以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、太陽光発電システム100の構成例を示すブロック図である。太陽光発電システム100は、商用電力系統CSと系統連系運転が可能な分散型電源であり、太陽電池ストリングPV及び蓄電装置Sを有している。太陽光発電システム100は、たとえば単相三線の通電路Pを介して商用電力系統CSと電気的に接続されている。この太陽光発電システム100では、太陽電池ストリングPVの発電電力を直流から交流に変換し、太陽光発電システム100から通電路Pを介して商用電力系統CSに電力を伝送(すなわち逆潮流)して、該電力を電力会社などに売電することが可能となっている。また、商用電力系統CSから通電路Pへ電力の供給を受けて、電力会社などから該電力を買電することもできる。以下では、商用電力系統CSに逆潮流(売電)される電力を逆潮流電力と呼び、商用電力系統CSから通電路Pに供給される電力を順潮流電力と呼ぶ。
通電路Pは第1通電路Pa、第2通電路Pb、及び第3通電路Pcを含んで構成されている。第1通電路Paは太陽光発電システム100の後述する一体型パワーコンディショナ1に接続され、第2通電路Pbは後述する発電用パワーコンディショナ2に接続されている。以下では、一体型パワーコンディショナ1を一体型PCS(Power Conditioning System)1と呼び、発電用パワーコンディショナ2を発電用PCS2と呼ぶ。第3通電路Pcは商用電力系統CSに接続されている。また、第3通電路Pcには、電力負荷Lが接続されている。この電力負荷Lは、たとえば家庭内の電化製品、工場の設備装置などの電力負荷(機器)であり、第3通電路Pcから供給される電力WLを消費する。なお、以下では、電力負荷Lで消費される電力WLを消費電力WLと呼ぶ。
次に、太陽光発電システム100の構成について説明する。太陽光発電システム100は、図1に示すように、電力量計Mと、太陽電池ストリングPVと、蓄電装置Sと、一体型PCS1と、発電用PCS2と、コントローラ3と、を備えている。
電力量計Mは商用電力系統CS及び電力負荷L間における第3通電路Pc上の受電点(不図示)に設けられている。電力量計Mは、第3通電路Pc上の受電点において電力Wrが流れる方向、その電力量([Wh])及び電力値([W])を検出する電力検出器であり、その検出結果を示す検出情報をコントローラ3に出力する。なお、以下では、電力量計Mが検出する電力Wrを受電点電力Wrと呼ぶ。また、電力量計Mは、商用電力系統CSから離れる方向に流れる受電点電力Wrの電力値を正の値で示し、商用電力系統CSに向かう方向に流れる受電点電力Wrの電力値を負の値で示す。すなわち、電力量計Mは、順潮流電力の電力値を受電点電力Wrの正の値で示し、逆潮流電力の電力値を受電点電力Wrの負の値で示す。
太陽電池ストリングPVは、第1太陽電池ストリングPV1及び第2太陽電池ストリングPV2を含んで構成されている。各太陽電池ストリングPV1及びPV2は、1又は直列接続された複数の太陽電池モジュールを含む発電装置である。第1太陽電池ストリングPV1は一体型PCS1に接続され、第2太陽電池ストリングPV2は発電用PCS2に接続されている。各太陽電池ストリングPV1及びPV2は、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力(発電電力W1、W2)を各PCS1、2に出力する。なお、各PCS1、2に接続される太陽電池ストリングPVの数は、図1の例示に限定されず、それぞれ複数であってもよい。
蓄電装置Sは、繰り返し充放電可能な充放電機能を有する。たとえば蓄電装置Sは、一体型PCS1から供給される直流電力WSを充電でき、その蓄電量に応じた直流電力を一体型PCS1に放電することもできる。以下では、充電の際に一体型PCS1から蓄電装置Sに供給されて充電される電力WSを充電電力WSと呼び、放電の際に蓄電装置Sから一体型PCS1に出力される電力を放電電力と呼ぶ。なお、蓄電装置Sの構成は特に限定しない。たとえば、蓄電装置Sはリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、及び鉛電池などの二次電池を含んでいてもよい。或いは、蓄電装置Sは電気二重層キャパシタなどを含んでいてもよい。また、蓄電装置Sの数は、図1の例示に限定されず、複数であってもよい。
次に、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1のような発電装置以外に蓄電装置Sのようなエネルギー貯蔵装置にも接続可能な電力制御装置である。一体型PCS1は、通電路P(第1通電路Pa)、第1太陽電池ストリングPV1、及び蓄電装置Sと接続され、通電路Pを介して商用電力系統CSと接続されている。一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電を制御し、通常時には、たとえばMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御により、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1が最大となるように第1太陽電池ストリングPV1の動作電圧(動作点)を制御する。但し、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電を制限する必要がある場合、第1太陽電池ストリングPV1の動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力W1を調整する。また、一体型PCS1は、たとえば、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1の少なくとも一部を電力変換して第1通電路Paに出力する。このほか、一体型PCS1は、蓄電装置Sの蓄放電制御装置としても機能する。たとえば、一体型PCS1は、発電電力W1の少なくとも一部を蓄電装置Sに充電電力WSとして供給したり、第1通電路Paを流れる電力Waを電力変換して蓄電装置Sに充電電力WSとして供給したり、蓄電装置Sから放電電力の供給を受けたりする。
この一体型PCS1は、DC/DCコンバータ11と、双方向インバータ12と、平滑コンデンサ13と、双方向DC/DCコンバータ14と、通信部15と、メモリ16と、IC17と、を有している。また、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はバスラインBLを介して相互に接続されている。
DC/DCコンバータ11は、第1太陽電池ストリングPV1に接続される直流変換部である。DC/DCコンバータ11は、第1太陽電池ストリングPV1及びバスラインBL間に設けられ、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1を所定電圧値の直流の電力に変換してバスラインBLに出力する。また、DC/DCコンバータ11は第1太陽電池ストリングPV1に逆電流が流れることを防止している。
双方向インバータ12は、IC17により制御される双方向電力変換部であり、バスラインBL及び第1通電路Pa間に設けられている。双方向インバータ12は、PWM(Pulse Width Modulation)制御又はPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御などによって、図1に示すような双方向a、bの電力変換を行うことができる。たとえば、双方向インバータ12は、第1通電路Paから入力される交流電力Waを直流電力にAC/DC変換してバスラインBLに出力することができる。また、双方向インバータ32は、バスラインBLから入力される直流電力(発電電力W1及び蓄電装置Sの放電電力のうちの少なくとも一方)を商用電力系統CS及び電力負荷Lの電力規格に応じた交流周波数の交流電力WbにDC/AC変換して第1通電路Paに出力することができる。
なお、以下では、双方向インバータ12が第1通電路Paから入力される電力Waを電力変換してバスラインBLに出力することを順変換方向aの電力変換と呼ぶ。また、順変換方向aの電力変換を順変換と呼び、順変換される電力Waを順変換電力Waと呼ぶ。また、双方向インバータ12がバスラインBLから入力される電力を電力変換して第1通電路Paに出力することを逆変換方向bの電力変換と呼ぶ。また、逆変換方向bの電力変換を逆変換と呼び、逆変換された電力Wbを逆変換電力Wbと呼ぶ。
ここで、一体型PCS1から出力が許容される逆変換電力Wbの上限値は、コントローラ3の電力制御管理により制限される。以下では、この上限値を逆変換上限値と呼ぶ。逆変換上限値は、後述するように逆変換制御値Xb[%]を用いて{(Xb/100)×E1}で表される。この逆変換上限値は、通常(たとえば出力制御期間以外)では一体型PCS1の定格電力E1(すなわちXb=100[%])と同じ値に設定される。なお、定格電力E1は、設計時に保証された一体型PCS1の出力電力(すなわち逆変換電力Wb)の上限に設定される定格値E1である。また、逆変換上限値は、たとえば商用電力系統CSの運用者から逆潮流電力の出力制御が指令された場合、該運用者が指定する出力制御期間においてコントローラ3の電力制御管理により0以上E1以下の値に設定される。
平滑コンデンサ13は、バスラインBLに接続され、バスラインBLを流れる電力のバス電圧値の変動を除去又は軽減する。
双方向DC/DCコンバータ14は、IC17により制御される充放電電力変換部であり、バスラインBL及び蓄電装置S間に設けられている。双方向DC/DCコンバータ14は、バスラインBLから入力される直流電力を蓄電装置Sの電力規格に適した直流の充電電力WSにDC/DC変換して蓄電装置Sに出力することができる。また、双方向DC/DCコンバータ14は、蓄電装置Sの放電電力を所定電圧値の直流電力に変換してバスラインBLに出力することもできる。なお、以下では、双方向DC/DCコンバータ33がバスラインBLから入力される電力を電力変換して蓄電装置Sに出力することを充電方向Aの電力変換と呼ぶ。さらに、充電方向Aの電力変換を充電変換と呼ぶ。また、双方向DC/DCコンバータ14が蓄電装置Sの放電電力を電力変換してバスラインBLに出力することを放電方向Bの電力変換と呼ぶ。さらに、放電方向Bの電力変換を放電変換と呼ぶ。
通信部15は、コントローラ3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。たとえば、通信部15は、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14の動作状態(特に、電力変換量、電力変換方向、定格電力E1など)をコントローラ3に送信する。また、通信部15は、コントローラ3から一体型PCS1の電力制御を管理するための制御情報を受信する。
メモリ16は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。メモリ16は、一体型PCS1の各構成要素(特にIC17)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
IC17は、メモリ16に格納された情報及びプログラムなどを用いて、一体型PCS1の各構成要素を制御する制御部である。たとえば、IC17は、コントローラ3から出力される制御情報に基づいて、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14を制御し、特にそれらの電力変換を制御する。
次に、発電用PCS2について説明する。発電用PCS2は第2太陽電池ストリングPV2の発電を制御する電力制御装置である。発電用PCS2は、通電路P(第2通電路Pb)及び第2太陽電池ストリングPV2と接続され、通電路Pを介して商用電力系統CSと接続されている。発電用PCS2は、たとえば、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2を電力変換して第2通電路Pbに出力する。また、発電用PCS2は、通常時には、たとえばMPPT制御により、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2が最大となるように第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧(動作点)を制御する。但し、発電用PCS2は、第2太陽電池ストリングPV2の発電を制限する必要がある場合、第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力W2を調整する。
この発電用PCS2は、DC/DCコンバータ21と、インバータ22と、通信部25と、メモリ26と、IC27と、を有している。また、DC/DCコンバータ21及びインバータ22はバスライン(不図示)を介して相互に接続されている。
DC/DCコンバータ21は、第2太陽電池ストリングPV2に接続される直流変換部であり、第2太陽電池ストリングPV2及びインバータ22間に設けられている。DC/DCコンバータ21は、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2を所定電圧値の直流の電力に変換してインバータ22に出力する。また、DC/DCコンバータ21は第2太陽電池ストリングPV2に逆電流が流れることを防止している。
インバータ22は、IC27により制御される電力変換部であり、バスライン及びDC/DCコンバータ21間に設けられている。インバータ22は、PWM制御又はPAM制御などによって、DC/DCコンバータ21から出力される直流電力を商用電力系統CS及び電力負荷Lの電力規格に応じた交流周波数の交流電力Wcに変換して第2通電路Pbに出力することができる。
なお、以下では、インバータ22がDC/DCコンバータ21から出力される直流電力を電力変換して第2通電路Pbに出力する電力Wcを変換電力Wcと呼ぶ。ここで、変換電力Wcの上限値はコントローラ3の電力制御管理により制限される。以下では、この上限値を変換上限値と呼び、後述するように変換制御値Y[%]を用いて{(Y/100)×E2}で表す。この変換上限値は、通常(たとえば出力制御期間以外)では発電用PCS2の定格電力E2(すなわちY=100[%])と同じ値に設定される。なお、定格電力E2は、設計時に保証された発電用PCS2の出力電力(すなわち変換電力Wc)の上限に設定される定格値E2である。また、変換上限値は、たとえば商用電力系統CSの運用者から逆潮流電力の出力制御が指令された場合、該運用者が指定する出力制御期間においてコントローラ3の電力制御管理により0以上E2以下の値に設定される。
通信部25は、コントローラ3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。たとえば、通信部25は、DC/DCコンバータ21及びインバータ22の動作状態(特に、電力変換量、定格電力E2など)をコントローラ3に送信する。また、通信部25は、発電用PCS2の電力制御を管理するための制御情報をコントローラ3から受信する。
メモリ26は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。メモリ26は、発電用PCS2の各構成要素(特にIC27)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
IC27は、メモリ26に格納された情報及びプログラムなどを用いて、発電用PCS2の各構成要素を制御する制御部である。たとえば、IC27は、コントローラ3から出力される制御情報に基づいて、DC/DCコンバータ21及びインバータ22を制御し、特にその電力変換を制御する。
次に、コントローラ3について説明する。コントローラ3は、商用電力系統CSと連系運転可能な一体型PCS1及び発電用PCS2を制御・管理する電力管理装置である。コントローラ3は、図1に示すように、表示部31と、入力部32と、通信部33と、通信I/F34と、記憶部35と、CPU36と、を備えている。
表示部31はディスプレイ(不図示)に太陽光発電システム100に関する情報などを表示する。
入力部32は、ユーザ入力を受け付け、該ユーザ入力に応じた入力情報をCPU36に出力する。たとえば、入力部32には、商用電力系統CSの運用者が指定する逆潮流電力の後述する出力制御期間及び後述する出力制御値αなどが入力される。なお、この場合、出力制御期間及び出力制御値αは互いに対応付けられて後述する出力制御情報に設定されて記憶部35に格納される。
通信部33は、一体型PCS1及び発電用PCS2と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。通信部33は、たとえば、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力変換に関する情報を受信してCPU36に出力し、CPU36から出力される制御情報を一体型PCS1及び発電用PCS2に送信する。また、通信部33は、たとえば、一体型PCS1の電力変換に関する情報、蓄電装置Sに充放電に関する情報、及び発電用PCS2の電力変換に関する情報などを受信する。
通信I/F34は、ネットワークNT(たとえばインターネット)に接続される通信インターフェースである。
記憶部35は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する記憶媒体である。記憶部35は、コントローラ3の各構成要素(特にCPU36)で用いられる様々な情報及びソフトウェアプログラムなどを格納している。また、記憶部35は、後述する情報取得部361により取得、又はユーザ入力により作成された出力制御情報を格納している。この出力制御情報には、出力制御期間及び出力制御値αが互いに対応付けられて設定されている。出力制御期間及び出力制御値αは商用電力系統CSの運用者又はユーザにより指定される。出力制御期間は太陽光発電システム100(たとえば第1及び第2PCS1、2)が通電路Pに出力する出力電力WTを抑制する制御を行う期間である。また、出力制御値αは、出力制御期間において許容される出力電力WTの上限(特に逆変換電力Wb及び変換電力Wcの上限)を示している。出力制御値αは、PCS1、2の各定格電力E1、E2に対して出力が許容される電力Wb、Wcの上限値の比率α[%](0≦α≦100)で指定される。
CPU36は、情報を非一時的に保持する記憶部35に格納された制御情報及びプログラムなどを用いて、コントローラ3の各構成要素を制御する。CPU36は、機能的な構成要素として、情報取得部361と、電力監視部362と、算出部363と、タイマ364と、管理部365とを有している。
情報取得部361は、通信I/F34を介してネットワークNTからさまざまな情報(たとえば出力制御情報)を取得する。出力制御情報は、たとえば、太陽光発電システム100に通知、又はネットワークNT(或いはネットワークNTに接続されたサーバなど)に公開されている。
電力監視部362は、太陽光発電システム100の電力を監視する。電力監視部362は、第3通電路Pcに設けられた電力量計Mの検出結果に基づいて商用電力系統CS及び電力負荷L間の第3通電路Pc上の受電点を流れる電力を監視する。たとえば、電力監視部362は、電力量計Mの検出結果に基づいて受電点電力を検知する。また、電力監視部362は、各PCS1、2の入出力電力(すなわち順変換電力Wa、逆変換電力Wb、変換電力Wc)及び蓄電装置Sの充放電電力を検知する。さらに、電力監視部362は、たとえば電力量計Mが検知する受電点電力Wr及び通信部33が受信する各PCS1、2の入出力電力Wa、Wb、Wcに基づいて消費電力WLを検知することもできる。或いは、電力負荷L及び第3通電路Pc間の通電路に消費電力WLを検出する他の電力量計(不図示)を設けてもよい。この場合、電力監視部362はその電力量計の検出結果に基づいて消費電力WLを検知することができる。このほか、電力監視部362は、通信部33によって第1及び第2太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電電力W1、W2を検知することもできる。或いは、電力監視部362は、コントローラ3から各PCS1、2に通知した逆変換制御値Xb、変換制御値Y、及び通信部33が受信する各PCS1、2の入出力電力Wa、Wb、Wcなどに基づいて、各太陽電池ストリング1、2の発電電力W1、W2を検知する事もできる。
算出部363は様々な管理パラメータを算出、決定する。たとえば、算出部363は、出力制御情報に設定された出力制御値αに基づいて出力制御期間に許容される出力電力WTの上限値を算出して決定する。また、算出部363は、一体型PCS1の定格電力E1、発電用PCS2の定格電力E2、及び出力制御値αなどに基づく逆変換制御値Xb[%]及び変換制御値Y[%]を算出する。逆変換制御値Xbは、一体型PCS1の定格電力E1に対して一体型PCS1から出力が許容される逆変換電力Wbの逆変換上限値の割合を比率Xbで示す第1の制御値である。変換制御値Yは、発電用PCS2の定格電力E2に対して発電用PCS2から第2通電路Pbに出力できる変換電力Wcの変換上限値の割合を比率Yで示す第2の制御値である。なお、一体型PCS1が出力する逆変換電力Wbを発電用PCS2が出力する変換電力Wcよりも優先して抑制するため、通常、逆変換制御値Xb[%]は変換制御値Y以下に設定される。
タイマ364は、計時部であり、現在日時(すなわち現時点の日付及び時刻)を計時したり所定の時点から現時点までの経過時間を計時したりする。
管理部365は、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力制御を管理する。たとえば、管理部365は、一体型PCS1に制御情報を出力し、DC/DCコンバータ11による太陽電池ストリングPV1の制御、双方向インバータ12及び双方向DC/DCコンバータ14の電力変換を管理する。また、管理部365は、発電用PCS2に制御情報を出力し、DC/DCコンバータ21における第2太陽電池ストリングPV2の制御、DC/DCコンバータ21及びインバータ22の電力変換を管理する。また、管理部365は、出力制御情報に設定された出力制御期間において、該出力制御情報、電力監視部362の監視結果、算出部363の算出・決定結果などに基づいて、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力制御を管理する。この際、管理部365は一体型PCS1から出力される逆変換電力Wbを発電用PCS2から出力される変換電力Wcよりも優先して抑制させる。
次に、余剰買取制度における出力制御期間中の太陽光発電システム100の電力制御の一例を説明する。図2は、余剰買取制度にて出力制御期間に許容される太陽光発電システム100の電力制御を説明するためのグラフである。図2の太い実線は余剰買取制度において実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUを示す。一点鎖線は太陽電池ストリングPVの総発電電力(W1+W2)の経時変化を示す。破線は電力負荷Lの消費電力WLの経時変化を示す。図2において、出力制御期間は9時〜15時となっており、出力制御情報にて出力制御値α=40%が指定されている。出力制御値αに基づいて許容される各PCS1、2の総出力の上限値の総和はα(E1+E2)/100となる。これは、出力制御値αに基づいて許容される出力電力WTの上限でもある。なお、出力制御値が100[%]の状態は出力制御指示がない状態を示す。
余剰買取制度では、図2の太い実線よりも下の領域(言い換えると太い実線及び横軸間の領域)での売電が許可される。すなわち、出力制御値α[%](0≦α<100)の出力制御指示がある場合、出力制御期間では、原則として、たとえば図2の9時〜10時のように、一体型PCS1及び発電用PCS2からの出力が許容されている各電力Wb、Wcの上限値はそれぞれαE1/100、αE2/100に制限される。すなわち、定格電力E1、E2のα[%]以下の電力出力しか許可されない。ただし、図2の10時〜15時のように、消費電力WLが各PCS1、2の総出力の上限値α(E1+E2)/100を上回る場合、図2の斜線部のように、その差に応じた電力を各PCS1、2からさらに出力することが許容される。すなわち、この場合、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは消費電力WLと同じ値となる。
なお、許容上限値WU、消費電力WL、及び総発電電力(W1+W2)の経時変化を見ると、図2の出力制御期間のうちの9時〜10時では、総発電電力(W1+W2)は消費電力WLよりも大きく、且つ、許容上限値WUも消費電力WLよりも大きくなっている。すなわち、WL<WU={α(E1+E2)/100}<(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、太陽光発電システム100は余剰の電力を商用電力系統CSに逆潮流して売電しており、受電点電力はWr≦0である。
また、出力制御期間のうちの10時〜14時30分では、許容上限値WUは消費電力WLと同じ値とされ、総発電電力(W1+W2)は消費電力WLよりも大きくなっている。すなわち、WU=WL<(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、太陽光発電システム100は、各PCS1、2から出力する電力Wb、Wcを調整することにより、消費電力WLと同じ電力を電力負荷Lに供給できる。
また、出力制御期間のうちの14時30分〜15時では、許容上限値WUは消費電力WLと同じ値に設定され、総発電電力(W1+W2)は消費電力WLよりも小さくなっている。すなわち、WU=WL>(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、太陽光発電システム100は、総発電電力(W1+W2)のみでは消費電力WLと同じ電力を電力負荷Lに供給できない。すなわち、PCS1、2は、各変換制御値Xb、Yを100%として出力しても、定格電力E1、E2と同じ電力Wb、Wcを出力しても消費電力WLには足りない。従って、太陽光発電システム100は、不足分の電力を商用電力系統CSから順潮流して買電している。
次に、太陽光発電システム100が出力制御指示を受けた場合に上述のような電力制御を行うために、コントローラ3が行う一体型PCS1及び発電用PCS2の電力管理処理について説明する。図3は、コントローラ3の電力管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。図3の処理は、たとえば、情報制御部361が出力制御情報を取得したり、出力制御指示の内容が入力部32にユーザ入力されたりすると開始される。
管理部365は、記憶部35から出力制御情報を読み出し、該出力制御情報に設定されている出力制御期間のスケジュールと各出力制御期間での出力制御値αを取得する(S101)。タイマ364は、現在日時を取得し(S102)、直近の出力制御期間に達したか否かを判定する(S103)。
出力制御期間に達したと判定されない場合(S103でNO)、管理部365は、一体型PCS1の逆変換制御値Xbと発電用PCS2の変換制御値Yとをともに100[%]に設定する(S104)。この際、各PCS1、2は出力制御指示が無いために出力制限されない。そして、処理は後述するS115に進む。
一方、出力制御期間に達したと判定される場合(S103でYES)、電力監視部362は受電点電力Wr及び消費電力WLを検知し(S105)、電力監視部362は受電点電力Wrが0[W]よりも大きいか否かを判定する(S106)。Wr>0ではない場合(S106でNO)、管理部365は、一体型PCS1の逆変換制御値Xbと発電用PCS2の変換制御値Yとをともに出力制御値α[%]に設定する(S107)。従って、各PCS1、2は出力制御値αに応じて上限値αE1/100、αE2/100以下の電力Wb、Wcを出力する。また、余剰の電力{(Wb+Wc)−WL}(>0)は商用電力系統CSに売電される。そして、処理はS115に進む。
Wr>0である場合(S106でYES)、電力監視部362はさらに消費電力WLが一体型PCS1及び発電用PCS2の各定格電力の総和(E1+E2)よりも大きいか否かを判定する(S108)。なお、各定格電力の総和(E1+E2)は出力制御期間において出力制御値αに基づいて許容される出力電力WTの上限値の一例である。WL>(E1+E2)である場合(S108でYES)、管理部365は、一体型PCS1の逆変換制御値Xbと発電用PCS2の変換制御値Yとをともに100[%]に設定する(S109)。すなわち、各PCS1、2は出力制御されないが、不足分の電力{WL−(Wb+Wc)}(>0)は商用電力系統CSから買電される。そして、処理はS115に進む。
また、WL>(E1+E2)ではない場合(S108でNO)、PCS1、2の各変換制御値Xb、Yを調整することにより、消費電力WLと同じ電力を電力負荷Lに供給できる。この場合、管理部365は変換制御値Yを100[%]以下の範囲内の値に調整することによって受電点電力Wr=0にできるか否かを判定する(S110)。たとえば、管理部365は、各制御値α、Xb、Y、及び電力監視部362の検知結果などに基づいて算出される変換制御値Yを発電用PCS2に通知した場合に、変換電力Wcが変化するか否かを判定したり、変換電力Wcの変化によって受電点電力Wrを0にできるか否かを判定したりする。
変換制御値Yの調整により受電点電力Wr=0にできる場合(S110でYES)、管理部365は、変換制御値Yを受電点電力Wr=0となる値に設定する(S111)。そして、管理部365は、逆変換制御値Xbを出力制御値α[%]に設定する(S112)。そして、処理はS115に進む。
変換制御値Yを調整しても受電点電力Wr=0にできない場合(S110でNO)、管理部365は変換制御値Yを100[%]に設定する(S113)。そして、算出部365は、変換制御値Y=100[%]の場合に受電点電力Wr=0となる逆変換制御値Xbの値を算出し、管理部365が逆変換制御値Xbを算出値に設定する(S114)。そして、処理はS115に進む。
次に、管理部365の制御によって通信部33は、一体型PCS1に逆変換制御値Xbを通知し、発電用PCS2に変換制御値Yを通知する(S115)。そして、処理はS101に戻る。
次に、逆変換制御値Xbの通知を受信した一体型PCS1の電力制御処理について説明する。図4は、一体型PCS1の電力制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、通信部15が逆変換制御値Xbを受信すると(S201)、IC17は、一体型PCS1の定格電力E1に対して第1通電路Paに出力する逆変換電力Wbの比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xbを越えているか否かを判定する(S202)。該比率が逆変換制御値Xbを越えている場合(S202でYES)、双方向インバータ12での逆変換量が低減されることにより、逆変換電力Wbが減少する(S203)。そして、処理は後述するS206に進む。
一方、上記比率が逆変換制御値Xbを越えない場合(S202でNO)、上記比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xb未満であるか否かを判定する(S204)。該比率が逆変換制御値Xb未満でない場合(S204でNO)、処理はS206に進む。また、該比率が逆変換制御値Xb未満である場合(S204でYES)、双方向インバータ12での逆変換量が増加されることにより、逆変換電力Wbが増加する(S205)。そして、処理はS206に進む。
次に、たとえばS203で逆変換電力Wbが減少すると、発電電力W1に余剰電力が発生する場合がある。余剰電力がある場合、バスラインBLのバス電圧値は上昇する。そのため、バスラインBLのバス電圧値が閾値以上であれば(S206でYES)、余剰電力が発生すると判断し、双方向DC/DCコンバータ14は充電変換を行う(S207)。この処理により蓄電装置Sが充電を実行し、処理はS201に戻る。
一方、バスラインBLのバス電圧値が閾値未満であれば(S206でNO)、余剰電力が発生しないと判断し、双方向DC/DCコンバータ14は放電変換を行う(S208)。この処理により蓄電装置Sが放電を実行し、処理はS201に戻る。
次に、変換制御値Yの通知を受信した発電用PCS2の電力制御処理について説明する。図5は、発電用PCS2の電力制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、通信部25が変換制御値Yを受信すると(S301)、IC27は、発電用PCS2の定格電力E2に対して第1通電路Paに出力する変換電力Wcの比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Yを越えているか否かを判定する(S302)。該比率が変換制御値Yを越えている場合(S302でYES)、インバータ22での電力変換量が低減されることにより、変換電力Wcが減少する(S303)。そして、処理はS301に戻る。
一方、上記比率が変換制御値Yを越えない場合(S302でNO)、上記比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Y未満であるか否かを判定する(S304)。該比率が変換制御値Y未満でない場合(S304でYES)、そのまま、処理はS301に戻る。また、該比率が変換制御値Y未満である場合(S304でYES)、インバータ22での電力変換量が増加されることにより、変換電力Wcが増加する(S305)。そして、処理はS301に戻る。
次に、余剰買取制度における出力制御期間中の太陽光発電システム100の電力制御について動作例を挙げてさらに詳述する。
図6は、太陽光発電システム100の余剰買取制御の動作例を説明するための概要図である。図6は、出力制御期間に達する前後における制御例を示している。商用電力系統CSの運用者から指令された出力制御指示が示す出力制御値αは0[%]とされている。MPPT制御された場合の第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1は4[kW]となっている。第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2は4[kW]となっている。電力負荷Lの消費電力WLは2[kW]である。さらに、一体型PCS1の定格電力E1及び発電用PCS2の定格電力E2はともに4[kW]となっている。
出力制御期間に達する前において、一体型PCS1には逆変換制御値Xb=100[%]が通知され、発電用PCS2には変換制御値Y=100[%]が通知されている。そのため、一体型PCS1の逆変換上限値{(Xb/100)×E1}は4[kW]に設定され、発電用PCS2の変換上限値{(Y/100)×E2}は4[kW]に設定されている。従って、一体型PCS1から逆変換電力Wb=4[kW]が出力でき、発電用PCS2から変換電力Wc=4[kW]が出力できる。よって、第3通電路Pcには出力電力WT=8[kW]が出力できる。この状態では、出力電力WTの一部は電力負荷Lで消費されるが、出力電力WTは電力負荷Lの消費電力WL=2[kW]よりも大きい。従って、受電点電力はWr=−6[kW]となり、商用電力系統CSには6[kW]の逆潮流電力が売電されている。
出力制御期間になると、出力制御指示に基づいて出力電力WTが制限される。ここで、太陽光発電システム100は売電しており、出力制御指示では出力制御値α=0[%]が指令されている。そのため、一体型PCS1には逆変換制御値Xb=0[%]が通知されて発電用PCS2には変換制御値Y=0[%]が通知される。従って、一旦は、Wb=Wc=WT=0となり、消費電力WLに供給する2[kW]の順潮流電力が商用電力系統CSから買電される。また、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1=4[kW]を全て蓄電装置Sに充電する。
ここで余剰買取制度(図2参照)では、消費電力WLが出力制御値αに基づく出力電力WTの上限を上回る場合には、その差に応じた値の出力電力WTの出力が許容されている。そのため、コントローラ3は、受電点電力Wr=0とするために、発電用PCS2に変換制御値Y=50[%]を通知する。そのため、発電用PCS2は、第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧を調整して発電電力W2を2[kW]とし、変換電力Wc=2[kW]を出力する。なお、変換制御値Yの調整によって受電点電力Wr=0とできるため、逆変換制御値Xbは変更されない。そのため、逆変換電力Wbは0[kW]のままである。そして、出力電力WT(=2[kW])が第3通電路Pcに出力されて電力負荷Lで消費される。従って、受電点電力Wr=0となる。
次に、前述の動作例(図6参照)での出力制御期間中に、消費電力WLが増加した場合(2[kW]→5[kW])の動作を説明する。図7は、太陽光発電システム100の余剰買取制御の他の動作例を説明するための概要図である。
図7のように、消費電力WLが増加すると、出力電力WT=2[kW]が消費電力WL=5[kW]よりも小さくなる。そのため、太陽光発電システム100は不足分の電力を買電し、受電点電力Wr=3[kW]となる。この状態では、たとえ発電用PCS2の変換制御値Yを100[%]に調整しても受電点電力Wrを0[kW]にはできないので、一体型PCS1の逆変換電力Wbを増加させる必要がある。また、前述のように、余剰買取制度(図2参照)では、消費電力WLが出力制御値αに基づく出力電力WTの上限を上回る場合には、その差に応じた値の出力電力WTの出力が許容されている。
そのため、コントローラ3は、発電用PCS2に変換制御値Y=100[%]を通知し、変換制御値Y=100[%]の場合に受電点電力Wr=0にできる逆変換制御値Xb=25[%]を一体型PCS1に通知する。従って、一体型PCS1は、逆変換電力Wb=1[kW]を出力する。なお、蓄電装置Sに供給する充電電力WSは低減されて3[kW]にされる。また、発電用PCS2は変換電力Wc=4[kW]を出力する。そして、出力電力WTは5[kW]に増加して電力負荷Lで消費される。従って、受電点電力Wr=0となる。
次に、図6の動作例での出力制御期間中に、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2が低下した場合(2[kW]→0.5[kW])の動作を説明する。図8は、太陽光発電システム100の余剰買取制御の更なる他の動作例を説明するための概要図である。
図8のように、出力制御期間において第2太陽電池ストリングPV2をMPPT制御しても0.5[kW]の発電電力W2しか生成できなくなると、変換電力Wc及び出力電力WTは0.5[kW]に低下して、出力電力WTが消費電力WL=2[kW]よりも小さくなる。そのため、太陽光発電システム100は不足分の電力を買電し、受電点電力Wr=1.5[kW]となる。この状態では、たとえ発電用PCS2の変換制御値Yを100[%]に調整しても、変換電力Wc及び出力電力WTは0.5[kW]のままとなって増加しない。従って、受電点電力Wr=0[kW]とするためには、一体型PCS1の逆変換電力Wbを増加させる必要がある。また、前述のように、余剰買取制度(図2参照)では、消費電力WLが出力制御値αに基づく出力電力WTの上限を上回る場合には、その差に応じた値の出力電力WTの出力が許容されている。
そのため、コントローラ3は、受電点電力Wr=0とするために、一体型PCS1に逆変換制御値Xb=37.5[%]を通知し、発電用PCS2に変換制御値Y=100[%]を通知する。従って、一体型PCS1は、逆変換電力Wb=1.5[kW]を出力する。なお、蓄電装置Sに供給する充電電力WSは低減されて2.5[kW]にされる。また、発電用PCS2が出力する変換電力Wcは0.5[kW]のままである。そして、出力電力WT(=2[kW])が第3通電路Pcに出力されて電力負荷Lで消費される。従って、受電点電力Wr=0となる。
次に、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時変化の一例を説明する。図9は、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時的な設定例を示すグラフである。なお、図9では、設定例をわかり易くするため、太陽電池ストリングPVの総発電電力(W1+W2)の図示は省略している。また、図9では、時刻t1において、出力制御値α(たとえば25[%])を示す出力制御指示に基づく出力制御期間が開始されている。なお、出力制御値α及び消費電力WL以外の条件は図6と同様である。また、逆変換電力Wbは逆変換上限値{(Xb/100)×E1}と同じ値まで出力され、変換電力Wcは変換上限値{(Y/100)×E2}と同じ値まで出力されるものとする。
また、図9において、実線G1は逆変換上限値(すなわち逆変換電力Wbの上限)の経時変化を示すグラフである。実線G2は変換上限値(すなわち変換電力Wcの上限)の経時変化を示すグラフである。領域A1は出力制御指示で許容されている出力電力WTの上限値α(E1+E2)/100の電力量を示している。領域A2は、消費電力WLが出力制御値αに応じた出力電力WTの上限値α(E1+E2)/100を上回る場合に発電用PCS2から出力される変換電力Wcで補われる電力量を示している。領域A3は、消費電力WLが出力制御値αに応じた出力電力WTの上限値を上回り且つ変換制御値Yが100[%]に達した場合に、一体型PCS1から出力される逆変換電力Wbで補われる電力量を示している。
時刻t1以前の時間帯T1では図9に示すように、出力制御期間に達していないため、一体型PCS1及び発電用PCS2の出力は制限されない。そのため、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに100[%]に設定される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値{(Xb/100)×E1}及び発電用PCS2の変換上限値{(Y/100)×E2}は4[kW]に設定される。実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは8[kW]に設定される。
時刻t1になると出力制御期間に達しており、時間帯T2では、消費電力WLは出力制御値αに基づく出力電力WTの上限値α(E1+E2)/100よりも低い。従って、この時間帯T2では、一体型PCS1及び発電用PCS2の出力は制限され、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに出力制御値αに応じて25[%]とされる。よって、一体型PCS1の逆変換上限値及び発電用PCS2の変換上限値はともに1[kW]に設定され、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは2[kW]に設定される。なお、図9では、内容を理解し易くするために、一体型PCS1及び発電用PCS2の出力が瞬時に変化するように図示した。
時刻t2以降では、消費電力WLは出力制御値αに基づく出力電力WTの上限値よりも大きくなる。また、逆変換電力Wbよりも変換電力Wcの出力を優先するため、変換制御値Yは消費電力WLと出力制御値αに基づく出力電力WTの上限値との差[WL−{α(E1+E2)/100}]に応じて増加される。従って、時間帯T3では、変換制御値Yは25[%]から100[%]まで増加する。なお、逆変換制御値Xbは25%のまま維持される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値は1[kW]に維持され、発電用PCS2の変換上限値は1[kW]から4[kW]まで増加し、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは2[kW]から5[kW]まで増加する。
時刻t3になると、変換制御値Yは最大値100[%]となるため、逆変換制御値Xbが消費電力WLと発電用PCS2の変換電力Wcとの差に応じて増加される。従って、時間帯T4では、逆変換制御値Xbは25[%]から100[%]まで増加する。なお、変換制御値Yは100%のまま維持される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値は1[kW]から4[kW]まで増加し、発電用PCS2の変換上限値は4[kW]に維持され、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは5[kW]から8[kW]まで増加する。
時刻t4になると、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに最大値100[%]となる。また、時間帯T5では、消費電力WLは各PCS1、2の定格出力の総和(E1+E2)=8[kW]を越えている。従って、時間帯T5では、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yがともに最大値100[%]で維持され、一体型PCS1の逆変換上限値及び発電用PCS2の変換上限値は4[kW]で維持される。よって、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは8[kW]のままで維持され、消費電力WLと定格出力の総和(E1+E2)との差に応じた電力が商用電力系統CSから買電される。
時刻t5になると、消費電力WLは各PCS1、2の定格出力の総和(E1+E2)=8[kW]よりも低くなる。従って、逆変換電力Wbを変換電力Wcよりも優先して抑制させるため、変換制御値Yは維持され、逆変換制御値Xbは逆変換制御値Xbが消費電力WLと発電用PCS2の変換電力Wcとの差に応じて低減される。従って、時間帯T6では、逆変換制御値Xbは100[%]から上記差に応じて25[%]に向かって低減する。また、逆変換制御値Xbが25[%]になるまで、変換制御値Yは100%のまま維持される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値は4[kW]から低減し、発電用PCS2の変換上限値は4[kW]に維持され、実際に許容される出力電力WTの許容上限値WUは8[kW]から低減する。
以上に説明した本実施形態によれば、電力管理装置3は、電力系統CSと連系運転可能な第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2を出力制御情報に基づいて管理する管理部365を備え、第1電力制御装置1は電力系統CSに接続された通電路Pと第1発電装置PV1及び蓄電装置Sとの間に接続されて、第2電力制御装置2は通電路Pと第2発電装置PV2との間に接続され、第2発電装置PV2の第2発電電力W2を電力変換した第2電力Wcを通電路Pに出力し、出力制御情報には、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2から通電路Pに出力される出力電力WTを制御する出力制御期間が設定され、出力制御期間において、管理部365は第1電力制御装置1から通電路Pに出力される第1電力Wbを第2電力制御装置2から通電路Pに出力される第2電力Wcよりも優先して抑制させる構成とされる。
この構成によれば、第1電力制御装置1は通電路P及び蓄電装置Sの少なくとも一方に第1電力W1を出力し、第2電力発電装置2は通電路Pに第2電力Wbを出力する。また、出力電力WTが制御される出力制御期間において、第1電力Wbは第2電力Wcよりも優先して抑制される。従って、第1電力変換装置1では、出力制御期間において、第1発電電力W1のうちの蓄電装置Sに出力される電力WSを蓄電装置Sに供給して充電できる。また、第1電力Wbが第2電力Wcよりも優先して抑制されるため、第2電力変換装置2において、たとえば第1電力Wb及び第2電力Wcが均等に抑制される場合と比較して、第2電力の抑制を低減できる。よって、出力制御期間における発電電力W1、W2を無駄なく有効に利用することができる。
また、本実施形態によれば、通電路P上の受電点に設けられた電力検出器Mの検出結果に基づいて受電点を流れる受電点電力Wrを監視する電力監視部362をさらに備え、出力制御期間において、受電点電力Wrが電力系統CSに逆潮流しておらず、且つ、通電路Pに接続された電力負荷Lの消費電力WLが出力制御期間にて許容される出力電力WTの上限よりも小さい場合、管理部365は第1電力Wbを第2電力Wcよりも優先して抑制させる構成とされる。
この構成によれば、電力系統CSに売電していない場合に、第1電力Wbを第2電力Wcよりも優先して抑制した状態で、電力系統CSから買電している受電点電力Wr(>0)を0にすることができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3は出力制御期間における第1電力Wbの上限を示す第1制御値Xb、及び第2電力Wcの上限を示す第2制御値Yを算出する算出部363をさらに備え、出力制御情報にはさらに、第1電力Wb及び第2電力Wcと出力電力WTとのうちの一方の出力制御期間における上限を示す出力制御値αが設定され、算出部363は出力制御値αに基づいて第1制御値Xb及び第2制御値Yを算出し、管理部365は、算出部363が算出した結果に基づいて出力制御期間における第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2の電力制御を管理する構成とされる。なお、この構成において、算出部363は、さらに第1電力制御装置1の第1定格電力E1及び第2電力制御装置2の第2定格電力E2に基づいて第1制御値Xb及び第2制御値Yを算出してもよい。或いは、後述するように、算出部363は、さらに第1発電電力W1の最大値W1max及び第2発電電力W2の最大値W2maxのうちの少なくとも一方に基づいて、第1制御値Xb及び第2制御値Yを算出してもよい。
この構成によれば、出力制御値αなどに基づいて第1制御値Xb及び第2制御値Yを算出できる。そして、これらの算出結果に基づいて出力制御期間における第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2の電力制御を管理できる。
また、本実施形態によれば、通常、第1制御値Xbは第2制御値Y以下に設定される構成とされる。
この構成によれば、第1制御値Xb及び第2制御値Yを第1電力Wbが第2電力Wcよりも優先して抑制される値に設定できる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3において、出力制御期間において、受電点電力Wrが電力系統CSに逆潮流しておらず、且つ、消費電力WLが出力制御期間にて許容される出力電力WTの上限よりも小さい場合に、算出部363にて受電点電力Wrが0となる第2制御値Yが算出可能であれば、管理部365は第1制御値Xbを出力制御値αと同じ値に設定する構成とされる。
この構成によれば、第2制御値Yの調整により受電点電力を0にできる場合、第1制御値Xbを出力制御値αと同じ値に設定して、第1電力Wbを第2電力Wcよりも優先して抑制させることができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3において、出力制御期間において、受電点電力Wrが電力系統CSに逆潮流しておらず、且つ、消費電力WLが出力制御期間にて許容される出力電力WTの上限よりも小さい場合に、算出部363にて受電点電力Wrが0となる第2制御値Yが算出可能でなければ、第2制御値Yを該第2制御値Yの最大値(たとえばY=100[%])に設定して、受電点電力Wrが0となる第1制御値Xbを算出する構成とされる。
この構成によれば、第2制御値Yの調整により受電点電力を0にできない場合、第2制御値Yをその最大値に設定して、受電点電力が0となる値に第1制御値Xbを調整する。これらの設定により、第1電力Wbを第2電力Wcよりも優先して抑制させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、コントローラ3が一体型PCS1と一体に設けられている。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図10は、太陽光発電システム100の他の構成例を示すブロック図である。図10の太陽光発電システム100では、一体型PCS1は、コントローラ3を内蔵しており、DC/DCコンバータ11と、双方向インバータ12と、平滑コンデンサ13と、双方向DC/DCコンバータ14と、表示部31と、入力部32と、通信部33と、通信I/F34と、記憶部35と、CPU36と、を備えている。DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はそれぞれCPU36により制御されている。また、表示部31、入力部32、通信部33、通信I/F34、記憶部35、及びCPU36は一体型PCS1及び発電用PCS2を制御・管理する電力管理装置を構成している。
なお、本実施形態ではコントローラ3は一体型PCS1に内蔵されているが、この例示に限定されず、コントローラ3は発電用PCS2に内蔵されていてもよい。
以上に説明した本実施形態によれば、電力管理装置3は、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2のうちの一方と一体に設けられる構成とされる。
この構成によれば、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2のうちの一方と電力管理装置3とが別々に設けなくてもよい。従って、電力システム100の構成を簡略化できる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、分散型電源が太陽光以外の再生可能エネルギーを利用した発電(風力、水力、地熱、バイオマス、太陽熱など自然エネルギー発電、廃棄物発電など)を行う。以下では、第1及び第2実施形態と異なる構成について説明する。また、第1及び第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電システムの一例として、風力発電システム101を挙げて説明する。風力発電システム101は、風力を利用した発電方式で電力供給を行う分散型電源である。
図11は、風力発電システム101の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、風力発電システム101は風力発電装置AGを有している。該風力発電装置AGは第1風力発電装置AG1と、第2風力発電装置AG2とを含んで構成される。各風力発電装置AG1、AG2は、たとえば水平軸プロペラ式の風車(不図示)と、風車の回転により駆動される発電機(不図示)とを含んで構成される。風車のブレードが風を受けると、風車が回転する。その回転力が発電機に伝達され、交流の電力が発電機から発電電力として出力される。第1風力発電装置AG1は一体型PCS1のAD/DCコンバータ18に接続され、第2風力発電装置AG2は発電用PCS2のAD/DCコンバータ28に接続されている。
一体型PCS1は、双方向インバータ12、平滑コンデンサ13、双方向DC/DCコンバータ14、通信部15、メモリ16、及びIC17のほかに、AC/DCコンバータ18を有している。また、AC/DCコンバータ18、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はバスラインBLを介して相互に接続されている。AC/DCコンバータ18は、第1風力発電装置AG1及びバスラインBL間に設けられ、第1風力発電装置AG1が生成する交流の発電電力を直流の電力に変換してバスラインBLに出力する。また、AC/DCコンバータ18は、第1風力発電装置AG1に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
発電用PCS2は、インバータ22、通信部25、メモリ26、及びIC27のほか、AC/DCコンバータ28を有している。AC/DCコンバータ28は、第2風力発電装置AG2及びインバータ22間に設けられ、第2風力発電装置AG2が生成する交流の発電電力を直流の電力に変換してインバータ22に出力する。また、AC/DCコンバータ28は、第2風力発電装置AG2に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の第1〜第3実施形態では、出力制御値α、逆変換制御値Xb、及び変換制御値YはPCS1、2の各定格電力E1、E2に対して指定されているが、本発明はこれらの例示に限定されない。出力制御値αは、たとえば、各PCS1、2の定格電力の総和(E1+E2)に対して指定されてもよいし、太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電容量(すなわち発電電力W1、W2の最大値W1max、W2max)の少なくとも一方に対して指定されてもよいし、該発電容量の総和(W1max+W2max)に対して指定されてもよい。なお、出力制御値αが定格電力の総和(E1+E2)に対して指定される場合、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは、出力電力WTが出力制御値αに基づいて許容される上限値α(E1+E2)/100を越えない値にそれぞれ設定される。また、出力制御値αが太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電容量の少なくとも一方に対して指定される場合、たとえば、逆変換制御値Xbは逆変換電力Wbが出力制御値αに基づく上限値αW1max/100を越えない値に設定され、変換制御値Yは変換電力Wcが出力制御値αに基づく上限値αW2max/100を越えない値に設定される。或いは、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに、逆変換電力Wb及び変換電力Wcが出力制御値αに基づく上限値αW1max/100及びαW2max/100のうちの一方を越えない値に設定されてもよい。また、出力制御値αが発電容量の総和(W1max+W2max)に対して指定される場合、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは、出力電力WTが出力制御値αに基づいて許容される発電容量の総和(W1max+W2max)に対する上限値α(W1max+W2max)/100を越えない値にそれぞれ設定される。
また、上述の第1〜第3実施形態において、IC17の機能、IC27の機能、CPU36の機能的な構成要素361〜365のうちの少なくとも一部又は全部は、物理的な構成要素(たとえば電気回路、素子、装置など)で実現されていてもよい。