JP6575801B2 - 複合膜、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合膜、及びその製造方法に関する。更に詳しくは、帯電防止フィルムをはじめ広範な用途において利用することができる複合膜及びその製造方法に関する。
従来から種々の複合膜が検討されている。その一例を説明する。一般に合成樹脂は電気絶縁性であるため、摩擦等により生じた静電気を帯びやすい。また、合成樹脂は、その静電気を外部へ逃がしにくく蓄積する傾向にある。
そのため、合成樹脂をフィルムとして用いる場合、静電気により埃や塵が吸着されて、外観が損なわれ、また、目的とする機能の発現が妨げられる場合がある。
このような状況の下、絶縁性樹脂フィルムに、帯電防止層を形成するための塗布液を塗布して乾燥させた後、その上面に樹脂成分を含むコート層を形成するという技術が検討されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この技術で形成した複合膜では、コート層は、帯電防止層が形成された絶縁性樹脂フィルムの上に、後から形成するため、剥離のおそれがあり、完成した複合膜の膜強度が十分でない場合があった。すなわち、コート層は、後付けであり、帯電防止層と一体形でないため、剥離するおそれがあった。
また、この技術は、工程が多いため煩雑であり、工業的に不利である。
特開2008−248012号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、十分な強度を有して種々の用途に適用可能な複合膜、及びその製造方法を提供すること目的とする。
本発明者らは、上記従来技術を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、新規な複合膜を開発した。
そして、この新規な複合膜は、従来の複合膜にはない構造と特性を有するという予想外の事実を見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
絶縁性高分子と、導電性高分子と、無機粒子と、を含有した複合膜であって、
一面と他面とを有し、
本複合膜における厚み方向の前記導電性高分子の含有量が、前記一面側から前記他面側に向かうにつれて大きくなり、
本複合膜における厚み方向の前記絶縁性高分子の含有量が、前記一面側から前記他面側に向かうにつれて小さくなり、
前記絶縁性高分子は、ポリビニルアルコールであり、
前記導電性高分子は、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)〕、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記無機粒子は、BiSe(セレン化ビスマス)、ZnSb(アンチモン化亜鉛)、MoS(硫化モリブデン)、CdTe(テルル化カドミウム)、SbTe(テルル化アンチモン)、及び他の元素としてTe又はSnをドーピングしたBiSeからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする複合膜であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、
前記導電性高分子は、少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)〕を含み、
前記無機粒子は、少なくともBi Se (セレン化ビスマス)を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合膜である。
請求項3に記載の発明は、
前記導電性高分子を含有する層に優先的に、前記無機粒子が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合膜である。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合膜の製造方法であって、
前記絶縁性高分子と、前記導電性高分子と、前記絶縁性高分子及び前記導電性高分子をいずれも溶解可能な溶媒と、を混合して混合溶液とする混合溶液調製工程と、
前記混合溶液を乾燥させて前記複合膜とする乾燥工程と、を備える複合膜の製造方法である。
本発明の複合膜は、厚み方向の導電性高分子の含有量が、一面側から他面側に向かうにつれて大きくなり、厚み方向の絶縁性高分子の含有量が、一面側から他面側に向かうにつれて小さくなっている。すなわち、厚み方向の導電性高分子の含有量が無段階的に変化しており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も無段階的に変化している。言い換えれば、厚み方向の導電性高分子の含有量はグラデーションとなっており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量もグラデーションとなっている。このように本発明の複合膜は、厚み方向の導電性高分子や絶縁性高分子の含有量が無段階的に変化しており、各層が明確に区分されていないから、剥離に強く、十分な強度を有する。
また、複合膜に、無機粒子を含有している場合には、無機粒子を選択して、種々の機能を付与することができる。
また、絶縁性高分子と、導電性高分子と、溶媒と、を混合して混合溶液とする混合溶液調製工程と、混合溶液を乾燥させて複合膜とする乾燥工程と、を備える複合膜の製造方法の場合には、以下の作用効果を奏する。従来の技術では、各層を形成するのに、それぞれ塗布工程、乾燥工程が必要であった。すなわち、例えば、コート層を形成する場合には、この層の形成のためだけに、塗布工程、乾燥工程が必要であった。本発明の製造方法では、各層毎の塗布工程や乾燥工程を設ける必要がないから、工程が簡易である。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部分を示す。
本発明の複合膜(ハイブリッド膜)を説明するための断面図である。 (a)実施例1のPVA/PEDOT−PSSのハイブリッド膜(PEDOT−PSSの体積分率12vol%)の断面のSEM像である。(b)実施例1のPVA/PEDOT−PSSのハイブリッド膜の断面のEDX元素(硫黄)分布図である。 (a)実施例2のPVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜(PEDOT−PSSの体積分率12vol%)の断面のSEM像である。(b)実施例2のPVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜の断面のEDX元素(硫黄)分布図である。(c)実施例2のPVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜の断面のEDX元素(ビスマス)分布図である。(d)実施例2のPVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜の断面のEDX元素(セレン)分布図である。 実施例3のPVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜(PEDOT−PSSの体積分率12vol%)の断面のSEM像である。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
〔1〕複合膜
本発明の複合膜(1)は、絶縁性高分子と、導電性高分子と、無機粒子と、を含有した複合膜である。複合膜は、一面(表面3)と他面(裏面5)とを有する。複合膜における厚み方向の導電性高分子の含有量は、一面側から他面側に向かうにつれて大きくなっている。また、複合膜における厚み方向の絶縁性高分子の含有量は、一面側から他面側に向かうにつれて小さくなっている。
以下、本発明を詳しく説明する。
(1)絶縁性高分子
絶縁性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂があるが、本実施形態ではポリビニルアルコールを用いる。
ポリビニルアルコールを用いる場合に、ケン化度については特に制限はないが、通常、ケン化度70モル%〜100モル%、好ましくは85モル%〜100モル%のものが使用される。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、及びこれらの誘導体等を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、及び
これらの誘導体等を用いることができる。
絶縁性高分子の分子量に制限はないが、例えば重量平均分子量0.5万〜800万、好ましくは1万〜60万、さらに好ましくは1万〜30万のものを使用することができる。
(2)導電性高分子
導電性高分子は、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)〕、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
導電性高分子は、ドーピングにより絶縁体−金属転移を起こして導電性を発現する。p型半導体として用いる場合、アクセプタと呼ばれるドーパントを用い、導電性高分子の共役系からπ電子を奪うことで、正孔が主鎖に沿って移動可能になる。このようなアクセプタ・ドーパントとして、公知のハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、および遷移金属ハライド等が挙げられる。
なお、ポリアニリンの場合、塩酸などの酸化能力のないプロトン酸によってもセミキノンラジカルが生成し導電性を示すようになる。アクセプタ・ドーパントとして、プロトン酸が用いられることが多い。このようなものとして、例えば、公知のp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、蟻酸などの有機酸、及び塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機プロトン酸が挙げられる。
一方、導電性高分子をn型半導体として用いる場合、ドナーと呼ばれるドーパントを用い、導電性高分子の共役系に電子を与えることにより、電子が主鎖に沿って移動可能になる。このようなドナー・ドーパントとして、アルカリ金属、アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。
導電性高分子の分子量に制限はないが、例えば重量平均分子量0.5万〜800万、好ましくは1万〜60万、さらに好ましくは1万〜30万のものを使用することができる。
(3)絶縁性高分子と導電性高分子との比率
複合膜全体における絶縁性高分子と導電性高分子との比率は、特に限定されない。
複合膜全体における絶縁性高分子と導電性高分子との合計を100体積パーセント(vol%)とした場合に、導電性高分子を、1〜80体積パーセント(vol%)とすることが好ましい。導電性高分子は、2〜60体積パーセント(vol%)であることがより好ましく、5〜40体積パーセント(vol%)であることが特に好ましい。
複合膜の一面側における絶縁性高分子と導電性高分子との比率は、特に限定されない。
複合膜一面側における絶縁性高分子と導電性高分子との合計を100体積パーセント(vol%)とした場合に、導電性高分子を、0〜10体積パーセント(vol%)とすることが好ましい。導電性高分子は、0〜1体積パーセント(vol%)であることがより好ましく、0〜0.1体積パーセント(vol%)であることが特に好ましい。この範囲内とすると、複合膜の一面側が良好な絶縁性を発揮するからである。
複合膜の他面側における絶縁性高分子と導電性高分子の比率は、特に限定されない。
複合膜他面側における絶縁性高分子と導電性高分子との合計を100体積パーセント(vol%)とした場合に、導電性高分子を、0〜100体積パーセント(vol%)とすることが好ましい。導電性高分子は、5〜100体積パーセント(vol%)であることがより好ましく、10〜100体積パーセント(vol%)であることが特に好ましい。この範囲内とすると、複合膜の他面側が良好な導電性を発揮するからである。
複合膜における厚み方向の導電性高分子の含有量は、一面側から他面側に向かうにつれて大きくなっている。また、複合膜における厚み方向の絶縁性高分子の含有量は、一面側から他面側に向かうにつれて小さくなっている。
すなわち、厚み方向の導電性高分子の含有量が無段階的に変化しており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も無段階的に変化している。言い換えれば、厚み方向の導電性高分子の含有量はグラデーションとなっており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量もグラデーションとなっている。
本発明の複合膜は、導電性高分子の含有量の異なる複数(無数)の層が積層した状態となっているものである。
複合膜の厚みは、その用途等によって適宜選択される。例えば、通常、0.001〜100000μmであり、好ましくは0.05〜1000μm、更に好ましくは0.1〜500μmである。
(4)無機粒子
本発明の複合膜には、更に無機粒子を含有してい
無機粒子は、BiSe(セレン化ビスマス)、ZnSb(アンチモン化亜鉛)、MoS(硫化モリブデン)、CdTe(テルル化カドミウム)、SbTe(テルル化アンチモン)、及び他の元素としてTe又はSnをドーピングしたBi Se からなる群より選ばれる少なくとも1種である
これらの無機粒子は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
「無機粒子」の形状は特に限定されない。球形、フレーク状、板状、シート状、不定形等であってもよい。
「無機粒子」の平均粒径は特に限定されない。例えば、平均粒径は、1nm〜50000μmであることが好ましく、より好ましくは3nm〜500μm、更に好ましくは5nm〜10μmである。
なお、無機粒子の平均粒径は、例えば、電子顕微鏡観察(SEM、TEM)等により測定することができる。
無機粒子の表面には、貴金属微粒子が担持されていてもよい。貴金属微粒子を担持することによって、無機粒子の分散安定性を向上させることができる。
「貴金属微粒子」としては、貴金属であれば特に限定されず、金、白金、銀、銅、パラジウム等の1種以上が挙げられる。金、銀等が好ましい。
貴金属微粒子の平均粒子径は、特に制限されるわけではないが、1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜20nmである。貴金属微粒子の平均粒子径をこの範囲とすることで、微粒子の分散状態をコントロールし易くなるからである。
貴金属微粒子の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察(SEM、TEM等)等により測定することができる。
無機粒子と、貴金属微粒子の質量比(無機粒子:貴金属微粒子)は、1:1〜1000:1であり、好ましくは5:1〜400:1、更に好ましくは10:1〜200:1である。質量比がこの範囲である場合、微粒子の水中での分散状態を向上させることができるからである。
<表面に貴金属微粒子が担持された無機粒子の製造方法>
貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法は、特に限定されない。例えば、次の方法を採用することができる。
すなわち、(1)貴金属の前駆体溶液(A液)と、(2)無機粒子、還元剤、及び溶媒を含有する液(B液)と、を反応させることにより、貴金属微粒子が担持された無機粒子を製造する方法を採用することができる。
「貴金属の前駆体溶液(A液)」は、貴金属イオン又は貴金属化合物を含む溶液である。貴金属イオン又は貴金属化合物は、電子を受容して0価の貴金属に還元される。貴金属イオンとしては、金イオン、白金イオン、銀イオン、銅イオン、パラジウムイオン等が挙げられる。
貴金属化合物としては、HAuCl(塩化金酸)、AgNO(硝酸銀)、AuCl、HPtCl、AgNO、CuSO、Pd(C、PtCl、NaPdCl等が挙げられる。これらの貴金属イオン及び貴金属化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
前駆体溶液の溶媒は、特に限定されない。例えば、水を用いることができる。また、水と他の溶媒の混合溶媒としてもよい。他の溶媒は、無機溶媒、有機溶媒のいずれでもよく、例えば、具体的には、アルコール、ケトン、カルボン酸等が挙げられる。これらの無機溶媒、有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
このように、水と他の溶媒との混合溶媒とする場合には、水の含有量は特に限定されない。水の含有量は、混合溶媒全体を100質量%とした場合に、好ましくは1〜99質量%、更に好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは50〜99質量%である。
前駆体溶液の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10mM、更に好ましくは0.02〜8mM、特に好ましくは0.03〜1mMである。前駆体溶液の濃度が好ましい範囲内にあるときは、無機粒子の表面に選択的に貴金属微粒子が析出しやすくなるからである。また、低濃度すぎると、貴金属微粒子の析出速度が著しく低下し、工業的に不利となる。
無機粒子、還元剤、及び溶媒を含有する液(B液)に含有される「無機粒子」は、上述のように、その種類は特に限定されない。また、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
例えば、BiSe(セレン化ビスマス)、ZnSb(アンチモン化亜鉛)、MoS(硫化モリブデン)、CdTe(テルル化カドミウム)、SbTe(テルル化アンチモン)が好ましい。これらのなかでも、特にBiSeが好ましい。
また、他の元素をドーピングしたBiSeを用いてもよい。この場合におけるドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、Te、Sn等が用いられる。
「還元剤」としては、貴金属の前駆体を還元することができれば特に限定されず、有機物であっても無機物であってもよい。例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、エチレングリコール、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、α−グルコース等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
無機粒子、還元剤、及び溶媒を含有する液に用いる溶媒は、特に限定されない。例えば、水を用いることができる。また、水と他の溶媒の混合溶媒としてもよい。他の溶媒は、無機溶媒、有機溶媒のいずれでもよく、例えば、具体的には、アルコール、ケトン、カルボン酸等が挙げられる。これらの無機溶媒、有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。このように、水と他の溶媒との混合溶媒を用いる場合には、水の含有量は特に限定されない。水の含有量は、混合溶媒全体を100質量%とした場合に、好ましくは1〜99質量%、更に好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは50〜99質量%である。
無機粒子、還元剤、及び溶媒を含有する液(B)における還元剤の濃度は、特に限定されないが、好ましくは1〜200mM、更に好ましくは5〜100mM、特に好ましくは20〜50mMである。
貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法において、A液に含まれる貴金属化合物と、B液に含まれる無機粒子との質量比(貴金属化合物:粒子)は、1000:1〜1:1であり、好ましくは400:1〜5:1、更に好ましくは200:1〜10:1である。
貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法において、A液に含まれる貴金属化合物と、B液に含まれる還元剤との質量比(貴金属化合物:還元剤)は、1:1〜100:1であり、好ましくは5:4〜40:1、更に好ましくは3:2〜20:1である。
貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法における反応温度は、特に限定されないが、例えば、−20〜+200℃、好ましくは30〜150℃、更に好ましくは60〜120℃とすることができる。反応温度として、例えば、A液の沸点を用いることができる。
貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法における反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.1〜48時間、好ましくは0.2〜8時間、更に好ましくは0.2〜3時間とすることができる。
その他の貴金属微粒子を無機粒子に担持する方法として、コロイド塩析法、含浸‐水素還元法、混練法、および光析出法(光電析法)等を適用することができる。
また、無機粒子の表面をカップリング剤等の有機分子により修飾した後、有機分子と金属との相互作用によって金属を固定化するという方法も採用することができる。
(5)他の成分
本発明の複合膜は、本発明の目的を阻害しない範囲で、無機粒子及び樹脂以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、界面活性剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤等を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述の界面活性剤としては、特に限定されず、公知の界面活性剤を広く適用できる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤を適用できる。界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上述の難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤などが挙げられる。
上述の難燃助剤としては、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
上述の充填剤としては、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等)、シリカ、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維)、黒鉛、珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)が挙げられる。
上述の着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。
なお、複合膜の厚み方向の導電性高分子の含有量が変化しており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も変化していることは、例えば以下のようにして確認することができる。すなわち、複合膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像、及び同範囲のエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分布図を用いて確認することができる。
(6)複合膜の用途
複合膜の用途は、特に限定されず、絶縁性高分子及び導電性高分子を適宜選択することにより、複合膜を幅広い用途に適用することができる。例えば、帯電防止フィルム、フレキシブル及びプリンタブルなエレクトロニクス材料等に幅広く用いることができる。
〔2〕複合膜の製造方法
本発明の製造方法は、上述の複合膜を製造するための製造方法である。
本発明の製造方法は、絶縁性高分子と、導電性高分子と、絶縁性高分子及び導電性高分子をいずれも溶解可能な溶媒と、を混合して混合溶液とする混合溶液調製工程を備える。また、本発明の製造方法は、混合溶液を乾燥させて複合膜とする乾燥工程と、を備える。
「絶縁性高分子」、「導電性高分子」については、〔1〕複合膜の欄での説明をそのまま適用することができる。
「絶縁性高分子及び導電性高分子をいずれも溶解可能な溶媒」としては、両者を溶解することができれば、特に限定されない。例えば、水を用いることができる。また、水と他の溶媒の混合溶媒としてもよい。他の溶媒は、無機溶媒、有機溶媒のいずれでもよく、例えば、具体的には、アルコール、ケトン、カルボン酸等が挙げられる。これらの無機溶媒、有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。このように、水と他の溶媒との混合溶媒を用いる場合には、水の含有量は特に限定されない。水の含有量は、混合溶媒全体を100質量%とした場合に、好ましくは1〜99質量%、更に好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは50〜99質量%である。
混合溶液の樹脂濃度は、特に限定されない。ここで、樹脂濃度とは、下記の式で計算されるものである。

混合溶液の樹脂濃度(質量%)
=絶縁性高分子及び導電性高分子の合計の質量÷混合溶液の全質量×100

混合溶液の高分子濃度は、溶液の種類に応じて適宜選択できる。例えば、水溶性樹脂の水溶液の場合には、0.01〜60質量%が好ましく、0.5〜30質量%が更に好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。
混合溶液を複合膜にする乾燥工程で用いられる方法は、特に限定されない。例えば、混合溶液を支持体や、ベルトドラム等の上にキャストして流延膜を形成する溶液流延法が用いられる。
乾燥工程では、膜は、公知の方法により乾燥される。乾燥温度は、特に限定されず、溶液の種類に応じて適宜選択できる。例えば、水溶性樹脂の水溶液の場合には、0〜200℃が好ましく、10〜80℃が更に好ましく、20〜50℃が特に好ましい。この範囲内であると、複合膜を構成する高分子の劣化が防止されるからである。また、この範囲内にあると、厚み方向の導電性高分子の含有量が、一面側から他面側に向かうにつれて大きくなる複合膜を形成しやすいからである。厳しい乾燥条件では、厚み方向の導電性高分子の含有量を変化させることが困難な傾向にあるからである。
また、乾燥時間も特に限定されないが、通常、1分〜72時間であり、30分〜30時間が好ましく、1時間〜24時間が更に好ましい。
本複合膜の製造方法によって、厚み方向の導電性高分子の含有量が無段階的に変化しており、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も無段階的に変化する複合膜が得られる理由は明らかではないが、その機構は、以下のように推測される。すなわち、混合溶液を乾燥させて複合膜とする乾燥工程の際に、溶液中の溶媒が気化するが、それに伴って、溶媒に溶け込んでいる高分子が析出してくる。析出の際に、絶縁性高分子の溶媒に対する溶解度と、導電性高分子の溶媒に対する溶解度の差があるために、厚み方向の導電性高分子の含有量が無段階的に変化し、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も無段階的に変化するものと推測される。
すなわち、本発明の複合膜の製造方法では、絶縁性高分子及び導電性高分子のそれぞれの溶媒への溶解度の差を利用して、厚み方向の導電性高分子の含有量を無段階的に変化させ、厚み方向の絶縁性高分子の含有量も無段階的に変化させることができるものと推測される。
本発明の複合膜の製造方法によれば、電気伝導性、及び膜強度が良好な帯電防止フィルム等に利用可能な複合膜を作製可能である。
また、本発明の複合膜の製造方法によれば、種々の用途に適用可能な複合膜を、低コストで、比較的簡易に製造可能である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
<実施例1>
絶縁性高分子であるポリビニルアルコール(PVA、15mg)を水(0.15mL)に溶解させてPVA水溶液を調製した。
このPVA水溶液に、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT−PSS〕の水溶液(pH 5〜7、1.65mg(固形分) in 0.15mL、Aldrich)、及び水(0.50mL)を加え、50℃にて攪拌して混合溶液とした。混合溶液中の高分子全体に占めるPEDOT−PSSの体積分率は、12体積パーセント(vol%)であった。
混合液を基板上に載せ、50℃にて終夜(18時間)乾燥させて、PVA/PEDOT−PSSのハイブリッド膜(複合膜)を作製した。
膜断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像、及び同範囲のエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素(硫黄)の分布図を、それぞれ図2(a)、図2(b)に示す。いずれの図面も下側が基板側となっている。
硫黄は、PVAの構成元素でない。一方、硫黄は、PEDOT−PSSの構成元素となっている。図2(b)では、硫黄の存在している所が、比較的明るく示されている。
図2(b)では、膜の下部、すなわち、膜全体の3割程度の範囲は、比較的明るくなっている。これは、膜の下部には、PEDOT−PSSが多く含有されており、その硫黄が観察されているためである。
このように、実施例1では、膜の下部はPEDOT−PSSを含有する層であり、それよりも上部は、PVAを多く含む層となっていることが分かる。但し、各層に明確な境界線は確認できなかった。すなわち、厚み方向のPEDOT−PSSの含有量はグラデーションとなっており、厚み方向のPVAの含有量もグラデーションとなっている。
本実施例のハイブリッド膜では、上部にPVAを多く含む層が存在するため、ハイブリッド膜の膜強度が十分に担保されている。
ハイブリッド膜の電気伝導性を測定した。測定には、デジタルサーキットテスター(カイセ、KU−1188)を使用した。その結果、膜下面は、抵抗値が50kΩ程度であり、電気伝導性を有することが確認された。一方、膜上面は、抵抗値が200MΩよりも大きく、絶縁性であることが確認された。
<実施例2>
塩化金酸水溶液(0.08mM、19mL、A液)を調製した。
また、BiSeのナノ粒子(粒径:約40〜400nm)を含むクエン酸ナトリウム水溶液(38.8mM、2.3mL、B液)を調製した。
塩化金酸水溶液(A液)を沸点まで昇温した後、この溶液にクエン酸ナトリウム水溶液(B液)を加え、0.5時間還流した。
このようにして、BiSeのナノ粒子の表面に、金(Au)のナノ粒子(粒子径:約3〜10nm)を担持して、Au担持BiSeナノ粒子を含んだ水分散液を得た。
絶縁性高分子であるポリビニルアルコール(PVA、15mg)を水(0.15mL)に溶解させてPVA水溶液を調製した。
このPVA水溶液に、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT−PSS〕の水溶液(pH 5〜7、1.65mg(固形分) in 0.15mL、Aldrich)、及びAu担持BiSeナノ粒子を含んだ水分散液(17mg(固形分) in 0.50mL)を加え、50℃にて攪拌して混合溶液とした。混合溶液中の高分子全体に占めるPEDOT−PSSの体積分率は、12体積パーセント(vol%)であった。
混合液を基板上に載せ、50℃にて終夜(18時間)乾燥させて、PVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜(複合膜)を作製した。
膜断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像、及び同範囲のエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素(硫黄、ビスマス、セレン)の分布図を、それぞれ図3(a)〔SEM〕、図3(b)〔硫黄〕、図3(c)〔ビスマス〕、図2(d)〔セレン〕に示す。いずれの図面も下側が基板側となっている。
図3(a)では、膜の下部、すなわち、膜全体の3割程度の範囲は、明るくなっている(反射電子検出器を使用)。これは、膜の下部には、Au担持BiSeナノ粒子が含有されており、その粒子が観察されているためである。
硫黄は、PVAの構成元素でない。一方、硫黄は、PEDOT−PSSの構成元素となっている。図3(b)では、硫黄の存在している所が、比較的明るく示されている。図3(b)では、膜の下部、すなわち、膜全体の3割程度の範囲は、比較的明るくなっている。これは、膜の下部には、PEDOT−PSSが含有されており、その硫黄が観察されているためである。但し、各層に明確な境界線は確認できなかった。すなわち、厚み方向のPEDOT−PSSの含有量はグラデーションとなっており、厚み方向のPVAの含有量もグラデーションとなっている。
このように、実施例2では、膜の下部はPEDOT−PSSを含有する層であり、それよりも上部は、PVAを多く含む層となっていることが分かる。
図3(c)では、膜の下部、すなわち、膜全体の3割程度の範囲は、明るくなっている。これは、膜の下部には、Au担持BiSeナノ粒子が含有されており、そのBi(ビスマス)が観察されているためである。
図3(d)では、膜の下部、すなわち、膜全体の3割程度の範囲は、明るくなっている。これは、膜の下部には、Au担持BiSeナノ粒子が含有されており、そのSe(セレン)が観察されているためである。
これらの結果から、硫黄が観察されたPEDOT−PSSを含有する層に優先的に、Bi(ビスマス)、Se(セレン)が観察されていることが分かる。すなわち、PEDOT−PSSを含有する層に優先的に、Au担持BiSeナノ粒子が配置されている様子が分かる。これは、Au担持BiSeナノ粒子と、PEDOT−PSSとの相溶性の高さに起因するものと考えられる。
次に、実施例1及び実施例2のハイブリッド膜の電気特性を測定した。ここでは、各膜の基板側(下面側)の電気特性を測定した。なお、測定には、ホール係数測定装置(東陽テクニカ、ResiTest8340)を用い、電気的特性に寄与する部分の厚みは、実施例1では10μm、実施例2では14μmとした。
結果を表1に示す。電気伝導率は、実施例2のハイブリッド膜の方が高いことが確認された。このように、ハイブリッド膜中に、Au担持BiSeナノ粒子等の無機粒子を配合すると、電気伝導率をコントロール可能であることが分かった。なお、Au担持BiSeナノ粒子の他に、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)等の金属を配合しても電気伝導率をコントロール可能である。
<実施例3>
塩化金酸水溶液(0.08mM、19mL、A液)を調製した。
また、BiSeのナノ粒子(粒径:約40〜400nm)を含むクエン酸ナトリウム水溶液(38.8mM、2.3mL、B液)を調製した。
塩化金酸水溶液(A液)を沸点まで昇温した後、この溶液にクエン酸ナトリウム水溶液(B液)を加え、0.5時間還流した。
このようにして、BiSeのナノ粒子の表面に、金(Au)のナノ粒子(粒子径:約3〜10nm)を担持して、Au担持BiSeナノ粒子を含んだ水分散液を得た。
絶縁性高分子であるポリビニルアルコール(PVA、15mg)を水(0.15mL)に溶解させてPVA水溶液を調製した。
このPVA水溶液に、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT−PSS〕の水溶液(pH 5〜7、6.6mg(固形分) in 0.6mL、Aldrich)、及びAu担持BiSeナノ粒子を含んだ水分散液(17mg(固形分) in 0.25mL)を加え、50℃にて攪拌して混合溶液とした。混合溶液中の高分子全体に占めるPEDOT−PSSの体積分率は、35体積パーセント(vol%)であった。
混合液を基板上に載せ、50℃にて終夜(18時間)乾燥させて、PVA/PEDOT−PSS/BiSeのハイブリッド膜(複合膜)を作製した。
膜断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、図4に示す。この図では、下側が基板側となっている。
実施例2の図3(a)と比較すると、実施例3の図4の方が、Au担持BiSeナノ粒子が存在している範囲が、拡大していることが分かる(反射電子検出器を使用)。すなわち、Au担持BiSeナノ粒子の配置範囲(存在範囲)は、PEDOT−PSSを含有する層の厚みの割合が増加するに伴って、拡大した。
このように本実施例からは、PVAとPEDOT−PSSとの比率をコントロールすることで、PEDOT−PSSを含有する層の厚みを調整できるとともに、Au担持BiSeナノ粒子の厚み方向の存在範囲を調整できることが確認された。
<実施例の効果>
本実施例のハイブリッド膜(複合膜)は、厚み方向のPEDOT−PSSやPVAの含有量が無段階的に変化しており、各層が明確に区分されていないから、剥離に強く、十分な強度を有する。
また、ハイブリッド膜に、Au担持BiSeナノ粒子を含有させると、PEDOT−PSSの含有量に対応するように、Au担持BiSeナノ粒子を配置することできる。
また、本実施例の製造方法では、各層毎の塗布工程や乾燥工程を設ける必要がないから、工程が簡易である。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明の複合膜は、帯電防止フィルム、フレキシブル及びプリンタブルなエレクトロニクス材料等の広範な用途において利用することができ、化学のみならず、医学、薬学、生物学等に関わる技術分野で好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 絶縁性高分子と、導電性高分子と、無機粒子と、を含有した複合膜であって、
    一面と他面とを有し、
    本複合膜における厚み方向の前記導電性高分子の含有量が、前記一面側から前記他面側に向かうにつれて大きくなり、
    本複合膜における厚み方向の前記絶縁性高分子の含有量が、前記一面側から前記他面側に向かうにつれて小さくなり、
    前記絶縁性高分子は、ポリビニルアルコールであり、
    前記導電性高分子は、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)〕、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記無機粒子は、BiSe(セレン化ビスマス)、ZnSb(アンチモン化亜鉛)、MoS(硫化モリブデン)、CdTe(テルル化カドミウム)、SbTe(テルル化アンチモン)、及び他の元素としてTe又はSnをドーピングしたBiSeからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする複合膜。
  2. 前記導電性高分子は、少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホナート)〔PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)〕を含み、
    前記無機粒子は、少なくともBiSe(セレン化ビスマス)を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
  3. 前記導電性高分子を含有する層に優先的に、前記無機粒子が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合膜。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合膜の製造方法であって、
    前記絶縁性高分子と、前記導電性高分子と、前記絶縁性高分子及び前記導電性高分子をいずれも溶解可能な溶媒と、を混合して混合溶液とする混合溶液調製工程と、
    前記混合溶液を乾燥させて前記複合膜とする乾燥工程と、を備える複合膜の製造方法。
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