JP6587139B2 - 射出プランジャー機構のかじり度合評価方法 - Google Patents

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Description

本発明はダイカストマシンに係り、ダイカストマシンにおける射出プランジャー機構のかじり度合検出方法に関する。
ダイカストマシンでは、固定金型と可動金型で構成される金型のキャビティに高温の溶湯を高圧で充填して製品を成形する。この製品を成形するに際し、まず溶湯を給湯機によって射出スリーブに充填し、該射出スリーブ内に摺動自在に設けたプランジャーチップをシリンダにより低速及び高速で前進させることにより、溶湯をキャビティに射出する。
ところで、該射出装置を長時間にわたり運転し、溶湯の射出を繰り返すと、プランジャーチップに摩耗が生じ、また、射出スリーブ内に固化した金属粒が存在することが生じ、安定した所定の射出速度が達成できなくなり、射出速度が波打つ様に変化する等のいわゆるかじりが発生する。
この様なかじりは、溶湯温度の低下を生じさせ、又、溶湯へ空気を巻き込むことがあり、キャビティへの湯まわりの悪化や製品における巣の発生等の欠陥を生じさせさせたり、プランジャーチップや射出スリーブの寿命を短くしたりすることになる。
従って、この様な欠陥を生じさせるプランジャー機構のかじりを早期に発見し、射出スリーブとプランジャーチップの保守を行うことは製品の高品質を維持する為、又、ダイカストマシンの破損防止や安全維持の為には重要であり、従来から種々の方法によるかじり検出方法が採用されている。
特開平2―303667号公報
プランジャーチップとスリーブの間に摺動抵抗が発生しても、実際の射出速度を、設定した射出速度に近づける速度補正制御(リアルタイムフィードバック制御、次サイクルフィードバック制御などが)が働く場合、速度変動が表化されず、かじり検出ができない。速度補正制御ゲイン内のかじり現象を見落としてしまう。
上記のような速度補正制御の制御ゲインを超えた場合や、速度補正制御が無い場合においても、射出速度波形に起伏や傾きが無い場合は、かじりを検出できない。つまり、検出区間において、実際の射出速度が、設定速度より、一様に低い場合などは、かじりが検出されず発見が遅れてしまう。
射出プランジャーの移動範囲内に評価区間を設定し、さらに該評価区間をN分割し、各分割区間にかかる鋳造圧力の平均値をPm値とし(m=1、2、・・・N)、該評価区X〜YのPm値の積算値Psum値を評価区間の長さY−Xで除した値をPav、評価区間X〜Yの鋳造圧力Pm値の最大値とその発生ストローク値を、Pmax値とSt値としたとき、
Pav値とPmax値のそれぞれに、あらかじめ決めた数値との隔たりに対する基準値を設け、Pav値とPmax値をそれぞれの隔たりと比較し、Pav値とPmax値のそれぞれに点数を付けるようにした。
Pav値と隔たりとを比較して付けた点数でかじり度合を評価するようにした。
Pmax値と隔たりとを比較して付けた点数でかじり度合を評価するようにした。
Pav値と隔たりとを比較して付けた点数と、Pmax値と隔たりとを比較して付けた点数とを和した点数でかじり度合を評価するようにした。
Pmax値と、St値の関係とからかじり発生位置を評価するようにした。
通常、スリーブの熱変形やスリーブ内のアルミ付着などによるかじり現象が発生すると、異音が発生したり、摺動抵抗が発生する。
この摺動抵抗はプランジャーチップやスリーブの摩耗を促進し、鋳込部品の寿命が低下する。消耗品コスト増加、交換時間増加により、製造コストが増加する。
摩耗が進行すると充填完了位置近傍で、プランジャーチップとスリーブの隙間にバリ(カエリバリ)が発生し、突出や射出後退の動作が出来ずチョコ停が増加する。酷い場合は、バックフラッシュが発生し、火災等に繋がるリスクがある。
プランジャーチップとスリーブの隙間が増加し、アルミが差し込み、所望の射出速度が得られず不良が発生する。
よって少しでも早く、かじりを検知し、対策する必要がある。本方法によるプランジャーチップかじり度合検出方法により、以下の効果が得られる。
プランジャーチップとスリーブ間に摺動抵抗は鋳造圧力として現れる。異音発生がなかったり、射出速度に変化が見られない場合でも、鋳造圧力が発生する場合があり、このような、軽微なかじりから検出可能であり、早期対策が可能である。当然、重篤なかじりも検出可能である。
設定した射出速度に近づける速度補正制御(リアルタイムフィードバック制御、次サイクルフィードバック制御など)が働く場合にも、速度補正制御ゲイン内のかじり現象を正確に把握できる。
速度補正制御ゲインを超えた場合や、速度補正制御が無い場合において、摺動抵抗により、射出速度が一様に低くなった場合でも、かじり現象を把握できる。
段階評価によるかじり度合と、良品率の相関を取っておけば、不良品増加前に、鋳込部品を交換でき安定操業が継続可能となる。鋳込部品の適正交換時期が判断しやすい。
段階評価することで、射出波形が読めない方、技術的背景に疎い方でも、プランジャーチップかじりの現在状態を直感的に理解できる。
大型ダイカストのように長いスリーブ内のかじり現象でも、かじりの酷い位置が分かるので、メンテする際に便利である。
本発明のダイカストマシンの射出部分と金型を示す図である。 射出したときの射出速度と鋳造圧力の図である。 射出した時の波形に評価区間を加えて、Pm値とPmax値を記入したもの である。 鋳造圧力の刻み値よりPm値の求め方を示した図である。 かじり度合評価システムのフローチャートである。 算出された各値と隔たり、評価点数をまとめた表である。 ショット毎のPmax値とそのときのストロークSt値である。 ショット毎の10段階評価点数の推移である。
一般にダイカストマシンでは図1に示すように固定金型2と可動金型3とで構成される金型1のキャビティ8へ溶湯を充填して製品を成形するに際し、まず溶湯を射出スリーブ4内に供給し、該射出スリーブ4内に摺動自在に設けたプランジャーチップ5をシリンダ7により低速及び高速で前進することにより溶湯をキャビティ8に射出している。
ところで、該射出装置を長時間にわたり運転し、溶湯の射出を繰り返すと、プランジャーチップ5に摩耗が生じ、又、射出スリーブ内4に固化した金属粒が存在することが生じ、安定した所定の射出速度が達成できなくなり、射出速度が波打つ様に変化する等のいわゆるかじりが発生する。
本発明の詳細を図を用いて以下に説明する。
本発明はプランジャーチップ5にかかる鋳造圧力の値を詳細に検出して、鋳造圧力の値からかじり大きさと位置を検出するものである。
評価区間を一例として20mm〜535mmとした。また評価区間のN等分の幅を1mmとした。
各分割区間にかかる鋳造圧力の平均値をPm値とした。(m=1、2、・・・N)
図2に射出プランジャー6で射出した時の、射出速度と鋳造圧力の射出波形を示す。横軸にプランジャーチップ5のストロークをとって、縦軸に射出速度と鋳造圧力を示している。射出速度は低速の区間と高速の区間に分けられ、この図であればストロークが535mmまでは低速で、ストロークが535mm以上では高速になっている。
一方、鋳造圧力は、その値は変動しながら、プランジャーチップ5が先に進んでいる。
図3は図2の射出波形に評価区間20〜535mmを記入したものである。この図の中でPm値は鋳造圧力の波形を示し、Pmax値は評価区間のなかのPm値の最大値を示している。
本発明は、まずプランジャーチップ5の移動範囲内に評価区間(X〜Y)を設定する。次にプランジャーチップ5が移動する時の鋳造圧力を、評価区間でN等分する。N等分したきざみ幅が例えば1mmであれば、幅1mm区切りで鋳造圧力を計測する。
射出ストローク1mmごとの鋳造圧力平均値をダイカストマシンのPC内で演算しPm値(MPa)とする。
ここで、評価区間と鋳造圧力の値について模擬的に説明する。評価区間をXからYとした時、鋳造圧力のきざみを例として1mmとするとPmの値はその1mm幅の値の平均値をとることにする。
前項の圧力Pmの定義をもとに、鋳造圧力と射出速度の波形を書き直したものを図4に示す。
かじりを評価、管理したい低速区間の射出ストローク範囲を設定する。評価区間X〜Y(mm)(Y>X)は図4では20〜535mmとなっている。
高速区間も評価可能であるが、高速区間の鋳造圧力値はゲート抵抗や射出速度設定値に依存し変化する。
図5に従って本発明のフローチャートを説明する。前にも述べたようにPm値は評価区間X〜Yの1mm刻みの分割区間の平均圧力値である。
評価区間X〜Y(mm)のPm値(MPa)を積算してPsum値(MPa)とする。
評価区間距離Y−X(mm)で除して一般化して、Psum/(Y−X)=Pav値(MPa/mm)とする。これにより、鋳造圧力と射出ストロークの面積を一般化することができる。これにより、低い鋳造圧力でも、幅が広いとかじり度合が悪いと判定する。
評価区間X〜Y(mm)の鋳造圧力またはPm値の最大値とその発生ストローク値を抽出する。Pmax値(MPa)とSt値(mm)である。
これは、鋳造圧力のピークの大きさに着目して評価するものである。すなわち幅が狭くても、高い鋳造圧力ピークは悪いと判定する。
Pav値(MPa/mm)にa個の隔たりAaを設け、a回の評価を実施し、点数を付ける。
隔たりAaは変更できるようにしてもよいし、固定値でもよい。
例えば、隔たりA1、A2、・・・・Aaの場合Pav値≧A1なら1点、Pav値≧A2なら1点追加・・・Pav値≧Aaなら1点追加し、最大a点となるようにする。
Pmax値(MPa)にb個の隔たりBbを設け、b回の評価を実施する。前記Pav値のように点数付ける。
例えば隔たりB1、B2、・・・・Bbの場合Pmax値≧B1なら1点、Pmax値≧B2なら1点追加・・・Pmax値≧Bbなら1点追加し、最大b点となるようにする。
隔たりBbは変更できるようにし、固定しておいてもよい。
射出波形のかじり度合を、Pav値とPmax値の点数を合計したn=a+bで評価する。点数が多いほど、かじり度合が悪いと判定する。評価の仕方には、かじりの評価を、a評価(鋳造圧力の平均値)、b評価(鋳造圧力の最大値)、n評価(鋳造圧力の平均値と最大値の積算)から、選択してもよい。
さらに、鋳造圧力の最大値であるPmax値(MPa)とプランジャーチップのストロークSt値(mm)にて、かじりの酷いスリーブ位置が判断可能となる。
Pav値、Pmax値、評価区間、St値、かじりの評価結果(点数)などの結果を表示する。
結果表示方法は、数値表示、グラフ表示などで行う。
かじり度合点数への隔たりである、m(点)、発生回数(連続or不連続)であるs(回)などを設定し、条件成立時に、サイクル停止/警報/警告などの動作を選択し、実施可能にする。
動作選択のサイクル停止、警報、警告は例えばかじりの度合を示す点数が7点以上のことが3ショット連続で発生したら動作選択の動作を行うというやり方になっている。
図6に実際の鋳造で得られたPsum値、Pav値、Pmax値、St値のそれぞれの値と隔たりとの比較により得られたかじり度合の点数である。
このデータでは、隔たりがPav値、Pmax値ともに5個で比較している例である。
これから、わかるようにPav値(a評価)、Pmax(b評価)値の点数はともに0〜5までの点数で評価されている。またPav値とPmax値を和したかじり度合の点数(n評価)の点数とSt値がショット毎に表示されている。
これによると、かじり度合の点数(n評価)が10点の場合最もかじりの可能性が大きいことを示している。
本表では点数の10の多い場所、すなわちストロークSt値が450mmから535mmにかじりの度合が大きいことが判断できる。
図7にPmax値の値とストロークSt値をショット毎に示したものである。これによると、Pmax値が高い場合のストロークSt値が450mmから535mmの間に存在することが分かる。すなわち、かじりの度合が大きいのは、ストロークSt値が450mmから535mmの間であることが類推できる。
このようにPmax値の値とストロークSt値をショット毎に示したもののグラフからかじりの度合が判断できる。
図8にショット毎のかじり度合の点数を表示したグラフを示す。このグラフによりかじり度合の点数の平均値、ショット毎のかじり度合の点数の傾向(例えばかじり度合がショット毎に増加しているのか、または減少しているのか、あるいはショット全般に大きい点数が出ているのか、またはショットの局部的に大きな点数が出ているのか等)が視覚的に分かるようになっている。
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。
プランジャーチップとスリーブ間に摺動抵抗は鋳造圧力として現れる。異音発生がなかったり、射出速度に変化が見られない場合でも、鋳造圧力が発生する場合があり、このような、軽微なかじりから検出可能であり、早期対策が可能である。当然、重篤なかじりも検出可能である。
設定した射出速度に近づける速度補正制御(リアルタイムフィードバック制御、次サイクルフィードバック制御など)が働く場合にも、速度補正制御ゲイン内のかじり現象を正確に把握できる。
速度補正制御ゲインを超えた場合や、速度補正制御が無い場合において、摺動抵抗により、射出速度が一様に低くなった場合でも、かじり現象を把握できる。
段階評価によるかじり度合と、良品率の相関を取っておけば、不良品増加前に、鋳込部品を交換でき安定操業が継続可能となる。鋳込部品の適正交換時期が判断しやすい。
段階評価することで、射出波形が読めない方、技術的背景に疎い方でも、プランジャーチップかじりの現在状態を直感的に理解できる。
大型ダイカストのように長いスリーブ内のかじり現象でも、かじりの酷い位置が分かるので、メンテする際に便利である。
1 金型
2 固定型
3 可動型
4 射出スリーブ
5 プランジャーチップ
6 プランジャー
8 キャビティ

Claims (5)

  1. 射出プランジャーの移動範囲内に評価区間を設定し、さらに該評価区間をN分割し、各分割区間にかかる鋳造圧力の平均値をPm値とし(m=1、2、・・・N)、該評価区X〜YのPm値の積算値Psum値を評価区間の長さY−Xで除した値をPav値、評価区間X〜Yの鋳造圧力Pm値の最大値とその発生ストローク値を、Pmax値とSt値としたとき、
    Pav値とPmax値のそれぞれに、あらかじめ決めた数値との隔たりに対する基準値を設け、Pav値とPmax値をそれぞれの隔たりと比較し、Pav値とPmax値のそれぞれに点数を付け、付けた点数でかじり度合を評価することを特徴とする射出プランジャー機構のかじり度合評価方法。
  2. Pav値と隔たりとを比較して付けた点数が多いほど、かじり度合が大きいと判定することでかじり度合を評価することを特徴とする請求項1に記載の射出プランジャー機構のかじり度合評価方法。
  3. Pmax値と隔たりとを比較して付けた点数が多いほど、かじり度合が大きいと判定することでかじり度合を評価することを特徴とする請求項1に記載の射出プランジャー機構のかじり度合評価方法。
  4. Pav値と隔たりとを比較して付けた点数と、Pmax値と隔たりとを比較して付けた点数とを和した点数が多いほど、かじり度合が大きいと判定することでかじり度合を評価することを特徴とする請求項1に記載の射出プランジャー機構のかじり度合評価方法。
  5. Pmax値と、St値の関係とからかじり発生位置を評価することを特徴とする請求項1に記載の射出プランジャー機構のかじり度合評価方法。
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