JP6583003B2 - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

電子部品およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6583003B2
JP6583003B2 JP2016002417A JP2016002417A JP6583003B2 JP 6583003 B2 JP6583003 B2 JP 6583003B2 JP 2016002417 A JP2016002417 A JP 2016002417A JP 2016002417 A JP2016002417 A JP 2016002417A JP 6583003 B2 JP6583003 B2 JP 6583003B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
electronic component
insulator
magnetic powder
coating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016002417A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016178282A (ja
Inventor
光典 井上
光典 井上
博信 久保田
博信 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to US15/070,801 priority Critical patent/US10875095B2/en
Priority to CN201610157007.3A priority patent/CN105989987B/zh
Publication of JP2016178282A publication Critical patent/JP2016178282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6583003B2 publication Critical patent/JP6583003B2/ja
Priority to US17/102,192 priority patent/US11817244B2/en
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Description

本発明は、電子部品およびその製造方法、特に、金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品およびその製造方法に関する。
金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品として、特許文献1に記載のコイル部品が知られている。この種の電子部品(以下、従来の電子部品と称す)では、内部の回路素子を、金属磁性粉を含む絶縁体で覆っている。そして、従来の電子部品では、絶縁体に含まれる金属磁性粉の防錆等を目的として、リン酸塩による化成処理が行われている。ただし、リン酸塩による化成処理によって形成されたコーティング膜は一般的に薄く、電子部品に要求されるコーティング膜の品質に対して、耐湿性、耐薬品性等が不十分である。
特開2013−225718号公報
本発明の目的は、金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品において、該絶縁体上に樹脂のコーティング膜を有する電子部品およびその製造方法を提供することである。
この発明に係る電子部品は、絶縁体から成る本体と、本体を覆うコーティング膜と、本体の内部に位置する導体部と、導体部と接続された外部電極と、を備え、絶縁体は、金属磁性粉と絶縁性樹脂とを含み、コーティング膜は、樹脂、及び絶縁体に含まれる構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属のカチオンにより構成されていること、を特徴とする、電子部品である。
また、この発明に係る電子部品では、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに、この発明に係る電子部品では、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Feに加え、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことがこのましい。
この発明に係る電子部品では、絶縁体は、金属磁性粉であるFeを含む第1の粉と、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2の粉とを含むことが好ましい。
あるいは、この発明に係る電子部品では、金属磁性粉の表面に被覆があり、被覆は、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。
さらにまた、この発明に係る電子部品では、金属磁性粉は、Feと、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属と、を含む合金もしくは固溶体であることが好ましい。
また、この発明に係る電子部品では、導体部は、標準電極電位E0がE0≧0を満たす金属からなることが好ましい。標準電極電位E0がE0≧0を満たす金属とは、Cu,Ag,Pt,Auであってよい。
この発明に係る電子部品の製造方法は、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属を含む金属磁性粉と絶縁性樹脂とを含む絶縁体から形成される本体と、絶縁体の内部に位置する導体部と、を備える本体を準備する工程と、金属磁性粉を構成する金属をイオン化させるイオン化成分と、界面活性剤と、樹脂成分とを含む混合溶液とを含む混合溶液を準備する工程と、混合溶液を本体に塗布し、乾燥する工程と、を含むことを特徴とする、電子部品の製造方法である。
この発明に係る電子部品によれば、本体を覆うコーティング膜が、樹脂及び絶縁体に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属のカチオンにより構成されているので、リン酸塩の化成処理により形成されたコーティング膜よりも厚く、耐摩耗性、絶縁性、耐湿性、耐薬品性等に優れた電子部品である。
また、この発明に係る電子部品によれば、本体を覆うコーティング膜が、樹脂及び絶縁体に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属により構成されており、該カチオン性の元素は、絶縁体に含まれる金属粉からイオン化したことによりカチオンとなったものであるので、研削工程等より、金属粉に施された絶縁性の被覆が剥離した場合でも、その後の工程により、該金属粉からカチオン性の元素がカチオンとして溶け出し、これがコーティング膜を形成する。その結果、この発明に係る電子部品は、絶縁性や防錆性がより優れている。
また、この発明に係る電子部品によれば、絶縁体に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とは別に存在していると、つまり、金属磁性体に用いられるFe系材料(第1の粉)による樹脂形成反応が不十分な場合に、さらに、イオン化しやすい金属(第2の粉)を添加することで、形成助剤として作用させることができる。
一方、絶縁体に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とが別に存在している(つまり、絶縁体が金属磁性粉である第1の粉と第2の粉とを含む)と、絶縁体がFe以外の金属粉を含有することとなり、磁性体としてのFe含有率が低下するところ、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属が絶縁体に含まれるFeの表面をコートしている(つまり、前記金属磁性粉の表面に被覆があり、前記被覆はSn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む)、あるいは、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属が絶縁体に含まれるFeとの合金もしくは固溶体として存在している(つまり、金属磁性粉が、Feと、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属と、を含む合金若しくは固溶体である)と、Feにイオン性の高い金属を添加することで、磁性体の含有率が低下することなく、形成助剤として、作用させることができる。
つまり、絶縁体のFe含有率が低下することを抑制して、絶縁体の磁気特性が低下することを抑制しながら、コーティング膜を形成しやすくなる。
本発明によれば、金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品において、該絶縁体上に樹脂のコーティング膜を得ることができ、耐湿性や耐薬品性等に優れた電子部品およびその製造方法を得ることができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明に係るコイル部品の一例を示す断面図解図である。 本発明に係るコイル部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。 外部電極の拡大断面図である。 別の外部電極の拡大断面図である。 さらに別の外部電極の拡大断面図である。
本発明に係る電子部品及びその製造方法の一実施の形態を説明する。
1.電子部品
本発明に係る電子部品について、コイル部品を例にして図面を参照しながら説明する。図1は、この発明に係るコイル部品の一例を示す断面図解図である。図1に示すコイル部品1は、以下で、コイル部品1の底面と直交する方向をz軸方向と定義する。すなわち、コイル部品1の底面S1は、z軸の負方向側に位置する面である。また、z軸方向から平面視したとき、コイル部品1の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、コイル部品1の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。なお、x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
また、x軸方向の正方向側に位置する面を側面S2とし、x軸方向の負方向側に位置する面を側面S3とする。
コイル部品1は、図1に示すように、本体10及び外部電極12a,12bを備えている。さらに、コイル部品1は、本体10を覆うコーティング膜14を備えている。また、コイル部品1は、略直方体状を成している。
本体10は、図1に示すように、絶縁体層16〜19、絶縁体基板20、磁路22及び導体部としてのコイル24,26から構成されている。また、本体10において、z軸方向の負方向側から正方向側に向かって、絶縁体層16,17、絶縁体基板20、絶縁体層18,19の順に積層されている。
絶縁体層16,19は、金属磁性粉入りのエポキシ系樹脂等からなる。本実施の形態では、絶縁体層における金属粉として、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属を含む。標準電極電位E0がE0<0の金属は、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liのうち少なくとも1種を含む。例えば、金属磁性粉は、Feの粉、Feを含む合金の粉、Feを含むアモルファスの粉であってよい。Fe合金とは、例えば、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金である。さらに、本実施の形態では、絶縁体層における金属磁性粉の密度を高めるため、絶縁体層16,19は、粒径の異なる2種類の金属磁性粉を含んでもよい。具体的には、例えば、平均粒径80μmのFe−Si−Cr合金からなる磁性粉(最大粒径100μm)、及び平均粒径3μmのカルボニルFeからなる磁性粉の混合粉である。また、これらの粉末に対しては化成処理により、金属酸化物からなる絶縁性の被覆が予め施されている。さらに、コイル部品1のL値及び直流重畳特性を考慮して、金属磁性粉は、絶縁体層16,19に対して、例えば、90wt%以上含まれている。また、絶縁体層16,19に含まれる樹脂は、ガラスセラミックス等の絶縁性無機材料やポリイミド樹脂でもよい。
絶縁体層16は、本体10のz軸方向の負方向側の端部に位置し、絶縁体層16のz軸方向の負方向側の面である底面S1は、コイル部品1を回路基板に実装する際の実装面である。また、絶縁体層19は、コイル部品1のz軸方向の正方向側の端部に位置している。なお、絶縁体層16,19の厚みは、例えば、約60μmであり、該絶縁体層16,19に含まれる金属磁性粉の最大粒径よりも小さい。
絶縁体層17,18は、エポキシ樹脂等から成る。また、絶縁体層17は、絶縁体層16に対してz軸方向の正方向側に位置し、絶縁体層18は、絶縁体層19に対して、z軸の負方向側に位置する。なお、絶縁体層17,18の材料は、ベンゾジクロブテン等の絶縁性樹脂や、ガラスセラミックス等の絶縁性無機材料でもよい。
絶縁体基板20は、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリント配線基板であり、z軸方向において絶縁体層17と絶縁体層18との間に挟まれている。なお、絶縁体基板20の材料は、ベンゾジクロブテン等の絶縁性樹脂や、ガラスセラミックス等の絶縁性無機材料でもよい。
磁路22は、本体10の内部の略中央に位置する磁性粉入りの樹脂から成る。ここで、本実施の形態では、コイル部品1のL値及び直流重畳特性を考慮して、磁性粉を、例えば、90wt%以上含んでいる。さらに、磁路22への充填性を高めるため、磁性粉として、粒度の異なる2種類の粉体を混在させている。また、磁路22は、絶縁体層17,18及び絶縁体基板20をz軸方向に貫き、断面が、例えば、オーバル状の柱状を成している。さらに、磁路22は、後述するコイル24,26の内周に位置するように設けられている。
ところで、本体10の表面、つまり、絶縁体層16,19の表面は、図1に示すように、その表面に露出した金属粉(金属磁性粉)を含めてコーティング膜14により覆われている。また、コーティング膜14は、絶縁体層16,19に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素と、樹脂とを含んでいる。なお、図1に示すコイル部品1において、絶縁体層16,19と後述する外部電極12a,12bとの界面には、コーティング膜14は存在していない。
コーティング膜14に含まれる構成元素であるカチオン性の元素は、本体10の絶縁体層16,19の一部が溶け出して析出したものである。より具体的には、コーティング膜14に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素は、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属を含む。標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liのうち少なくとも1種を含む。
さらに、絶縁体層16,19に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とは、別に存在してもよいし、絶縁体層16,19に含まれるFe粉の表面に標準電極電位E0がE0<0を満たす金属がコートしている状態で存在してもよいし、絶縁体層16,19に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とが合金もしくは固溶体として存在してもよい。
絶縁体層16,19に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とが別に存在していると、金属磁性体に用いられるFe系材料による樹脂形成反応が不十分な場合に、さらに、イオン化しやすい金属を添加することで、形成助剤として作用させることができる。
より具体的には、絶縁体層16,19に含まれる金属磁性粉としては、Feを含む粉(第1の粉)と、第1の粉に加えて、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2の粉を含むことが好ましい。第2の粉が含有する金属は、標準電極電位E0がE0<0でイオン化しやすい。そのため、絶縁体層16,19が第1の粉に加えて第2の粉を含むと、標準電極電位E0が小さくイオン化しやすい金属をより多く含むこととなり、コーティング膜14を形成しやすくなる。なお、第2の粉は、その標準電極電位E0がFeよりも小さいCr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれることがより好ましい。
金属磁性粉は、その表面を覆う被覆を備え、被覆が、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。この場合、金属磁性粉の表面には標準電極電位E0が小さくイオン化しやすい金属が存在することになり、イオン化成分(エッチング剤)を含む樹脂エマルジョンを本体10に付着させた時に、本体10を覆うコーティング膜14が形成されやすくなる。なお、被覆は、その標準電極電位E0がFeよりも小さいCr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる1種以上の金属を含むことがより好ましい。
また、金属磁性粉は、Feと、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属と、を含む合金もしくは固溶体であることが好ましい。この場合、金属磁性粉は、Feの他にもイオン化しやすい金属を含むことになり、イオン化成分(エッチング剤)を含む樹脂エマルジョンを本体10に付着させた時に、本体10を覆うコーティング膜14が形成されやすくなる。なお、金属磁性粉は、その標準電極電位E0がFeよりも小さいCr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる1種以上の金属とFeとの合金あるいは固溶体であることがより好ましい。
さらに、絶縁体層16,19に含まれるFeと標準電極電位E0がE0<0を満たす金属とが別に存在していると、Fe以外の金属粉を含有することとなり、磁性体としてのFe含有率が低下するところ、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属が絶縁体層16,19に含まれるFeの表面をコートしている、あるいは、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属が絶縁体層16,19に含まれるFeとの合金もしくは固溶体として存在していると、Feにイオン性の高い金属を添加することで、磁性体の含有率が低下することなく、形成助剤として、作用させることができる。
コーティング膜14に含まれている樹脂は、例えば、アクリル系樹脂を含む。このアクリル系樹脂は、架橋構造を成している。なお、コーティング膜14に含まれている樹脂は、アクリル系樹脂以外にも、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂等であってもよい。これら以外にも、コーティング膜14を構成する樹脂として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒオロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、エチレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルアセテート、アクリル酸、メタクリル酸等から選ばれるモノマー1種ないしそれ以上からなる重合体樹脂等が挙げられる。なお、上記の樹脂中に該樹脂を得るための過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシドといった重合開始剤が含まれていることは、コーティング膜14の特性に影響しない。
なお、コーティング膜14は、コイル部品1を回路基板に実装する際にはんだを用いることを考慮し、熱分解温度は高い方が好ましい。例えば、コーティング膜14を構成する樹脂が5%程度質量減少する温度を熱分解温度とした場合、その熱分解温度は240℃以上である。ここで、熱分解温度は以下の分析装置及び分析条件により測定できる。
・分析装置:TG−DTA 2000SA(ネッチ・ジャパン社製)
・分析条件
温度プロファイル :RT→300℃(10℃/min)
測定雰囲気 :減圧(ロータリーポンプを使用:0.1Pa)
試料容器(セル)材質:Al
測定試料重量 :100mg
また、コーティング膜14に含まれる金属磁性粉を構成する元素のイオン(カチオン)を確認する分析手法の一つとして、X線光電子分光分析(XPS)が挙げられる。XPSの測定条件は、以下のとおりである。
・測定装置:アルバック・ファイ社製 PHI 5000 VersaProbe
・X線源:Al−Kα線
・測定領域:100μmφ
・X線の加速エネルギー:93.9eV
・測定1ステップ当りの時間:100ms
・Fe2p積層数:500
・エネルギー補正:C1s=284.6eV
コーティング膜14をXPSで分析すると、Fe2p3スペクトルにおいて、Feカチオンの存在を示す710eV近傍のピークを確認することができる。一方、Feメタル(金属状態のFe)の存在を示す707eV近傍にはピークは確認されない。これにより、コーティング膜14に含まれる金属磁性粉を構成する元素のイオン(カチオン)の存在を証明することができる。
また、コーティング膜14は、絶縁体層16,19に含まれる金属磁性粉が、該絶縁体層16,19から脱落したことによって生じた凹部Cにも入り込み、凹部Cを略埋め尽くしている。結果として、凹部Cにおけるコーティング膜14の厚さd1は、本体10の表面における他の部分でのコーティング膜14の厚さd2よりも厚い。
コイル24,26は、本体10の内部に位置し、Au,Ag,Cu,Pd,Pt,Ni等の導電性材料から成る。
なお、本実施の形態では、絶縁体層16,19は、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属を含み、導体部としてのコイル24,26は、絶縁体層16,19に含まれる標準電極電位E0がE0<0を満たす金属よりも標準電極電位が大きい金属からなることが好ましい。したがって、例えば、コイル24,26は、標準電極電位E0がE0≧0の金属からなることが好ましい。より具体的には、コイル24,26は、Cu,Ag,Pt,Auから選ばれる1種以上の金属からなることが好ましい。この場合、絶縁体層16,19に含まれる金属は、絶縁体層16,19の内部に位置し絶縁体層16,19から端部が露出するコイル24,26の金属よりもイオン化傾向が大きい。そのため、イオン化成分(エッチング成分)を含む混合溶液を、コイル24,26が絶縁体層16,19から露出している絶縁体層16,19に付着させた場合、絶縁体層16,19が含む金属がコイル24,26の金属に比べて選択的にイオン化され、カチオンが発生する。発生したカチオンにより、電荷のバランスが崩れ、樹脂成分がエマルジョンの状態を維持しにくくなり、絶縁体層16,19上に堆積してコーティング膜14を形成する。このとき、コイル24,26が露出した部分ではカチオンが発生しにくいため、露出したコイル24,26を覆うことを抑制しながら、コーティング層(コーティング膜14)を形成できる。コイル24,26がコーティング膜14に覆われると、外部電極12a,12bとコイル24,26との接続性が弱くなり、コイル部品1(電子部品)のRdcが小さくなる。本発明では、露出したコイル24,26が、コーティング膜14に覆われることを抑制することができることから、コイル部品1(電子部品)のRdcが小さくなることを抑制することができる。
また、導体部(コイル24,26)は、コイル状に形成された導体であってよく、例えば、金属の巻線、あるいは、コイル状に形成された導体ペーストや金属箔であってよい。
コイル24は、図1に示すように、絶縁体基板20の上面に設けられており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、時計回りに旋回しながら中心に近づく螺旋状の導体である。また、コイル24の外周側の一端24aは、本体10の側面S2に向かって延びて、側面S2において露出している。
コイル26は、絶縁体基板20の下面に設けられており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、時計回りに旋回しながら中心から外側に向かう螺旋状の導体である。また、コイル26の外周側の一端26aは、本体10の側面S3に向かって延びて、側面S3において露出している。さらに、コイル26における内周側の他端は、z軸方向から見たときに、コイル26の内周側の他端と重なるように設けられている。
外部電極12aは、本体10の側面S2及びその周囲の面の一部を覆うように設けられている。そして、外部電極12aは、本体10の側面S2において露出しているコイル24の外周側の一端24aと電気的に接続されている。また、外部電極12bは、本体10の側面S3及びその周囲の面の一部を覆うように設けられている。そして、外部電極12bは、本体10の側面S3において露出しているコイル26の外周側の一端26aと電気的に接続されている。
以上のように構成されたコイル部品1は、外部電極12a又は外部電極12bから入力された信号が、コイル24,26を経由して、外部電極12a又は外部電極12bから出力されることで、インダクタとして機能する。
2.電子部品の製造方法
以下に、本発明に係る電子部品の製造方法を、コイル部品を例にして説明する。図2は、本発明に係るコイル部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。製造方法の説明の際に用いられるz軸方向は、該製造方法で製造されるコイル部品1の底面と直交する方向である。
まず、工程S1で、複数の絶縁体基板20となるべきマザー絶縁体基板を用意する。なお、インダクタンス値の取得効率を高めるため、絶縁体基板の厚さは60μm以下が好ましい。
次に、工程S2で、マザー絶縁体基板の上面及び下面に、コイル24,26に対応する複数の導体パターンが形成される。複数の導体パターンの形成後、さらにCuめっきを施し、十分な太さの複数のコイル24,26を得る。
そして、工程S3で、複数のコイル24,26が形成されたマザー絶縁体基板に対し、複数の絶縁体層17,18となるべき絶縁体シートでz軸方向から挟み込み、積層体を形成する。また、絶縁体シートで挟み込む工程は、コイル間の微小な隙間に絶縁体シートを入り込ませることを目的として、真空中で行うことが好ましい。これに加え、コイル24,26に起因する浮遊容量の発生を抑制するために、絶縁体シートの比誘電率は、4以下が好ましい。
次に、工程S4で、磁路22を設けるために、レーザー加工等により、マザー絶縁体基板及び絶縁体シートをz軸方向に貫通する複数の貫通孔を形成する。なお、貫通孔を形成する位置は、xy平面において、マザー絶縁体基板に設けられた複数のコイル24,26それぞれの内周側である。
そして、工程S5で、絶縁体層17となるべき絶縁体シート、絶縁体基板20となるべきマザー絶縁体基板、絶縁体層18となるべき絶縁体シートの順で積層された積層体を、絶縁体層16,19に対応する金属磁性粉入り樹脂シートで、絶縁体層17,18となるべき絶縁体シートと同様に、z軸方向から挟み、圧着する。このとき、絶縁体層16となるべき金属磁性粉入り樹脂シートは、絶縁体層17となるべき絶縁体シート側から圧着され、絶縁体層19となるべき金属磁性粉入り樹脂シートは、絶縁体層18となるべき絶縁体シート側から圧着される。また、この圧着により、積層体に形成された複数の貫通孔に対して、金属磁性粉入り樹脂シートが入り込み、複数の磁路22が設けられる。
その後、工程S6で、樹脂シートにより挟み込まれた積層体は、オーブン等の恒温層を用いて熱処理を施すことで硬化される。
次に、工程S6において、樹脂シートにより挟み込まれた積層体が硬化された後、工程S7で、厚さを調整するために金属磁性粉入り樹脂シートの表面を、バフ研磨、ラップ研磨及びグラインダ等により研削する。これにより、複数のコイル部品1の本体10の集合体であるマザー基板が完成する。
次に、マザー基板をダイサー等でカットし、複数の本体10に分割する。この分割によって、その切断面にコイル24の外周側の一端24a及びコイル26の外周側の一端26aが露出する。
そして、この後の工程では、[方法1]〜[方法3]の3種類の製造方法が示されている。
(a)[方法1]の場合
[方法1]の製造方法の場合は、工程S8で、工程S7において得られた複数の本体10の側面S2,S3に、外部電極ペーストが塗布される。その後、外部電極ペーストが焼き付けられ、コイル24の外周側の一端24a及びコイル26の外周側の一端26aにそれぞれ電気的に接続された外部電極12a,12bが形成される。
次に、工程S9で、工程S7において得られた複数の本体10を、エッチング成分と樹脂成分とが水系の溶媒に分散した市販のラテックスに、エッチング促進成分と界面活性剤とを添加したものを含む混合溶液に浸漬する。混合溶液の具体的な組成を表1に示す。この浸漬により、各コイル部品の表面がエッチングされる。このエッチングは、混合溶液に含まれる硫酸及び過酸化水素水の作用によるものである。なお、混合溶液中の硫酸及び過酸化水素水に代えて、フッ化水素酸、硝酸、塩酸、リン酸、カルボン酸等の各種有機酸を用いてもよい。
Figure 0006583003
また、このエッチングによって、絶縁体層16,19の構成元素であるカチオン性の元素がイオン化される。さらに、イオン化したカチオン性の元素は、混合溶液中のNipolLATEX SX−1706(日本ゼオン社製)に含まれている樹脂成分と反応する。その結果、混合溶液中の樹脂成分が中和され、コイル部品1を構成する本体10の表面に沈降し、本体10がコーティング膜14に覆われる。なお、混合溶液に含まれるエレミノールJS−2(三洋化成社製)は、絶縁体層16,19の構成元素であるカチオン性の元素と樹脂成分との反応量を調整する界面活性剤である。
その後、純水による洗浄及び液きりを経て、コーティング膜14に対して加熱処理を施す。この加熱処理により、コーティング膜14に含まれる樹脂成分がカチオン性の元素を介して、若しくは樹脂成分同士で架橋する。
次に、工程S10で、めっき皮膜13a,13bが、電解または無電解めっき法により、外部電極12a,12bの上に形成される。めっき皮膜13a,13bは、例えば、下層のNiめっき膜と上層のSnめっき膜とで構成された2重構造を採用している。図3は、[方法1]の製造方法によって外部電極12bが形成されている部分の拡大断面図である。以上の工程により、コイル部品1が完成する。
(b)[方法2]の場合
また、[方法2]の製造方法の場合は、工程S11で、工程S7において得られた複数の本体10を、エッチング成分と樹脂成分とが水系の溶媒に分散した市販のラテックスに、エッチング促進成分と界面活性剤とを添加したものを含む混合溶液に浸漬する。この浸漬により、各コイル部品の表面がエッチングされる。このエッチングは、混合溶液に含まれる硫酸及び過酸化水素水の作用によるものである。
また、このエッチングによって、絶縁体層16,19の構成元素であるカチオン性の元素がイオン化される。さらに、イオン化したカチオン性の元素は、混合溶液中のNipolLATEX SX−1706(日本ゼオン社製)に含まれている樹脂成分と反応する。その結果、混合溶液中の樹脂成分が中和され、コイル部品1を構成する本体10の表面に沈降し、本体10がコーティング膜14に覆われる。ただし、コイル24の外周側の一端24a及びコイル26の外周側の一端26aは、コーティング膜14に覆われない。これは、コイル24,26の構成元素である、例えば、Cuは、イオン化したカチオン性の元素に対して貴な元素であるためほとんどイオン化されず、結果として、樹脂成分と反応しにくいためである。
その後、純水による洗浄及び液きりを経て、コーティング膜14に対して加熱処理を施す。この加熱処理により、コーティング膜14に含まれる樹脂成分がカチオン性の元素を介して、若しくは樹脂成分同士で架橋する。
次に、工程S12で、コーティング膜14が形成された本体10の側面S2,S3に、外部電極ペーストが塗布される。その後、コーティング膜14が熱分解しない温度で外部電極ペーストが焼き付けられ、コイル24の外周側の一端24a及びコイル26の外周側の一端26aにそれぞれ電気的に接続された外部電極12a,12bが形成される。
次に、工程S13で、めっき皮膜13a,13bが、電解または無電解めっき法により、外部電極12a,12bの上に形成される。図4は、[方法2]の製造方法によって外部電極12bが形成されている部分の拡大断面図である。以上の工程により、コイル部品1が完成する。
(c)[方法3]の場合
また、[方法3]の製造方法の場合は、工程S14で、工程S7において得られた複数の本体10の側面S2,S3に、外部電極が塗布される。その後、外部電極ペーストが焼き付けられ、コイル24の外周側の一端24a及びコイル26の外周側の一端26aにそれぞれ電気的に接続された外部電極12a,12bが形成される。
次に、工程S15で、めっき皮膜13a,13bが、電解または無電解めっき法により、外部電極12a,12b上に形成される。
次に、工程S16で、外部電極12a,12b及びめっき皮膜13a,13bの形成された本体10を、エッチング成分と樹脂成分とが水系の溶媒に分散した市販のラテックスに、エッチング促進成分と界面活性剤とを添加したものを含む混合溶液に浸漬する。この浸漬により、各コイル部品の表面がエッチングされる。このエッチングは、混合溶液に含まれる硫酸及び過酸化水素水の作用によるものである。
また、このエッチングによって、絶縁体層16,19の構成元素であるカチオン性の元素がイオン化される。さらに、イオン化したカチオン性の元素は、混合溶液中のNipolLATEX SX−1706(日本ゼオン社製)に含まれている樹脂成分と反応する。その結果、混合溶液中の樹脂成分が中和され、コイル部品1を構成する本体10の表面に沈降し、本体10がコーティング膜14に覆われる。
その後、純水による洗浄及び液きりを経て、コーティング膜14に対して加熱処理を施す。この加熱処理により、コーティング膜14に含まれる樹脂成分がカチオン性の元素を介して、若しくは樹脂成分同士で架橋する。図5は、[方法3]の製造方法によって外部電極12bが形成されている部分の拡大断面図である。以上の工程により、コイル部品1が完成する。
上述したように、[方法1]、[方法2]および[方法3]で使用される混合溶液は、樹脂成分とイオン化成分(エッチング成分)と界面活性剤とを含む。この混合溶液に含まれる各成分等について、具体的には、以下のとおりである。
樹脂成分は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂等であってよい。
イオン化成分(エッチング成分)は、絶縁体に含まれる金属をイオン化する成分である。イオン化成分は、Feに加えて、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属をイオン化する成分であってよい。イオン化成分は、具体的には、硫酸、フッ化水素酸、フッ化鉄、硝酸、塩酸、リン酸、カルボン酸である。
コーティング膜14の厚みを調性する材料としての界面活性剤は、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤が用いられるが、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤が、スルホン酸基を有する場合、界面活性剤の失活の程度が適していてコーディング膜が形成されやすく、かつ、混合溶液が取り扱いやすく好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。上記、界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。アニオン性界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルジサルフェート、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアリールエーテルサルフェート、カルボキシレート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリカルボン酸型界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基;オクチル、デシル、ラウリル、ステアリル、オレイル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(アルキル基;オクチル、ノニル等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、スルホン酸基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、並びにリン酸基及びその塩等を有する水溶性の樹脂が挙げられる。
本発明に係るコイル部品1では、本体10を覆うコーティング膜14が、樹脂及び絶縁体層16,19に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属のカチオンにより構成されている。このような構成のコーティング膜14は、リン酸塩の化成処理により形成されたコーティング膜よりも厚く、耐摩耗性、絶縁性、耐湿性、耐薬品性等に優れている。
また、絶縁体層16,19に含まれる金属粉は、化成処理により金属酸化物からなる絶縁性の被覆が予め施されている。しかし、コイル部品1の製造過程の一つである研削工程において該絶縁性の被覆は剥離する虞がある。ここで、コイル部品1では、本体10を覆うコーティング膜14が、樹脂及び絶縁体層16,19に含まれる金属粉の構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属のカチオンにより構成されており、該カチオン性の元素は、絶縁体層16,19に含まれる金属粉からイオン化したことにより生じたものである。したがって、研削工程等より、金属粉に施された絶縁性の被覆が剥離した場合でも、その後の工程により、該金属粉からカチオン性の元素が溶け出し、これがコーティング膜14を形成する。その結果、コイル部品1では、絶縁性や防錆性がより優れている。
これに加え、研削工程等において、金属磁性粉に施された絶縁性の被覆が剥離した場合でも、その後の工程により、コーティング膜14が金属磁性粉上に形成されることは、コイル部品1の小型化及び低背化に貢献する。具体的には、コイル部品1を小型化及び低背化するために、絶縁体層16,19を可能な限り薄くする必要がある。そこで、絶縁体層16,19を薄くするために研削工程が必須の工程となる。ただし、従来の電子部品では、金属磁性粉から化成処理による絶縁性の被覆が剥がれることを懸念して、金属磁性粉を含む絶縁体層を該金属磁性粉の粒径よりも厚くしていた。しかし、コイル部品1では、コーティング膜14によって金属磁性粉が保護されるため、絶縁体層16,19の厚さを金属磁性粉の粒径よりも薄くできる。その結果、コイル部品1を小型化及び低背化することが可能となる。
ところで、絶縁体層16,19に金属磁性粉含有の樹脂を絶縁体に用いると、切削等の加工により、その加工面の金属磁性粉の一部が脱粒し、本体10の表面、具体的には、絶縁体層16,19の表面に凹部Cが発生する。凹部Cが発生することにより、本体10の大気へ露出する面積が増加する。その結果、絶縁体層16,19は、大気中の水分を吸水しやすくなる。さらに、凹部Cの発生により、本体10内に位置するコイル24,26と、本体10の表面との距離が小さくなる。以上の理由から、凹部Cの発生によって、コイル24,26が腐食されやすくなる。従来の電子部品のように、リン酸塩化成処理によりコーティング膜を形成した場合、形成される膜厚が薄いため、該凹部Cを埋めることは困難である。しかし、コイル部品1では、リン酸塩化成処理によるコーティング膜ではなく、絶縁体層16,19から溶け出したカチオン性の元素と樹脂とで構成されるコーティング膜14を用いている。このようなコーティング膜14は、リン酸塩化成処理によるコーティング膜より厚いため、金属磁性粉の脱粒により生じた凹部Cを埋めることができる。従って、コイル部品1では、コイル24,26の腐食を抑制することができる。つまり、コイル部品1は、耐湿性に優れている。
ここで、本願発明者は、コイル部品1の耐湿性に対する効果を確認する実験を行った。実験では、コイル部品1に相当する第1のサンプル(図2における[方法1]にて作製)、及びコイル部品1のコーティング膜14をリン酸塩化成処理により形成したコーティング膜に置き換えた第2のサンプルそれぞれ50個を用いて、高温、かつ、高湿度の下で、各サンプルが正常に通電するか否かを確認した。実験の具体的条件は、温度が85±2℃、湿度が85±2%の下で、6Aの電流を流し続けることとした。そして、実験開始から24時間後に、各サンプルの通電状態を確認した。なお、第1のサンプルおよび第2のサンプルにおいて、コーディング膜14に含まれる構成元素であるカチオン性元素であって、標準電位E0がE0<0を満たす金属は、Znとした。
実験の結果、第1のサンプルは50個中2個で通電せず、第2のサンプルでは、50個中16個で通電しなかった。つまり、第1のサンプルの不良率は4%であり、第2のサンプルの不良率は32%であった。この結果は、コイル部品1におけるカチオン性の元素と樹脂とで構成されるコーティング膜14が、リン酸塩化成処理により形成されたコーティング膜よりも耐湿性に優れていることを示している。
また、コーティング膜14が金属磁性粉の脱粒により生じた凹部Cを埋めることが、コイル部品1の外部電極12a,12bとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性に寄与する。具体的には、外部電極12a,12b近傍の本体10の表面に凹部Cが存在する場合、リン酸塩化成処理によるコーティング膜では、この凹部Cを埋めることができない。結果として、めっき皮膜13a,13bを外部電極12a,12bに施す際に、外部電極12a,12b近傍の凹部Cから、外部電極12a,12bと本体10との界面にめっき液が侵入し、外部電極12a,12bが本体10から浮き上がる。この状態で、電子部品を回路基板にはんだ付けすると、電子部品の回路基板に対する固着力が不十分となり、外部電極12a,12bと回路基板との接続信頼性を損ねる。一方、コイル部品1では、コーティング膜14が金属磁性粉の脱粒により生じた凹部Cを埋めるため、外部電極12a,12bと回路基板との接続信頼性を維持することができる。
ここで、本願発明者は、コイル部品1の接続信頼性に対する効果を確認する実験を行った。まず、第1のサンプル(図2における[方法1]にて作成)及び第2のサンプルをそれぞれ50個用意した。次に、サンプルを回路基板にはんだ付けし、該回路基板を垂直に立て、各サンプルの側面に対して垂直方向下側に力Fを加えた。そして、各サンプルが回路基板から外れた際の、各サンプルの側面に加えた力Fを計測した。
実験の結果、第1のサンプルにおける最小の力は35Nであり、第2のサンプルにおける最小の力は25Nであった。この結果は、カチオン性の元素と樹脂とで構成されるコーティング膜14が、コイル部品1の外部電極12a,12bとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性を向上させることを示している。
一方、図2における[方法2]により作製されたコイル部品1では、コーティング膜14の形成後に外部電極12a,12bを設けているため、図4に示すように、本体10と外部電極12aとの界面にコーティング膜14が存在している。このように、本体10と外部電極12aとの界面にコーティング膜14が存在していることで、コイル部品1の外部電極12aとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性が向上する。具体的に以下で説明する。
上述したように、絶縁体層16,19に金属磁性粉含有の樹脂を絶縁体に用いると、切削等の加工により、その加工面の金属磁性粉の一部が脱粒し、本体10の表面に凹部Cが発生する。このような凹部Cは、例えば、本体10における側面S2,S3に発生する。この凹部C上に外部電極12a,12bを直に形成すると、めっき皮膜13a,13bによる外部電極12a,12bの被覆が不十分になる。結果として、凹部C上のほとんどのめっき皮膜13a,13bがはんだ内に溶け出す、いわゆるはんだ食われを生ずる。はんだ食われが生ずると、外部電極12a,12bが露出して、はんだによる接続ができないか、又は不十分となり、外部電極12a,12bとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性が損なわれる。
しかしながら、[方法2]により作製されたコイル部品1では、コーティング膜14により、本体10の側面S2,S3に発生した凹部Cが埋まるため、外部電極12a,12bはめっき皮膜13a,13bにより十分に被覆される。従って、[方法2]により作製されたコイル部品1では、本体10と外部電極12a,12bとの界面にコーティング膜14が存在していることで、コイル部品1の外部電極12a,12bとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性を向上させることができる。
ここで、本願発明者は、[方法2]により作製されたコイル部品1の接続信頼性に対する効果を確認する実験を行った。まず、[方法2]によりより作製されたコイル部品1に相当する第3のサンプルを50個用意した。接続信頼性を確認するための実験は、第1のサンプル及び第2のサンプルに対して行われた実験と同様とした。なお、第3のサンプルにおいて、コーディング膜14に含まれる構成元素であるカチオン性元素であって、標準電位E0がE0<0を満たす金属は、Znとした。
実験の結果、第3のサンプルにおける最小の力は35Nであった。この結果は、第2のサンプルの実験結果と比較したとき、カチオン性の元素と樹脂とで構成されるコーティング膜14が、コイル部品1の外部電極12a,12bとコイル部品1を搭載する回路基板との接続信頼性を向上させることを示している。
本発明に係る電子部品及びその製造方法は前記実施の形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
上記材料に加えて、コーティング膜14を形成するための混合溶液に、耐腐食性を向上させるタンニン、コーティング膜14に柔軟性を付与するジブチルフタレートといった可塑剤、コーティング膜14の成膜性を向上させるフッ化銀などの金属イオン、及びコーティング膜14の表面の傷付き防止及び耐水性を向上させる潤滑剤、例えば、フッ素樹脂系潤滑剤、ポリオレフィン系ワックス、メラミンシアヌレート、二硫化モリブデンを混合溶液に添加してもよい。
さらに、コーティング膜14を形成するための混合溶液に、コーティング膜14の耐腐食性の向上と電子部品の着色を目的として、カーボンブラックやフタロシアニンブルー等の顔料を添加してもよい。
そして、コーティング膜14を形成するための混合溶液に、リンを含有する酸基を有する高分子重合体、例えば、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基等を主鎖、又は側鎖に有する有機高分子化合物を添加することで、耐腐食性、耐薬品性を向上させることができる。
また、コーティング膜14の強度や熱伝導性、電気伝導性向上等の観点から、ガラス繊維、炭酸カルシウム、アラミド繊維、グラファイト、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などのフィラー等を混合溶液に添加してもよい。
なお、上記の実施の形態では、電子部品としてコイル部品を例にとって説明したが、本発明は、コイル部品に限らず、コイルを含まないインダクタなど種々の電子部品に広く適用することができる。
以上のように、本発明は、電子部品及びその製造方法に有用であり、特に、金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品において、該絶縁体上に樹脂のコーティング膜を得ることができ、耐湿性や耐薬品性に優れた電子部品を得ることができる。
1 コイル部品
10 本体
12a,12b 外部電極
13a,13b めっき皮膜
14 コーティング膜
16,17,18,19 絶縁体層
20 絶縁体基板
22 磁路
24,26 コイル
24a,26a コイルの外周側の一端
C 凹部
d1,d2 厚み
S1 底面
S2,S3 側面

Claims (14)

  1. 絶縁体から成る本体と、
    前記本体を覆うコーティング膜と、
    本体の内部に位置する導体部と、
    前記導体部と接続された外部電極と、
    を備え、
    前記絶縁体は、金属磁性粉と絶縁性樹脂とを含み、
    前記コーティング膜は、樹脂、及び前記絶縁体に含まれる構成元素であるカチオン性の元素であって、標準電極電位E0がE0<0を満たす金属のカチオンにより構成されていること、
    を特徴とする電子部品。
  2. 前記標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liのうち少なくとも1種を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Feに加え、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含むこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品。
  4. 前記絶縁体は、前記金属磁性粉であるFeを含む第1の粉と、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2の粉とを含むこと、を特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記金属磁性粉の表面を覆う被覆があり、前記被覆は、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むこと、を特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記金属磁性粉は、Feと、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属と、を含む合金もしくは固溶体であること、を特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
  7. 前記導体部は、標準電極電位E0がE0≧0を満たす金属からなる、ことを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子部品。
  8. 前記標準電極電位E0がE0≧0を満たす金属は、Cu,Ag,Pt,Auから選ばれる1種以上の金属を含むこと、を特徴とする、請求項7に記載の電子部品。
  9. 標準電極電位E0がE0<0を満たす金属を含む金属磁性粉と絶縁性樹脂とを含む絶縁体から形成される本体と、前記絶縁体の内部に位置する導体部と、を備える本体を準備する工程と、
    前記金属磁性粉を構成する金属をイオン化させるイオン化成分と、界面活性剤と、樹脂成分とを含む混合溶液を準備する工程と、
    前記混合溶液を前記本体に塗布し、乾燥する工程と、
    を備えることを特徴とする、電子部品の製造方法。
  10. 前記標準電極電位E0がE0<0を満たす金属は、Feに加え、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを、を特徴とする、請求項9に記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記界面活性剤は、スルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤であること、を特徴とする、請求項9または請求項10に記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記絶縁体は、前記金属磁性粉であるFeを含む第1の粉と、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2の粉と、を含むことを、を特徴とする、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記金属磁性粉の表面を覆う被覆があり、前記被覆は、Sn,Cr,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むこと、を特徴とする、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記金属磁性粉は、Feと、Sn,Cr,Fe,Zn,Mn,Al,Mg,Ca,Ba,K,Liから選ばれる少なくとも1種の金属と、を含む合金もしくは固溶体であること、を特徴とする、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
JP2016002417A 2015-03-19 2016-01-08 電子部品およびその製造方法 Active JP6583003B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/070,801 US10875095B2 (en) 2015-03-19 2016-03-15 Electronic component comprising magnetic metal powder
CN201610157007.3A CN105989987B (zh) 2015-03-19 2016-03-18 电子部件及其制造方法
US17/102,192 US11817244B2 (en) 2015-03-19 2020-11-23 Method for manufacturing electronic component

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015056779 2015-03-19
JP2015056779 2015-03-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016178282A JP2016178282A (ja) 2016-10-06
JP6583003B2 true JP6583003B2 (ja) 2019-10-02

Family

ID=57071329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016002417A Active JP6583003B2 (ja) 2015-03-19 2016-01-08 電子部品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6583003B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6575773B2 (ja) * 2017-01-31 2019-09-18 株式会社村田製作所 コイル部品、及び該コイル部品の製造方法
KR102511867B1 (ko) * 2017-12-26 2023-03-20 삼성전기주식회사 칩 전자부품
KR102185051B1 (ko) 2019-03-06 2020-12-01 삼성전기주식회사 코일 전자부품
KR102118496B1 (ko) * 2019-03-06 2020-06-03 삼성전기주식회사 코일 전자부품
KR102185050B1 (ko) * 2019-03-13 2020-12-01 삼성전기주식회사 코일 전자부품
JP2021057478A (ja) 2019-09-30 2021-04-08 株式会社村田製作所 電子部品
JP7555705B2 (ja) 2019-12-11 2024-09-25 Tdk株式会社 コイル部品
KR20230012866A (ko) 2021-07-16 2023-01-26 삼성전기주식회사 코일 부품
WO2023132293A1 (ja) * 2022-01-05 2023-07-13 住友電気工業株式会社 コイル装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003145034A (ja) * 2001-06-18 2003-05-20 Nippon Parkerizing Co Ltd 電子部品及びマイクロ機器部品の表面の自己析出型表面処理被覆方法、及び自己析出型表面処理被膜を有する電子部品及びマイクロ機器部品
JP4961445B2 (ja) * 2009-02-13 2012-06-27 東光株式会社 モールドコイルの製造方法およびそのモールドコイル
KR101983136B1 (ko) * 2012-12-28 2019-09-10 삼성전기주식회사 파워 인덕터 및 그 제조방법
KR101721630B1 (ko) * 2013-01-29 2017-03-30 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 세라믹 전자 부품 및 그 제조 방법
JP5614479B2 (ja) * 2013-08-09 2014-10-29 Tdk株式会社 コイル部品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016178282A (ja) 2016-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6583003B2 (ja) 電子部品およびその製造方法
US11817244B2 (en) Method for manufacturing electronic component
JP6176405B2 (ja) 電子部品及びその製造方法
US11120934B2 (en) Electronic component and method for manufacturing electronic component
JP6508023B2 (ja) 電子部品及び電子部品の製造方法
US11232895B2 (en) Coil component and method for manufacturing coil component
CN108109808B (zh) 线圈部件
KR101721628B1 (ko) 세라믹 전자 부품 및 그 제조 방법
US20130319734A1 (en) Package substrate and method of manufacturing the same
JP2015156432A (ja) インダクタの製造方法
JP6481776B2 (ja) コイル部品およびその製造方法
WO2016017511A1 (ja) 電子部品及びその製造方法
KR101088410B1 (ko) 메탈 pcb 기판의 열 방출 향상을 위한 표면처리방법
JP6676370B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2013051377A (ja) チップ状固体電解コンデンサおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6583003

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150