JP6579754B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
前記フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成するローラと、を備え、前記ニップ部でトナー像が担持された記録材を搬送しながら加熱してトナー像を記録材に定着する定着装置において、前記熱伝導部材と前記ヒータとの接触領域のうち少なくとも長手方向の端部領域に潤滑剤が介在することを特徴とするものである。
図5は本実施例における画像形成装置の概略構成図である。
図6は本実施例における定着装置6の概略模式図である。定着装置6は、加熱部材としてのフィルムユニット10と、加圧部材としての加圧ローラ20と、を有する。定着装置6の断面図及び斜視図をそれぞれ図6(a)及び(b)に示す。フィルムユニット10は主に、フィルム13と、フィルム13の内面に接触するヒータ11と、ヒータ11のフィルム13と接触する面と反対側の面に接触する熱伝導部材24と、熱伝導部材24を介してヒータ11を支持する支持部材12と、を有する。フィルムユニット10は更に、フィルムユニット10の曲げ剛性を向上させるための金属ステー14を有する。
フィルム13は筒状の耐熱性フィルムである。フィルム134は、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂やステンレス、ニッケル等の金属で形成された基層を有する。基層の材料のうち耐熱性樹脂に関しては熱伝導性を向上させるために、BN、アルミナ、Al等の高熱伝導性粉末を混入しても良い。また、フィルム13の総厚は、低熱容量で且つ耐久性を有するために20μm以上200μm以下が好ましい。更にオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂で離型性層を形成してある。被覆の方法としては、フィルム13の外面をエッチング処理した後に離型性層をディッピングするか、粉体スプレー等の塗布であってもよい。あるいは、チューブ状に形成された樹脂をフィルム13の表面に被せる方式であっても良い。または、フィルム13の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、離型性層を被覆する方法であっても良いし、離型性に優れた材料から成型した単層構成であっても良い。本例では、基層ポリイミド製で厚み55μm、その上に接着層を設け、表層は導電材を付与したPFAを厚み10μmでコーティングし、総厚は70μm、直径は18mmとし、基層には高熱伝導性粉末を混入することにより高熱伝導化をはかっている。
加圧ローラ20は、ステンレスなどの金属で形成された芯金21と、その外側に形成されたシリコーンゴムなどの耐熱ゴムで形成した弾性層22と、を有するローラである。この弾性層22の外側にPFA等の離型性層が形成されていてもよい。本件では、シリコーンバルーンゴム層を厚み3.5mm、直径20mm、表層はPFA製で厚み20μm、製品硬度はアスカーC硬度で49度となっている。
ヒータ11は、アルミナや窒化アルミ等のセラミックで形成された細長い基板11aの表面に、長手方向に沿って、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の発熱抵抗体11bが、厚み約10μm、幅約1〜5mm程度でスクリーン印刷等により形成されている。発熱抵抗体11bは不図示の導体部を介し不図示の電極部と接続されており、この電極部を介して不図示のコネクタ等によってヒータ11に電力が供給される。このヒータ11がフィルム13と接する面には、発熱抵抗体11bを保護する保護層11cが設けられている。保護層11cの厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が望ましく、ガラスやフッ素樹脂コート等を施す。本件では基板11aには厚み1mm、搬送方向幅5.83mm、長手方向長さ270mmのアルミナを用いている。基板11aの上に銀パラジウムの発熱抵抗体11bを幅1mm、長手方向長さ218mmに渡り形成した上に、保護層11cとして厚み60μmのガラスをコートしている。総抵抗値は13.8Ωであり、定格120V入力時において投入電力は1043Wとなる。
熱伝導部材24は小サイズ記録材を連続的に定着処理した時に生じる非通紙部昇温を均熱効果によって抑制するために用いられる。本実施例では熱伝導部材24の材料としてアルミニウムを用いたものの、良熱伝導性の金属であれば良く、銅や銀であっても良い。アルミ板24は長手方向の両端部に支持部材12に近づく方向に曲げた曲げ部24aと、短手方向の端部に設けた曲げ部24bと、を有する。アルミ板24は、これらの曲げ部24a、24bを支持部材に設けられた穴部(不図示)に挿しこんで支持部材12に設置される。曲げ部24bは長手方向の移動を規制する規制部で、曲げ部24aは厚み方向の移動を規制する規制部である。アルミ板24の上にヒータ11を設置する。ヒータ11の長手方向の中央部はアルミ板24を介してヒータ支持部材12に支持され、ヒータ11の長手方向の両端部は支持部材12に接触して支持される。本実施例ではアルミ板24は厚み0.3mm、搬送方向幅は5.5mm、長手方向長さは218mmでありヒータ11の基板の発熱抵抗体が設けられた面と反対側の面に配置している。
支持部材12はヒータ11、アルミ板24等を支持する部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成される。熱伝導率が低いほど加圧ローラ20への熱伝導が良くなるので、樹脂層中にガラスバルーンやシリカバルーン等のフィラーを内包してあっても良い。フィルム13の回転をガイドする役割も持つ。支持部材12は長手方向に長い溝が設けられており、その溝にある支持面にアルミ板24、ヒータ11を設置する構成である。この支持部材12の支持面によって、支ヒータ11はアルミ板24を介して支持されている。この支持面には、長手方向の中央部が両端部よりも加圧ローラ20に近づく方向に突出したクラウン形状が設けられている。この理由については後述する。支持部材12のヒータ11を支持する面と反対側の面には金属ステー14が設けられている。
フィルムユニット10は次のような構成により加圧ローラ20の弾性に抗して押圧され、所定のニップNを形成する。すなわち、図6(b)に示すように、金属ステー14は、その長手方向の両端がヒータ支持部材12から突き出ていて、金属ステー両端部にあるバネ受け部14aがバネ受け部材を介してコイルバネ15によって加圧される。荷重はステー足部14bを介して支持部材12の長手方向に渡って伝達される。また、カートリッジ着脱時においては不図示の離間機構によって加圧バネ15は持ち上げられ離間される。本件ではニップ部Nに総荷重15kgfの加圧力を与えている。本実施例におけるニップ部Nの長手方向の圧力分布は、前述した支持部材12の支持面のクラウン形状によって、中央部の方が両端部よりも大きくなるように設計されている。ニップ部Nでは、加圧力によってフィルム13がヒータ11と加圧ローラ20の間に挟まれることで撓み、ヒータ11に密着した状態になる。
最初に、本実施例の課題について詳細に説明する。ヒータ11とアルミ板24との間に潤滑剤が介在しない定着装置において、プリント動作に伴い装置が昇温と冷却を繰り返すと次のような課題がある。ヒータ11とアルミ板24とが熱膨張すると、この2つの部材の線膨張係数の違いに起因してアルミ板24にはヒータ11との間で生じる摩擦力から応力が発生する。この応力はアルミ板24の長手方向の端部領域において生じやすい。これは、アルミ板24の長手方向の端部のエッジが熱膨張する時にヒータ11に引っ掛かりやすく熱膨張による伸びが規制されるためであると考えられる。この応力が繰り返しアルミ板24の端部に生じると、アルミ板24は長手方向に収縮し、非通紙部昇温の抑制効果が低下するという課題が発生する場合がある。特に、熱伝導部材24の材料としてアルミニウム、ヒータ11の基板の材料としてセラミックスを用いると、アルミニウムの方がセラミックスよりも線膨張係数が大きく且つ硬度が低いので、アルミ板24の方が変形しやすい。
本実施例の効果を確認するために、ヒータ11とアルミ板24の間にグリースを介在させた本実施例の構成と、グリースが介在しない比較例の構成とを用いて効果確認のための実験を行った。本実施例と比較例とでそれぞれ3サンプルを用いて評価を行った。
11 ヒータ
12 支持部材
13 フィルム
20 加圧ローラ
24 熱伝導部材
Claims (5)
- 筒状のフィルムと、
前記フィルムの内面に接触する細長いヒータと、
前記ヒータの前記フィルムと接触する面と反対側の面に前記ヒータの長手方向に亘って接触する、金属からなる熱伝導部材と、
前記熱伝導部材を介して前記ヒータを支持する支持部材と、
前記フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成するローラと、
を備え、前記ニップ部でトナー像が担持された記録材を搬送しながら加熱してトナー像を記録材に定着する定着装置において、
前記熱伝導部材と前記ヒータとの接触領域のうち少なくとも長手方向の端部領域に潤滑剤が介在することを特徴とする定着装置。 - 前記ヒータは、基板と、前記基板の上に形成された発熱抵抗体と、を有し、前記熱伝導部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記ヒータの短手方向において、前記熱伝導部材の幅は、前記ヒータの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤は、前記ヒータと前記フィルムの内面との間に介在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記ニップ部の圧力は、長手方向の端部よりも中央部の方が大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
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