
また、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等も挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831およびアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)も用いることができる。
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報及び米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落0274〜0275を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
一般式(OX−1)中、RおよびBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
一般式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
一般式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物、特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、下記一般式(1)または(2)で表される化合物を用いることもできる。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、または、炭素数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRがフェニル基の場合、フェニル基どうしが結合してフルオレン基を形成してもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基または炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合またはカルボニル基を示す。
式(2)において、R、R、R及びRは、式(1)におけるR、R、R及びRと同義であり、Rは、−R、−OR、−SR、−COR、−CONR、−NRCOR、−OCOR、−COOR、−SCOR、−OCSR、−COSR、−CSOR、−CN、ハロゲン原子または水酸基を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基または炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合またはカルボニル基を表し、aは0〜4の整数を表す。
上記式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル、シクロヘキシル基またはフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基またはキシリル基が好ましい。Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はナフチル基が好ましい。Xは直接結合が好ましい。
式(1)及び式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2014−137466号公報の段落番号0076〜0079に記載された化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
また、フッ素原子を有するオキシム開始剤を用いることも可能である。そのような開始剤の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載されている化合物、特表2014−500852号公報の段落番号0345に記載されている化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報の段落番号0101に記載されている化合物(C−3)が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものがより好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、本発明の組成物の全固形中、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜20質量%である。この範囲で、より良好な感度とパターン形成性が得られる。
本発明の組成物は、光重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔アルカリ可溶性樹脂F〕
本発明の組成物は、更に、アルカリ可溶性樹脂F(以下、単に「アルカリ可溶性樹脂」ともいう)を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂)としては、例えば、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されている樹脂、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独又は共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独又は共重合させ酸無水物ユニットを加水分解、ハーフエステル化又はハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
市販品としては、例えばアクリベースFF−187、FF−426(藤倉化成社製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒社製)、サイクロマーP(ACA)230AA(ダイセルオルネクス社製)などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶剤の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜35質量%がより好ましく、1〜30質量%が更に好ましい。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の組成物には、更に、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。これにより、パターンの形状をより優れた(精細な)ものにすることができる。
紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。これらの具体例としては、特開2012−068418号公報の段落0137〜0142(対応する米国特許出願公開第2012/0068292号明細書の段落0251〜0254)の化合物が使用でき、これらの内容が援用でき、本明細書に組み込まれる。
他にジエチルアミノ−フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学製、商品名:UV−503)なども好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、特開2012−32556号公報の段落0134〜0148に例示される化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、0.001〜15質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の組成物には、塗布性をより向上させる観点から、更に、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。特に、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善できる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781F(以上、DIC社製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子社製)等が挙げられる。
他の界面活性剤の具体例としては、例えば、特開2013−249417号公報の段落0174〜0177に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の含有量は、本発明の組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
〔その他の成分〕
上記成分以外にも、本発明の組成物には、以下の成分を更に添加してもよい。例えば、上述した中空粒子顔料A以外の顔料又は染料、増感剤、共増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、重合禁止剤、可塑剤、希釈剤、感脂化剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
なお、本発明の組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、5〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。
〔硬化性組成物の調製方法〕
本発明の組成物は、上述した各種成分を公知の混合方法(例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機)により混合して調製することができる。
本発明の組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、ナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、更に好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、顔料のろ過詰まりを抑えつつ、顔料に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、更に好ましくは0.3〜6.0μm程度である。
〔硬化性組成物の用途(カラーフィルタ、遮光膜)〕
本発明の組成物の用途は、特に限定されない。例えば、本発明の組成物を用いて形成される膜(本発明の組成物を硬化してなる硬化膜)は、固体撮像素子などに設けられる遮光膜またはカラーフィルタとして使用され得る。中空粒子顔料Aが黒色顔料である場合は、遮光膜として使用されることが好ましい。遮光膜は、一例として、固体撮像装置において、IRカットフィルタの入射面の端部には、全周に亘って配置される。
すなわち、本発明のカラーフィルタおよび遮光膜は、本発明の組成物を用いて形成され、本発明の組成物を硬化してなる。
以下、本発明の組成物が遮光膜形成用組成物として使用される場合を例に説明することがあるが、本発明の組成物の用途は、これに限定されない。
カラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。カラーフィルタは、例えば、CCDまたはCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置して用いることができる。
また、カラーフィルタは、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子用として好ましく用いることができる。有機EL素子としては、白色有機EL素子が好ましい。有機EL素子は、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子のタンデム構造としては、例えば、基板の一面において、光反射性を備えた下部電極と光透過性を備えた上部電極との間に有機EL層を設けた構造などが挙げられる。下部電極は、可視光の波長域において十分な反射率を有する材料により構成されていることが好ましい。有機EL層は、複数の発光層を含み、それら複数の発光層が積層された積層構造(タンデム構造)を有していることが好ましい。有機EL層は、例えば、複数の発光層には、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層を含むことができる。そして、複数の発光層とともに、それらは発光層を発光させるための複数の発光補助層を併せて有することが好ましい。有機EL層は、例えば、発光層と発光補助層とが交互に積層する積層構造とすることができる。こうした構造の有機EL層を有する有機EL素子は、白色光を発光することができる。その場合、有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。白色光を発光する有機EL素子(白色有機EL素子)と、本発明のカラーフィルタとを組み合わせることにより、色再現性上優れた分光が得られ、より鮮明な映像や画像を表示可能である。
カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚は、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましい。下限は、例えば0.1μm以上とすることができ、0.2μm以上とすることもできる。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。下限は、例えば0.1μm以上とすることができ、0.2μm以上とすることもできる。
遮光膜は、画像表示装置やセンサモジュール内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などに形成して用いることができる。
また、赤外光カットフィルタの表面上の少なくとも一部に、遮光膜を形成して、遮光膜付き赤外光カットフィルタとしてもよい。
遮光膜の厚さは特に制限されないが、0.2〜25μmが好ましく、1.0〜10μmがより好ましい。上記厚さは平均厚さであり、遮光膜の任意の5点以上の厚さを測定し、それらを算術平均した値である。
遮光膜の反射率は、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましく、4%以下が特に好ましい。なお、遮光膜の反射率は、遮光膜に、入射角度5°で400〜700nmの光を入射し、その反射率を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(商品名)により測定した値である。
[硬化膜の製造方法]
次に、本発明の組成物を用いて形成される硬化膜(以下、「本発明の硬化膜」ともいう)を製造する方法を説明する。
硬化膜の製造方法は特に制限されないが、本発明の組成物を基板上に塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施し、硬化膜を製造する方法が挙げられる。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理又は熱硬化処理が挙げられ、パターン形成が容易である点から、光硬化処理(特に、紫外線照射処理)が好ましい。
なお、使用される基板の種類は特に制限されず、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などが好ましく挙げられる。
パターン状の硬化膜を製造する場合の好適態様としては、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層を形成する工程(組成物層形成工程)と、組成物層をマスクを介して露光する工程(露光工程)と、露光後の組成物層を現像して硬化膜(パターン状硬化膜)を形成する工程(現像工程)と、を備える態様が挙げられる。
具体的には、本発明の組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、組成物層を形成し(組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、パターン状の硬化膜を製造することができる。
以下、上記態様における各工程について説明する。
〔組成物層形成工程〕
組成物層形成工程では、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層を形成する。
基板としては、例えば、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などが挙げられる。
基板上への本発明の組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
基板上に塗布された組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥され、組成物層が形成される。
〔露光工程〕
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層を、マスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、光源としては高圧水銀灯が好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましい。
〔現像工程〕
露光工程に次いで、現像処理(現像工程)を行ない、露光工程における光未照射部分を現像液(例えば、アルカリ水溶液)に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、有機アルカリ現像液が好ましい。現像温度としては通常20℃以上30℃以下であり、現像時間は20秒以上90秒以下である。
アルカリ水溶液としては、例えば、無機系現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%となるように溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。アルカリ水溶液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
なお、組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成されたパターン状の硬化膜を加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を実施してもよい。
また、上記態様では、パターン状の硬化膜を製造する場合について説明したが、パターン状ではない硬化膜を形成してもよい。この場合の態様としては、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層を形成する工程と、組成物層を露光して硬化膜を形成する工程と、を備える態様が挙げられる。すなわち、パターン状の硬化膜を製造する態様と異なり、組成物層をパターン状に露光せず、また、現像も行なわない。
[遮光膜及びその製造方法]
上述したように、本発明の組成物を用いることにより、遮光膜を形成ができる。
遮光膜の厚さは、上述したとおりである。
遮光膜の製造方法は特に制限されないが、本発明の組成物を基板上に塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施し、遮光膜を製造する方法が挙げられる。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理又は熱硬化処理が挙げられ、パターン形成が容易である点から、光硬化処理(特に、紫外線照射処理)が好ましい。
なお、使用される基板の種類は特に制限されず、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などが好ましく挙げられる。
パターン状の遮光膜を製造する場合の好適態様としては、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層を形成する工程(組成物層形成工程)と、組成物層をマスクを介して露光する工程(露光工程)と、露光後の組成物層を現像して遮光膜(パターン状遮光膜)を形成する工程(現像工程)と、を含む態様が挙げられる。
具体的には、本発明の組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、組成物層を形成し(組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、パターン状の遮光膜を製造することができる。
以下、上記態様における各工程について説明する。
〔組成物層形成工程〕
組成物層形成工程では、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層を形成する。
基板としては、例えば、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などが挙げられる。
基板上への本発明の組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
基板上に塗布された組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥され、組成物層が形成される。
〔露光工程〕
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、光源としては高圧水銀灯が好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましい。
〔現像工程〕
露光工程に次いで、現像処理(現像工程)を行ない、露光工程における光未照射部分を現像液(例えば、アルカリ水溶液)に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃以上30℃以下であり、現像時間は20秒以上90秒以下である。
アルカリ水溶液としては、例えば、無機系現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%となるように溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。アルカリ水溶液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
なお、組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成されたパターン状の遮光膜を加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を実施してもよい。
[遮光膜付き赤外光カットフィルタ、固体撮像装置]
上述した遮光膜は、固体撮像装置に好適に適用することができる。
以下では、まず、本発明の遮光膜を有する固体撮像装置の第1実施形態について詳述する。
図1及び図2に示すように、固体撮像装置2は、固体撮像素子としてCMOSセンサ3と、このCMOSセンサ3が実装される回路基板4と、回路基板4を保持するセラミック製のセラミック基板5とを備えている。また、固体撮像装置2は、セラミック基板5に保持され、CMOSセンサ3に向かう赤外光(IR)をカットするIRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、この撮影レンズ7を保持するレンズホルダ8と、このレンズホルダ8を移動自在に保持する保持筒9とを備えている。また、CMOSセンサ3に代えて、CCDセンサや有機CMOSセンサを設けてもよい。
セラミック基板5は、CMOSセンサ3が挿入される開口5aが形成され、枠状となっており、CMOSセンサ3の側面を囲んでいる。この状態で、CMOSセンサ3が実装された回路基板4は、接着剤(例えば、エポキシ系接着剤、以下同様)によりセラミック基板5に固定されている。回路基板4には、各種回路パターンが形成されている。
IRカットフィルタ6は、板状のガラスや青ガラスに赤外光を反射する反射膜が形成され、この反射膜が形成された面が入射面6aとなる。IRカットフィルタ6は、開口5aよりも一回り大きいサイズで形成され、開口5aを覆うように接着剤によりセラミック基板5に固定されている。
撮影レンズ7の背後(図2及び図3における下方)に、CMOSセンサ3が配され、撮影レンズ7とCMOSセンサ3との間に、IRカットフィルタ6が配されている。被写体光は、撮影レンズ7、IRカットフィルタ6を通ってCMOSセンサ3の受光面に入射する。このとき、赤外光は、IRカットフィルタ6によりカットされる。
回路基板4は、固体撮像装置2が搭載される電子機器(例えば、デジタルカメラ)に設けられた制御部に接続され、電子機器から固体撮像装置2に電力が供給される。CMOSセンサ3は、受光面上に多数のカラー画素が二次元に配列されており、各カラー画素は入射光を光電変換し、発生した信号電荷を蓄積する。
図2及び図3に示すように、IRカットフィルタ6の入射面6aの端部には、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)11が配置されており、遮光膜付き赤外光カットフィルタが形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面(図2及び図3における上面)で反射した反射光R1が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合や、撮影レンズ7から出射されたレンズホルダ8の内壁面で反射した反射光R2が、CMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜11は、CMOSセンサ3に向かう反射光R1、R2等の有害光を遮光する。遮光膜11は、例えばスピンコート法、スプレーコート法で塗布されている。なお、図2及び図3では、遮光膜11の厚みを誇張して描いている。
図4に第2実施形態の固体撮像装置20を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置20は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)21が形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面で反射した反射光R3が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜21は、CMOSセンサ3に向かう反射光R3等の有害光を遮光する。
図5に第3実施形態の固体撮像装置30を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置30は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部及び側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。すなわち、第1、第2実施形態を組み合わせたものとなっている。この実施形態では、第1、第2実施形態よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
図6に第4実施形態の固体撮像装置40を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置40は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部及び側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。
また、セラミック基板5の内壁面には、遮光膜(遮光層)41が形成されている。撮影レンズ7から出射され、IRカットフィルタ6を通過してセラミック基板5の内壁面で反射した反射光がCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像のフレアが発生する原因となる。遮光膜41は、セラミック基板5の内壁面よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
[固体撮像素子]
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の硬化膜(カラーフィルタ、遮光膜など)を備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の硬化膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。
さらに、デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成などであってもよい。
[画像表示装置]
本発明の硬化膜(カラーフィルタ、遮光膜など)は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの、画像表示装置に用いることができる。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明におけるカラーフィルタは、カラーTFT(Thin Film Transistor)方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明はIPS(In Plane Switching)などの横電界駆動方式、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)などの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN(Super−Twist Nematic)、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、OCS(on−chip spacer)、FFS(fringe field switching)、および、R−OCB(Reflective Optically Compensated Bend)等にも適用できる。
また、本発明におけるカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタに対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率および剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタは、耐光性などに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
本発明の液晶表示装置は、本発明におけるカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。また、室温は25℃を指す。
なお、本実施例に関しては、後述する分散物の調整後、及び、後述する組成物を調製後のそれぞれについて、全て日本ポール社製DFA4201NXEY(ポアサイズ0.45μmナイロンフィルタ)を用いてろ過を行った。
[実施例1〜3及び比較例1〜3]
〔黒色顔料分散液1の調製〕
下記組成の成分を混合することにより混合液を得て、得られた混合液に対してビーズミルにより分散処理を施すことにより黒色顔料分散液1を得た。
<組成>
・顔料1(特開2009−155199号公報の段落0066に記載の製造方法に準じて作成した。平均一次粒子径29nm、中空構造を有する炭素ナノセル型リグニンブラック) 25.0部
・分散剤:商品名「Disperbyk111」(ビックケミージャパン製)
11.3部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 31.9部
・ブチルアセテート 31.9部
上記を秤量、混合し攪拌することで混合液を得た。
得られた混合液に対し、寿工業社製のWhole length-Sepa APEX MILLを使用して、下記分散条件にて分散処理を行なった。
<分散条件>
・ビーズ径:φ0.03mm
・ビーズ種:ジルコニアビーズ(YTZボール、ニッカトー製)
・ビーズ充填率:40体積%
・ミル周速:4m/sec
・分散処理する混合液量:500g
・循環流量(ポンプ供給量):2kg/hour
・処理液温度:15〜20℃
・冷却水:水道水
分散開始後、上記条件により分散処理を行ないながら30分間隔ごとに、黒色顔料分散液(以下、単に「分散液」ともいう)における平均粒子径の測定を行なった。このとき、平均粒子径は分散時間とともに減少し、次第にその変化量は少なくなった。分散時間を更に延長したときの1パスあたりの平均粒子径の変化が10nm以下となった時点(即ち、平均粒子径の変化が10nm/30分以下となった時点)で、分散液の完成とした。以上のようにして、黒色顔料分散液を調製した。得られた黒色顔料分散液の顔料に対する分散剤の比率(D/P;質量比)は0.45であった。
〔黒色顔料分散液2〜6の調製〕
上記と同様にして、下記顔料2〜6を用いた黒色顔料分散液2〜6を得た。顔料6を用いた場合においては、ミル周速を12m/secとした以外は顔料1を用いた場合と同様にして黒色顔料分散液を得た。
・顔料2:商品名「ケッチェンブラック EC600JD」、ライオン社製、平均一次粒子径40nm、BET比表面積1400m/g、賦活処理を行っており、多孔質表面を有し、比表面積が高い炭素粒子
・顔料3:商品名「ケッチェンブラック EC300J」、ライオン社製、平均一次粒子径40nm、BET比表面積800m/g、賦活処理を行っており、多孔質表面を有し、比表面積が高い炭素粒子
・顔料4:商品名「カラーブラック S170」、デグサ社製、平均一次粒子径17nm、BET比表面積200m/g、ガスブラック方式により製造されたカーボンブラック
・顔料5:平均一次粒径15nmカーボンブラック(Pigment Black7)
・顔料6:チタンブラック(13M−T、三菱マテリアル電子化成社製)
〔黒色顔料分散液1〜6の評価〕
得られた黒色顔料分散液について、沈降性試験を行なった。
沈降性試験では、所定時間経時前の分散液の固形分濃度と、経時後の分散液の固形分濃度とを求め、固形分濃度の変化量を指標にして、下記評価基準にしたがって、黒色顔料の沈降性を評価した。変化量が少ないほど顔料が沈降しにくいと言える。実用上、Aが好ましい。結果を下記表1に示す。
なお、固形分濃度は、次のように測定した。すなわち、分散液を1g秤量し、165℃のオーブンで60分加熱し、加熱後の分散液量を測定し、固形分濃度[質量%]=(加熱後の分散液量/加熱前の分散液量)×100を算出した。
このとき、経時後の固形分濃度を測定するために、分散液を50mLの樹脂製容器に入れて、23℃の環境に6ヶ月間静置した。静置後、液面から深さ1cmまでの上澄み液5gを採取し、経時後の固形分濃度の測定を行なった。
<評価基準>
A:固形分濃度の変化量が3%未満であった。
B:固形分濃度の変化量が3%以上10%未満であった。
C:固形分濃度の変化量が10%以上であった。
上記表1に示すように、顔料1〜3を用いた黒色顔料分散液1〜3は、顔料4〜6を用いた黒色顔料分散液4〜6よりも、顔料が沈降しにくいという結果が得られた。
〔硬化性組成物の調製〕
下記組成の成分を混合し、実施例1〜3及び比較例1〜3の硬化性組成物を得た。
<組成>
・上記で調製した黒色顔料分散液1〜6のいずれか 50部
・重合性化合物:KAYARAD DPHA(日本化薬社製) 8部
・重合開始剤:Irgacure OXE02(BASFジャパン社製) 5部
・アルカリ可溶性樹脂:アクリキュア−RD−F8(日本触媒社製、固形分40%、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 25部
・界面活性剤:メガファックF−780(DIC社製) 0.01部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 12部
〔硬化性組成物の評価(貯蔵安定性)〕
上記で調製した硬化性組成物をスピンコート法でガラス基板上に塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して組成物層を得た。次いで、この組成物層に対し、i線ステッパーを用いて露光量50mJ/cmによる露光と露光量200mJ/cmによる露光とをそれぞれ行なうことにより遮光膜を得た。得られた遮光膜について、分光器UV3600(島津製作所社製)により波長550nmにおける吸光度を測定し、吸光度(i)とした。
これとは別に、上記で調製した硬化性組成物をガラス製の100mL容器に封入して室温で6ヶ月静置し、静置後、液面から深さ2cmまでの硬化性組成物をサンプリングした。サンプリングした硬化性組成物を用いて上記と同様に遮光膜を形成し、吸光度を測定して吸光度(ii)とした。
測定された吸光度(i)及び(ii)から、6ヶ月静置前後における吸光度の変化率を求め、下記評価基準にしたがって、硬化性組成物の貯蔵安定性(経時安定性)を評価した。変化率が小さいほど貯蔵安定性が良好であると言える。実用上、A又はBが好ましい。結果を下記表2に示す。
<評価基準>
A:吸光度の変化率が3%未満であった。
B:吸光度の変化率が3%以上10%未満であった。
C:吸光度の変化率が10%以上であった。
上記表2に示す結果から明らかなように、顔料1〜3を用いた実施例1〜3は、顔料4〜6を用いた比較例1〜3と比べて、貯蔵安定性に優れていた。
また、実施例1〜3を対比すると、顔料1を用いた実施例1は、顔料2〜3を用いた実施例2〜3よりも、更に貯蔵安定性が良好であった。
[実施例4]
重合開始剤を特表2014−500852号公報に記載の化合物24に変えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
[実施例5]
重合開始剤をIRGACURE−907(BASFジャパン社製)に変えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
[実施例6]
分散剤を下記分散剤Aに変えた以外は、黒色顔料分散液1と同様にして黒色顔料分散液7を調製し、黒色顔料分散液1と同様の評価を行なったところ、黒色顔料分散液1と同様の結果が得られた。
さらに、黒色顔料分散液1を黒色顔料分散液7に変えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
〔分散剤Aの合成〕
分散剤Aは、特開2013−249417号公報の段落0219〜0223の記載(文献中、特定樹脂9)を参照して、下記式で示す化合物を合成した。なお、下記式中、xは43質量%、yは49質量%、zは8質量%であった。また、分散剤Aの重量平均分子量は30000であり、酸価は60mgKOH/gであり、グラフト鎖の原子数(水素原子を除く)は117であった。
[実施例7]
黒色顔料分散液を、黒色顔料分散液1を15部と黒色顔料分散液4を35部とに変えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なったところ、貯蔵安定性は「B」となり、比較例1より良好な結果が得られた。
2,20,30,40 固体撮像装置
3 CMOSセンサ
4 回路基板
5 セラミック基板
5a 開口
5b 内壁面
6 IRカットフィルタ
7 撮影レンズ
8 レンズホルダ
9 保持筒
10,11,21,31,41 遮光膜(遮光層)

Claims (11)

  1. 中空粒子顔料A、分散剤B、溶剤C、及び、重合性化合物Dを含有する硬化性組成物であって、
    前記中空粒子顔料Aが、中空構造を有する炭素粒子である、硬化性組成物。
  2. 前記中空粒子顔料Aが、黒色顔料である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 更に、重合開始剤Eを含有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 更に、アルカリ可溶性樹脂Fを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記中空粒子顔料Aが、リグニン由来の中空構造を有する炭素粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記中空粒子顔料Aの一次粒子径が、1〜40nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 遮光膜形成用組成物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなるカラーフィルタ。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる遮光膜。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜を有する固体撮像素子。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜を有する画像表示装置。
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