以下、本発明によるネットワーク接続装置およびネットワーク接続装置給電方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことは言うまでもない。
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、光回線終端装置としての機能を備え、光信号を伝送する光ファイバケーブルを接続した構成からなるネットワーク接続装置に関する発明であり、前記光ファイバケーブルを介して接続されている対向装置の電源電圧があらかじめ定めた閾値よりも低下したことを示す情報を受け取ったことを契機として、通常時に光通信用として使用している前記光ファイバケーブルへの通常の光通信用の光信号の送信を止めて、光給電用として、光を常時点灯し続ける常時点灯パターンの光信号を送信することにより、前記対向装置に対して効率的に光給電を行うことを主要な特徴としている。
さらに、前記ネットワーク接続装置は、光給電を行っている状態にある前記対向装置の電源電圧が前記閾値以上の値に復帰して、正常な状態に復電した時点において、該対向装置から復電したことを示す情報を受け取ったことを契機として、前記光ファイバケーブルへ光給電用として送信していた常時点灯パターンの光信号の送信動作を停止して、通常の光通信用の光信号の送信を再開することにより、当該ネットワーク接続装置の装置構成を一切変更することなく、光通信を再開することができるという効果を奏することができることも主要な特徴としている。
さらに追加して、本発明の特徴を補足説明する。例えば、前記特許文献2に記載の現状の技術においては、前述したように、光モジュールは、対向する相手側の光モジュールから、光通信用のイーサネットフレーム間のインタフレームギャップ(データを受信していない期間)に存在するアイドル信号パターン(光通信規格に準拠した特定の信号パターン)の光信号を受信して、当該光モジュールを冷却するための光給電用の電力を得ている。
これに対して、本発明の場合、光給電先の対向装置(対向ネットワーク接続装置)に対して光給電を行う時点においては、該対向装置の電源電圧は前記閾値よりも低下して、光通信が不可能な状態にあるので、光給電用の光信号の信号パターンは、光通信規格に従う必要はないという点に着目している。したがって、本発明においては、前記特許文献2の場合のような光給電効率の悪いアイドル信号パターンではなく、光を常時点灯し続ける常時点灯パターンを光給電用として用いることによって、前記対向装置に対して効率的に光給電を行うことができる。
(本発明に係る実施形態の構成例)
次に、本発明に係るネットワーク接続装置の一構成例について、図面を用いて詳細に説明する。まず、本発明に係るネットワーク接続装置を備えた具体的なネットワーク構成の一例について説明する。図1は、本発明に係るネットワーク接続装置を備えたネットワーク構成の一例を示すネットワーク構成図である。
図1に示すネットワーク構成例においては、光給電を行う光給電送信側(すなわり光給電側)の第1のネットワーク接続装置1Aとしてセンタ装置1が配置され、一方、光給電を受ける光給電受信側(すなわち光受電側)の第2のネットワーク接続装置11Aとしてゲートウェイ装置11が配置され、該センタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)とゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)とが、光伝送路である光ファイバケーブル50を介して互いに対向する形で接続されている。つまり、センタ装置1およびゲートウェイ装置11は、いずれも、光回線終端装置としての機能を備え、光通信用のみならず光給電用の光信号も伝送する光ファイバケーブル50を接続した構成からなるネットワーク接続装置の一例として示している。
センタ装置1は、センタ局側の光通信機器(第1のネットワーク接続装置1A)であり、ゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)に対する光給電機能を有しており、通信事業者建物31内に設置されている。そして、センタ装置1は、センタ側ローカルインタフェース34を介してセンタ局ハブ33に接続され、さらに、センタ局ハブ33を経由してセンタ局データ集計装置32に接続されている。センタ局データ集計装置32は、複数のユーザ装置40から送信されてくるユーザデータを、ゲートウェイ装置11、センタ装置1、センタ局ハブ33を介して受け取って、適切に処理して集約して管理する機能を備えている。該ユーザデータとしては、例えば、各ユーザ装置40が設置されているユーザ建物39における電力消費量に関するデータ等が想定される。
一方、ゲートウェイ装置11は、無線ネットワーク36内に存在する複数のユーザ装置40と、通信事業者建物31内に設置したセンタ装置1と、の間の通信の中継点としての機能を有しており、複数のユーザ装置40それぞれとの間は無線信号により接続され、センタ装置1との間は光信号を伝送する光ファイバケーブル50を介して接続される。ここで、ゲートウェイ装置11は、第2のネットワーク接続装置11Aとして、光通信機能を有している他に、停電時等を含め電源電圧が低下した場合においては、センタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)からの光給電を受け取って動作する光受電機能を有している。なお、ゲートウェイ装置11は、ゲートウェイ収容箱35内に実装されている。
センタ装置1は、前述したように、第1のネットワーク接続装置1Aとして、光通信機能と光給電機能とを有しており、ユーザ装置40は、無線通信機能を有している。また、ゲートウェイ装置11と複数のユーザ装置40とは、それぞれに具備されているゲートウェイアンテナ37とユーザ装置アンテナ38とを介して無線接続される。
個々のユーザ装置40は、それぞれ、通信事業者建物31内にあるセンタ局データ集計装置32に送信することを必要とするデータを取得して、ゲートウェイ装置11、センタ装置1およびセンタ局ハブ33を介して、センタ局データ集計装置32に対してユーザデータとして送信する。個々のユーザ装置40がセンタ局データ集計装置32に対して送信するユーザデータとしては、前述したように、例えば、個々のユーザ装置40が設置されているユーザ建物39それぞれにおいて消費した消費電力量の計測結果等が想定される。
次に、センタ装置1とゲートウェイ装置11との間の光通信方法について説明する。センタ装置1とゲートウェイ装置11との間の光通信路として使用する光ファイバケーブル50は、本実施形態においては、一例として、1芯光ケーブルを使用する。光ファイバケーブル50として、2芯および複数の光ファイバケーブルを使用することも可能であるが、1芯光ケーブルよりもコストが高くなってしまう欠点がある。また、光ファイバケーブル50として用いる1芯光ケーブルにおいては、一例として、1,270nm帯と1,330nm帯との2種類の波長の光信号を、それぞれ、送信用の信号と受信用の信号として使用している。例えば、1,270nm帯の波長の光信号は、センタ装置1から送信する光通信用および光給電用の光信号として用い、1,330nm帯の波長の光信号は、ゲートウェイ装置11から送信されてくる光通信用の光信号として用いる。ここで、一般的に用いられる光ケーブルは、レイリー拡散損失と赤外吸収損失との影響により光損失が大きくなるため、使用される波長には制限があり、あらかじめ決められている波長を使用する。
また、センタ装置1とゲートウェイ装置11との間の光ファイバケーブル50の通信距離は、一例として、10ギガビット・イーサネット規格のうち10GBASE−ER(Extended−Reach)規格を用いる場合には、最大60kmまで可能であり、広域に亘って利用することができる。なお、光通信を含むイーサネット規格は、IEEE802.3規格およびその拡張版として仕様が公開されている。
図2は、イーサネット規格に規定されている送信フレームの構成を説明するための模式図である。イーサネット規格においては、図2に示すように、或るMACフレーム(Media Access Control Frame)60と次のMACフレーム60との間に介在するインタフレームギャップ61と呼ばれる期間は、送受信するデータが存在しない期間であり、インタフレームギャップ61の期間中は、アイドル信号62(イーサネットの光通信規格に規定されているアイドル信号パターンからなる光信号)を送信し続けて通信することが規定されている。
該アイドル信号62の信号パターンは、一例として、1ギガビット・イーサネット規格の1000BASE−SX規格および1000BASE−LX規格においては、KコードとDコードとのそれぞれが10ビットずつの合計20ビットで表現されており、ランニング・ディスパリティが+(RD+)の場合には“11000001011010010110”(/K28.5/D5.6/)であり、ランニング・ディスパリティが−(RD−)の場合には“00111110100110110101”(/K28.5/D16.2/)である。
ここで、“1”は光信号が点灯している状態であり、“0”は光信号が消灯している状態である。前述の2つの例を含めて、アイドル信号62の信号パターンは、“1”と“0”とのそれぞれの発生確率がほぼ2分の1ずつになっている。また、アイドル信号の他の例として10ギガビット・イーサネット規格の10GBASE規格の場合には、スクランブル符号という方式を用いて、64ビットのデータの中にアイドル信号を入れ込むことにより、“1”と“0”とのそれぞれの発生確率がほぼ2分の1になるような方式を使用している。
次に、対向装置に対する光給電側である第1のネットワーク接続装置1Aとして図1に例示したセンタ装置1の光給電送信部と、対向装置からの光受電側である第2のネットワーク接続装置11Aとして図1に例示したゲートウェイ装置11との内部構成の一例について、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。図3Aおよび図3Bは、本発明に係るネットワーク接続装置の内部構成の一例を示すブロック構成図であり、図3Aは、光給電側である第1のネットワーク接続装置1Aとして図1に例示したセンタ装置1の光給電送信部に関する主要部の内部構成例を示し、図3Bは、光受電側である第2のネットワーク接続装置11Aとして図1に例示したゲートウェイ装置11の光給電受信部に関する主要部の内部構成例を示している。
図1に示したセンタ装置1は、前述したように、光ファイバケーブル50を介した対向装置であるゲートウェイ装置11に対する光給電側となる第1のネットワーク接続装置1Aであり、図3Aに示すように、光給電送信部として、信号処理部2、光モジュール送信部3、光モジュール受信部4、WDM(Wave Division Multiplexing)カプラ5、電源部6を少なくとも備えて構成される。
信号処理部2は、センタ装置1に接続される外部装置(図1に示すゲートウェイ装置11、センタ局ハブ33、センタ局データ集計装置32)に対する通信機能と当該センタ装置1内部の各機能ブロックを制御する機能とを有する。光モジュール送信部3は、信号処理部2から受け取った電気信号を光信号に変換して、WDMカプラ5、光ファイバケーブル50を経由して、対向装置(図1に示すゲートウェイ装置11)に対して該光信号を送信する機能を有する。光モジュール受信部4は、光ファイバケーブル50、WDMカプラ5を経由して、対向装置(図1に示すゲートウェイ装置11)から受信した光信号を電気信号に変換して、信号処理部2に対して該電気信号を送信する機能を有する。
また、WDMカプラ5は、一方向から到来した光信号を二つの方向へ分波し、二つの方向から到来した光信号を一つの方向へ合波する機能を有する。電源部6は、外部から電力を入力して、センタ装置1内の各機能ブロックに対して必要な電力を分配する機能を有する。
次に、図1に示したゲートウェイ装置11は、前述したように、光ファイバケーブル50を介した対向装置であるセンタ装置1からの光給電を受電する光受電側となる第2のネットワーク接続装置11Aであり、図3Bに示すように、光給電受信部として、信号処理部12、光モジュール送信部13、光モジュール受信部14、WDMカプラ15、電源部16、電源監視部17、電源部二次電池18、リアルタイムクロック19、リアルタイムクロック二次電池20を少なくとも備えて構成される。
信号処理部12、光モジュール送信部13、光モジュール受信部14、WDMカプラ15、電源部16は、それぞれ、センタ装置1の信号処理部2、光モジュール送信部3、光モジュール受信部4、WDMカプラ5、電源部6と同様の機能を有している。すなわち、信号処理部12は、ゲートウェイ装置11に接続される外部装置(図1に示すセンタ装置1、ユーザ装置40)に対する通信機能と当該ゲートウェイ装置11内部の各機能ブロックを制御する機能とを有する。
光モジュール送信部13は、信号処理部12から受け取った電気信号を光信号に変換して、WDMカプラ15、光ファイバケーブル50を経由して、対向装置(図1に示すセンタ装置1)に対して該光信号を送信する機能を有する。光モジュール受信部14は、光ファイバケーブル50、WDMカプラ15を経由して、対向装置(図1に示すセンタ装置1)から受信した光通信用の光信号を電気信号に変換して、信号処理部12に対して該電気信号を送信する機能を有する。なお、光モジュール受信部14は、センタ装置1の光モジュール受信部4とは異なり、対向装置(図1に示すセンタ装置1)から受信した光給電用の光信号を起電力に変換して、電力としてリアルタイムクロック19に対して供給する機能も併せて有している。
また、WDMカプラ15は、一方向から到来した光信号を二つの方向へ分波し、二つの方向から到来した光信号を一つの方向へ合波する機能を有する。電源部16は、外部から電力を入力して、ゲートウェイ装置11内の各機能ブロックに対して必要な電力を分配する機能を有する。
さらに、電源監視部17は、電源部16からゲートウェイ装置11内の各機能ブロックへ供給する電源電圧があらかじめ定めた一定の閾値以上であるか否かを常時監視し、監視した結果を信号処理部12に対して通知する機能を有する。つまり、電源監視部17は、電源部16の電源電圧が前記閾値よりも低下した場合には、その旨を示す電源電圧低下情報を信号処理部12に対して送信し、前記閾値よりも低下していた電源部16の電源電圧が前記閾値以上の値に復帰した場合には、その旨を示す電源電圧復帰情報を信号処理部12に対して送信する。
電源部二次電池18は、電源部16の電源電圧があらかじめ定めた一定の前記閾値よりも低下した場合に、電源部16の電源電圧が低下した旨を示す電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信する動作が完了するまでに必要とする電力を充電しておくための二次電池である。そして、電源部二次電池18は、前記閾値よりも電源電圧が低下した電源部16に代わって、各機能ブロックに対して充電電力を供給する。また、リアルタイムクロック19は、ゲートウェイ装置11の現在の時刻情報を生成して、現在の時刻情報として信号処理部12に対して常に入力する機能を有する。
リアルタイムクロック二次電池20は、例えば、スーパキャパシタを備え、リアルタイムクロック19に対する電源部16からの供給電力が不足した場合においても、リアルタイムクロック19を動作させ続けるために必要とする電力を前記スーパキャパシタに充電しておくための二次電池である。なお、本実施形態においては、電源部16の電源電圧の値の如何によらず、常に動作し続ける必要がある機能ブロック(部品)として、リアルタイムクロック19を対象として示しているが、かかる場合のみに限るものではなく、他の機能についても、常に動作し続ける必要がある機能ブロックが存在している場合には、該機能ブロックについても、電源部16バックアップ用の二次電池を備える構成とすることができる。
ネットワーク接続装置として以上のような構成からなるセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)とゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)とを備えることにより、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、対向装置であるゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)から電源が落ちたことを示す情報(より正確には、電源部16の電源電圧があらかじめ定めた一定の閾値よりも低下したことを示す電源電圧低下情報)を受け取ったことを契機にして、次のように動作させることができる。すなわち、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、まず、ゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)に対する光ファイバケーブル50経由の通常の光通信用の光信号の送信動作を停止し、しかる後に、光給電用の光信号として、光を常時点灯した常時点灯パターンの光信号を生成して、通常時に光通信路として使用している該光ファイバケーブル50に光を常時送信し続ける動作に切り替えることができる。而して、センタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、対向装置であるゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)に対して効率的に光給電を行うことができる。
さらに、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、対向装置であるゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)から、電源電圧が正常な状態に復帰して通常の光通信を再開したことを示す情報(より正確には、電源部16の電源電圧があらかじめ定めた一定の閾値以上の値に復帰して通常の光通信を再開したことを示す情報)として、通常の光通信用に用いられるアイドル信号パターンの光信号を受け取ったことを契機にして、次のように動作させることができる。すなわち、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、光給電用の光信号として生成していた常時点灯パターンの光信号の生成動作を止めて、光ファイバケーブル50に通常の光通信用の光信号を送信する動作を再開させることができる。而して、センタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)は、対向装置であるゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)に対して効率的に光給電を行った以降において、装置構成を一切変更することなく、光通信を再開させることができる。
(実施形態の動作の説明)
次に、本発明に係るネットワーク接続装置の動作について、図1、図3A、図3Bに示したセンタ装置1(光給電側の第1のネットワーク接続装置1A)とゲートウェイ装置11(光受電側の第2のネットワーク接続装置11A)とを参照しながら、その一例を詳細に説明する。
まず、光給電側の第1のネットワーク接続装置1Aであるセンタ装置1内部の動作について図3Aを参照しながら説明する。センタ装置1の信号処理部2は、外部の装置との間で信号の送受信を行い、ゲートウェイ装置11に対する信号を送信する場合は、該信号を光モジュール送信部3に対して送出し、ゲートウェイ装置11から受信した信号は光モジュール受信部4から受け取る。
光モジュール送信部3は、信号処理部2から信号(電気信号)を受け取ると、該電気信号を光信号に変換した後、WDMカプラ5を介して、光ファイバケーブル50に送出することにより、対向装置であるゲートウェイ装置11に対して該光信号を送信する。一方、光モジュール受信部4は、ゲートウェイ装置11から送信されてきた光信号をWDMカプラ5から受信すると、受信した該光信号を電気信号に変換した後、該電気信号を信号処理部2に対して送出する。
WDMカプラ5は、異なる波長の光を合波、分波する動作を行う。例えば、WDMカプラ5において合波、分波する光信号の一例として、WDMカプラ5が光モジュール送信部3から受け取った光信号の波長が1,270nmであった場合には、当該光信号を、光モジュール受信部4に対しては出力することなく、センタ装置1の外部すなわち光ファイバケーブル50に対して送信する動作を行う。また、WDMカプラ5が、センタ装置1の外部すなわち光ファイバケーブル50から1,330nmの波長の光信号を受信した場合には、当該光信号を、光モジュール送信部3に対しては出力することなく、光モジュール受信部4に対して出力する動作を行う。なお、電源部6には、センタ装置1の外部から、当該センタ装置1の動作に必要な電力が入力され、当該センタ装置1内部の各部へ必要な電力が分配・供給される。
次に、光受電側の第2のネットワーク接続装置11Aであるゲートウェイ装置11内部の動作について図3Bを参照しながら説明する。ゲートウェイ装置11の信号処理部12は、外部の装置との間で信号の送受信を行い、センタ装置1に対する信号を送信する場合には、該信号を光モジュール送信部13に対して送出し、一方、センタ装置1からの信号は光モジュール受信部14から受け取る。
光モジュール送信部13は、信号処理部12から信号(電気信号)を受け取ると、該電気信号を光信号に変換した後、WDMカプラ15を介して、光ファイバケーブル50に送信することにより、対向装置であるセンタ装置1に対して該光信号を送信する。一方、光モジュール受信部14は、センタ装置1から送信されてきた光信号をWDMカプラ15から受信すると、受信した該光信号を電気信号に変換した後、該電気信号を信号処理部12に対して送出する。さらに、光モジュール受信部14は、WDMカプラ15から受信した光信号を起電力に変換して、リアルタイムクロック19動作用の電力として、リアルタイムクロック19に対して供給している。
WDMカプラ15は、異なる波長の光を合波、分波する動作を行う。また、電源部16には、ゲートウェイ装置11の外部から、当該ゲートウェイ装置11の動作に必要な電力が入力され、当該ゲートウェイ装置11内部の各部へ必要な電力が分配・供給される。電源監視部17は、電源部16がゲートウェイ装置11内の各機能ブロックに対して供給する電源電圧を常時監視し、該電源電圧があらかじめ定めた一定の閾値以上であるか否かを監視し続ける。そして、電源監視部17は、電源部16の電源電圧が該閾値よりも低下した値になったことを検出した場合には、その旨を示す電源電圧低下情報を信号処理部12に対して送出する。さらに、電源監視部17は、前記閾値よりも低下していた電源部16の電源電圧が前記閾値以上の値に復帰したことを検出した場合には、その旨を示す電源電圧復帰情報を信号処理部12に対して送出する。
電源部二次電池18は、信号処理部12が電源監視部17から受け取った前記電源電圧低下情報を、センタ装置1に対して送信する動作が完了するまでに必要とする電力を充電する。リアルタイムクロック19は、ゲートウェイ装置11の現在の時刻情報を生成して、生成した時刻情報を現在時刻情報として信号処理部12に対して常に入力する。リアルタイムクロック二次電池20は、ゲートウェイ装置11の電源部16からリアルタイムクロック19に対して供給する電源電圧が不足し、リアルタイムクロック19が継続して動作することが不可能になった場合に、リアルタイムクロック19を動作させ続けるために必要とする電力を供給するために、内部に備えている蓄電部例えばスーパキャパシタに充電電力を保持している。
次に、図1のネットワーク構成図を参照しながら、本発明に係るネットワーク接続装置を備えたネットワークにおける信号の流れについて、その一例を詳細に説明する。まず、図1のユーザ装置40が、ユーザ装置アンテナ38を介してユーザデータを送信すると、図1のゲートウェイ装置アンテナ37において、該ユーザデータを受信して、ゲートウェイ装置11に取り込む。ゲートウェイ装置11は、取り込んだ該ユーザデータを信号処理部12において信号処理を行い、センタ装置1に対して送信すべきデータであると認識した場合、光モジュール送信部13により、該ユーザデータを光信号に変換して、WDMカプラ15、光ファイバケーブル50を介して、センタ装置1に対して送信する。
ここで、1台のゲートウェイ装置11は、例えば、400台程度のユーザ装置40との間で無線通信を行い、ユーザ装置40それぞれから、400軒程度のユーザ建物39に関するユーザデータを取集して、収集したユーザデータをセンタ装置1に対して送信するものとする。ユーザ建物39に関するユーザデータとしては、例えば、ユーザ建物39において消費した消費電力量に関するデータ等が想定される。
ゲートウェイ装置11が収集したユーザデータをセンタ装置1に対して送信する動作を行っている際に、例えば、停電が発生して、電源部16の電源電圧があらかじめ定めた一定の閾値よりも低下したことを、電源監視部17において検出すると、その旨を示す電源電圧低下情報が信号処理部12に送られてくるので、信号処理部12は、センタ装置1に対して送信するために、該電源電圧低下情報を光モジュール送信部13に対して送出する。光モジュール送信部13は、受け取った該電源電圧低下情報を光信号に変換して、WDMカプラ15、光ファイバケーブル50を介して、センタ装置1に対して送信する。なお、ゲートウェイ装置11は、電源部16の電源電圧が低下した場合には、電源部二次電池18からの電力供給により、少なくとも、前記電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信完了するまでの間、動作を継続することができる。
また、ゲートウェイ装置11は、図3Bに示したように、常に動作し続ける必要がある機能ブロックとしてリアルタイムクロック19を具備しており、リアルタイムクロック19は一定精度で現在の時刻を示す時刻情報を常に保持している。したがって、ゲートウェイ装置11は、例えば、停電が発生して、図3Bに示す電源部16からの供給電力が無くなった場合であっても、あらかじめ定めた一定時間の間(すなわち、前記電源電圧低下情報を送信した相手側のセンタ装置1から光給電用の光信号を受信するまでの間)は、リアルタイムクロック19を動作させ続けて、時刻情報を保持していることが求められている。
このため、ゲートウェイ装置11は、図3Bに示したように、電源部16からの供給電力が無くなった場合においても、リアルタイムクロック19を動作させ続けるために必要とする電力を充電しているリアルタイムクロック二次電池20を具備している。ゲートウェイ装置11は、前記電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信した後、リアルタイムクロック二次電池20を駆動して、内部に有する蓄電部例えばスーパキャパシタに充電されていた充電電力を用いて、あらかじめ定めた一定時間の間、リアルタイムクロック19を動作させ続けることにより、現在の時刻を示す時刻情報を保持し続ける。
センタ装置1は、光ファイバケーブル50を介して対向しているゲートウェイ装置11から前記電源電圧低下情報を受信すると、ゲートウェイ装置11に対する通常の光信号による光通信を停止し、光給電を開始する動作に切り替える。その結果、光通信として通常使用していた光ファイバケーブル50を介して、センタ装置1からゲートウェイ装置11に対して光給電用の光信号を送信する。そして、該光給電用の光信号を受信したゲートウェイ装置11は、該光給電用の光信号の光パワーを起電力として光モジュール受信部14からリアルタイムクロック19に対して給電を行う。この結果、リアルタイムクロック19を動作させ続けることができ、現在の時刻を示す時刻情報を保持し続けることができる。なお、センタ装置1からの光給電は、例えば、ゲートウェイ装置11の停電が解除された結果、電源部16の電源電圧が前記閾値以上の値になって、ゲートウェイ装置11が、元の状態に復電するまでの間、継続して行われる。
ゲートウェイ装置11の電源部16の電源電圧が元の状態に復電すると、ゲートウェイ装置11は、光ファイバケーブル50を介した光通信用の光信号の送信動作を再開し、電源部16の電源電圧が復帰した旨を示す電源電圧復帰情報として、通常の光通信用のアイドル信号パターンの光信号をセンタ装置1に対して送信し続ける。センタ装置1は、ゲートウェイ装置11から電源部16の電源電圧の復帰を意味するアイドル信号パターンの光信号を受信すると、光ファイバケーブル50を介した光給電用の光信号の送信動作を止めて、通常の光通信用の光信号の送信動作を再開する。
そして、ゲートウェイ装置11は、センタ装置1からの光給電が停止したことを検知すると、ユーザ装置40から収集したユーザデータをセンタ装置1に対して送信する動作を再開する。センタ装置1は、ゲートウェイ装置11から光ファイバケーブル50を介して送信されてきた該ユーザデータを受信すると、該ユーザデータを、センタ側ローカルインタフェース34およびセンタ局ハブ33を介して、センタ局データ集計装置32に対して送信する。センタ局データ集計装置32は、センタ装置1から送信されてきた該ユーザデータを適切に処理して保管する。
以下に、本発明に係るネットワーク接続装置に関する動作の一例として、図1、図3A、図3Bに示すゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)が、複数のユーザ装置40それぞれから収集したユーザデータをセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)に対して送信している最中に、ゲートウェイ装置11の電源部16の電源電圧があらかじめ定めた閾値よりも低下し、しかる後、該電源電圧が、前記閾値以上の元の値に復電するまでの、ゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)およびセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)の動作について、図4Aおよび図4Bにそれぞれ示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。なお、図4Aの右側において○で囲んだ数字1〜4を付して示す破線の矢印線は、図4Bの左側において○で囲んだ数字1〜4を付して示す破線の矢印線に繋がっている。これら破線の矢印線は、信号の伝送を表している。
図4Aおよび図4Bは、本発明に係るネットワーク装置に関する動作の一例を説明するためのフローチャートであり、図4Aは、光受電側のゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)の動作例を示し、図4Bは、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)の動作例を示している。なお、図4Aおよび図4Bに示すフローチャートは、前述したように、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)と光ファイバケーブル50を介して対向して接続されている光受電側のゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)の電源電圧が前記閾値よりも低下し、しかる後、前記閾値以上の正常な値に復帰するまでの、ゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)、センタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)の動作例をそれぞれ示している。
図4Aのフローチャートに示すように、まず、光受電側の第2のネットワーク接続装置11Aであるゲートウェイ装置11は、通常状態においては、ユーザ装置40から収集したユーザデータをセンタ装置1に対して、光ファイバケーブル50を介して送信する動作を行っている(ステップS101)。光給電側の第1のネットワーク接続装置1Aであるセンタ装置1は、図4Bのフローチャートにおいて、ゲートウェイ装置11から送信されてくる前記ユーザデータを受信する(ステップS201)。センタ装置1は、受信したユーザデータを、センタ側ローカルインタフェース34、センタ局ハブ33を介して、センタ局データ集計装置32に対して送信する。センタ局データ集計装置32は受け取ったユーザデータを適切に処理して保管する。
ゲートウェイ装置11は、図4Aのフローチャートに示すように、電源監視部17が、電源部16の電源電圧を常時監視しており、該電源電圧があらかじめ定めた閾値よりも低下したことを検出するまで(ステップS102のNO)、ステップS101におけるユーザデータの送信動作を継続する。電源監視部17が、電源部16の電源電圧が前記閾値よりも低下したことを検出すると(ステップS102のYES)、ゲートウェイ装置11の各部に対する電力供給は、電源部16から電力を供給する動作から、電源部二次電池18に充電されている充電電力を供給する動作に切り替わる(ステップS103)。そして、該充電電力を受電して動作する信号処理部12は、電源監視部17から、電源部16の電源電圧が前記閾値よりも低下したことを示す電源電圧低下情報を受け取ると、該電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信する(ステップS104)
センタ装置1は、図4Bのフローチャートにおいて、ゲートウェイ装置11から送信されてくる前記電源電圧低下情報を受信すると(ステップS202)、信号処理部2において、対向装置であるゲートウェイ装置11が、電源電圧が低下して、当該センタ装置1からの光給電が必要な状態が発生していることを認識する。そこで、センタ装置1の信号処理部2は、まず、光モジュール送信部3に対して命令を出力して、通常の光通信に用いる光信号の送信動作を停止させる(ステップS203)。
一方、ゲートウェイ装置11内においては、前記電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信した後、信号処理部12は、センタ装置1からの光給電用の光信号を受信する準備として、光モジュール受信部14の出力先を信号処理部12からリアルタイムクロック19に切り替えさせるための命令を、光モジュール受信部14に対して出力する。その結果、光モジュール受信部14は、図4Aのフローチャートに示すように、光ファイバケーブル50を介してセンタ装置1から受信した光信号を電気信号に変換して信号処理部12に対して送信する動作を停止し、受信した該光信号の光パワーを起電力に変換して、リアルタイムクロック19に対して供給する動作を行う状態に切り替わる(ステップS105)。
さらに、ゲートウェイ装置11内においては、信号処理部12は、電源電圧が低下した電源部16からの供給電力に代わって、リアルタイムクロック二次電池20に充電していた充電電力をリアルタイムクロック19に供給する命令を出力して、リアルタイムクロック二次電池20の充電電力によって、リアルタイムクロック19を動作させ続ける(ステップS106)。なお、電源部二次電池18には、前記電源電圧低下情報をセンタ装置1に対して送信する動作が完全に完了するまでに必要とする電力を供給することが可能な程度の充電電力量が蓄積されている。したがって、前記電源電圧低下情報の送信動作が完了した時点では、該充電電力がほぼ消費されてしまい、ゲートウェイ装置11の各機能ブロックを動作させるために要する電力が不足することになる。
つまり、前記電源電圧低下情報の送信動作が完了した時点では、図4Aのフローチャートに示すように、リアルタイムクロック二次電池20の充電電力によって動作し続けるリアルタイムクロック19以外の各機能ブロックへの電力供給は遮断されることになる(ステップS107)。その結果、ゲートウェイ装置11は、図4Aのフローチャートに示すように、光ファイバケーブル50を介して光信号をセンタ装置1に対して送信する動作を停止することになる(ステップS108)。
なお、ゲートウェイ装置11の対向装置であるセンタ装置1においては、ステップS203においてゲートウェイ装置11に対する通常の光通信用の光信号の送信動作を停止した後、信号処理部2は、ゲートウェイ装置11に対する光給電を行うための命令を光モジュール送信部3に対して出力する。したがって、図4Bのフローチャートに示すように、光モジュール送信部3は、光給電用の光信号として、光ファイバケーブル50の光を常時点灯し続ける動作を開始し、ゲートウェイ装置11に対して光給電を開始する(ステップS204)。
つまり、光給電側のセンタ装置1は、光受電側のゲートウェイ装置11に対する光給電用の光信号として、光を常時点灯し続ける常時点灯パターンの光信号を、光ファイバケーブル50を介して、ゲートウェイ装置11に対して出力し続けることになる。而して、通常の光通信用の光信号やアイドル信号パターンの光信号を用いて光給電を行う場合よりも、ゲートウェイ装置11に対して、効率的に、光給電を行うことができる。なぜなら、光給電用の光信号として、光を常時点灯し続ける場合は、点灯と消灯とを光通信規格に従った割合で切り替えることが必要な通常の光通信用の光信号やアイドル信号パターンの光信号の場合よりも、単位時間当たりの光給電量を多くすることができるからである。
図5は、光給電側の第1のネットワーク接続装置1A(センタ装置1)が第2のネットワーク接続装置11A(ゲートウェイ装置11)に対して送信する光給電用の信号パターンの一例を示す模式図であり、図5(A)は、本実施形態における光給電用の信号パターンの一例を示し、図5(B)は、現状の技術において光給電用として用いているアイドル信号パターンの一例を示している。なお、図5の横軸は、時間経過を示し、縦軸は、光パワーを示していて、光点灯時が“1”、消灯時が“0”のレベルにある。
図2において説明したように、1000BASE−SX規格および1000BASE−LX規格においてランニング・ディスパリティが+(RD+)の場合は、アイドル信号62の信号パターンは、単位時間当たり、“11000001011010010110”(/K28.5/D5.6/)の20ビットで表現されるので、アイドル信号パターンを光給電用として用いる場合、図5(B)に示すように、光点灯時の光パワーを示す“1”の個数の割合は、(9/20)である。つまり、前記特許文献2に記載のような現状の技術において、光給電用の信号パターンとして用いているアイドル信号パターンの場合には、光信号として(9/20)の割合でしか、光給電用に利用することができない。
これに対して、本実施形態における光給電用の信号パターンは、図5(A)に示すように、常時点灯パターンであり、光点灯時の光パワーを示す“1”の個数の割合は、単位時間当たり(20/20)と最大の割合になる。したがって、本実施形態においては、前記特許文献2等の現状の技術に比して、2倍以上の効率で、効果的に光給電を行うことが可能になっている。
図4A、図4Bのフローチャートの説明に戻って、リアルタイムクロック19以外の各機能ブロックへの電力供給が停止し、センタ装置1に対する光信号の送信動作も停止した状態にあるゲートウェイ装置11において、センタ装置1から常時点灯パターンの光給電用の光信号を受信すると、図4Aのフローチャートに示すように、光モジュール受信部14は、受信した該光給電用の光信号を電力に変換して、変換した電力をリアルタイムクロック19に対して給電する(ステップS109)。その結果、リアルタイムクロック二次電池20の電力消費量を低減することができ、また、たとえ、リアルタイムクロック二次電池20が蓄えていた電力が低下してきて、リアルタイムクロック19を動作させるために必要とする電力が不足しそうな状態になったとしても、代わりに、センタ装置1からの光給電によって、継続的に、リアルタイムクロック19を動作させ続けることが可能である。なお、光モジュール受信部14が光給電用の光信号の光パワーを電力に変換した結果として得られる電力量が、リアルタイムクロック19の駆動に必要な電力量よりも大きい場合には、他の機能ブロックに対してさらに給電するようにしても良い。
センタ装置1からの光給電により、リアルタイムクロック19を動作させ続ける状態は、電源部16の電源電圧があらかじめ定めた閾値以上の値にまで回復して、ゲートウェイ装置11が復電するまでの間(ステップS110のNO)、継続する。電源部16の電源電圧が前記閾値以上の値にまで回復して、ゲートウェイ装置11が復電すると(ステップS110のYES)、ゲートウェイ装置11は、電源部16からの各機能ブロックに対する給電が開始されて、起動するとともに(ステップS111)、電源部二次電池18とリアルタイムクロック二次電池20とに対する充電を開始する(ステップS112)。
ゲートウェイ装置11が起動すると、信号処理部12は、光モジュール受信部14に対して、センタ装置1からの光給電用の光信号によるリアルタイムクロック19への電力供給を停止させる命令を送出する。該命令を受け取った光モジュール受信部14は、リアルタイムクロック19への電力供給を止め、センタ装置1から受信した光信号を電気信号に変換して、信号処理部12へ送信する動作に復帰する(ステップS113)。
しかる後、ゲートウェイ装置11は、センタ装置1に対する光信号の送信動作を再開するために、信号処理部12は、電源部16の電源電圧が復帰して復電した状態になったことを示す情報として、通常の光通信用に用いられるアイドル信号パターンの光信号をセンタ装置1に送信する命令を光モジュール送信部13に対して送出する。該命令を受け取った光モジュール送信部13は、光信号送信動作を再開し、アイドル信号パターンの光信号をセンタ装置1に対して送信する(ステップS114)。
センタ装置1は、ゲートウェイ装置11からアイドル信号パターンの光信号を受信すると、図4Bのフローチャートに示すように、光給電を行っていた相手側のゲートウェイ装置11の電源部16の電源電圧が正常な状態に復帰したことを示す情報を受け取ったものと判断し、ゲートウェイ装置11が、復電して、光通信用の光信号の送信動作を再開した状態に移行している状況にあると認識する(ステップS205)。したがって、ゲートウェイ装置11に対する光給電の必要がなくなり、センタ装置1からも、光通信用の光信号の送信動作を再開させることが可能になっている。そこで、センタ装置1は、信号処理部2から、その旨を指示する命令を光モジュール送信部3に対して送出する。該命令を受け取った光モジュール送信部3は、ゲートウェイ装置11に対する光給電用の常時点灯パターンの光信号の送信動作を停止し、通常の光通信用の光信号の送信動作を再開する(ステップS206)。
(本実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下に記載するような効果が得られる。
第1に、光回線終端装置としての機能を備え、光信号を伝送する光ファイバケーブルを接続した構成からなるネットワーク接続装置(第1のネットワーク接続装置1A(センタ装置1))が、通常時において光通信用の光信号を伝送するために使用している光ファイバケーブル50を、そのままの状態で、対向する対向ネットワーク接続装置(第2のネットワーク接続装置11A(ゲートウェイ装置11))に対する光給電用の光信号を伝送するために使用して、該対向ネットワーク接続装置に対して給電を行うという仕組みを備えている。さらに、しかる後、該対向ネットワーク接続装置が復電した際には、そのままの状態で、光通信用の光信号を伝送する状態に戻すという仕組みを備えている。而して、光給電用のために光ファイバケーブルを新たに追加する必要がなく、低コスト化、設置スペースの削減、小型化を可能とするという効果を奏することができる。
第2に、光給電用として、前記特許文献1や前記特許文献2の場合とは異なり、直流分を重畳させた光通信用の光信号や光通信の規格に準拠した特定の信号パターンからなるアイドル信号パターンの光信号ではなく、光を常時点灯し続ける常時点灯パターンの光信号を用いることにより、給電を行うという仕組みを備えている。而して、直流分を重畳させた光通信用の光信号やアイドル信号パターンの光信号を用いる場合の光給電に比して、より効率的に、光給電を行うことが可能であり、かつ、より簡潔に、光給電を止めて光通信を行う状態に復帰させることが可能であるので、例えば、より大きな消費電力を必要とする部品に対しても光給電を効果的に行うことができるという効果を奏することができる。
(本発明に係る他の実施形態)
次に、前述した実施形態とは異なる他の実施形態について説明する。
前述した実施形態においては、図1に示したように、光通信用の光信号を伝送するための光ファイバケーブル50に接続されて光回線終端装置として機能するネットワーク接続装置の一例として、センタ装置1とゲートウェイ装置11とを用いて説明したが、本発明は、かかるセンタ装置1とゲートウェイ装置11とに限るものではなく、例えば、ルータ装置等、光ファイバケーブル50に接続されている如何なる種類のネットワーク接続装置であっても構わない。
また、前述した実施形態においては、ゲートウェイ装置11において停電等が発生した場合であっても常時動作し続ける必要がある機能ブロックとしてリアルタイムクロック19を例示したが、本発明は、かかる場合に限るものではなく、例えば、遠隔制御を可能にするネットワーク接続装置におけるアンテナ回路部等、メイン電源となる電源部からの電力供給が無い状態であっても一定の機能を動作し続けることが必要な特定機能ブロックであれば、如何なる機能ブロックを対象としても構わない。つまり、前述した実施形態におけるリアルタイムクロック二次電池のように、メイン電源からの電力供給が途絶した場合に備えて、かかる特定機能ブロックに対して電力を供給するための予備電源として、該特定機能ブロック専用の特定機能ブロック二次電池を備えて構成すれば良い。
また、前述した実施形態においては、光給電の観点から見ると、図1に示したように、センタ装置1が、対向装置のゲートウェイ装置11に対して光給電を行う光給電側専用の第1のネットワーク接続装置1Aであり、ゲートウェイ装置11が、対向装置のセンタ装置1からの光給電を受電する光受電側専用の第2のネットワーク接続装置11Aである場合について説明したが、本発明は、かかる場合に限るものではない。例えば、光ファイバケーブル50に接続されている双方のネットワーク接続装置のいずれも、対向装置側に対する光給電用の機能と対向装置側からの光給電を受電する機能との双方を備えて構成するようにしても構わない。
また、前述した実施形態においては、図5(A)に示したように、光給電用の常時点灯パターンとして、通常時の光通信用の“1”(点灯時)における光信号と同じ出力レベルの光パワーを用いて、光給電側のセンタ装置1(第1のネットワーク接続装置1A)から、光受電側のゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)に対して、光給電を行う場合について説明した。しかし、本発明は、かかる場合に限るものではない。例えば、光給電用の常時点灯パターンとして、通常時の光通信用の“1”(点灯時)における光信号の光パワーの出力レベルよりも大きい光パワーの出力レベルに設定した高光パワー常時点灯パターンを、光給電用として用いるようにしても良い。
図6は、光給電側の第1のネットワーク接続装置1A(センタ装置1)が第2のネットワーク接続装置11A(ゲートウェイ装置11)に対して送信する光給電用の信号パターンの図5とは異なる例を示す模式図である。図6においては、光給電用の光信号として、通常時の光通信用の“1”(点灯時)における光信号よりも大きい光パワーの出力レベルの一例として、通常時の光通信用の“1”(点灯時)における光信号の2倍の光パワーの出力レベルに設定した高光パワー常時点灯パターンの光信号を用いる場合を示している。かくのごとく、光給電用の常時点灯パターンとして、通常時の光通信用の光信号の光パワーよりも大きな出力レベルの高光パワー常時点灯パターンを用いることにより、該光給電用の高光パワー常時点灯パターンの光信号を受電する光受電側のゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)においては、単位時間当たりの光給電効率を、前述の実施形態の場合よりもさらに向上させることができる。
なお、光受電側のゲートウェイ装置11(第2のネットワーク接続装置11A)における単位時間当たりの光給電効率を改善するために、光給電用として、図5の常時点灯パターンの代わりに、図6に例示するような高光パワー常時点灯パターンを用いる場合、図4A、図4Bのフローチャートにおける処理順序については、前述の実施形態と同様で差し支えないが、センタ装置1側のステップS204とステップS206との2つの処理ステップにおける処理内容を次の通り変更すれば良い。
すなわち、図4BのフローチャートのステップS204において、センタ装置1の光モジュール送信部3は、光給電用として、光ファイバケーブル50の光を常時点灯し続ける動作を開始する際に、高光パワー常時点灯パターンの光信号を出力するために、通常時の光通信用の“1”(点灯時)における光信号よりも大きい出力レベルの光パワーの光を常時点灯させるように変更して、ゲートウェイ装置11に対して光給電を開始するようにする。以降、図4Aのフローチャートと同じ手順、同じ処理内容で、光給電を行い、しかる後、ゲートウェイ装置11が復電して、ステップS114において、通常の光通信用の光信号の送信動作を再開して、通常の光通信用のアイドル信号パターンをセンタ装置1に対して送信するようになる。
そして、センタ装置1は、ゲートウェイ装置11からの通常の光通信用のアイドル信号パターンを受信すると、図4BのステップS206において、センタ装置1の光モジュール送信部3は、前述の実施形態の処理内容を変更して、ゲートウェイ装置11に対する光給電用の高光パワー常時点灯パターンの光信号の送信動作を停止し、通常の出力レベルの光パワーに戻して、光通信用の光信号の送信動作を再開するようにすれば良い。
また、前述した実施形態においては、センタ装置1からゲートウェイ装置11に送信する光信号として、光通信用と光給電用とに関して、同じ波長の光信号を用いている場合を示しているが、本発明は、かかる場合に限るものではない。例えば、図4BのフローチャートのステップS204において、センタ装置1の光モジュール送信部3が、光給電用として、光ファイバケーブル50の光を常時点灯し続ける動作を開始する際に、センタ装置1からゲートウェイ装置11に送信する光給電用の光信号を、光通信用の光信号とは異なる波長の光信号に変更するようにしても良い。
一般的に、光通信用の光ファイバケーブル50として1芯光ケーブルを用いる場合、送信用の光信号の波長と受信用の光信号の波長とは異なっていて、光ファイバケーブル50には2種類の波長の光信号が伝送される。一例として、例えば、センタ装置1からの送信用の光信号の波長は1,270nmであり、センタ装置1への受信用の光信号の波長は1,330nmである。したがって、一例として示した波長を用いる場合には、センタ装置1からゲートウェイ装置11に対して送信する光通信用の光信号と光給電用の光信号とは、前述した実施形態においては、いずれも、1,270nmの波長である。
図7は、一般的な光ファイバケーブルにおける光波長の損失特性の一例を示す特性図であり、横軸が光の波長を示し、縦軸が光損失の大きさを示している。図7に示すように、光信号の波長が短いほど、レイリー散乱損失の影響により光損失が大きくなり、逆に、光信号の波長が長いほど、赤外吸収損失の影響により光損失が大きくなっている。したがって、図7に示すような損失特性の光ファイバケーブルを用いている場合には、1,550nm程度の波長が最も損失が少ない波長の光信号であることが分かる。したがって、図7に示すような損失特性の光ファイバケーブルを用いている場合には、センタ装置1からゲートウェイ装置11に対して送信する光給電用の光信号の波長として、光通信用の光信号の波長1,270nmとは異なる1,550nmを用いるようにすれば、伝送路である光ファイバケーブル50における光損失を小さくし、結果的に、ゲートウェイ装置11においてより効率的に光給電を行うことができる。
かくのごとく、光給電用と光通信用との2つの光信号それぞれの波長を異なる波長とする場合には、図4BのフローチャートのステップS204において、センタ装置1の光モジュール送信部3が、光給電用の光信号を送信しようとする際、センタ装置1からゲートウェイ装置11に送信する光給電用の光信号としては、光通信用の光信号とは異なる波長の光信号を送信するように変更する。そして、センタ装置1がゲートウェイ装置11からの通常の光通信用のアイドル信号パターンを受信して、光給電状態から光通信状態に復帰しようとする際には、図4BのステップS206において、センタ装置1の光モジュール送信部3は、ゲートウェイ装置11に対する光給電用の常時点灯パターンの光信号の送信動作を停止し、通常の光通信用の波長の光信号に戻して、光通信用の光信号の送信動作を再開するように変更すれば良い。