JP6583328B2 - 鋼管の焼入れ装置および焼入れ方法、ならびに、鋼管の製造装置および製造方法 - Google Patents

鋼管の焼入れ装置および焼入れ方法、ならびに、鋼管の製造装置および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼管の焼入れを行なうための焼入れ装置および焼入れ方法、ならびに、鋼管の製造装置および製造方法に関するものである。
従来から、鋼管の高張力化、高靭性化を図るために、鋼管を製造する工程で焼入れ、焼戻しを行なう技術が開発されている。その焼入れ技術は、高温の鋼管に冷却媒体(たとえば水、油等)を噴射して冷却する焼入れ技術(いわゆるスプレー法)と、高温の鋼管を所定の容器に収容された冷却媒体に投入して冷却する焼入れ技術(いわゆる浸漬法)に大別される。
とくに浸漬法は、簡便な装置で焼入れを行なうことが可能であり、しかも冷却能が大きいという利点を持つ。また浸漬法は、室温の鋼管を高温に加熱して焼入れを行なう場合のみならず、熱間で圧延した直後の鋼管に焼入れ(いわゆる直接焼入れ)を行なう場合にも適用できる。そのため、浸漬法の様々な技術が開発されている。
たとえば特許文献1には、浸漬法の一つとして、内外面浸漬軸流焼入方式が開示されている。この技術は、鋼管を冷却媒体が満たされた浸漬槽に投入し、さらに浸漬槽内の所定の位置で鋼管を支持してカバーで覆った後に、鋼管の内外面にその軸方向に沿う冷却媒体の流れ(以下、軸流という)を直線状に与えて焼入れを行なう技術である。しかし、その内外面浸漬軸流焼入方式は、均一な焼入れを行なうのが難しいという問題がある。
つまり特許文献1に開示された内外面浸漬軸流焼入方式の焼入れ技術は、浸漬槽に鋼管を投入した時に作用する浮力の影響によって、浸漬槽内の所定の位置で支持されるまでの間に、鋼管の一端が冷却媒体の浴面上に露出し、その部分の冷却速度が著しく低下する。この現象は、鋼管の軸方向の温度変動を引き起こす。その後、鋼管は浸漬槽内の所定の位置で支持され、さらにカバーで覆われる。しかし、鋼管を所定の位置で支持する部材(以下、鋼管支持板という)がカバーの内部に配設されるので、鋼管支持板が軸流の障害になり、冷却媒体の淀みが生じる。この現象は、鋼管の周方向の温度変動を引き起こす。このような軸方向および周方向の温度変動によって、不均一な焼入れが生じる。
特許文献2には、カバーの内部に配設される鋼管支持板の役割として、鋼管を所定の位置で支持する機能に加えて、鋼管の外面における冷却媒体の流れを旋回しつつ前進する螺旋状の流れとする部材(以下、整流板という)としての機能を付与することによって、冷却媒体の淀みを防止しながら焼入れを行なう技術が開示されている。この技術では、カバーの内部に残留する空気が冷却媒体の螺旋状の流れ(以下、螺旋流という)によって攪拌されて気泡となり、鋼管の外面に付着するという問題が生じる。鋼管の外面に気泡が付着すると、その部位の冷却速度が低下するので、不均一な焼入れが生じる原因となる。
また、特許文献1、2に開示された技術に共通する問題点として、カバーの内部の軸流や螺旋流によって鋼管が押し流されるという問題がある。そして、鋼管を投入する位置によっては、鋼管支持板ならびに整流板で鋼管の移動が阻害され、その結果、鋼管が傾斜して停止する(図4参照)。このようなカバーの内部における鋼管の傾斜は、軸流および螺旋流の障害となるので、不均一な焼入れが生じる原因となる。なお図4では、カバーの内部を透視図として示す。
特許文献3には、鋼管を回転させながら冷却媒体に浸漬する技術が開示されている。この技術は、鋼管を回転させ、かつ昇降するための複雑な機器を設計、製作するのに多大な初期費用が必要となり、さらに機器の操業やメンテナンスにも多大な維持費用が必要である。
特開平8-41544号公報 特開2010-84172号公報 特許第5896036号公報
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、鋼管を焼入れするにあたって、鋼管全体(すなわち軸方向および周方向)に均一な焼入れを行なうことが可能で、しかも簡便な手段を用いて安価に焼入れを行なうことができる焼入れ装置および焼入れ方法を提供することを目的とし、さらに、その焼入れ装置を備えた鋼管の製造装置、および、その焼入れ方法により鋼管の焼入れを行なう工程を含む鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
なお本発明は、冷間で成形した鋼管(たとえば電縫鋼管、スパイラル鋼管等)および熱間で圧延した鋼管(たとえば継目無鋼管等)いずれにも適用する。
本発明者は、上記の課題を解決するために、浸漬槽内で鋼管を覆うカバーの構成を様々に工夫して実験を行なった。その結果、
(a)冷却媒体を収容した浸漬槽内で、鋼管を覆う円筒状のカバーを開閉式の2分割(すなわち上部カバー、下部カバー)とする、
(b)下部カバーの内側に半螺旋状の板材である下部整流板を複数配設し、これらの下部整流板に鋼管支持板の機能を付与する、
(c)上部カバーの内側に半螺旋状の板材である上部整流板を複数配設する、
(d)浸漬槽内で鋼管を覆うために上部カバーと下部カバーを閉じた時の鋼管の位置を調整して、焼入れ時の鋼管の移動を制御する
ことによって、鋼管全体に均一な焼入れを行なうことが可能であることを見出した。しかも、複雑な構成の機器を使用する必要はなく、簡便な手段を用いて安価に焼入れを行なうことができるという効果が得られることが分かった。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、冷却媒体を収容した浸漬槽に高温の鋼管を浸漬して冷却する焼入れ装置であって、浸漬槽内に投入された鋼管の下部を覆うために浸漬槽の内部に固定される半円筒形状の下部カバーと、鋼管が投入された後に鋼管の上部を覆うために開閉する半円筒形状の上部カバーと、上部カバーが閉じて下部カバーと当接することによって形成される円筒形カバーの一端に配設されて円筒形カバーの内部へ冷却媒体を流入させるノズルと、下部カバーに半螺旋状に配設されて円筒形カバーの内部へ流入した冷却媒体を鋼管の外面で螺旋状に流通させるとともに鋼管を載置して支持する下部整流板と、上部カバーに半螺旋状に配設されて円筒形カバーの内部へ流入した冷却媒体を鋼管の外面で螺旋状に流通させる上部整流板と、ノズルから鋼管の一端までの間隔を600mm以内として鋼管を投入する投入機と、鋼管の他端からの間隔が下部整流板のピッチ以内の範囲に配設されて鋼管の流出を防止し且つ冷却媒体を通過させる鋼管ストッパーと、を有する鋼管の焼入れ装置である。
本発明の焼入れ装置においては、円筒形カバーの内部へ冷却媒体を流入させるノズルが、鋼管の内部に冷却媒体を流入させる内面ノズルと、鋼管の外部に冷却媒体を流入させる外面ノズルと、を有することが好ましい。さらに、鋼管ストッパーを鋼管軸方向に移動させる移動操作機を有することが好ましい。
また本発明は、冷却媒体を収容した浸漬槽に高温の鋼管を浸漬して冷却する焼入れ方法において、浸漬槽の内部に固定された半円筒形状の下部カバーに鋼管を投入して鋼管の下部を覆うとともに、下部カバーに半螺旋状に配設された下部整流板に鋼管を載置して支持し、次いで、半円筒形状の上部カバーを閉じて鋼管の上部を覆うとともに、上部カバーを下部カバーに当接させて円筒形カバーを形成し、円筒形カバーの一端に配設されたノズルから円筒形カバーの内部へ冷却媒体を流入させ、上部カバーに半螺旋状に配設された上部整流板および下部整流板を用いて冷却媒体を鋼管の外面で螺旋状に流通させながら、ノズルから鋼管の一端までの間隔を600mm以内として投入された鋼管の流出を鋼管の他端からの間隔が下部整流板のピッチ以内の範囲に配設された鋼管ストッパーで防止し且つ冷却媒体を通過させる鋼管の焼入れ方法である。
本発明の焼入れ方法においては、円筒形カバーの内部へ冷却媒体を流入させるノズルとして、鋼管の内部に冷却媒体を流入させる内面ノズルと、鋼管の外部に冷却媒体を流入させる外面ノズルと、を使用することが好ましい。さらに、鋼管ストッパーを鋼管軸方向に移動させて、ノズルと鋼管ストッパーとで鋼管を挟持することが好ましい。
また本発明は、前記の鋼管の焼入れ装置を備えた鋼管の製造装置である。
また本発明は、前記の鋼管の焼入れ方法により鋼管の焼入れを行なう工程を含む鋼管の製造方法である。
本発明によれば、均一に焼入れされた鋼管を、安価に得ることができ、しかも簡便な手段を用いて安価に焼入れを行なうことが可能となり、産業上格段の効果を奏する。
本発明に係る焼入れ装置の浸漬槽内部の例を模式的に示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。 図1に示す焼入れ装置で用いる鋼管ストッパーの他の例を模式的に示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。 ノズルと鋼管ストッパーで鋼管を挟持した例を模式的に示す斜視図である。 従来の焼入れ装置のカバー内で鋼管が傾斜した例を模式的に示す斜視図である。
図1は、本発明に係る焼入れ装置の浸漬槽内部の例を模式的に示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。なお図1(a)(b)では、浸漬槽は図示を省略する。また図1(b)では、上部カバー2および下部カバー3の内部を透視図として示す。
ここで図1を参照して、本発明に係る焼入れ装置について説明する。
半円筒形状を呈する下部カバー3は、浸漬槽(図示せず)内にて、その半円筒形の中心軸(以下、カバー軸という)がノズル7の中心軸(以下、ノズル軸という)に一致する位置に固定される。下部カバー3の内部には、螺旋形を2分割した形状(以下、半螺旋状という)の板材である下部整流板5が複数配設され、その下部整流板5の中心部に半円形の空間が設けられる。
ノズル7は、図4に示すような単一の噴射口を有するノズルを使用できるが、図1(b)に示すような同心円状の2層構造のノズルを使用するのが好ましい。つまり、外面ノズル7aと内面ノズル7bとを備えたノズルを使用することによって、後述する円筒形カバー内の鋼管1の外面と内面を冷却するのに十分な流量の冷却媒体8を安定して供給することが可能となる。
一方、半円筒形状を呈する上部カバー2は、駆動用機器(図示せず)を用いて開閉できるように配設される。上部カバー2の内部には、半螺旋状の板材である上部整流板4が複数配設され、その上部整流板4の中心部に半円形の空間が設けられる。
そして、上部カバー2を下部カバー3に被せた状態(以下、閉姿勢という)で上部カバー2と下部カバー3とが当接して円筒形を呈するカバーを形成する(図1(a)参照)。閉姿勢にて、上部整流板4と下部整流板5は、それぞれ当接する部位が円滑な螺旋形を形成するように配列しておくことが好ましい。ただし、上部整流板4と下部整流板5の配列がカバー軸方向にずれても、支障なく焼入れを行なうことができる。
また閉姿勢で、上部カバー2と下部カバー3とが形成する円筒形のカバー(以下、円筒形カバーという)の中心部に円形の空間が形成される(図1(a)参照)。焼入れを行なう際には、その空間で鋼管1を支持して、円筒形カバーの一端に配設される外面ノズル7a、内面ノズル7bから冷却媒体8(たとえば水、油等)を噴射して円筒形カバーの内部に流入させることによって、鋼管1の外面および内面から冷却する。
ノズル7a、7bから冷却媒体8の噴射を開始する時の鋼管1の一端からノズル7a、7bまでの間隔N(mm)が大き過ぎると、外面ノズル7aから噴射した冷却媒体8が鋼管1の内面へ流れ込むので、鋼管1の外面の冷却速度が低下する。したがって、間隔Nは600mm以内とする。間隔Nは200mm以内とすることがより好ましい。なお、外面ノズル7aから鋼管1の一端までの間隔NOUTと、内面ノズル7bから鋼管1の一端までの間隔NINが異なる場合は、NOUTあるいはNINのいずれか短い方を上記の間隔Nとする。
そして、冷却媒体8の噴射によって鋼管1が押し流され、下部整流板5や上部整流板4に接触して傾斜するのを防止するために、鋼管ストッパー6を配設する。鋼管1の他端から鋼管ストッパー6までの間隔M(mm)が大き過ぎると、鋼管1が押し流されて鋼管ストッパー6に当接して停止するまでの移動距離が増加するので、図4に示すような鋼管1の傾斜が発生する惧れがある。したがって、間隔Mは下部整流板5のピッチ以内とする。間隔Mは、具体的には、600mm以内とすることが好ましく、鋼管1が傾く可能性をさらに小さくするために、間隔Mは300mm以内とすることがより好ましく、100mm以内とすることが一層好ましい。
図1には、上部カバー2に設けた貫通孔から棒状の鋼管ストッパー6を挿入する例を示す。この例では、上部カバー2にはカバー軸方向に複数の貫通孔が設けられ、これらの貫通孔から棒状の鋼管ストッパー6が挿入可能な構造になっている。このような構造とすることによって、鋼管1の長さに応じて適切な位置において鋼管ストッパー6を挿入し、ストッパーとして機能させることができる。さらに、棒状の鋼管ストッパー6を使用することによって、鋼管1が押し流されるのを防止するとともに、冷却媒体8を円滑に流通させることができる。
また、図2には鋼管ストッパー6の他の例を示す。図2では、上部カバー2に貫通孔を設けず、移動操作機9によって鋼管ストッパー6を鋼管軸方向に移動可能とすることによって、鋼管1の長さに応じて鋼管ストッパー6の位置を調整する。
図2に示す鋼管ストッパー6を用いる場合は、上記した間隔Nの範囲に鋼管1を投入した後、移動操作機9を操作して鋼管1をノズル7a、7bの方向へ移動させ、さらにノズル7a、7bに鋼管1を当接させることが好ましい。このようにしてノズル7a、7bと鋼管ストッパー6で鋼管1を挟持することによって、鋼管1が押し流されるのを防止する効果が大幅に向上する。
冷却媒体8の噴射を開始する前に鋼管1を投入して間隔Nが600mm以内となるように鋼管1の位置を調整する機器(以下、投入機という)は特に限定しない。カバー軸に平行な方向に鋼管1の位置を調整するプッシャー、カバー軸に垂直な方向に鋼管1を搬送するコンベアやスキッド等は、従来から知られている手段を使用することができる。
次に、鋼管1を投入して焼入れを行なう手順について説明する。
まず、鋼管1を投入するに先立って、駆動用機器を操作して、上部カバー2を下部カバー3から退避させた状態(以下、開姿勢という)にする。上部カバー2を開姿勢に退避させる手段は特に限定しない。たとえば、上部カバー2を回動させて下部カバー3から退避させる、あるいは、上部カバー2を摺動させて下部カバー3から退避させる等の手段を用いることができる。
次いで、浸漬槽内に収容した冷却媒体8の浴面の上方から鋼管1を下部カバー3内の下部整流板5の中心部の半円形の空間に投入する。その鋼管1の種類は特に限定せず、継目無鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管等の様々な種類の鋼管の焼入れを行なうことができる。また、室温の鋼管1を焼入れ可能な高温に加熱する手段も限定しない。とりわけ、熱間で圧延して製造する継目無鋼管については、圧延した直後に冷却媒体へ投入して焼入れ(いわゆる直接焼入れ)を行なう場合にも、本発明を適用できる。
投入された鋼管1の一端とノズル7a、7bとの間隔Nは、既に説明した通り600mm以内とする。
その後、たとえば、鋼管ストッパー6が鋼管軸方向に移動可能な構造の場合には、鋼管ストッパー6の位置を調整して、鋼管1の他端と鋼管ストッパー6との間隔Mを、既に説明した通り下部整流板5のピッチ以内とする。
鋼管1を投入することによって、下部整流板5上に鋼管1が載置されて支持され、鋼管1の下部が下部カバー3で覆われる。引き続き上部カバー2を閉姿勢とするために、上部カバー2を回動させる。上部カバー2が閉姿勢となって下部カバー3に当接すると、鋼管1の上部が上部カバー2で覆われる。なお、たとえば、上部カバー2にカバー軸方向に複数の貫通孔が設けられ、これらの貫通孔から棒状の鋼管ストッパー6が挿入可能な構造となっている場合には、上部カバー2が閉姿勢となってから、適切な位置の鋼管ストッパー6を上部カバー2の貫通孔から挿入することによって、鋼管1の他端と鋼管ストッパー6との間隔Mを、既に説明した通り下部整流板5のピッチ以内とすることができる。
次に、外面ノズル7a、内面ノズル7bから冷却媒体8を噴射して円筒形カバーの内部に流入させる。その結果、内面ノズル7bから噴射された冷却媒体8は、鋼管1の内面で鋼管軸方向に直線状に流れる。一方、外面ノズル7aから噴射された冷却媒体8は、鋼管1の外面で下部整流板5と上部整流板4に誘導されて螺旋状の流れとなる。その螺旋状の流れを円滑に形成する観点から、既に説明した通り、複数の下部整流板5と上部整流板4がそれぞれ当接するように配列しておくことが好ましい。ただし、上部整流板4と下部整流板5の配列がカバー軸方向にずれても、支障なく焼入れを行なうことができる。
このようにして本発明によれば、簡便な手段を用いて、均一に焼入れされた鋼管を、安価に得ることができる。なお、このようにして焼入れされた鋼管に対して、必要に応じ、焼戻しを実施してもよい。
図1に示す上部カバーと下部カバーを用いて油井管用継目無鋼管(外径:254mm、厚さ:10mm、長さ:10m、温度:800℃)の焼入れを行なった。ノズルは、外面ノズルと内面ノズルからなる2層構造のものを使用し、上部カバーと下部カバーは、いずれも内径600mm、長さ15mとした。上部整流板と下部整流板は、いずれも高さを120mm、カバー軸方向に対する傾斜角度を30°とした。この場合、上部整流板および下部整流板のピッチは、いずれも約3260mmであった。さらに、間隔Nが400mmとなるように鋼管を投入し、間隔Mが200mmとなる鋼管ストッパーを使用した。これを発明例1とする。
次いで、図2に示すような移動操作機を備えた鋼管ストッパーを使用して間隔Mを0とし、間隔Nを50mmとして、発明例1と同様に焼入れを行なった。これを発明例2とする。
さらに、図2に示すような移動操作機を備えた鋼管ストッパーを使用して、間隔Nを50mmとして鋼管を投入した後、鋼管ストッパーを用いて鋼管をノズルに当接させることによって、ノズルと鋼管ストッパーで鋼管を挟持して、発明例1と同様に焼入れを行なった。これを発明例3とする。
さらに比較のために、鋼管ストッパーを使用せず、間隔Nを400mmとして、発明例1と同様に焼入れを行なった。これを比較例1とする。
また、鋼管ストッパーを使用せず、間隔Nを900mmとして、発明例1と同様に焼入れを行なった。これを比較例2とする。
さらに、図1に示す上部カバーと下部カバーを用いて、間隔Nが800mmとなるように鋼管を投入し、間隔Mが400mmとなる鋼管ストッパーを使用して、発明例1と同様に焼入れを行なった。これを比較例3とする。
発明例1、2、3および比較例1、2、3の焼入れを行なった油井管用継目無鋼管について、下部整流板が当接した部位の硬度HLOW、下部整流板が当接していない部位の硬度HHIGHを測定し、その硬度差ΔH(=HHIGH−HLOW)を求めた。
その結果、発明例1のΔHはHRCで10、発明例2のΔHはHRCで8、発明例3のΔHはHRCで6、比較例1のΔHはHRCで29、比較例2のΔHはHRCで30、比較例3のΔHはHRCで14であった。つまり、発明例1、2、3は比較例よりも硬度のばらつきが抑えられており、均一な焼入れを行なうことが可能であることが確かめられた。また、発明例1と発明例2を比べると、間隔Mを0にした発明例2の方が、硬度のばらつきが抑えられた。さらに、発明例2と発明例3を比べると、間隔Mを0にして、かつ、間隔Nも0にした発明例3の方が、硬度のばらつきが抑える効果が向上した。
1 鋼管
2 上部カバー
3 下部カバー
4 上部整流板
5 下部整流板
6 鋼管ストッパー
7 ノズル
7a 外面ノズル
7b 内面ノズル
8 冷却媒体
9 移動操作機

Claims (8)

  1. 冷却媒体を収容した浸漬槽に高温の鋼管を浸漬して冷却する焼入れ装置であって、前記浸漬槽内に投入された前記鋼管の下部を覆うために前記浸漬槽の内部に固定される半円筒形状の下部カバーと、前記鋼管が投入された後に前記鋼管の上部を覆うために開閉する半円筒形状の上部カバーと、該上部カバーが閉じて前記下部カバーと当接することによって形成される円筒形カバーの一端に配設されて該円筒形カバーの内部へ前記冷却媒体を流入させるノズルと、前記下部カバーに半螺旋状に配設されて前記円筒形カバーの内部へ流入した前記冷却媒体を前記鋼管の外面で螺旋状に流通させるとともに前記鋼管を載置して支持する下部整流板と、前記上部カバーに半螺旋状に配設されて前記円筒形カバーの内部へ流入した前記冷却媒体を前記鋼管の外面で螺旋状に流通させる上部整流板と、前記ノズルから前記鋼管の一端までの間隔を600mm以内として前記鋼管を投入する投入機と、前記鋼管の他端からの間隔が前記下部整流板のピッチ以内の範囲に配設されて前記鋼管の流出を防止し且つ前記冷却媒体を通過させる鋼管ストッパーと、を有することを特徴とする鋼管の焼入れ装置。
  2. 前記円筒形カバーの内部へ前記冷却媒体を流入させる前記ノズルが、前記鋼管の内部に前記冷却媒体を流入させる内面ノズルと、前記鋼管の外部に前記冷却媒体を流入させる外面ノズルと、を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の焼入れ装置。
  3. 前記鋼管ストッパーを鋼管軸方向に移動させる移動操作機を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管の焼入れ装置。
  4. 冷却媒体を収容した浸漬槽に高温の鋼管を浸漬して冷却する焼入れ方法において、前記浸漬槽の内部に固定された半円筒形状の下部カバーに前記鋼管を投入して前記鋼管の下部を覆うとともに、前記下部カバーに半螺旋状に配設された下部整流板に前記鋼管を載置して支持し、次いで、半円筒形状の上部カバーを閉じて前記鋼管の上部を覆うとともに、前記上部カバーを前記下部カバーに当接させて円筒形カバーを形成し、該円筒形カバーの一端に配設されたノズルから前記円筒形カバーの内部へ前記冷却媒体を流入させ、前記上部カバーに半螺旋状に配設された上部整流板および前記下部整流板を用いて前記冷却媒体を前記鋼管の外面で螺旋状に流通させながら、前記ノズルから前記鋼管の一端までの間隔を600mm以内として投入された前記鋼管の流出を前記鋼管の他端からの間隔が前記下部整流板のピッチ以内の範囲に配設された鋼管ストッパーで防止し且つ前記冷却媒体を通過させることを特徴とする鋼管の焼入れ方法。
  5. 前記円筒形カバーの内部へ前記冷却媒体を流入させる前記ノズルとして、前記鋼管の内部に前記冷却媒体を流入させる内面ノズルと、前記鋼管の外部に前記冷却媒体を流入させる外面ノズルと、を使用することを特徴とする請求項4に記載の鋼管の焼入れ方法。
  6. 前記鋼管ストッパーを鋼管軸方向に移動させて、前記ノズルと前記鋼管ストッパーとで前記鋼管を挟持することを特徴とする請求項4または5に記載の鋼管の焼入れ方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管の焼入れ装置を備えた鋼管の製造装置。
  8. 請求項4〜6のいずれかに記載の鋼管の焼入れ方法により鋼管の焼入れを行なう工程を含む鋼管の製造方法。
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