JP6578597B2 - 石膏の加熱方法、石膏の加熱装置および石膏の製造方法 - Google Patents

石膏の加熱方法、石膏の加熱装置および石膏の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、石膏の加熱方法、石膏の加熱装置および石膏の製造方法に関する。
石炭や鉱石等の被処理物を乾燥する乾燥機としては、スチームチューブドライヤー(以下「STD」という。)、コールインチューブ(特許文献1)、ロータリーキルン等が多用されている。前記石炭や鉱石は、製鉄や精錬の原料、発電燃料等として用いられ、これらを安定的にかつ大量に処理することが要求されるため、この要求に適う乾燥機として、前記の各乾燥機が採用されている。
STDは被処理物を間接加熱するため、熱効率が高く、単位容量当たりの処理量も多い。また、大型化も可能であるため、大量処理の要求に適している。
コールインチューブも被処理物を間接加熱するため、前記STDと同様に、熱効率が高く、単位容量当たりの処理量も多い。しかし、STDに比べて大型化が難しいという欠点がある。例えば、前記STD1台で処理できる量をコールインチューブで処理しようとしたとき、複数台必要となる場合がある。
ロータリーキルンは、被処理物に熱風を当てて直接乾燥させるため、間接加熱に比べて熱効率が悪いという欠点がある。また、排気処理設備が非常に大きくなるという欠点もある。かかる理由から、大量の被処理物を処理する乾燥機としては、STDに優位性がある。
実用新案登録第2515070号公報 特公昭62−60632号公報
近年は、被処理物の大量乾燥処理の要求が強く、その要求に応えるため、乾燥機の大型化が進んでいる。STDの大型化を例に挙げると、シェル径が4mで、本体長が30m以上のものも作られている。
しかし、乾燥機の大型化は、設置面積が増えてしまうという問題が生じるほか、製造や輸送に問題が生じる。具体的には、強度を保持するために各部材の板厚が増加し、シェル径が4m、本体長が30mの前記STDでは、本体重量が400tonにも達する。そのため、完成までに多くの時間かかるという問題がある。また、製造に特別な設備を要するという問題もある。
さらに、大型化に伴って製品輸送の際に、その重量に耐えられる特殊車両が必要になり、輸送路が狭い場合には、分割して輸送し、現場で接合し、組立てる必要があり、工事が非常に繁雑であるという問題もある。
これらの問題は、石膏を被処理物とした乾燥や焼成処理においても表われる。
本発明者は、前述の装置の大型化には限界があることを踏まえ、被処理物、すなわち石膏の乾燥速度を向上させることを指向するべきであるとの課題を見出した。同様に石膏の焼成速度を向上させることを指向するべきであるとの課題を見出した。
したがって、本発明の課題は、加熱装置による石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることにある。
また、加熱装置の大きさ(シェル径)当たりの処理量を増大できる本発明により装置の大型化に伴う前記問題を極力回避できるようにすることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成の加熱装置を用いて、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する石膏の加熱方法であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、前記回転筒を回転して、石膏を加熱することを特徴とする石膏の加熱方法。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
(作用効果)
従来、石膏用加熱装置の回転筒の回転数について、回転筒の内径が2.44mの場合は、回転数を2.5〜3.1rpmに設定して運転を行っている。この加熱装置は、回転筒の回転により、加熱装置内部で石膏を出口へ向かって搬送する推進力を生じさせる。このとき、石膏の搬送量が多いにも関わらず回転数が低いと、加熱装置内部で石膏が溜まり過ぎて流路が詰まることがある。このようなトラブルを回避するため、石膏の流動性を鑑み、経験則に基づいて回転数を調整し、石膏の搬送量が多い場合は回転数を高め、石膏の搬送量が少ない場合は回転数を低く設定して運転を行っている。
他方、本発明者らの知見によれば、加熱装置の大きさ(回転筒の内径)を変えると、同じ回転数で回転しても、石膏の乾燥速度や焼成速度が変わるとともに、その速度の予測が難しいという問題がある。特に大型の加熱装置になるほどその速度の予測が困難であるため、伝熱面積を大きめに設計して処理能力に余裕を持たせていた。
かかる理由により、従来例では、テスト機から実機にスケールアップする際に、所望する処理能力を引き出すことが困難であったのに対し、本発明に係る石膏の加熱方法を用いて回転筒の回転速度を決定することで、スケールアップの際に、所望する処理能力を発揮させることが容易となる。
また、本発明の石膏の加熱方法においては、加熱装置の回転速度を高速化することにより、従来よりも乾燥速度や焼成速度を飛躍的に向上させることができ、石膏の大量処理が可能となる。
<請求項2記載の発明>
前記加熱装置に供給する石膏の含液率が3〜20wt%W.B.である請求項1記載の石膏の加熱方法。
(作用効果)
含液率3〜20wt%W.B.の石膏を加熱装置に供給したときに、回転筒の臨界速度比αが15〜70%未満となるように回転筒の回転速度を選択して回転することで、石膏の乾燥および/または焼成速度を従来よりも速くすることができる。
一般的に、石膏の含液率が20wt%W.B.を超えると、どろどろした粘液状になる。そのため、含液率が20%を超える石膏を加熱装置に供給した場合、石膏が回転筒の内壁に付着して、回転筒と石膏が一緒に回転してしまう。石膏が回転筒の上方から下方へ回転筒内の空間を落下することが少ないため、石膏と加熱管群の接触面積が増えず、乾燥および/または焼成速度を上げることができない。
一方、石膏の含液率を3wt%W.B.未満にするためには、乾燥工程の前の脱水工程において、高機能の高価な脱水機を用いて高い負荷をかけて脱水する必要があるため、経済性や省電力等の観点から好ましくない。
<請求項3記載の発明>
一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成とされ、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する加熱装置であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、回転筒を回転できる構成であることを特徴とする石膏の加熱装置。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
(作用効果)
装置の観点から、請求項1と同様の作用効果を奏する。
<請求項4記載の発明>
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から無水石膏を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
(作用効果)
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させるとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した半水石膏とし、前記加熱管群により半水石膏を間接加熱して、半水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した無水石膏とし、回転筒の排出口から無水石膏を排出させる。これによって、二水石膏から無水石膏を得ることができる。
<請求項5記載の発明>
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から半水石膏を得ることを特徴とする半水石膏の製造方法。
(作用効果)
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させるとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した半水石膏とし、回転筒の排出口から半水石膏を排出させる。これによって、二水石膏から半水石膏を得ることができる。
<請求項6記載の発明>
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることを特徴とする二水石膏の製造方法。
(作用効果)
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させる。このとき、二水石膏の内部の結晶水は保持したままの状態に保ち、回転筒の排出口から付着水のみを除いた二水石膏を排出させる。これによって、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることができる。なお、前記「付着水を除去した二水石膏」は、付着水の全て除去した二水石膏でも良いし、付着水の一部を除去した二水石膏でも良い。
以上のように、本発明によれば、加熱装置による石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることができる。また、乾燥および/または焼成速度が向上する結果、加熱装置の大きさ(シェル径)当たりの処理量を増大できる。逆からいえば、処理量当たりの装置の大きさを小さくできる。
本発明に係る加熱装置の側面図である。 スクリューフィーダ及びその周辺を示した側面図である。 回転筒の他端側の拡大図(側面図)である。 本発明に係る加熱装置(変形例)の側面図である。 図4のX−X線断面図である。 供給方式がシュート式である場合の側面図である。 供給方式が振動トラフ式である場合の側面図である。 回転筒の横断面の形状を矩形にした例である。 回転筒の外側にジャケットを設けた場合の側面図である。 処理物の排出方式の変形例を示した側面図である。 向流を採用した加熱装置の斜視図である。 ガス吹き込み管式の加熱装置の説明図であり、(a)はガス吹き込み管の断面図であり、(b)はガス吹き込み管を加熱装置内に配した斜視図である。 臨界速度比の導出過程の説明図である。 供給する石膏の含液率を変えた場合の臨界速度比と乾燥焼成速度の関係を示したグラフである。 本発明に係る加熱装置の加熱管の隙間の説明図である。 本発明に係る加熱装置の加熱管の配置例を示した横断面図である。 加熱管の配列の決定方法の説明図である。 本発明に係る加熱装置の加熱管の配置例を示した横断面図である。 本発明に係る加熱装置の加熱管の配置例を示した横断面図である。 図16を基礎として、加熱管の本数を増やした状態を示した横断面図である。 図18を基礎として、加熱管の本数を増やした状態を示した横断面図である。 図19を基礎として、加熱管の本数を増やした状態を示した横断面図である。 従来の加熱装置の加熱管の配置例を示した横断面図である。 被処理物の付着性を説明した表である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図を用いて更に説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の実施形態の一例を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきでない。
(発明の骨子)
一般に、加熱装置を用いた被処理物Wの乾燥および/または焼成速度は、下記の式3のように表すことができる。
Q=Uoa×Aef×Tln ・・・式3
ここに、Qは伝熱量(W)であり、Uoaは総括伝熱係数(W/m2−K)であり、Aefは有効接触伝熱面積(m2)であり、Tlnは温度差(℃)である。
乾燥および/または焼成速度は伝熱量Qと同義であり、前記の式3の左辺の伝熱量Qを高めるには、右辺の総括伝熱係数Uoa、有効接触伝熱面積Aef、温度差Tlnのいずれか、または全てを高めるような方策を取ればよい。
本発明者は、総括伝熱係数Uoa及び有効接触伝熱面積Aefに着目し、これらを高めるために、伝熱面と被乾燥物との相対的接触速度をより速くすること、および石膏の分散を良くして伝熱面と石膏との有効接触伝熱面積をより増大させることを考えた。実際に各種の実験・検討を行ったところ、本発明の手法の有効性を明確に確認できた。
更に、本発明に従う高速回転化技術を詳細に分析した結果、加熱装置の回転筒10の直径が異なる場合においても、本発明の思想が適用できることを知見した。
(石膏)
被処理物Wとしては、石膏(硫酸カルシウム二水和物。組成式Ca[SO4]・2H2O。)を挙げることができる。この石膏は、天然に存在する天然石膏と、人工的に製造した化学石膏に大別することができる。天然石膏は、欧米やアフリカ等の水成鉱床で産出した石膏の品質が高く、過去に日本の交代鉱床で産出していた石膏は不純物混入量が多く品質が優れない傾向があった。また、化学石膏は、リン酸石膏、排煙脱硫石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、鉱水・精錬石膏などを例示することができる。
前記において、被処理物Wを石膏と称したが、具体的には、乾燥工程の前の脱水工程において固液分離機によって脱水された後のケーキ(脱水ケーキ)を例示できる。この脱水ケーキには、石膏以外の物質が含まれていても良く、例えば石膏ボード廃材を回収して新たな原料とするものには、石膏ボードの紙や混和材料・添加剤等が含まれる。
また、石膏は結晶形によって、二水石膏(組成式Ca[SO4]・2H2O)、半水石膏(α型半水石膏(組成式α・Ca[SO4]・1/2H2O)とβ型半水石膏(組成式β・Ca[SO4]・1/2H2O)の2種類がある)、無水石膏(III型無水石膏(組成式γ・Ca[SO4])、II型無水石膏(組成式β・Ca[SO4])およびI型無水石膏(組成式α・Ca[SO4])の3種類がある)に分類することができる。
本発明に係る加熱装置は、主として、付着水を有する二水石膏を加熱して無水石膏にする際に用いることができるが、付着水を有する二水石膏を半水石膏にする際にのみ用いたり、半水石膏を無水石膏にする際にのみ用いたり、二水石膏に付着する付着水のみを乾燥する際(すなわち、内部に結晶水を保持したままの二水石膏を得る際)に用いたりしても良い。なお、付着水を有する二水石膏を加熱すると、まず二水石膏に付着していた付着水が蒸発し、次に二水石膏の内部に存在する結晶水が分解・蒸発し焼成された半水石膏となり、半水石膏をさらに加熱すると、半水石膏の内部に存在する結晶水が分解・蒸発し、焼成された無水石膏となる。このことを化学式で表すと、下記の通りとなる。
Ca[SO4]・2H2O → Ca[SO4]・1/2H2O → Ca[SO4]・・・式4
したがって、本発明に係る加熱装置は、用途に応じて乾燥と焼成のいずれか、または両方を行うことができる装置、すなわち乾燥機(Dryer)であるとともに焼成機(Calciner)であると言える。
なお、本明細書における「乾燥および/または焼成」は、主に(1)付着水を有する二水石膏を加熱して、付着水を蒸発させる乾燥のみを行い、内部に結晶水を保持したままの二水石膏を得るときの「乾燥」のみを指す場合(すなわち、「焼成」を含まない場合)、(2)付着水を有する二水石膏を加熱して、付着水を蒸発させる乾燥を行うとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発して焼成を行い、半水石膏を得るときの「乾燥」および「焼成」を指す場合、(3)付着水を有する二水石膏を加熱して、付着水を蒸発させる乾燥を行うとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発して焼成を行って半水石膏を得た後、半水石膏をさらに加熱して、半水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発して焼成を行い、無水石膏を得るときの「乾燥」および「焼成」を指す場合、(4)付着水を有さない二水石膏(付着水を全く有さない二水石膏でも良いし、一般の二水石膏と比較して、付着水が少ない二水石膏でも良い)を加熱して、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて、内部に一部の結晶水を保持した半水石膏を得る「焼成」のみを指す場合(すなわち「乾燥」を含まない場合)、(5)半水石膏を加熱して、半水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて、無水石膏を得る「焼成」のみを指す場合(すなわち「乾燥」を含まない場合)、の5態様を例示できる。なお、前記「乾燥および/または焼成」と同様の意味で、「乾燥焼成」と記載することもできる。
例えば、石膏ボードを製造する際は、(1)原料石膏を乾燥機で乾かし、(2)乾燥した原料を焼成炉で焼成し、(3)焼成した石膏を粉砕機で粉砕し、(4)サイロに貯蔵した後、(5)混和材料や添加剤を適宜加えてスラリーとし、(6)スラリーを表裏のボード用紙で挟み、(7)板状の形態に成形し、(8)任意の大きさに切断し、(9)乾燥する。本発明に係る加熱装置は、前記(1)の乾燥工程の場合、前記(2)の焼成工程の場合、または前記(1)乾燥工程と前記(2)焼成工程を連続して行う場合に用いることができる。
加熱装置に供給する石膏は、物質表面がべたべたとしておらず、付着性の低いものが好ましい。図24に、日本粉体工業技術協会規格 SAP15−13、2013 解説書17頁 解説図5より引用した表を示す。本発明では、図24の点線で囲った領域にあるもの、詳しくはドライ(乾燥)、ペンジュラー域(懸垂域)、ファニキュラー域1(索状域1)、ファニキュラー域2(索状域2)、キャピラリー域(毛管域)の物質を石膏として用いることが好ましい。スラリー(泥しょう)は、付着性が極めて高い傾向にあるため適さない。
加熱装置に供給する石膏の含液率は、3〜20wt%W.B.、好ましくは5〜20wt%W.B.であることが好ましい。ここで、「含液率」とは、ケーキに付着する石膏の液分の重量(W1)に対する固形分の重量(W2)と液分の重量(W1)の和の重量比(W1/(W1+W2))をいう。この含液率は、乾燥減量法またはカールフィッシャー法により求めることができる。
(中位径)
本発明の中位径(「メジアン径」ともいう。)は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、商品名SALD−3100、島津製作所社製)を用いて粒度分布を測定し、累積体積が50%に相当する時の粒子径を中位径(D50)として定める。
本発明において、加熱装置に供給される石膏の中位径は10μm〜500μmであり、加熱装置から排出される乾燥および/または焼成した石膏(加熱処理物E)の中位径は5μm〜200μmである。
(加熱装置)
次に、本発明に係る加熱装置について説明する。この加熱装置としては、横型回転式乾燥機、すなわちSTD(Steam Tube Dryerの略称)を例示できる。この加熱装置の構造は、図1に例示するように、円筒状の回転筒10を有し、この回転筒10の軸心が水平面に対して若干傾くようにして設置されており、回転筒10の一端を他端よりも高く位置している。回転筒10の下方には、2台の支持ユニット20及びモーターユニット30が回転筒10を支持するようにして設置されており、回転筒10は、モーターユニット30によって、自身の軸心回りに回転自在とされている。この回転筒10は、一方向に回転するようになっている。その方向は任意に定めることができ、例えば、他端側(石膏の排出口側)から一端側(石膏の供給口側)を見て、反時計回り(矢印R方向)に回転させることができる。
なお、回転筒の臨界速度比αが15〜70%未満となるように回転筒を回転した場合、回転筒の回転速度が従来よりも速いため、石膏を一端側から他端側へ移動させる推進力が従来よりも強くなる。
一般的に加熱装置の回転筒は水平面に対して傾斜して設けられている。これは、一端側から他端側へ被処理物(石膏等)を移動しやすくするためである。被処理物を一端側から他端側へ移動させる推進力が弱い場合は、この傾斜角を大きくしなければならないが、本発明のように推進力が強い場合は、この傾斜角を小さくすることができる。傾斜角を小さくするほど回転筒に生じる軸方向荷重を支持する部品(スラストローラー)を小型化でき、安価なものとすることができるという利点がある。一般的な加熱装置の回転筒の傾斜角は0.57〜5.7度であるが、本発明では0.057〜2.86度にすることができる。
回転筒10の内部には、金属製のパイプであるスチームチューブ(加熱管)11が、被処理物Wとの伝熱管として、回転筒10の軸心に沿って延在して多数取り付けられている。このスチームチューブ11は、例えば回転筒10の軸心に対して同心円を成すように周方向及び径方向に複数本ずつ配列されている。この配置形態については、後に詳説する。なお、この加熱管11は、加熱媒体である蒸気等が加熱管11の内部を流通することで加温される。この加熱管11内を流れる加熱媒体の量は0.001m3/s〜13m3/sであり、供給する加熱媒体の温度は180℃〜220℃であり、加熱媒体の圧力は1.0〜2.0MPaゲージ圧である。また、回転筒10内の温度は20℃〜220℃であり、加温された加熱管11の外面の温度は50℃〜220℃である。また、回転筒10内の圧力はマイナス300mmH2O〜プラス100mmH2Oである。また、回転筒10に供給される石膏の温度は0℃〜100℃であり、回転筒10から排出される焼成後の半水又は無水石膏の温度は140℃〜220℃である。
また、スクリューフィーダ42の近傍には、ガス吹込み口でもある供給口41からキャリアガスAとして空気、不活性ガス等を回転筒10の内部に吹き込むガス吹込み手段(図示しない)が設けられており、このガス吹込み手段によって吹き込まれたキャリアガスAは、回転筒10の他端側に向かって回転筒10の内部を流通する。
図1、図3に示すように、回転筒10の他端側における周壁には、複数の開口50が貫通して形成されている。排出口50は、回転筒10の周方向に沿って複数形成され、図1、図3の例では、2つの列を成すように相互に離間して形成されている。また、複数の排出口50は、全て同形とされているが、異形とすることもできる。
また、回転筒10の他端側には、ガス管72が備えられ、スチームチューブ11内に蒸気を供給する供給管70とドレン管71とが設けられている。
(変形例)
なお、図4に示すように、前記回転筒10の他端側に、被処理物Wを撹拌する撹拌手段65を設けても良い。
また、図4、図5に示すように、回転筒10には、複数の排出口50を有する他端側を覆うように、被処理物W及びキャリアガスAを排出可能な分級フード55を設けても良い。この分級フード55は、肉厚な金属から形成されており、底面に、分級をされた加熱処理物Eを排出する固定排出口57を、天面にキャリアガスAを排気する固定排気口56を、それぞれ有する。
(乾燥、焼成過程)
次に、図1〜図3を参照しながら、加熱装置で石膏を乾燥および/または焼成する過程を説明する。
石膏は、供給口41からスクリューフィーダ42内に供給され、このスクリューフィーダ42内部に設置されたスクリュー44を図示しない駆動手段によって回動させることによって、回転筒10の内部に供給される。供給口41から供給された石膏は、蒸気によって加熱されたスチームチューブ(加熱管)11の外面に接触することによって乾燥および/または焼成しつつ、回転筒10の他端側に移動し、排出口50から排出される。なお、加熱管群11の両端部が回転筒10に連結しているため、回転筒10の回転に伴い、加熱管群11も一緒に回転する。そして、回転する加熱管群11によって石膏が上方に掻き上げられ、回転筒10内の広い範囲に分散する。後で詳述するように、回転筒の臨界速度比αが上昇するにしたがって、掻き上げられる石膏の量が増え、石膏が回転筒10内のより広い範囲に分散することになる。
この加熱装置は、蒸気(加熱媒体)によって加温された加熱管11の外面と石膏が接触することにより、石膏を間接的に加熱する装置である。したがって、加熱媒体と石膏が直接接触することにより、石膏が直接的に加熱され、乾燥する装置とは、装置のメカニズムが根本的に異なる。
なお、回転筒10に供給する付着水を有する二水石膏の含液率は3〜20wt%W.B.であり、加熱装置による加熱によって140〜220℃に昇温された半水石膏または無水石膏が、回転筒10から排出される。
他方、回転筒10の一端側に設けられた吹込み手段によって、供給口41から吹き込まれたキャリアガスAは、回転筒10内の空間(詳しくは、回転筒10の内壁と加熱管11の外壁の間の空間)を通過して、被処理物Wの排出口でもある排出口50から回転筒10外に排気される。
また、前記供給管70から加熱管11内に供給した蒸気は、被処理物Wと加熱管11が接触して熱交換することにより、加熱管11内を流れる過程で冷却されて液体Dになり、ドレン管71から排出される。
(変形例)
次に、図4、図5を参照しながら、撹拌手段65及び分級フード55を備えた加熱装置を用いる場合についても説明する。この場合において、前記説明と重複する部分は、省略する。
回転筒10内に供給された被処理物Wは、撹拌手段65を設けた位置まで到達すると、撹拌手段65によって撹拌され、続いて、図5に示すように、回転筒10の回転に伴って回動する掻上板60によって掻き上げられる。掻き上げられた被処理物Wは、掻上板60が回転筒10の上側に位置すると、自然に落下し、その際に被処理物Wに含まれる微粒子Cが回転筒10内に分散する(いわゆるフライトアクション)。なお、撹拌手段65の形状は、回転筒の中心方向に向けて突出した板材等、回転筒の回転に伴い被処理物Wを掻き上げられる構造であれば良い。たとえば掻上板60と同様の形状をとることができる。
他方、回転筒10の一端側に設けられた吹込み手段によって、供給口41から吹き込まれたキャリアガスAは、回転筒10内を通過して、被処理物Wの排出口でもある排出口50から回転筒10外に排気される。この際、キャリアガスAは、掻上板60によって回転筒10内に分散された微粒子Cを伴って排出口50から排気される。排出口50から排気されたキャリアガスAは、固定排気口56を介して分級フード55から排気される。
被処理物Wのうち、粒子径が大きく重量が重い粒子は、回転筒10内において落下し、キャリアガスAによって固定排気口56から排出されることもなく、下側に位置した排出口50から自然落下する。この自然落下した粒子(被処理物W)は、固定排出口57から加熱処理物Eとして外部に排出される。
そのほか、図12に示すような、ガス吹き込み管式の加熱装置を用いても良い。ガス吹き込み管36は、回転筒10の内部に軸方向に延在して設けられ、回転筒10や加熱管11と共に回転する。例えば、複数の加熱管11、11の間や、最も内側に位置する加熱管11よりも更に内側に設けることができる。なお、図12では、ガス吹き込み管36を分かり易くするために、加熱管11の表示を省いている。このガス吹き込み管36の壁面には、複数のガス吹き出し口37が開いている。図12の例では、ガス吹き込み管36の上部に、ガス吹き込み口37を軸方向に2列設けている。
前記ガス吹き込み管式加熱装置を運転する際は、回転筒10の一端側からガス吹き込み管36内へキャリアガスAを供給する。供給されたキャリアガスAは、ガス吹き込み口37から回転筒10内へ噴き出し、石膏からの蒸気を伴って、回転筒10の他端側から流れ出る。そのほか、回転筒10の他端側からガス吹き込み管36内にキャリアガスAを供給し、回転筒10の一端側から排気する構成にしても良い。
(供給方式変形例)
本発明に係る加熱装置の変形例を説明する。
加熱装置へ石膏を供給する方式には、前記スクリュー式(図2)のほか、シュート式(図6)や振動トラフ式(図7)を例示できる。シュート式では、供給シュート46が吸気ボックス45と結合しており、供給口41から供給した石膏が、供給シュート46内を落下し、回転筒10内へ移動する。吸気ボックス45がシールパッキン47を介して回転筒10に接続しており、回転筒10と吸気ボックス45間のシールを維持しながら、回転筒10が回転する構造になっている。振動トラフ式では、吸気ボックス45がトラフ(断面形状が凹状)であり、その吸気ボックス45の下端に振動モータ48とばね49が結合している。供給口41から供給した石膏は、トラフの上に落下する。そして、振動モータ48により吸気ボックス45が振動することにより、石膏が回転筒10内へと移動する。吸気ボックス45を取り付ける際は、石膏が移動しやすいように、回転筒10へ向かって下る傾斜を持たせると良い。
(回転筒変形例)
回転筒10の断面形状は、後述する円形のほか、矩形にしても良い。矩形の例として、六角形の回転筒10を図8に示す。矩形の回転筒10を回転すると、回転筒10の角部15により石膏が持ち上がるため、石膏の混合が良くなる。一方で、円形の場合に比べて、回転筒10の断面積が狭くなるため、配置する加熱管11の数が減るというデメリットも存在する。なお、矩形の角部の数(辺の数)は変更でき、より詳しくは、角部の数を3つ以上の任意の数にすることができる。
図9に示すように、回転筒10を囲むジャケット12を設けても良い。この場合、回転筒10の外壁とジャケット12の内壁の間に加熱媒体Sを流し、回転筒10の外側からも加熱を行う。その結果、ジャケット12を設けない場合と比べて、石膏の乾燥および/または焼成速度を上げることができる。この加熱媒体Sの例として、200〜400℃の高温ガス、200〜400℃のホットオイル等を挙げることができる。そのほか、前記ジャケット12の代わりに、回転筒10を囲むようにトレース配管(図示しない)を複数設けても良い。
(排出方式変形例)
加熱装置から加熱処理物Eを排出する方式としては、図10のような形態も採用できる。かかる形態において、キャリアガスAは、ケーシング80の上部のキャリアガス供給口33から隔壁23の内側へ送り込まれる。このキャリアガスAが再利用ガスである場合は、キャリアガスA中に粉塵等が含まれているが、隔壁23の内側、すなわちガス通路U2には、リボンスクリューZが配されているため、ガスに混入している粉塵等は、このリボンスクリューZによって捕捉される。捕捉された粉塵等は、リボンスクリューZの送り作用により開口部22へ向かって送られ、ケーシング80内へ排出される。排出された粉塵等は、自由落下によりケーシング下方の排出口32から排出される。一方、キャリアガスAの粉塵等以外の気体は、リボンスクリューZによって妨げられることなく、回転筒10内へ送られる。
また、回転筒10の回転に伴って、スクリュー羽根24も回転する。従って、加熱処理物Eは、送り出し通路U1内を、開口部21へ向かってスクリュー羽根24の送り作用により送られ、開口部21から排出される。排出された加熱処理物Eは、自重により排出ケーシング下方の排出口32から排出される。
他方、ケーシング80を貫き、隔壁23内へ延在する蒸気経路(内部蒸気供給管61及び内部ドレン排出管62)が、回転筒10と一体で設けられている。内部蒸気供給管61は、端板部17における加熱管11の入口ヘッダ部に、内部ドレン排出管62は端板部17における加熱管11の出口ヘッダ部に連通している。また、蒸気供給管70及びドレン排出管71は、回転継手63を介して、内部蒸気供給管61及び内部ドレン排出管62にそれぞれ連結している。
(ガス流通方式変形例)
図1、図4における加熱装置は、石膏の移動する方向とキャリアガスAの流れる方向が同じである「並流」を採用していた。そのほか、石膏の移動する方向とキャリアガスAの流れる方向を逆にした「向流」を採用しても良い。
図11に「向流」を採用した加熱装置の一例を示す。スクリューフィーダ42の上方に石膏の供給口31を設け、フード35の下端に加熱処理物Eの排出口32を設ける。そして、供給口31から石膏を供給し、被処理物Wを回転筒10の一端側から他端側へ向かって移動させ、その移動過程で加熱管により加熱処理物Eを排出口32から排出する。一方、フード35の上端にキャリアガスAの供給口33を設け、スクリューフィーダ42の上方にキャリアガスAの排出口34を設ける。そして、供給口33からキャリアガスAを供給し、前記キャリアガスAを回転筒10の他端側から一端側へ向かって流し、その過程で石膏から蒸発した蒸気を搬送し、蒸気を伴うキャリアガスAを排出口34から排出する。
(回転筒支持構造変形例)
そのほか、回転筒10の支持構造は、回転筒10の外周に2つのタイヤ部材20、20を取り付ける前記支持構造のほか、一端側に設けたスクリューケーシング42と、他端側に設けたガス管72の外周にベアリング(図示しない)を取り付け、このベアリングを支持する構造や、前記タイヤ部材25とベアリングを組み合わせる支持構造にしても良い。
(回転速度)
本発明は、石膏の乾燥および/または焼成速度を上げるため、従来の加熱装置よりも、回転筒10を高速で回転させる。この回転速度の決定方法について、以下に説明する。なお以下の記載では乾燥速度を例に説明するが、焼成速度についても同様の決定方法である。
(工程1)
加熱装置の処理負荷PLを決定する。具体的には、石膏の種類、含液率(wt%W.B.)、目標の処理量(kg/h)等を基に、負荷PLを算出する。
(工程2)
小型の加熱装置を実験機として用いて、単位負荷当たりの石膏の乾燥速度Rdを調査する。
(工程3)
前記工程2で調査した石膏の乾燥速度Rdを基にして、回転筒10のサイズを決定する。
(工程4)
回転筒10の回転数を決定する。従来の回転数決定法は、重要な基準として回転筒10の回転速度(本発明では、「回転速度」を「周速」ともいう。)を用いており、具体的には、下記式5を用いて回転数を決定していた。なお、回転速度Vの値は、約0.1〜0.4[m/s]の範囲内で経験則に基づいて決定していた。
N=(V×60)/(D×π) ・・・式5
ここに、Nは回転筒10の回転数(r.p.m.)であり、Vは回転筒10の回転速度(m/s)であり、Dは回転筒10の内径(m)である。
本発明は、前記式5とは異なり、臨界速度比を基準に回転数を決定するものであり、具体的には、下記式6を用いて決定する。
N=V/Vc×Nc ・・・式6
ここに、Nは回転筒10の回転数(r.p.m.)であり、Vは回転筒10の回転速度(m/s)であり、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)であり、Ncは回転筒10の臨界回転数(r.p.m.)である。
(臨界速度、臨界速度比)
前記式6の「臨界速度」と「臨界回転数」について詳述する。図13を参照すると、「臨界速度」は、加熱装置内で、石膏の重力と石膏に作用する遠心力がつり合う回転速度であり、理論上、石膏が回転筒10と共廻りする回転筒10の回転速度をいう。なお、rωは速度を表す。また、「臨界速度比」とは、前記臨界速度に対する実際の回転速度の比をいう。
(臨界速度)
臨界速度について、詳述する。臨界速度は、石膏の重力(mg)と遠心力(mrω2)が同じであるため、下記の式7が成り立つ。
mg=mrω2 ・・・式7
ここに、mは石膏の質量(kg)、gは重力加速度(m/s2)、rは回転筒10の半径(m)、ωは角速度(rad/s)である。
そして、上記式7から下記の式8を導くことができる。
g=r(Vc/r)2 ・・・式8
ここに、gは重力加速度(m/s2)であり、rは回転筒10の半径(m)であり、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)である。
従って、上記式8から下記式1を導き、回転筒10の臨界速度(m/s)を求めることができる。
Vc=(rg)1/2=(D/2・g)1/2=2.21D1/2
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
ここに、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)、Dは回転筒10の内径(m)である。
(臨界速度比)
次に、回転筒の臨界速度比について説明する。回転筒の臨界速度比αは、臨界速度(Vc)に対する実際の回転速度Vの比を指すため、下記式2によって表すことができる。
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、αは回転筒10の臨界速度比(%)、Vは回転筒10の回転速度(m/s)、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)である。
(臨界回転数)
なお、臨界速度における回転筒10の回転数を「臨界回転数」といい、下記式9により求めることができる。
Nc=Vc・60/(πD)=2.21D1/2・60/(πD)=42.2/D1/2
Nc=42.2/D1/2 ・・・式9
ここに、Ncは回転筒10の臨界回転数(r.p.m.)、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)、Dは回転筒10の内径(m)である。
(実験:石膏の含液率)
回転筒10の内径が1830mmの加熱装置を用いて、回転筒の臨界速度比α(%)と石膏の乾燥および焼成速度の関係性について実験を行った。この実験では、含液率が異なる2種類の試料(付着水を有する2種類の二水石膏)を加熱装置にバッチ式で投入し、乾燥および焼成を行い、半水石膏を得た。各試料の含液率は、試料1が5wt%W.B.、試料2が15wt%W.B.である。
なお、本実験における乾燥および焼成速度を乾燥焼成速度Rdと称する。
前記実験結果を図14に示す。この図14では、各試料において、回転筒の臨界速度比αが10%のときの二水石膏の乾燥焼成速度の値を1と定め、その値を基準にした相対数値で表している。回転筒の臨界速度比αを10%から次第に上げたところ、二水石膏の含液率の違いに関わらず、次第に乾燥焼成速度が速くなった。そして、ある臨界速度比αで乾燥焼成速度の速さのピーク(乾燥焼成速度が最も早くなる地点)を迎えた。そして、そこから臨界速度比αをさらに上げると、今度は次第に乾燥焼成速度が遅くなり、もとの乾燥焼成速度の値である1以下に下がった。
前記の実験結果において、どの臨界速度比αで乾燥焼成速度のピークを迎えるかは、二水石膏の含液率によって異なった。具体的には、二水石膏の含液率が高いほど、臨界速度比αが低い値で、乾燥焼成速度のピークを迎えた。また、二水石膏の含液率が低いほど、乾燥焼成速度のピーク値が低くなった。なお、臨界速度比αが10〜70%の間にあるとき、石膏の含液率が高いほど、乾燥焼成速度が速くなる傾向がある。
この実験結果から明らかなように、臨界速度比αを15〜70%にすることが好ましく、臨界速度比αを20〜65%にすることがより好ましく、臨界速度比αを25〜58%にすることがさらに好ましい。さらに臨界速度比αを28〜55%の範囲にすると、著しく乾燥焼成速度が向上する。図14に示すように、臨界速度比αの値が10%から高まるにつれて、乾燥焼成速度は山状に変位していくため、所望する乾燥焼成速度を得るために、低い臨界速度比αと高い臨界速度比αの二つの臨界速度比αから選択することができる。たとえば、含液率15wt%W.B.の石膏において、乾燥焼成速度を1.5にしたい場合、臨界速度比αを18%にする方法(低い臨界速度比αを選択する)と、70%にする方法(高い臨界速度比αを選択する)の2つを考えることができる。このように二つの選択肢がある場合は、低い臨界速度比αを選択することが好ましい。臨界速度比αが低いほど、すなわち回転筒10の回転数が低いほど、機械の摩耗による部品交換や使用電力等が少なくなるため経済性に優れ、環境負荷を低減できるからである。なお、含液率15wt%W.B.の石膏において、乾燥焼成速度は速いほうが良いということであれば、臨界速度比αを40%にしても良い。しかし、乾燥焼成速度が1.5で十分なのであれば、前記経済性や環境負荷低減等の観点から、臨界速度比αを18%にすることが好ましい。なお、本実験では付着水を有する二水石膏から半水石膏を得る乾燥および焼成処理が行われる処理条件(処理時間)を設定したが、付着水を有する二水石膏から付着水を蒸発させる乾燥処理においても同様の傾向となる。
また、供給する石膏の含液率が低くなるほど、臨界速度比αの値を高くすることが好ましい。具体的には、石膏の含液率が5wt%W.B.である場合は、臨界速度比αを28%〜65%にすることが好ましく、石膏の含液率が15wt%W.B.である場合は、臨界速度比αを15〜70%にすることが好ましい。
なお、前記のように、臨界速度比αの値を高くすると、回転筒10の回転数が増えることになる。回転筒10の回転数が増えると回転筒10内で発生するダスト量が多くなり、発生したダストは回転筒10内を流れるキャリアガスとともに、加熱装置の外へ排出される。ダスト内には石膏も多く含まれるため、この石膏を回収してリサイクルするのが好ましい。具体的には、加熱装置から排出されたキャリアガスを固気分離機(図示しない)へ送り、固気分離機でキャリアガス中の石膏を回収し、回収した石膏を加熱装置供給口41へ戻すことが好ましい。
(石膏の分散)
石膏の分散については、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図16に示した石炭の分散や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図13に示したテレフタル酸の分散と、ほぼ同様の分散を示す。
すなわち、臨界速度比を10%にして運転した時は、石膏が回転筒10の右側半分の領域でキルンアクションしているが、回転筒10の右側半分の領域に塊状になっており、移動量が少なく、回転筒10の左側半分の領域にあまり分散していない。これは、回転筒10内の左側半分の領域で、加熱管11と石膏が十分に接触していないことを示している。
それから、臨界速度比を徐々に上げるにつれて、石膏の分散範囲が次第に広がり、回転筒10の左側半分の領域まで分散した。そして、さらに臨界速度比を上げると、石膏が回転筒10の内壁に張り付き、回転筒10とともに回転する現象(以下、「供回り」という。)が生じる。この供回りは、「隣り合う石膏の粒子の表面に存在する自由水同士の液架橋力」と、「回転筒10の回転により発生する遠心力」との合力が、「石膏(を含む脱水ケーキ)の重力」に勝ることで発生する。この供回りが発生すると、回転筒10内の上方から下方へ向かって石膏が落下しづらくなり、回転筒10内で石膏の混合状態が悪くなるため、加熱管11から石膏への伝熱量が低下し、石膏が有する液分の蒸発速度が遅くなる。
なお、前述の実験によると、含水率5wt%w.b.の二水石膏を乾燥焼成させた場合、臨界速度比が60%以上になると乾燥焼成速度が低下することから、臨界速度比が60%以上になると供回りが発生していることが分かる。
(回転筒10の内径)
回転筒の内径についても、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図17に示した石炭の実験や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図15に示したテレフタル酸の実験と、ほぼ同様である。
すなわち、回転筒10の内径が異なる複数の加熱装置を用いた場合、臨界速度比α(%)が同じであれば、石膏の乾燥焼成速度Rdはほぼ同じであり、乾燥焼成速度Rdは、回転筒10の内径の長さの違いにほとんど影響を受けない。なお、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥速度のみ(焼成を行わない場合)の関係性、または回転筒10の臨界速度比αと焼成速度のみ(乾燥を行わない場合)の関係性についても同様である。
(石膏の充填率)
石膏の充填率を変えた場合における、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥焼成速度Rdの関係性についても、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図18に示した石炭の実験や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図16に示したテレフタル酸の実験と、ほぼ同様である。
すなわち、いずれの充填率においても、臨界速度比αを10%から次第に高くするにつれて乾燥焼成速度も次第に上昇し、やがてピークを迎え、そこから臨界速度比αをさらに高くすると乾燥焼成速度が次第に下降する。また、石膏の充填率が低い場合は、石膏と加熱管11の接触面積が小さいため乾燥焼成速度は向上せず、逆に充填率が高い場合も、粉体層(粉体の石膏の層)の上層で上滑りが発生し、伝熱面と接触しない石膏が増えるため、乾燥焼成速度は向上しない。そのため、乾燥焼成速度を上げるためには、低すぎずかつ高すぎない充填率にすることが好ましく、具体的には充填率η20〜40%、より好ましくは充填率ηを25〜30%にすることが好ましい。なお、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥速度のみ(焼成を行わない場合)の関係性、または回転筒10の臨界速度比αと焼成速度のみ(乾燥を行わない場合)の関係性についても同様である。
なお、前記充填率は、以下の式10によって求めることができる。
η=Ap/Af・100 ・・・式10
ここに、ηは充填率(%)、Apは自由断面積に対して石膏の占める断面積(m2)、Afは回転筒10の全断面積から全加熱管11の断面積を減算した自由断面積(m2)である。なお、回転筒10の全断面積Afは、回転筒10の任意の横断面における回転筒10内部の断面積のことをいい、回転筒10の肉厚部分の面積は含まない。すなわち、回転筒10の内径に基づいて計算する断面積をいう。
(加熱管11の隙間)
図17に加熱管11の隙間Kを示す。この例においては、隙間Kは4つの同心円列ですべて同一の例が示されている。このために、加熱管11の径を外側ほど大きくしてある。隣接する加熱管11の間(隙間)Kの距離は60〜150mmにすることが好ましい。もちろん、加熱管11の径は同一径とする、隙間Kはたとえば外側ほど大きくするなど、適宜の変形が可能である。また、後述する第1の配置形態又は第2の配置形態を採ることもできる。
加熱管11の隙間を変えた場合における、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥焼成速度Rdの関係性についても、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図20に示した石炭の実験や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図18に示したテレフタル酸の実験と、ほぼ同様である。
すなわち、加熱管11の隙間がそれぞれ違う場合、臨界速度比αを10%から次第に高くするにつれて乾燥焼成速度も次第に上昇し、やがてピークを迎え、そこから臨界速度比αをさらに高くすると乾燥焼成速度が次第に下降する。また、加熱管11の隙間Kが狭い場合は、隙間Kを流れる石膏の量が少ないため、石膏があまり混合せず、乾燥焼成速度が遅いが、加熱管11の隙間Kを次第に長くするにつれて、隙間Kを流れる石膏の量が次第に多くなり、石膏が良く混合するようになり、乾燥焼成速度が次第に早くなる。具体的には、隣接する加熱管11の間(隙間)の距離を60〜150mmにすることが好ましい。なお、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥速度のみ(焼成を行わない場合)の関係性、または回転筒10の臨界速度比αと焼成速度のみ(乾燥を行わない場合)の関係性についても同様である。
(外径と内径の関係性)
前記の各説明や各式においては、回転筒10の内径Dを用いており、外径は用いなかった。しかし、前記各式を補正して、外径を用いても良い。この点について、以下に詳述する。
前記各式において、Dは内径であるが、内径の代わりとして外径を用いるための補正式を記述する。回転筒10の外径をDo、回転筒10の板厚(肉厚)をt、内径をDとすると、これらの関係は、下記式11のようになる。
D=Do−(2×t) ・・・式11
従って、前記各式のDに、式11の右辺を代入すれば良い。例えば、臨界速度比の式は以下のように記述できる。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
Vc=2.21×(Do−2×t)1/2
なお、参考として、STDなどの回転筒10の肉厚tの一般的な数値を示す。回転筒10が大径化するほど、これの強度を保持するために肉厚tは増す傾向があり、実際としては概ね以下の数値で設計されている。回転筒10の内径Dが0.3〜6mの場合で、肉厚tが3〜100mmとなる。
なお、本発明に係る加熱装置の内径Dは、1m〜5mにすることが好ましい。一般に、回転筒の臨界速度比αが同じであっても、回転筒10の内径Dが小さいほど、回転筒10の回転数が多くなる。したがって、内径Dが1mよりも小さい場合は、回転筒10の回転数が著しく増し、電力がかかるため、経済性が悪いという問題がある。また、内径Dが5mよりも大きい場合は、加熱装置が大型化し、製造コストがかかるという問題がある。
<加熱管11について>
本発明において加熱管11にサイズ及び配置は適宜選択できるものの、本発明者らの高速回転化を指向する過程の中で、主に接触効率を高め、もって乾燥焼成速度を高めるためには、次述する手段が有効であるとの知見を得た。
(加熱管11の配置)
従来は、図23に示すように、回転筒10内に加熱管11を放射状に配置していた。回転筒10内では、石膏(粉粒体)が回転筒10下部に移行した複数の加熱管11の隙間に入り込み、回転筒10の回転に伴って、複数の加熱管11により回転方向に掻き上げられる。安息角まで掻き上げられた石膏は、主に安息角を越えた時点から崩落し始め、落下運動に転じる。より詳しくは、安息角限を超えて、より上方に位置する複数の加熱管11の間から雪崩のように落下し、回転筒10下部に位置する加熱管11に衝突する。
落下した石膏は、回転筒10下部の複数の加熱管11、11の隙間に再び入り込む。石膏が落下する角度と加熱管11、11の隙間に入り込む角度が異なるため、加熱管11、11の隙間に石膏が速やかに入り込まず、加熱管11、11の外側(回転筒10の中心側)に滞留してしまい、石膏と加熱管11の接触効率が悪いことが判明した。接触効率が悪いと、石膏の乾燥および/または焼成速度が低下するという問題があった。
また、石膏が落下する方向と複数の加熱管11、11の間に入り込む方向が異なるため、落下した石膏は最内列(回転筒10の最も中心側の列)の加熱管11、11に衝突して、運動エネルギーが一旦、ゼロになってしまう(リセットされてしまう)という問題があった。
本発明は、前記問題を解決するために加熱管11の配置を改良した。
すなわち、一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒10と、加熱媒体が通る多数の加熱管11、11…を前記回転筒10内に設け、石膏を前記回転筒10の一端側に供給して他端側から排出する過程で、前記加熱管11、11…により石膏を加熱する加熱装置において、加熱管11、11…の配置は、次の配置形態が望ましいのである。
前記加熱管11、11…群が、前記回転筒10の中心を中心とする実質的に同心円状に配置され、その中心側円上の第1基準加熱管S1芯から、第2基準加熱管S2芯までを繋ぐ繋ぎ線が、次記(1)または(2)の配置形態の一つ又はこれらを組み合わせた配置形態から選択されるものである。
<図18参照:斜め直線状形態>
(1)各加熱管11、11…芯が、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを直接繋ぐ直線L1上に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、前記第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している第1配置形態。
<図16参照:曲線状形態>
(2)各加熱管11、11…芯が、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを繋ぐ曲線L2上に位置しており、かつ、第2基準加熱管S2芯に向かうほど回転筒10の回転方向後方に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している第2配置形態。
すなわち、図16及び図18に示すように、加熱管11、11…は、回転筒10の中心Fを中心にして同心円状に配置され、中心側円上の第1基準加熱管S1の同心円r1、第2基準加熱管S2の同心円r2、回転筒10の最も外側に位置する最外加熱管11の同心円r3を含めた各同心円上に配置されている。
第1基準加熱管S1芯(図16及び図18参照)は、回転筒10の最も中心側に位置する加熱管11群の列(「列1」:図17参照。)の中から任意に選んだ加熱管11の芯(加熱管の中心)である。
また、第2基準加熱管S2芯は、複数加熱管の「列」において(図17参照)、回転筒10の最も中心側に位置する加熱管11(第1基準加熱管S1)から、同一の「行」に沿って外側へ向かって数えて、所望の列数の加熱管S2の芯(加熱管の中心)を指称する。
第2基準加熱管S2芯の位置は、石膏の流動挙動(この流動挙動は、石膏の物性(形状、大きさ、粘性、材料種など)に由来する要因と、加熱装置の運転条件に由来する要因などに左右される)に応じて適宜選択できる。
このとき、配置比ε=h2(第2基準加熱管S2の同心円r2−第1基準(最内)加熱管S1の同心円r1)/h1(回転筒10内面−第1基準(最内)加熱管S1の同心円r1)を、1/2超とするのが望ましい。
また、本発明においては、少なくとも、第1基準加熱管S1から第2基準加熱管S2までの区間については、前述の第1配置形態か第2配置形態の加熱管配置とするのが望ましい。
さらに、本発明においては、第2基準加熱管S2芯の位置が、最外加熱管11の同心円r3上にある場合も含むものである。
このように、第1配置形態又は第2配置形態を採る領域は、適宜選択でき、図18に示す例では、加熱管11の列数が全7列であり、第2基準加熱管S2の芯が4列目にある例を示した。
図18の例は第1の配置形態の例であり、図16及び図17の例は第2の配置形態である。
図18の例は、全7列のすべてが第1の配置形態である。すなわち、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを直接繋ぐ直線L1上に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している。
図16及び図17の例では、全9列のすべてが第2の配置形態である。すなわち、各加熱管11,11…の芯が、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを繋ぐ曲線L2上に位置しており、かつ、第2基準加熱管S2芯に向かうほど回転筒10の回転方向後方に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している。
なお、図16及び図17において、回転筒10の中心点Fを始点として、第1基準加熱管S1芯を通る線を半径放射線J1として、第2基準加熱管S2芯を通る線を半径放射線J2として、それぞれ示した。前記h1及びh2の各距離は、半径放射線J2上の距離から求めると良い。
(加熱管の他の曲線状または直線状配置)
そのほか、本発明の別の好適な形態の下では、回転筒10の回転軸の同心円上において、中心側から外側に位置するに従って、隣り合う加熱管11の隙間を大きくした配置とすることもできる。図16〜図18は、中心側から外側へ向かうに従って、隣り合う加熱管11の隙間を次第に大きくする配置とした例である。
また、第1基準加熱管S1芯と、第2基準加熱管S2芯とを繋ぐ曲線L2としては、サイクロイド(粒子が最速で降下する場合に描く線)、コルニュの螺旋(滑らかに降下する場合に描く線)若しくは対数曲線、円弧線またはそれらの線と近似する線などとすることができる。
図19には、加熱管11、11…の内側を第2配置形態に従う曲線状に配置し、外側部分については半径方向(放射方向)に沿う形態の例を示した。
図22には、加熱管11,11…を第1配置形態に従う斜め直線状に配置し、外側部分については、中間の同心円上から最も外側の同心円にかけて、斜め直線状の加熱管の行を介装した例を示している。
他方、これらの例から推測できるように、図面に具体例を示さないが、第1配置形態と第2配置形態とを組み合せて配置することも可能である。
全列について、第1配置形態や第2配置形態を採用しないで、それらの配置形態を途中まで採用する場合も、前述のように、配置比ε=h2(第2基準加熱管S2の同心円r2−第1基準(最内)加熱管S1の同心円r1)/h1(回転筒10内面−第1基準(最内)加熱管S1の同心円r1)を、1/2超とするのが望ましい。
(作用効果)
前記のように加熱管11を曲線状または斜め直線状に配置することで、石膏が落下する方向と石膏が複数の加熱管11の間に入り込む方向が近似し、落下した石膏はその運動方向を大きく変えずに複数の加熱管11、11の隙間に入り込む。加熱管11、11の隙間に入り込んだ石膏は、回転筒10の内側から外側へと流れ、回転筒10の筒壁に到達する。加熱管11の配置を選定することで、加熱管11の隙間に石膏が速やかに入り込み、加熱管11の外側(回転筒10の中心側)に滞留せず、石膏と加熱管11の接触が良くなるため、乾燥および/または焼成効率を向上させることができる。また、石膏と加熱管11の接触面積が増大し、両者の接触時間も増えるため、この点からも乾燥および/または焼成効率を向上させることができる。
また、石膏が加熱管11、11の隙間に滑らかに入り込むため、石膏から加熱管11が受ける衝撃が小さくなる。そのため、従来のように加熱管11を配置した場合と比べて、加熱管11の直径を小さくすることができ、加熱管11の本数を増やすことができる。その結果、全体として加熱管11の伝熱面積が増え、乾燥および/または焼成効率を向上させることができる。
そのほか、従来の装置では、落下する石膏と加熱管11とが衝突することにより、石膏(粉粒体)の破砕が生じていたが、前述の好適な形態によれば、破砕を防ぐ又は抑制できる。その結果、最終製品(乾燥製品や焼成製品)の粒度分布が安定するとともに、微粉が減少して排気処理設備の負荷を下げることもできる。
なお、各加熱管11、11…の直径や肉厚は適宜選択できる。
(加熱管11の本数)
同心円上にある加熱管11の本数を全て同じにしても良いが、加熱管11を直線状に設けた場合には、図21に示すように、回転筒10の最外周から中間付近までの加熱管11の本数を、回転筒10の中間付近から最内周までの加熱管11の本数より多くした方が良い。このように、中間付近から最外周までの加熱管11の本数を増やすことで、隣り合う加熱管11、11の間の距離を最内周から最外周までほぼ同じにすることができる。そして、加熱管11の本数を増やすことで、加熱管11の伝熱面積が増え、回転筒10の外周側へ移動した石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることができる。
(加熱管11の直径)
加熱管11の直径を全て同じにしても良いが、図17に示すように、回転筒10の内周側から外周側へ向かうに連れて、次第に直径を大きくすることもできる。このように、加熱管11の直径を変えることで、隣り合う加熱管11の間の距離を内周から外周までほぼ同じにすることができる。このように加熱管11の直径を大きくすることで、加熱管11の伝熱面積が増え、回転筒10の外周側へ移動した石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることができる。
(加熱管11の配列の決め方)
加熱管11の配列の決定方法について、図17を参照しながら説明する。なお、加熱管11の配列を「行列」で表し、回転筒10の径方向(回転筒10の中心側から外側へ向かう方向)の配列を「列」とし、円周方向の配列を「行」とする。
隣接する行間の距離(例えば、行1と行2の間の距離)及び隣接する列間の距離(例えば、列1と列2の間の距離)を変えることにより、石膏の分散性や流動性を変えることができる。
例えば、図17のハッチングを施した加熱管11(以下、「基準加熱管11」という。)を基準にして考えると、行間距離として、(1)の加熱管11と基準加熱管11の距離、(5)の加熱管11と基準加熱管11の距離のほか、(2)の加熱管11と基準加熱管11の距離、(8)の加熱管11と基準加熱管11の距離、(4)の加熱管11と基準加熱管11の距離、(6)の加熱管11と基準加熱管11の距離が考えられ、これらが前記一定値以上になるようにする。また、列間距離として、(3)の加熱管11と基準加熱管11の距離、(7)の加熱管11と基準加熱管11の距離が考えられ、これらも前記一定値以上になるようにする。なお、隣接する加熱管11の距離は80〜150mmにすることが好ましい。
以上のように、行間距離及び列間距離が、加熱管11の配列を決定する際の拘束条件となる。この拘束条件に従いつつ、出来る限り伝熱面積が広くなり、かつ流動性が良くなるように、加熱管11の径、行数及び列数を変えて様々なバリエーションを試し、最も伝熱面積が広くなり、かつ流動性が良くなる配列を採用し、製品を設計する。なお、実際に加熱管11の配列を検討した結果、行の曲率を次第に大きくした場合は、加熱管11の径を次第に小さくし、列数を次第に多くすることで、伝熱面積を最も広くすることができた。逆に、行の曲率を次第に小さくした場合は、加熱管11の径を次第に大きくし、列数を次第に少なくすることで、伝熱面積を最も広くすることができた。
なお、図15〜図22では、加熱管11を複数列配置した例を示したが、加熱管11を1列だけ配置しても良い。
10 回転筒
11 スチームチューブ(加熱管)
41 供給口
50 排出口
55 分級フード
56 固定排気口
57 固定排出口
60 掻上板
65 撹拌手段
A キャリアガス
E 加熱処理物
W 被処理物(石膏)

Claims (6)

  1. 一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成の加熱装置を用いて、
    石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する石膏の加熱方法であって、
    下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、前記回転筒を回転して、石膏を加熱することを特徴とする石膏の加熱方法。
    Vc=2.21D1/2 ・・・式1
    α=V/Vc・100 ・・・式2
    ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
  2. 前記加熱装置に供給する石膏の含液率が3〜20wt%W.B.である請求項1記載の石膏の加熱方法。
  3. 一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成とされ、
    石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する加熱装置であって、
    下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、回転筒を回転できる構成であることを特徴とする石膏の加熱装置。
    Vc=2.21D1/2 ・・・式1
    α=V/Vc・100 ・・・式2
    ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
  4. 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から無水石膏を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
  5. 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から半水石膏を得ることを特徴とする半水石膏の製造方法。
  6. 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることを特徴とする二水石膏の製造方法。
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