本発明の一態様である画像投影システムは、室内空間を画定する天井材または壁材の裏側に配置され、且つ、天井材または壁材に設けられた開口を介して室内に投影光を出射する出射部を備えるプロジェクタと、天井材または壁材の開口を塞ぎ、プロジェクタの投影光が透過するカバー部材と、プロジェクタの出射部とカバー部材とを覆い、且つ、プロジェクタの出射部から開口に向かう投影光が通過する内部空間を形成するケース部材と、を有する。
このような構成によれば、浴室などの高温多湿の室内にその室外から画像を投影する場合において、良好な画像を投影することができる。
ケース部材が、内面に、プロジェクタの光を熱に変換する光熱変換面を備えてもよい。プロジェクタからの光の一部から変換された熱を利用することにより、プロジェクタの出射部に水滴が付着することが抑制される。また、カバー部材への水滴の付着も抑制される。その結果、プロジェクタは、カバー部材を介して室内に良好な画像を投影することができる。
プロジェクタの投影光の一部であって且つカバー部材で反射された反射光が当たるケース部材の内面部分に、光熱変換面が配置されてもよい。これにより、カバー部材で反射した反射光を熱に変換することができる。
ケース部材の光熱変換面は、マット面であってもよい。
ケース部材の光熱変換面が、黒色を備えてもよい。
プロジェクタの投影光が入射するカバー部材の浴室外側表面が、平滑面を備えてもよい。これにより、反射光の強度が上がり、その結果として光熱変換面で発生する熱量が増加する。
画像投影システムは、ケース部材に覆われるようにカバー部材に取り付けられ、カバー部材を加熱するヒーターを有してもよい。ヒーターは補助的にカバー部材を加熱することにより、カバー部材への水滴の付着がより抑制される。
カバー部材が、断熱部材を介して天井材の裏側部分または壁材の裏側部分に取り付けられる場合、ヒーターは、カバー部材を挟んで断熱部材と対向しないように、カバー部材に取り付けられているのが好ましい。これにより、ヒーターの熱の断熱部材への移動を抑制でき、カバー部材を十分に温めることができる。
プロジェクタが、外部の空気を内部に取り込むための吸気口、および内部の空気を外部に排出するための排気口を備え、画像投影システムが、プロジェクタの排気口とケース部材の内部空間とを連絡して、プロジェクタからの排気をケース部材の内部空間に供給するダクト部材とを有してもよい。これにより、プロジェクタからの排気によってケース部材の内部空間を温めることができる。
プロジェクタが、ダクト部材の内部空間と連絡する排気口に対向する内部ファンを備えてもよい。これにより、ダクト部材を介してケース部材の内部空間により多くのプロジェクタの排気が供給される。その結果、カバー部材の結露の発生をより抑制することができる。
ダクト部材の入口にフィルタが設けられてもよい。これにより、ダクト部材を介して、ケース部材の内部空間へのほこりなどの侵入が抑制される。
ケース部材が、その内部空間と外部とを連絡し、ダクト部材を介して供給されたプロジェクタの排気を外部に排出するための出口を備え、そのケース部材の出口にフィルタが設けられてもよい。これにより、ケース部材の出口を介して、ケース部材の内部空間へのほこりなどの侵入が抑制される。
ダクト部材の入口の縁部とプロジェクタの排気口の縁部との間にシール部材が配置されてもよい。これにより、ダクト部材を介して、より多くのプロジェクタの排気がケース部材の内部空間に供給される。
画像投影システムが、出射部が外部に露出した状態でプロジェクタを収容して天井材または壁材の裏側に取り付けられるプロジェクタ取り付け部材を有してもよい。この場合、プロジェクタ取り付け部材が、その内部空間と外部とを連絡し、その内部空間に収容されたプロジェクタの吸気口に対向する部分に設けられる空気取り込み口を備えてもよい。これにより、プロジェクタ12はほこりなどから保護されるとともに、プロジェクタ取り付け部材の空気取り込み口とプロジェクタの吸気口とを介して、プロジェクタ取り付け部材外部の空気をプロジェクタ内部に取り込むことができる。
プロジェクタ取り付け部材が、その内部空間と外部とを連絡する空気吹き出し口を備え、空気吹き出し口に対向するようにプロジェクタ取り付け部材に設けられ、プロジェクタ取り付け部材内の空気を外部に送風する外部ファンを有してもよい。これにより、プロジェクタ取り付け部材の内部の温度上昇が抑制され、その結果、プロジェクタが高温状態になることを十分に抑制することができる。
画像投影システムが、プロジェクタの温度を検出する温度センサと、温度センサの温度検出結果に基づいて外部ファンを制御する制御装置と、を有し、制御装置が、温度センサが所定の温度を超える温度を検出している間、外部ファンを駆動し続けてもよい。これにより、プロジェクタが高温状態になることを効率的に抑制することができる。
プロジェクタ取り付け部材が、不燃性材料または難燃性材料から作製されてもよい。これにより、浴室などの高温多湿の室内に画像をその室外に設置されたプロジェクタから投影する場合において、プロジェクタ内での湿気や粉じんによる短絡やその短絡による発火に十分に対策してプロジェクタを設置することができる。
ケース部材が、不燃性材料または難燃性材料から作製されてもよい。これにより、発火に対してさらに十分に対策することができる。
プロジェクタ取り付け部材とケース部材とが、一部品として一体化されてもよい。これにより、発火に対してよりさらに十分に対策することができる。
プロジェクタが、プロジェクタ取り付け部材の天板部に吊り下げ支持された状態で該プロジェクタ取り付け部材内に収容されてもよい。これにより、プロジェクタに湿気が侵入しにくくなる。
プロジェクタ取り付け部材に、プロジェクタの出射部が通過するプロジェクタ取り付け部材の貫通穴を介してケース部材の内部空間からプロジェクタ取り付け部材の内部空間への空気の流れを遮断するシール部材が配置されてもよい。これにより、ケース部材の内部空間からプロジェクタ取り付け部材の内部空間に湿気が戻ることが抑制される。
ケース部材の内面の少なくとも一部に、蓄光層が設けられてもよい。これにより、プロジェクタの投影が停止して浴室が真っ暗になっても、蓄光層の発光をたよりにしてユーザは浴室から安全に出ることができる。
また、本発明の別の態様である浴室は、画像投影システムを備える浴室であって、画像投影システムが、室内空間を画定する天井材または壁材の裏側に配置され、且つ、天井材または壁材に設けられた開口を介して室内に投影光を出射する出射部を備えるプロジェクタと、天井材または壁材の開口を塞ぎ、プロジェクタの投影光が透過するカバー部材と、プロジェクタの出射部とカバー部材とを覆い、且つ、プロジェクタの出射部から開口に向かう投影光が通過する内部空間を形成するケース部材とを有する。
このような構成によれば、浴室などの高温多湿の室内にその室外から画像を投影する場合において、良好な画像を投影することができる。
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る浴室を概略的に示している。
図1に示すように、浴室100は、天井材102と、複数の壁材104と、床材106とを有する。浴室100の内部空間は、これらの天井材102、複数の壁材104、および床材106によって画定されている。
また、浴室100は、1つの壁材104の表側部分に、画像Pを投影するように構成されている。なお、本明細書において、天井材102や壁材104の表側は浴室内側を言い、裏側は浴室外側を言う。
本実施の形態1の場合、図1に示すように、壁材104に向かって画像Pを投影する画像投影システム10が、天井材102の裏側に配置されている。天井材102の裏側に配置された画像投影システム10から浴室100内に画像Pを投影するために、天井材102には開口102aが設けられている。また、天井材102の裏側に画像投影システム10を配置するために利用可能な点検口102bが、天井材102に設けられている。
図2は、浴室100の天井材102の裏側に配置された画像投影システム10を概略的に示している。また、図3は、図2に示すA−A線に沿った画像投影システム10の断面を示している。さらに、図4は、図2に示すB−B線に沿った画像投影システム10の断面を示している。なお、図には、発明の理解を容易にするために、X−Y−Z座標系が示されている。X軸方向およびY軸方向は水平方向を示し、軸方向は鉛直方向を示している。
図3に示すように、画像投影システム10は、投影光Lを浴室100の壁材104に向かって出射する(画像Pを投影する)プロジェクタ12と、プロジェクタ12を天井材102に取り付けるためのプロジェクタ取り付け部材14と、天井材102の開口102aを塞ぐカバー部材16と、カバー部材16を覆うケース部材18とを有する。
本実施の形態1の場合、図3に示すように、プロジェクタ取り付け部材14は、内部にプロジェクタ12を収容する蓋付きボックス状であって、天井材102の裏側部分102cに、例えば、ねじや接着剤などによって固定される。このプロジェクタ取り付け部材14は、プロジェクタ12を吊り下げ支持する蓋状の天板部20と、プロジェクタ12が通過する上部開口を備えて天板部20を支持するベース部22とを備える。
また、プロジェクタ取り付け部材14のベース部22は、投影光Lを出射するプロジェクタ12の出射部12aが通過する貫通穴22aを備えている。
さらに、本実施の形態1の場合、プロジェクタ12は、出射部12aが斜め下方向に向いた状態でプロジェクタ取り付け部材14に支持されている。これにより、プロジェクタ12は、天井材102の裏側から開口102aを介して浴室100内に向かって投影光Lを出射することができる。
このようなプロジェクタ取り付け部材14によれば、プロジェクタ12は、天井材102の裏側部分102cに取り付けられ、また、ほこりなどから保護される。また、プロジェクタ取り付け部材14によって下側に傾いた姿勢で支持されることにより、プロジェクタ12は、出射部12aから天井材102の開口102aを介して浴室100内に向かって投影光Lを出射することができる。
この天井材102の開口102aは、天井材102の裏側に配置されたプロジェクタ12から浴室100内に画像Pを投影するためには必要である。しかし、開口102aを通過して天井材102の裏側に移動した浴室100内の湿気によってプロジェクタ12に水滴が付着する可能性がある。特に、プロジェクタ12の出射部12aに水滴が付着すると、浴室100の壁材104の表側部分に良好な画像Pを投影することができない可能性がある。
プロジェクタ12への水滴の付着を抑制するために、天井材102の開口102aを塞ぐカバー部材16が設けられている。
本実施の形態1の場合、図3に示すように、カバー部材16は、天井材102の開口102aを塞ぐように、天井材102の裏側部分102cに対してシール部材24を介在した状態で取り付けられている。例えば、ねじや接着剤などによって天井材102にカバー部材16は固定されている。
また、カバー部材16は、天井材102の開口102aに配置され、プロジェクタ12の出射部12aから出射された投影光Lが透過する光透過部16aを備える。そのため、カバー部材16は、少なくとも光透過部16aがガラスまたは樹脂材料から作製されている。
このようなカバー部材16によれば、浴室100から天井材102の裏側への蒸気の移動が抑制される。それにより、プロジェクタ12への水滴の付着が抑制され、プロジェクタ12は、カバー部材16を介して、図1に示すように、浴室100の壁材104の表側部分に良好な画像Pを投影することができる。
浴室100の内部空間の温度が天井材102の裏側空間の温度に比べて高く、その温度差が大きい場合、カバー部材16の浴室内側表面に結露が生じる、すなわち浴室内側表面に水滴が付着する場合がある。カバー部材16の浴室内側表面に水滴が付着すると、その水滴によってプロジェクタ12からの投影光Lが散乱し、浴室100の壁材104の表側部分に良好な画像Pを投影できない可能性がある。
また、カバー部材16の天井裏側の浴室外側表面には、時間の経過とともに、天井材102の裏側空間内のほこりや虫など付着しやすい。その付着したほこりなどにより、浴室100の壁材104の表側部分に良好な画像Pを投影できない可能性がある。
そこで、カバー部材16の浴室100側の浴室内側表面での結露の発生を抑制するとともに、カバー部材16の天井裏側の浴室外側表面へのほこりなどの付着を抑制するために、カバー部材16を覆うケース部材18が、天井材102の裏側に配置されている。
具体的には、ケース部材18は、図2および図3に示すように、カバー部材16を覆うように、またプロジェクタ12の出射部12aを覆うように構成されて配置されている。また、ケース部材18は、図3に示すように、プロジェクタ12の出射部12aから天井材102の開口102aに向かう投影光Lが通過し、天井材102の裏側空間から実質的に隔離された内部空間18aを形成する。すなわち、カバー部材16の光透過部16aの天井裏側の浴室外側表面とプロジェクタ12の出射部12aが、ケース部材18の内部空間18aを臨んでいる。なお、本実施の形態1の場合、この内部空間18aは、図3に示すように、ケース部材18と、カバー部材16と、プロジェクタ取り付け部材14とによって画定され、それにより天井材102の裏側空間から実質的に隔離されている。
液密な空間を実現するために、本実施の形態1の場合、ケース部材18は、シール部材26を介して、カバー部材16の外周縁部に載置されて取り付けられている。また、ケース部材18は、シール部材28を介して、プロジェクタ取り付け部材14に取り付けられている。
さらに、ケース部材18は、内面(内部空間18aを臨む表面)に、プロジェクタ12からの光を熱に変換する光熱変換面18bを備える。なお、本明細書で言う「光熱変換」は、光を吸収して熱を発生させることを言う。
本実施の形態1の場合、ケース部材18は黒色またはグレー色の樹脂から作製され、光熱変換面18bはマット面で構成されている。これにより、光熱変換面18bは、プロジェクタ12からの光を吸収して熱を発生させる。
具体的に説明すると、図3に示すように、プロジェクタ12の出射部12aから天井材102の開口102aに向かって出射された投影光Lの一部は、カバー部材16の光透過部16aの浴室外側表面で反射する。反射光L’は、ケース部材18の内面、すなわち光熱変換面18bに到達し、一部が熱に変換される。また、プロジェクタ12の出射部12aから出射される投影光L以外の光、すなわち画像Pの投影に寄与しない散乱光が、光熱変換面18bに到達して熱に変換される。
プロジェクタ12からの光を光熱変換面18bが熱に変換することにより、ケース部材18の温度が上昇する。このとき、ケース部材18の内部空間18aが実質的に密閉空間であるため、そのケース部材18の内部空間18aの温度も上昇する。
ケース部材18の内部空間18aの温度が上昇すると、浴室100の内部空間とケース部材18の内部空間18aとの間の温度差が小さくなり、浴室100側のカバー部材16の浴室内側表面での結露の発生が抑制される(ケース部材18がない場合に比べて)。その結果、プロジェクタ12は、カバー部材16を介して、良好な画像Pを浴室100の壁材104の表面に投影することができる。
なお、本実施の形態1の場合、図3および図4に示すように、ケース部材18は、シール部材26を介してカバー部材16に取り付けられている。そのため、昇温したケース部材18からカバー部材16への熱の伝達が、シール部材26が断熱材として機能することによって抑制されている。その結果、昇温したケース部材18により、内部空間18aを効率よく温めることができる。したがって、シール部材24は、ケース部材18の内部空間18aを液密にシールするシール性のみならず、断熱性に優れたものが好ましい。
ただし、ケース部材18の内部空間18aの乾燥を考慮して、図2や図4に示すように、ケース部材18の側面18cに、液体、ほこり、虫などの侵入を実質的に抑制できる複数の微小貫通穴からなる通気口18dが設けられてもよい。これにより、ケース部材18の内部空間18a内での結露の発生を抑制することができる。
また、光熱変換面18bは、ケース部材18の内面全体に設けられてもよいし、または一部に設けられてもよい。図3に示すように、カバー部材16からの反射光L’が当たるケース部材18の内面部分に少なくとも光熱変換面18bが配置される。
このようにプロジェクタ12の光から変換された熱を利用したカバー部材16の結露抑制をさらに効率よく行うために、プロジェクタ12の投影光Lが入射するカバー部材16の浴室外側表面は、平滑面が好ましい。これにより、カバー部材16の浴室外側表面で反射されてケース部材18の光熱変換面18bに到達する反射光L’の強度が増加する。その結果、反射光L’が到達した光熱変換面18aで発生する熱量が増加する。
また、プロジェクタ12の投影光Lが入射するカバー部材16の浴室外側表面に、可視光線を選択的に透過して赤外線を反射する可視光線透過フィルムまたは可視光線透過膜を設けてもよい。
さらに、光熱変換効率を向上させるために、ケース部材18の光熱変換面18bは、平面よりは凹凸面が好ましい。これにより、光熱変換面18bの表面積が増加して受光量が増加し、光熱変換面18bは、より多くの熱を発生させることができる。
さらに、ケース部材18の光熱変換面18bは、ケース部材18の内面に、カーボン粒子を含む光熱変換フィルムまたは光熱変換膜を設けることによって構成されてもよい。すなわち、本発明の実施の形態1において、ケース部材18の光熱変換面18bは、光を熱に変換できる表面であればよい。
このようなケース部材18によれば、浴室100側のカバー部材16の浴室内側表面での結露を抑制するとともに、カバー部材16の天井裏側の浴室外側表面へのほこりなどの付着を抑制することができる。
例えば、気温が極端に低い場合や冷間地の場合、浴室100の内部空間と天井材102の裏側空間との間の温度差が極端に大きい場合がある。その場合、プロジェクタ12の光から変換された熱だけでは、カバー部材16の結露が十分に抑制されるまでに時間がかかる可能性がある。
気温が極端に低い場合などにカバー部材16の結露抑制をすばやくかつ十分に実行するために、図3および図4に示すように、本実施の形態の画像投影システム10は、カバー部材16を加熱するためのヒーター30を有する。
本実施の場合、ヒーター30は、面ヒーターであって、例えば、電熱ヒーターまたはPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターである。
また、ヒーター30は、図3および図4に示すように、ケース部材18に覆われるように、すなわちケース部材18の内部空間18a内に位置するようにカバー部材16に取り付けられている。具体的には、カバー部材16を上方から見た図5に示すように、ケース部材18の内部空間18aを臨むカバー部材16の浴室外側表面上に、且つ、カバー部材16の光透過部16aを囲むように、環状のヒーター30が取り付けられている。
このようなヒーター30によれば、カバー部材16が直接的に加熱される。それにより、ヒーター30は、少ない供給電力でカバー部材16全体を昇温することができ、浴室100側の光透過部16aの浴室内側表面に付着した水滴を気化することができる。
また、ヒーター30が、ケース部材18によって覆われているために、ヒーター30の熱が、天井材102の裏側空間(ケース部材18の内部空間を除く)に無制限に移動せず、カバー部材16の加熱に効率的に使用される。それにより、ヒーター30は、少ない電力で、結露を抑制することができる温度にカバー部材16を昇温することができる。なお、ヒーター30の熱の一部は、その周囲のケース部材18の内部空間18aの加熱に使用される。
さらに、本実施の形態1の場合、カバー部材16は、シール部材24を介して天井材102の裏側部分102cに取り付けられている。このシール部材24が断熱材として機能し、カバー部材16から熱容量が大きい天井材102への熱の移動が抑制される。それにより、ヒーター30は、少ない電力で、結露を抑制することができる温度にカバー部材16を昇温することができる。
なお、ヒーター30は、効率的にカバー部材16を加熱するために、ケース部材18やシール部材26から離れた状態でカバー部材16に取り付けられるのが好ましい。すなわち、ヒーター30とケース部材18との間の接触面積およびヒーター30とシール部材26との間の接触面積は、可能であればゼロ、そうでなければ可能な限り小さい方が好ましい。これにより、ヒーター30の熱が、ケース部材18やシール部材26に直接的に移動せず、カバー部材16に直接的に移動する。その結果、ヒーター30は、少ない電力で、結露を抑制することができる温度にカバー部材16を昇温することができる。
また、図5に示す環状の1つのヒーター30に代わって、複数の矩形状のヒーター30が光透過部16aを囲むようにカバー部材16に取り付けられてもよい。
さらに、ヒーター30をプロジェクタ12からの投影光Lが透過可能な透明電極パターンで構成し、透明電極パターンが光透過部16aを含むカバー部材16全体に形成されてもよい。
以上、このような本実施の形態1によれば、高温多湿な浴室100にその室外から画像Pを投影する場合において、良好な画像Pを投影することができる。すなわち、天井材102の裏側に配置されたプロジェクタ12の水滴が付着していない出射部12aから、結露の発生が抑制されるとともにほこりなどの付着が抑制されたカバー部材16を介して、浴室100の壁材104の表側部分に、良好な画像Pが投影される。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上述の実施の形態1と異なる方法で、カバー部材に発生する結露を抑制する。そのための構成要素を中心にして、本実施の形態2を説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一な本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
図6および図7は、異なる方向から見た斜視図であって、浴室100の天井材102の裏側に配置された本実施の形態2に係る画像投影システム210を概略的に示している。また、図8は、図6に示すC−C線に沿った画像投影システム210の断面を示している。さらに、図9は、画像投影システム210の内部構成を示す上方視断面図である。
図8に示すように、画像投影システム210は、投影光Lを浴室100の壁材104に向かって出射する(画像Pを投影する)プロジェクタ12と、プロジェクタ12を天井材102に取り付けるためのプロジェクタ取り付け部材214と、天井材102の開口102aを塞ぐカバー部材216と、カバー部材216を覆うケース部材218とを有する。
本実施の形態2の場合、図8に示すように、プロジェクタ取り付け部材214は、その内部空間214aにプロジェクタ12を収容することができる蓋付きボックス状の部材である。本実施の形態2の場合、プロジェクタ取り付け部材214はまた、不燃性材料または難燃性材料から作製されている。
本明細書で言う「不燃性材料」は、着火しない材料であって、例えばアルミニウム材料やステンレス材料などの金属材料を言う。また、「難燃性材料」は、着火しにくく、着火してもその燃焼速度が非常に遅い材料を言い、例えば難燃プラスチック材料などがある。
このプロジェクタ取り付け部材214は、プロジェクタ12を吊り下げ支持する蓋状の天板部220と、プロジェクタ12が通過する上部開口を備えて天板部220を支持するベース部222とを備える。
また、プロジェクタ取り付け部材214のベース部222は、投影光Lを出射するプロジェクタ12の出射部12aが通過する貫通穴222aを備えている。
プロジェクタ12外側表面への水滴の付着を抑制するために、また、プロジェクタ12の内部への湿気の侵入を抑制するために、天井材102の開口102aを塞ぐカバー部材216が設けられている。プロジェクタ12の内部に大量の湿気が侵入すると、詳細は後述するが内部の電気回路などに短絡が生じうる。
カバー部材216は、プロジェクタ12の出射部12aから出射された投影光Lが透過するように、ガラス材料または樹脂材料から作製されている。
このようなカバー部材216によれば、浴室100から天井材102の裏側への湿気の移動が抑制される。それにより、プロジェクタ12外側表面への水滴の付着が抑制される。また、プロジェクタ12の内部への湿気の侵入が抑制される。
また、上述の実施の形態1と同様に、カバー部材216の浴室内側表面216aでの結露の発生を抑制するとともに、カバー部材216の浴室外側表面216bへのほこりなどの付着を抑制するために、カバー部材216を覆うケース部材218が、天井材102の裏側に配置されている。
本実施の形態2の場合、ケース部材218は、プロジェクタ取り付け部材214と同様に、不燃性材料または難燃性材料から作製されている。
具体的には、ケース部材218は、図6〜図8に示すように、カバー部材216を覆うように、またプロジェクタ12の出射部12aを覆うように構成されて配置されている。また、ケース部材218は、図8に示すように、プロジェクタ12の出射部12aから天井材102の開口102aに向かう投影光Lが通過し、天井材102の裏側空間から実質的に隔離された内部空間218aを形成する。すなわち、カバー部材216の浴室外側表面216bとプロジェクタ12の出射部12aが、ケース部材218の内部空間218aを臨んでいる。
このようなケース部材218によれば、まず、カバー部材216の浴室外側表面216bへのほこりなどの付着が、ケース部材218がない場合に比べて抑制される。
また、ケース部材218の内部空間218aは、天井材102の裏側空間から空間的に隔離されているだけでなく、熱的にも隔離される。この熱的に隔離されているケース部材218の内部空間218aを温めることによってカバー部材216の浴室内側表面216aでの結露の発生を抑制するように、本実施の形態2に係る画像投影システム210は構成されている。
具体的には、画像投影システム210は、図6および図7に示すように、プロジェクタ取り付け部材214内に収容されているプロジェクタ12からの排気をケース部材218の内部空間218a内に供給するためのダクト部材230を有する。
図9は、画像投影システム210内の空気の流れを示す、画像投影システム210の内部構成を示す上方視断面図である。図において、空気の流れは、白抜矢印で示されている。
プロジェクタ12からの排気をケース部材218の内部空間218aに供給するダクト部材230を説明する前に、そのプロジェクタ12について簡単に説明する。
図9に示すように、プロジェクタ12は、その筐体12b内に画像を投影するための光学系12cを収容している。光学系12cは、例えば、光源12d、複数のミラー12e、複数のダイクロイックミラー12f、ダイクロイックプリズム12g、複数の透過型液晶パネル12hを含んでいる。また、筐体12b内には、光源12dや透過型液晶パネル12hを制御する制御装置12jが搭載されている。制御装置12jは、例えば、基板に搭載されたCPU、メモリ、回路などによって構成されている。
使用中において、プロジェクタ12の筐体12bの内部温度は、時間の経過とともに、光源12d、制御装置12jなどから発生した熱によって上昇する。その温度上昇を抑制するために、本実施の形態2の場合、筐体12bには、外部の空気を内部に取り込むための吸気口12kと、内部の空気を外部に排出するための第1および第2の排気口12m、12nとを備える(プロジェクタ12の概略的斜視図である図10および図11参照)。また、筐体12b内の温度を検出する温度センサ12pが、筐体12b内に設けられている。温度センサ12pの検出温度は、信号として制御装置12jに送信される。
図9に示すように、吸気口12kと第1および第2の排気口12m、12nとは、プロジェクタ12の筐体12bの幅方向(X軸方向)に対向するように該筐体12bに形成されている。
また、本実施の形態2の場合、図9に示すように、プロジェクタ12の筐体12b内には、第1の排気口12mに対向するように配置され、筐体12b内の空気を第1の排気口12mを介して外部に送風する内部ファン12qが設けられている。この内部ファン12qは、制御装置12jによって制御され、温度センサ12pの検出温度に基づいた回転数で回転する。これに代わって、内部ファン12qは、プロジェクタ12の稼動中、一定の回転速度で回転し続けてもよい。このような内部ファン12qにより、プロジェクタ12内が冷却されるとともに、プロジェクタ12内が換気されて湿気が留まることが抑制される。
このようなプロジェクタ12が、図9に示すように、画像投影システム10のプロジェクタ取り付け部材214内に収容されている。その収容されたプロジェクタ12が、プロジェクタ取り付け部材214の外部の空気を吸気できるように、プロジェクタ取り付け部材214は複数の空気取り込み口222bを備える。
具体的には、図7に示すように、複数の空気取り込み口222bは、プロジェクタ取り付け部材214のベース部222に形成されている。また、図9に示すように、空気取り込み口222bは、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aと外部とを連絡し、プロジェクタ12の吸気口12kと対向している。
なお、図5に示すように、対向し合うプロジェクタ取り付け部材214の空気取り込み口222bとプロジェクタ12の吸気口12kは、可能な限り接近するのが好ましい。これにより、プロジェクタ12の発熱によって温められたプロジェクタ取り付け部材214内の空気が、プロジェクタ12の吸気口を介して該プロジェクタ12内に流入することが抑制される。すなわち、相対的に低温の外部の空気F1が、相対的に高温のプロジェクタ取り付け部材214内の空気に比べて多くプロジェクタ12内に流入する。
図9に示すように、吸気口12kを介してプロジェクタ12内に流入した空気は、光学系12cや制御装置12jを冷却する。本実施の形態2の場合、冷却後の高温の空気の多く(空気F2)は、内部ファン12qによって第1の排気口12mを介して、プロジェクタ12の筐体12bの外部に排出される。残り(空気F3)は、第2の排気口12nを介して、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aに排出される。
図9に示すように、第1の排気口12mを介して排出された高温の空気F2はダクト部材230の内部空間230a内に流入する。ダクト部材230は、その内部空間230aを介して、プロジェクタ12の第1の排気口12mとケース部材218の内部空間218aを連絡している。そのために、ダクト部材230の一部が、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a内に進入している。それにより、ダクト部材230の内部空間230aに流入した高温の空気F2は、ケース部材218の内部空間218aに供給される。
ケース部材218の内部空間218a内に流入した高温の空気F2により、ケース部材218の内部空間218a内の空気が温められる。それにより、浴室100とケース部材218の内部空間218aとの間の温度差が、プロジェクタ12からの排気がケース部材218内に供給されない場合に比べて小さくなる。すなわち、カバー部材216の浴室内側表面216aと浴室外側表面216bとの温度差が小さくなる。その結果、カバー部材216の浴室内側表面216aでの結露の発生が抑制される。
ケース部材218の内部空間218aを温めた後の空気F2’は、ケース部材218に形成された出口218bを介して外部に排出される。
このような構成により、カバー部材216の浴室内側表面216aでの結露の発生を抑制するとともに、カバー部材216の浴室外側表面216bへのほこりなどの付着を抑制することができる。それに加えて、画像投影システム210の内部を十分に換気することができ、画像投影システム210の内部(プロジェクタ12の内部も含む)に湿気が留まることが抑制される。その結果、プロジェクタ12の制御基板12j上の電気回路などの湿気による短絡に対して十分に対策することができる。
この結露の発生とほこりなどの付着をさらに抑制するために、また、湿気による短絡をさらに抑制するために、以下のような構成を、本実施の形態2の画像投影システム210は備えている。
まず、図9に示すように、プロジェクタ取り付け部材214(すなわちプロジェクタ12)、ダクト部材230、ケース部材218と順に通過する空気の流れ(白抜き矢印に示す流れ)に同伴してほこりなどがケース部材218の内部空間218a内に侵入する可能性がある。その侵入を抑制するために、ほこりなどを捕獲するフィルタ232が、ダクト部材230の入口230bに設けられている。このフィルタ232は、ダクト部材230の入口230b全体を覆うように設けられている。これにより、プロジェクタ12の第1の排気口12mから流出する空気F2は、フィルタ232を通過してダクト部材230の内部空間230aに流入する。その結果、空気F2に同伴するほこりなどがフィルタ232によって捕獲され、ケース部材218の内部空間218a内へのほこりなどの侵入が抑制される。
なお、フィルタ232を、ダクト部材230の入口230bに代わって、ダクト部材230の出口230cに設けてもよい。あるいは、ダクト部材230の出口230cと接続するケース部材218の入口218cにフィルタ232を設けてもよい。
同様に、図9に示すように、ケース部材218の出口218bにも、その全体を覆うフィルタ234が設けられている。これにより、画像投影システム210の停止中に、出口218bを介してケース部材218の内部空間218a内へのほこりなど(特に虫)の侵入が抑制される。
このようなフィルタ232、234により、ケース部材218の内部空間218a内へのほこりなどの侵入がさらに抑制される。
カバー部材216の結露をさらに抑制するために、図9に示すように、ダクト部材230の入口230bの縁部とプロジェクタ12の第1の排気口12mの縁部との間に、シール部材236が配置されている。シール部材236は、例えばシリコンゴムなどの環状の部材である。このシール部材236は、プロジェクタ12の第1の排気口12mからダクト部材230の入口230bに向かう該プロジェクタ12の高温の排気(空気F2)がプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aに漏れ出ることを抑制している。それにより、プロジェクタ12からの高温の空気F2が、ダクト部材230を介して、ケース部材218の内部空間218aに無駄なく供給される。その結果、カバー部材216の結露をさらに抑制することができる(シール部材236がない場合に比べて)。
なお、シール部材236により、プロジェクタ12の第1の排気口12mから流出した高温の空気F2が、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aを介して、プロジェクタ12の吸気口12kに戻ることが抑制される。プロジェクタ12の第1の排気口12mから流出した高温の空気F2が吸気口12kを介して筐体12b内に再び取り込まれると、その筐体12b内の光学系12cや制御装置12jを十分に冷却できない。すなわち、シール部材236は、プロジェクタ12の冷却性を維持する役割も果たしている。また、プロジェクタ12の第1の排気口12mから排気された湿気や熱が再びプロジェクタ12に戻ることも抑制している。その結果、プロジェクタ12内の湿度や温度が低く維持される。
図9に示すように、シール部材236と同様のシール部材238が、ダクト部材230の出口230cの縁部とケース部材218の入口218cの縁部との間に設けられている。このシール部材238は、ダクト部材230の出口230cからケース部材218の入口218cに向かう高温の空気F2が外部(天井材102の裏側空間)に漏れ出ることを抑制している。それにより、ダクト部材230を介するプロジェクタ212からの高温の空気F2が、ケース部材218の内部空間218aに無駄なく供給される。その結果、カバー部材216の結露をさらに抑制することができる(シール部材238がない場合に比べて)。
シール部材に関して言えば、ケース部材218内の空気が、プロジェクタ取り付け部材214の貫通穴222a(プロジェクタ12の出射部12aが通過する穴)を介して該プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a内に侵入しないように、シール部材240が設けられている。シール部材240は、プロジェクタ取り付け部材214のベース部222の貫通穴222aの縁部とプロジェクタ12の筐体12bとの間に設けられている。
このシール部材240により、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a、ダクト部材230の内部空間230a、およびケース部材218の内部空間218aを空気が繰り返しループすることが抑制される。このような空気のループが発生すると、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aの温度が時間の経過とともに上昇し、そこに収容されているプロジェクタ12を十分に冷却できない恐れがある。また、空気のループに同伴して湿気もループするので、それにより、プロジェクタ取り付け部材214内のプロジェクタ12内が高湿度状態で維持される恐れがある。
また、図6〜図8に示すように、ケース部材218と天井材102の裏側部分102cとの間にも環状のシール部材242が設けられている。このシール部材242は、ケース部材218と天井材102との間の隙間からケース部材218内の空気F2が外部(天井材102の裏側空間)に漏れ出ることを抑制している。その結果、カバー部材216の結露をさらに抑制することができる(シール部材242がない場合に比べて)。
さらに、図8および図9に示すように、ケース部材218は、内面(内部空間218aを臨む表面)に、例えばポリスチレンフォームなどの黒色の断熱材244が貼り付けられている。これにより、ケース部材218の内部空間218aの温度低下を抑制することができる。その結果、カバー部材216の結露をさらに抑制することができる(断熱材244がない場合に比べて)。なお、ダクト部材230の内部空間230aを移動中の空気F2の温度が低下しないように、ダクト部材230の内面にも同様の断熱材を設けてもよい。
さらにまた、図9に示すように、プロジェクタ12は、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aに収容されている。そのため、プロジェクタ12からの発熱によってプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a内の温度は、プロジェクタ12の稼働時間にともなって上昇する。そのプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aの温度上昇によってプロジェクタ12を内部ファン12qによって十分に冷却できない可能性がある。すなわち、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aおよびプロジェクタ12の内部が高温多湿な状態になりうる。
その対処として、図6および図9に示すように、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aの高温の空気を排気するために、それとともに湿気を排出するために、外部ファン246がプロジェクタ取り付け部材214に設けられている。図9に示すように、プロジェクタ取り付け部材214のベース部222に、内部空間214aと外部とを連絡する空気吹き出し口222cが形成されている。この空気吹き出し口222cに対向するように、外部ファン246がプロジェクタ取り付け部材214に設けられている。プロジェクタ12の稼動中に外部ファン246が回転してプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a内の空気を外部に送風することにより、プロジェクタ取り付け部材214の温度が低温で維持される。
本実施の形態2の場合、外部ファン246のON−OFF制御は、プロジェクタ12の温度に基づいて実行される。例えば、プロジェクタ12に搭載された温度センサ12pの温度検出結果に基づいて、制御装置12jが外部ファン246を外部制御する。制御装置12jは、温度センサ12pが所定の温度を超える温度を検出している間、外部ファン246を駆動し続ける。なお、温度センサ12pの検出温度の変化にともない、外部ファン246の回転数を変更してもよい。これにより、プロジェクタ取り付け部材214内の温度上昇を効率的に抑制することができ、プロジェクタ12は、内部ファン12qによって十分に冷却される。
図9に示すように、本実施の形態2の場合、空気取り込み口222bからプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aに取り込まれた空気(空気F1)は、Uターンしてケース部材218の出口218bから外部に排出される(空気F2’)。すなわち、空気取り込み口222bと出口218bの両方が、画像投影システム210の幅方向(X軸方向)の一方側に設けられている。そのため、プロジェクタ12によって温められて出口218bから外部に出た高温の空気F2’が、再び、空気取り込み口222bを介してプロジェクタ取り付け部材214内に取り込まれる可能性がある。また、その結果として、一度排出された湿気が再びプロジェクタ取り付け部材214内に取り込まれる可能性がある。
その対処として、本実施の形態2の場合、空気取り込み口222bと出口218bが、画像投影システム210の幅方向(X軸方向)にずれて設けられている。特に、空気取り込み口222bに流入する空気F1の上流側に、また、その空気取り込み口222bから離れるように、出口218bが設けられている。これにより、空気取り込み口222bと出口218bとが幅方向にずれずに奥行き方向(Y軸方向)並ぶ場合に比べて、または、出口218bから流出する空気F2’の下流側に空気取り込み口222bが存在する場合に比べて、出口218bから流出した空気F2’および湿気が再び空気取り込み口222bを介してプロジェクタ取り付け部材214内に取り込まれることが抑制される。
加えて、図8に示すように、プロジェクタ12は、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214a内において、その天板部220に吊り下げ支持されている。そのため、湿気が留まりやすいプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aの下部から離れている。その結果、プロジェクタ12内に湿気が侵入しにくい。
以上、このような本実施の形態2によれば、高温多湿な浴室100にその室外から画像Pを投影する場合において、良好な画像Pを投影することができる。すなわち、天井材102の裏側に配置されたプロジェクタ12の水滴が付着していない出射部12aから、結露の発生が抑制されるとともにほこりなどの付着が抑制されたカバー部材216を介して、浴室100の壁材104の表側部分に、良好な画像Pが投影される。
また、これまで説明してきたように、本実施の形態2の画像投影システム210は、プロジェクタ12内に湿気が留まることを抑制する様々な構成を備えている。それにより、プロジェクタ12の制御基板12j上の電気回路などの湿気による短絡を抑制している。それに加えて、短絡による発火を抑制する構成も、画像投影システム210は備えている。
具体的には、万が一の短絡による発火に対策するために、上述したように、プロジェクタ取り付け部材214が不燃性材料または難燃性材料から作製されている。このようなプロジェクタ取り付け部材214内に収容されることにより、万が一プロジェクタ12が短絡を原因として発火しても延焼は抑制される。
また、本実施の形態2の場合、ケース部材218も、プロジェクタ取り付け部材214と同様に、不燃性材料または難燃性材料から作製されている。これは、図8に示すように、プロジェクタ12の出射部12aが通過するプロジェクタ取り付け部材214の貫通穴222aを介してケース部材218の内部空間218aに延焼が拡がる可能性があるからである。その内部空間218a内に延焼が拡がっても、ケース部材218によってそれ以上の延焼が抑制される。
このような構成により、高温多湿の浴室100に画像Pをその室外に設置されたプロジェクタ12から投影する場合において、プロジェクタ12内での湿気による短絡やその短絡による発火に十分に対策して該プロジェクタ12を設置することができる。
なお、プロジェクタ取り付け部材214とケース部材218は、ともに不燃性材料または難燃性材料から作製されている別部材である。これに代わって、プロジェクタ取り付け部材214とケース部材218とが、一部品として一体化されてもよい。この場合、これらの部材が別々の部材である場合に比べて、延焼の抑制能力が向上する。すなわち、別々の部材の場合、相対的に燃焼しやすい一方の部材が集中的に発火によって先に損傷し、他方がほとんど損傷していないにも関わらず、外部に延焼が拡がる可能性がある。これに対して、一部品として一体化されている場合、プロジェクタ取り付け部材214とケース部材218とが、ほぼ同一の速度で損傷していくために、外部に延焼が拡がるまでに時間がかかる。すなわち、より延焼を抑制することができる。
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
例えば、上述の実施の形態1の場合、図4に示すように、ヒーター30は、カバー部材16を介してシール部材24と対向している(鉛直方向(Z軸方向)に対向している)。この場合、カバー部材16やシール部材24の種類によっては、ヒーター30からカバー部材16の部分に移動した熱の多くが、シール部材24に移動する可能性がある。その結果、カバー部材16が結露の発生を抑制することができる温度に昇温するまでに時間がかかり、ヒーター30が多くの電力を消費する可能性がある。
このヒーターの熱のシール部材への移動について対処する別の実施の形態に係る画像投影システム210の一部が図12に示されている。なお、図12においては、上述の実施の形態1の構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図12に示す別の実施の形態に係る画像投影システム310では、カバー部材16と天井材102との間をシールするシール部材324とヒーター30は、カバー部材16を挟んで対向していない。すなわち、カバー部材16と天井材102との間の空気層Rが、カバー部材16を挟んでヒーター30と対向している。
そのため、ヒーター30がカバー部材16を挟んでシール部材24と対向する場合に比べて、ヒーター30からカバー部材16を介してシール部材24に移動する熱量が少ない。その結果、ヒーター30は、少ない電力で、カバー部材16を結露の発生を抑制することができる温度にすばやく昇温することができる。
また、例えば、上述の実施の形態1の場合、図4に示すように、ケース部材18は、カバー部材16上に載置された状態で、カバー部材16を覆っている。すなわち、カバー部材16の一部が、天井材102の裏側空間(ケース部材18の内部空間18aを除く)に露出している。
これに代わって、さらに別の実施の形態に係る画像投影システム410の一部を示す図13に示すように、ケース部材418が、カバー部材16全体を覆うように構成されてもよい。なお、図13においては、上述の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
この場合、図13に示すように、ケース部材418は、カバー部材16ではなく、天井材102の裏側部分102cに、シール部材426を介して取り付けられる。
さらに、上述の実施の形態1および2の場合、図3および図8に示すように、プロジェクタ取り付け部材14(214)、カバー部材16(216)、およびケース部材18(218)は、別体であるが、これらの少なくとも2つは一部品として一体化されてもよい。この場合、これらの間に配置されるシール部材を省略することができる。
さらにまた、上述の実施の形態1および2の場合、図3および図8に示すように、カバー部材16(216)は、天井材102の裏側部分102cに取り付けられているが、これに代わって、カバー部材は、浴室100を臨む天井材102の表側部分に取り付けられてもよい。
加えて、上述の実施の形態2の場合、図9に示すように、ダクト部材230の内部空間230aからケース部材218の内部空間218a内に向かう空気F2の流れは、プロジェクタ12の内部ファン12qによって発生する。この内部ファン12qに代わってまたは加えて、さらなるファンを、例えば、ダクト部材230とケース部材218との間、または、ケース部材218の出口218bに設けてもよい。
ファンに関して言えば、図9に示すように、外部からプロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aに向かう空気F1の流量を増加させるために、外部ファン246に加えてまたは代わって、さらなるファンをプロジェクタ取り付け部材214の空気取り込み口222bに設けてもよい。
また、外部ファン246を省略することも可能である。例えば、プロジェクタ取り付け部材214の内部空間214aの容積がプロジェクタ12に体積に比べて十分大きい、またはプロジェクタ取り付け部材214が放熱性が高い材料(例えばアルミニウム材料)から作製されているなどの場合、外部ファン246を省略可能である。
この外部ファン246は、上述の実施の形態2の場合、プロジェクタ12の温度を検出する温度センサ12pの温度検出結果に基づいてON−OFF制御される。これに代わって、プロジェクタ12が動作している間、外部ファン246は常に駆動していてもよい。
加えて、上述の実施の形態1および2の場合、図3および図8に示すように、プロジェクタ12の出射部12aから出射された投影光Lが、天井材102の開口102aを通過して(カバー部材16(216)を透過して)浴室100内に向かう。しかしながら、本発明の実施の形態は、これに限らない。例えば、天井裏側に配置されたプロジェクタから出射された投影光が、天井裏側に配置されたミラーによって反射され、反射光が浴室内に向かってもよい。この場合、ミラーは、ケース部材の内部空間内に配置される。
加えてまた、画像投影システムにおけるケース部材の内面の少なくとも一部に、蓄光層が設けられてもよい。図1に示すように画像投影システムのプロジェクタが浴室内に画像を投影するとき、浴室内の照明はOFFにされている。その状態で、ユーザの操作や故障などによってプロジェクタが投影を停止すると、浴室内が真っ暗になる。そこで、プロジェクタが投影を停止しても、ユーザが浴室から安全に出ることができるように、蓄光層がケース部材の内面の少なくとも一部に設けられる。
蓄光層は、例えば蓄光塗料や蓄光シートであって、プロジェクタが投影している間に、投影光の一部を蓄える。例えば、プロジェクタからケース部材の内面に直接的に到達した投影光の一部、または、プロジェクタから出射されてカバー部材でケース部材内に反射された投影光の一部を蓄光層は蓄える。蓄光層が光を蓄えた状態でプロジェクタが投影を停止すると、蓄光層は発光し、その光の一部がカバー部材を介して浴室内に漏れる。その結果、蓄光層からの光をたよりにしてユーザは浴室から安全に出ることができる。
なお、上述の実施の形態1および2の場合、図3、図8、および図9に示すように、プロジェクタ12は、プロジェクタ取り付け部材14(214)内に収容された状態で、プロジェクタ取り付け部材14(214)を介して浴室100の天井材102の裏側部分102cに設置されている。しかしながら、本実施の形態はこれに限らない。
また、上述の実施の形態1および2の場合、画像投影システムは、浴室の天井材の裏側に配置されているが、本発明の実施の形態はこれに限らない。天井材の裏側に代わって、画像投影システムは、壁材の裏側に配置されてもよい。この場合、壁材は、画像投影システムのプロジェクタの投影光が通過する開口を備える。
さらに、上述の実施の形態1および2の場合、画像投影システムは浴室内に画像を投影するが、言い換えると上述の実施の形態は画像を投影することができる浴室であるが、本発明の実施の形態はこれに限らない。
そして、上述の実施の形態1の場合は光熱変換面やヒーターによってケース部材の内部空間が温められ、一方、上述の実施の形態2の場合はプロジェクタの排気によってケース部材の内部空間が温められている。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。すなわち、ケース部材自ら、ケース部材の内部空間を温めることも可能である。例えば、ケース部材を断熱性に優れた材料から作製するまたは肉厚にすることにより、ケース部材の内部空間は、天井材の裏側空間(ケース部材の内部空間を除く)に比べて高温に、浴室からの熱の移動によって温められる。すなわち、天井材の裏側空間に比べて小さく、また天井材の裏側空間から隔離されているために、ケース部材の内部空間は、天井材の裏側空間に比べて高温になる。その結果、ケース部材がない場合に比べて、ケース部材を設けた方が、そのケース部材に覆われるカバー部材の浴室内側表面に結露が生じにくい。
したがって、本発明に係る実施の形態は、広義には、室内空間を画定する天井材または壁材の裏側に配置され、且つ、天井材または壁材に設けられた開口を介して室内に投影光を出射する出射部を備えるプロジェクタと、天井材または壁材の開口を塞ぎ、プロジェクタの投影光が透過するカバー部材と、プロジェクタの出射部とカバー部材とを覆い、且つ、プロジェクタの出射部から開口に向かう投影光が通過する内部空間を形成するケース部材と、を有する画像投影システムである。
以上のように、本発明における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、前述の実施形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。