JP6578597B2 - 石膏の加熱方法、石膏の加熱装置および石膏の製造方法 - Google Patents
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Description
また、加熱装置の大きさ(シェル径)当たりの処理量を増大できる本発明により装置の大型化に伴う前記問題を極力回避できるようにすることにある。
<請求項1記載の発明>
一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成の加熱装置を用いて、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する石膏の加熱方法であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、前記回転筒を回転して、石膏を加熱することを特徴とする石膏の加熱方法。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
従来、石膏用加熱装置の回転筒の回転数について、回転筒の内径が2.44mの場合は、回転数を2.5〜3.1rpmに設定して運転を行っている。この加熱装置は、回転筒の回転により、加熱装置内部で石膏を出口へ向かって搬送する推進力を生じさせる。このとき、石膏の搬送量が多いにも関わらず回転数が低いと、加熱装置内部で石膏が溜まり過ぎて流路が詰まることがある。このようなトラブルを回避するため、石膏の流動性を鑑み、経験則に基づいて回転数を調整し、石膏の搬送量が多い場合は回転数を高め、石膏の搬送量が少ない場合は回転数を低く設定して運転を行っている。
前記加熱装置に供給する石膏の含液率が3〜20wt%W.B.である請求項1記載の石膏の加熱方法。
含液率3〜20wt%W.B.の石膏を加熱装置に供給したときに、回転筒の臨界速度比αが15〜70%未満となるように回転筒の回転速度を選択して回転することで、石膏の乾燥および/または焼成速度を従来よりも速くすることができる。
一般的に、石膏の含液率が20wt%W.B.を超えると、どろどろした粘液状になる。そのため、含液率が20%を超える石膏を加熱装置に供給した場合、石膏が回転筒の内壁に付着して、回転筒と石膏が一緒に回転してしまう。石膏が回転筒の上方から下方へ回転筒内の空間を落下することが少ないため、石膏と加熱管群の接触面積が増えず、乾燥および/または焼成速度を上げることができない。
一方、石膏の含液率を3wt%W.B.未満にするためには、乾燥工程の前の脱水工程において、高機能の高価な脱水機を用いて高い負荷をかけて脱水する必要があるため、経済性や省電力等の観点から好ましくない。
一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成とされ、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する加熱装置であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、回転筒を回転できる構成であることを特徴とする石膏の加熱装置。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。
装置の観点から、請求項1と同様の作用効果を奏する。
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から無水石膏を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させるとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した半水石膏とし、前記加熱管群により半水石膏を間接加熱して、半水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した無水石膏とし、回転筒の排出口から無水石膏を排出させる。これによって、二水石膏から無水石膏を得ることができる。
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から半水石膏を得ることを特徴とする半水石膏の製造方法。
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させるとともに、二水石膏の内部に存在する結晶水を分解・蒸発させて焼成した半水石膏とし、回転筒の排出口から半水石膏を排出させる。これによって、二水石膏から半水石膏を得ることができる。
請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることを特徴とする二水石膏の製造方法。
請求項1記載の加熱方法を用いる場合において、回転筒の供給口に付着水を有する二水石膏を供給し、二水石膏が供給口から排出口まで移動する過程で、加熱管群により二水石膏を間接加熱して、付着水を蒸発させる。このとき、二水石膏の内部の結晶水は保持したままの状態に保ち、回転筒の排出口から付着水のみを除いた二水石膏を排出させる。これによって、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることができる。なお、前記「付着水を除去した二水石膏」は、付着水の全て除去した二水石膏でも良いし、付着水の一部を除去した二水石膏でも良い。
一般に、加熱装置を用いた被処理物Wの乾燥および/または焼成速度は、下記の式3のように表すことができる。
Q=Uoa×Aef×Tln ・・・式3
ここに、Qは伝熱量(W)であり、Uoaは総括伝熱係数(W/m2−K)であり、Aefは有効接触伝熱面積(m2)であり、Tlnは温度差(℃)である。
本発明者は、総括伝熱係数Uoa及び有効接触伝熱面積Aefに着目し、これらを高めるために、伝熱面と被乾燥物との相対的接触速度をより速くすること、および石膏の分散を良くして伝熱面と石膏との有効接触伝熱面積をより増大させることを考えた。実際に各種の実験・検討を行ったところ、本発明の手法の有効性を明確に確認できた。
被処理物Wとしては、石膏(硫酸カルシウム二水和物。組成式Ca[SO4]・2H2O。)を挙げることができる。この石膏は、天然に存在する天然石膏と、人工的に製造した化学石膏に大別することができる。天然石膏は、欧米やアフリカ等の水成鉱床で産出した石膏の品質が高く、過去に日本の交代鉱床で産出していた石膏は不純物混入量が多く品質が優れない傾向があった。また、化学石膏は、リン酸石膏、排煙脱硫石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、鉱水・精錬石膏などを例示することができる。
Ca[SO4]・2H2O → Ca[SO4]・1/2H2O → Ca[SO4]・・・式4
したがって、本発明に係る加熱装置は、用途に応じて乾燥と焼成のいずれか、または両方を行うことができる装置、すなわち乾燥機(Dryer)であるとともに焼成機(Calciner)であると言える。
本発明の中位径(「メジアン径」ともいう。)は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、商品名SALD−3100、島津製作所社製)を用いて粒度分布を測定し、累積体積が50%に相当する時の粒子径を中位径(D50)として定める。
次に、本発明に係る加熱装置について説明する。この加熱装置としては、横型回転式乾燥機、すなわちSTD(Steam Tube Dryerの略称)を例示できる。この加熱装置の構造は、図1に例示するように、円筒状の回転筒10を有し、この回転筒10の軸心が水平面に対して若干傾くようにして設置されており、回転筒10の一端を他端よりも高く位置している。回転筒10の下方には、2台の支持ユニット20及びモーターユニット30が回転筒10を支持するようにして設置されており、回転筒10は、モーターユニット30によって、自身の軸心回りに回転自在とされている。この回転筒10は、一方向に回転するようになっている。その方向は任意に定めることができ、例えば、他端側(石膏の排出口側)から一端側(石膏の供給口側)を見て、反時計回り(矢印R方向)に回転させることができる。
一般的に加熱装置の回転筒は水平面に対して傾斜して設けられている。これは、一端側から他端側へ被処理物(石膏等)を移動しやすくするためである。被処理物を一端側から他端側へ移動させる推進力が弱い場合は、この傾斜角を大きくしなければならないが、本発明のように推進力が強い場合は、この傾斜角を小さくすることができる。傾斜角を小さくするほど回転筒に生じる軸方向荷重を支持する部品(スラストローラー)を小型化でき、安価なものとすることができるという利点がある。一般的な加熱装置の回転筒の傾斜角は0.57〜5.7度であるが、本発明では0.057〜2.86度にすることができる。
なお、図4に示すように、前記回転筒10の他端側に、被処理物Wを撹拌する撹拌手段65を設けても良い。
次に、図1〜図3を参照しながら、加熱装置で石膏を乾燥および/または焼成する過程を説明する。
次に、図4、図5を参照しながら、撹拌手段65及び分級フード55を備えた加熱装置を用いる場合についても説明する。この場合において、前記説明と重複する部分は、省略する。
本発明に係る加熱装置の変形例を説明する。
加熱装置へ石膏を供給する方式には、前記スクリュー式(図2)のほか、シュート式(図6)や振動トラフ式(図7)を例示できる。シュート式では、供給シュート46が吸気ボックス45と結合しており、供給口41から供給した石膏が、供給シュート46内を落下し、回転筒10内へ移動する。吸気ボックス45がシールパッキン47を介して回転筒10に接続しており、回転筒10と吸気ボックス45間のシールを維持しながら、回転筒10が回転する構造になっている。振動トラフ式では、吸気ボックス45がトラフ(断面形状が凹状)であり、その吸気ボックス45の下端に振動モータ48とばね49が結合している。供給口41から供給した石膏は、トラフの上に落下する。そして、振動モータ48により吸気ボックス45が振動することにより、石膏が回転筒10内へと移動する。吸気ボックス45を取り付ける際は、石膏が移動しやすいように、回転筒10へ向かって下る傾斜を持たせると良い。
回転筒10の断面形状は、後述する円形のほか、矩形にしても良い。矩形の例として、六角形の回転筒10を図8に示す。矩形の回転筒10を回転すると、回転筒10の角部15により石膏が持ち上がるため、石膏の混合が良くなる。一方で、円形の場合に比べて、回転筒10の断面積が狭くなるため、配置する加熱管11の数が減るというデメリットも存在する。なお、矩形の角部の数(辺の数)は変更でき、より詳しくは、角部の数を3つ以上の任意の数にすることができる。
加熱装置から加熱処理物Eを排出する方式としては、図10のような形態も採用できる。かかる形態において、キャリアガスAは、ケーシング80の上部のキャリアガス供給口33から隔壁23の内側へ送り込まれる。このキャリアガスAが再利用ガスである場合は、キャリアガスA中に粉塵等が含まれているが、隔壁23の内側、すなわちガス通路U2には、リボンスクリューZが配されているため、ガスに混入している粉塵等は、このリボンスクリューZによって捕捉される。捕捉された粉塵等は、リボンスクリューZの送り作用により開口部22へ向かって送られ、ケーシング80内へ排出される。排出された粉塵等は、自由落下によりケーシング下方の排出口32から排出される。一方、キャリアガスAの粉塵等以外の気体は、リボンスクリューZによって妨げられることなく、回転筒10内へ送られる。
図1、図4における加熱装置は、石膏の移動する方向とキャリアガスAの流れる方向が同じである「並流」を採用していた。そのほか、石膏の移動する方向とキャリアガスAの流れる方向を逆にした「向流」を採用しても良い。
そのほか、回転筒10の支持構造は、回転筒10の外周に2つのタイヤ部材20、20を取り付ける前記支持構造のほか、一端側に設けたスクリューケーシング42と、他端側に設けたガス管72の外周にベアリング(図示しない)を取り付け、このベアリングを支持する構造や、前記タイヤ部材25とベアリングを組み合わせる支持構造にしても良い。
本発明は、石膏の乾燥および/または焼成速度を上げるため、従来の加熱装置よりも、回転筒10を高速で回転させる。この回転速度の決定方法について、以下に説明する。なお以下の記載では乾燥速度を例に説明するが、焼成速度についても同様の決定方法である。
加熱装置の処理負荷PLを決定する。具体的には、石膏の種類、含液率(wt%W.B.)、目標の処理量(kg/h)等を基に、負荷PLを算出する。
小型の加熱装置を実験機として用いて、単位負荷当たりの石膏の乾燥速度Rdを調査する。
前記工程2で調査した石膏の乾燥速度Rdを基にして、回転筒10のサイズを決定する。
回転筒10の回転数を決定する。従来の回転数決定法は、重要な基準として回転筒10の回転速度(本発明では、「回転速度」を「周速」ともいう。)を用いており、具体的には、下記式5を用いて回転数を決定していた。なお、回転速度Vの値は、約0.1〜0.4[m/s]の範囲内で経験則に基づいて決定していた。
N=(V×60)/(D×π) ・・・式5
ここに、Nは回転筒10の回転数(r.p.m.)であり、Vは回転筒10の回転速度(m/s)であり、Dは回転筒10の内径(m)である。
N=V/Vc×Nc ・・・式6
ここに、Nは回転筒10の回転数(r.p.m.)であり、Vは回転筒10の回転速度(m/s)であり、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)であり、Ncは回転筒10の臨界回転数(r.p.m.)である。
前記式6の「臨界速度」と「臨界回転数」について詳述する。図13を参照すると、「臨界速度」は、加熱装置内で、石膏の重力と石膏に作用する遠心力がつり合う回転速度であり、理論上、石膏が回転筒10と共廻りする回転筒10の回転速度をいう。なお、rωは速度を表す。また、「臨界速度比」とは、前記臨界速度に対する実際の回転速度の比をいう。
臨界速度について、詳述する。臨界速度は、石膏の重力(mg)と遠心力(mrω2)が同じであるため、下記の式7が成り立つ。
mg=mrω2 ・・・式7
ここに、mは石膏の質量(kg)、gは重力加速度(m/s2)、rは回転筒10の半径(m)、ωは角速度(rad/s)である。
g=r(Vc/r)2 ・・・式8
ここに、gは重力加速度(m/s2)であり、rは回転筒10の半径(m)であり、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)である。
Vc=(rg)1/2=(D/2・g)1/2=2.21D1/2
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
ここに、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)、Dは回転筒10の内径(m)である。
次に、回転筒の臨界速度比について説明する。回転筒の臨界速度比αは、臨界速度(Vc)に対する実際の回転速度Vの比を指すため、下記式2によって表すことができる。
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、αは回転筒10の臨界速度比(%)、Vは回転筒10の回転速度(m/s)、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)である。
なお、臨界速度における回転筒10の回転数を「臨界回転数」といい、下記式9により求めることができる。
Nc=Vc・60/(πD)=2.21D1/2・60/(πD)=42.2/D1/2
Nc=42.2/D1/2 ・・・式9
ここに、Ncは回転筒10の臨界回転数(r.p.m.)、Vcは回転筒10の臨界速度(m/s)、Dは回転筒10の内径(m)である。
回転筒10の内径が1830mmの加熱装置を用いて、回転筒の臨界速度比α(%)と石膏の乾燥および焼成速度の関係性について実験を行った。この実験では、含液率が異なる2種類の試料(付着水を有する2種類の二水石膏)を加熱装置にバッチ式で投入し、乾燥および焼成を行い、半水石膏を得た。各試料の含液率は、試料1が5wt%W.B.、試料2が15wt%W.B.である。
なお、本実験における乾燥および焼成速度を乾燥焼成速度Rdと称する。
石膏の分散については、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図16に示した石炭の分散や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図13に示したテレフタル酸の分散と、ほぼ同様の分散を示す。
回転筒の内径についても、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図17に示した石炭の実験や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図15に示したテレフタル酸の実験と、ほぼ同様である。
石膏の充填率を変えた場合における、回転筒10の臨界速度比αと石膏の乾燥焼成速度Rdの関係性についても、本発明者の過去の出願である特許第5778831号の図18に示した石炭の実験や、同じく本発明者の過去の出願である特願2015−159203号の図16に示したテレフタル酸の実験と、ほぼ同様である。
η=Ap/Af・100 ・・・式10
ここに、ηは充填率(%)、Apは自由断面積に対して石膏の占める断面積(m2)、Afは回転筒10の全断面積から全加熱管11の断面積を減算した自由断面積(m2)である。なお、回転筒10の全断面積Afは、回転筒10の任意の横断面における回転筒10内部の断面積のことをいい、回転筒10の肉厚部分の面積は含まない。すなわち、回転筒10の内径に基づいて計算する断面積をいう。
図17に加熱管11の隙間Kを示す。この例においては、隙間Kは4つの同心円列ですべて同一の例が示されている。このために、加熱管11の径を外側ほど大きくしてある。隣接する加熱管11の間(隙間)Kの距離は60〜150mmにすることが好ましい。もちろん、加熱管11の径は同一径とする、隙間Kはたとえば外側ほど大きくするなど、適宜の変形が可能である。また、後述する第1の配置形態又は第2の配置形態を採ることもできる。
前記の各説明や各式においては、回転筒10の内径Dを用いており、外径は用いなかった。しかし、前記各式を補正して、外径を用いても良い。この点について、以下に詳述する。
D=Do−(2×t) ・・・式11
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
Vc=2.21×(Do−2×t)1/2
本発明において加熱管11にサイズ及び配置は適宜選択できるものの、本発明者らの高速回転化を指向する過程の中で、主に接触効率を高め、もって乾燥焼成速度を高めるためには、次述する手段が有効であるとの知見を得た。
従来は、図23に示すように、回転筒10内に加熱管11を放射状に配置していた。回転筒10内では、石膏(粉粒体)が回転筒10下部に移行した複数の加熱管11の隙間に入り込み、回転筒10の回転に伴って、複数の加熱管11により回転方向に掻き上げられる。安息角まで掻き上げられた石膏は、主に安息角を越えた時点から崩落し始め、落下運動に転じる。より詳しくは、安息角限を超えて、より上方に位置する複数の加熱管11の間から雪崩のように落下し、回転筒10下部に位置する加熱管11に衝突する。
すなわち、一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒10と、加熱媒体が通る多数の加熱管11、11…を前記回転筒10内に設け、石膏を前記回転筒10の一端側に供給して他端側から排出する過程で、前記加熱管11、11…により石膏を加熱する加熱装置において、加熱管11、11…の配置は、次の配置形態が望ましいのである。
前記加熱管11、11…群が、前記回転筒10の中心を中心とする実質的に同心円状に配置され、その中心側円上の第1基準加熱管S1芯から、第2基準加熱管S2芯までを繋ぐ繋ぎ線が、次記(1)または(2)の配置形態の一つ又はこれらを組み合わせた配置形態から選択されるものである。
(1)各加熱管11、11…芯が、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを直接繋ぐ直線L1上に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、前記第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している第1配置形態。
(2)各加熱管11、11…芯が、第1基準加熱管S1芯と第2基準加熱管S2芯とを繋ぐ曲線L2上に位置しており、かつ、第2基準加熱管S2芯に向かうほど回転筒10の回転方向後方に位置しており、さらに、第1基準加熱管S1芯を通る半径放射線J1に対して、第2基準加熱管S2芯が、回転筒10の回転方向後方に位置している第2配置形態。
そのほか、本発明の別の好適な形態の下では、回転筒10の回転軸の同心円上において、中心側から外側に位置するに従って、隣り合う加熱管11の隙間を大きくした配置とすることもできる。図16〜図18は、中心側から外側へ向かうに従って、隣り合う加熱管11の隙間を次第に大きくする配置とした例である。
前記のように加熱管11を曲線状または斜め直線状に配置することで、石膏が落下する方向と石膏が複数の加熱管11の間に入り込む方向が近似し、落下した石膏はその運動方向を大きく変えずに複数の加熱管11、11の隙間に入り込む。加熱管11、11の隙間に入り込んだ石膏は、回転筒10の内側から外側へと流れ、回転筒10の筒壁に到達する。加熱管11の配置を選定することで、加熱管11の隙間に石膏が速やかに入り込み、加熱管11の外側(回転筒10の中心側)に滞留せず、石膏と加熱管11の接触が良くなるため、乾燥および/または焼成効率を向上させることができる。また、石膏と加熱管11の接触面積が増大し、両者の接触時間も増えるため、この点からも乾燥および/または焼成効率を向上させることができる。
同心円上にある加熱管11の本数を全て同じにしても良いが、加熱管11を直線状に設けた場合には、図21に示すように、回転筒10の最外周から中間付近までの加熱管11の本数を、回転筒10の中間付近から最内周までの加熱管11の本数より多くした方が良い。このように、中間付近から最外周までの加熱管11の本数を増やすことで、隣り合う加熱管11、11の間の距離を最内周から最外周までほぼ同じにすることができる。そして、加熱管11の本数を増やすことで、加熱管11の伝熱面積が増え、回転筒10の外周側へ移動した石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることができる。
加熱管11の直径を全て同じにしても良いが、図17に示すように、回転筒10の内周側から外周側へ向かうに連れて、次第に直径を大きくすることもできる。このように、加熱管11の直径を変えることで、隣り合う加熱管11の間の距離を内周から外周までほぼ同じにすることができる。このように加熱管11の直径を大きくすることで、加熱管11の伝熱面積が増え、回転筒10の外周側へ移動した石膏の乾燥および/または焼成速度を向上させることができる。
加熱管11の配列の決定方法について、図17を参照しながら説明する。なお、加熱管11の配列を「行列」で表し、回転筒10の径方向(回転筒10の中心側から外側へ向かう方向)の配列を「列」とし、円周方向の配列を「行」とする。
なお、図15〜図22では、加熱管11を複数列配置した例を示したが、加熱管11を1列だけ配置しても良い。
11 スチームチューブ(加熱管)
41 供給口
50 排出口
55 分級フード
56 固定排気口
57 固定排出口
60 掻上板
65 撹拌手段
A キャリアガス
E 加熱処理物
W 被処理物(石膏)
Claims (6)
- 一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成の加熱装置を用いて、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する石膏の加熱方法であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、前記回転筒を回転して、石膏を加熱することを特徴とする石膏の加熱方法。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。 - 前記加熱装置に供給する石膏の含液率が3〜20wt%W.B.である請求項1記載の石膏の加熱方法。
- 一端側に石膏の供給口を、他端側に石膏の排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒と、加熱媒体が通る加熱管群を前記回転筒内に設け、前記回転筒の回転に伴って前記加熱管群により石膏が回転方向に掻き上げられる構成とされ、
石膏が前記供給口から前記排出口まで移動する過程で、前記加熱管群により石膏を間接加熱する加熱装置であって、
下記式1、式2で定められる臨界速度比αが15〜70%未満となるように、回転筒を回転できる構成であることを特徴とする石膏の加熱装置。
Vc=2.21D1/2 ・・・式1
α=V/Vc・100 ・・・式2
ここに、Vcは回転筒の臨界速度(m/s)、Dは回転筒の内径(m)、αは回転筒の臨界速度比(%)、Vは回転筒の回転速度(m/s)である。 - 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から無水石膏を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
- 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から半水石膏を得ることを特徴とする半水石膏の製造方法。
- 請求項1記載の加熱方法を用いて、付着水を有する二水石膏から付着水を除去した二水石膏を得ることを特徴とする二水石膏の製造方法。
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