JP6584378B2 - 桁用足場装置 - Google Patents
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Description
作業足場には、スカイハンガーと称せられる吊り式足場装置が知られている。
この吊り式足場装置は、作業床が主桁より低い位置になるため、高低差が大きく作業員が乗り移りする際の危険度が高いことにくわえて、作業範囲が狭いといった問題を有している。
図8を参照して詳しく説明すると、この足場装置は断面H形を呈する桁材aの片側の上下のフランジb,c間に単管dを取り付け、この単管dの下方に足場板eの一側端を軸支すると共に、単管dの中間部と足場板eの自由端との間にリンク式の斜材fを連結した構造になっていて、斜材fを折り畳むことで足場板eが主桁aに格納され、主桁aの側方に張り出した足場板eを伸長状態の斜材fが吊り支える構造になっている。
<1>足場板eの軸支部側が主桁aを構成する上下のフランジb,cの内側に入り込んでいるため、展開した足場板eの一部と下フランジcの一部が重合し合う構造となっている。
そのため、主桁aの下フランジcを歩行面として利用できないだけでなく、足場板eの歩行面も主桁aの内部に入り込んでいるために実質的に歩行可能な歩行面積が狭いものとなる。くわえて足場板eを吊り支える斜材fが歩行の障害になっている。
そのため、従来の折畳式足場装置は作業者が歩行し難く、高所作業の安全性が脅かされている。
<2>足場板eと下フランジcの間に高低差がありこの間に大きな隙間を生じている。この隙間を通じて工具類や建設資材等の落下事故を誘発しやすい。
<3>足場装置の組付けにあたり、主桁aに単管dを取り付けたり、足場板eに孔開け加工等を施したり、係止機構fを取り付けしたりする必要があり、足場装置の加工と取り付けに多くの時間とコストがかかる。
<4>折り畳んだ足場板eの保持機構を有していないために、運搬中に足場板eが不用意に展開し易く、足場板eが損傷し易い。
<5>足場板eが主桁aの単管にdに直接取り付けられているため、足場板eの交換に手数を要するだけでなく、足場板eの解体撤去にも多くの時間と労力を要する。
本発明の他の形態において、足場板の展開時に支持アームを軸支する支軸と、支持アームの一部が桁の下フランジに当接する当接部の二箇所で足場板の載荷重が分散して支持される。
本発明の他の形態において、足場板の展開時に足場板の内側面が桁の下フランジに隣接するように、又は足場板の内側面が桁の下フランジから離隔するように、前記複数の支持アームの間に足場板が架け渡されている。
本発明の他の形態において、前記支持アームが足場板を搭載可能な高剛性のアーム本体と、前記アーム本体と協働して足場板を把持する帯状の押え板とを有し、アーム本体の基端が支軸を介して桁のウェブの側面に突設した支持部材に回動可能に軸支され、足場板の格納時に連結材を介して桁のウェブの側面に突設した支持部材にアーム本体の自由端の仮固定が可能である。
本発明の他の形態において、前記支持部材が主桁のウェブの側面に同一の鉛直線上に突設した下位ブラケットと上位ブラケットの組み合せであるか、又は主桁のウェブの側面に縦方向に設けた補剛材である。
桁用足場装置は桁に沿ってウェブの片面又は両面に横列されている。
<1>足場板の展開時に足場板の全体を下フランジの外方に張出しできると共に、足場板を搭載した支持フレームが桁に片持ち支持構造であるため足場板の上面に突出物が存在しない。
桁の側方に展開した足場板の上面全面を歩行面として使用できるだけでなく、桁の下フランジ面全面も歩行面として使用できて歩行の安心感がさらに高まり、高所作業の安全性が格段に向上する。
<2>足場板の展開時に、下フランジから外方に張り出した支持アームを支軸と下フランジの二点で支持するため、足場板を安定した姿勢で支持できるだけでなく、足場板に負荷する載荷重を分散して支持できる。
<3>桁のウェブに対して複数の支持フレームを着脱するだけの簡単な作業で以て足場装置の組付け、解体撤去を迅速に行える。
<4>足場板の展開時に足場板の内側面が桁の下フランジに隣接するように複数の支持アームの間に足場板が架け渡されていると、足場板と下フランジとの間に大きな隙間が生じないため、工具類や建設資材等の落下事故を未然に防止できる。
<5>足場板の展開時に足場板の内側面が桁の下フランジから離隔するように複数の支持アームの間に足場板が架け渡されていると、足場板の横幅を拡張した場合と同等に歩行がし易くなる。
<6>足場板を支持アームに把持させて固定するので、足場板に一切の加工が不要であり、足場板の交換も簡単に行える。
主桁10は断面H形を呈していて、縦方向にのびるウェブ11と、ウェブ11の上下端に水平に張り出した上フランジ12、下フランジ13とを有する。
本例では桁が主桁10である場合について説明するが、桁は主桁10に限定されず公知の各種桁に適用が可能である。
桁用足場装置(以下「足場装置」という)20は、主桁10のウェブ11に軸支した複数の支持アーム30と、両端を複数の支持アーム30に把持させて架け渡した足場板40とを具備する。
足場板40は複数の支持アーム30を介して足場板40の全体を下フランジ13の延長上に張出して展開可能であると共に、足場板40の全体を上下フランジ12,13内に格納可能である。
本例では主桁10のウェブ11の両側に足場装置20を取り付ける形態について説明するが、主桁10のウェブ11の片側のみに足場装置20を取り付けてもよい。
図2を参照して説明すると、支持アーム30は足場板40を搭載可能な高剛性のアーム本体31と、足場板40を拘束する帯状の押え板35とを有する。
アーム本体31は足場板40を載置する高剛性のアームであり、足場板40の横幅より長い全長を有する。
図2,3に例示したアーム本体31について説明すると、アーム本体31は全体形状がコ字形を呈していて、基板32の上面の両端部に立設した一対の起立片33,33と、起立片33,33の内方で基板32と平行に形成した支持片34,34とを具備する。
基板32は足場板40を載置する剛性板である。
起立片33,33は鉤形を呈する板体であり、基板32の上面の両端部に起立状態で立設されている。
一対の支持片34,34は押え板35の両端部を搭載するための支持部材である。
一対の支持片34,34の間には足場板40を収容可能な空間が形成されている。
各起立片33はその板面に連結孔33aを有し、各支持片34,34はその板面にボルト孔34aを有している。
アーム本体31と協働して足場板40を把持する帯状の押え板35は、一対の支持片34,34の間に掛け渡し可能な長さを有し、その両端部にボルト孔35aが設けてある。押え板35は取付ボルト36を介して支持片34に着脱可能である。
支持アーム30は主桁10のウェブ11に対して回動可能に軸支されていると共に、主桁10内に格納するときに仮固定ができるように取り付けられている。
図2,3に例示した支持アーム30の取付構造について説明する。
主桁10のウェブ11の側面には、支持アーム30を取り付けるための上下一対の下位ブラケット14と上位ブラケット15とを1組とする複数組のブラケットが主桁の長手方向に沿って、足場板40の全長とほぼ等しい間隔を隔てて突設されている。
各下位ブラケット14と上位ブラケット15は同一の鉛直線上に位置する。
連結孔14aを有する下位ブラケット14は下フランジ13に近い位置に取り付けられ、係留孔15aを有する上位ブラケット15は下フランジ13から離れた位置に取り付けられている。
主桁10の支持部材は足場板40の全長に応じて、図2に示した上下一対のブラケット14,15の組み合せ、又は図4に示した補鋼材16を適宜使い分けすればよい。
支持アーム30は横向きの支軸37を介して下位ブラケット14に回動可能に取り付けられている。
具体的には、アーム本体31の一方の起立片33がウェブ11の下位ブラケット14に重合し、その重合部に支軸37を貫挿することで、支持アーム30の基端がウェブ11に軸支されている。
支軸37による支持アーム30の軸支位置は、足場板40の展開時に、支持アーム30の基板32の一部が下フランジ13の上面に着床(当接)してそれ以上の支持アーム30の回動を規制できる位置に設けられている。
ここで重要なことは、支持アーム30の軸支部(支軸37)が下フランジ13と支持アーム30の当接部より高い位置関係にあることである。
足場装置20の展開時においては、支持アーム30の基板32の一部が下フランジ13の上面に着床(当接)可能であり、足場装置20の格納時においては、支持アーム30の自由端の起立片33が、ボルト又はピン等の連結材38を介して上位ブラケット15に仮固定が可能である。
支持アーム30に対する足場板40の載置位置は、図3に示すように足場板40の展開時において下フランジ13の外方に足場板40の全体が張り出すように載置されている。
本例では下フランジ13の外縁の真上に足場板40の内側面が位置し、下フランジ13との間にほとんど隙間がない状態で足場板40を張り出した形態を示す。
足場板40は複数の支持アーム30を介してが主桁10に片持ちで支持される。
足場板40には市販の足場板を使用でき、軽量な金属製足場が望ましい。
本例では一対の支持アーム30,30の間に一枚の足場板40を架け渡す場合について説明するが、一対の支持アーム30,30の間に複数の足場板40を横列させて掛け渡すことも可能である。
本発明では足場板40の両端部を支持アーム30,30に挟持させて固定するため、足場板40に特別な加工を施す必要がまったくなく、そのまま使用できる。
図2,3等を参照して主桁10の側面に足場装置20を組付ける方法について説明する。
支持アーム30の基端を主桁10の下位ブラケット14に軸支する。
具体的には、アーム本体31の一方の起立片33をウェブ11の下位ブラケット14に重合させ、その重合部に支軸37を挿入して軸支する。
ウェブ11の側面の複数箇所にアーム本体31を軸支する。
一対のアーム本体31,31の間に足場板40を架け渡し、足場板40の端部上面に押え板35を被せて取付ボルト36で締め付けて足場板40をスライド不能に固定する。
主桁10に沿って順次複数の足場装置20を組み付ける。
主桁10に沿って複数の足場装置20を連続的に組み付ける場合、下位ブラケット14と支軸37等を共有させてもよいし、共有させないで組み立てもよい。
足場板40を主桁10の内空に格納するには、足場板40がウェブ11と平行になるまで手で持ち上げる。足場板40の持ち上げに伴い、支軸37を中心に一対の支持アーム30,30と足場板40が一体に回動する。
足場板40が縦向きになるまで回動したら、一対の支持アーム30,30の自由端の起立片33と上位ブラケット15の重合部の両孔33a,15aに連結材38を差し込んで仮固定する。
格納状態の足場装置20は支軸37と連結材38を介してウェブ11の側面に回動不能な状態で保持される。
足場装置20の格納時においては、足場板40だけでなく支持アーム30も主桁10の内空に格納されるので、足場装置20の構成部材が主桁10の上下フランジを越えて外部にはみ出すことはない。
したがって、主桁10を搬送車両に搭載する際に足場装置20が邪魔にならない。複数の主桁10を隣接させて積み込んでも足場装置20を損傷させずに現場まで搬送できる。
主桁10の吊り上げ前に以下の展開操作を行って足場板40を展開する。
地上において連結材38を抜き取り、支軸37を中心に足場板40を下方へ回動させるだけで主桁10の下フランジ13の延長上に足場板40を展開することができる。
図3の右方の足場装置20が主桁10から水平に展開した状態を示している。
支軸37を中心に支持アーム30が下方へ向けて回動し、支持アーム30の基板32の下面が下フランジ13の上面に当接することで回動が規制される。
足場板40が下フランジ13の延長上に張り出す位置に合せて、支持アーム30の回動が制限されるように構成されている。
隣り合う足場装置20の間を連結することで、主桁10に沿って配列した複数の足場板40に連続性を持たせることができて、足場板40の安定性が格段に向上する。
主桁10を架設した後、隣り合う主桁10の間に横桁(図示を省略)を架設する。
主桁10に付設した複数の足場装置20を使用して横桁の架設作業を行う。
展開した各足場装置20の足場板40が主桁10の下フランジ13の外方に張り出ているため、足場板40の上面全面を歩行面として使用できるだけでなく、主桁10の下フランジ13の片面全面も歩行面として使用できるので、作業者の安心感がさらに高まる。
更に主桁10に沿って連なる複数の足場板40に亘って歩行の障害となる突出物が存在せずにフラットな歩行面が形成されている。
そのため、従来と比べて高所作業を安全に行うことができる。
更に足場板40と下フランジ13との間に大きな隙間が生じないため、工具類や建設資材等の落下事故を未然に防止することもできる。
図3において、下フランジ13から外方に張り出した支持アーム30を支軸37と下フランジ13の二点で支持する構造である。
そのため、足場板40を安定した姿勢で支持できるだけでなく、足場板40に負荷する載荷重も分散して支持できる。
特に支持アーム30の軸支部が下フランジ13との当接部より高い位置関係にあることから、支持アーム30の軸支部(支軸37)の荷重負担を大幅に軽減できると共に、片持ち構造でありながら支持アーム30の剛性を活かして足場板40を安全に支持できる。
足場装置20の使用を終えたら重機等を必要とせず、手作業又は人力により支軸37を抜き取るだけの簡単な作業で足場装置20を主桁10から切り離して撤去できる。
足場装置20は主桁10への組付けが簡単であるだけでなく、主桁10からの解体撤去も簡単に行える。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
本例の足場装置20の基本構成及び作用効果は既述した先の実施例と同じである。
本例では足場板40を収容する支持片34,34の間隔を足場板40の横幅より広く形成すると共に、足場板40を支持アーム30の自由端側に偏倚させた。
足場板40を支持アーム30の自由端側に偏倚させることで、足場板40の内側面が下フランジ13の外方へ間隔Lを隔てて離隔する。
足場板40の両端部を押え板35で把持して固定することは先の実施例と同様である。
押え板35の曲げ片35bの長さを間隔Lと同じ長さにしておくと、足場板40を偏倚させて生じた支持アーム30の空間内に曲げ片35bを挿入することで足場板40の横移動を確実に防止できる。
足場板40の横幅を拡張した場合と同等の効果が得られる。
11・・・主桁のウェブ
12・・・主桁の上フランジ
13・・・主桁の下フランジ
14・・・下位ブラケット
15・・・上位ブラケット
16・・・補鋼材
20・・・桁用足場装置
30・・・支持アーム
31・・・アーム本体
32・・・基板
33・・・起立片
34・・・支持片
35・・・押え板
36・・・取付ボルト
37・・・支軸
38・・・連結材
40・・・足場板
Claims (8)
- ウェブと上下フランジを有する断面H形を呈する桁の側面に折畳自在に付設された足場板を有する桁用足場装置であって、
前記桁のウェブの側面であって桁方向に間隔を隔てて回動可能に軸支された複数の支持アームと、
前記複数の支持アームの間に架け渡された足場板とを具備し、
前記支持アームは足場板の展開時に足場板の全体を下フランジの延長上に張出し可能な全長を有し、
前記複数の支持アームを介して足場板が桁に片持ちで支持されていることを特徴とする、
桁用足場装置。 - 足場板の展開時に支持アームを軸支する支軸と、支持アームの一部が桁の下フランジに当接する当接部の二箇所で足場板の載荷重が分散して支持されることを特徴とする、請求項1に記載の桁用足場装置。
- 足場板の展開時に足場板の内側面が桁の下フランジに隣接するように、前記複数の支持アームの間に足場板が架け渡されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の桁用足場装置。
- 足場板の展開時に足場板の内側面が桁の下フランジから離隔するように、前記複数の支持アームの間に足場板が架け渡されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の桁用足場装置。
- 前記支持アームが足場板を搭載可能な高剛性のアーム本体と、前記アーム本体と協働して足場板を把持する帯状の押え板とを有し、アーム本体の基端が支軸を介して桁のウェブの側面に突設した支持部材に回動可能に軸支され、足場板の格納時に連結材を介して桁のウェブの側面に突設した支持部材にアーム本体の自由端の仮固定が可能であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の桁用足場装置。
- 前記支持部材が主桁のウェブの側面に同一の鉛直線上に突設した下位ブラケットと上位ブラケットの組み合せであることを特徴とする、請求項5に記載の桁用足場装置。
- 前記支持部材が主桁のウェブの側面に縦方向に設けた補剛材であることを特徴とする、請求項5に記載の桁用足場装置。
- 桁に沿ってウェブの片面又は両面に横列されていることを特徴とする、請求項1乃至7にの何れか一項に記載の桁用足場装置。
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