JP6587642B2 - 牽引式グレーダ及び整地システム - Google Patents
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Description
図1は本発明の一実施形態に係る牽引式グレーダ(以下、グレーダ)が構成する整地システムの一例を表す側面図である。図1において牽引車Tの運転席に座ったオペレータの正面方向、つまり同図中の左方向をシステム及びグレーダの前方、その反対方向を後方、紙面に直交する方向の手前方向を左方、その反対方向を右方とする。同図に示したシステムは、整地作業車であるグレーダGと牽引車Tをタンデムに連結し、牽引車TでグレーダGを牽引して整地するシステムである。牽引車TはグレーダGを牽引する自走車両であり、グレーダGを牽引するのに適当なものであれば種類は限定されないが、本実施形態ではトラクタを適用している。この牽引車Tの後部には、グレーダGとの連結部Jと、グレーダGに搭載された油圧アクチュエータの油圧管路を接続する作動油ポートP(図9)が備わっている。連結部Jは牽引車Tのシャシフレームの後部に備えられており、本実施形態では牽引車Tの後輪の回転軸よりも低位置にある。
図2はグレーダの外観構造を表す側面図、図3は平面図である。図2ではブレード装置4が下限まで下降した状態と上限まで上昇した状態を併せて図示してある。これらの図に示したように、グレーダGは、車枠1、車輪2a,2b、平行リンク機構3、ブレード装置4、リフト駆動装置11、第1計測器21、第2計測器22等を備えている。
車枠1はグレーダGのメインフレームであり、前方に縮径する三角形状の前部1aとその後方に繋がる長方形状の本体部1bとを備え、これら前部1a及び本体部1bによって平面視で五角形の枠型に形成されている。また、車枠1の前部1aには、前端部に牽引車Tの連結部Jと連結される連結部1cが備わっている。車枠1の前部1aは前方に向かって下向きに傾斜しており、連結部1cはグレーダGの前側の車輪2aの上縁よりも低位置に位置する。連結部1cは例えばピンで車枠1に連結されており、車枠1に対して上下左右に回動可能である。車枠1の本体部1bは、前部1aの後端から後方に水平に延在している。本体部1bの高さ(車輪2a,2bの下縁との距離)は例えば1m程度である。また、本体部1bには図3に示すように、前側部分にサポートビーム1dが、後側部分にサポートビーム1eがそれぞれ左右に渡されている。本体部1bの前後方向の中央部は内法空間が広く開口している。前側のサポートビーム1dの上部にはブラケット1iが設けられている。
車輪2aはグレーダGの前輪であり、車枠1の連結部1cにおける後部から下方に下した前部トラックフレーム部1gの左右両側に設けられている。これら車輪2aは連結部1cの回動に追従して操向(ステアリング)される。車輪2bは後輪であり、車枠1の本体部1bの後部における後部から下方に下した後部トラックフレーム部1hの左右両側に設けられている。車輪2aは左右両輪を共通又は別々の車軸を介して車枠1に回転自在に支持されている。車輪2bも同様である。車輪2a,2bはグレーダGが右又は左に曲がる際の内外輪回転差を吸収するように構成されている。本実施形態では前側の車輪2aを後側の車輪2bよりも小径として小回りが利くようにする一方で、後側の車輪2bの径を大きくすることで走行安定性を確保している。
平行リンク機構3は車枠1に対してブレード装置4を連結するものであり、車枠1に取り付けられて車輪2a,2bの間に位置している。平行リンク機構3は、第1アーム3a、第2アーム3b及びブレード支持フレーム3cを備えている。ブレード支持フレーム3cはブレード装置4を支持するフレームであって平面視で矩形状に形成された水平な例えばプレート材であり、車枠1の本体部1bの中央の内法空間(開口部)よりも水平方向の寸法が小さく形成されている。第1アーム3a及び第2アーム3bは左右一組ずつ備わっており、車枠1の本体部1bの内法空間を通して配置されている。第1アーム3aの基端部(上端部)は、左右に延びる軸3dを介して車枠1のブラケット1iに回動可能に連結されている。第1アーム3aの先端部(下端部)は、ブレード支持フレーム3cの前部の上面に備わったブラケットに左右に延びる軸3eを介して回動可能に連結されている。他方の第2アーム3bは第1アーム3aよりも上方に長く、上下方向の中間位置で車枠1の本体部1bの上面に備わったブラケットに左右に延びる軸3fを介して回動可能に連結されている。第2アーム3bの先端部(下端部)は、ブレード支持フレーム3cの後部の上面に設けたブラケットに左右に延びる軸3gを介して回動可能に連結されている。また、第2アーム3bの基端部(上端部)は、左右のリフト駆動装置11によってブラケット1iに連結されている。リフト駆動装置11にはモータを用いることもできるが、本実施形態では油圧シリンダが用いてある。このようにして、リフト駆動装置11は車枠1及び平行リンク機構3に両端が回動可能に連結され、車枠1の本体部1bよりも上側の位置で前後方向に延びる姿勢で配置されている。
図4はブレード装置の側面図、図5は平面図、図6は後面図である。これらの図に示したように、ブレード装置4は、基部フレーム5、ブレード6、スライド駆動装置12、チルト駆動装置13等を備えている。
図10及び図11は、図2及び図3に対応する図であって第1計測器を使用しているときの牽引式グレーダの外観構造を表す側面図及び平面図である。第1計測器21(図10等)は車体と地面との相対距離を計測する機器であり、車枠1、本実施形態では上記連結部1cに設けられている。詳細は図示していないが、第1計測器21は、ガイド23、ディスク24、近接センサ25を備えている。ガイド23は連結部1cに回動可能に連結されており、図2等に示した状態から回動して図10及び図11に示したように鉛直な姿勢とすることができるようになっている。ディスク24は、ガイド23に対してスライド自在な支持部材26(図10参照)に対して回転自在に取り付けられている。また、ディスク24は薄型の円盤であり、自重で砂層に入り込み、グレーダGが砂層の上を走行するのに伴って砂層の下の地面に接して転動する。近接センサ25はストライカ27との距離を測る距離計である。ディスク24を設けた上記支持部材26とガイド23のいずれか一方(本例ではガイド23)に近接センサ25が設けられ、他方(本例では支持部材26)にストライカ27が設けられる。近接センサ25でストライカ27との距離を計測することで、第1計測器21と車体との既知の位置関係に基づき、砂層の厚みにより変化する車体と地面との相対距離が計測される構成である。第1計測器21の設置位置はブレード6よりも前側であることが望ましく、本例では車輪2aの付近に第1計測器21を設置し、車輪2a付近における車体と地面との相対距離が計測されるようになっている。第1計測器21の計測値は、後述する制御装置131(図9)に出力される。
図9は図1に示した整地システムの油圧回路図である。牽引車Tには、原動機101(図9)、油圧ポンプ102(同)、タンク103(同)、制御弁111−114(同)、操作装置211−214(同)、制御装置131(同)、モニタ132(同)等が備わっている。原動機101は例えばエンジン(内燃機関)であり、油圧ポンプ102は原動機101で駆動されてタンク103の作動油を吸い込んで吐出する。油圧ポンプ102から吐出された圧油は吐出配管102aを流れ、制御弁111−114で制御された後、前述した作動油ポートPを介してそれぞれ駆動装置11−14に供給される。駆動装置11−14からの各戻り油は、それぞれ作動油ポートP及び制御弁111−114を介して戻り油配管102bに流れ込んでタンク103に戻される。吐出配管102aにはリリーフ弁104が設けられており、吐出配管102aの最高圧力がリリーフ弁104によって規制されている。
グレーダGを用いて競馬場の馬場(ダートコース)を整地する例に説明する。まず、牽引車Tの後部の連結部JとグレーダGの前部の連結部1cとをピン等により連結し、牽引車Tの後部に設けられた作動油ポートPに駆動装置11−14の油圧配管の継手を接続する。次に牽引車Tの操作装置211を操作してリフト駆動装置11を収縮させ、ブレード6を上限又はその付近まで上昇させる。そして、牽引車Tを走行させて、グレーダGを整地開始場所(例えば馬場の外縁部)まで牽引する。整地開始場所に到着したらリフト駆動装置11を伸長させて目標とする砂層の厚みに応じてブレード6を下降させ、牽引車Tで牽引し馬場のコースに沿ってグレーダGを走行させて砂層の厚さを整えていく。
本実施形態によれば、平行リンク機構3を介してブレード6を車枠1に取り付けたので、昇降動作に伴ってブレード6は平行に移動し姿勢が変化しない。これにより、例えばアングル角が付いた状態で昇降させてもブレード6のチルト角は変わらず、リフト駆動装置11の自動制御を適用してもチルト角の補正制御を要しない。また、リフト駆動装置11を車枠1の上側に配置したのでブレード6と車枠1の間にブレード6の上昇を妨げる構成要素がなく、ブレード6を車枠1の近傍まで上昇させてブレード6と地面との距離を十分に確保することができる。従って、ブレード6に要求される上下動の範囲を許容した上で車枠1を極力低く配置することができ、グレーダGの車体安定性の向上、車枠1の軽量化等に貢献し得る。
Claims (4)
- 前部に牽引車との連結部を有する車枠と、前記車枠に設けた複数の車輪と、前記車枠に支持させて前記車枠の下側に配置されたブレードを備え、牽引車に牽引されて整地する牽引式グレーダにおいて、
前記車枠に取り付けられ、前記ブレードを支持する平行リンク機構と、
前記車枠の上側に位置し前記車枠及び前記平行リンク機構に両端が連結されたリフト駆動装置を備えたことを特徴とする牽引式グレーダ。 - 請求項1に記載の牽引式グレーダにおいて、前記リフト駆動装置が前後方向に延在していることを特徴とする牽引式グレーダ。
- 請求項1に記載の牽引式グレーダにおいて、
前記平行リンク機構は、前記ブレードを支持するブレード支持フレーム、前記ブレード支持フレームと前記車枠を連結する第1アーム及び第2アームを備えており、前記ブレード支持フレームが前記車枠と重なる位置まで上昇するように構成されていることを特徴とする整地システム。 - 牽引車と、前部に前記牽引車との連結部を有する車枠、前記車枠に設けた複数の車輪、前記車枠に支持させて前記車枠の下側に配置されたブレードを備え、前記牽引車に連結され前記牽引車に牽引されて整地する牽引式グレーダとを備えた整地システムにおいて、
前記牽引式グレーダは、
前記車枠に取り付けられ、前記ブレードを支持する平行リンク機構と、
前記車枠の上側に位置し前記車枠及び前記平行リンク機構に両端が連結され、前記牽引車から供給される動力によって駆動されるリフト駆動装置と、
車体と地面との相対距離を計測する第1計測器と、
前記ブレードの高さを計測する第2計測器と、
前記第1計測器及び前記第2計測器の計測値に応じて前記リフト駆動装置を制御して前記ブレードの高さを制御する制御装置を備えていることを特徴とする整地システム。
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