JP6586837B2 - 軸受異常診断装置、及び車両 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受異常診断装置、及び車両に関する。
従来、軸受異常診断装置しては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載の技術では、車両の走行時に、車軸用軸受のデータの取得・解析を行って、即時に車軸用軸受の異常診断を行う。これにより、車軸用軸受の異常を早期に発見できる。
特開2012−98253号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、解析に要する演算負荷が高いため、演算能力が高い演算装置が必要とされ、装置が高価になる可能性がある。これに対し、例えば、RMS(root mean square)等の振動の大きさを表す数値と閾値とを比較して、車軸用軸受の異常診断を行う技術もある。この技術によれば、比較的演算能力が低い演算装置でも実行でき、装置が高価になることを抑制できる。しかしながら、走行経路の凹凸等によって振動値が増加すると、車軸用軸受の異常診断の信頼度が低下する可能性がある。
本発明は、上記のような点に着目し、車軸用軸受の異常診断の信頼度を向上可能な軸受異常診断装置、及び車両を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両の走行速度を検出する走行速度検出部と、車両の現在位置を検出する車両位置検出部と、車両の車軸用軸受の振動を検出する振動検出部と、振動検出部で検出した振動に基づき、車軸用軸受の振動の大きさを表す振動値を算出する振動値算出部と、車両の走行経路を区分して設定した複数の区間、及び車両の走行速度の組み合わせに対応づけて、車軸用軸受に異常の予兆の有無または異常の発生を診断する異常診断のための診断用閾値を記憶している閾値記憶部と、車両位置検出部で検出した現在位置に基づき、車両が走行している区間を特定する区間特定部と、閾値記憶部が記憶している診断用閾値のうち、区間特定部で特定した区間、及び走行速度検出部で検出した走行速度に対応づけられている診断用閾値と、振動値算出部で算出した振動値との差分が予め定められた許容範囲外にある場合に、車軸用軸受に異常の予兆がある、または異常が発生していると診断することで、前記異常診断を行う異常診断部とを備え、振動値は、振動検出部で検出した振動の振幅のRMS値であり、診断用閾値は、車軸用軸受が正常状態である車両で走行したときに発生する振動の振幅のRMS値である。車両としては、例えば、鉄道車両、自動車が挙げられる。また、車軸用軸受としては、例えば、鉄道車両の車軸を支承する鉄道車両用軸受、自動車の車軸とハブとの間に介挿されるホイールベアリングが挙げられる。
本発明の一態様によれば、例えば、走行経路の凹凸等によって振動値が増加する区間を走行しているときに、振動値の増加を考慮した診断用閾値を用いて、車軸用軸受の異常診断を行うことができる。それゆえ、車軸用軸受の異常診断の信頼度を向上できる。
鉄道車両及び軸受異常診断装置の概略構成を表す概念図である。 診断テーブルを説明するための説明図である。 演算装置が実行する異常診断処理を表すフローチャートである。 鉄道車両用軸受の異常診断手順を説明するための説明図である。 軸受異常診断装置の動作を表すシーケンス図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、鉄道車両1の走行中に、鉄道車両用軸受の振動を検出し、検出した振動に基づき、鉄道車両用軸受の異常診断を行う軸受異常診断装置4に適用したものである。
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
図1に示すように、鉄道車両1は、車体2と、車体2を支持する台車3と、台車3の鉄道車両用軸受330(後述)の異常診断を行う軸受異常診断装置4とを備える。なお、本実施形態では、理解の容易のため、台車3が有する複数の鉄道車両用軸受330のうちの、1つの鉄道車両用軸受330(以下、「対象軸受330」とも呼ぶ)のみに着目する。
台車3は、車軸310と、車軸310に嵌着された車輪320と、車軸310の両端部に設けられ車軸310を回転自在に支承する複数の鉄道車両用軸受330とを備える。
軸受異常診断装置4は、走行速度検出部410と、車両位置検出部420と、振動検出部430と、閾値記憶部440と、情報表示部450と、演算装置460とを備える。
走行速度検出部410は、鉄道車両1の走行速度を検出する。例えば、車輪速センサを採用できる。そして、走行速度検出部410は、検出結果を演算装置460に出力する。
車両位置検出部420は、鉄道車両1の現在位置を検出する。例えば、GPS(global positioning system)信号を受信し受信した信号から現在位置を演算するGPS受信機を採用できる。そして、車両位置検出部420は、検出結果を演算装置460に出力する。
振動検出部430は、鉄道車両1の対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の振動を検出する。そして、振動検出部430は、検出結果を演算装置460に出力する。
閾値記憶部440は、診断テーブルを格納している。診断テーブルには、図2に示すように、鉄道車両用軸受330の異常の予兆の有無を診断する異常診断のための診断用閾値が記憶されている。診断用閾値は、鉄道車両1の走行経路(以下、「営業路線」とも呼ぶ)を区分して設定した複数の区間、及び鉄道車両1の走行速度の組み合わせに対応づけて記憶されている。図2の例では、営業路線を区分して設定した複数の区間として、区間A、B等を用いている。また、鉄道車両1の走行速度として、例えば、0〜30[km/h]、31〜60[km/h]、61〜90[km/h]、91〜120[km/h]等の速度範囲を用いている。
診断用閾値としては、例えば、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常状態である鉄道車両1で走行したときに発生する振動の振幅のRMS値、振幅の絶対値の平均値、振幅のピーク値、振幅の波高率を採用できる。本実施形態では、正常状態である鉄道車両1で走行したときに発生する振動の振幅のRMS値を、診断用閾値として採用する。
この場合、診断用閾値の設定時に、まず、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常状態である鉄道車両1によって各区間を種々の速度で走行し、走行にともない対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に発生する振動のデータを振動検出部431で取得する。続いて、取得したデータを基に、複数の区間、及び鉄道車両1の走行速度の組み合わせ毎に、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に発生する振動の振幅のRMS値を算出する。そして、算出したRMS値を診断用閾値として閾値記憶部440に記憶させる。RMS値(診断用閾値)は、凹凸が大きい区間ほどまた走行速度が高いほど大きくなる。
情報表示部450は、演算装置460からの表示指令に従って、各種情報を表示する。
演算装置460は、例えば、マイクロコンピュータで実現される。演算装置460は、振動値算出部461と、区間特定部462と、異常診断部463と、高精度診断部464とを備える。振動値算出部461と、区間特定部462と、異常診断部463と、高精度診断部464とは、異常診断処理を実行する。異常診断処理の詳細については後述する。
(異常診断処理)
次に、振動値算出部461と、区間特定部462と、異常診断部463と、高精度診断部464とが実行する異常診断処理について説明する。
図3に示すように、まず、ステップS100に移行して、振動値算出部461は、振動検出部430が出力した検出結果(振動)に基づき、鉄道車両用軸受330の振動の大きさを表す数値(以下、「振動値」とも呼ぶ)を算出する。振動値としては、例えば、振動検出部430で検出した振動の振幅のRMS値、振幅の絶対値の平均値、振幅のピーク値、振幅の波高率を採用できる。本実施形態では、診断用閾値(RMS値)と同じ特性値を使用し、振動検出部430で検出した振動の振幅のRMS値を振動値として採用する。
続いてステップS102に移行して、区間特定部462は、車両位置検出部420が出力した現在位置に基づき、鉄道車両1が走行している区間を特定する。
続いてステップS104に移行して、異常診断部463は、閾値記憶部440が記憶しているRMS値(診断用閾値)のうち、ステップS102で特定した区間、及び走行速度検出部410が出力した走行速度、つまり、この走行速度が属する速度範囲に対応づけられているRMS値(診断用閾値)と、ステップS100で算出したRMS値(振動値)とを比較する。これにより、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断を行う。
具体的には、異常診断部463は、閾値記憶部440が記憶しているRMS値(診断用閾値)から、ステップS102で特定した区間、及び走行速度検出部410が出力した走行速度が属する速度範囲に対応づけられているRMS値(診断用閾値)を取得する。続いて、異常診断部463は、取得したRMS値(診断用閾値)と、ステップS100で算出したRMS値(振動値)との差分が予め定められた許容範囲内にあるか否かを判定する。
そして、異常診断部463は、図4の時刻t5に示すように、RMS値(診断用閾値)とRMS値(振動値)との差分が許容範囲内にあると判定した場合、つまり、|RMS値(診断用閾値)−RMS値(振動値)|≦許容範囲の境界値と判定した場合には(Yes)対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常であると診断し、ステップS100に戻る。これにより、上記ステップS100〜S104のフローが再度実行される。ここで、RMS値(振動値)は、サンプリングタイムが荒くても適切に算出できるため、RMS値の算出、算出したRMS値に基づく異常診断は、比較的荒いサンプリングタイムで繰り返される。比較的荒いサンプリングタイムとしては、例えば、1[Hz]を採用できる。
一方、異常診断部463は、差分が許容範囲外にあると判定した場合、つまり、|RMS値(診断用閾値)−RMS値(振動値)|>許容範囲の境界値と判定した場合には(No)、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常の予兆があると診断し、ステップS106に移行する。
ステップS106では、異常診断部463は、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常発生の予兆があることを報知する診断結果を表示させる表示指令(以下、「第1の表示指令」とも呼ぶ)を情報表示部450に出力する。
続いてステップS108に移行して、高精度診断部464は、振動検出部430で検出した振動に基づき、ステップS103で行われる異常診断よりも演算負荷及び精度が高い対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断(以下、「高精度診断」とも呼ぶ)を行う。高精度診断としては、例えば、特開2014−052346号公報、特開2013−003095号公報に記載の技術等、公知の軸受の異常診断の技術を採用できる。高精度診断は、比較的細かいサンプリングタイム(例えば、0.5Hz)で繰り返される。
また同時に、高精度診断部464は、振動検出部430で検出した振動の振幅の時系列データを順次記憶する。これにより、異常が発生したときの時系列データを蓄積する。
ステップS110では、高精度診断部464は、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常があることを報知する診断結果を表示させる表示指令(以下、「第2の表示指令」とも呼ぶ)を情報表示部450に出力する。
(動作その他)
次に、軸受異常診断装置4の動作について説明する。
まず鉄道車両1が走行を開始すると、演算装置460で異常診断処理が実行される。異常診断処理が実行されると、図5に示すように、演算装置460の振動値算出部461が、振動検出部430が出力した検出結果(振動)に基づき、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の振動の振幅のRMS値(振動値)を算出する(ステップS200)。
ここで、鉄道車両1が、図4の時刻t1に示すように、区間A、例えば、比較的凹凸が大きい区間を時速20[km/h]で走行していたとする。すると、区間特定部462が、車両位置検出部420が出力した現在位置に基づき、鉄道車両1が走行している区間が区間Aであると特定する(ステップS202)。続いて、演算装置460の異常診断部463が、閾値記憶部440が記憶しているRMS値(診断用閾値)のうち、図2の太枠線で示すように、特定した区間A(比較的凹凸が大きい区間)、及び走行速度検出部410が出力した走行速度20[km/h]が属する速度範囲0〜30[km/h]に対応づけられているRMS値(診断用閾値)、つまり、比較的大きいRMS値(診断用閾値)を読み出す(ステップS204)。続いて、異常診断部463が、読み出したRMS値(診断用閾値)と、振動値算出部461で算出したRMS値(振動値)とを比較して、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断、つまり異常の予兆の有無の診断を行う(ステップS206)。
このように、本実施形態では、鉄道車両1がRMS値(振動値)が比較的大きくなる区間Aを走行しているときに、その区間A、及び鉄道車両1の走行速度が属する速度範囲0〜30[km/h]に対応した診断用閾値、つまり、比較的大きい診断用閾値を異常診断に用いるため、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断の信頼度を向上できる。
ここで、異常診断部463が、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常状態にあると判定すると、上記ステップS200〜S204のフローが再度実行される。その際、比較的荒いサンプリングタイム(例えば、1Hz)で、RMS値の算出を行い、算出したRMS値を基に対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断が繰り返される。
すなわち、本実施形態では、走行経路の凹凸等によって振動値が増加する区間を走行しているときに、振動値の増加を考慮した診断用閾値を用いて、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断を行うことができる。それゆえ、一律の診断用閾値を用いる場合に比べ、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断の信頼度を向上できる。
上記フローを繰り返すうちに、鉄道車両1の走行速度が増加すると、増加後の走行速度が属する速度範囲と区間Aとに対応づけられているRMS値(診断用閾値)を読み出す。そして、時刻t2、t3に示すように、異常診断部463が、読み出したRMS値(診断用閾値)を、振動値算出部461で算出したRMS値(振動値)と次々に比較して、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の予兆の有無の診断を繰り返し行う。
さらに上記フローを繰り返すうちに、鉄道車両1が、図4の時刻t4に示すように、区間B、例えば、比較的凹凸が小さい区間に進入したとする。すると、区間特定部462が、車両位置検出部420が出力した現在位置に基づき、鉄道車両1が走行している区間が区間Bであると特定する(ステップS208)。続いて、演算装置460の異常診断部463が、閾値記憶部440が記憶しているRMS値(診断用閾値)のうち、特定した区間B(比較的凹凸が小さい区間)、及び走行速度検出部410が出力した走行速度が属する速度範囲に対応づけられているRMS値(診断用閾値)、つまり、比較的小さいRMS値(診断用閾値)を読み出す(ステップS210)。続いて、読み出したRMS値(診断用閾値)と、振動値算出部461で算出したRMS値(振動値)とを比較して、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の予兆の有無の診断を行う(ステップS212)。
このように、本実施形態では、鉄道車両1がRMS値(振動値)が比較的小さくなる区間Bを走行しているときに、その区間B、及び鉄道車両1の走行速度が属する速度範囲に対応した診断用閾値、つまり、比較的小さい診断用閾値を異常診断に用いるため、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の予兆の有無の診断の信頼度を向上できる。
その後、図4の時刻t5に示すように、異常診断部463が、|RMS値(診断用閾値)−RMS値(振動値)|>許容範囲の境界値と判定し、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常の予兆があると診断したとする。すると、異常診断部463が、第1の表示指令を情報表示部450に出力する(ステップS214)。そして、情報表示部450が、異常診断部463からの第1の表示指令に従い、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常の予兆があることを報知する診断結果を表示する(ステップS216)。
続いて、演算装置460の高精度診断部464が、振動検出部430で検出した振動に基づき、異常診断部463で行われる異常診断よりも演算負荷及び精度が高い高精度診断を行う(ステップS218)。また同時に、振動の振幅の時系列データを順次記憶する。
ここで、高精度診断部464が、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常状態にあると判定すると、高精度診断が再度実行され、異常の予兆の有無の診断時よりも比較的細かいサンプリングタイム(例えば0.5Hz)で高精度診断が何度も繰り返される。
このように、本実施形態では、通常時には、異常診断部463が、比較的荒いサンプリングタイム(1Hz)で、RMS値(振動値)を算出して、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の予兆の有無の診断を行う。そして、異常の予兆があると診断された場合にはじめて、高精度診断部464が、比較的細かいサンプリングタイム(0.5Hz)で、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常発生の高精度診断と振幅の時系列データの記憶とを行う。それゆえ、通常時の演算負荷を低減でき、比較的演算能力が低い演算装置460でも実行できる。また、振幅の時系列データを記憶するための記憶媒体の記憶容量を低減できる。そのため、装置が高価で大型になることを抑制できる。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、次のような効果を奏する。
(1)本実施形態に係る軸受異常診断装置4では、鉄道車両1の走行経路を区分して設定した複数の区間、及び鉄道車両1の走行速度の組み合わせに対応づけて、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常の予兆の有無を診断する異常診断のための診断用閾値(RMS値)を記憶している閾値記憶部440を備える。そして、異常診断部463が、閾値記憶部440が記憶している診断用閾値(RMS値)のうち、区間特定部462で特定した区間、及び走行速度検出部410で検出した走行速度の組み合わせに対応づけられている診断用閾値(RMS値)と、振動値算出部461で算出した振動値(RMS値)とを比較して、異常診断を行う。
このような構成によれば、例えば、走行経路の凹凸等によって振動値が増加する区間を走行しているときには、振動値の増加を考慮した診断用閾値を用いて、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断を行うことができる。それゆえ、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断の信頼度を向上できる。
(2)本実施形態に係る軸受異常診断装置4では、異常診断部463で異常の予兆があると診断されると、振動検出部430で検出した振動に基づき、異常診断部463で行われる異常診断よりも演算負荷及び精度が高い異常診断を行う高精度診断部464を更に備える。
このような構成によれば、通常時には、異常診断部463が、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の予兆の有無の診断を行う。そして、異常の予兆があると診断された場合にはじめて、高精度診断部464が、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常発生の高精度診断を行う。それゆえ、通常時の演算負荷を低減でき、比較的演算能力が低い演算装置460でも実行でき、装置が高価になることを抑制できる。
(3)本実施形態に係る軸受異常診断装置4では、振動値は、振動検出部430で検出した振動の振幅のRMS値であり、診断用閾値は、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)が正常状態である車両で走行したときに発生する振動の振幅のRMS値である。
このような構成によれば、RMS値を比較して異常診断を行うため、比較的演算能力が低い演算装置460でも実行でき、装置が高価になることをより抑制できる。
(4)本実施形態に係る軸受異常診断装置4では、異常診断部463は、閾値記憶部440が記憶している診断用閾値のうち、区間特定部462で特定した区間、及び走行速度検出部410で検出した走行速度に対応づけられている診断用閾値と、振動値算出部461で算出した振動値との差分が予め定められた許容範囲外にある場合に、鉄道車両用軸受330に異常の予兆があると診断する。
このような構成によれば、異常の予兆の有無を比較的容易に判定することができる。
(5)本実施形態に係る鉄道車両1は、上記(1)から(4)に記載の軸受異常診断装置4を備える。
このような構成によれば、例えば、走行経路の凹凸等によって振動値が増加する区間を走行しているときには、振動値の増加を考慮した診断用閾値を用いて、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断を行うことができる。それゆえ、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常診断の信頼度を向上できる。
(変形例)
(1)本実施形態では、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の予兆の有無を診断する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の発生そのものを診断する構成としてもよい。この場合、異常診断部463が、閾値記憶部440が記憶している診断用閾値のうち、区間特定部462で特定した区間、及び走行速度検出部410で検出した走行速度に対応付けられている診断用閾値と、振動値算出部461で算出した振動値との差分が予め定められた許容範囲外にある場合に、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)に異常が発生していると診断する。なお、対象軸受330(鉄道車両用軸受330)の異常の発生の診断に用いる許容範囲は、異常の予兆の有無の診断に用いる許容範囲よりも狭くする。
(2)本実施形態では、本発明を、鉄道車両1に適用する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、自動車に適用し、車軸とハブとの間に介挿されるホイールベアリングの異常の予兆の有無または異常の発生を診断する構成としてもよい。
1 鉄道車両
2 車体
3 台車
310 車軸
320 車輪
330 鉄道車両用軸受
4 軸受異常診断装置
410 走行速度検出部
420 車両位置検出部
430 振動検出部
431 振動検出部
440 閾値記憶部
450 情報表示部
460 演算装置
461 振動値算出部
462 区間特定部
463 異常診断部
464 高精度診断部

Claims (3)

  1. 車両の走行速度を検出する走行速度検出部と、
    前記車両の現在位置を検出する車両位置検出部と、
    前記車両の車軸用軸受の振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で検出した振動に基づき、前記車軸用軸受の振動の大きさを表す振動値を算出する振動値算出部と、
    前記車両の走行経路を区分して設定した複数の区間、及び前記車両の走行速度の組み合わせに対応づけて、前記車軸用軸受に異常の予兆の有無または異常の発生を診断する異常診断のための診断用閾値を記憶している閾値記憶部と、
    前記車両位置検出部で検出した現在位置に基づき、前記車両が走行している区間を特定する区間特定部と、
    前記閾値記憶部が記憶している診断用閾値のうち、前記区間特定部で特定した区間、及び前記走行速度検出部で検出した走行速度に対応づけられている診断用閾値と、前記振動値算出部で算出した振動値との差分が予め定められた許容範囲外にある場合に、前記車軸用軸受に異常の予兆がある、または異常が発生していると診断することで、前記異常診断を行う異常診断部とを備え
    前記振動値は、前記振動検出部で検出した振動の振幅のRMS値であり、
    前記診断用閾値は、前記車軸用軸受が正常状態である前記車両で走行したときに発生する振動の振幅のRMS値である軸受異常診断装置。
  2. 前記異常診断部で異常の予兆があると診断されると、前記振動検出部で検出した振動に基づき、前記異常診断部で行われる異常診断よりも演算負荷及び精度が高い異常診断を行う高精度診断部を更に備える請求項1に記載の軸受異常診断装置。
  3. 請求項1又は2に記載の軸受異常診断装置を備えた車両。
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