JP6587983B2 - パワーコンディショナの運転制御装置、運転制御方法、および運転制御プログラム - Google Patents

パワーコンディショナの運転制御装置、運転制御方法、および運転制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、パワーコンディショナの運転制御装置、運転制御方法、および運転制御プログラムに関する。
近年、太陽光発電により発電された電力を電気事業者に売電することが行われている(例えば特許文献1)。具体的には、太陽光パネル(太陽光発電パネル)から出力された直流電力をパワーコンディショナにより交流電力に変換し、得られた交流電力を電力系統に供給する。太陽光発電の発電量が多い場合や電力需要が少ない時期には、電力系統に供給される電力が電気事業者の接続可能量を超えないように太陽光発電所の出力を抑制する必要がある。このような出力抑制は、パワーコンディショナの運転制御を行う運転制御装置が各パワーコンディショナに電力指令値を送信することにより行われる。
なお、本願における「太陽光発電所」は、1つの運転制御装置と、それに繋がるパワーコンディショナおよび太陽光パネルとから構成される。したがって、一事業所であっても、運転制御装置が複数存在する場合は、運転制御装置の数だけ太陽光発電所が存在するとみなす。
特開2011−130638号公報
ところで、太陽光発電所のパワーコンディショナには、電力会社との売電契約により出力制御対象外のパワーコンディショナと、電力会社との売電契約により出力制限対象のパワーコンディショナとがある。例えば、太陽光発電所に当初から存在する既設のパワーコンディショナは出力制御対象外で、新たに増設されたパワーコンディショナは出力制御対象となることがある。このような場合、従来の運転制御装置は、出力制御対象のパワーコンディショナに対してのみ出力制御を行っていた。これについて、図8を参照して説明する。
図8に示すように、従来の運転制御装置100は、既設のパワーコンディショナPCS1に対しては、出力制御指令発信サーバ120(電力会社等のサーバ)から受信した出力制御指令値にかかわらず100%指令(定格出力指令)を送信し、増設のパワーコンディショナPCS2には出力制御指令値を送信していた。すなわち、従来の運転制御装置100は、出力制御対象のパワーコンディショナPCS2に対しては出力制御指令発信サーバ120から受信した出力制御指令値をそのまま送信し、出力制御対象外のパワーコンディショナPCS1には出力制御指令値にかかわらず定格出力で運転するように指令していた。
このような制御を行う場合、例えば、パワーコンディショナPCS1およびPCS2の定格出力がそれぞれ10kWおよび40kW(計50kW)であり、かつ出力制御指令値が50%のとき、太陽光発電所の出力電力は、最大で(すなわち、太陽光強度が100%の場合で)30kWとなる。なお、太陽光強度0%は全く発電できない状態であり、太陽光強度100%はパワーコンディショナの定格出力(最大電力)を出力可能な状態である。この例のように出力制御指令値が50%の場合、出力制御対象のパワーコンディショナPCS2の出力は20kWに抑えられるが、出力制御対象外のパワーコンディショナPCS1については定格出力の10kWまで出力することが許可される。このように太陽光発電所の出力電力がパワーコンディショナPCS1およびPCS2の定格出力の総和の50%に出力抑制されるわけではない。
しかしながら、上記のような不均等な電力指令値に起因して売電損失が発生することがある。具体的には、出力制御対象のパワーコンディショナPCS2に発電余裕が生じる程度に太陽光強度が強いときには、パワーコンディショナPCS2の発電余裕分の売電損失が発生する。
そこで、本発明は、運転条件の異なるパワーコンディショナが存在する発電所において、売電損失の発生を抑制し、売電量を増やすことが可能な運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る運転制御装置は、
第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御装置であって、
発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得する出力制御指令値取得部と、
前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出する電力指令値算出部と、
前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信する出力指令部と、
を備えることを特徴とする。
また、前記運転制御装置において、
前記電力指令値算出部は、式(1)を用いて前記電力指令値を算出してもよい。
Figure 0006587983
ここで、x:前記電力指令値、ν:前記出力制御指令値、P:前記第1のパワーコンディショナの定格出力の総和、P:前記第2のパワーコンディショナの定格出力の総和である。
また、前記運転制御装置において、
前記出力制御指令値取得部は、前記運転制御装置と通信可能に接続された出力制御指令発信サーバから前記出力制御指令値を所定の周期で取得してもよい。
また、前記運転制御装置において、
出力制御スケジュール情報が記憶された記憶部をさらに備え、
前記出力制御指令値取得部は、前記記憶部に記憶された前記出力制御スケジュール情報から前記出力制御指令値を取得してもよい。
また、前記運転制御装置において、
前記第1のパワーコンディショナは前記発電所の既設のパワーコンディショナであり、前記第2のパワーコンディショナは前記発電所に増設されたパワーコンディショナであってもよい。
また、前記運転制御装置において、
前記第1および第2のパワーコンディショナの中から異常状態にあるパワーコンディショナを検出する異常PCS検出部をさらに備え、前記電力指令値算出部は、前記異常状態にあるパワーコンディショナを除いた残りの前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値が均等になるように電力指令値を算出するようにしてもよい。
本発明に係る運転制御方法は、
第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御方法であって、
出力制御指令値取得部が、発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得するステップと、
電力指令値算出部が、前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出するステップと、
出力指令部が、前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信するステップと、
を備えることを特徴とする。
本発明に係る運転制御プログラムは、
第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御プログラムであって、
コンピュータを、
発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得する出力制御指令値取得手段、
前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出する電力指令値算出手段、および
前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信する出力指令手段、
として機能させる。
本発明では、出力制御対象外の第1のパワーコンディショナの定格出力、出力制御対象の第2のパワーコンディショナの定格出力、および出力制御指令値に基づいて、第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値が均等になるように電力指令値を算出し、算出された電力指令値を第1および第2のパワーコンディショナに送信する。これにより、発電所全体としての発電効率が向上し、太陽光発電の売電量を増やすことができる。
実施形態に係る太陽光発電システム(太陽光発電所)1の概略的構成を示す図である。 実施形態に係る運転制御装置10の概略的構成を示す図である。 実施形態に係る運転制御方法を説明するためのフローチャートである。 太陽光強度が100%の場合における太陽光発電システム1の動作を説明するための図である。 太陽光強度が60%の場合における太陽光発電システム1の動作を、従来の太陽光発電システムと比較して説明するための図である。 太陽光強度と、太陽光発電所の出力電力の関係を示すグラフである。 太陽光強度と、太陽光発電所の出力電力の関係を示すグラフである。 従来の太陽光発電システム(太陽光発電所)の概略的構成を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
(太陽光発電システム1)
実施形態に係る太陽光発電システム(以下、「太陽光発電所」ともいう。)1の構成について、図1を参照して説明する。
太陽光発電システム1は、図1に示すように、運転制御装置(出力制御ユニット)10と、パワーコンディショナPCS1,PCS2と、太陽光パネルG1,G2とを備えている。
各パワーコンディショナPCS1,PCS2は、運転制御装置10に有線または無線により通信可能に接続されている。これにより、運転制御装置10からパワーコンディショナPCS1,PCS2に電力指令値が送信され、反対に、パワーコンディショナPCS1,PCS2から運転制御装置10に各種モニタリング情報(発電量や異常等)が送信される。
なお、運転制御装置10とパワーコンディショナPCS1,PCS2との間の接続トポロジは、図1ではスター型であるが、これに限るものではなく、デイジーチェーン方式、バス型等の他の接続方式であってもよい。また、パワーコンディショナの数は2つに限らず任意である。すなわち、出力対象外のパワーコンディショナが2台以上であってもよいし、出力対象のパワーコンディショナが2台以上あってもよい。また、運転制御装置10は、インターネット等の通信ネットワークを介してパワーコンディショナPCS1,PCS2に接続されてもよい。
運転制御装置10は、パワーコンディショナPCS1,PCS2の運転制御(出力制御)を行うように構成されている。より詳しくは、運転制御装置10は、第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う。ここで、第1および第2の運転条件は、例えば、発電事業者と電力会社との間の売電契約で定められた運転条件である。なお、この売電契約は、別々の契約であってもよいし、一つの同じ契約であってもよい。
また、運転制御装置10は、インターネット等の通信ネットワーク30を介して出力制御指令発信サーバ20に通信可能に接続されている。出力制御指令発信サーバ20は、例えば、電力会社のサーバであるが、その他、出力制御スケジュールの作成業者・提供業者のサーバであってもよい。
太陽光パネルG1,G2は、パワーコンディショナPCS1,PCS2にそれぞれ電気的に接続されている。太陽光パネルG1,G2は、太陽光を受けて生成された直流電力を接続先のパワーコンディショナPCS1,PCS2に供給する。パワーコンディショナPCS1,PCS2は、太陽光パネルG1,G2から供給された直流電力を交流電力に変換して、電力系統(図示せず)に供給する。
パワーコンディショナPCS1は、太陽光発電所に当初から存在する既設のパワーコンディショナであり、電力会社との売電契約により出力制御対象外である。これに対し、パワーコンディショナPCS2は、新たに増設されたパワーコンディショナであり、電力会社との売電契約により出力制限対象である。以下の説明において、出力制御対象外のパワーコンディショナを第1のパワーコンディショナ、出力制御対象のパワーコンディショナの第2のパワーコンディショナともいう。
(運転制御装置10)
次に、実施形態に係る運転制御装置10の詳細について、図2〜図6を参照して説明する。
運転制御装置10は、図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを備えている。
制御部11は、出力制御指令値取得部111と、電力指令値算出部112と、出力指令部113とを有している。各構成要素の詳細については後述する。なお、制御部11は、ハードウェアで構成されてもよいし、あるいは、ソフトウェア(パワーコンディショナの運転制御プログラム)で構成されてもよい。
通信部12は、パワーコンディショナPCS1,PCS2や出力制御指令発信サーバ20との間で情報を送受信するように構成されている。この通信部12は、パワーコンディショナPCS1,PCS2との間で通信を行う第1通信部(図示せず)と、出力制御指令発信サーバ20との間で通信を行う第2通信部(図示せず)とを有する。なお、一つの通信部(通信モジュール)がパワーコンディショナPCS1,PCS2および出力制御指令発信サーバ20の両方と通信を行ってもよい。
記憶部13は、パワーコンディショナから取得したモニタリング情報や、出力制御指令発信サーバ20から取得した情報(出力制御指令値等)を記憶する。記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリ等により構成される。なお、記憶部13には、運転制御装置10が動作するためのプログラム(運転制御プログラム)が格納されてもよい。また、記憶部13には、出力制御スケジュール情報が記憶されてもよい。この出力制御スケジュール情報は、所定の期間(例えば400日分)の固定スケジュール情報である。出力制御スケジュール情報は、運転制御装置10に接続したノートパソコン等の情報処理端末から保守者により手動でダウンロードされてもよいし、あるいは、通信ネットワーク30を介して外部のサーバから自動でダウンロードされてもよい。
制御部11の各構成要素について以下に説明する。
出力制御指令値取得部111は、太陽光発電所(太陽光発電システム1)の出力を抑制するための出力制御指令値を取得する。この出力制御指令値取得部111は、運転制御装置10と通信可能に接続された出力制御指令発信サーバ20から出力制御指令値を所定の周期(例えば30分おき)で取得する。なお、出力制御指令値取得部111は、記憶部13に記憶された出力制御スケジュール情報から出力制御指令値を取得してもよい。
電力指令値算出部112は、パワーコンディショナPCS1およびPCS2に対する電力指令値を算出する。より詳しくは、電力指令値算出部112は、パワーコンディショナPCS1の定格出力、パワーコンディショナPCS2の定格出力、および出力制御指令値取得部111により取得された出力制御指令値に基づいて、パワーコンディショナPCS1およびPCS2に対する電力指令値を均等になるように算出する。
例えば、電力指令値算出部112は、式(1)を用いて電力指令値を算出する。
Figure 0006587983
ここで、x:電力指令値、ν:出力制御指令値、P:第1のパワーコンディショナの定格出力の総和、P:第2のパワーコンディショナの定格出力の総和である。なお、出力制御指令値が50%の場合、ν=0.5である。
出力指令部113は、電力指令値算出部112により算出された電力指令値を、通信部12を介してパワーコンディショナPCS1およびPCS2に送信する。
なお、制御部11は、異常PCS検出部(図示せず)をさらに有してもよい。この異常PCS検出部は、第1および第2のパワーコンディショナ(パワーコンディショナPCS1,PCS2)の中から異常状態にあるパワーコンディショナ(以下、単に「異常パワーコンディショナ」ともいう。)を検出する。なお、異常状態は、例えば、パワーコンディショナの故障、パワーコンディショナと運転制御装置10との間の通信異常である。
また、電力指令値算出部112により算出される、各パワーコンディショナに対する電力指令値は、前述のように均等であるが、本願発明でいう「均等」とは全く同じ値に限らず、太陽光発電所の出力電力が電力会社の要求範囲に収まる程度のばらつきを含む。例えば、±5%程度の電力指令値の差は「均等」とみなす。
<運転制御装置10の動作>
次に、図3のフローチャート、図4および図5に示す具体例を参照して、運転制御装置10の動作の一例について詳しく説明する。本例では、図4に示すように、パワーコンディショナPCS1,PCS2の定格出力はそれぞれ10kW,40kW(計50kW)である。
まず、出力制御指令値取得部111が、出力制御指令発信サーバ20から出力制御指令値を取得する(ステップS11)。ここでは、図4に示すように、出力制御指令発信サーバ20から、出力制御指令値50%を取得した。
次に、電力指令値算出部112が、第1のパワーコンディショナ(パワーコンディショナPCS1)の定格出力、第2のパワーコンディショナの定格出力(パワーコンディショナPCS2)、およびステップS11で取得された出力制御指令値に基づいて、第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出する(ステップS12)。例えば、電力指令値算出部112は、前述の式(1)を用いて、第1のパワーコンディショナに対する電力指令値と、第2のパワーコンディショナに対する電力指令値とが均等になるように電力指令値を算出する。より具体的には、ν=0.5、P=10kW、P=40kWなので、パワーコンディショナPCS1およびPCS2に対する電力指令値xは60%と算出される。
なお、制御部11が異常PCS検出部を有する場合、電力指令値算出部112は、異常パワーコンディショナを除いた残りの第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値が均等になるように電力指令値を算出する。これにより、売電損失の発生をさらに抑制し、売電量をさらに増やすことができる。具体的には、式(1)を用いる場合、分母のP,Pから異常パワーコンディショナの定格出力を控除して、電力指令値を算出する。
次に、出力指令部113が、電力指令値算出部112により算出された電力指令値を第1および第2のパワーコンディショナにそれぞれ送信する(ステップS13)。なお、制御部11が異常PCS検出部を有する場合、出力指令部113は、異常PCS検出部により検出された異常パワーコンディショナに対しては電力指令値を送信しない(あるいは、0%指令を出力する)。
その後、所定時間(例えば30分)が経過すると(ステップS14;Yes)、ステップS11に戻り、上記の処理を行う。このように、運転制御装置10は、出力制御指令値および第1および第2のパワーコンディショナの定格出力に基づいて、出力抑制の有無にかかわらず均等な電力指令値を算出し、各パワーコンディショナに送信するという一連の処理を、所定時間間隔で繰り返す。所定時間は、例えば、出力制御指令値が更新されるタイミングに合わせる。
上記の例では、図4に示すように、算出された電力指令値(60%指令)がパワーコンディショナPCS1,PCS2にそれぞれ送信される。よって、太陽光強度が十分な場合、パワーコンディショナPCS1の出力電力は6kW、パワーコンディショナPCS2の出力電力は24kWとなり、太陽光発電所の合計出力としては30kWとなる。この出力値は、図8を参照して説明した従来の運転制御装置100を用いた場合の太陽光発電所の出力30kWと同じである。
次に、太陽光強度が60%の場合について、図5(a),(b)を参照して説明する。図5(a)は本実施形態に係る運転制御装置10の場合を示し、図5(b)は従来の運転制御装置100の場合を示している。
図5(a)に示すように、本実施形態に係る運転制御装置10はパワーコンディショナPCS1,PCS2に60%指令を送信するため、パワーコンディショナPCS1の出力電力は6kW、パワーコンディショナPCS2の出力電力は24kWとなる。その結果、太陽光発電所の合計出力は、太陽光強度100%の場合と同じ30kWとなる。
これに対し、従来の運転制御装置100は、図5(b)に示すように、パワーコンディショナPCS1に100%指令を送信し、パワーコンディショナPCS2に50%指令を送信するため、パワーコンディショナPCS1の出力電力は6kW、パワーコンディショナPCS2の出力電力は20kWとなる。その結果、太陽光発電所の合計出力は26kWにとどまる。このように、太陽光強度60%の場合、本実施形態の方が、従来に比べて売電損失の発生を抑制し、売電量を増やすことができる。
本実施形態による上記の効果は太陽光強度が60%の場合に限るものではない。図6は、パワーコンディショナPCS1の定格出力が10kWで、パワーコンディショナPCS2の定格出力が40kWの場合における、太陽光強度と、太陽光発電所の出力電力の関係を示している。図6のグラフにおいて、領域Aが太陽光発電所の出力電力が増えることを示す部分である。このように本例では、太陽光強度が50%〜100%の範囲で従来よりも太陽光発電所の出力電力が増えることがわかる。
また、第1のパワーコンディショナの定格出力の方が第2のパワーコンディショナの定格出力よりも大きい場合にも、売電量を増やす効果は得られる。図7は、パワーコンディショナPCS1の定格出力が40kWで、パワーコンディショナPCS2の定格出力が10kWの場合における、太陽光強度と、太陽光発電所の出力電力の関係を示している。図7のグラフにおいて、領域Bが太陽光発電所の出力電力が増えることを示す部分である。このように、第1のパワーコンディショナの定格出力の方が第2のパワーコンディショナの定格出力より大きい場合であっても、太陽光強度が50%〜100%の範囲で従来よりも太陽光発電所の出力電力が増えることがわかる。
また、図6および図7は出力制御指令値が50%の場合であったが、その他の出力制御指令値の場合であっても、従来よりも太陽光発電所の出力電力を増加させることができる。一般的傾向として、出力制御指令値が小さいほど、売電量増加の効果が得られる太陽光強度の下限は低くなる。一方、出力制御指令値が100%の場合(すなわち、第2のパワーコンディショナについても出力制御を行わない場合)、本実施形態による運転制御装置10が設けられた太陽光発電所の出力電力と、従来の運転制御装置100の設けられた太陽光発電所の出力電力は同じになる。
上記のように、本実施形態では、出力制御対象外のパワーコンディショナについても出力制御対象とし、運転制御装置10に接続された各パワーコンディショナPCS1,PCS2に対して均等な電力指令値を送信する。これにより、本実施形態によれば、運転条件の異なるパワーコンディショナが存在する発電所において、売電損失の発生を抑制し、売電量を増やすことができる。
上述した実施形態で説明した運転制御装置10の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、運転制御装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
また、運転制御装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
1 太陽光発電システム
10,100 運転制御装置
11 制御部
111 出力制御指令値取得部
112 電力指令値算出部
113 出力指令部
12 通信部
13 記憶部
20,120 出力制御指令発信サーバ
30 通信ネットワーク
A,B 領域
G1,G2 太陽光パネル
PCS1,PCS2 パワーコンディショナ

Claims (8)

  1. 第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御装置であって、
    発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得する出力制御指令値取得部と、
    前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出する電力指令値算出部と、
    前記第1の運転条件にかかわらず、出力制御対象外の前記第1のパワーコンディショナについても出力制御対象とし、前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信する出力指令部と、
    を備えることを特徴とする運転制御装置。
  2. 前記電力指令値算出部は、式(1)を用いて前記電力指令値を算出することを特徴とする請求項1に記載の運転制御装置。
    Figure 0006587983
    ここで、x:前記電力指令値、ν:前記出力制御指令値、P1:前記第1のパワーコンディショナの定格出力の総和、P2:前記第2のパワーコンディショナの定格出力の総和である。
  3. 前記出力制御指令値取得部は、前記運転制御装置と通信可能に接続された出力制御指令発信サーバから前記出力制御指令値を所定の周期で取得することを特徴とする請求項1または2に記載の運転制御装置。
  4. 出力制御スケジュール情報が記憶された記憶部をさらに備え、
    前記出力制御指令値取得部は、前記記憶部に記憶された前記出力制御スケジュール情報から前記出力制御指令値を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の運転制御装置。
  5. 前記第1のパワーコンディショナは前記発電所の既設のパワーコンディショナであり、前記第2のパワーコンディショナは前記発電所に増設されたパワーコンディショナであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の運転制御装置。
  6. 前記第1および第2のパワーコンディショナの中から異常状態にあるパワーコンディショナを検出する異常PCS検出部をさらに備え、前記電力指令値算出部は、前記異常状態にあるパワーコンディショナを除いた残りの前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値が均等になるように電力指令値を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の運転制御装置。
  7. 第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御方法であって、
    出力制御指令値取得部が、発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得するステップと、
    電力指令値算出部が、前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出するステップと、
    出力指令部が、前記第1の運転条件にかかわらず、出力制御対象外の前記第1のパワーコンディショナについても出力制御対象とし、前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信するステップと、
    を備えることを特徴とする運転制御方法。
  8. 第1の運転条件において出力制御対象外の少なくとも1つの第1のパワーコンディショナと、第2の運転条件において出力制御対象の少なくとも1つの第2のパワーコンディショナの運転制御を行う運転制御プログラムであって、
    コンピュータを、
    発電所の出力を抑制するための出力制御指令値を取得する出力制御指令値取得手段、
    前記第1のパワーコンディショナの定格出力、前記第2のパワーコンディショナの定格出力、および前記取得された出力制御指令値に基づいて、前記第1および第2のパワーコンディショナに対する電力指令値を均等になるように算出する電力指令値算出手段、および
    前記第1の運転条件にかかわらず、出力制御対象外の前記第1のパワーコンディショナについても出力制御対象とし、前記算出された電力指令値を前記第1および第2のパワーコンディショナに送信する出力指令手段、
    として機能させるための運転制御プログラム。
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