JP6585465B2 - 墨出し装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記の方法では、対象物の表面に一旦印を付けてから、墨ツボ等でラインを描くため作業効率が悪いだけでなく、墨出し作業は、二人一組で行う必要があるため、コスト高の要因となっていた。
ラインセンサ52を搭載する台車54の脚部には、車輪55が前後動自在に取付けられており、墨出し装置50を、同図の左右方向である前後方向へ移動可能としている。
ラインセンサ52は、墨出し装置50の上面に、フォトセンサ51の配列方向が墨出し装置50の移動方向である前後方向に直交する方向(同図の上下方向)になるように取付けられ、墨出しペン53は、フォトセンサ51の配列方向と平行な方向であるに延長するスライドバー56に移動自在に係合されている。
したがって、墨出しペン53を対象物の表面に接触させながら車輪55を駆動して、墨出し装置50を、墨出し開始点である基準点K1から終点K2まで移動させれば、レーザ光Lに沿ったラインを対象物の表面に描画することができる。
なお、引用文献1では、レーザ光Lを照射する装置として、レーザ光Lを回転させながら照射するレーザ発振機57aを備えたレーザレベル装置57が用いられている。
このレーザ用墨出し器60は、複数のフォトセンサ61を直線状に配列したラインセンサ62と、フォトセンサ61の配列方向の延長線上に設けられた墨付けスタンプ63とを備えたもので、レーザ光Lの方向がフォトセンサ61の配列方向に一致したときには、図8(c)に示すように、墨付けスタンプ63の押しボタン64を押圧して、対象物である壁面2にゴム印65を押し付けることで、レーザ光Lに沿ったラインを壁面2に描画することができる(例えば、特許文献2参照)。
一方、レーザ用墨出し器60は、構造が簡単であるという利点はあるものの、レーザ光Lに沿ったラインを描画するためには、レーザ用墨出し器60を持った作業員が、フォトセンサ61の配列方向をレーザ光Lの方向とを完全に一致したことを確認してから押しボタン64を押圧する必要があるため、作業効率が悪いといった問題点があった。
本発明の墨出し装置は、2つのラインセンサでレーザ光Lの位置を検出することで墨出し位置を算出する構成であるので、墨出し装置を、レーザ光Lが第1及び第2のラインセンサの延長方向と交差するように保持すれば、墨出し位置を容易に算出できる。したがって、簡単な構成で、対象物の表面にレーザ光Lに沿ったラインを正確にかつ効率良く描画することができる。
なお、本発明の墨出し装置を用いれば、作業者が一人でも墨出し作業を容易に行うことができることはいうまでもない。
また、前記描線手段を、前記第1及び第2のラインセンサを取付けた基板の外側で、かつ、前記第1のラインセンサの前記第2のラインセンサとは反対側、もしくは、前記第2のラインセンサの前記第1のラインセンサとは反対側に配置したので、描画位置を確認しながら墨出しを行うことができる。
図1(a),(b)は、本発明の実施の形態に係る墨出し装置1の構成を示す図で、図2は墨出し装置1の機能ブロック図である。
各図において、10は保持台、11,12は第1及び第2のラインセンサ、13は描線手段としての墨出し器、14は移動手段としてのリニアスライダ、15は墨出し位置算出手段(演算器)、16は位置制御手段(制御器)、17はボタンスイッチ、18はバッテリー、19は電源スイッチである。
保持台10は、長方形板状の取付板10aと、取付板10aの裏面側(対象物である壁の表面側)に設けられた3つの脚部10bと、取付板10aの中央部に形成されたスリット10cと、図示しない作業者が把持するハンドル10dとを備え、第1及び第2のラインセンサ11,12やリニアスライダ14等の部品を搭載する。なお、スリット10cの延長方向は、取付台10aの長手方向に平行な方向である。
以下、取付板10aの長手方向を上下方向(x方向)、幅方向を左右方向(y方向)、厚さ方向を高さ方向(z方向)という。
墨出し器13は、図示しないインクタンクと噴射器とを備えたインクジェット型の描線具で、噴射器の噴射孔13hからインクタンク内のインクを対象物である壁の表面(以下、壁面2という)に噴射することで、レーザ光Lのラインに沿った線を壁面2に描画する。
墨出し器13は、噴射孔13hが壁面2側に位置するように、リニアスライダ14に搭載される。
リニアスライダ14は、レール14aと可動体14bとを備え、可動体14bに取付けられた墨出し器13を、レール14aに沿って、墨出し位置算出手段15で算出された墨出し位置まで移動させる。リニアスライダ14は、可動体14bの移動方向であるレール14aの延長方向が、受光素子Dの配列方向と同じ方向であるx方向になるように、取付板10aの表面側に取付けられる。
レール部材146が図1のレール14aを構成し、ボールネジ141のナット部141bとスライド部材147とガイド部材148とが図1の可動体14bを構成する。なお、レール部材146とガイド部材148とは、それぞれ、1個ずつでもよい。
上記構成のリニアスライダ14を本発明の墨出し装置1に適用する場合には、スライド部材147の基台140側に、墨出し器13を搭載するとともに、基台140の中央で、ボールネジ141のネジ軸141aの直下に、ボールネジ141のネジ軸141aの延長方向と平行な方向に伸びる、取付板10aのスリット10cと連通する貫通孔14hを形成すればよい。これにより、墨出し器13の噴射孔13hから壁面2にインクを噴射することができる。
なお、リニアスライダ14に代えて、例えば、永久磁石から成る固定子とコイルから成る可動子とを備えたリニアモータ型のスライド装置や、ラックピニオン機構を備えた周知の移動手段を用いてもよい。
位置制御手段(制御器)16は、リニアスライダ14のモータ142を制御して、ボールネジ141のネジ軸141aを回転させ、スライド部材147をレール部材146に沿って墨出し位置まで移動させる。
演算器15と制御器16とは、取付板10aの右下側に配置される。
ボタンスイッチ17は、墨出し器13の噴射するインクの色を選択する第1のスイッチ17aと、オフセット量を選択する第2のスイッチ17bとを備え、取付板10a左下側に配置される。
バッテリー18は、リニアスライダ14、演算器15、制御器16、及び、墨出し器13の噴射器を駆動するための電源で、取付板10aの右下側で、演算器15と制御器16の下側に配置される。
電源スイッチ19は、取付板10aの側面に設けられる。
作業者は、電源スイッチ19を入れて墨出し装置1を立ち上げた後、第1のスイッチ17aを押して、墨出し器13の噴射するインクの色を選択する。ここでは、レーザ光Lのラインに沿った墨出しを行うので、第2のスイッチ17bは押さない。
次に、墨出し装置1のハンドル10dを把持して、第1及び第2のラインセンサ11,12が、それぞれ、図示しないレーザレベル装置から壁面2に照射されたレーザ光Lのラインと交差するように保持する。これにより、第1及び第2のラインセンサ11,12の受光素子Dのうちの、レーザ光Lのラインと交差する位置に位置する受光素子Dは、それぞれ、レーザ光Lを検出する。なお、受光素子Dの位置座標は、受光素子Dの配列方向に沿った長さとして表せる。
また、ライン状のレーザ光を照射するレーザレベル装置としては、特許文献1に記載のレーザ光Lを回転させながら照射するレーザ発振機57Rを備えたレーザレベル装置57や、半導体レーザと光学素子とを揺動させながらレーザ光Lを照射する構成のレーザレベル装置などの周知のレーザレベル装置を用いることができる。
[数1]
x3=x2+(x1−x2)×{a2/(a1+a2)}
このように、本発明の墨出し装置1では、第1及び第2のラインセンサ11,12の受光素子Dの配列方向が、レーザ光Lのラインと直交していなくても、第1のラインセンサ11におけるレーザ光Lの位置x1と、第2のラインセンサ12におけるレーザ光Lの位置x2とから、墨出し位置x3を求めることができる。
なお、x1及びx2の原点(x1=0、x2=0)は、第1及び第2のラインセンサ11,12の最も下側の受光素子Dの位置としてもよいし、本例のように、取付板10a短辺から所定距離x方向に離れた短辺に平行な線(以下、基準線Kという)と第1及び第2のラインセンサ11,12との交点に位置する受光素子D0の位置としてもよい。
墨出し器13の位置が墨出し位置x3に停止すると、リニアスライダ14は、停止信号skを墨出し器13に送る。
停止信号skを受け取った墨出し器13は、噴射孔13hが壁面2側にインクを噴射することで、墨出しを行う。
以上の操作を繰り返し行うことで、作業者が一人であっても、壁面2にレーザ光Lのラインに沿った線を容易にかつ精度よく描くことができる。
描画後には、電源スイッチ19を切って墨出し作業を終了する。
なお、図4(b)に示すように、レーザ光Lのラインに対してオフセット量bを有するライン(オフセットライン)を墨出しする場合には、第2のスイッチ17bを1回もしくは複数回押して、オフセット量bを設定することで、オフセットラインNを墨出しすることができる。
オフセット量がbであるときの墨出し位置x3は、以下の[数2]に示す式を用いて算出することができる。
[数2]
x3=x2+(x1−x2)×{a2/(a1+a2)}+b/cosθ
θ=tan -1 {(x1−x2)/(a1+a2)}
また、前記実施形態では、対象物を壁としたが、天井あるいは床であっても、同様の方法で墨出しを行うことができる。
また、前記実施形態では、リニアスライダ14からの停止信号skにより、噴射孔13hが壁面2側にインクを噴射することで、墨出しを行ったが、別途ハンドル10dに描線スイッチを設けるとともに、ボタンスイッチ17に停止信号skにより点灯するボタンを設け、手動により、噴射孔13hが壁面2にインクを噴射するようにしてもよい。
この場合には、描線位置が決定したなら、描画スイッチを押しながら取付板10aをスライドさせればよい。
なお、墨出し器13を第1及び第2のラインセンサ11,12の外側に配置したときの墨出し位置x3は、以下の[数3]に示す式を用いて算出される。
要は、第1及び第2のラインセンサ11,12の各受光素子Dの配列方向が並行(間隔がx方向に行くにしたがって増加または減少するような配置)であれば、第1のラインセンサ11の、レーザ光Lのラインと交差する位置(受光素子Dの配列方向に沿った位置)x1と、第2のラインセンサ12の、レーザ光Lのラインと交差する位置x2と、第1のラインセンサ11の各受光素子Dの配列方向とリニアスライダ14の中心線とのなす角度θ1と、第2のラインセンサ12の各受光素子Dの配列方向とリニアスライダ14の中心線とのなす角度θ2とから墨出し位置x3を算出することができる。
具体的には、[数1]のx1をx1sinθ1、x2をx2sinθ2、a1をa1−x1cosθ1、a2をa2−a2cosθ2として、第1及び第2のラインセンサ11,12の各受光素子Dの配列方向が並行である場合の墨出し位置x3を算出する。
なお、a1及びa2は、図6(b)に示すように、基準線Kと第1及び第2のラインセンサ11,12との交点(受光素子D0の位置)と、基準線Kと墨出し器13の中心線との交点とを結んだ線分の長さである。
10c スリット、10d ハンドル、11,12 第1及び第2のラインセンサ、
13 墨出し器、13h 噴射孔、14 リニアスライダ、14a レール、
14b 可動体、15 墨出し位置算出手段(演算器)、
16 位置制御手段(制御器)、17 ボタンスイッチ、17a 第1のスイッチ、
17b 第2のスイッチ、18 バッテリー、19 電源スイッチ、
D 受光素子、L レーザ光。
Claims (2)
- 対象物の表面に照射されるライン状のレーザ光を受光して、前記レーザ光の照射位置を墨出しする墨出し装置であって、前記レーザ光を受光する複数の受光素子がライン状に配列された第1及び第2のラインセンサと、
前記レーザ光の前記対象物の表面における位置である墨出し位置を算出する墨出し位置算出手段と、
前記対象物の表面に前記レーザ光のラインに沿った線を描くことで、前記レーザ光の照射位置を墨出しする描線手段と、
レールと、前記描線手段が取付けられた可動体とを備え、前記描線手段を、前記レールに沿って、前記算出された墨出し位置まで移動させる移動手段とを備え、
前記第1及び第2のラインセンサは、
前記第1のラインセンサの受光素子の配列方向と前記第2のラインセンサの受光素子の配列方向とが互いに並行になるように配置され、
前記墨出し位置算出手段は、
前記第1のラインセンサで検出された前記レーザ光の位置と前記第2のラインセンサで検出された前記レーザ光の位置とを結ぶ直線と前記レールとの交点の位置を前記墨出し位置として算出することを特徴とする墨出し装置。 - 前記描線手段が、
前記第1及び第2のラインセンを取付けた基板の外側で、かつ、
前記第1のラインセンサの前記第2のラインセンサとは反対側、もしくは、
前記第2のラインセンサの前記第1のラインセンサとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の墨出し装置。
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