以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、太陽光発電システム100の構成例を示すブロック図である。太陽光発電システム100は、商用電力系統CSと系統連系運転が可能な分散型電源であり、太陽電池ストリングPV及び蓄電装置Sを有している。太陽光発電システム100は、たとえば単相三線の通電路Pを介して商用電力系統CSと電気的に接続されている。この太陽光発電システム100では、太陽電池ストリングPVの発電電力を直流から交流に変換し、太陽光発電システム100から通電路Pを介して商用電力系統CSに電力を伝送(すなわち逆潮流)して、該電力を電力会社などに売電することが可能となっている。また、商用電力系統CSから通電路Pへ電力の供給を受けて、電力会社などから該電力を買電することもできる。以下では、商用電力系統CSに逆潮流(売電)される電力を逆潮流電力と呼び、商用電力系統CSから通電路Pに供給される電力を順潮流電力と呼ぶ。
通電路Pは第1通電路Pa、第2通電路Pb、及び第3通電路Pcを含んで構成されている。第1通電路Paは太陽光発電システム100の後述する一体型パワーコンディショナ1に接続され、第2通電路Pbは後述する発電用パワーコンディショナ2に接続されている。以下では、一体型パワーコンディショナ1を一体型PCS(Power Conditioning System)1と呼び、発電用パワーコンディショナ2を発電用PCS2と呼ぶ。第3通電路Pcは商用電力系統CSに接続されている。また、第3通電路Pcには、電力負荷Lが接続されている。この電力負荷Lは、たとえば家庭内の電化製品、工場の設備装置などの電力負荷(機器)であり、第3通電路Pcから供給される電力WLを消費する。なお、以下では、電力負荷Lで消費される電力WLを消費電力WLと呼ぶ。
次に、太陽光発電システム100の構成について説明する。太陽光発電システム100は、図1に示すように、電力量計Mと、太陽電池ストリングPVと、蓄電装置Sと、一体型PCS1と、発電用PCS2と、コントローラ3と、を備えている。
電力量計Mは商用電力系統CS及び電力負荷L間における第3通電路Pc上の受電点に設けられている。電力量計Mは、第3通電路Pc上の受電点において電力Wrが流れる方向、その電力量([Wh])及び電力値([W])を検出する電力検出器であり、その検出結果を示す検出情報をコントローラ3に出力する。なお、以下では、電力量計Mが検出する電力Wrを受電点電力Wrと呼ぶ。また、電力量計Mは、商用電力系統CSから離れる方向に流れる受電点電力Wrの電力値を正の値で示し、商用電力系統CSに向かう方向に流れる受電点電力Wrの電力値を負の値で示す。すなわち、電力量計Mは、順潮流電力の電力値を受電点電力Wrの正の値で示し、逆潮流電力の電力値を受電点電力Wrの負の値で示す。
太陽電池ストリングPVは、第1太陽電池ストリングPV1及び第2太陽電池ストリングPV2を含んで構成されている。各太陽電池ストリングPV1及びPV2は、1又は直列接続された複数の太陽電池モジュールを含む発電装置である。第1太陽電池ストリングPV1は一体型PCS1に接続され、第2太陽電池ストリングPV2は発電用PCS2に接続されている。各太陽電池ストリングPV1及びPV2は、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力(発電電力W1、W2)を一体型PCS1及び発電用PCS2に出力する。なお、一体型PCS1及び発電用PCS2に接続される太陽電池ストリングPVの数は、図1の例示に限定されず、それぞれ複数であってもよい。
蓄電装置Sは、繰り返し充放電可能な充放電機能を有する。たとえば蓄電装置Sは、一体型PCS1から供給される直流電力WSを充電でき、その蓄電量に応じた直流電力を一体型PCS1に放電することもできる。以下では、充電の際に一体型PCS1から蓄電装置Sに供給されて充電される電力WSを充電電力WSと呼び、放電の際に蓄電装置Sから一体型PCS1に出力される電力を放電電力と呼ぶ。なお、蓄電装置Sの構成は特に限定しない。たとえば、蓄電装置Sはリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、及び鉛電池などの二次電池を含んでいてもよい。或いは、蓄電装置Sは電気二重層キャパシタなどを含んでいてもよい。また、蓄電装置Sの数は、図1の例示に限定されず、複数であってもよい。
次に、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1のような発電装置以外に蓄電装置Sのようなエネルギー貯蔵装置にも接続可能な電力制御装置である。一体型PCS1は、通電路P(第1通電路Pa)、第1太陽電池ストリングPV1、及び蓄電装置Sと接続され、通電路Pを介して商用電力系統CSと接続されている。一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電を制御し、通常時には、たとえばMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御により、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1が最大となるように第1太陽電池ストリングPV1の動作電圧(動作点)を制御する。但し、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電を制限する必要がある場合、第1太陽電池ストリングPV1の動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力W1を調整する。また、一体型PCS1は、たとえば、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1の少なくとも一部を電力変換して第1通電路Paに出力する。このほか、一体型PCS1は、蓄電装置Sの蓄放電制御装置としても機能する。たとえば、一体型PCS1は、コントローラ3から出力される制御情報に基づいて、発電電力W1の少なくとも一部を蓄電装置Sに充電電力WSとして供給したり、第1通電路Paを流れる電力Waを電力変換して蓄電装置Sに充電電力WSとして供給したり、蓄電装置Sから放電電力の供給を受けたりする。
この一体型PCS1は、DC/DCコンバータ11と、双方向インバータ12と、平滑コンデンサ13と、双方向DC/DCコンバータ14と、通信部15と、メモリ16と、IC17と、を有している。また、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はバスラインBLを介して相互に接続されている。
DC/DCコンバータ11は、第1太陽電池ストリングPV1に接続される直流変換部である。DC/DCコンバータ11は、第1太陽電池ストリングPV1及びバスラインBL間に設けられ、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1を所定電圧値の直流の電力に変換してバスラインBLに出力する。また、DC/DCコンバータ11は第1太陽電池ストリングPV1に逆電流が流れることを防止している。
双方向インバータ12は、IC17により制御される双方向電力変換部であり、バスラインBL及び第1通電路Pa間に設けられている。双方向インバータ12は、PWM(Pulse Width Modulation)制御又はPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御などによって、図1に示すような双方向a、bの電力変換を行うことができる。たとえば、双方向インバータ12は、第1通電路Paから入力される交流電力Waを直流電力にAC/DC変換してバスラインBLに出力することができる。また、双方向インバータ12は、バスラインBLから入力される直流電力(発電電力W1及び蓄電装置Sの放電電力のうちの少なくとも一方)を商用電力系統CS及び電力負荷Lの電力規格に応じた交流周波数の交流電力WbにDC/AC変換して第1通電路Paに出力することができる。
なお、以下では、双方向インバータ12が第1通電路Paから入力される電力Waを電力変換してバスラインBLに出力することを順変換方向aの電力変換と呼ぶ。また、順変換方向aの電力変換を順変換と呼び、順変換される電力Waを順変換電力Waと呼ぶ。また、双方向インバータ12がバスラインBLから入力される電力を電力変換して第1通電路Paに出力することを逆変換方向bの電力変換と呼ぶ。また、逆変換方向bの電力変換を逆変換と呼び、逆変換された電力Wbを逆変換電力Wbと呼ぶ。
ここで、順変換電力Wa及び逆変換電力Wbの各上限値Ua、Ubはコントローラ3の電力制御管理により制限される。以下では、順変換電力Waの上限値Uaを順変換上限値Uaと呼び、逆変換電力Wbの上限値Ubを逆変換上限値Ubと呼ぶ。
順変換上限値Uaは、一体型PCS1の定格順変換電力Ea[kW]と順変換制御値Xa[%]とを用いた値{(Xa/100)×Ea}[kW]で表される。順変換上限値Uaは、通常、定格順変換電力Ea(すなわちXa=100[%])と同じ値に設定される。また、順変換上限値Uaはコントローラ3の電力制御管理により0以上Ea以下の値に設定される。なお、定格順変換電力Eaは、設計時に保証された一体型PCS1の入力出力(すなわち順変換電力Wa)の上限に設定される定格値Eaである。ここで、本実施形態では、定格順変換電力Eaは一体型PCS1の定格充電電力Esと同じ値に設定されている。定格充電電力Esは、設計時に保証された一体型PCS1の充電電力WSの上限に設定される定格値である。また、順変換制御値Xaは、一体型PCS1の定格順変換電力Eaに対して一体型PCS1での順変換が許容される順変換電力Waの順変換上限値Uaの割合を比率Xa[%]で示している。さらに、以下では、順変換制御値Xaは逆変換上限値Ubの定格逆変換電力E1に対する比率Xb[%]の負の値で示されることがある。すなわち、Xa=(−Xb)と表すことがある。
逆変換上限値Ubは、一体型PCS1の定格逆変換電力E1[kW]と逆変換制御値Xb[%]を用いた値{(Xb/100)×E1}[kW]で表される。逆変換上限値Ubは、通常(たとえば出力制御期間以外)では一体型PCS1の定格逆変換電力E1(すなわちXb=100[%])と同じ値に設定される。また、逆変換上限値Ubは、たとえば商用電力系統CSの運用者などから逆潮流電力の出力制御が指令された場合、該運用者が指定する出力制御期間においてコントローラ3の電力制御管理により0以上E1以下の値に設定される。なお、定格逆変換電力E1は、設計時に保証された一体型PCS1の出力(すなわち逆変換電力Wb)の上限に設定される定格値E1である。また、逆変換制御値Xbは、一体型PCS1の定格逆変換電力E1に対して一体型PCS1での逆変換及び第1通電路Paへの出力が許容される逆変換電力Wbの逆変換上限値Ubの割合を比率Xb[%]の正の値で示している。
平滑コンデンサ13は、バスラインBLに接続され、バスラインBLを流れる電力のバス電圧値の変動を除去又は軽減する。
双方向DC/DCコンバータ14は、IC17により制御される充放電電力変換部であり、バスラインBL及び蓄電装置S間に設けられている。双方向DC/DCコンバータ14は、バスラインBLから入力される直流電力を蓄電装置Sの電力規格に適した直流の充電電力WSにDC/DC変換して蓄電装置Sに出力することができる。また、双方向DC/DCコンバータ14は、蓄電装置Sの放電電力を所定電圧値の直流電力に変換してバスラインBLに出力することもできる。なお、以下では、双方向DC/DCコンバータ14がバスラインBLから入力される電力を電力変換して蓄電装置Sに出力することを充電方向Aの電力変換と呼ぶ。さらに、充電方向Aの電力変換を充電変換と呼ぶ。また、双方向DC/DCコンバータ14が蓄電装置Sの放電電力を電力変換してバスラインBLに出力することを放電方向Bの電力変換と呼ぶ。さらに、放電方向Bの電力変換を放電変換と呼ぶ。
通信部15は、コントローラ3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。また、通信部15は、蓄電装置Sとも無線通信又は有線通信することができる。たとえば、通信部15は、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、双方向DC/DCコンバータ14の動作状態(特に、電力変換量、電力変換方向、定格順変換電力Ea、定格逆変換電力E1など)、及び蓄電装置Sから出力される情報(特に、蓄電装置Sの動作状態、温度、残りの空き容量など)をコントローラ3に送信する。また、通信部15は、一体型PCS1の電力制御及び蓄電装置Sの充放電制御を管理するための制御情報をコントローラ3から受信する。
メモリ16は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。メモリ16は、一体型PCS1の各構成要素(特にIC17)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
IC17は、メモリ16に格納された情報及びプログラムなどを用いて、一体型PCS1の各構成要素を制御する制御部である。たとえば、IC17は、コントローラ3から出力される制御情報に基づいて、DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14を制御し、特にそれらの電力変換を制御する。
次に、発電用PCS2について説明する。発電用PCS2は第2太陽電池ストリングPV2の発電を制御する電力制御装置である。発電用PCS2は、通電路P(第2通電路Pb)及び第2太陽電池ストリングPV2と接続され、通電路Pを介して商用電力系統CSと接続されている。発電用PCS2は、たとえば、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2を電力変換して第2通電路Pbに出力する。また、発電用PCS2は、通常時には、たとえばMPPT制御により、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2が最大となるように第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧(動作点)を制御する。但し、発電用PCS2は、第2太陽電池ストリングPV2の発電を制限する必要がある場合、第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力W2を調整する。
この発電用PCS2は、DC/DCコンバータ21と、インバータ22と、通信部25と、メモリ26と、IC27と、を有している。また、DC/DCコンバータ21及びインバータ22はバスライン(不図示)を介して相互に接続されている。
DC/DCコンバータ21は、IC27により制御される直流変換部であり、第2太陽電池ストリングPV2及びインバータ22間に設けられている。DC/DCコンバータ21は、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2を所定電圧値の直流の電力に変換してインバータ22に出力する。また、DC/DCコンバータ21は第2太陽電池ストリングPV2に逆電流が流れることを防止している。
インバータ22は、IC27により制御される電力変換部であり、バスライン及びDC/DCコンバータ21間に設けられている。インバータ22は、PWM制御又はPAM制御などによって、DC/DCコンバータ21から出力される直流電力を商用電力系統CS及び電力負荷Lの電力規格に応じた交流周波数の交流電力Wcに変換して第2通電路Pbに出力することができる。
なお、以下では、インバータ22がDC/DCコンバータ21から出力される直流電力を電力変換して第2通電路Pbに出力する電力Wcを変換電力Wcと呼ぶ。ここで、変換電力Wcの上限値Ucはコントローラ3の電力制御管理により制限される。以下では、この上限値Ucを変換上限値Ucと呼ぶ。変換上限値Ucは、発電用PCS2の定格逆変換電力E2[kW]と変換制御値Y[%]とを用いた値{(Y/100)×E2}で表される。変換上限値Ucは、通常(たとえば出力制御期間以外)では発電用PCS2の定格逆変換電力E2(すなわちY=100[%])と同じ値に設定される。また、変換上限値Ucは、たとえば商用電力系統CSの運用者などから逆潮流電力の出力制御が指令された場合、該運用者が指定する出力制御期間においてコントローラ3の電力制御管理により0以上E2以下の値に設定される。なお、定格逆変換電力E2は、設計時に保証された発電用PCS2の出力電力(すなわち変換電力Wc)の上限に設定される定格値E2である。また、変換制御値Yは、発電用PCS2の定格逆変換電力E2に対して発電用PCS2から第2通電路Pbに出力できる変換電力Wcの変換上限値Ucの割合を比率Yで示している。なお、逆変換電力Wbの出力は変換電力Wcの出力よりも優先して抑制されるため、通常、逆変換制御値Xb[%]は変換制御値Y[%]以下に設定される。
通信部25は、コントローラ3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。たとえば、通信部25は、DC/DCコンバータ21及びインバータ22の動作状態(特に、電力変換量、定格逆変換電力E2など)をコントローラ3に送信する。また、通信部25は、発電用PCS2の電力制御を管理するための制御情報をコントローラ3から受信する。
メモリ26は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。メモリ26は、発電用PCS2の各構成要素(特にIC27)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
IC27は、メモリ26に格納された情報及びプログラムなどを用いて、発電用PCS2の各構成要素を制御する制御部である。たとえば、IC27は、コントローラ3から出力される制御情報に基づいて、DC/DCコンバータ21及びインバータ22を制御し、特にその電力変換を制御する。
次に、コントローラ3について説明する。コントローラ3は、商用電力系統CSと連系運転可能な一体型PCS1及び発電用PCS2の電力制御を管理する電力管理装置である。コントローラ3は、図1に示すように、表示部31と、入力部32と、通信部33と、通信I/F34と、記憶部35と、CPU36と、を備えている。
表示部31はディスプレイ(不図示)に太陽光発電システム100に関する情報などを表示する。
入力部32は、ユーザ入力を受け付け、該ユーザ入力に応じた入力情報をCPU36に出力する。たとえば、入力部32には、商用電力系統CSの運用者が指定する逆潮流電力の後述する出力制御期間及び後述する指定制御値αなどが入力される。なお、この場合、出力制御期間及び指定制御値αは互いに対応付けられて後述する出力制御情報に設定されて記憶部35に格納される。
通信部33は、一体型PCS1及び発電用PCS2と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。通信部33は、たとえば、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力変換に関する情報を受信してCPU36に出力し、CPU36から出力される制御情報を一体型PCS1及び発電用PCS2に送信する。また、通信部33は、たとえば、一体型PCS1の電力変換に関する情報、蓄電装置Sの状態(特に充放電)に関する情報、及び発電用PCS2の電力変換に関する情報などを受信する。
通信I/F34は、ネットワークNT(たとえばインターネット)に接続される通信インターフェースである。
記憶部35は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する記憶媒体である。記憶部35は、コントローラ3の各構成要素(特にCPU36)で用いられる様々な情報及びソフトウェアプログラムなどを格納している。また、記憶部35は、後述する情報取得部361により取得、又はユーザ入力により作成された出力制御情報を格納している。この出力制御情報には、出力制御期間及び指定制御値αが互いに対応付けられて設定されている。出力制御期間及び指定制御値αは商用電力系統CSの運用者又はユーザにより指定される。出力制御期間は太陽光発電システム100(たとえば一体型PCS1、発電用PCS2)が通電路Pに出力する出力電力WTを抑制する制御を行う期間である。また、指定制御値αは、出力制御期間において出力電力WTが消費電力WLよりも大きい場合に許容される出力電力WTの上限値UTを示す出力制御値である。指定制御値αは、一体型PCS1、発電用PCS2の定格逆変換電力E1、E2に対する上限値Ub、Ucの割合を示す比率α[%](0≦α≦100)で指定される。すなわち、指定制御値αはα={(Ub/E1)×100}={(Uc/E2)×100}として指定される。
CPU36は、情報を非一時的に保持する記憶部35に格納された制御情報及びプログラムなどを用いて、コントローラ3の各構成要素を制御する。CPU36は、機能的な構成要素として、情報取得部361と、電力監視部362と、算出部363と、タイマ364と、管理部365とを有している。
情報取得部361は、通信I/F34を介してネットワークNTからさまざまな情報(たとえば出力制御情報)を取得する。出力制御情報は、たとえば、太陽光発電システム100に通知、又はネットワークNT(或いはネットワークNTに接続されたサーバなど)に公開されている。
電力監視部362は、太陽光発電システム100の電力を監視する。電力監視部362は、第3通電路Pcに設けられた電力量計Mの検出結果に基づいて商用電力系統CS及び電力負荷L間の第3通電路Pc上の受電点を流れる電力を監視する。たとえば、電力監視部362は、電力量計Mの検出結果に基づいて受電点電力を検知する。このほか、電力監視部362は、一体型PCS1及び発電用PCS2の入出力電力(すなわち順変換電力Wa、逆変換電力Wb、変換電力Wc)を検知する。
また、電力監視部362は、蓄電装置Sの状態を監視する蓄電監視部としても機能する。たとえば、電力監視部362は、一体型PCS1から送信される蓄電装置Sに関する情報に基づいて、蓄電装置Sの動作状態(たとえば、充電動作及び充電電力値、放電動作及び放電電力値、充放電動作の停止)、温度、残りの空き容量などを検知する。
さらに、電力監視部362は、たとえば電力量計Mが検知する受電点電力Wr及び通信部33が受信する各PCS1、2の入出力電力Wa、Wb、Wcに基づいて、消費電力WLを検知することもできる。或いは、電力負荷L及び第3通電路Pc間の通電路に消費電力WLを検出する他の電力量計(不図示)を設けてもよい。この場合、電力監視部362は該電力量計の検出結果に基づいて消費電力WLを検知することができる。このほか、電力監視部362は、通信部33によって第1及び第2太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電電力W1、W2を検知することもできる。或いは、電力監視部362は、コントローラ3から一体型PCS1及び発電用PCS2に通知した逆変換制御値Xb、変換制御値Y、及び通信部33が受信する一体型PCS1及び発電用PCS2の入出力電力Wa、Wb、Wcなどに基づいて、各太陽電池ストリングPV1、PV2の発電電力W1、W2を検知する事もできる。
算出部363は様々な管理パラメータを算出及び決定する。たとえば、算出部363は、出力制御情報に設定された指定制御値αに基づいて出力電力WTの上限値UTを算出する。或いは、算出部363は、消費電力WL、一体型PCS1及び発電用PCS2の定格逆変換電力E1、E2に基づいて後述する余剰制御値βを算出し、該余剰制御値βを用いて出力電力WTの上限値UTを算出する。なお、以下では、指定制御値αに基づく出力電力WTの上限値UTを指定上限値UTαと呼ぶことがあり、余剰制御値βに基づく出力電力WTの上限値UTを余剰上限値UTβと呼ぶことがある。また、算出部363は、一体型PCS1の定格逆変換電力E1及び逆変換制御値Xb[%]などを算出したり、発電用PCS2の定格逆変換電力E2及び変換制御値Y[%]を算出したりする。
タイマ364は、計時部であり、現在日時(すなわち現時点の日付及び時刻)を計時したり所定の時点から現時点までの経過時間を計時したりする。
管理部365は、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力制御を管理する。たとえば、管理部365は、通信部33が一体型PCS1に送信する制御情報により、DC/DCコンバータ11による太陽電池ストリングPV1の発電制御、双方向インバータ12及び双方向DC/DCコンバータ14の電力変換を管理する。また、管理部365は、通信部33が発電用PCS2に送信する制御情報により、DC/DCコンバータ21における第2太陽電池ストリングPV2の制御、DC/DCコンバータ21及びインバータ22の電力変換を管理する。また、管理部365は、出力制御情報に設定された出力制御期間において、該出力制御情報、電力監視部362の監視結果、算出部363の算出・決定結果などに基づいて、一体型PCS1及び発電用PCS2の電力制御を管理する。
次に、余剰買取制度における出力制御期間の太陽光発電システム100の電力制御の一例を説明する。図2は、余剰買取制度にて出力制御期間に許容される太陽光発電システム100の電力制御を説明するためのグラフである。図2の太い実線は余剰買取制度において実際に許容される出力電力WTの上限値UTの経時変化を示す。なお、以下では、この上限値UTを許容上限値UTと呼ぶ。また、一点鎖線は太陽電池ストリングPVの総発電電力(W1+W2)の経時変化を示す。破線は電力負荷Lの消費電力WLの経時変化を示す。
図2において、出力制御期間は9時〜15時となっており、出力制御情報には指定制御値α=40[%]が指定されている。また、図2において、余剰制御値β[%](α≦β≦100)は、消費電力WLが出力電力WT以上となる時間帯(たとえば図2の10時〜15時)において、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの上限値を等しく設定すると仮定した場合(すなわちXb=Y=β)での出力制御値である。この余剰制御値βは、{WL/(E1+E2)×100})で表すことができる。なお、出力制御値が100[%]の状態は出力制御指示がない状態を示す。
余剰買取制度では、図2の太い実線よりも下の領域(言い換えると太い実線及び横軸間の領域)での売電が許可される。すなわち、指定制御値α[%]の出力制御指示がある場合、出力制御期間では、原則として、図2の9時〜10時のように、出力電力WTの許容上限値UTは指定上限値UTα={(α/100)×(E1+E2)}に制限される。ただし、図2の10時〜15時のように、消費電力WLが指定上限値UTαを上回る場合、図2の斜線部のように、その差に応じた電力を一体型PCS1及び発電用PCS2からさらに出力することが許容される。すなわち、この場合、実際に許容される出力電力WTの許容上限値UTは消費電力WLと同じ値とされ、許容上限値UTは余剰上限値UTβ={(β/100)×(E1+E2)}に制限される。
なお、許容上限値UT、消費電力WL、及び総発電電力(W1+W2)の経時変化を見ると、図2の出力制御期間のうちの9時〜10時では、総発電電力(W1+W2)及び許容上限値UTは消費電力WLよりも大きくなっている。すなわち、WL<UT=UTα<(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、許容上限値UTが指定上限値UTα={(α/100)×(E1+E2)}になるように逆変換電力Wb及び変換電力Wcを調整することにより、受電点電力はWr≦0となっている。
また、出力制御期間のうちの10時〜14時30分では、許容上限値UTは消費電力WLと同じ値とされ、総発電電力(W1+W2)は消費電力WLよりも大きくなっている。すなわち、UT=WL<(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、太陽光発電システム100は、許容上限値UTが余剰上限値UTβ={(β/100)×(E1+E2)}になるように逆変換電力Wb及び変換電力Wcを調整することにより、消費電力WLと同じ電力を電力負荷Lに供給できる。
また、出力制御期間のうちの14時30分〜15時では、許容上限値UTは消費電力WLと同じ値に設定され、総発電電力(W1+W2)は消費電力WLよりも小さくなっている。すなわち、UT=WL>(W1+W2)である。そのため、この時間帯では、太陽光発電システム100は、総発電電力(W1+W2)のみでは消費電力WLと同じ電力を電力負荷Lに供給できない。すなわち、一体型PCS1及び発電用PCS2は、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yを100%として出力しても、消費電力WLには足りない。従って、太陽光発電システム100は、不足分の電力を商用電力系統CSから順潮流して買電している。
次に、出力制御期間にコントローラ3が行う一体型PCS1及び発電用PCS2の電力管理について説明する。図3A〜図3Cは出力制御期間における電力管理の概略図である。図3Aは、同じ出力制御値Aに基づいて逆変換上限値Ub及び変換上限値Ucを設定した場合の出力電力WTの電力配分一例を示す概略図である。図3Bは、逆変換電力Wbの出力を変換電力Wcの出力よりも優先して抑制した場合の出力電力WTの電力配分の一例を示す概略図である。図3Cは、逆変換電力Wbの出力を変換電力Wcの出力よりも優先して抑制した場合の出力電力WTの電力配分の他の一例を示す概略図である。なお、図3A〜図3Cにおいて、出力制御値Aは指定制御値α又は余剰制御値βを示し、逆変換電力Wb、変換電力Wcはそれぞれ上限値Ub、Ucと同じ電力値まで出力されるとする。また、図3Aは本実施形態では用いられない電力管理の比較例を示し、図3B及び図3Cは本実施形態で用いられる電力管理の実施例を示す。また、図3Bは許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2以下である場合の電力配分を示し、図3Cは許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2よりも大きい場合の電力配分を示している。
図3Aに示す比較例では、出力制御期間において、変換電力Wc及び逆変換電力Wbが同じ出力制御値Aに基づいて出力される。そのため、発電用PCS2は、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2のうち、出力制御値Aに基づく変換上限値{(A/100)×E2}までしか変換電力Wcを出力できず、残りの電力[W2−{(A/100)×E2}]の発電量を低減したり廃棄したりする必要がある。また、一体型PCS1は、出力制御値Aに基づく逆変換上限値{(A/100)×E1}と同じ逆変換電力Wbを出力するため、発電電力W1の一部の電力[W1−{(A/100)×E1}]しか充電電力WSとして蓄電装置Sに充電できない。従って、出力制御期間における発電電力W1、W2の利用に無駄が生じてしまう。
対して、図3B及び図3Cに示す実施例では、出力制御期間において、逆変換電力Wbの出力が変換電力Wcの出力よりも優先して抑制される。そのため、図3BのようにUT≦E2の場合、発電用PCS2は出力電力WTと同じ変換電力Wcを出力できるので、発電量の低減又は廃棄を最小限にすることができる。また、一体型PCS1は、逆変換電力Wbを出力しないため、発電電力W1を全て充電電力WSとして蓄電装置Sに充電できる。また、図3CのようにUT>E2の場合、発電用PCS2は、発電用PCS2の定格逆変換電力E2と同じ変換電力Wc=UTを出力できるので、発電量の低減又は廃棄を抑制して発電電力W2をより有効に利用できる。また、一体型PCS1は、不足分の電力(WT−Wc)を出力すればよいため、逆変換電力Wbの出力を最小限にして、発電電力W1のうちの残りの電力(W1−Wb)を充電電力WSとして有効に利用することができる。従って、図3B及び図3Cに示す実施例では、出力制御期間における発電電力W1、W2を無駄なく有効に利用することができる。
次に、出力制御期間におけるコントローラ3の電力管理処理について説明する。図4は、第1実施形態におけるコントローラ3の電力管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。図4の処理は、たとえば、情報制御部361が出力制御情報を取得したり、出力制御指示の内容が入力部32にユーザ入力されたりすると開始される。
管理部365は、記憶部35から出力制御情報を読み出し、該出力制御情報に設定されている出力制御期間のスケジュールと各出力制御期間での指定制御値αを取得する(S101)。タイマ364は、現在日時を取得し(S102)、直近の出力制御期間に達したか否かを判定する(S103)。
出力制御期間に達したと判定されない場合(S103でNO)、管理部365は、一体型PCS1の逆変換制御値Xbと発電用PCS2の変換制御値Yとをともに100[%]に設定する(S104)。この際、一体型PCS1及び発電用PCS2は出力制御指示が無いために出力制限されない。そして、処理は後述するS121に進む。
一方、出力制御期間に達したと判定される場合(S103でYES)、電力量計Mは受電点電力Wr及び消費電力WLを検出し(S105)、電力監視部362は受電点電力Wrが0[W]よりも大きいか否かを判定する(S106)。
Wr>0ではない場合(S106でNO)、商用電力系統CSから通電路Pに受電点電力Wrが順潮流していない売電状態になっている。この場合、管理部365は、指定制御値αに基づいて許容上限値UTを設定すべく、出力制御値Aに指定制御値αを設定する(S107)。そして、処理は後述するS110に進む。
また、Wr>0である場合(S106でYES)、商用電力系統CSから通電路Pに受電点電力Wrが順潮流している買電状態になっている。この場合、算出部363は消費電力WLに基づいて余剰制御値βを算出する(S108)。余剰制御値βは、たとえば、定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)に対する消費電力WLの比率β={WL/(E1+E2)×100}[%]として算出できる。管理部365は、余剰制御値βに基づいて許容上限値UTを設定すべく、出力制御値Aに余剰制御値βを設定する(S109)。そして、処理は後述するS110に進む。
次に、電力監視部362はさらに消費電力WLが一体型PCS1及び発電用PCS2の各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)よりも大きいか否かを判定する(S110)。WL>(E1+E2)である場合(S110でYES)、管理部365は、一体型PCS1の逆変換制御値Xbと発電用PCS2の変換制御値Yとをともに100[%]に設定する(S111)。すなわち、一体型PCS1及び発電用PCS2は出力制御されず、不足分の電力{WL−(Wb+Wc)}(>0)が商用電力系統CSから買電される。そして、処理はS121に進む。
一方、WL>(E1+E2)ではない場合(S110でNO)、各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)に対して実際に許容される出力電力WTの許容上限値UTの比率が出力制御値A[%]となるように、逆変換制御値Xb及び変換制御値Y(≧Xb)を決定する。すなわち、A=αであれば、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは許容上限値UTが指定上限値UTα={(α/100)×(E1+E2)}となるようにそれぞれ調整される。また、A=βであれば、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは許容上限値UTが余剰上限値UTβ={(β/100)×(E1+E2)}となるようにそれぞれ調整される。
この場合、まず、算出部363は、出力制御値Aを用いて[A×{1+(E1/E2)}]を算出し、この算出値が100[%]以上になるか否かを判定する(S112)。すなわち、出力制御値Aに基づく許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2以上であるか否かを判定する。
[A×{1+(E1/E2)}]≧100[%]ではない場合(S112でNO)、出力制御値Aに基づく許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2未満であると判定される。この場合、管理部365は、逆変換制御値Xbに0[%]を設定し、変換制御値Yに上記の算出値[A×{1+(E1/E2)}][%]を設定する(S115)。すなわち、管理部365は、逆変換電力Wbの出力を停止させて、変換電力Wcの変換上限値Ucを許容上限値UTと同じ値に設定する。そして、処理はS121に進む。
一方、[A×{1+(E1/E2)}]≧100[%]である場合(S112でYES)、出力制御値Aに基づく許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2以上であると判定される。この場合、算出部363が{A+(E2/E1)×(A−100)}[%]を算出して、管理部365は、該算出値を逆変換制御値Xbに設定し、100[%]を変換制御値Yに設定する(S113)。すなわち、管理部365は、逆変換電力Wbの出力を変換電力Wcの出力よりも優先して抑制すべく、許容上限値UT={(A/100)×(E1+E2)}から発電用PCS2の定格逆変換電力E2を差分した値(UT−E2)に逆変換上限値Ubを設定する。さらに、管理部365は、発電用PCS2から第2通電路Pbに出力される変換電力Wcの変換上限値Ucを発電用PCS2の定格逆変換電力E2と同じ電力値に設定する。そして、処理はS121に進む。
次に、管理部365の制御によって通信部33は、一体型PCS1に逆変換制御値Xbを通知し、発電用PCS2に変換制御値Yを通知する(S121)。そして、処理はS101に戻る。
次に、逆変換制御値Xbの通知を受信した一体型PCS1の電力制御処理について説明する。図5は、一体型PCS1の電力制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、通信部15が逆変換制御値Xbを受信すると(S201)、IC17は、一体型PCS1の定格逆変換電力E1に対して第1通電路Paに出力する逆変換電力Wbの比率{100×(Wb/E1)}[%]が逆変換制御値Xbを越えているか否かを判定する(S202)。該比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xbを越える場合(S202でYES)、双方向インバータ12での逆変換量が低減されることにより、逆変換電力Wbが減少する(S203)。そして、処理は後述するS206に進む。
一方、上記比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xbを越えない場合(S202でNO)、上記比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xb未満であるか否かを判定する(S204)。上記比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xb未満でない場合(S204でNO)、処理はS206に進む。また、上記比率{100×(Wb/E1)}が逆変換制御値Xb未満である場合(S204でYES)、双方向インバータ12での逆変換量が増加されることにより、逆変換電力Wbが増加する(S205)。そして、処理はS206に進む。
次に、たとえばS203で逆変換電力Wbが減少すると、発電電力W1に余剰電力が発生する場合がある。余剰電力がある場合、バスラインBLのバス電圧値は上昇する。そのため、バスラインBLのバス電圧値が閾値以上であれば(S206でYES)、双方向DC/DCコンバータ14は充電変換を行う(S207)。この処理により蓄電装置Sが充電を実行し、処理はS201に戻る。
一方、バスラインBLのバス電圧値が閾値未満であれば(S206でNO)、発電電力W1に余剰電力がないと判断し、双方向DC/DCコンバータ14は放電変換を行う(S208)。この処理により蓄電装置Sが放電を実行し、処理はS201に戻る。
次に、変換制御値Yの通知を受信した発電用PCS2の電力制御処理について説明する。図6は、発電用PCS2の電力制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、通信部25が変換制御値Yを受信すると(S301)、IC27は、発電用PCS2の定格逆変換電力E2に対して第1通電路Paに出力する変換電力Wcの比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Yを越えているか否かを判定する(S302)。該比率{100×(Wc/E2)}が逆変換制御値Yを越えている場合(S302でYES)、インバータ22での電力変換量が低減されることにより、変換電力Wcが減少する(S303)。そして、処理はS301に戻る。
一方、上記比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Yを越えない場合(S302でNO)、上記比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Y未満であるか否かを判定する(S304)。上記比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Y未満でない場合(S304でYES)、そのまま、処理はS301に戻る。また、上記比率{100×(Wc/E2)}が変換制御値Y未満である場合(S304でYES)、インバータ22での電力変換量が増加されることにより、変換電力Wcが増加する(S305)。そして、処理はS301に戻る。
次に、余剰買取制度における出力制御期間中の太陽光発電システム100の電力制御について動作例を挙げてさらに詳述する。図7は、太陽光発電システム100の余剰買取制御の動作例を説明するための概要図である。図7は、出力制御期間に達する前後における動作例を示している。商用電力系統CSの運用者から指令された出力制御指示が示す指定制御値αは0[%]とされている。MPPT制御された場合の第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1は4[kW]となっている。MPPT制御された場合の第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2は4[kW]となっている。電力負荷Lの消費電力WLは2[kW]である。さらに、一体型PCS1の定格逆変換電力E1及び発電用PCS2の定格逆変換電力E2はともに4[kW]となっている。また、逆変換電力Wbは逆変換上限値Ubと同じ値まで出力され、変換電力Wcは変換上限値Ucと同じ電力値まで出力されるものとする。
出力制御期間に達する前において、一体型PCS1には逆変換制御値Xb=100[%]が通知され、発電用PCS2には変換制御値Y=100[%]が通知されている。そのため、一体型PCS1の逆変換上限値Ub={(Xb/100)×E1}は4[kW]に設定され、発電用PCS2の変換上限値Uc={(Y/100)×E2}は4[kW]に設定されている。従って、一体型PCS1から逆変換電力Wb=4[kW]が出力でき、発電用PCS2から変換電力Wc=4[kW]が出力できる。第3通電路Pcには出力電力WT=8[kW]が出力できるので、出力電力WTは電力負荷Lの消費電力WL=2[kW]よりも大きくなる。従って、受電点電力はWr=−6[kW]となり、商用電力系統CSには6[kW]の逆潮流電力が売電される。
出力制御期間になると、出力制御指示に基づいて出力電力WTが制限される。ここで、太陽光発電システム100は売電しており、出力制御指示では指定制御値α=0[%]が指令されている。そのため、一体型PCS1には逆変換制御値Xb=0[%]が通知されて発電用PCS2には変換制御値Y=0[%]が通知される。従って、一旦は、WL>Wb=Wc=WT=0となり、消費電力WLに供給する2[kW]の順潮流電力が商用電力系統CSから買電される。また、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1=4[kW]を全て蓄電装置Sに充電する。
ここで余剰買取制度(図2参照)では、消費電力WLが指定上限値UTα(図7では0[kW])を上回る場合には、両者の差に応じた電力を一体型PCS1及び発電用PCS2から出力することが許容されている。そのため、コントローラ3は、受電点電力Wr=0とすべく、発電用PCS2に変換制御値Y=50[%]を通知する。そのため、発電用PCS2は、第2太陽電池ストリングPV2の動作電圧を調整して発電電力W2を2[kW]とし、変換電力Wc=2[kW]を出力する。なお、変換制御値Yの調整によって受電点電力Wr=0とできるため、逆変換制御値Xbは変更されない。そのため、逆変換電力Wbは0[kW]のままである。そして、出力電力WT(=2[kW])が第3通電路Pcに出力されて電力負荷Lで消費される。従って、受電点電力Wr=0となる。
次に、第1実施形態における逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時変化の一例を説明する。図8は、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時的な設定例を示すグラフである。なお、図8では、設定例をわかり易くするため、太陽電池ストリングPVの総発電電力(W1+W2)の図示は省略している。また、図8では、時刻t1において、指定制御値α(図8では25[%])を示す出力制御指示に基づく出力制御期間が開始される。なお、出力制御値α及び消費電力WL以外の条件は図7と同様である。
また、図8において、実線G1は逆変換上限値Ubの経時変化を示すグラフである。実線G2は変換上限値Ucの経時変化を示すグラフである。領域A1は、変換電力Wcの電力量を示している。領域A2は、変換制御値Yが100[%]に達した後の逆変換電力Wbの電力量を示している。領域A3は、出力制御期間外における逆変換電力Wb及び変換電力Wcの電力量を示している。なお、図8では、内容を理解し易くするために、各電力が瞬時に指定の値に変化するように図示している。
時刻t1以前の時間帯T1では図8に示すように、出力制御期間に達していないため、一体型PCS1及び発電用PCS2の出力は制限されない。そのため、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに100[%]に設定される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値Ub及び発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に設定される。出力電力WTの許容上限値UTは8[kW]に設定される。
時刻t1になると出力制御期間に達しており、時間帯T2では、消費電力WLは、指定制御値αに基づく許容上限値UT(すなわち指定上限値UTα=2[kW])よりも低くなっている。従って、この時間帯T2では、出力電力WTは指定制御値αに基づいて制限される。また、逆変換電力Wbの出力は変換電力Wcの出力よりも優先して抑制される。そのため、逆変換制御値Xbは0[%]に決定され、変換制御値Yは50[%]に決定される。従って、一体型PCS1から出力される逆変換電力Wbは0[kW]に設定され、発電用PCS2から出力される変換電力Wcは2[kW]に設定される。
時刻t2以降では、消費電力WLは指定上限値UTα(=2[kW])よりも大きくなる。従って、この時間帯T3では、許容上限値UTは余剰制御値βに基づいて制限される。また、逆変換電力Wbの出力は変換電力Wcの出力よりも優先して抑制される。そのため、時間帯T3では、変換制御値Yは、出力電力WTが余剰上限値UTβを超えないように、50[%]から100[%]まで増加する。一方、逆変換制御値Xbは0%のまま維持される。従って、一体型PCS1の逆変換上限値Ubは0[kW]に維持され、発電用PCS2の変換上限値Ucは2[kW]から4[kW]まで増加し、許容上限値UT(期間T3では余剰上限値UTβ)は余剰制御値βに基づいて2[kW]から4[kW]まで増加する。
時刻t3になると、変換制御値Yは最大値100[%]となるので、逆変換制御値Xbが余剰上限値UTβと発電用PCS2の変換電力Wc(=定格逆変換電力E2)との差に応じて増加される。そのため、時間帯T4では、逆変換制御値Xbは0[%]から100[%]まで増加する。一方、変換制御値Yは100%のまま維持される。従って、一体型PCS1の逆変換上限値Ubは0[kW]から4[kW]まで増加し、発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に維持され、許容上限値UT(期間T4では余剰上限値UTβ)は余剰制御値βに基づいて4[kW]から8[kW]まで増加する。
時刻t4になると、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに最大値100[%]となる。また、時間帯T5では、消費電力WLは一体型PCS1及び発電用PCS2の各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)=8[kW]を越えている。そのため、時間帯T5では、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yがともに最大値100[%]で維持され、消費電力WLと上記の総和(E1+E2)との差に応じた電力が商用電力系統CSから買電される。従って、一体型PCS1の逆変換上限値Ub及び発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に維持され、許容上限値UTは8[kW]のままで維持される。
時刻t5になると、消費電力WLは上記の総和(E1+E2)=8[kW]よりも低くなる。また、逆変換電力Wbの出力を変換電力Wcの出力よりも優先して抑制させるため、時間帯T6では、変換制御値Yは維持され、逆変換制御値Xbは余剰上限値UTβと発電用PCS2の変換電力Wc(=定格逆変換電力E2)との差に応じて低減される。そのため、時間帯T6では、逆変換制御値Xbは上記差に応じて100[%]から0[%]に向かって低減する。一方、逆変換制御値Xbが0[%]になるまで、変換制御値Yは100%のまま維持される。従って、一体型PCS1の逆変換上限値Ubは4[kW]から低減し、発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に維持され、許容上限値UT(期間T6では余剰上限値UTβ)は余剰制御値βに基づいては8[kW]から低減する。
以上に説明した本実施形態によれば、電力管理装置3は、電力系統CSと連系運転可能な第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2を出力制御情報に基づいて管理する管理部365を備え、第1電力制御装置1は、電力系統CSに接続された通電路Pと、第1発電装置PV1及び蓄電装置Sとの間に接続されて、第2電力制御装置2は、通電路Pと第2発電装置PV2との間に接続され、出力制御情報には、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2から通電路Pに出力される出力電力WTを制御する出力制御期間が設定され、該出力制御期間において、出力電力WTの許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2以上である場合、管理部365は、第1電力制御装置1から通電路Pに第1電力Wbを出力させ、第2電力制御装置2から通電路Pに第2電力Wcを出力させて、第1電力Wbの出力を第2電力Wcの出力よりも優先して抑制し、出力電力WTの許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2未満である場合、管理部365は、第1電力Wbの出力を停止させて、第2電力Wcを通電路Pに出力させる構成とされる。
この構成によれば、出力制御期間において、第1及び第2電力制御装置1、2から通電路Pに出力される出力電力WTが許容上限値UT以内に制御される。そして、出力制御期間において、許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2以上である場合、第2電力制御装置2の第2電力Wcを定格逆変換電力E2まで増加させても、第2電力Wcだけでは許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力することはできない。そのため、第1電力Wb及び第2電力Wcが通電路Pに出力され、第1電力Wbの出力が第2電力Wcの出力よりも優先して抑制される。一方、出力制御期間において、許容上限値UTが定格逆変換電力E2未満である場合、第2電力Wcを定格逆変換電力E2まで増加させれば、第2電力Wcにより許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力することができる。そのため、第1電力Wbの出力が停止され、第2電力Wcが通電路Pに出力される。従って、出力制御期間において、第1電力変換装置1では、第1電力Wbの出力を抑制できるため、第1発電装置PV1の発電電力W1のうち、より多くの充電電力WSを蓄電装置Sに供給して充電できる。また、第2電力変換装置2では、第2電力Wcを第1電力Wbよりも優先して通電路Pに出力することにより、第2発電装置PV2の発電電力W2をより有効に利用することができる。よって、出力制御期間における第1発電装置PV1及び第2発電装置PV2の発電電力W1、W2を無駄なく有効に利用することができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3は、出力制御期間において、許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2以上である場合、管理部365はさらに、第1電力Wbの上限値Ubを許容上限値UTから第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2を差分した値(UT−E2)に設定して、第2電力Wcの上限値Ucを第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2と同じ電力値に設定する構成とされる。
この構成によれば、第2電力Wcを定格逆変換電力E2まで増加させても、第2電力Wcだけでは許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力できない場合、第1電力Wbの上限値Ubは許容上限値UTから定格逆変換電力E2を差分した値(UT−E2)に設定してされる(この際、逆変換制御値Xb={A+(E2/E1)×(A−100)}[%])。また、第2電力Wcの上限値Ucは定格逆変換電力E2と同じ電力値に設定される(この際、変換制御値Y=100[%])。従って、第1電力変換装置1では、第1電力Wbの出力を最小限に抑制して、より多くの充電電力WSを蓄電装置Sに供給して充電できる。また、第2電力変換装置2では、第2発電装置PV2の発電電力W2を最大限に有効利用することができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3は、通電路P上の受電点(不図示)に設けられた電力検出器Mの検出結果に基づいて受電点を流れる受電点電力Wrを監視する電力監視部362をさらに備え、電力監視部362は通電路Pに接続された電力負荷Lでの消費電力WLをさらに検知し、出力制御情報には、出力制御期間における出力電力WTの上限を示す第1出力制御値αがさらに設定され、出力制御期間において、電力系統CSから通電路Pに受電点電力Wrが順潮流していない場合、第1出力制御値αに基づいて許容上限値UT(すなわち指定上限値UTα)が設定され、電力系統CSから通電路Pに受電点電力Wrが順潮流している場合、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2の各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)に対する消費電力WLの比率を示す第2出力制御値β={WL/(E1+E2)×100}に基づいて許容上限値UT(すなわち余剰上限値UTβ)が設定される構成とされる。
この構成によれば、電力管理装置3は、余剰買取制度(図2参照)に基づく電力管理を維持しつつ、第1発電装置PV1及び第2発電装置PV2の発電電力W1、W2を無駄なく有効に利用することができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3は、出力制御期間において、許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2未満である場合、管理部365はさらに第2電力Wcの上限値Ucを許容上限値UTと同じ値に設定する構成とされる。
この構成によれば、出力制御期間において、第2電力Wcを定格逆変換電力E2まで増加させれば、第2電力Wcにより許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力できる場合、第2電力Wcの上限値Ucが許容上限値UTと同じ値に設定される(この際、変換制御値Y=A×{1+(E1/E2)}[%])。従って、第2電力変換装置2では、第2発電装置PV2の発電電力W2を最大限に有効利用することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、出力制御期間において、発電用PCS2から許容上限値UTを越える変換電力Wcが出力できる場合、一体型PCS1は順変換に入り換えられて、変換電力Wcの少なくとも一部が蓄電装置Sに充電される。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
まず、出力制御期間にコントローラ3が行う一体型PCS1及び発電用PCS2の電力管理について説明する。図9は、一体型PCS1を順変換に切り替えた場合の出力電力WTの電力配分の一例を示す概略図である。なお、図9において、出力制御値Aは指定制御値α又は余剰制御値βを示し、逆変換電力Wb、変換電力Wcはそれぞれ上限値Ub、Ucと同じ電力値まで出力されるとする。
出力制御期間において、許容上限値UTが発電用PCS2の定格逆変換電力E2未満となる場合、発電用PCS2は変換電力Wcを定格逆変換電力E2まで出力すると、変換電力Wcは許容上限値UTを越えてしまう。このとき、一体型PCS1で、変換電力Wcの少なくとも一部を順変換し、順変換電力Waを発電電力W1とともに蓄電装置Sに充電する。このように制御すると、一体型PCS1は、変換電力Wcの少なくとも一部を消費しているといえるため、発電用PCS2から見ると電力負荷となる。ここで、余剰買取制度(図2参照)によれば、太陽光発電システム100で消費される電力が指定制御値αに基づく出力電力WTの許容上限値UT(すなわち指定上限値UTα)を上回る場合には、両者の電力差に応じて電力を余剰上限値UTβまで出力することが許容される。従って、この場合、発電用PCS2は、余剰上限値UTβ及び順変換電力Waの総和(UTβ+Wa)と同じ値の変換電力Wcを出力できる。
次に、出力制御期間におけるコントローラ3の電力管理処理について説明する。図10は、第2実施形態におけるコントローラ3の電力管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。図10の処理は、たとえば、情報制御部361が出力制御情報を取得したり、出力制御指示の内容が入力部32にユーザ入力されたりすると開始される。
まず、図10のS101〜S113の処理は第1実施形態(図4参照)と同様である。そのため、これらの説明は割愛する。
次に、[A×{1+(E1/E2)}]≧100[%]ではない場合(S112でNO)、電力監視部362(言い換えると蓄電監視部)は、蓄電装置Sが充電可能か否かを判定する(S414)。この際、蓄電監視部は、たとえば、蓄電装置Sが満充電状態であるか否か、温度異常が発生しているか否か、動作エラーが発生しているか否かなどを判定する。蓄電装置Sが充電可能であると判定されない場合(S414でNO)、管理部365は、0[%]を逆変換制御値Xbに設定し、算出部363の算出値[A×{1+(E1/E2)}][%]を変換制御値Yに設定する(S115)。管理部365は、逆変換電力Wbの出力を停止させて、変換電力Wcの変換上限値Ucを許容上限値UTと同じ値に設定する。そして、処理はS121に進む。
また、充電可能である場合(S414でYES)、算出部363は、蓄電装置Sに充電可能な電力を考慮した順変換電力Waの上限を示す電力Wchを算出する(S416)。なお、以下では、この電力Wchを順変換可能電力Wchと呼ぶ。双方向インバータ12が順変換を行う場合、蓄電装置Sには、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1に順変換電力Waを加えた電力が充電電力WSとして充電される。ここで、充電電力WSが蓄電装置Sの状態(特に温度の上昇、低下)によって制限されない場合、順変換可能電力Wchは、定格充電電力Esと第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1とを考慮して設定できる。すなわち、順変換可能電力Wchは、一体型PCS1の定格充電電力Esと第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1との差分(Es−W1)により算出できる。さらに、たとえば、一体型PCS1において定格充電電力Esが定格順変換電力Eaと同じ値である場合、順変換可能電力Wchは、定格順変換電力Eaと発電電力W1との差分により算出できる(すなわちWch=Ea−W1)。
そして、管理部365は、変換電力Wcの少なくとも一部である順変換電力Waを一体型PCS1で順変換させて蓄電装置Sに充電させるために、一体型PCS1の電力変換方向を順変換方向aに切り替える(S417)。算出部363は、変換制御値Yを100%に設定した場合に順変換電力Wa={E2−(A/100)×(E1+E2)}が順変換可能電力Wchを越えるか否かを判定する(S418)。すなわち、管理部365は、変換電力Wcの変換上限値Ucを発電用PCS2の定格逆変換電力E2と同じ電力値にする場合に、順変換電力Waが順変換可能電力Wchを越えるか否かを判定する。
Y=100[%]に設定した場合にWa>Wchでない場合(S418でNO)、算出部363が値[100×(E2/Ea)−A×{(E1+E2)/Ea}][%]を算出して、管理部365は、上記の算出値を順変換制御値Xa=(−Xb)に設定し、100[%]を変換制御値Yに設定する(S419)。すなわち、管理部365は、順変換電力Waの順変換上限値Uaを発電用PCS2の定格逆変換電力E2から許容上限値UTを引いた値(E2−UT)と同じ電力値に設定して、変換電力Wcの変換上限値Ucを発電用PCS2の定格逆変換電力E2と同じ電力値に設定する。そして、処理はS121に進む。
また、Y=100[%]に設定した場合にWa>Wchである場合(S418でYES)、算出部363は値{100×(Wch/Ea)}[%]及び値[{100×(Wch/E2)+A×{(E1+E2)/E2}][%]を算出し、管理部365は、前者の算出値を順変換制御値Xa=(−Xb)に設定し、後者の算出値を変換制御値Yに設定する(S420)。すなわち、管理部365は、順変換電力Waの順変換上限値Uaを順変換可能電力Wch=(Ea−W1)と同じ電力値に設定して、変換電力Wcの変換上限値Ucを許容上限値UTに順変換可能電力Wchの電力値を足した値(UT+Wch)と同じ値に設定する。そして、処理はS121に進む。
次に、管理部365の制御によって通信部33は、一体型PCS1に逆変換制御値Xb又は順変換制御値Xa=(−Xb)を通知し、発電用PCS2に変換制御値Yを通知する(S121)。そして、処理はS101に戻る。
次に、余剰買取制度における出力制御期間中の太陽光発電システム100の電力制御について動作例を挙げてさらに詳述する。
図11は、第2実施形態に係る太陽光発電システム100の余剰買取制御の動作例を説明するための概要図である。図11は、出力制御期間に達する前後における動作例を示している。商用電力系統CSの運用者から指令された出力制御指示が示す指定制御値αは0[%]とされている。MPPT制御された場合の第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1は4[kW]となっている。MPPT制御された場合の第2太陽電池ストリングPV2の発電電力W2は4[kW]となっている。電力負荷Lの消費電力WLは2[kW]である。さらに、一体型PCS1及び発電用PCS2の定格逆変換電力E1、E2はいずれも4[kW]となっており、一体型PCS1の定格充電電力Es及び定格順変換電力Eaは共に8[kW]となっている。また、各電力Wa、Wb、Wcはそれぞれの上限値Ua、Ub、Ucと同じ値になるものとする。
出力制御期間に達する前において、一体型PCS1には逆変換制御値Xb=100[%]が通知され、発電用PCS2には変換制御値Y=100[%]が通知されている。そのため、一体型PCS1の逆変換上限値Ubは4[kW]に設定され、発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に設定されている。従って、一体型PCS1から逆変換電力Wb=4[kW]が出力でき、発電用PCS2から変換電力Wb=4[kW]が出力できる。第3通電路Pcには出力電力WT=8[kW]が出力できるので、出力電力WTは電力負荷Lの消費電力WL=2[kW]よりも大きくなる。従って、受電点電力はWr=−6[kW]となり、商用電力系統CSには6[kW]の逆潮流電力が売電される。
出力制御期間になると、出力制御指示に基づいて出力電力WTが制限される。ここで、太陽光発電システム100は売電しており、出力制御指示では指定制御値α=0[%]が指令されている。従って、一旦は、WL>Wb=Wc=WT=0となり、消費電力WLに供給する2[kW]の順潮流電力が商用電力系統CSから買電される。また、一体型PCS1は、第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1=4[kW]を全て蓄電装置Sに充電する。ここで、余剰買取制度(図2参照)では、太陽光発電システム100で消費される電力が指定上限値UTα(図11では0[kW])を上回る場合には、その差に応じた値の出力電力WTの出力が許容されている。また、消費電力WLは発電用PCS2の定格逆変換電力E2よりも小さい。そのため、2[kW]を越える変換電力Wcが第2通電路Pbに出力されれば、消費電力WLは十分に賄われ、さらに、余剰の電力(Wc−WL)も発生する。従って、この余剰の電力(Wc−WL)を一体型PCS1で順変換させて蓄電装置Sに充電できる。
よって、コントローラ3は、受電点電力Wrを0[kW]とし且つ余剰の電力(Wc−WL)を蓄電装置Sに充電するために、一体型PCS1に順変換制御値Xa=(−Xb)=50[%]を通知し、発電用PCS2に変換制御値Y=100[%]を通知する。その結果、発電用PCS2が変換電力Wc=4[kW]が出力され、変換電力Wcの一部(2[kW])は第1通電路Paに出力される。一方、一体型PCS1は順変換電力Wa=2[kW]を順変換して充電電力WS=(Wa+W1)=6[kW]を蓄電装置Sに充電する。
また、変換電力Wcの残りの一部(2[kW])は、出力電力WTとして第3通電路Pcに出力され、消費電力WLを賄うべく電力負荷Lで消費される。従って、受電点電力Wr=0となる。
次に、第2実施形態における逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時変化の一例を説明する。図12は、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時的な設定例を示すグラフである。なお、図12では、設定例をわかり易くするため、太陽電池ストリングPVの総発電電力(W1+W2)の図示は省略している。また、図12では、時刻t1において、指定制御値α(図12では25[%])を示す出力制御指示に基づく出力制御期間が開始される。なお、出力制御値α及び消費電力WL以外の条件は図11と同様である。
また、図12において、実線G1は逆変換上限値Ubの経時変化を示すグラフである。実線G2は変換上限値Ucの経時変化を示すグラフである。実線G3は順変換上限値Uaの経時変化を示すグラフである。領域A1は、変換電力Wcの電力量を示している。領域A2は、変換制御値Yが100[%]に達した後の逆変換電力Wbの電力量を示している。領域A3は、出力制御期間外における逆変換電力Wb及び変換電力Wcの電力量を示している。領域A4は、消費電力WLが発電用PCS2の定格逆変換電力E2よりも低い場合に第1通電路Paから一体型PCS1に入力される順変換電力Waの電力量を示している。領域A5は、一体型PCS1の順変換によって発電用PCS2がさらに追加で供給できる電力、すなわち第2通電路Pbから第1通電路Paに出力される余剰の電力(Wc−UT)の電力量を示している。なお、図12は、内容を理解し易くするために、各電力が瞬時に指定の値に変化するように図示している。
時刻t1以前の時間帯T1では図12に示すように、出力制御期間に達していないため、一体型PCS1及び発電用PCS2の出力は制限されない。そのため、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはともに100[%]に設定される。従って、一体型PCS1の逆変換上限値Ub及び発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に設定される。出力電力WTの許容上限値UTは8[kW]に設定される。
時刻t1になると出力制御期間に達しており、時間帯T2では、消費電力WLは、指定制御値αに基づく出力電力WTの許容上限値UT(すなわち指定上限値UTα=2[kW])よりも低くなっている。従って、この時間帯T2では、出力電力WTは指定制御値αに基づいて制限される。また、指定上限値UTα=2[kW]は発電用PCS2の定格逆変換電力E2=4[kW]よりも低い。そのため、発電用PCS2は変換電力Wc=4[kW]を出力して、指定上限値UTαと同じ電力2[kW]が出力電力WTとして第3通電路Pcに出力され、残りの電力(2[kW])が順変換電力Waとして第1通電路Paに出力される。そのため、時間帯T2では、一体型PCS1は順変換に切り替えられて順変換制御値Xa=(−Xb)が50[%]に設定される。変換制御値Yは100[%]に設定される。従って、発電用PCS2から出力される変換電力Wcは4[kW]に設定され、その一部の電力(2[kW])は第1通電路Paを介して一体型PCS1に入力され、順変換された後に蓄電装置Sに充電される。また、変換電力Wcの残りの一部の電力(2[kW])は第3通電路Pcを介して電力負荷Lに入力されて消費される。なお、図12では出力が瞬時に指定値に変化するように図示しているが、実際には時間帯T2の時刻t1直後において、一体型PCS1及び発電用PCS2の応答速度に応じて順変換電力Wa及び変換電力WcはWa=(Wc−UT)となるように変化する。
時刻t2以降では、消費電力WLは指定上限値UTα(=2[kW])よりも大きくなる。従って、この時間帯T3では、許容上限値UTは、余剰制御値βに基づいて消費電力WLと同じ値に設定される。そのため、順変換制御値Xa=(−Xb)は、出力電力WTが余剰上限値UTβを超えないように、50[%]から0[%]まで低減される。また、変換制御値Yは100%のまま維持される。よって、一体型PCS1の順変換電力Wa(図12ではWa=−Wb)は2[kW]から0[kW]まで低減され、変換電力Wcは4[kW]に維持される。許容上限値UT(期間T3では余剰上限値UTβ)は余剰制御値βに基づいて消費電力WLと共に変化する。
時刻t3以降では、余剰上限値UTβが発電用PCS2の定格逆変換電力E2=4[kW]以上となり、発電用PCS2の変換制御値Yはその最大値100%に達する。そのため、時間帯T4では、一体型PCS1は逆変換に切り替えられて逆変換制御値が0[%]から100[%]まで増加する。なお、変換制御値Yは100%のまま維持される。よって、一体型PCS1の逆変換上限値Ubは0[kW]から4[kW]まで増加し、発電用PCS2の変換上限値Ucは4[kW]に維持される。許容上限値UT(期間T4では余剰上限値UTβ)は余剰制御値βに基づいて4[kW]から8[kW]まで増加する。
なお、時刻t4以降の時間帯T5及びT6では、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yの経時変化は第1実施形態(図8参照)と同様になる。従って、これらの説明は割愛する。
以上に説明した本実施形態によれば、電力管理装置3は、蓄電装置Sの蓄電量を監視する蓄電監視部362(すなわち電力監視部362の機能)をさらに備え、出力制御期間において許容上限値UTが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2未満である場合に、蓄電監視部362は蓄電装置Sが充電可能であるか否かを判定し、蓄電装置Sが充電可能であると判定される場合、管理部365はさらに、第2電力Wcの少なくとも一部である第3電力Waを第1電力制御装置1で電力変換(順変換)させて蓄電装置Sに充電させ、蓄電装置Sが充電可能であると判定されない場合、管理部365はさらに、第2電力制御装置2から通電路Pに出力される第2電力Wcの上限値Ucを許容上限値UTと同じ値に設定する構成とされる。
この構成によれば、出力制御期間において、第2電力Wcを定格逆変換電力E2まで増加させれば、第2電力Wcにより許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力できる場合、蓄電装置Sが充電可能であるか否かが判定される。充電可能であれば、第2電力Wcの少なくとも一部である第3電力Waを第1発電装置PV1の発電電力W1とともに蓄電装置Sに充電することができる。また、充電可能でなければ、第2電力Wcの上限値Ucが許容上限値UTと同じ値に設定される(この際、変換制御値Y=A{1+(E1/E2)}[%])。従って、蓄電装置Sの充電状態を考慮して、第1及び第2発電装置PV1、PV2の発電電力W1、W2をより有効に利用することができる。
また、本実施形態によれば、電力管理装置3は、蓄電装置Sに充電可能な電力を考慮した第3電力Waの上限を示す第4電力Wchを算出する算出部363をさらに備え、蓄電装置Sが充電可能であると判定される場合、管理部365は、第2電力Wcの上限値Ucを第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2と同じ電力値にすると第3電力Waが該第3電力Waのうちの蓄電装置Sに充電可能な第4電力Wchを越えるか否かを判定し、第3電力Waが第4電力Wchを越えると判定されない場合、管理部365は、第3電力Waの上限値Uaを定格逆変換電力E2から許容上限値UTを引いた値(E2−UT)と同じ電力値に設定して、第2電力Wcの上限値Uc={(Y/100)×E2}を第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2と同じ電力値に設定し、第3電力Waが第4電力Wchを越えると判定される場合、管理部365は、第3電力Waの上限値Uaを定格逆変換電力E2から許容上限値UTを引いた値(E2−UT)と同じ電力値に設定して、第2電力Wcの上限値Ucを許容上限値UTに第4電力Wchの電力値を足した値(UT+Wch)に設定する構成とされる。
この構成によれば、第2電力Wcにより許容上限値UTを満たす出力電力WTを通電路Pに出力できる場合に蓄電装置Sが充電可能であれば、Uc=E2にすると第3電力Waが第4電力Wchを越えるか否かが判定される。Uc=E2の際にWa>Wchでなければ、第1電力制御装置1で順変換した第3電力Waを発電電力W1とともに蓄電装置Sに充電する際、順変換電力Waの全てを蓄電装置Sに充電できる。従って、第3電力Waの上限値Uaが第2電力制御装置2の定格逆変換電力E2から許容上限値UTを引いた値(E2−UT)と同じ値に設定されて(この際、順変換制御値Xa=[100×(E2/Ea)−A×{(E1+E2)/Ea}][%])、第2電力Wcの上限値Ucが定格逆変換電力E2と同じ値に設定される(この際、変換制御値Y=100[%])。一方、Uc=E2の際にWa>Wchであれば、第3電力Waを発電電力W1とともに蓄電装置Sに充電しようとしても、順変換電力Waの全てを蓄電装置Sに充電することはできない。従って、第3電力Waの上限値Uaが第4電力Wchと同じ値になるように設定され、第2電力Wcの上限値Ucが定格逆変換電力E2未満の値(UT+Wch)<E2に設定される(この際、順変換制御値Xa=100×(Wch/Ea)[%]、変換制御値Y=[100×(Wch/E2)+A×{(E1+E2)/E2}][%])。よって、第4電力Wchを考慮して、第1及び第2発電装置PV1、PV2の発電電力W1、W2を最大限に有効利用することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、コントローラ3が一体型PCS1と一体に設けられている。以下では、第1及び第2実施形態と異なる構成について説明する。また、第1及び第2実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図13は、太陽光発電システム100の他の構成例を示すブロック図である。図13の太陽光発電システム100では、一体型PCS1は、コントローラ3を内蔵しており、DC/DCコンバータ11と、双方向インバータ12と、平滑コンデンサ13と、双方向DC/DCコンバータ14と、表示部31と、入力部32と、通信部33と、通信I/F34と、記憶部35と、CPU36と、を備えている。DC/DCコンバータ11、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はそれぞれCPU36により制御されている。また、表示部31、入力部32、通信部33、通信I/F34、記憶部35、及びCPU36は一体型PCS1及び発電用PCS2を制御・管理する電力管理装置を構成している。
なお、本実施形態ではコントローラ3は一体型PCS1に内蔵されているが、この例示に限定されず、コントローラ3は発電用PCS2に設けられていてもよい。
以上に説明した本実施形態によれば、電力管理装置3は、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2のうちの一方と一体に設けられる構成とされる。
この構成によれば、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2のうちの一方と電力管理装置3とが別々に設けなくてもよい。従って、第1電力制御装置1及び第2電力制御装置2(並びに電力管理装置3)を含むシステム100の構成を簡略化できる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、分散型電源が太陽光以外の再生可能エネルギーを利用した発電(風力、水力、地熱、バイオマス、太陽熱など自然エネルギー発電、廃棄物発電など)を行う。以下では、第1〜第3実施形態と異なる構成について説明する。また、第1〜第3実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電システムの一例として、風力発電システム101を挙げて説明する。風力発電システム101は、風力を利用した発電方式で電力供給を行う分散型電源である。
図14は、風力発電システム101の構成例を示すブロック図である。図14に示すように、風力発電システム101は風力発電装置AGを有している。該風力発電装置AGは第1風力発電装置AG1と、第2風力発電装置AG2とを含んで構成される。各風力発電装置AG1、AG2は、たとえば水平軸プロペラ式の風車(不図示)と、風車の回転により駆動される発電機(不図示)とを含んで構成される。風車のブレードが風を受けると、風車が回転する。その回転力が発電機に伝達され、交流の電力が発電機から発電電力として出力される。第1風力発電装置AG1は一体型PCS1のAD/DCコンバータ18に接続され、第2風力発電装置AG2は発電用PCS2のAD/DCコンバータ28に接続されている。
一体型PCS1は、双方向インバータ12、平滑コンデンサ13、双方向DC/DCコンバータ14、通信部15、メモリ16、及びIC17のほかに、AC/DCコンバータ18を有している。また、AC/DCコンバータ18、双方向インバータ12、及び双方向DC/DCコンバータ14はバスラインBLを介して相互に接続されている。AC/DCコンバータ18は、第1風力発電装置AG1及びバスラインBL間に設けられ、第1風力発電装置AG1が生成する交流の発電電力を直流の電力に変換してバスラインBLに出力する。また、AC/DCコンバータ18は、第1風力発電装置AG1に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
発電用PCS2は、インバータ22、通信部25、メモリ26、及びIC27のほか、AC/DCコンバータ28を有している。AC/DCコンバータ28は、第2風力発電装置AG2及びインバータ22間に設けられ、第2風力発電装置AG2が生成する交流の発電電力を直流の電力に変換してインバータ22に出力する。また、AC/DCコンバータ28は、第2風力発電装置AG2に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の第1〜第4実施形態では、出力制御値A(指定制御値α、余剰制御値β)、逆変換制御値Xb、及び変換制御値Yは一体型PCS1、発電用PCS2の各定格逆変換電力E1、E2に対して指定されているが、本発明はこれらの例示に限定されない。出力制御値Aは、たとえば、一体型PCS1及び発電用PCS2の各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)に対して指定されてもよいし、太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電容量(すなわち発電電力W1、W2の最大値W1max、W2max)の少なくとも一方に対して指定されてもよいし、該発電容量の総和(W1max+W2max)に対して指定されてもよい。なお、出力制御値Aが各定格逆変換電力E1、E2の総和(E1+E2)に対して指定される場合、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは出力電力WTが出力制御値Aに基づく許容上限値UT={(A/100)×(E1+E2)}を越えない値にそれぞれ設定される。また、出力制御値Aが太陽電池ストリングPV1、PV2の各発電容量の少なくとも一方に対して指定される場合、たとえば、逆変換制御値Xbは逆変換電力Wbが出力制御値Aに基づく逆変換上限値Ub={(A/100)×W1max}を越えない値に設定され、変換制御値Yは変換電力Wcが出力制御値Aに基づく変換上限値Uc={A/100×W2max}を越えない値に設定される。或いは、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yはそれぞれ逆変換電力Wb及び変換電力Wcが同じ上限値(すなわち{(A/100)×W1max}及び{(A/100)×W2max}のうちの一方)を越えない値に設定されてもよい。また、出力制御値Aが発電容量の総和(W1max+W2max)に対して指定される場合、逆変換制御値Xb及び変換制御値Yは出力電力WTが出力制御値Aに基づいて許容される発電容量の総和(W1max+W2max)に対する上限値{(A/100)×(W1max+W2max)}を越えない値にそれぞれ設定される。
また、上述の第1〜第4実施形態では、順変換可能電力Wchを定格充電電力Esと第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1との差分(Es−W1)により算出したが、本発明はこの例示に限定されない。たとえば、蓄電装置Sの状態(特に温度の上昇、低下)により蓄電装置Sを適正に動作させるための充電電力WSの許容値Epは定格充電電力Esよりも低下する場合がある。この場合、順変換可能電力Wchは許容値Epと第1太陽電池ストリングPV1の発電電力W1との差分により算出される(すなわちWch=Ep−W1)。さらに、上述の第1〜第4実施形態では、一体型PCS1において定格順変換電力Eaと定格充電電力Esは同じ値としたが、本発明はこの例示に限定されない。たとえば、定格順変換電力Eaと定格充電電力Esは同じ値ではない場合は、充電可能電力Wchの上限をEaと設定する必要がある。
また、上述の第1〜第4実施形態において、IC17の機能、IC27の機能、及びCPU36の機能的な構成要素361〜365のうちの少なくとも一部又は全部は、物理的な構成要素(たとえば電気回路、素子、装置など)で実現されていてもよい。