以下に、本願発明を具体化した実施形態について、農作業用トラクタを図面に基づき説明する。図1〜図10に示す如く、トラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部にディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)を搭載し、後車輪4または前車輪3をエンジン5にて駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置される。該キャビン7の内部には、操縦座席8と、前車輪3を操向操作する操縦ハンドル9とが配置されている。キャビン7の左右外側には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11がキャビン7底部の下側に設けられている。
走行機体2は、前バンパー12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右2つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19を外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部には、例えばロータリ耕耘機などの作業機(図示省略)を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取付けている。前記作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構111を介してミッションケース17の後部に連結される。ミッションケース17の後側面には、前記作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン5の出力軸(ピストンロッド)には、フライホイル26を直結するように取付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している(図1、図7及び図10参照)。ミッションケース17内には、油圧無段変速機、前後進切換機構、走行副変速ギヤ機構及び後輪用差動ギヤ機構などを配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、前記油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構によって適宜変速され、当該変速動力が前記後輪用差動ギヤ機構を介して左右の後車輪4に伝達されるように構成している。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構(図示省略)を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸(図示省略)を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構を経由して、左右の前車輪3に伝達される。
次に、図1〜図4を参照しながら、キャビン7内部の構造について説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方にステアリングコラム32を配置している。ステアリングコラム32は、キャビン7内部の前面側に配置したダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設している。ステアリングコラム32上面から上向きに突出したハンドル軸の上端側に、平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。
ステアリングコラム32の右側には、ロータリ耕耘機等の作業機を最上昇位置や最下降位置に強制的に移動させるワンタッチ昇降レバー34と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル35とを配置している。ステアリングコラム32の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー36(リバーサレバー)と、動力継断用のクラッチ(図示省略)を遮断操作するためのクラッチペダル37とを配置している。
ステアリングコラム32の左側で前後進切換レバー36の下方には、前後進切換レバー36に沿って延びる誤操作防止体38(リバーサガード)を配置している。接触防止具である誤操作防止体38を前後進切換レバー36下方に配置することによって、トラクタ1に乗降する際に、オペレータが前後進切換レバー36に不用意に接触するのを防止している。ダッシュボード33の背面上部側には、液晶パネルを内蔵した操作表示盤39を設けている。
キャビン7内にある操縦座席8前方の床板40においてステアリングコラム32の右側には、エンジン5の回転速度または車速などを制御するアクセルペダル41を配置している。なお、床板40上面の略全体は平坦面に形成している。操縦座席8を挟んで左右両側にはサイドコラム42を配置している。操縦座席8と左サイドコラム42との間には、左右両後車輪4を制動状態に維持する操作を実行するための駐車ブレーキレバー43と、トラクタ1の走行速度(車速)を強制的に大幅に低減させる超低速レバー44(クリープレバー)と、ミッションケース17内の走行副変速ギヤ機構の出力範囲を切換えるための副変速レバー45と、PTO軸25の駆動速度を切換え操作するためのPTO変速レバー46とを配置している。操縦座席8の下方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル47を配置している。操縦座席8の後方左側には、PTO軸25を逆転駆動させる操作を実行する逆転PTOレバー48を配置している。
操縦座席8と左サイドコラム42との間には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト49を設けている。アームレスト49は、操縦座席8とは別体に構成すると共に、トラクタ1の走行速度を増減速させる主変速レバー50と、ロータリ耕耘機といった作業機の高さ位置を手動で変更調節するダイヤル式の作業部ポジションダイヤル51(昇降ダイヤル)とを備えている。なお、アームレスト49は、後端下部を支点として複数段階に跳ね上げ回動可能な構成になっている。
左サイドコラム42には、前側から順に、エンジン5の回転速度を設定保持するスロットルレバー52と、PTO軸25からロータリ耕耘機等の作業機への動力伝達を継断操作するPTOクラッチスイッチ53と、ミッションケース17の上面側に配置する油圧外部取出バルブ(サブコントロールバルブ、図示省略)を切換操作するための複数の油圧操作レバー54(SCVレバー)とを配置している。ここで、油圧外部取出バルブは、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機の油圧機器に作動油を供給制御するためのものである。実施形態では、油圧外部取出バルブの数(4連)に合わせて、油圧操作レバー54を4つ配置している。
さらに、図7、図10などに示す如く、キャビン7の前側を支持する左右の前部支持台96と、キャビン7の後部を支持する左右の後部支持台97を備える。左右の機体フレーム15の機外側面のうち前端部に前部支持台96をボルト締結させ、前部支持台96の上面側に防振ゴム体98を介してキャビン7の前側底部を防振支持している。左右方向に水平に延設させる左右の後車軸ケース19の上面のうち左右幅中間部に後部支持台97をボルト締結させ、後部支持台97の上面側に防振ゴム体99を介してキャビン7の後側底部を防振支持している。従って、走行機体2は、複数の防振ゴム体98,99を介してキャビン7を防振支持している。
また、図11〜図19などに示す如く、断面端面が略四角筒状の後車軸ケース19を挟むように、後車軸ケース19の上面側に後部支持台97を配置し、後車軸ケース19の下面側に振れ止めブラケット(チェンブラケット)101を配置し、後部支持台97と振れ止めブラケット(チェンブラケット)101をボルト102締結している。前後方向に延設したロワーリンク23の中間部とチェンブラケット101とに、伸縮調節可能なターンバックル付き振れ止めロッド体(チェックチェン体)103の両端部を連結し、ロワーリンク23の左右方向の揺振を防止している。
図11〜図22に示す如く、チェンブラケット101は、チェックチェン体103の一端を連結ピン109で着脱可能に連結させる連結プレート104と、連結プレート104と連結する一方で後部支持台97とボルト102締結する固定ブラケット105とを備える。固定ブラケット105は、ボルト102を挿入する貫通穴105dを四隅に有する第1プレート105aに、第1プレート105a下面に垂直に立設するように第2プレート105bを溶接固定して、T字断面となる構成を備える。固定ブラケット105は、略Uの字形状の補強プレート105cを、第1プレート105a下面に溶接固定している。そして、補強プレート105cのU字状上縁を第1プレート105aに当接させる一方で、補強プレート105cの両縁を第2プレート105bに当接させて、チェックチェン体103と連結する第2プレート105bを補強させる。
図11〜図15に示す如く、固定ブラケット105は、第1プレート105aに、ボルト102が挿入される貫通穴105dを備えるともに、第2プレート105bに、ボルト106が挿入されるボルト穴105eと、ガイドピン(位置決めピン)107が挿入されるピン挿入穴105fとを備える。そして、第1プレート105aの四隅に貫通穴105dを設ける一方で、第2プレート105bにおいて、前後方向に対称となる位置に、ボルト穴105eとピン挿入穴105fと設けるため、左右の後部支持台97と連結する連結ブラケット105を共通の部品とできる。なお、本実施形態では、第2プレート105bにおいて、上下2穴ずつとなるボルト穴105eを、前後方向で等間隔となる3箇所に設けており、合計で6穴となるボルト穴105eを備える。また、第2プレート105bにおいて、前後縁側に設けたボルト穴105eの近傍となる2箇所に、2穴のピン挿入穴105fそれぞれを設けている。
図11〜図15に示す如く、連結プレート104は、ボルト106が挿入される貫通穴104aと、ガイドピン107が挿入される貫通穴104bと、連結ピン109と連結させる連結穴104cとを備える。連結プレート104は、一方を傾斜させた台形状のプレートであり、上下の2底辺のうち長い底辺の先端部分に連結穴104cを備える。また、連結プレート104は、固定ブラケット105の第2プレート105bと重なる面に、ボルト穴105eに対応する位置に貫通穴104bを設けるとともに、ピン挿入穴105fに対応する位置に貫通穴104cを設ける。従って、固定ブラケット105の第2プレート105bに連結プレート104を連結させると、連結プレート104の先端側に設けた連結穴104cを後方に延出できる。
図14に示す如く、チェンブラケット101を固定する際、固定ブラケット105の第1プレート105aにおける貫通穴105dでボルト102を締結させることで、後車軸ケース19を上下で挟むようにして、後部支持台97と固定ブラケット105をボルト102締結している。そして、後車軸ケース19の下面に固定された固定ブラケット105の第2プレート105bに、連結プレート104を締結させて、連結穴104cを後方に延出させる。
また、連結プレート104を固定ブラケット105に固定する際、固定ブラケット105のピン挿入穴105fに挿入させたガイドピン107に、連結プレート104の貫通穴104bを嵌合させて、第2プレート105bに対する連結プレート104の固定位置を規制する。そして、ボルト106を連結プレート104の貫通穴104aを介して第2プレート105bのボルト穴105eに螺着させることで、連結プレート104を固定ブラケット105に締結させる。ガイドピン107を設けることで、連結プレート104の組み付け作業を簡単に実行できる。
このとき、第2プレート105bの前後縁近傍それぞれに締結される2本のボルト106は、ワッシャ108を介在して、連結プレート104に挿入される。したがって、ボルト106締結により、ワッシャ108を連結プレート104に当接して固定させたとき、ワッシャ108により、近傍に挿入されているガイドピン107先端を押さえて、ガイドピン107の抜出を防止できる。締結ボルト106用のワッシャ108を、ガイドピン107留め用に共用でき、部品点数を低減できる。
上述したように、固定ブラケット105は、第2プレート105bにおいて、ボルト穴105eとピン挿入穴105fとを、前後方向に沿って対称に配置しているため、図15(a)及び図15(b)に示す如く、連結プレート104を固定ブラケット105に対して、上下方向に置換配置できる。すなわち、図15(a)の構成では、長い側の底辺を下側にして連結プレート104を固定ブラケット105に締結することで、チェックチェン体103と連結させる連結穴104cを下側に配置できる。一方、図15(b)の構成では、長い側の底辺を上側にして連結プレート104を固定ブラケット105に締結することで、チェックチェン体103と連結させる連結穴104cを上側に配置できる。このように、固定ブラケット105に対して、連結プレート104を上下に置換配置することで、チェックチェン体103の取付け高さを変更できる。
上述したように、チェックチェン体103の一端と接続されるチェンブラケット101を、チェックチェン体103と連結させる連結プレート104と、左右対称のT字形状を有してリヤアクスルケース19下側に固定される固定ブラケット105とで構成している。すなわち、チェンブラケット101を連結プレート104と左右対称の固定ブラケット105の2部品で構成することで、左右それぞれに部品を作成する必要が無く、コスト低減を図れるとともに、組付け作業性を向上できる。
また、チェンブラケット101は、連結プレート104を固定ブラケット105に締結させるボルト106に介在させたワッシャ108で、ガイドピン107の先端を押さえる構成としている。したがって、ガイドピン107により、連結プレート104の取り付け作業が容易になる。また、ボルト106に対するワッシャ108をガイドピン107のピン留めにも供用するため、部品点数を低減できるだけでなく、組み付け作業を簡素化できる。
更に、連結プレート104を、チェックチェン体103との連結側を傾斜させた台形状に構成しており、チェックチェン体103との連結部分を連結プレート104の底辺のうち長い方の先端部分に設けている。この構成により、連結プレート104の先端に設けたチェックチェン体103との連結部分を高さ方向に偏移させた位置に設けることができる。したがって、固定ブラケット105に対して連結プレート104を上下に置換配置することで、チェックチェン体103との連結部分の上下方向における高さ位置を変位させて、チェックチェン体103の取付け高さを変更できる。
次に、図6、図9、図10などを参照して、ボンネット6下のディーゼルエンジン5とエンジンルーム構造について説明する。ディーゼルエンジン5は、エンジン出力軸とピストンとを内蔵するシリンダブロック上にシリンダヘッドを搭載しており、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)右側面に、エアクリーナ221にターボ過給機211を介して接続させる吸気マニホールド203と、排気マニホールド204からの排気ガスの一部を再循環させるEGR装置210を配置し、排気マニホールド204に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド203に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減するように構成している。一方、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)左側面に、テールパイプ229に接続させる排気マニホールド204と、ターボ過給機211を配置する。即ち、エンジン5においてエンジン出力軸に沿う左右側面に、吸気マニホールド203と排気マニホールド204とを振分け配置すると共に、ディーゼルエンジン5(シリンダブロック)前面側に冷却ファン206を配置する。
加えて、図6、図9、図10などに示す如く、ディーゼルエンジン5は、ディーゼルエンジン5の上面側(排気マニホールド204上方)に配置する連続再生式の排気ガス浄化装置224(DPF)を備え、排気ガス浄化装置224の排気側にテールパイプ229を接続している。排気ガス浄化装置224によって、エンジン5からテールパイプ229を介して機外に排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減されるように構成している。
さらに、図1、図6、図9、図10などに示す如く、ボンネット6は、前部下側にフロントグリル231を有し、エンジンルーム200の上面側と前面側を覆う。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成した側部エンジンカバー232を配置して、エンジンルーム200左右側方を覆っている。すなわち、ボンネット6及びエンジンカバー232によって、ディーゼルエンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。
また、ファンシュラウド234を背面側に取り付けたラジエータ235を、エンジン5の前面側に位置するようにエンジンフレーム14上に立設している。ファンシュラウド234は冷却ファン206の外周側を囲っていて、ラジエータ235と冷却ファン206とを連通させている。ラジエータ235前面側に矩形枠状の枠フレーム226を設け、枠フレーム226の前面の上方位置にエアクリーナ221を配置している。なお、枠フレーム226内には、上記のインタークーラ他、オイルクーラや燃料クーラなどが設置される。
一方、図10などに示す如く、左右一対の機体フレーム15は、支持用梁フレーム236によって連結されている。支持用梁フレーム236は、左右の機体フレーム16それぞれとボルト締結して、左右の機体フレーム16の前端部(エンジン5後面側)に架設しており、防振ゴムを有する機関脚体を介して、支持用梁フレーム236上面にディーゼルエンジン5の後部を連結する。なお、左右一対のエンジンフレーム14の中途部に、防振ゴムを有する左右の前部機関脚体238を介して、ディーゼルエンジン5前部の左右側面を連結している。即ち、エンジンフレーム14にディーゼルエンジン5前側を防振支持させると共に、左右一対の機体フレーム16の前端側に支持用梁フレーム236を介してディーゼルエンジン5の後部を防振支持させている。
また、前記支持用梁フレーム236上面に、左右一対の支柱フレームなどを介して、ボンネットシールド板(遮蔽板)244を立設している。ボンネットシールド板244にてボンネット6後方を覆う。ディーゼルエンジン5が内装されるエンジンルーム200は、ボンネット6と、左右の側部エンジンカバー232と、ファンシュラウド234と、ボンネットシールド板244にて囲まれた空間にて形成される。なお、ボンネットシールド板244をキャビン7前面から離間させて配置することで、ボンネット6後方に配置されるキャビン7とボンネットシールド板244との間に断熱層を形成する。従って、キャビン7側がエンジンルーム200からの排熱により加温されることを防止できるから、キャビン7内におけるオペレータは、ディーゼルエンジン5や排気ガス浄化装置224の排熱の影響をうけることなく、快適に操縦可能となる。
さらに、ファンシュラウド234の上部とボンネットシールド板244の上部の間に左右一対の梁フレーム248を架設させる。ファンシュラウド234上部及びボンネットシールド板244上部を、一対の梁フレーム248にて連結し、これらの部材が一体的になって全体として堅牢なエンジンルーム200のフレーム構造体を構成すると共に、左右一対の梁フレーム248に遮熱板250の左右両縁を固着し、ディーゼルエンジン5上側の排気ガス浄化装置224などを遮熱板250にて覆う。排気ガス浄化装置224の上に遮熱板250を配置することで、排気ガス浄化装置224及びディーゼルエンジン5の排熱によるボンネット6の加温を防止できると共に、ボンネット6と遮熱板250との間に空間を形成して、遮熱板250下側のエンジンルーム200内を外気から断熱して、排気ガス浄化装置224を高温環境で動作させることができるように構成している。
ボンネットシールド板244前面上縁に、ボンネット支持ブラケット255を設け、ボンネット6の後端部を回動可能に支持し、ボンネット支持ブラケット255のヒンジ部を支点にしてボンネット6の前部を昇降動させるように構成している。また、ボンネット6下方における遮熱板250の左右両側に、伸縮可能なガススプリング256を配置している。左右一対の梁フレーム248の後端側に左右一対のガススプリング256の一端(後端)を枢着させると共に、ボンネット6上部内側面にガススプリング256の他端(前端)を枢着している。従って、ボンネット6の前部を持上げることによって、ボンネット支持ブラケット255のヒンジ部を軸支点としてボンネット6前部を上方に開動させ、エンジンルーム200前部上面側を開放して、ディーゼルエンジン5などのメンテナンス作業等を実行できる。
次に、図5〜図25を参照して、前記昇降機構22及びリンク機構111の取付け構造について説明する。前記ミッションケース17は、主変速入力軸28などを有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19などを有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。中間ケース114の左右側面に左右の上下機体連結軸体115,116を介して左右の機体フレーム15の後端部を連結する。即ち、2本の上機体連結軸体115と、2本の下機体連結軸体116にて、中間ケース114の左右両側面に左右の機体フレーム15の後端部を連結させ、機体フレーム15とミッションケース17を一体的に連設して、走行機体2の後部を構成すると共に、左右の機体フレーム15の間に前部変速ケース112または動力伝達軸29などを配置して、前部変速ケース112などを保護するように構成している。
また、昇降機構22は、前記ワンタッチ昇降レバー34または作業部ポジションダイヤル51の操作にて作動制御する左右の油圧リフトシリンダ117と、ミッションケース17のうち後部変速ケース113上面側に設ける開閉可能な上面蓋体118にリフト支点軸119を介して基端側を回動可能に軸支する左右のリフトアーム120と、左右のロワーリンク23に左右のリフトアーム120を連結させる左右のリフトロッド121を有している。右のリフトロッド121の一部を油圧制御用の水平シリンダ122にて形成し、右のリフトロッド121の長さを水平シリンダ122にて伸縮調節可能に構成している。
なお、図24などに示す如く、上面蓋体118の背面側にトップリンクヒンジ123を固着し、トップリンクヒンジ123にヒンジピン124を介してトップリンク24を連結する。トップリンク24と左右のロワーリンク23に作業機を支持した状態下で、水平シリンダ122のピストンを伸縮させて、右のリフトロッド121の長さを変更した場合、前記作業機の左右傾斜角度が変化するように構成している。
図17、図23に示す如く、ミッションケース17の側面部外側または底面部外側に着脱可能に固着するヒッチ体131を備える。該ヒッチ体131の左右側部に左右のロワーリンク支点軸体130を設け、ヒッチ体131の左右側部に左右のロワーリンク支点軸体130を介して左右のロワーリンク23の基端側を回動可能に支持している。ヒッチ体131は、後部変速ケース113(ミッションケース17)の側面部外側にボルト134締結する左右の側板体132と、後部変速ケース113(ミッションケース17)の底面部外側にボルト135締結する底板体133を有する。底板体133の左右端部に左右の側板体132の下端側を一体的に固着し、後部変速ケース113(ミッションケース17)の側面部と底面部を前記ヒッチ体131にて囲むように構成している。
また、図17、図24、図25を参照して、前記ロワーリンク23の取付け構造を説明する。側板体132の機外側面に支点軸ボス136と支点軸受けブラケット137を固着し、支点軸ボス136にロワーリンク支点軸体130の一端側を嵌挿させると共に、ロワーリンク支点軸体130の他端側に軸止め板138を固着するものであり、支点軸受けブラケット137に機外側方からロワーリンク支点軸体130の一端側を貫通させ、ロワーリンク23基端部と支点軸ボス136にロワーリンク支点軸体130の一端側を嵌着させ、支点軸受けブラケット137の機外側面に軸止め板138をボルト139締結させる。即ち、ミッションケース17の左右外側方向から前記ヒッチ体131にロワーリンク支点軸体130を着脱させ、ロワーリンク23を着脱可能に構成している。
一方、図11、図16、図17、図23〜図25を参照して、前記リフトシリンダ117の取付け構造を説明する。リフト支点軸119にリフトアーム120基端部を軸支し、リフトアーム120先端側にリフトロッド121(水平シリンダ122)を連結すると共に、リフトアーム120中間にピストン受け軸141を介して単動構造のリフトシリンダ117のピストン142先端側(上端側)を連結させる。また、側板体132の機外側面にシリンダ軸ボス145とシリンダ受け体146を固着し、シリンダ軸ボス145にシリンダ取付け軸体147の一端側を嵌挿させると共に、シリンダ取付け軸体147の他端側に軸止め板148を固着するものであり、シリンダ受け体146に機外側方からシリンダ取付け軸体147の一端側を貫通させ、リフトシリンダ117の基端部(下端側)とシリンダ軸ボス145にシリンダ取付け軸体147の一端側を嵌着させ、シリンダ受け体146の機外側面に軸止め板148をボルト149締結させる。
即ち、シリンダ取付け軸体147の外側方にロワーリンク23を延設させ、シリンダ取付け軸体147の取付け部の外側方をロワーリンク23にて遮蔽したものであり、ロワーリンク23を取外した状態下で、ミッションケース17の左右外側方向から前記ヒッチ体131にシリンダ取付け軸体147を着脱させ、リフトシリンダ117を着脱可能に構成している。換言すると、ロワーリンク支点軸体130を介して支点軸受けブラケット137にロワーリンク23を装着した状態下では、シリンダ取付け軸体147を抜き出して、リフトシリンダ117を取外すことができないように構成している。
一方、図17、図20〜図23に示す如く、図示しない台車などを牽引する牽引アーム151を備えている。牽引アーム151の後端部に台車連結用の牽引ピン152を設けると共に、側板体132の後端部に上下規制板153を固着し、上下規制板153に左右規制ピン154を設けて、上下規制板153と左右規制ピン154の間に牽引アーム151の中間部を貫通させる。また、底板体133の下面に牽引ブラケット155を固着し、係止軸体156を介して牽引ブラケット155に牽引アーム151の前端側を前後位置調節可能に連結している。なお、牽引アーム151が不必要なとき、係止軸体156を離脱させた後、牽引アーム151を後方に抜き出して、牽引アーム151を取外すように構成している。
図1、図11〜図25に示す如く、ディーゼルエンジン5を搭載する走行機体2と、走行機体2に作業機を装着するリンク機構111と、リンク機構111を昇降動する昇降機構22を備え、走行機体2の一部をミッションケース17にて構成し、リンク機構111の一部を左右のロワーリンク23にて構成し、昇降機構22の一部をリフトシリンダ117にて構成し、走行機体2に作業機を昇降可能に取付けるトラクタにおいて、ミッションケース17にロワーリンク支点軸体130を介して左右のロワーリンク23の基端側を連結する構造であって、ミッションケース17の側面部外側または底面部外側に着脱可能に固着するヒッチ体131を備え、該ヒッチ体131の左右側部に左右のロワーリンク支点軸体130を設け、ヒッチ体131の左右側部に左右のロワーリンク支点軸体131を介して左右のロワーリンク23の基端側を支持するように構成している。したがって、走行機体2を共用して、エンジン5またはロワーリンク23などの仕様を変更することにより、異なる機種を容易に構成でき、設計製作などの作業性を向上できる。また、ヒッチ体131と左右のロワーリンク支点軸体130をユニット構造に構成でき、左右のロワーリンク23を取付けるためのヒッチ構造を簡略化できると共に、大型の作業機に適応した支持荷重を簡単に確保できる。
図11〜図25に示す如く、前記ヒッチ体131は、ミッションケース17の側面部外側に締結する左右の側板体132と、ミッションケース17の底面部外側に締結する底板体133を有し、底板体133の左右端部に左右の側板体132の下端側を一体的に固着し、ミッションケース17の側面部と底面部を前記ヒッチ体131にて囲むように構成している。したがって、ミッションケース17の左右側面に配置させる後車軸ケース19と前記ヒッチ体131の干渉を容易に防止できるものでありながら、大型の作業機に適応した支持荷重を簡単に確保できる。
図11〜図25に示す如く、昇降機構22の一部を左右のリフトアーム120にて構成し、ミッションケース17にリフト支点軸119を介して左右のリフトアーム120基端側を連結し、左右のリフトアーム120先端側にリフトロッド121を介して左右のロワーリンク23中間を連結し、左右のリフトアーム120中間にリフトシリンダ117を取付ける構造であって、ヒッチ体131のシリンダ受け体146にシリンダ取付け軸体147を介してリフトシリンダ117を連結している。したがって、ミッションケース17の上面側に左右のリフトアーム120を配置でき、ミッションケース17の背面側にリフトシリンダ117を配置でき、ミッションケース17後部の左右側面及び上下面を有効に活用して、昇降機構22をコンパクトに組付けることができるものでありながら、昇降機構22の組付け分解作業性などを向上できる。
図11〜図25に示す如く、シリンダ取付け軸体147の外側方にロワーリンク23を延設させると共に、ロワーリンク支点軸体130またはシリンダ取付け軸体147を、ミッションケース17の左右外側方向からヒッチ体131に着脱可能に構成している。したがって、走行機体2の左右機外側方からロワーリンク支点軸体130またはシリンダ取付け軸体147を容易に着脱操作でき、ロワーリンク23またはリフトシリンダ117などの組付け分解作業性を向上できるものでありながら、シリンダ取付け軸体147の取付け部の外側方を前記ロワーリンク23にて遮蔽できる。即ち、ロワーリンク23の離脱操作、またはリフトアーム120とリフトシリンダ117のピストン142の離脱操作が、リフトシリンダ117の離脱操作に優先して実行されるから、ロワーリンク23を取付けた状態では、シリンダ取付け軸体147を抜き出して、リフトシリンダ117を外せないように構成でき、リンク機構111などの分解作業性を向上できる。
次に、図26〜図30を参照しながら、ロワーリンク23及びチェックチェン体103の支持構造の別実施形態について説明する。別実施形態では、ミッションケース17に着脱可能に固着するヒッチ体131の左右側板体132の機外側面に、リフトシリンダ117の下端側を支持するシリンダ受け体146を固着している。シリンダ受け体146の横側板に支点軸受けブラケット137を固着している。左右側板体132とシリンダ受け体146とには、横長筒状の第1支点軸ボス体136aを両持ち梁状に固着している。第1支点軸ボス体136aの左右外側の端部は、シリンダ受け体146の横側板を貫通している。支点軸受けブラケット137には、横筒状の第2支点軸ボス体136bを片持ち梁状に固着している。第2支点軸ボス体136bの左右外側の端部は、支点軸受けブラケット137の横側板を貫通している。第1支点軸ボス体136aと第2支点軸ボス体136bとは、互いのボス穴が連通するように同心状に左右に並んでいる。
第1支点軸ボス体136aと第2支点軸ボス体136bとの間には適宜間隔の隙間が空いている。当該隙間にロワーリンク23の基端側を差し入れた状態で、第1支点軸ボス体136aとロワーリンク23基端側と第2支点軸ボス体136bとに横長のロワーリンク支点軸体130を串刺し状に貫通させている。ロワーリンク支点軸体130によってロワーリンク23基端側を回動可能に軸支している。ミッションケース17の左右外側からヒッチ体131にロワーリンク支点軸体130を着脱させることによって、ロワーリンク23が着脱可能になっている。
ロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部(支点軸受けブラケット137横側板から左右外向きに突出した突出端部)には、上下一対の平板部130aを切り欠き形成している。支点軸受けブラケット137横側板には、上下両平板部130aを挟持する軸止め板138をボルト139締結している。軸止め板138で上下両平板部130aを挟持することによって、ロワーリンク支点軸体130が回動不能に保持される。ロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部は外カバー体140で覆われている。外カバー体140は、支点軸受けブラケット137横側板に、軸止め板138と一緒にボルト139締結している。
別実施形態では、チェンブラケット101の形態を先の実施形態のものと異ならせている。別実施形態のチェンブラケット101は、連結プレートを有しておらず、先の実施形態で言う固定ブラケットのみの形態になっている。すなわち、チェンブラケット101は、後部支持台97にボルト102締結される第1プレート105aと、第1プレート105a下面に垂直な姿勢で溶接固定した第2プレート105bとによって、断面T字状の形態になっている。第2プレート105bは第1プレート105aから後向きに延出していて、第2プレート105bの後端側は側面視でロワーリンク支点軸体130に被さっている(側面視でロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部を覆う外カバー体140を覆い隠している)。
チェンブラケット101の第2プレート105bとロワーリンク23とは、作業機(ロワーリンク23)が必要以上に左右揺動するのを防止するスタビライザとしての左右のターンバックル式チェックチェン体103を介して連結している。チェックチェン体103の先端側をロワーリンク23の長手中途部にピン150連結する一方、チェックチェン体103の基端側を第2プレート105bに枢支ピン151で着脱可能に連結している。
別実施形態では、第2プレート105bとロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部(外カバー体140)との左右間隔が狭く、互いに近接した位置関係になっている。従って、ロワーリンク支点軸体130をそのまま左右外側に引き抜こうとしても、第2プレート105bの後端側に突き当たることになる(第2プレート105bの存在が邪魔をしてロワーリンク支点軸体130を引き抜けない)。
この点、別実施形態では、第2プレート105bの後端側に左右貫通状の装着穴152を形成している。第2プレート105bの装着穴152には、ロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部を軸心線方向から臨ませている。装着穴152の内径はロワーリンク支点軸体130が挿通可能な大きさに設定している。すなわち、装着穴152の内径をロワーリンク支点軸体130の直径よりも大きく設定している。装着穴152には、枢支ピン151が差し込まれる軸受体153を着脱可能に嵌め込んでいる。チェックチェン体103の基端側と第2プレート105bの装着穴152に嵌め込んだ軸受体153とに、頭部付きで横長の枢支ピン151を貫通させている。枢支ピン151のうち頭部と反対側の突端部に、抜け止め用の止めピン154を着脱可能に装着している。枢支ピン151は、止めピン154によってチェックチェン体103の基端側及び第2プレート105bの軸受体153に対して抜け不能に保持される。止めピン154を外して枢支ピン151を引き抜いてチェックチェン体103と第2プレート105bとの連結を解除し、軸受体153と外カバー体140とを取り外した状態では、側面視で挿通穴152を通じてロワーリンク支点軸体130の左右外側の端部が見えることになる。
すなわち、チェックチェン体103と第2プレート105bとの連結を解除し、軸受体153と外カバー体140とを取り外した状態であれば、装着穴152を通してロワーリンク支点軸体130を抜き差しできる。従って、ミッションケース17(ヒッチ体131)にロワーリンク23を着脱するに際して、わざわざ後車軸ケース19からチェンブラケット101を取り外す必要がない。ロワーリンク23着脱作業を簡便に行える。
また、枢支ピン151を軸支する部分(軸受体153の軸穴部分)が摩耗した場合は、チェンブラケット101全体を交換しなくても、軸受体153だけを交換すれば足りることになり、メンテナンス作業性を向上できると共に、メンテナンスコスト低減にも貢献する。
別実施形態では、ロワーリンク支点軸体130と枢支ピン151とを同心状に位置させている。すなわち、ロワーリンク支点軸体130の軸心線と枢支ピン151の軸心線とを略一致させている。このため、装着穴152を通してロワーリンク支点軸体130を抜き差しする際に、ロワーリンク支点軸体130を装着穴152に通しやすく、ロワーリンク支点軸体130の抜き差し作業がし易いのである。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。