以下、添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10の筐体10Aの内部には、画像処理部12、露光装置14、及び、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが設けられている。以下、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載する。
画像処理部12は、画像形成の対象とする画像データを取得する。また、画像処理部12は、取得した画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに変換する。
露光装置14は、筐体10Aの中央部に設けられていて、画像処理部12から階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う。また、各々の画像形成ユニット16は、露光装置14の上方に設けられていて、水平方向に間隔をおいて配置されている。
各々の画像形成ユニット16は、予め決められた速度で矢印A方向に回転駆動する円柱状の像保持体18Y、18M、18C、18K、及び、像保持体18の外周面を帯電する一次帯電用の帯電部材20Y、20M、20C、20Kを有している。
また、各々の画像形成ユニット16は、露光装置14の露光によって帯電した像保持体18の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた色のトナーで現像してトナー像として可視化する現像部材22Y、22M、22C,22Kを有している。
また、露光装置14には、各々の画像形成ユニット16に共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザが設けられており、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射される。
なお、半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査される。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
また、露光装置14は、下方から像保持体18上に画像を走査露光するものであるため、露光装置14には、上方に位置する各々の画像形成ユニットの現像部材22等からトナー等が落下する可能性がある。そのため、露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム28によって密閉されている。そして、フレーム28の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各々の画像形成ユニット16の像保持体18上に向けて透過させる透明なガラス製のウインドウ30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
一方、各々の画像形成ユニット16の上方には、一次転写ユニット21が取り付けられている。一次転写ユニット21は、図1及び図2に示すように、無端状の中間転写ベルト32が巻き掛けられ、回転駆動して中間転写ベルト32を矢印B方向に周回させる駆動ロール40を有している。中間転写ベルト32は、駆動ロール40により回転駆動されることにより、各部位が重力方向の下側の一方の端部から他方の端部まで移動した後に上側に折り返される。また、中間転写ベルト32は、駆動ロール40により回転駆動されることにより、各部位が重力方向の上側の一方の端部から他方の端部まで移動した後に下側に折り返される。中間転写ベルト32は、これらの動作を繰り返すことにより、周回する。また、一次転写ユニット21は、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール36を有している。また、一次転写ユニット21は、中間転写ベルト32の重力方向の上側に位置する外周面を清掃する清掃ブレード38を有している。また、一次転写ユニット21は、中間転写ベルト32の重力方向の下側に位置する部分を挟んで像保持体18の反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kを有している。さらに、一次転写ユニット21は、図2に示すように、不揮発性メモリ等を有する一次転写記憶部64を備えている。
また、本実施形態に係る画像形成装置10には、中間転写ベルト32に転写されたトナー像の濃度を検出する濃度センサ66を備えている。なお、本実施形態では、濃度センサ66として、発光素子及び受光素子を有する反射型の光学センサを用いるが、これに限らず、トナー像の濃度を検出する従来既知のセンサを適用すればよい。
このような構成により、一次転写ロール34によって、像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、中間転写ベルト32の重力方向の下側に位置する外周部に、多重に転写される。また、中間転写ベルト32の上側に清掃ブレード38が配置され、清掃ブレード38より下側に一次転写ロール34が配置されている。
また、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール40の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト32により搬送される。そして、各色のトナー像は、駆動ロール40と二次転写ロール42に挟まれ、用紙搬送経路56に沿って搬送される記録媒体としてのシート部材Pに二次転写される。
さらに、二次転写ロール42に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下、単に下流側と言う)には、シート部材Pに転写されたトナー像を熱及び圧力によりシート部材Pに定着させる定着装置44が設けられている。また、定着装置44の下流側には、トナー像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の筐体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
一方、筐体10Aの内部の下側には、シート部材Pが積載される給紙部材50、及び、給紙部材50に積載されたシート部材Pを用紙搬送経路56へ送り出す給紙ロール52が設けられている。また、給紙ロール52の下流側には、シート部材Pを1枚ずつ分離して搬送する分離ロール54が設けられている。また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合せロール58が設けられている。
このような構成により、給紙部材50から供給されたシート部材Pは、予め決められたタイミングで回転する位置合せロール58によって中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接する位置(二次転写位置)へ送り出される。
さらに、排出ロール46に隣接するように、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48にそのまま排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。これにより、両面用搬送経路62に沿って搬送されるシート部材Pは、 表裏が反転された状態で、位置合せロール58へと再度搬送され、シート部材Pの裏面にトナー像が転写・定着されて排出部48に排出される。
上述した構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力される。また、露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材20によって帯電した像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。像保持体18上に形成された静電潜像は、現像部材22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
さらに、各々の画像形成ユニット16の上方に渡って配置された一次転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成された各色のトナー像が、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写される。
また、中間転写ベルト32上に転写された各色のトナー像は、二次転写ロール42により、給紙部材50から給紙ロール52、分離ロール54、位置合せロール58によって用紙搬送経路56に予め定めたタイミングで搬送されたシート部材Pに二次転写される。
さらに、トナー像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。シート部材Pに転写されたトナー像は、定着装置44によってシート部材Pに定着され、その後、シート部材Pは、画像形成装置10の筐体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
さらに、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へと搬送する。そして、両面用搬送経路62に沿ってシート部材Pを搬送することで、シート部材Pの表裏が反転され、シート部材Pが再度位置合せロール58へと搬送される。シート部材Pは、裏面にトナー像が転写・定着された後、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、画像形成装置10の全体的な動作を司るCPU(Central Processing Unit)70、及び各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)72を備えている。また、画像形成装置10は、CPU70による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)74、及び不揮発性メモリ等を有する主記憶部76を備えている。
また、画像形成装置10は、外部装置と通信情報の送受信を行う通信回線I/F(Interface)部78を備えている。また、画像形成装置10は、画像形成装置10に対するユーザからの指示を受け付けると共に、ユーザに対して画像形成装置10の動作状況等に関する各種情報を通知する操作表示部80を備えている。なお、操作表示部80は、例えば、プログラムの実行により操作指示の受け付けを実現する表示ボタン、各種情報等が表示されるタッチパネル式のディスプレイと、テンキー、スタートボタン等のハードウェアキーとを含む。
また、画像形成装置10は、画像形成部82を備えている。画像形成部82は、前述した画像形成工程の画像形成に関する各種処理を行う各構成部品を含んで構成されている。
また、一次転写記憶部64は、上述したように、一次転写ユニット21に設けられている。そして、一次転写ユニット21が画像形成装置10に取り付けられることにより一次転写記憶部64がバス84に電気的に接続されると共に、画像形成装置10から取り外されることにより一次転写記憶部64のバス84との接続が解除される。
一例として図4に示すように、一次転写記憶部64には、後述する転写不良検出処理において使用される一次転写情報として、第1検出値、第2検出値、画像形成枚数、及び転写不良カウンタが記憶される。
第1検出値は、中間転写体の使用が開始された際、すなわち一次転写ユニット21が画像形成装置10に取り付けられてから初めて転写不良検出処理を行った際の基準トナー像のトナー濃度(以下、「初期のトナー濃度」ともいう。)である。本実施形態では、第1検出値として、一次転写ユニット21が画像形成装置10に取り付けられてから転写不良検出処理を5回行った際の5回分のトナー濃度を記憶する。
また、第2検出値は、現在より予め定めた期間前、すなわち直近に転写不良検出処理を行った際の基準トナー像のトナー濃度(以下、「直近のトナー濃度」ともいう。)である。本実施形態では、第2検出値として、直近の5回分のトナー濃度を記憶する。すなわち、転写不良検出処理を行う毎に、第2検出値として、最も古い基準トナー像のトナー濃度を削除して新たな基準トナー像のトナー濃度を記憶することにより、第2検出値として常に直近の5回分の基準トナー像のトナー濃度が記憶されている状態とする。
更に、画像形成枚数は、一次転写ユニット21の使用が開始されてから、すなわち一次転写ユニット21が画像形成装置10に取り付けられてから現在までに形成された画像の枚数である。
そして、転写不良カウンタは、後述する転写不良検出処理において連続して転写不良と判定した回数を示すカウンタである。
そして、CPU70、ROM72、RAM74、主記憶部76、通信回線I/F部78、操作表示部80、画像形成部82、及び濃度センサ66の各部がアドレスバス、データバス、及び 制御バス等のバス84を介して互いに接続されている。
また、筐体10Aの内部に一次転写ユニット21が取り付けられることにより、一次転写記憶部64がバス84に電気的に接続される。
上述した電気的な構成により、本実施形態に係る画像形成装置10は、CPU70により、ROM72、RAM74、及び主記憶部76に対するアクセス、通信回線I/F部78を介した通信情報の送受信を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU70により、操作表示部80を介した各種情報の取得、及び操作表示部80に対する各種情報の表示を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU70により、画像形成部82による画像の形成を行う。また、画像形成装置10は、濃度センサ66による検出値を取得する。さらに、画像形成装置10は、筐体10Aの内部に取り付けられた一次転写ユニット21に設けられている一次転写記憶部64から各種情報を読み込んだり、一次転写記憶部64に各種情報を書き込んだりする。
ここで、本実施形態では、トナーに磁性キャリアが混合された二成分現像剤を用いてトナー像を形成する。磁性キャリアは、鉄またはフェライトの微粒子磁性粉に樹脂がコーティングされることで形成され、トナーを摩擦し帯電させる役割と、トナーを像保持体18上に搬送する役割とを担っている。そして、トナーは、磁性キャリアとの摩擦で帯電し、像保持体18上に静電的に吸着した後、中間転写ベルト32に転写される。この際、トナーは消費される一方で、磁性キャリアは回収され再利用されるため、画像形成を繰り返すたびにトナーと磁性キャリアとの混合比が変化し、トナー濃度が変化していく傾向がある。そのため、二成分現像剤を用いてトナー像を形成する場合には、通常、トナー濃度が一定の値となるように現像部材22に補充するトナーの補充量を補正する濃度補正処理を行う。
本実施形態では、この濃度補正処理において濃度センサ66によりトナー濃度を光学的に検出してトナーの補充量を補正する。具体的には、トナー濃度を補正する際に用いるトナー濃度として予め定めた基準濃度に対応する強度のレーザ光LBを像保持体18に照射することにより、像保持体18にトナー濃度の補正用の基準トナー像を形成させる。また、中間転写ベルト32に転写された基準トナー像のトナー濃度を濃度センサ66の検出値から算出する。そして、算出したトナー濃度とトナー濃度の目標値との差分を打ち消すようにトナーの補充量を補正することによりトナー濃度を補正する濃度補正処理を行う。
なお、本実施形態では、上述したように、基準トナー像のトナー濃度を検出する際に、反射型の光学センサである濃度センサ66を用いる。そのため、濃度センサ66の検出値が高くなる程、基準トナー像のトナー濃度は薄くなり、濃度センサ66の検出値が低くなる程、基準トナー像のトナー濃度は濃くなる。
一方、一般的な画像形成装置は、中間転写ベルトにおいてベルトクリーナーで回収しきれなかった廃トナーが一次転写ロールに落下し、蓄積していく。一次転写ロールの廃トナーが蓄積した部分には画像形成用のトナーが付着しないために転写不良が発生する。一次転写ロールが中間転写ベルトの下部に設けられている場合には、特に、この転写不良が発生しやすい。
この転写不良は、トナー濃度の低下によって検出される。しかし、現像剤として二成分現像剤を用いている場合には、一般的に、上述した濃度補正処理を行うことによりトナー濃度の調整を行うが、このトナー濃度の調整の不具合によってもトナー濃度の低下が発生する。従って、トナー濃度の低下がトナー濃度の調整の不具合によるものか、転写不良によるものかを判別する必要がある。
また、一次転写ロールに蓄積した廃トナーを除去することは難しいため、転写不良が発生した場合には、一次転写ユニットを取り換えることが一般的である。そして、一次転写ユニットの一次転写ロールへの廃トナーの蓄積により、一次転写ユニットを取り換えてからの画像形成枚数に応じて一次転写ロールの汚染が進んでいく。これにより、一例として図7に示すように、一次転写ユニットを取り換えてからの画像形成枚数に応じてトナー濃度が薄く(濃度センサ66の検出値が高く)なっていく。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10は、一次転写ユニット21の不具合を検出する転写不良検出処理を行う。すなわち、画像形成装置10は、まず、中間転写体である中間転写ベルト32に基準トナー像を形成し、基準トナー像の濃度を検出する。ここで、現在の基準トナー像の濃度と、現在より予め定めた期間前に検出手段により検出された基準トナー像の濃度と、の第1差分とし、現在の基準トナー像の濃度と、中間転写体の使用が開始された際に検出された基準トナー像の濃度と、の第2差分とする。そして、画像形成装置10は、第1差分が予め定めた第1閾値より小さく、かつ第2差分が予め定めた第2閾値より大きい場合に、中間転写ベルト32に関する不具合情報を出力する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU70が、一次転写ユニット21の使用が開始された際の基準トナー像のトナー濃度を検出する初期値検出処理を行う際の処理の流れを、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、初期値検出処理は、上述した濃度補正処理を行ったタイミングで実行される。
また、本実施形態では、初期値検出処理のプログラムは予め主記憶部76に記憶されているが、これに限らない。例えば、初期値検出処理のプログラムが通信回線I/F部78を介して外部装置から受信されて主記憶部76に記憶されても良い。また、CD−ROM等の記録媒体に記録された初期値検出処理のプログラムがCD−ROMドライブ等で読み込まれることにより、初期値検出処理が実行されるようにしてもよい。
ステップS101では、一次転写記憶部64に記憶されている画像形成枚数を取得し、画像形成枚数が予め定めた初期判定閾値T0(図7参照)以下であるか否かを判定する。初期判定閾値T0は、一次転写ユニット21の設置環境や固有特性に依存すること、センサにばらつきがあることを考慮し、中間転写ベルト32に転写されたトナー像のトナー濃度が安定しているか否かを判定するための閾値である。本実施形態では、初期判定閾値T0を例えば5回とするが、初期判定閾値T0はこれに限らず、1回であっても5回以外の複数回であっても構わない。
ステップS101で画像形成枚数が初期判定閾値T0以下であると判定された場合はステップS103に移行し、画像形成枚数が初期判定閾値T0より多いと判定された場合は本初期値検出処理のプログラムの実行を終了する。
ステップS103では、中間転写ベルト32に基準トナー像を形成する。基準トナー像は、例えば、予め定めた濃度で内部をベタ塗りした円形の画像である。なお、本実施形態では、基準トナー像の形成をYMCKの色毎に独立して行うものとし、ここでは、基準トナー像の形成をYMCKのうちの何れか1色について行う場合について説明する。また、本実施形態では、上述したように濃度補正処理を行ったタイミングで初期値検出処理を実行するため、本ステップでは基準トナー像を形成せず、上述した濃度補正処理を行う際に形成した基準トナー像を、本ステップで形成した基準トナー像として用いる。
ステップS105では、中間転写ベルト32に形成した基準トナー像のトナー濃度を濃度センサ66により検出する。
ステップS107では、基準トナー像のトナー濃度を第1検出値として一次転写記憶部64に記憶し、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU70が上述した転写不良検出処理を行う際の処理の流れを、図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、転写不良検出処理は、上述した濃度補正処理を行ったタイミングで実行される。
また、本実施形態では、転写不良検出処理のプログラムは予め主記憶部76に記憶されているが、これに限らない。例えば、転写不良検出処理のプログラムが通信回線I/F部78を介して外部装置から受信されて主記憶部76に記憶されても良い。また、CD−ROM等の記録媒体に記録された転写不良検出処理のプログラムがCD−ROMドライブ等でを介して読み込まれることにより、転写不良検出処理が実行されるようにしてもよい。
ステップS201では、一次転写記憶部64に記憶されている画像形成枚数を取得し、画像形成枚数が上述した初期判定閾値T0より多いか否かを判定する。ステップS201で画像形成枚数が初期判定閾値T0より多いと判定され場合はステップS203に移行し、画像形成枚数が初期判定閾値T0以下であると判定された場合は本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
ステップS203では、現在より予め定めた期間X(図7参照)前のトナー濃度、すなわち直近のトナー濃度を取得する。本実施形態では、一次転写記憶部64に第2検出値として記憶されているトナー濃度の代表値を、直近のトナー濃度とする。本実施形態では、図4に示すように、第2検出値として5回分のトナー濃度が記憶されており、本ステップでは、最も古いトナー濃度を取得する。これにより、現在から5回分遡って転写不良検出処理を行った際の基準トナー像のトナー濃度が取得される。しかし、直近のトナー濃度は、これに限らず、第2検出値として記憶されているトナー濃度の平均値、中央値、最小値等であっても良い。なお、直近のトナー濃度を検出するために遡る期間Xは、トナーの補給不足が発生してトナー濃度が低下してからトナー濃度が回復するまでの期間より短くなるように、実験により決定する。
ステップS205では、中間転写ベルト32に上述した基準トナー像を形成する。なお、本実施形態では、上述したように濃度補正処理を行ったタイミングで転写不良検出処理を実行するため、本ステップでは基準トナー像を形成せず、上述した濃度補正処理を行う際に形成した基準トナー像を、本ステップで形成した基準トナー像として用いる。
ステップS207では、中間転写ベルト32に形成した基準トナー像のトナー濃度を濃度センサ66により検出して、第2検出値として一次転写記憶部64に記憶する。
ステップS209では、ステップS207で検出した現在の基準トナー像のトナー濃度と、ステップS203で取得した直近の基準トナー像のトナー濃度との差分である、第1差分を算出する。例えば、10枚の画像を形成する毎に転写不良検出処理を行う場合には、5回前の転写不良検出処理を行った時点から現在までに、50枚の画像を形成したことになり、第1差分は、50枚の画像を形成する間の基準トナー像のトナー濃度の差分となる。この第1差分は、主に、現像部材22内のトナーの増減により発生した差分に依存していることが予想される。
ステップS211では、一次転写ユニット21の使用が開始された際の基準トナー像のトナー濃度、すなわち初期のトナー濃度を取得する。本実施形態では、一次転写記憶部64に第1検出値として記憶されているトナー濃度の代表値を取得する。ここでいうトナー濃度の代表値は、トナー濃度の平均値、中央値、最大値等のうちの何れかとする。
ステップS213では、ステップS207で検出した現在の基準トナー像のトナー濃度と、ステップS211で取得した初期の基準トナー像のトナー濃度との差分である、第2差分を算出する。例えば、今回の転写不良検出処理が一次転写ユニット21の使用が開始されてから3000回目の転写不良検出処理であり、かつ10枚の画像を形成する毎に転写不良検出処理を行う場合を考える。この場合、一次転写ユニット21の使用が開始されてから現在までに、30000枚の画像を形成したことになり、第2差分は、30000枚の画像を形成する間の基準トナー像のトナー濃度の差分となる。この第2差分は、主に、一次転写ロール34の汚れにより発生した差分に依存していることが予想される。
なお、上述したように、第1差分を算出する期間については、画像形成枚数に換算して50枚と例示し、第1判定閾値T1については、画像形成枚数で15000枚と例示している。これらの画像形成枚数は一例であり、画像形成装置10により適宜決定されるものであるが、例示の枚数からも分かるように、第1判定閾値T1は第1差分を算出する画像形成枚数よりも十分大きく、10の3乗のオーダーの違いがある。
ステップS215では、画像形成枚数が予め定めた第1判定閾値T1(図7参照)より多いか否かを判定する。第1判定閾値T1は、転写不良の発生の可能性を判定するための閾値である。本実施形態では、一次転写ユニット21の寿命が一例として画像形成枚数で約30000枚である場合を想定し、第1判定閾値T1を例えば15000枚とする。しかしながら、第1判定閾値T1はこれに限らない。転写不良が発生するまでの画像形成枚数を予め実験によって求めておき、転写不良が発生する画像形成枚数より予め定めた枚数だけ少ない画像形成枚数を第1判定閾値T1としても良い。
ステップS215で画像形成枚数が第1判定閾値T1より多いと判定された場合はステップS217に移行し、画像形成枚数が第1判定閾値T1以下であると判定された場合はステップS225に移行する。
ステップS217では、第1差分が予め定めた第1閾値より小さいか否かを判定する。第1閾値は、第1差分によって示されるトナー濃度の変化が、トナー補充不足によるものであるか否かを判定するための閾値である。本実施形態では、第1差分が第1閾値より小さければ、転写不良によるトナー濃度の変化であり、第1差分が第1閾値以上であれば、トナーの補給不足が発生した場合のトナー濃度の変化であるとみなす。
ステップS217で第1差分が第1閾値より小さいと判定した場合はステップS219に移行し、第1差分が第1閾値以上であると判定した場合はステップS223に移行する。
ステップS219では、第2差分が予め定めた第2閾値より大きいか否かを判定する。第2閾値は、第2差分によって示されるトナー濃度の変化が、転写不良によるものであるか否かを判定するための閾値である。転写不良によるトナー濃度の低下は一次転写ユニット21の使用に応じて徐々に蓄積され、トナー濃度が下がっていくことを考慮し、第2差分が第2閾値より大きい場合に、転写不良が発生したとみなす。
ステップS219で第2差分が第2閾値より大きいと判定した場合はステップS221に移行し、第2差分が第2閾値以下であると判定した場合はステップS223に移行する。
ステップS221では、転写不良が発生しているとして、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタに1を加算して、再度、転写不良カウンタを一次転写記憶部64に記憶する。
ステップS223では、転写不良が発生していないとして、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタをリセットして、再度、転写不良カウンタを一次転写記憶部64に記憶する。なお、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタが0の場合には、本ステップを省略しても良い。
ステップS225では、転写不良カウンタが予め定めた第2判定閾値より大きいか否かを判定する。第2判定閾値は、転写不良の発生をより精度良く判定するための閾値である。第2判定閾値は、誤判定を回避するために設けられ、本実施形態では、例えば3回とする。すなわち、転写不良が発生すると、連続してトナー濃度が低い値となることを考慮し、第2閾値より大きいと複数回連続して判定された場合に転写不良が発生していると判定される。
ステップS225で転写不良カウンタが第2判定閾値より大きいと判定した場合はステップS227に移行し、転写不良カウンタが第2判定閾値以下であると判定した場合は、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
ステップS227では、一次転写ユニット21に関する不具合情報を出力し、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。ユーザは、一次転写ユニット21に関する不具合情報を確認すると、必要に応じて一次転写ユニット21を交換する作業を行う。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。
第2実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置10と同じであるため、各構成の説明を省略する。
上記第1実施形態では、上述した画像形成枚数が第1判定閾値より多い場合に、転写不良が発生しているか否かの判定を行う場合について説明した。一方、本第2実施形態では、上述した第2差分が第2閾値より大きい場合に、転写不良が発生しているか否かの判定を行う場合について説明する。
なお、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU70により実行される初期値検出処理のプログラムの処理の流れは、第1実施形態と同じであるため、各処理の流れの説明を省略する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU70が転写不良検出処理を行う際の処理の流れを、図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、初期値検出処理は、上述した濃度補正処理を行ったタイミングで実行される。
また、本実施形態では、転写不良検出処理のプログラムは予め主記憶部76に記憶されているが、これに限らない。例えば、転写不良検出処理のプログラムが通信回線I/F部78を介して外部装置から受信されて主記憶部76に記憶されても良い。また、CD−ROM等の記録媒体に記録された転写不良検出処理のプログラムがCD−ROMドライブ等でを介して読み込まれることにより、転写不良検出処理が実行されるようにしてもよい。
ステップS301では、図6のステップS201と同様に、一次転写記憶部64に記憶されている画像形成枚数を取得し、画像形成枚数が上述した初期判定閾値T0より多いか否かを判定する。ステップS201で画像形成枚数が初期判定閾値T0より多いと判定され場合はステップS303に移行し、画像形成枚数が初期判定閾値T0以下であると判定された場合は、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
ステップS303では、図6のステップS205と同様に、中間転写ベルト32に上述した基準トナー像を形成する。
ステップS305では、図6のステップS207と同様に、中間転写ベルト32に形成した基準トナー像のトナー濃度を濃度センサ66により検出して、第2検出値として一次転写記憶部64に記憶する。
ステップS307では、図6のステップS211と同様に、一次転写ユニット21の使用が開始された際の基準トナー像のトナー濃度、すなわち初期の基準トナー像のトナー濃度を取得する。本実施形態では、一次転写記憶部64に第1検出値として記憶されているトナー濃度を、一次転写ユニット21の使用が開始された際の基準トナー像のトナー濃度とする。
ステップS309では、図6のステップS213と同様に、ステップS303で検出した現在の基準トナー像のトナー濃度と、ステップS307で取得した初期の基準トナー像の濃度との差分である、第2差分を算出する。
ステップS311では、図6のステップS219と同様に、第2差分が予め定めた第2閾値より大きいか否かを判定する。
ステップS311で第2差分が第2閾値より大きいと判定した場合はステップS313に移行し、第2差分が第2閾値以下であると判定した場合はステップS321に移行する。
ステップS313では、図6のステップS203と同様に、現在より予め定めた期間X前の基準トナー像のトナー濃度、すなわち直近の基準トナー像のトナー濃度を取得する。
ステップS315では、図6のステップS209と同様に、ステップS303で検出した現在の基準トナー像のトナー濃度と、ステップS313で取得した直近の基準トナー像のトナー濃度との差分である、第1差分を算出する。
ステップS317では、図6のステップS217と同様に、第1差分が予め定めた第1閾値より小さいか否かを判定する。
ステップS317で第1差分が第1閾値より小さいと判定した場合はステップS319に移行し、第1差分が第1閾値以上であると判定した場合はステップS321に移行する。
ステップS319では、図6のステップS221と同様に、転写不良が発生しているとして、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタに1を加算して、再度、転写不良カウンタを一次転写記憶部64に記憶する。
ステップS321では、ステップS223と同様に、転写不良が発生していないとして、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタをリセットして、再度、転写不良カウンタを一次転写記憶部64に記憶する。なお、一次転写記憶部64に記憶されている転写不良カウンタが0の場合には、本ステップを省略しても良い。
ステップS323では、図6のステップS225と同様に、転写不良カウンタが予め定めた第2判定閾値より大きいか否かを判定する。
ステップS323で転写不良カウンタが第2判定閾値より大きいと判定した場合はステップS325に移行し、転写不良カウンタが第2判定閾値以下であると判定した場合は、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
ステップS325では、図6のステップS227と同様に、一次転写ユニット21に関する不具合情報を出力し、本転写不良検出処理のプログラムの実行を終了する。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、転写不良が発生しているか否かの判定に画像形成枚数を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、転写不良が発生しているか否かの判定に、画像形成枚数の代わりに、画像形成装置10に一次転写ユニット21を取り付けてからの総トナー使用量を用いて良い。この場合には、総トナー使用量が予め定めた閾値より大きい場合に、転写不良が発生しているか否かの判定を行う。なお、総トナー使用量は、例えば、画像を形成する毎に、形成される画像1枚分のドット数である像密度を累積することにより求められる。
また、転写不良が発生しているか否かの判定に、画像形成枚数の代わりに、画像形成装置10に一次転写ユニット21を取り付けてからの画像形成時間を用いても良い。この場合には、画像形成時間が予め定めた閾値より大きい場合に、転写不良が発生しているか否かの判定を行う。なお、画像形成時間は、画像を形成する毎に、画像の形成に要した時間を累積することにより求められる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、転写不良検出処理をYMCKの色毎に独立して行う場合について説明したが、これに限らない。YMCKの各色についてまとめて基準トナー像を形成し、各色の平均値を用いて転写不良検出処理を行っても良い。